いつも多忙なタバティエールを心配したシャルルヴィルがプレゼントしたのは、バリ島での優雅なバカンス♪
充実しているはずなのにどこか物足りず……あの日常がかけがえのないものだと気づくのだった。
2人の世話は大変だろ、って?
そりゃあまあ大変な時もあるぜ。
けど、俺にはあの賑やかさが欠かせないのさ。
あいつらのそばが、俺の居場所だから。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
シャスポー | おい、いい加減にするんだ。 フランスの恥になる言動は慎め、グラース! |
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グラース | またそれか。はっきり言ったらどうだ? モテモテの僕のことが羨ましいって。 |
シャスポー | 羨ましいわけないだろう!? 話を逸らすな! |
タバティエール | 待った待った! 少し落ち着けって、カリカリするなよ。 |
シャスポー | タバティエール。 君、同じフランス銃として腹が立たないのか? こいつの行いに! |
タバティエール | え? いや、それは……。 |
グラース | なんだよ、口ごもって。 お前、もしかして僕がフランスの貴銃士として ふさわしくないとか思ってねぇよな? |
タバティエール | そ、そんなこと思ってないさ! |
シャルルヴィル | さっきのケンカ、なんとか落ち着いたの? |
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タバティエール | ああ、まあ……一応な。 いつも騒がしくってごめんな、シャルルくん。 |
シャルルヴィル | ううん、全然。 タバティさん、いつもあの2人の間に入って大変だね。 |
タバティエール | 大変ってことはないが……ふぅ。 |
シャルルヴィル | (あれ……) |
その日の放課後──
シャルルヴィル | タバティさん、ちょっといいかな? |
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タバティエール | なんだい、小腹でも空いたのか。 |
シャルルヴィル | ううん、そうじゃなくて。 これ、ちょっと見てみてよ。 |
タバティエール | 観光パンフレット……? おお、バリ島か! 定番のリゾート地だな。 |
シャルルヴィル | ここにリリエンフェルト家の別荘があるんだ。 今年は使う予定がないから、バカンスに使ってもいいって。 |
タバティエール | さすが、スケールが違うねぇ。 さっ、海がキレイだな~。 |
シャルルヴィル | そうでしょそうでしょ! スミニャックビーチは浅瀬が続いていてね、 まるで鏡面みたいな水面の上を歩けるんだよ! |
タバティエール | へぇ……ウユニ湖みたいなもんか。 なかなか絵になるな。 |
シャルルヴィル | この絶景を眺めながらゆっくりできるレストランや バーもあるんだよ! |
タバティエール | へぇ、そいつはいいな。 |
シャルルヴィル | もちろんインドネシア現地のグルメもあるし、 有名なメキシコ料理屋さんもあったり……。 あとは、バザールで現地の食材を見ることもできるよ。 |
シャルルヴィル | この詰め物をした豚の丸焼きとか、すごいよね。 スパイスたっぷりのシーフードもあるし……。 |
タバティエール | バリ島っていうと、ナシゴレンやらサティやらが有名だよな。 スパイスの調合もこっちとは違いそうだ。 |
シャルルヴィル | うんうん! そしたらさ、もう決まり! 行っちゃおう! |
タバティエール | え? それはつまり……シャルルくんの旅行に、 俺を誘ってくれてるってことかい? |
シャルルヴィル | ううん、ボクは行かないよ。 |
タバティエール | んん?? |
シャルルヴィル | そうじゃなくてさ、バリ島に一人旅してみない? リリエンフェルト家の別荘を貸し切ってさ。 |
タバティエール | えっ、一人旅!? |
タバティエール | いやいや、俺だけって……そんなの悪いよ。 シャスポーとグラースを置いていけないしなぁ……。 |
シャルルヴィル | ……ねぇ、タバティさん。 |
シャルルヴィル | これは真面目な質問なんだけどさ。 最後にゆっくり休んだのっていつだか覚えてる……? |
タバティエール | ……え? そりゃ……ええっと……。 |
タバティエール | …………。 ……お、覚えてない、な……。 |
シャルルヴィル | ほら! |
タバティエール | いや、休暇自体はとってるんだが……。 休日もなんやかんや動いてて……。 |
シャルルヴィル | ボク、さっき思ったんだよ。 いつ見てもあの2人の仲裁とかお世話とかで忙しくて、 疲れてるんじゃないかって! |
タバティエール | う……そうかな。 シャルルくんから見てそう思えるかい……? |
