予言の神子が導く桜國に立ち込める暗雲。
誓いを交わし力を封じた2挺の貴銃士は、異邦人に光明を見出し共闘に踏み切る。
望みを口にし、手を伸ばせ。その先でいつかまた道がつながるだろう。
在坂は、人を苦しめるのは本意ではない。
だから……時間はかかったが、共に歩めるマスターと出会い、居場所が見つかってよかったと……そう思っている。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
貴銃士特別クラスの射撃訓練中──。
在坂 | …………。 |
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邑田 | おお、見事なり! さすがは在坂じゃ! |
在坂 | よし、次だ。 |
邑田 | 先程よりも中央寄りじゃな! まこと、在坂は頼もしい子である。 才気煥発! 百発百中! 天下無双! |
ジーグブルート | ……おい、うるせぇよ! |
ジーグブルート | この程度の距離で命中すんのは当然だろうが。 いちいち騒ぐな。集中できねぇ! |
在坂 | ……デカは声もデカい。 邑田よりもよっぽどうるさい。 |
邑田 | 在坂の言うとおりじゃ。 そも、戦場が静かだとも限らぬ。 集中できないのはそのたの怠慢であろうが! |
邑田 | ふふん。どうせ負け惜しみであろう。 若造は黙っておれ。 |
ジーグブルート | はァ? 俺が負け惜しみだと? この成功作様が、チビ相手に? ありえねぇ。 |
邑田 | なんじゃと? 在坂の素晴らしさを知らんのか。 これだから図体だけの若造は。 |
邑田 | 在坂はその名を海外でもよく知られておるという、 日ノ本を代表する名銃であるぞ! |
邑田 | 簡素かつ合理的な機関部、安全性が高く、 使い手の火傷を防ぐ撃茎駐胛(げきけいちゅうこう)の採用、 砂塵舞う中でも誤作動を起こさぬ工夫! |
邑田 | それに、弾丸の初速も早く、 弾丸の形状上、貫通力にも優れておる。 ほっほっほ。惚れ惚れするであろう! |
ジーグブルート | ハッ、当時の銃としちゃあ出来がよくても、俺の敵じゃねぇな。 砂塵が平気? それがどうした。 俺の銃──DG36は、土に埋めたって撃てるぜ。見てろ。 |
ジーグブルートが演習場の地面に穴を掘って自分の銃を埋め、
念入りに土を踏み固めたあと、掘り出した。
軽く払っただけで、まだ土のついている銃を構える。
ジーグブルート | ほらよ、ど真ん中だ! |
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ジーグブルート | これだけじゃねぇ。水没したって平気だ。 |
ジーグブルートが自分の銃を、
近くにある浅い池にざぶんと沈めた。
ジーグブルート | どうだ、チビ! その銃でも同じことができんのか? |
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在坂 | できないことはない……はずだ……。 |
在坂は、自分の銃と池を交互に見つめる。
ジーグブルート | ハハッ! ま、無理すんなよ? 俺みたいな成功作様じゃねぇと、故障の元だぜ。 |
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邑田 | 小癪な……! |
ジーグブルート | ハハハハハッ!! |
在坂 | …………。 そんなに水が好きなら、沈めてやろう。 |
ジーグブルート | うわっ!! |
在坂がジーグブルートを蹴る。
油断していたジーグブルートは、池の中へと尻もちをついた。
ジーグブルート | て、てめぇ……何しやがる!! |
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在坂 | ふん。デカは水と土が好きなのだろう。 在坂が埋めてやる。 |
ジーグブルート | こんの、クソチビが……! |
水を撒き散らしながら、ジーグブルートは在坂を追うが、
軽い身のこなしで逃げられてしまう。
邑田 | よいぞ、在坂! 無礼者を翻弄するのじゃ! |
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ジーグブルート | クッソがぁ~~!! |
恭遠 | ……君たち、射撃訓練は……。 はぁ、気が済むまでやらせるしかないか……。 |
貴銃士特別クラスと〇〇での野営訓練中──。
シャスポー | う……。 |
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主人公 | 【大丈夫?】 【頭が痛い?】 |
シャスポー | あ……心配かけてごめんね、〇〇。 少し頭痛はあるけど、大丈夫だよ。 |
