大晦日の士官学校で開かれたのは、ジョージとカールの厄除け開運堂!
皆の幸運を願ったあと、『あいつ』への願いを胸にジョージは絶対高貴を浴びる。
──ブラウンも、いい年を。
オレはいつもハッピーだからオレの中にいるはずのブラウンにラッキーパワーが届いてるといいよな☆
いつかあいつと一緒にニューイヤーパーティーするぜ!
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
クリスマス休暇中のこと──
ペンシルヴァニア | おや……スプリング、爪におしゃれしてるのか? まりきゅあ……だろうか。 |
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スプリングフィールド | え、爪ですか? 何もしてないですが……。 |
スプリングフィールド | ……あ、なんだか爪が紫色になってる。 |
ジョージ | へぇ、Coolだなスプリング☆ 〇〇、人間も爪って紫色になるのか? |
主人公 | 【身体が冷えるとそうなるよ】 →ペンシルヴァニア「確かに今日は冷え込んでいるな……。 スプリング、体温はどうだ? 手は冷たいか?」 【寒い時とか……】 →ジョージ「あっ、寒かったのか! よーし、オレがあっためてやるぞっ!」 |
ペンシルヴァニアとジョージが
スプリングフィールドの手に触れる。
ジョージ | つめたっ!! |
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ペンシルヴァニア | 氷みたいになってるじゃないか。 |
スプリングフィールド | わ、2人の手はあったかいですね! |
主人公 | 【そんなに……!?】 【自分もいいかな】 |
主人公 | 【冷たい!】 |
スプリングフィールド | マスターの手も温かいです……! けど、僕に触ったら冷たくなってしまいますよ……。 |
ケンタッキー | なあなあ、お前ら! 暇か? 街で、新しくサウナっていうのがオープンしたんだって。 あったまってポカポカになるらしいぜ。 |
ケンタッキー | あっ、マスター! マスターもよろしければ、ぜひご一緒に! ポカポカになりましょう!! |
ジョージ | ポカポカだって、スプリング。ちょうどいいな! |
スプリングフィールド | はい……! 爪も治るかもしれませんね。 |
主人公 | 【行ってみよう!】 【Let’s Go!】 |
新しいサウナ施設にやってきた〇〇たちは、
水着に着替え、意気揚々とサウナルームの扉を開けた。
ジョージ | うわ! あっちー! |
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ペンシルヴァニア | すさまじい熱気だ……! カリフォルニアのデスバレーを思い出すな……。 |
スプリングフィールド | でも、ポカポカで気持ちいいです……! 夏に戻ったみたい……! |
主人公 | 【気持ちいいけど、暑い!】 【汗が出てくる……!】 |
ケンタッキー | よーしじゃあ、誰が一番長くいられるか、勝負しようぜ! スタートな! |
全員 | ………………。 |
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スプリングフィールド | 僕、もうだめ……かも……。 |
ケンタッキー | お、無理すんなスーちゃん! 外で水飲めよ。 |
スプリングフィールド | はい……! |
全員 | ………………。 |
ジョージ | ……うわ~っ。オレももうギブ……! |
ペンシルヴァニア | (狙撃手3人が残ってしまったな……) |
ケンタッキー | (スナイパーの資質は『忍耐』…… これは、プライドをかけた戦いになっちまったぞ……!) |
主人公 | 【(訓練のような気がしてきた……)】 【(負けられない……!)】 |
ジョン | こんにちは~。みなさん、サウナ楽しんでますか? アウフギーサーのジョンです。 |
全員 | ……!? |
ジョン | これからアウフグースを行います! ぐっと熱くなりますから、 限界だと思ったら無理せず外に出てくださいね! |
ジョンがサウナストーンに水をかけると、
ジョワッという音とともに蒸気が勢いよく上がった。
ジョンは大胆なタオルさばきで室内に熱風を巻き起こす。
ケンタッキー | (な……なんだこれ!) |
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ペンシルヴァニア | (熱波が全身を襲って……! デスバレーでもここまでは暑くないぞ……!) |
主人公 | 【(熱風気持ちいい!)】 |
次々と他の客が外へ出ていき、残ったのは
ついに〇〇たち3人だけになってしまった。
ジョン | ワオ! お客さんたち、我慢強いですね! それじゃあ、ラストスパート行きますよーっ! 5……4……3……! |
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ケンタッキー | ~~~~~っ!! |
ジョン | 2……! |
ペンシルヴァニア | ……っ! ……っ!! |
ジョン | ……1! ハイ! 終了~っ!! |
ケンタッキー | ぶはーッ!! |
終了の合図で3人は外へ一斉に駆け出し、
勝負は引き分けとなったのだった。
初のサウナ体験を終えた帰り道。
ジョージ | おぉっ! 外に出ても全然寒くないぜ! |
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ケンタッキー | アウフグース……マジ辛かったけど、 なんか……ハマるかも……。 |
ペンシルヴァニア | ああ……わかるぞ、ケンタッキー……。 |
