解説

カード解説

己の力を示そうと躍起になる『成功作』に忍び寄るのは魔の手。
救いを求め掴んだ手は地獄への片道切符だった。
多くを失いつつジーグブルートは立ち上がる。
……いつの日か復讐を果たすことを夢見て。

心銃解説:絶望を越え、食らいつく者

俺を理解してくれる奴がいて迂闊にも舞い上がっちまったのが馬鹿だったんだ。
俺はもう惑わされねぇ。次に奴の顔を見る日が来たら…赤く染めてやるさ。

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

Ep1. 鉄とプラスチック

──ある日のこと。
ジーグブルートがキッチンへ入ると、
エルメが金属製のトレイに手をつけていた。

ジーグブルート……おい。何やってんだ?
エルメ何って、見ての通りだよ。
金属製のトレイが冷たくて、
こうして手をつけていると気持ちがいいんだ。
エルメ俺たちは鉄だしね。ジグもそうだろう、触ってみなよ。
ジーグブルート……ずっと思ってたけど、
俺はほぼプラスチックだから鉄じゃねぇぞ。
エルメ……!!

〇〇がエルメに呼ばれて教室へ入ると、
そこにはエルメの他にドライゼ、ジーグブルートがいた。

エルメ急に呼び出してごめんね。来てくれてありがとう。
主人公【ドイツ銃の会議?】
【なんの集まり?】
エルメ実は、ジグのことで判明したことがあってね……。
これまでにジグに注意しても聞かなかったのは、
そもそも俺たちの注意の仕方が間違っていたんだ。
エルメ「冷徹であれ」という教えが響かないのは、
彼がプラスチックだからだったんだよ。
ドライゼプラスチックか……たしかに鉄とプラスチックでは……。
ジーグブルートはっ、バカバカしいぜ!
鉄だろうがプラスチックだろうが、銃は銃だ!
ドライゼ素材が変われば銃の機能だって変わってくる。
これはしっかりとプラスチックと鉄の違いを調べてみるべきだな。
ジーグブルートチッ! 勝手にしろ!
エルメじゃあ、まずは秤に乗せて重さを測ってみようか。
エルメ──ジグの銃はおよそ3000グラム。
俺の銃は……4400グラムだ。とても軽いんだね。
ドライゼふむ。戦場で機敏に動き回れるのはそのためか。
エルメジグが怒りっぽいのも、何か関係があるのかな。
耐熱性はどう?
ジーグブルートうぐっ!
主人公【今、変な声が……】
→ジーグブルート「気のせいだろ。俺にはなんも聞こえなかったぜ。」

【どうしたの?】

→ジーグブルート「いや、なんでもねぇ。ちょっと喉がおかしくなっただけだ。」
ジーグブルートほら、さっさと続けろよ。
こんなくだらねぇことに時間を割くだけ無駄だろうが。
ドライゼでは、続けようか。
化学の教科書によると、
強化プラスチックは耐熱温度が200度ほど。鉄は1500度だ。
エルメなるほど……通りで我慢がきかないわけだね。
ジーグブルート俺のことばっか言ってるが、
お前らだって鉄だけじゃなくてステンレスとか混ざってるだろ!
主人公【まあまあ】
【落ち着いて】
エルメそうだよ、ジグの新たな事実が知れてよかったじゃないか。
これからも相互理解を深めていこうね。
ジーグブルートああ、わかり合えねぇことがわかったぜ。

Ep2. ジャングルスタイル

──〇〇はジーグブルートたちと共に任務中、
野営地で休憩していた。

スプリングフィールド〇〇さん、お疲れ様です。
あ、あの……疲れている時には甘いものがいいと思って、
シャルル兄さんとホットココアを作ったんです。
主人公【ありがとう】
【美味しそう!】
スプリングフィールドふふ、そう言ってもらえてよかったです。
シャルルヴィルあと、ジーグブルートさんのもあるんだけど……。
隅っこで何か作業してるみたいなんだよね。

シャルルヴィルの示した方向を見ると、
ジーグブルートは何か作業をしているようだった。

スプリングフィールド集中しているみたいだし、話しかけちゃ悪いかなって……。
シャルルヴィル〇〇が渡せば、
ジーグブルートさんも受け取ってくれると思うんだよね。
一緒に行ってくれる?