エンフィールド | 無理はよくありませんよ、シャスポーさん。 頭痛がするなら、もうすぐ雨が降るのかもしれません。 湿度が増してきた感じがしますし、雲行きも怪しいですし。 |
グラース | ふっ……下手な天気予報より便利だなぁ、お兄様? |
シャスポー | グラース……! ……あっ。 |
シャスポーの頬に、雨の滴が落ちてくる。
サァ……と雨が降り始め、一行は急いで野営地に戻った。
邑田 | やれやれ、すっかり濡れてしもうた。 在坂や、おいで。髪を拭いてやろうな。 |
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在坂 | 在坂は自分で拭ける。 邑田も自分を拭くといい。 |
グラース | へぇ? お前ら、案外身だしなみに気をつけてるんだな。 でも、髪より先に銃を拭いたほうがいいんじゃないか? |
在坂 | ……? 在坂は、そんなに急いで拭く必要はないと思う。 小雨で、銃は雨合羽の中に入れたから大して濡れていない。 |
シャスポー | だからって悠長にしていると錆びるだろう。 |
邑田 | おお、そういうことか。 しかし、我らは黒染め処理をされておるからの。 この程度であれば慌てて手入れせずとも問題ない。 |
タバティエール | 黒染めか。 酸化処理をして錆やらに強くするんだったかねぇ。 それなら確かに、俺たちの銃よりずっと変質に強いな。 |
在坂 | ……銀のピカピカした銃は錆びやすいのか。 |
シャスポー | 俗っぽい言い方はよしてくれないか? これは白磨き。 フランスの美的センスが詰まった優美な仕上げだよ。 |
シャスポー | まあ、確かに、その…… 錆に強いとは言えないけれど。 |
在坂 | ……錆にくさよりもピカピカを重視するのか。 在坂には……よくわからない。 |
シャスポー | なっ……! |
八九 | ま、フランスじゃあ白磨きでも問題にはならねぇんだろ。 日本に比べると湿度が低いしな。 |
八九 | そういや、フランスの革製品は日本に来ると結構カビるんだっけ。 自衛軍で、奮発して買った舶来の財布がカビたって メソメソしてたやつがいたわ……。 |
シャスポー | 革財布にカビが生える湿気……考えただけでゾッとするよ。 |
邑田 | かつての日ノ本でシャスポー銃ではなく、 鳥羽ミニエー銃やスナイドル銃が一斉を風靡したのも、 仏蘭西銃が日ノ本の気候に合わなかったからやもしれぬな。 |
シャルルヴィル | フランス国内とか、フランスに似た気候のとこで使われるなら、 白磨きでも特に問題はないんだけどね~。 |
シャルルヴィル | 輸出されたりするってなると、 やっぱり不便な部分もあるかも。 |
八九 | 銃ってのは、主に使う場所か人間用に 使い勝手よく作られてるからな……。 適材適所ってとこだろ。 |
八九 | それに、銃としちゃあ湿気は別に平気でも、 貴銃士的にはやっぱジメジメしてんの不快だしよ。 |
在坂 | ああ……。在坂も、夏の寝苦しい夜は好まない。 |
邑田 | そうじゃのう。あれはいただけん。 布団がぺたぺたとまとわりついてくるのが不愉快である。 |
シャスポー | う……考えただけで頭痛が酷くなりそうだ……。 |
一行は、濡れた髪や服、銃を拭きつつ雨上がりを待つが、
雨は勢いを増し、止む気配はない。
グラース | チッ……雨のせいで髪が……。 |
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普段より少しばかりもさっとした髪を、
グラースが忌々しそうにつまむ。
邑田 | 湿気ごときで軟弱じゃのう。 見よ、わしの質実剛健な『触覚』とやらを! |
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邑田 | 雨にも負けず、いつでも弛まず、ぴょこんと上向きじゃ。 ほれ、在坂や。触ってもよいぞ。 〇〇もじゃ。 |
主人公 | 【それじゃあちょっと】 →邑田「うむ、遠慮はいらぬ。 わしの髪のように、気分も上向きになるじゃろう。」 【遠慮しとく】 →邑田「なんと……遠慮はいらぬというに。」 |
在坂 | ……在坂はいい。 別に邑田の髪の毛を触っても元気は出ないと思う。 |
邑田 | なぬっ……! |
グラース | お、アホ毛がしょげた。 |
シャルルヴィル | すごい、一気にシナシナに……。 どういう仕組み? |
タバティエール | 湿気より在坂くんの方が影響がでかいんだな……。 |
邑田 | よよよ……。 |
フィルクレヴァート士官学校の全校集会の日──。
司会 | 理事長からの訓話は以上。 最後に、事務連絡を行う。 えー…… |
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キィイィーーーーン!!