スプリングフィールド | 本当に寒くないや……! あっ、爪がピンク色に戻ってる……! |
主人公 | 【手の冷えはどう?】 |
〇〇がスプリングフィールドの手に触れてみると、
ぽかぽかで温かい。身体の芯から温まったようだ。
スプリングフィールド | はい。 マスターみたいに、あったかくなりましたよ……! |
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ジョージ | よかったな、スプリング! 学校まで冷めないように、手繋いで帰ろうぜ! |
スプリングフィールド | えへへ、じゃあ……お願いします。 |
主人公 | 【自分も!】 【もう片方は任せて】 |
〇〇とジョージは、スプリングフィールドと
片手ずつ手を繋いで、士官学校への帰路についたのだった。
12月31日──ジョージとカールが、
年越し蕎麦の粉をこね終えたあとのこと。
ファル | なるほど……無理ですね。 |
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冷蔵庫を覗いたファルが、ぼそりと呟いた。
手に持っているのは、白くてドロッとした液体が入ったボウルだ。
ジョージ | 何が無理なんだ? っていうか、なんだソレ? |
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ファル | そば粉を溶かしたものです。 |
ジョージ | へー、飲むのか? |
ファル | 違います。 |
ファル | カトラリーさんが、ガレットというそば粉とチーズで作る 食べ物があると言って準備していらっしゃったのですが…… 今日はお忙しいようなので私一人で作ることになりまして。 |
ファル | チーズ料理は気になりますが、 私、料理の経験はありませんからねぇ。 諦めようかと思います。 |
カール | いや、船があるのに進むのを諦めてはいけない。 料理もプルス・ウルトラなのだ! |
ファル | はぁ? |
カール | まあ、ちょっと待っていたまえ。 |
カール | 待たせたね。 ガレットを食べたことがある者を連れて来たよー。 |
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ジョージ | マークス! |
マークス | ガレットなら、タバティエールが作ったのを食べたことがあるぞ。 薄い乾いた布みたいな生地の食べ物だ。 うまかった気がする。マスターも喜んで食べていた。 |
ジョージ | 薄い乾いた布……? えーっと、クレープに近いカンジか……? それならオレとカールが得意だぜ☆ |
ジョージ | やってみようぜ、ファル! まずは生地をフライパンで焼くんだ! |
ファル | はぁ……どうなることやら。 |
ファルは、フライパンの上でボウルを斜めに傾け
生地を一気に流し込もうとする。
ジョージ | No, No! まずはオイルをフライパンに塗るんだぜ。 それから、量はちょっとで大丈夫だ。 |
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ジョージはおたまで生地を一杯すくってみせた。
熱したフライパンに入れ、薄く伸ばす。
しばらくすると、表面が乾いてきた。
カール | そろそろ焼けるみたいだね。 他の材料はあるかい? |
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ファル | ええ、チーズがこちらに。 |
カール | チーズだけ? シンプルだね。 |
マークス | いや、卵が入ってた気がする。 あと、別の塩気のある食材も……そう、あれはハムだ。 |
ジョージ | うまそうだな! 全部入れようぜ! |
焼きあがったガレット生地をお皿に取り出し、
生卵を割り入れ、大量のチーズとハムを乗せた。
ファル | これで完成ですか? |
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マークス | いや、卵は生卵ではなかった。チーズも溶けていた。 |
ファル | すると……どういうことでしょうか。 |
3人 | うーん…………。 |
カール | おぉ、閃いた。 フライパンに戻してもう一度熱してみたらどうかね? |
ジョージ | Wow! ナイスひらめき! |
ジョージはお皿からフライパンにガレットを移して、
再度火にかける。
ジョージ | わ~、いい匂い! 卵が目玉焼きになって、チーズも溶けてきたぞ! |
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マークス | うん……匂いはこれで合ってる。 あろは見た目だが……確か……四角形だった気がする。 |
ファル | まぁ、形はどうでもいいですが……こんな感じでしょうか。 |
ファルがガレット生地の4辺を内側に折りたたむと、
ちょうど中央に目玉焼きと溶けたチーズが見える形となった。
ジョージ | Oh! これがガレット……!? お花みたいで可愛いな! |
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ファル | では、食べてみます。 |
ファル | …………。これは……。 |
ジョージ&カール | これは……?? |
ファル | そばの生地がパリパリで、 チーズのうまみと大変マッチしていますね。 美味しいと思います。 |
ジョージ | ホントか!? |
ジョージ | やったぁ!! 大成功だな☆ |
カール | これでレシピができた。 さっそく、僕たちの分も作ろうじゃないかー。 |
マークス | (このメンバーで食えるものが作れるとは……。 ジョージの奴、いつの間に料理技術を習得していたんだ!?) |