シャルルヴィル | 少なくとも、元気ハツラツって感じではないよ。 ものすごく疲れてる感じではないけど、 少しずつの疲労がじんわり積み重なっているっていうか。 |
タバティエール | そう言われてみればそうかも……いや、でも。 |
シャルルヴィル | たまにはさ、羽を伸ばしてゆっくりしようよ。 疲れたままでリフレッシュもできないでいると、 老けて見えちゃうよ! |
タバティエール | 老けて……!? |
シャルルヴィル | シャスポーもグラースも、立派な貴銃士なんだし、 ちょっとくらい放っておいても大丈夫だって。 |
シャルルヴィル | 2人にナイショで、バカンス行っちゃって! |
タバティエール | うーん……そうだな、そこまで言うなら……。 |
シャルルヴィル | じゃあ、計画を立てないとね! |
それから数日後──
シャルルヴィル | ねぇ、タバティさん。ちょっと。 |
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タバティエール | お、例の件かい? |
シャルルヴィル | そう。ルートとかいろいろ調べてみたんだ。 あとで伝えるね。 |
タバティエール | 了解。助かるぜ。 |
グラース | …………。 |
グラース | おい、なんか変じゃねぇか? あいつら最近、ずっとコソコソと話してるぞ。 |
シャスポー | たしかに……何か僕たちに隠しごとか……? |
そうしてタバティエールは無事に旅立ち、
一人、バリ島に降り立ったのだった──!
タバティエール | はー……!! |
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タバティエール | 青い空、海……すごいな! 空気からまるで違って、旅行に来た!って感じがするぜ。 |
タバティエール | みんな明るくていい顔してて……これぞリゾートだな。 ……うんうん! |
タバティエール | よーし……俺も、思う存分羽を伸ばすぞ! |
ツアーコーディネーター | ようこそ! タバティエール様ですか? |
ツアーコーディネーター | シャルルヴィル様から伺っております。 滞在中はなんなりとご用件をお申し付けください! |
タバティエール | へぇ、至れり尽くせりだな! よろしく頼むぜ。 さっそくだが、市場に行ってみたくて……! |
市場の散策や、ビーチから見る美しい夕暮れなど、
タバティエールはバリ島でのバカンス初日を満喫した。
──2日目の朝。
タバティエール | ……ふぁ。 さて、そろそろモーニングの時間だな。 シャスポーたちに声かけるか……って、いないのか。 |
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タバティエール | 一人旅だもんな、はは。 癖ってのは恐ろしいもんだねぇ。 |
ツアーコーディネーター | おはようございます! 今日はバリ島のおすすめスポットをご案内しますよ。 歴史ある寺院や遺跡から、最新のリゾート地まで盛りだくさん! |
──3日目の夜。
タバティエールは夕食のメキシコ料理に舌鼓を打っていた。
タバティエール | ……うん、うまい。 |
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タバティエール | (ん、これ、グラースが好きそうな味だな。 シャスポーはもう少しスパイス少なめで……って!) |
タバティエール | ……結局あいつらのこと考えちまうな。 今頃、何してんだか。 |
タバティエール | (に、しても……) |
タバティエール | (一人の食事……もう何回目だろう……) |
タバティエール | (食事は美味しいが、語り合う相手がいないと なんとなく味気なく感じちまう……) |
タバティエール | …………ふぅ。 |
シャスポー | おい、タバティエール! |
グラース | もっと美味そうに食えよな。 |
タバティエール | 嘘だろ、おい。 幻聴まで聞こえてきた……。 |
グラース | バカンスボケか? 幻聴なわけねーだろ。 |
タバティエール | ……は? 本物ッ!? お前らどうしてここに!? |
シャルルヴィル | タバティさん、ごめん! バレちゃった……! |
シャルルヴィル | 2人が自分たちもバリに行くって言ってきかなくて……! ボク、止めたんだけど押し切られちゃった……! |
グラース | タバティエール、1人でバカンスなんてずるいぞ! 僕たちを置いて行きやがって! |
タバティエール | わざわざ追いかけてきたのか……? |
シャスポー | 自惚れるな。 僕はただバリでのバカンスもいいなと思っただけだ。 別に合流するつもりはなかった。 |
シャスポー | でも、グラースを野放しにするわけにはいかなくてだな……。 |
シャルルヴィル | ふふ。シャスポーも、タバティさんが1人で バカンスに行ったって知って、すごく寂しかったみたいで……。 |
シャスポー | シャルルヴィル先輩! |