生徒1 | うわっ、ハウリングきっつ……! |
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生徒2 | しーっ、姿勢崩したら注意されるって。 |
ラッセル | おっと、拡声器の調子が悪いな。 少し待ってくれ、調整を──。 |
その時──壇上に1つの影が素早く駆け上がる。
そして、スピーカーを蹴飛ばした。
その正体は、在坂だ。
ラッセル | なっ!? |
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在坂 | 大きい音は……駄目だ。 |
ラッセル | そ、それはそうだが……。 |
ラッセルを始めとする教官たちも、生徒も、
突然の在坂の狼藉に戸惑いの視線を向ける。
壇上から降りようとする在坂を、ラッセルが止めた。
ラッセル | ま、待ってくれ。 ハウリング音がうるさかったとはいえ、 いきなりなぜあんなことを……? |
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在坂 | それは……。 大きい音は、人間の耳に悪いからだ。 |
在坂 | ……在坂を作った人間は、優秀な開発者だった。 だが、死ぬ間際にはほとんど耳が聞こえなかった。 ……銃声を聞き続けていたからだ。 |
在坂 | だから、大きい音は駄目だ。 |
生徒1 | アリサカ・ライフルの開発者……確か、 南武麒次郎(なんぶきじろう)って名前だったよな。 俺、本で読んだことあるよ。 |
生徒2 | 銃火器の開発者にはそういう人が結構いるらしいね。 日常的に銃声に晒されていて聴力が衰えて……っていう。 |
ラッセル | なるほど……生徒たちの健康を心配してくれたんだな。 次は蹴る前に教えてくれ。 |
在坂 | だが、あの音の中では、在坂の声は聞こえなかったはずだ。 音を一刻も早く止めることが重要だと、在坂は考えた。 |
ラッセル | そ、そうか……。 |
在坂 | ……この機械は急に、さっきのような音がするものなのか。 |
在坂 | そうだとしたら、この機械を使うのはよくない。 今後は地声で話すことを在坂は提案する。 |
在坂 | 人間の聴力は回復が難しいはずだ。 度々こういうことがあるのはよくないだろう。 |
在坂 | …………。 |
在坂 | …………。 在坂が伝えたかったのは、それだけ……だ。 |
在坂がさっと壇上を降りたあとも、
全校生徒たちはしーんと静まり返っている。
その中では、ジョージの声がよく響いた。
ジョージ | Wow……! いつも静かな在坂があそこまで言うなんて! よっぽど大事なことなんだな☆ |
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生徒1 | 俺たちの耳のために、 あんな思いきった行動をしてくれるなんて……。 |
生徒2 | 在坂さんって、優しい貴銃士なんだね……! |
邑田 | 在坂……! |
邑田 | んんっ、ゴホン! |
邑田 | 皆の者、聞けぇ! |
邑田 | 在坂の金言である! |
邑田 | 耳を大事に!! |
邑田 | 以上を肝に銘じよ!! |
全校生徒 | イエッサー! |
主人公 | 【イエッサー!】 |
……その後しばらく、生徒たちの間で
『耳を大事に!』の合言葉が交わされるようになったのだった。
とある休日、ケンタッキーの発案でバーベキューが開催された。
ケンタッキー | っしゃー! 快晴! マスター、俺が張り切って焼いていくんでぇ、 いっぱい食べてくださいっす! |
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ケンタッキー | グリルだけってのが残念っすけど……。 ちゃんとしたバーベキューはまたアメリカでやりましょ!! |
カール | む? これはバーベキューではないのかねー? |
ケンタッキー | アメリカンスタイルで言うと物足りねぇ! 塊肉を、ドーム型のコンロでじっくり何時間もかけて焼かねぇと! |
ケンタッキー | けど、士官学校だとあんま長い時間火使う許可が出なくてよ。 その代わり、肉はいいのを用意したぜ。 |
ケンタッキー | ってなわけで、金串に好きなモン刺して焼いてほしいッス! 焼き加減は俺が完璧にしますよ、マスター! |
