物の弾みで始まった、兄弟交換の職業体験!
最初は興味もなかったが、「弟」相手によろしくやっているエンフィールドを見て気が変
わったスナイダー。お前の弟は俺だろうが。
わからず屋の兄は、改造するしかないな?
花言葉だの菓子言葉だの、どうでもいい。気にする奴は気にしろ。
俺は、今良いと思ったものを贈るだけ。……ほら、俺からの菓子は嬉しいだろう? 喜べ。笑え。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
『兄弟交換が上手くできたら、なんでも1つ言うことを聞く』──
バレンタインにスナイダーと交わした約束を、
果たさなければいけない日がとうとうやってきたのだった。
スナイダー | 俺の要求はわかっているな? 改造されるよう、おまえがエンフィールドを説得しろ。 |
---|---|
主人公 | 【うっ……】 【(やっぱりそう来たか……)】 |
エンフィールド | マスターは以前、 僕のことを改造しないとおっしゃってくださいましたよね。 |
---|---|
エンフィールド | マスターが僕自身のことを認めてくださったことが…… 本当に嬉しかったんです。 |
エンフィールドの信頼を裏切りたくないが、
職業体験を頑張ったスナイダーとの約束も破りたくない。
エンフィールドとかつて交わした言葉を反芻しながら、
〇〇は悩んだ末にある決心をしたのだった。
エンフィールド | はい── おや、〇〇さん! |
---|---|
エンフィールド | わざわざご訪問いただいて……! ええ! それで、いかがされましたか? |
主人公 | 【今から言うことは本音じゃないんだけど】 【冗談だと思って聞いて】 |
エンフィールド | はい……? |
主人公 | 【その、改造……されてみる気はない?】 【改造っぽいこと……してみる?】 |
エンフィールド | …………! |
エンフィールド | 申し訳ありませんが、それはできません。 |
主人公 | 【だよね!】 【ごめんね……】 |
エンフィールド | いえ……。でも……。 |
エンフィールド | マスターが僕のことを慮っておっしゃってくださったことは、 とてもよく理解できましたよ。 |
エンフィールド | むしろ、僕を本気で改造をする気がないということが わかって胸が熱くなったといいますか……こほん。 |
エンフィールド | というよりですね。 どうせスナイダーがあなたに言わせたんでしょう? |
主人公 | 【えっ……!】 【なんでわかったの?】 |
エンフィールド | 兄弟交換の話が出た時から、 こういう展開になるんじゃないかと思っていました。 |
エンフィールド | スナイダーの要求は大体、 僕の改造かあなたの独占か……ですからね。 |
主人公 | 【さすがお兄ちゃん】 【おっしゃる通り】 |
エンフィールド | 今回はまだ、過激な方向に行かなくてよかったくらいです。 さて、どう対処しましょうか……うぅん……。 |
エンフィールド | あっ、そうだ! いいことを思いつきました。 |
エンフィールド | スナイダーの要求に、応じてやりましょう。 ええ! それはもう、快く! |
その後、〇〇とエンフィールドは共に
スナイダーの部屋を訪れたのだった。
スナイダー | どうだ? エンフィールドはおまえの説得に応じたか? |
---|---|
主人公 | 【エンフィールドが改造を承諾してくれたよ!】 【これが改造済みエンフィールドだよ!】 |
改造エンフィールド? | ふん……貴様が俺の弟か。 |
スナイダー | …………。 |
改造エンフィールド? | どうした? 声も出ないとは、とんだ腑抜けだな。 |