シャスポー | 余計なことを言わないでください! ぼ、僕は別にそういうわけじゃ……! |
シャルルヴィル | えーっと、まあ、そういうわけで…… タバティさん、ごめんね? 一人旅の予定だったのに……。 |
タバティエール | 驚きはしたが……。 |
タバティエール | 来ちまったもんはしょうがないよな。 ははは……! |
ツアーコーディネーター | ……おや? フフ……。 |
ツアーコーディネーター | (ここに来てから一番のいい笑顔をされていらっしゃる) |
その後、〇〇も合流して、
タバティエールの運転する車でバリ島観光をすることになった。
タバティエール | よし、全員乗ったな。 じゃあ出発するぜ、シートベルト締めろよ。 |
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シャルルヴィル | タバティさん、外国でも運転できるの? |
タバティエール | ああ、国際免許を持ってるぜ。 |
主人公 | 【さすが!】 【お願いします!】 |
タバティエール | へい、お任せあれ。 |
グラース | それで、どこに行くんだ? 刺激的なところがいいんだけど。 |
タバティエール | スパトゥの沐浴場だ。 |
シャルルヴィル | モクヨク? |
タバティエール | いわゆる滝行みたいなやつだな。 十手いわく、日本でも同じようなのがあるみたいだが、 バリ島では観光客向けのアクティビティになってるらしい。 |
シャスポー | 滝行!? そんな湿気の多そうな場所に連れて行くっていうのか。 ただでさえ、空気が湿っているのに……。 |
タバティエール | 心がスッキリして憂鬱が晴れるらしいぞ。 物は試しだし、みんなでやってみよう。 |
シャスポー | まあ……グラースにはぴったりか。 おい、煩悩まみれの心がスッキリ浄化されるまで 帰ってくるなよ。 |
グラース | なんだとぉ!? |
主人公 | 【賑やかだね】 【楽しいね】 |
タバティエール | ……ああ。 |
タバティエール | 一人旅もいいが、 こうやって賑やかな方がやっぱり落ち着くなぁ。 |
シャルルヴィル | そっかそっか。 じゃあどっちも味わえる旅行になって、よかったよ♪ |
シャスポー | まあ、お前は僕がいないと、 ぼーっと煙草吸うくらいしかしないしな。 |
グラース | むしろ、追いかけてきたことを感謝してもいいんだぜ? |
タバティエール | はは、そうだな。 ありがとうよ。 |
シャスポー | ……ふん。 |
シャスポー | ああ、そうだ、〇〇。 ずっと地図を見てると疲れるでしょ? 帰りは僕が助手席で道案内をするよ。いいかな。 |
主人公 | 【いいよ】 【ありがとう!】 |
シャスポー | Merci♪ |
沐浴を満喫したあと、助手席のシャスポーのナビに従って、
一行は帰路をたどる。
タバティエール | ……あれ? なあ、シャスポー。本当にこっちで合ってるか? 別荘に行くなら別の道なんじゃ……。 |
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シャスポー | 合ってるよ。 いいから、僕の言うとおりに運転してればいいんだ。 |
タバティエール | …………? |
グラース | 寄りたいところがあるんだよ。 そんな顔するな。 |
タバティエール | 寄りたいところ……? |
シャルルヴィル | ふふふ。 |
到着したのは、高級リゾート&スパだった。
従業員 | お待ちしておりました。 ご予約されているタバティエール様ですね。 |
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タバティエール | え……? いや、俺は予約なんて……。 |
従業員 | ですが、タバティエール様のお名前で ご予約を承っておりますよ。 |
シャスポー | そうです! |
グラース | ああ、予約に間違いはないよ。 |
タバティエール | ええ? |
シャスポー | その……だな。 考えてみれば、お前にはいつも世話をかけているから……。 |
グラース | たまには、僕たちからご褒美をあげなくちゃって思ってさ。 |
シャルルヴィル | 実はね、タバティさんが1番喜ぶサプライズは何かって、 2人でずっと話し合ってたんだよ。 |
シャスポー | ちょっ、先輩……! |
グラース | だから、余計なことバラすなって!! |
タバティエール | …………! |
グラース | なんだよ、その反応。 嬉しくなかったか? |
タバティエール | いや……なんて言っていいのかわからなくて……。 |
タバティエール | ありがとな……! |
シャスポー | ほら、いいから行けって! スパにエステに、マッサージ……いろいろと頼んであるからな。 |
タバティエール | ああ! たっぷり満喫させてもらうよ。 |
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