これはスナイダーがウィンズダム宮殿にいた頃の記憶……手を伸ばしても掴めない
蜃気楼のような絶対高貴を追い求める兄弟。
のちに代替として得た非道の力は2人に亀裂をもたらすが……それも今は過去の話。
力はいい。銃が、貴銃士が追い求めるべき最たるものだ。
おまえのもとに来て、俺は絶対非道だけでなく絶対高貴の力も得られた。
俺のマスターとして不足はない。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
アウトレイジャー | ウウ……。 |
---|---|
スナイダー | 来い。始末してやろう。 |
スナイダー | 絶対高貴──心銃! |
アウトレイジャー | ガァァァッ……! |
スナイダー | これで終わりか。つまらん。 |
主人公 | 【お疲れ様】 →スナイダー「疲れるどころか物足りない。」 【怪我はない?】 →スナイダー「あの程度の敵に俺が遅れを取るとでも?」 |
主人公 | 【スナイダーは戦いが好きなんだね】 【戦ってる時の顔、生き生きしているね】 |
スナイダー | 当然だ。戦うことこそが銃の本領。 敵を屠る時間は悪くないものだ。 |
スナイダー | それに……ようやく手に入れたこの力を、 存分に使えるのもいい。 |
スナイダー | 城での退屈な暮らしから離れられただけでも、 おまえのもとに来た意味があったというものだ。 |
主人公 | 【城ではどんな暮らしをしていたの?】 【そんなにつまらなかったんだ】 |
スナイダー | …………。 |
それは、スナイダーとエンフィールドがイギリスで召銃され、
1か月ほどが経過した頃のことだった。
エンフィールド | いいかい、スナイダー。 明日は大切なダンスパーティーがあるんだ。 |
---|---|
エンフィールド | 特別な衣装を仕立ててもらったそうだから、 それを着てちゃんと出席するんだよ。 |
スナイダー | パーティーだと……? そんなものに着飾って出ることが銃の務めか? |
エンフィールド | ああ。 社交の場に出ることも、僕たち貴銃士の務めの1つだよ。 |
エンフィールド | 断ると角が立つ相手もいるかもしれないし、 社交ダンスもしっかり覚えておこう。 君は体を動かすのは得意なんだから、きっとすぐ覚えられるよ。 |
スナイダー | ……断る。 |
エンフィールド | 駄目だって! ほら、僕の動きをちゃんと見て覚える! |
エンフィールド | はぁ……君、僕の足を踏むのがそんなに楽しいのかい。 |
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スナイダー | そうだな。踊るよりかはマシだ。 |
エンフィールド | まったく……。 明日はフランスからシャルルヴィルさんもいらっしゃるんだよ? |
エンフィールド | 彼は、絶対高貴に目覚めている素晴らしい貴銃士なんだ。 絶対高貴の秘訣について聞いてみよう! きっと君にとってもいい出会いになるはずだよ。 |
スナイダー | シャルルヴィル・マスケットか……。 そいつは本物の、絶対高貴を使える貴銃士なのか? ……この城にいる偽物と違って。 |
エンフィールド | ……! |
エンフィールド | スナイダー……ええと、何を言っているんだい? |
スナイダー | 白々しい。最初に気づいたのはおまえだろう? エンフィールド。 おまえの態度を見ていればわかることだ。 |
エンフィールド | ……っ。 そのこと、絶対誰にも言っちゃダメだよ。 |
スナイダー | ……話すような相手はいないし、 強者でもなんでもない傀儡などどうでもいい。 |
スナイダー | (シャルルヴィル、か……) |
スナイダー | (本当に絶対高貴を使えるのなら、一目見てやろう) |
──ダンスパーティー当日。
アッカーソン | 女王陛下(ユア・マジェスティ)。 フランスより、シャルルヴィル様がご到着されました。 |
---|---|
マーガレット | 遠路はるばるイギリスへようこそ、シャルルヴィル。 今日は楽しんでくださいね。 |
シャルルヴィル | お招きいただきありがとうございます、女王陛下。 素敵なパーティーに参加できて嬉しいですよ。 |
シャルルヴィル | ブラウン・ベス……君も会えて何よりだよ。 |
ブラウン・ベス | ……ああ。 |
アッカーソン | …………。 |
シャルルヴィル | (……そんなに見なくたって、余計なことなんか言わないのに) |
アッカーソン | シャルルヴィル様、少しよろしいですかな? |
シャルルヴィル | 何かな? |
アッカーソン | イギリスに目覚めた新たな貴銃士を紹介させてください。 彼らはエンフィールド銃とスナイダー銃の貴銃士です! |
エンフィールド | エンフィールドと申します。お目にかかれて光栄です。 どうぞ、お見知りおきを! |
