【白薔薇の微睡み】ミカエル

コメント(0)

解説

カード解説

貴銃士たちとマスターは、ヴァンパイア伝説を巡るホラーツアーへ!
古い館を彷徨う哀しき魂は、永い時を経てようやく朝焼けの空へと昇る。
ミカエルは様々な変化に思いを寄せつつ、『今』を曲へと託すのだった。

心銃解説:白薔薇に捧げるセレナーデ

人も貴銃士も……思考し、感情がある存在は、変化とは無縁ではいられないのだろうね。
変わった曲も愛せるかどうかは……そう。神のみぞ知るというやつさ。

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

 

Ep1. ご褒美のチケット

カトラリーとミカエル、ファルの3人は、
職業体験で街の高級レストランにやってきた。

レストランオーナー職業体験の皆さんですね!
今日はよろしくお願いします。
レストランオーナー先生から皆さんについて簡単に伺っていますよ。
ミカエルさんはピアノが得意だそうですね。
当店はピアノの生演奏が売りなので、思う存分に弾いてください。
ミカエルそれはいいね。
僕にぴったりの職業体験だ。
レストランオーナーカトラリーさんとファルさんは、
フロアのスタッフとしておもてなしをお願いします。
ファルええ、わかりました。
カトラリー了解。
カトラリー(こういう高級店には何回も行ったことあるし、
なんとかなるよね……?)
ミカエルいい音色だ。鍵盤も軽やかで指に馴染むね。
カトラリーふふっ。ミカエルのピアノを聴きながら食事も楽しめるなんて、
今日来るお客さんはラッキーだね。
ファル演奏なら我々としても特に心配することはありませんし、
気が楽でいいですね。
いつもこういう職業体験だと助かるのですが。

──レストランが開店すると、予約客が次々に訪れ始めた。

老婦人……あなた、少しよろしいかしら。
カトラリーは、はい。
カトラリー(僕が担当したテーブルのマダムだ。
……何かまずいことしたかな?)
老婦人普段は見かけない方だけれど、新人さん?
カトラリーいえ、士官学校から職業体験で……。
老婦人そうだったの、士官学校から……。
お若いのに素晴らしい接客だったので、感心していたのよ。
老婦人さりげなく目配りをして、
私たちが欲しいタイミングでサーブしてくださったわね。
それに、お料理の説明も過不足がなくて、わかりやすかったわ。
老婦人とても洗練されているのね。
素晴らしかったわ。今日はどうもありがとう。
カトラリーあ……ありがとう、ございます……!

ファル前菜をご用意いたしました。
ハムとチーズの盛り合わせと、
自家製ドライフルーツのオリーブオイル和えです。
ファル食前酒がお済みのようですので、
ワインリストをお持ちいたしましょうか?
男性客……おすすめはあるかな?
ファル本日ご予約いただいているコースですと、
南方産の赤ワインがおすすめです。
ファルイタリア、トスカーナ州の銘柄でよい品が入っております。
バランスのよいミドルボディで、
コースとの心地よいマリアージュを楽しめるかと。
男性客ほう……では、それを頼むよ。
ファルかしこまりました。

男性客これは……うん、素晴らしい……!
ワイン単体の美味しさもさることながら、
料理との相互作用によって新たな感動もある……!
男性客君、ありがとう。
実は、私はワインは好きなのだが詳しくなくてね。
君のような信頼できるソムリエがいて助かったよ。
ファルそれは……どうもありがとうございます。

女性客今夜のピアニスト、とてもいい演奏ね。
心を揺さぶられるわ……。
女性客曲のリクエストをしてもいいかしら?
ミカエルもちろん。
弾くかどうかは別だけれど、リクエストは歓迎するよ。
男性客はは、ミステリアスなところも魅力的だね。
カトラリー(よかった、ミカエルも問題なさそう)

──そうして、3人の職業体験は無事終了した。

オーナー皆さん、本当に素晴らしい仕事をしてくださいましたね!
体験と言わず正式採用させていただきたいくらいですよ……!
ぜひまた来てくださいね。
オーナーこれはお給料です。
それから特別に、このチケットもどうぞ。

ファルやっと帰れますね。
カトラリー職業体験であんなに褒められたのって初めてかも……。
トラブルもなかったし、平和でいい職業体験だったね。
ミカエルそうだね。
今日のオーディエンスは音楽に造詣が深い人も多くて、
リクエストや感想も興味深いものだったよ。
ミカエルそういえば、カトラリー……
君が受け取っていたものはなんだったの?
何かのチケットのように思えたけれど。
カトラリーなんだろうね?
開けちゃおうっと。
ミカエル……ヴァンパイア伝説を巡る一泊二日のホラーツアー、
特別招待券……だって。
カトラリーえ……。
オーナーさん、本当は僕のこと気に入らなかったってこと……?
だから怖がらせてやろうと思って……。
ファルそれはないのでは? あの称賛は本心からだったと思いますよ。
イギリス人は幽霊好きが多いそうですから、
よかれと思ってくださったのでしょう。
カトラリーそうかなぁ……。
ねぇ、ファル、ミカエル。
チケット、3人分あるんだけど……。
ファル……ふむ。
怖いなら、ついて行ってさしあげても構いませんよ。
カトラリー……っ、別に、怖くないし!
ただ、人数分チケットをもらったからには、
行った方がいいって思っただけで……!
ミカエルふふ……楽しみだね。

