マスターと貴銃士、その在り方。銃と共に生きる限り、安寧の運命はきっとない。
けれど、前を向いて歩み続けよう。
暗い夜を裂いて、空に輝く陽が昇るように──終わらぬ絶望はないのだから。
どんな未来が待っていても、君となら立ち向かえる。絶対に。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
君は他の人間とは違うみたい
出会えたことに感謝するべきかな
貴銃士の勇敢さを称える記念行事、
ブレイブ・マスケッターズ・デー。
その一環として開催された食事会に、
〇〇は貴銃士たちとともに参加していた。
エルメ | ……ふぅん、相当に気合が入っているみたいだね。 料理の彩りも、テーブルや会場のセッティングも、 完璧に限りなく近く思えるよ。 |
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エルメ | ただ……レバー料理がないのはいただけないね。 |
主人公 | 【でも、料理はどれも美味しいよ】 →エルメ「そうだろうね。 だけど俺は、味自体にはあまり頓着しないから。」 【あっちにレバーのパテがあった気がする】 →エルメ「本当? パテはあんまりレバー感がないのが残念だけど、ないよりはいい。 あとで探しに行ってみるよ。」 |
エルメは、近くに置いてあった軽いつまみを食べて、
少し疲れた様子でため息をつく。
主人公 | 【大丈夫?】 【疲れた?】 |
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エルメ | ん……? ああ、平気だよ。 |
エルメ | ところで、交流面談のことだけど。 君と、俺たち貴銃士が親睦を深められそうなプランなら、 だいたいなんでもいいんだよね。 |
エルメ | それなら、イギリス支部に行くのはどうかと思ってるんだ。 君と縁深いところだし、悪くはないでしょ? |
主人公 | 【いいと思う】 【そうしよう】 |
エルメ | じゃあ、決まり。 当日は時間になったら君の部屋に迎えに行くよ。 |
──交流面談当日の朝。
エルメ | ……〇〇、いるかな。 |
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エルメ | 失礼するよ。 |
主人公 | 【早いね】 【ごめん、まだ準備中で……】 |
エルメ | うん。 ……今日の予定はキャンセルだ。 |
主人公 | 【えっ!?】 【どうして急に……?】 |
エルメ | ああ、もう……限、界……。 俺は、鉄に戻るよ……。 |
主人公 | 【鉄の日……!?】 【ドライゼがいないのにどうしよう……】 |
〇〇はエルメをどうにか起こして抱えようとするが、
本人に起きる意志が皆無でぐったりと完全に脱力しており、
大柄さもあって一筋縄ではいかない。
エルメ | 俺を運んでたら、どう頑張っても目立つし……。 このまま……部屋の隅にでも転がっておくよ。 |
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エルメ | もう……自分の部屋まで戻るのも面倒だ……。 |
主人公 | 【せめてベッドに!】 【椅子に座れる?】 |
エルメ | なぜ……? 鉄に、ベッドも椅子もいらないよ。 |
床に寝転がったまま目を閉じるエルメ。
〇〇はひとまず、キャンセルの連絡をお願いしようと、
ラッセルを探しに走った。
しばらくして〇〇が部屋に戻ると、
エルメが服を中途半端に脱ぎ散らかしているところだった。
主人公 | 【ふ、服を着て!】 【脱ぐなー!!】 |
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エルメ | ああ……ちょうどよかった。 〇〇、君が脱がしてよ。 ボタンとかベルトとか……何もかも面倒なんだ。 |
エルメ | だいたい、銃が服を着るって……意味がわからない。 この鬱陶しい布切れをどけてよ……。 俺は……冷たい床を、己が鉄であることを感じたいんだ。 |
主人公 | 【全裸はNein!】 【ひんやりしたいなら氷を持ってくるから!】 |
エルメ | ええ……。 |
〇〇は、エルメの服を、
苦しくない程度に適度に着せ直し、
氷水を入れたビニール袋を渡す。
エルメ | うん……これは悪くないね。 生物としての温度が抜けていく感じ……気持ちいいよ。 |
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エルメ | …………。 |
エルメ | ……ごめん。一応、悪いとは思ってるんだ。 交流面談までは耐えるつもりだったけど、 最近いろいろあって、限界で……。 |
エルメ | 君は、俺の秘密を知ってるし……と思ったら、 なんだかこう……ぷつっと、切れてしまった。 |
主人公 | 【(……信頼されてると思っていいのかな)】 【(……気を許してもらえてるのかな)】 |
エルメ | そもそも、パレードだとか食事会だとか…… なんで銃にそんな人間ごっこをさせるんだ……。 |
エルメ | 銃の本分は戦うことで……居場所は戦場がふさわしい。 貴銃士を見せびらかして、何が楽しいんだか……。 |
主人公 | 【お疲れ様】 【頑張ってくれてありがとう】 |
しばらくエルメを寝かせたあと、
〇〇は水やレバーペーストなどを用意する。
主人公 | 【水分と栄養を少し摂った方がいい】 →エルメ「別に、数日食べなくても平気だよ。 摂取させたいなら、君がして。」 【何か口にできそう?】 →エルメ「可能か不可能かなら、可能かな。 でも、面倒だし、必要性はそこまで感じない……。」 |
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〇〇は、以前のドライゼにならって、
ストローを挿したグラスを口元に寄せたり、
レバーペーストをスプーンで掬って食べさせたりする。
エルメ | ……交流面談だけど。 一番の目的は、君と貴銃士が交流して親睦を深めることでしょ? |
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主人公 | 【そうだよ】 【何かやりたいことはある?】 |
エルメ | だったら、俺の銃の手入れをしてほしいな。 |
主人公 | 【もちろん】 |
〇〇は、エルメの銃を丁寧にメンテナンスする。
エルメらしく元々綺麗な銃だったが、最近参っていたからなのか、
ところどころに少し磨き残しなどがあった。
エルメ | ふふ……心地いいね。動きに淀みがない。 銃を扱うのに慣れた、銃を愛する、丁寧な手だ。 |
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エルメ | だからこそ……惜しいな。 |
エルメは不意に、薔薇の傷が刻まれている
〇〇の手を取った。
エルメ | ……君の手に、薔薇の傷があることが。 |
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エルメ | 治らない──治してはいけない傷。 君は普段、なんともないように振る舞っているけれど、 傷なんだから当然痛むだろうね。 |
エルメ | ……この傷は、スナイパーには致命的だ。 |
主人公 | 【……!】 【それは……】 |
エルメ | 繊細な手指の感覚、操作……スナイパーには必須でしょう? 君の相棒や、他の狙撃銃の貴銃士たちは、何も言わないのかな。 |
エルメ | 口にして、君のスナイパーとしての力を 自分たちの存在が削いでいることを直視するのが恐ろしいのかな。 |
エルメ | なんにしたって……これは事実だ。 薔薇の傷は、スナイパーである君にとって致命的な欠陥。 |
エルメ | 傷さえなければ、君はさぞ優秀な射撃手なんだろうね。 ……ふふ。 |
主人公 | 【何が言いたい?】 |
エルメ | ふふ……別に、意地悪をしたかったわけじゃないよ。 |
エルメ | いつか、その傷がなくなる日が来るかもしれない。 俺も、完璧な“銃”に戻って……君が、完璧な狙撃手になったら。 |
エルメ | その時は、狙撃銃だけじゃなくて、 どうか“俺”も使ってみてよ。 |
主人公 | 【……わかった】 【……そうする】 |
エルメ | ありがとう。 ああ……想像するだけでも、本当に素敵だ。 楽しみにしてるよ。 |
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