シャルルヴィルの提案に〇〇は頷く。
2人と共にホットココアを持っていくと、
ジーグブルートは銃のメンテナンスをしていた。

ジーグブルート……ん? どうしたお前ら。
シャルルヴィルホットココアを作ったから、
ジグさんにも飲んでほしいなって思って。
ジーグブルートDanke. 手が離せねぇから、あとで飲む。
そこに置いとけ。

〇〇がジーグブルートの手元を見ると、
マガジンを横に2つならべ、くっつけていた。

スプリングフィールドあの……何をしているんですか?
ジーグブルート明日は森だからな。ジャングルスタイルで行く。
シャルルヴィルジャングルスタイル……って、何?
ジーグブルート俺の銃──DG36のマガジンには、側面に突起があるんだが、
これをマガジン同士で連結できる。
スプリングフィールドえっと……それがどんな効果があるんでしょうか……?
ジーグブルート現代銃は弾切れになる前にマガジンを交換するだろ。
それがサッとできるって話だ。
ジーグブルートつまりだな……マガジンを交換するときは、
まず「マガジンを外す」次に、
「腰や胸のマガジンホルダーを開けて取り出す」。
ジーグブルートそして「マガジンを取り付ける」という工程がある。
だがマガジンを連結しておけば、
横にスライドして新しいマガジンを入れれば完了ってワケだ。
ジーグブルート……と、説明だけじゃよくわかんねぇって顔してんな。
スプリングフィールドその……手早くできるっていうのはわかったんですけど……。
シャルルヴィルボクたちの銃にはマガジンがないから、
イメージがわかないというか……。
どれぐらい効率がいいやり方なのか、想像がつかないんだよね。
ジーグブルート仕方ねぇな、特別に見せてやる。こんな感じだ。

ジーグブルートは〇〇たちに再度説明をしながら、
実際にジャングルスタイルでの交換をやってみせる。

ジーグブルート通常だと、銃からマガジンを外して、
ポケットから新しいの取り出して、また入れる、だろ。
ジーグブルートジャングルスタイルは、銃から外して、
隣のをすぐ入れる、終わり。
シャルルヴィルへぇ~本当にあっという間だ! すごい!
スプリングフィールドとっても勉強になりました。ありがとうございます!
ジーグブルート……ったく、これくらいで礼とか言うんじゃねーよ。

ジーグブルートはややぬるくなったココアを飲むのだった。

 

Ep3. ピアスモチーフ

──ある日の談話室。

ジーグブルート(今日のコーヒーはコクがあって、
それでいて後味が爽やかな酸味があるな。
これに合う菓子は──)
ベルガーおっ! いーモン発見~っ!
ジーグブルート……ん?

──グイッ!

ベルガーがジーグブルートの左耳のピアスを引っ張った。

ジーグブルートぐああああああっ!?
ジーグブルート痛ってーだろうが……!
耳が千切れたらどうしてくれんだ!

ジーグブルートが反撃し、ベルガーを殴り飛ばす。
ベルガーが派手に倒れ込んだ。

ベルガーふぎゃあああっ!
ベルガーなにすんだよ! 壊れたらどーすんだ!
ジーグブルートそれはこっちの台詞だ! このクソウサギ!!
ローレンツすまないな、Mr.ジーグブルート。
モルモット1号は、君のピアスが気になったようだ。
ローレンツところで、そのピアスは何のデザインなのだ?
ジーグブルートあ? これか? キャリングハンドルのモチーフのピアスだ。
ローレンツほう、キャリングハンドル……。
モルモット1号にもあるが、俺の銃にはない部分だな。
何をもってピアスにそれを選んだのか、実に興味深いな。
ジーグブルート俺のキャリングハンドルの特徴は、
他の銃より大型で、スコープが内蔵されている。
ジーグブルート銃本体を持ち運ぶ際に、
ここを持って移動すると壊れにくいのも利点だ。
ローレンツなるほど、取っ手なのか。
ベルガーあひゃひゃひゃ!
だったらやっぱり引っ張るトコじゃねーか!
ベルガーってコトは、俺が正しい!
引っ張っても文句は言えねーよなあ!

ベルガーは懲りずにジーグブルートに近寄り、
ピアスを引っ張ろうとする。

ジーグブルートてめえ、性懲りもなく触んじゃねえ!
ベルガーふぎゃあああっ!
ジーグブルートこいつ、さっき殴られたことをもう忘れてんのか?
ローレンツその通り! モルモット1号は記憶力が悪い。
だが、自分の興味がある物に関しては忘れないのだ。
ジーグブルートは? ってことは……。
ローレンツ取っ手だと認識したそのピアスを、何度も引っ張りに来るだろう。
ジーグブルートんだよ、それ。最悪じゃねえか!!