Ep3. 残したい音色

ヴァンパイア伝説を巡る恐怖のツアーに参加した一行は、
ヘインズビー男爵の屋敷に宿泊することになった。

カトラリー僕、材料いろいろ持ってきたよ。
ニンニクにセージ、オレガノ……
これ使って料理しよう!
ファル……ヴァンパイアはニンニクやハーブが苦手といいますね。
準備のよろしいことで。
カトラリー普通に料理用のハーブだよ!
美味しい料理の香りのいいハーブは欠かせないでしょ?
ファルそうですか。
では、私も適当に使いますよ。
主人公【他に何か食材はないかな】
ファルそういえば、ガイドの方が紙袋を置いていましたよ。
ツアー概要に2食付きと記載がありましたし、
あれが食料かもしれませんね。

ミカエルこれだね。
……随分と質素な献立のようだ。
カトラリーパンとチーズに缶詰がいくつか……?
えっ、これだけ!?
カトラリー何か食べられるもの、ないかな……。
ちょっと探してみない?
ファルこういう屋敷なら、ワインセラーもあるでしょうか。
思わぬお宝が見つかるかもしれませんよ。
カトラリーワインが嬉しいのはファルだけじゃない……?
でもまあ、探して見る価値はあるかも。

〇〇たちは屋敷内を探索し、
貯蔵庫らしき場所を発見した。

カトラリーうーん……ずっと人が住んでないんだよね……。
食べられそうなものはなさそう。
ミカエルこれは……なんの樽だろう?
開けてみても構わないかな。

ミカエルは、小さな樽を開ける。
明かりで照らしてみると、赤くどろっとした液体が入っていた。

カトラリー何これ……まさか、血!?
ミカエルさあ……? でも、この匂い……。

ミカエルは液体を少し指につけ、匂いを嗅ぐ。
そして、ぺろりと舐めた。

カトラリーちょ!?
ミカエル、やめなよ!
ミカエル……おいしい。
カトラリー嘘でしょ!?
ミカエルこれはペッパーソースだよ。
ファルペッパーソース……いわゆるタバスコですか。
たしかに樽熟成で作るそうですね。
ファルですが……樽の焼印を見るにかなりの年数、
ここで発酵していたようですよ。大丈夫ですか?
ミカエルそうだね、少し……歴史を重ねた重厚なハーモニーが……。
エルメこっちにも色々と転がっているね。

ジャムのようなものが入った瓶、干からびた魚、酒瓶などが
貯蔵庫から発見された。

ミカエルがそれらを観察し、味見をする。

カトラリーねぇ、本当に大丈夫なの……!?
ミカエルこの魚とジャムは……終わりの響きがする。
カトラリーそれって駄目なやつじゃない!?
ファルやれやれ……。
まともな食材はありませんでしたね。

〇〇たちはキッチンに戻り、
カトラリーが持ってきたハーブやニンニクなどで、
オイルサーディンに味付けをすることにした。

カトラリーもう、こうなったら少しでも美味しく食べないと気が済まないよ。
……これ、なんの音?
ミカエル僕のお腹からキュルキュルと不思議な音色が聞こえるね。
……そう、複雑な糸がこんがらがったような……。
カトラリーやっぱりさっきの味見が駄目だったんだ……!
主人公【治療しないと……!】
【大変だ……!】
カトラリーうう……早く帰りたいよ……。

Ep3. 忘れたくない音色

ある日、ミカエルを探していた〇〇は、
彼がピアノを弾くでもなく、座っていることに気づいた。

ミカエル…………。
主人公【弾かないの?】
【何か書いてる……?】
ミカエル……〇〇。
ミカエルああ……今日は、曲を作っていたんだ。
今の僕の音色を、楽譜に残しておこうと思って。
ミカエル……今までは楽譜に書き残すなんて、
興味を持てなかったのだけれど……。
主人公【心境の変化があったんだ】
→ミカエル「ああ……そうか。これも変化なのかもしれない。
きみはときどき、鋭いことを言うね。」

【何かきっかけが?】

→ミカエル「そうだね……。」
ミカエル……この間の旅行で、僕は確信したんだ。
ミカエルエルメは前とは違う音色になってしまった。
きっと、これからも変わっていくだろう。
ミカエル……僕も変わっていくのかもしれないと思ったんだ。
それで、今の自分を楽譜にして残したいと思ってね。
主人公【順調?】
【作曲も得意?】
ミカエルいつも思うままに弾いているから……曲を作るのは問題ないよ。
楽譜の読み方も、ベルギーにいるときに習った。
ミカエルでも、楽譜を書くのは慣れていないんだ。
時間がかかる。

ミカエルがゆっくりと、
しかし確実に美しい楽譜を書き上げていく。
最後にタイトルを書き、ペンの動きがぴたりと止まる。

ミカエルタイトルは……『10月30日、ホラーツアーにて』。
主人公【日記みたいだね】
【それがタイトル?】
ミカエルいいタイトルが思いつかないんだ。
きみ、考えてくれる?
弾いてみるから。

ミカエル今、弾いてみるから。
ミカエル……どう?
きみならこの曲に、どんなタイトルをつける?
主人公【『月明かりの棺』とか?】
【『ハロウィンの朝焼け』はどう?】
ミカエル……いいタイトルだ。
いいね、そうしよう。
主人公【素敵な曲だ】
【また新曲を聴かせて!】
ミカエルありがとう。
きみも曲を作ってみたら?
ミカエルきっと素敵な音色になるはずだよ。

〇〇が少し考えて鼻唄を歌う。
ミカエルはじっと耳を傾けてから、鍵盤を叩きはじめた。

ミカエル……いい曲だ。
主人公【鼻唄が曲になった!】
【すごい!】
ミカエルこれも楽譜に残そう。
……これが、今のきみの音色だから。

コメントを書き込む


Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

まだコメントがありません。

×