追悼式典に向かう途中で貴銃士たちが迷い込んだのは、1960年代のベルリン。
そこには、厳しい状況の中でより良い結末を得ようともがいた男がいた。
ライク・ツーは永遠に目を閉じた彼に問う。悔いはないか、と。
やるべきことはわかってるのに後悔が足を掴んで動けなかった。
でも、立ち止まるのはあと少し。
優しい温もりに縋って、気持ちを洗い流すことができたから。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
後悔がないなんて、言い切れない。
だけど……強くなりたい。
お前と、2人で。
※本ストーリーは、【メインストーリー3章】の内容を
前提としています。ご注意ください。
パリでの戦没者追悼式の後、
フィルクレヴァートに戻る列車にて──。
十手 | あれ、ライク・ツー君は? かなり前に、飲み物を取りに行ったはずだけど……。 |
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主人公 | 【探してくる】 【みんなはくつろいでて】 |
〇〇が探しに行くと、
ライク・ツーは誰もいない車両でぼんやりと佇んでいた。
主人公 | 【ライク・ツー?】 |
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ライク・ツー | ……〇〇。 ……あー、そういえば、飲み物取りに来たんだったか……。 |
ライク・ツー | ……悪い。 すぐ戻るつもりだったのにぼーっとしてた。 |
主人公 | 【どうかした?】 【顔色が悪い】 |
ライク・ツー | いや、なんでもない。 |
主人公 | 【ダウト】 【そうは見えないけど】 |
ライク・ツー | ……はぁ。 確かになんでもないってのは嘘だけど。 こっちの話だから、お前は気にすんな。 |
主人公 | 【気にするよ】 →ライク・ツー「はぁぁ……。 ま、お前はそういう奴だよな……。」 【騙して悪かったって言ってたのに……!】 →ライク・ツー「おまっ……! いや、たしかに言ったけど! くそ、バッチリ覚えてて持ち出してきやがって。」 |
ライク・ツー | …………。 |
ライク・ツー | ……さっきも言ったけど、これは俺の問題だ。 俺がこれまでしてきたことのせいだから、 他の誰の責任でもねぇ。そこは履き違えんなよ。 |
主人公 | 【わかった】 |
ライク・ツー | ……居心地が悪いっつーか、身の置き場がねぇんだ。 |
ライク・ツー | セント・ディース島の一件以降、 あいつらと一緒にいるのが……。 |
ライク・ツー | ……あ。別に、除け者にされたり陰口叩かれたりとか。 そんなくだらねぇことされてるわけじゃねーからな。 |
ライク・ツー | あいつらは、俺を始末しないっていうお前の判断を受け入れた。 俺がお前の貴銃士として、これから嘘を本当にしていくことを それなりに認めてくれてもいる……んだと思う。 |
ライク・ツー | それどころか、俺のことまで心配してるぽい奴もいる。 ……マスターに似たんだか、お人好しが過ぎるだろ……。 |
ライク・ツー | ……俺はあの日、消えて、壊れて、終わりにするつもりだった。 それで、限りなく精算に近づけられると思ってたんだ。 |
ライク・ツー | でも……俺はまだ、〇〇の貴銃士としてここにいる。 自分の行動で、これから精算していけることになった。 |
ライク・ツー | けど、そんな未来はありえねぇと思ってたから…… みっともなく戸惑ってるところがある。 |
ライク・ツー | 目指す方向はわかってるのに、 見たこともねぇ、想像したこともねぇ道に入ったから、 どうすればいいのかわかんねぇ、みたいな……。 |
ライク・ツー | ……追悼式の最中も、ずっと考えてた。 元世界帝軍の俺がこんなとこにいていいのか?って。 |
ライク・ツー | あの式で偲ばれてんのは世界帝軍に殺された奴らだ。 その中にはきっと──いや、絶対に、 俺自身が世界帝軍特別幹部として殺した奴らもいる。 |
ライク・ツー | なのに俺が、追悼式にいるなんて…… 場違いも甚だしいだろ。 |
ライク・ツー | ……でも……それでも。 俺は、追悼式に出られてよかったと思うんだ。 |
ライク・ツー | 自分がやりたいこと、やらなきゃいけないことが、 はっきりしてきた気がする。 |
ライク・ツー | それでも……消えない後悔があって…… そいつに足を引きずられて、すぐ後ろを振り返りたくなる。 |
主人公 | 【……ラブ・ワンのこと?】 |