Ep4. 後継の兄弟

〇〇はジーグブルートたちと共に、
任務で街へとやって来ていた。

ジーグブルート(おっ、あそこの青果店にある果物……質が良さそうだな。
緊急の任務でもねーし、少し抜けて見に行くか……?)
エルメ──ジグ。マスターの許可なしにどこへ行こうとしているのかな?
ジーグブルートんだよ、俺がいつ抜けると言った?
エルメいつも抜けるなんて言わずに、勝手に消えてるだろ。
今日は俺が一緒だからね。
しっかり監視して、お前の思い通りにはさせないよ。
エルメ〇〇、ジグが迷惑をかけたらすぐに言うんだよ。
兄である俺が、きちんと躾をし直すからね。
主人公【弟といえば……】
【エルメの兄弟がそろってるね】
エルメそういえば……今日の任務はジグの他に、
ゴーストもいたはずだよね。
どこに行ったのかな? ジグ、知ってる?
???……に……る。
ジーグブルートあ? 初めからいなくねーか?
エルメ出発する時は人数確認をしたから、いたと思うんだけれども。
困ったな……。
ゴースト俺はここに……いる。
どっか行ったりなんてしてない。
エルメおや、いたんだね。
ごめんね、気づかなくて。
ジーグブルート相変わらず存在感の薄いやつだな。
ゴーストくそ……。
こんな冷たい奴らが兄弟だなんて……!
主人公【エルメと似てないよね】
【3人兄弟っぽくないよね】
エルメゴーストとジグは直接の弟じゃないんだ。
俺の兄弟はまだいっぱいいるんだけど、
前の戦いでは世界帝軍で活躍していたからね……。
エルメDG3を小型化したDKK33は、
世界帝軍ではホクサイと呼ばれていたんだ。
エルメ以前、ドイツ軍にあった別の個体で召銃できるか試したけれど、
応えなかったんだよね。
ジーグブルート俺に恐れをなしたんじゃねえか。
ゴースト…………。
主人公【どうしてそう思うの?】
【恐れる理由が?】
ジーグブルートドイツ軍が制式採用する銃を決める際、
トライアルに参加したのは、
DKK33、DKK50、BelgerOAUGの3種類の銃だ。
ジーグブルート勝ち残って制式採用されたのは、DKK50。
DKK50はそのあとDG36と名前を変えた。
つまり、最後に勝ち残ったのは俺ってわけだ。
エルメDKK33は俺の直径の弟だから、
ジグに比べたら問題児じゃないと思うな。
ゴースト……ぷっ、ふふ……。
エルメん? どうしたのゴースト。
ゴーストいや、なんでも。
ゴースト(ホクサイ──あいつに比べたら、
ジーグブルートなんて可愛い気がするわ……)

Ep5. 新しい家族

──ある日、マークスの育てているハーブ園にて。

マークスうわあああっ!?
主人公【どうした!】
【何があったの?】
マークスマスター! ジーグブルート!
た、助けてくれ! 俺のハーブ園が……!
あの木にミツバチがたくさん固まってる……!
ジーグブルートあー……言ってることはなんとなくわかるが、
お前のハーブ園は大丈夫だから、ちと落ち着け。
マークス落ち着いてられるか! こんなにミツバチがいたら、
俺の育てたハーブが荒らされる……!
ジーグブルート俺の話を聞いてたか? このミツバチは何もしねえよ。
分蜂つって、引っ越し中のハチだ。
ジーグブルートピンチどころかチャンスだぜ。
巣箱を置いときゃ、養蜂ができる。
マークス巣箱? ハチを飼うのか?
ジーグブルートああ、ハチミツが取れるだろ。
ドイツはハチミツの消費量が世界一と言われているくらいだしな。
養蜂も盛んなんだぜ。
ジーグブルートミツバチはハチミツだけじゃなく、蜜ロウもとれる。
色んな恵みを与えてくれるから、
ヨーロッパ近辺では大切にされている昆虫だ。
主人公【イギリスでも大事にしてるよ】
【ミツバチは家族同然】
ジーグブルート確かイギリスでは、家族の誰かが結婚したり死んだりした場合、
ミツバチに報告するっていう風習があるらしいな。
マークスそんな伝統があるのか!
マークスそ、それじゃあ……ますたーがこいつらの飼い主になったら、
ハチを家族にしないといけないのか……。
ということは、俺にとってもハチが家族に……くっ!
マークスおい、ジーグブルート。
俺もマスターも養蜂の仕方がわからない。
ジーグブルートまあ、そうだろうな。
マークスよって、ハチの飼い主になることは辞退する。
ハチをどうしても飼いたいのなら、お前が飼い主になれ。
ジーグブルート言われなくても、そのつもりだっての。
ありがたく、こいつらの飼い主になってやるぜ。
ジーグブルートここで養蜂ができるなんて思ってもなかったからな、
せっかくのチャンス、逃す気はねえ。
ジーグブルート秋になったら、美味しいハチミツが採れるだろうな。
ドイツの黒いハチミツもいいが、この辺りは花が多いから
どんな味になるのか楽しみだな。
マークス黒いハチミツ……? ハチミツは黄金色だろう?
ジーグブルートハチミツはミツバチが採って来た花や樹木の種類によって、
色も味も変わるんだ。
黒いハチミツは針葉樹の樹木から採れた蜜で色が濃いんだぜ。
ジーグブルートさすがにあの黒いハチミツと同じ味はなんねーだろうが、
ここで採れたハチミツで、
ドイツ流のハチミツケーキを作ってやる。気長に待ってろ。
主人公【楽しみだ!】
【ありがとう、待ってる!】
ジーグブルート……巣箱を作ったら、こいつらに俺のマスターだと、
〇〇を紹介してやるよ。

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