主人公 | 【ありがとう】 【楽しみ!】 |
ケンタッキーたちが大きな串焼きを作る一方、
在坂は持参した竹串に、小さめに切った肉を刺す。
ケンタッキー | なんだぁ? そんなチマチマしたもん作って。 |
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在坂 | 大きい肉もいいが……在坂は腹が減っている。 だから、これで小さい串焼きを作る。 そうすれば早く火が通るだろう。 |
ケンタッキー | はー、なるほどな。 けど、でかい方が美味いと思うぜ? あとでそっちも食えよ! |
在坂 | ああ。 |
在坂 | ……む。 |
赤身の塊肉を刺そうとしていた時、
竹串が通らずにパキリと折れてしまう。
十手 | うーん……焼き鳥ならいいけれど、 赤身のしっかりした牛肉は竹串には少し硬いのかな。 |
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邑田 | 肉は小さいもので、串は金物の方を使ってみてはどうじゃ? |
在坂 | そうだな……そうしよう。 |
主人公 | 【はい、串】 【これを使って】 |
在坂 | ああ。礼を言う。 |
在坂は真剣な顔で具材を選び、次々と串に刺し始めた。
在坂 | おお……これはいい。よく刺さる。 |
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在坂 | やはり、貫通力は大事だと在坂は思う。 スッと刺されば、肉を無駄に傷めることもない。 銃創と同じだ。 |
十手 | じゅ、銃創……? |
在坂 | ああ。貫通力が優れていれば、串も弾もスッと肉を抜ける。 ほら……こんな風に。 |
在坂はまた1つ肉を刺しながら満足げに頷く。
邑田 | うむ、まるで在坂の尖頭弾のような突き抜け具合じゃ! |
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ケンタッキー | セントーダン? |
在坂 | 先端が尖っている銃弾だ。 当たっても勢いが削がれにくく、骨もよく砕く。 |
在坂 | だが、筋肉だけの部分に当たると、 あまり周囲を損傷することなく貫通する。 |
在坂 | だから、不殺銃弾とも呼ばれる……。 貫通力は、一長一短かもしれない。 |
在坂 | 在坂よりも古い銃……鳥羽ミニエーなどの方が、 よほどむごい傷を生むだろう。 |
在坂 | ああいう銃の弾は貫通力が弱く、 代わりに当たると弾が変形しながら身体に食い込み、 酷い損傷をもたらすと聞いたことがある。 |
邑田 | うむ。串にたとえるならば、刺さらぬ竹串をねじ込み、 中でぽっきり折れてしまうようなものじゃな。 |
邑田 | 串が抜けようと穴は大きく、おまけに潰れ、 中に竹の繊維が残っておるやもしれぬ。 |
邑田 | 助かろうとも、傷の治りはすこぶる悪いじゃろうな。 そう考えると、在坂は優しい銃じゃ。 ほっほっほ。 |
八九 | …………。 いや、ほっほっほじゃねぇし。 肉で変なたとえ話すんなよ……。 |
邑田 | む? わかりやすかったじゃろう? |
八九 | わかりやすすぎて無駄にイメージしちまっただろ……。 |
十手 | う、うん……。 |
在坂 | ……十手の小さい串焼きはもう食べ頃だろう。 ぼーっとしていないで食べた方がいいと在坂は思う。 |
十手 | う……在坂君が食べるかい? 俺はちょっと、休憩しようかと……。 |
在坂 | ……? 食べもしないうちに休憩するのか。 まあいい。食べないなら在坂がもらう。 |
在坂 | もぐ……うまい。 |
カール | はっはっは。繊細な者たちの手が止まっているうちに、 どんどん食べるとしようかねー。 |
在坂、邑田、ジョージ、シャルルヴィルは、
職業体験で農家のもとを訪れていた。
農家 | みなさん、ようこそいらっしゃいました! |
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農家 | いやあ、情けないことに腰をやっちまいましてね……。 収穫の時期に何をしてるんだって家内に怒られましたが、 貴銃士のみなさんが来てくれるとはなんともありがたい! |
農家 | お礼にたくさんおすそ分けしますのでね、 楽しみつつ収穫を頑張ってもらえると! |
シャルルヴィル | Oui♪ 収穫するのはスイートポテトだよね。 |