シャルルヴィル | ボンソワール♪ よろしくね、エンフィールド。 もう1人がスナイダーだね。 |
スナイダー | ……ああ。おまえが例の貴銃士か。 |
シャルルヴィル | えっ……? 例の、って? |
エンフィールド | こら、スナイダー! 君もちゃんと挨拶して。 |
エンフィールド | シャルルヴィルさん、弟がすみません……! |
シャルルヴィル | ううん、気にしないで。 兄弟銃で揃って召銃されるなんてなんだか素敵だね。 |
エンフィールド | ありがとうございます。 あの……シャルルヴィルさんは絶対高貴になれるんですよね! |
エンフィールド | 僕たちにもその高貴なお力を見せていただけませんか? 可能でしたら、ぜひ! |
シャルルヴィル | ……! |
シャルルヴィル | うーん、ここではちょっと……。 見せびらかすのは高貴な振る舞いじゃないからね。 |
エンフィールド | なら、場所を変えましょう! |
アッカーソン | エンフィールド様。 |
アッカーソン | シャルルヴィル様は大切な来賓…… 個人的なお願いはまたの機会になさるのがよいでしょう。 |
エンフィールド | あ……そうですね。 シャルルヴィルさん、失礼しました。 |
シャルルヴィル | ううん……大丈夫だよ。 君たちもパーティーを楽しんでね。 |
エンフィールド | シャルルヴィルさん、素晴らしいダンスでした! お疲れではありませんか? 冷たい飲み物をどうぞ。 |
---|---|
シャルルヴィル | Merci! みんなに注目されてる中だったから、緊張して喉が渇いてたんだ。 助かるよ。 |
エンフィールド | よろしければ、あちらで少し休憩しませんか? パーティーはまだまだ続きますし……。 奥に休憩用の小部屋があるので、ご案内しますよ。 |
シャルルヴィル | ありがとう。 それじゃあ、案内をお願いしようかな。 |
エンフィールド | ええ! では、参りましょうか。 |
シャルルヴィル | ……結構歩くんだね? |
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エンフィールド | ええ、ですがもうすぐですよ。 |
スナイダー | ようやくお出ましか、フランス銃。 |
シャルルヴィル | えっ? スナイダー!? なんで君がここに──…… |
スナイダー | さっさと絶対高貴を見せてみろ。 でないと撃つ。 |
エンフィールド | ちょっと! そんな脅迫するなんて……! |
スナイダー | おまえは黙っていろ、エンフィールド。 |
シャルルヴィル | ちょっ……君、めちゃくちゃだよ! 落ち着いて! |
シャルルヴィル | こんな状況で集中なんかできないし、絶対高貴になるなんて無理! |
スナイダー | ……? レジスタンスの貴銃士たちは絶対高貴で戦ったのだろう。 戦うための力を、切羽詰まった状況で使えずしてどうする。 |
シャルルヴィル | ……そ、そんなこと言われても! だいたい、そんな無理矢理使わされるのはなんか違うでしょ? |
スナイダー | ……興醒めだな。 |
スナイダー | その様子を見るに…… やはり、おまえも絶対高貴になれないのだろう。 ……貴銃士の紛い物ではなさそうだが、それだけだ。 |
シャルルヴィル | (ボクも、って……それに、紛い物……? まさか、王室のブラウン・ベスのこと、気づいて……!?) |
シャルルヴィル | ボク……失礼するよ。 |
エンフィールド | シャルルヴィルさん……! |
エンフィールドはシャルルヴィルを追いかけたが、
追いついたところでこれ以上話は聞けないと思い直し、
消沈しつつ部屋へと戻った。
スナイダー | どうした? まだパーティーとやらは続いているだろう。 |
---|---|
スナイダー | おまえまで引っ込んでよかったのか? 優等生のエンフィールド。 |
エンフィールド | ……スナイダー……。 絶対高貴って、本当にあるのかな……。 |
スナイダー | さあな。 かつての貴銃士たちが手にしていた力に間違いはなさそうだが、 俺は見たことがない。 |
スナイダー | 1つ確かなことがあるとすれば…… 今の俺たちから遠い場所にあるということくらいか。 |
エンフィールド | ……そうだね。 すぐに掴めると思っていたのに……こんなに遠いなんて。 |
スナイダー | ああ…………遠いな。 |
──────……
──……
──そして、現在。
スナイダー | 城でのこと……か。 あれはもう過ぎ去った、どうでもいいことだ。 おまえに話す必要はない。 |
---|---|
スナイダー | 俺はおまえの貴銃士で、おまえは俺のマスター…… 今重要なことは、それだけだからな。 |
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