ライク・ツー | …………。 俺、ずっと、あいつのことを捜してたんだ。 |
ライク・ツー | イギリスでアッカーソンと取引して資料をもらったりさ。 お前らと任務に行った先で、 単独行動ができる隙を見つけては情報を集めてた。 |
ライク・ツー | ラブ・ワンがどこにあるのか、誰の手に渡っているのか、 少しでもヒントがほしかった。 |
ライク・ツー | でも、どれだけ調べても行方不明になった後の情報はなかった。 所在地どころか、現存してるのか破壊されてるのかも謎だ。 |
ライク・ツー | トルレ・シャフが入手してる可能性も考えてはいたけど、 ある日いきなりあんな風に、目の前に現れると思ってなかった。 |
ライク・ツー | それで、混乱して、何もできなくて、 振り回されるだけ振り回されて、最後はあのザマだ。 |
ライク・ツー | 本体だけがトルレ・シャフに握られている可能性にも、 あいつの……お兄ちゃんの狙いにも気づけなかった。 俺は、とことん甘い間抜けだったってわけだ。 |
深くため息をついたライク・ツーは、
そっと自分の左目に触れた。
ライク・ツー | ……俺の左目、青いだろ? |
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ライク・ツー | 昔は、どっちも右目と同じ、薄紫っぽい色だったけど、 お前に呼び覚まされた時には、こうなってたんだ。 |
ライク・ツー | 最初はあんまり気にしてなかった。 俺は、もし次があるなら、間違えない。 違う自分になるんだって考えてたし。 |
ライク・ツー | 見た目にもそれが現れたんだろ、くらいに思ってた。 昔の『僕』と今の俺じゃあ、違うところだらけだしな。 目だけを特別意識することはなかった。 |
ライク・ツー | 色が青ってのも、俺の元になったUL85A1…… ラブ・ワンの目と同じだからさ。 変わるなら青が妥当なとこだよなって感じで。 |
ライク・ツー | なのに、変なんだ。 セント・ディース島から帰ってから…… 鏡でこの目を見るたびにお兄ちゃんの顔がちらつく。 |
ライク・ツー | 今では……俺の目じゃなくて、 ラブ・ワンの目みたいに感じるんだ。 |
ライク・ツー | 鏡の中から、お兄ちゃんが見つめ返してくるみたいに思えて……。 その度に、後悔が噴き上がってくる……! |
ライク・ツー | ……もっと、素直になれてたらよかった。 |
ライク・ツー | 俺は、あいつが……マークスが羨ましい。 あいつみたいに、馬鹿みたいにまっすぐに感情ぶつけて……! |
ライク・ツー | 情けねえ姿晒しても、伝えればよかった。 ずっと会いたかったんだって……。 |
ライク・ツー | 一緒にいたいって、言えばよかった。 そうしたら……もっと違う結果だったかもしれねぇのに……! |
主人公 | 【自分を責めないで】 |
ライク・ツー | でも……! |
主人公 | 【『お兄ちゃん』が一枚上手だっただけ】 【ラブ・ワンがすごすぎたんだ】 |
ライク・ツー | え……? |
彼の望みは『弟の本当の気持ち』を知ることだけだった。
たった1つ、そのためだけに行動していた。
周囲を翻弄し、自分の意志を通して、
見事にライク・ツーの本心を引き出したあと、
ラブ・ワンは嵐のように去って行った。
だから、ライク・ツーが何もできなかったのではなく、
させてもらえなかった──それほどにラブ・ワンが策士で、
優しいお兄ちゃんで強敵だったと、〇〇は話す。
ライク・ツー | …………。 ……ッ! |
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ライク・ツー | ……悪い、〇〇……今だけ……。 |
ライク・ツーは〇〇の肩に頭を乗せる。
〇〇はライク・ツーへとそっと手を伸ばした。
ライク・ツー | 自分の選択を後悔してるわけじゃない。 でも……まったく後悔がないなんて、 とてもじゃないけど言い切れない。 |
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主人公 | 【あの人みたいに強くなろう、2人で】 【一緒に歩いて行こう、ライク・ツー】 |
ライク・ツー | ……ああ。 |
──だけど。
今だけは、彼と自分に、
ほんの少し立ち止まる時間をください。
もう1度、前を向いて共に歩き出すために……。
この悲しみに、過去の弱かった自分たちに、
葬送歌を贈る時間を──……
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