マークス | (俺も負けていられない……! マスターのために美味しいガレットを作るぞ!) |
マークス | よし! 俺のガレットは、ハーブ盛り盛りの健康アレンジだ! |
年が明けクリスマス休暇が終わり、
士官学校も通常の授業に戻った。
そんなある日の休日──
グラース | ……おっと、段差だ。 |
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グラースは、車輪の付いた
大きな黒い箱を押して歩いていた。
ジョージ | Hey! 重そうだな。手伝おうか? |
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グラース | お、気が利くじゃないか。じゃあ頼むぜ。 遊戯室に持って行くぞ。 |
ジョージ | うん! ていうか、これ何? |
グラース | フフ……これは、Karaoke machineだ。 |
ジョージ | カラオーケ、マシン……? |
グラース | 知らないか? まあ当然かもな。日本の文化だから。 八九のツテで輸入したんだぜ。 |
ジョージ | へぇー、日本の機械なんだ。何をするんだ? |
グラース | まあ、見てろって♪ |
こうして遊戯室に謎の機械が導入され──
その夜、〇〇と寮にいた貴銃士たちが集められた。
グラース | 今日は、僕のニューイヤーコンサートにようこそ♥ 楽しんでいってくれよ! |
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ジョージ | イェーイ!! |
主人公 | 【フゥ~!】 【い、いえーい!】 |
グラース | ~~♪ ~~~~♪ |
八九 | カラオケじゃなくてコンサート用だったのか……。 ま、俺が歌わなくて済むならなんでもいいけどよ。 |
在坂 | 自衛軍のカラオケ大会で八九が竹田と共に歌った曲、 在坂は好きだと思った。 確か……『いつドキ』……? |
八九 | やめろ!! 黒歴史を掘り起こすな!! |
邑田 | よいではないか。入れてみようぞ。 |
邑田が操作すると、グラースが歌っていた曲が終わり、
ポップで楽しい雰囲気の曲が流れ始めた。
グラース | あ!? 誰だ止めたのは!? |
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八九 | うわああ!! やめろやめろ停止!! |
ケンタッキー | おい、歌わないのか? じゃあ俺が入れるぜ! |
エンフィールド | あっ、こんな曲もあるんですね。 スナイダー、どうだい? |
マークス | 次は俺が歌う。マスターに捧げる歌だ……! |
ケンタッキー | いや俺が歌ってるんだから待ってろ! |
グラース | ちょっ、お前ら……僕の邪魔をするな! |
ジョージ | わあ、マイクの奪い合いになっちゃったぞ! 〇〇、どうする? |
主人公 | 【みんなが歌えるものにしよう】 【一緒に歌おう!】 |
〇〇の提案で、
一同はフィルクレヴァート士官学校校歌を合唱した。
ジョージ | ケンカは駄目だぜ! みんなでHAPPYに歌わなきゃな☆ |
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八九 | (いや、ちゃんと順番待ってりゃいいだけだろ……) |
その夜──
ジョージ | 〇〇……ちょっといいか? |
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主人公 | 【もちろん、どうぞ】 →ジョージ「……ありがとう。」 【どうしたの?】 →ジョージ「どう……ってほどでもないんだけど。」 |
ジョージ | クリスマスから、今日まで……すごーく楽しかったからさ。 なんか、寂しくなっちゃったんだよな。 |
主人公 | 【楽しかったのに?】 【どうして?】 |
ジョージ | 明日、目が覚めたら、全部夢だったんじゃないかって……。 |
ジョージ | サウナに行って、手を繋いで帰ってきたのも……。 年越しそば作ったりガレット作ったりしたのも、 みんなでカラオケしたのも……。 |
ジョージ | オレだけが見てる、幸せな夢だったんじゃないかな? なんて、思っちゃうんだ。 |
主人公 | 【そんなことはない】 【現実だよ】 |
〇〇はジョージの迷いを否定しながらも、
ふと、でももし全部夢だったらどうするかと聞いてみた。
ジョージ | えっ!? もし、朝起きて……たとえば18世紀の戦場で、 アメリカ独立戦争の真っ最中だったりして? |
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ジョージ | 最初は寂しくて悲しくて、大泣きするかも。 でも、戦争中だったら忙しいし……。 つらい夜には、楽しい夢を思い出しながら頑張るかなぁ。 |
主人公 | 【自分も同じだ】 【たとえ夢でも、それを大事にする】 |
確かに、この世界はいつ何があるかわからない。
いつか学校を卒業して、離れ離れになるかもしれない。
そうしたらこの幸せな時間は終わるかもしれないけれど……。
そうだとしても、一緒に過ごした時間は無駄にはならない。
いつも心にあって、ぬくもりを与え続けてくれる──と、
〇〇はジョージに伝えた。
ジョージ | そっか……わかったよ。 くよくよしないで、今はこの幸せを全力で楽しむべきなんだな! |
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ジョージ | ありがとな、〇〇。なんかすっきりした! お礼のkiss♥ |
ジョージ | おやすみ、〇〇! あ、今年もよろしくなー! |
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