改造エンフィールド? | (ど、どうかな? うまくできてるかな?) |
改造エンフィールド? | (スナイダーはあんな正確だから、兄が自分と同じような 性格になったら絶対嬉しくないだろう) |
改造エンフィールド? | (僕が改造されたエンフィールドを演じることで、 スナイダーは今の僕のありがたみがわかるはずだ!) |
スナイダー | …………。 |
改造エンフィールド? | フッ、つまらんやつだ……。 吠えるならば相手をしてやったものを。 |
スナイダー | …………。 |
改造エンフィールド? | その間抜け面、見飽きたな。 俺は戦いに行く。 |
スナイダー | 待て。本当に改造したのか? 銃を見せてみろ。 |
改造エンフィールド? | (ぎくっ……!) |
改造エンフィールド? | ……銃、をなぜ貴様に? そ、その必要はないだろう。 |
スナイダーは大きくため息を吐いて、
エンフィールドと〇〇を睨んだ。
スナイダー | くだらん茶番で俺を騙せると思ったか? |
---|---|
主人公 | 【ごめんなさい……!】 【本当は改造なんてしてない】 |
エンフィールド | くっ……! 元はと言えば君が悪いんだよ、スナイダー! |
エンフィールド | 〇〇さんに無理なことを言って、 これ以上困らせないでくれ。 |
スナイダー | くだらん言い訳をするな。 約束を破ったのはおまえたちだろう。 |
スナイダー | 〇〇。 罰として、1日俺の下僕になれ。 |
──改造をめぐる一件の後。
スナイダーの下僕としての1日が始まったのだった。
主人公 | 【おはようございます!】 【朝食をお持ちしました!】 |
---|---|
スナイダー | ……なんだこれは。いらん。 |
スナイダー | おまえが食べろ。 |
朝食として用意したサラダやベーコン、パンケーキを、
スナイダーが〇〇の口へと突っ込んでいく。
スナイダー | これと……これも食べろ。 |
---|---|
主人公 | 【ぐふっ……】 【もぐもぐ……】 |
スナイダー | ……ショートブレッドがあるな。 これはもらっておくか。 |
スナイダー | 食事はもういい。 次は俺を楽しませろ。 |
主人公 | 【もちろん!】 【準備してきたよ】 |
スナイダー | フッ。自信があるようだな。 |
主人公 | 【スナイダー様は、空を飛ぶのがお好きなので】 |
主人公 | 【空を飛んだ気分になれる場所へお連れします】 |
スナイダー | ほう……? |
〇〇がスナイダーを連れて訪れたのは、
空軍の訓練場だった。
係員 | 〇〇候補生と、スナイダーさんですね! こちらへどうぞ。 |
---|
係員の案内で、2人は空軍の専用機に乗り込んだ。
すぐに離陸し、みるみる地面が遠くなっていく。
スナイダー | ……高い。 |
---|---|
主人公 | 【この空から一緒に飛び降りるんだよ】 【パラシュートを開いて、空を舞う!】 |
スナイダー | なに? この高さから? …………??? |
〇〇が補助係としてスナイダーの背後に回り、
2人でパラシュートを身に着けた。
スナイダー | おい、こんなもので空を飛ぶのか? ……冗談を言っているのか? |
---|---|
主人公 | 【大丈夫!】 【そろそろ行こうか】 |
スナイダー | まっ、待て……っ。 |
2人は専用機の床を蹴り、上空へと飛び立つ。
スナイダー | ……っ!! |
---|---|
主人公 | 【行くよ!】 【3、2、1……Go!】 |
掛け声と共にパラシュートの紐を引いた。
落下が止まると、目の前に美しい景色が広がり──
快晴の空の下、2人は鳥たちと出会いながら
大空を飛んでいた!