邑田 | む? すいーとぽてとと言うと、芋の菓子ではないかえ? |
シャルルヴィル | ううん、邑田さんたちがよく焼き芋にしてるような芋だよ。 じゃがいもがポテトで、さつまいもがスイートポテトなんだ。 |
邑田 | 薩摩ぽてとではないのが解せぬが……なるほどのう。 |
在坂 | よし……頑張って掘ろう。 在坂は、食べるのが楽しみだ。 |
シャルルヴィル | ボクも♪ |
シャルルヴィル | 張り切ってスコップ持ってきちゃった。 これでザクザクいっぱい掘るぞー! |
農家 | あーっ! スコップは使ったらだめなんです。 芋が傷ついて傷んでしまうので。 |
ジョージ | じゃあ、どうやって掘るんだ? ニンジンとかみたいに引っこ抜くとか? |
農家 | まずはツルを刈り取って、あとは畝を崩しつつ手で掘るんです。 引っ張っても全部ついてくるとは限らないもんで。 これが結構腰にくるんですよ……。 |
シャルルヴィル | なかなか大変そう……! |
農家 | 刈る時には、この鎌とナイフをどうぞ。 自分が使いやすいのを持っていってくださいね! |
邑田 | よし、やるかの。 |
在坂 | ああ。 |
頷きあった邑田と在坂は、スッと銃剣を構えた。
シャルルヴィル | わ、何してるの……!? 決闘とかじゃないよね!? |
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ジョージ | 芋を巡るバトルか……!? |
在坂 | 違う。これで刈るだけだ。 |
在坂は銃剣を器用に使い、芋のツルをスパスパ切っていく。
邑田 | 銃剣は使おうと思えばいろんなことに使えるものじゃ。 米搗きにもよし、畑仕事にもよし。 ほっ、ほいっと! |
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シャルルヴィル | ボク達の銃剣と違って、持ち手があるんだね。 |
邑田 | これはに本刀を模しておるのじゃろうな。 呼び名はゴボウ剣であるが。 |
ジョージ | ゴボウ? |
在坂 | ひょろ長くて、土がついているから黒っぽい…… 木の根のような野菜だ。 |
在坂 | ゴボウのように黒くて細長いから、 そう呼ばれるようになったのだろう。 |
邑田 | 見た目は刀のようでも、銃剣。 本来刺突に向いておるものじゃが、 芋のツル程度であればこの通りよ。 |
シャルルヴィル | は、速い……! ボクたちも頑張らないと! |
シャルルヴィルとジョージも負けずとツルを切っていく。
畝に張られた黒いビニールを剥がすと、
いよいよ芋掘りの開始だ。
在坂 | おお……! 立派なさつまいもだ。 |
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農家 | 綺麗に掘ってくれてありがたい! 畑は広いから大変だけど、この調子で頼みますね! |
シャルルヴィル&ジョージ | はーい! |
その後4人は、2時間ほどかけて、
任された部分の芋掘りを終えた。
シャルルヴィル | あいたた……ちょっと腰痛……。 でも、たくさん獲れて楽しかったな~! |
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農家 | いやあ、本当に助かりました! ありがとうございます! お礼は麻袋2つ分で構いませんか? |
在坂 | たくさんだ……! 在坂は、この職業体験に参加できてよかった。 |
邑田 | まことじゃな! |
ジョージ | よっしゃー! 帰ったら焼き芋しようぜ☆ |
農家 | えっ、今日帰ってからですか? それはやめた方がいい! |
シャルルヴィル | え……? どうして? |
農家 | 今すぐ食べても甘みが弱いんです。 収穫してから1ヶ月くらい貯蔵して熟成させないと! その間に、デンプンが糖に変わって甘い芋になるんですよ。 |
シャルルヴィル | そうなんだ……! |
農家 | なので、貯蔵庫でしばらく置いて、 食べ頃になったら士官学校に届けますよ! |
在坂 | そうか……。在坂は1ヶ月後が楽しみだ。 |
ジョージ | オレも! 来月こそ焼き芋パーティーだな☆ |
在坂 | ああ……! |
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