主人公 | 【すごい……!】 【ヤッホー!】 |
---|
〇〇ははしゃぎながらもふと、
当の本人は楽しんでいるのか不安になり、
スナイダーの横顔を覗き込む。
スナイダー | …………。 |
---|
スナイダーはずっと探していた宝物を見つけたかのように、
その瞳を輝かせていた。
主人公 | 【(スナイダー、楽しそう)】 【(よかった……!)】 |
---|
その時、突然強い風が横から吹き付けた。
スナイダー | っ!? |
---|---|
主人公 | 【風が!?】 【流される!】 |
激しい風が2人のパラシュートを揺らし、
降下予定地点からずれていくのだった。
2人はパラシュートを装着したまま山の方へと
流されていき、近くの木に落下した。
主人公 | 【わわっ……!】 |
---|---|
スナイダー | ここは……木の上に引っかかったのか。 |
主人公 | 【とりあえず、装備を外そう】 【そっちの紐を引っ張って】 |
スナイダー | 紐……? これか? |
主人公 | 【違う!】 →スナイダー「外すのが面倒だ。 こんなもの、引きちぎればいい。」 【それもっと締めてるから!】 →スナイダー「うるさい。 これでもういいだろう。」 |
主人公 | 【よくないよ!】 【真面目にやって!】 |
スナイダー | はぁ……。 今のおまえはエンフィールドのようだな。 |
時折スナイダーと言い合いになりながらも、
〇〇はなんとか装着具を外して、
地面に降りたのだった。
主人公 | 【ここは一体どこだろう……】 →スナイダー「さあな。知らん。」 【かなり流されたみたい】 →スナイダー「そのようだな。」 |
---|
ぽつ、ぽつ……──
スナイダー | ……む。 |
---|
降り出した雨は、すぐに土砂降りへと変わった。
スナイダー | チッ。面倒だな。 |
---|---|
スナイダー | あそこに山小屋らしきものがある。ついて来い。 |
スナイダーが見つけた山小屋の中に2人で入ると、
〇〇は暖炉に火をつけ、薪を燃やした。
スナイダー | おい。布を見つけたぞ。使え。 |
---|
寒さで震える〇〇に、
スナイダーは持ってきた毛布をかぶせた。
主人公 | 【身体が冷えるよ】 【スナイダーも一緒に】 |
---|---|
スナイダー | 俺はいらん。 |
主人公 | 【そういうわけにはいかない】 |
スナイダー | ……確かに冷えてきた。 人間の身体とは厄介だな。 |
〇〇はスナイダーと一緒に毛布にくるまり、
暖炉の火の前で身を寄せあった。
温まると、次第に〇〇を眠気が襲う。
スナイダー | ……眠いのか? なら、眠ればいい。 |
---|---|
主人公 | 【そうもいかない】 【ここで寝てしまうと危ない】 |
スナイダー | そうか。なら、起きていろ。 |
主人公 | 【眠気覚ましに会話をしよう】 |
スナイダー | 次から次へと、騒がしいやつだ。 |
主人公 | 【スナイダーも何か喋って】 |
スナイダー | ……なら、言わせてもらう。 |
スナイダー | 俺が士官学校に来たときより、貴銃士が増えている。 これ以上増やすな。 |
主人公 | 【えっ……?】 【そういうわけには……】 |
スナイダー | 俺は絶対非道も絶対高貴も使える。他は必要ない。 |
スナイダー | 俺だけを選べと言っただろう。 |
〇〇はしばしの間思考する。
そして、もちろんスナイダーのことは大事だが、
他のみんなも同じくらい大事であることを伝えた。
スナイダー | “Between two stools one falls to the ground”. |
---|---|
スナイダー | 2つのものを追っては、どちらも成功しないというだろう。 |
スナイダー | 他のやつらにかまけているならば、俺がおまえの元を去る。 ……それでもいいんだな? |
主人公 | 【それは、寂しい】 【去っていかないでほしい】 |
スナイダー | ならば、腹を決めろ。 |
〇〇はスナイダーが本気で言っている
ことを感じ取った。しかし、彼の要求を承諾するわけには
いかない。そこで〇〇は提案をすることにした。
主人公 | 【定期的にスナイダーと過ごす時間を作る】 【スナイダーと過ごす時間を増やす】 |
---|---|
スナイダー | ほう……おまえにしてはいい案だ。 |
スナイダー | 俺がおまえを縛る代わりに、 おまえが俺を縛るというわけか。 |
主人公 | 【縛るわけではないけれど】 【そういうつもりじゃないんだけど】 |
スナイダー | フッ。 楽しみにしているぞ。俺のマスター。 |
Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.
まだコメントがありません。