主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
アウトレイジャー討伐任務のため
フランスにやってきた〇〇たちは
レザール家で厚いもてなしを受けていた。
マークス | おやすみ。また明日な、マスター。 |
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〇〇の元を去り、
マークスは隣に用意された部屋へと移動する。
マークス | ……はぁ……。 |
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マークス | またマスターとは別の部屋……か。 |
マークスは、貴銃士として
士官学校で暮らすことになった時を思い出す──
ジョージ | へぇ~ここが士官学校の寮かぁ。 古いけどなかなかオシャレじゃん! |
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十手 | 成り行きで来てしまったけれど…… この年で勉学を修めることができるとは 人生、いや銃生わからんなぁ。 |
ライク・ツー | ま、案内はまた明日以降でいいだろ。 長旅だったんだ、いったん部屋に戻って休もうぜ。 |
ジョージ・十手 | はーい。 |
マークス | マスター、俺たちも部屋に戻ろう。 今日は今まで以上に実戦的な射撃が多かったから、 落ち着いたら整備をしてくれないか。 |
主人公 | 【わかった】 【「俺たちも」って……】 |
ライク・ツー | おい。 まさかとは思うが、〇〇と同じ部屋に 帰るつもりじゃないだろうな? |
マークス | ……? 当然だろう、ダメなのか? |
ライク・ツー | ダメに決まってるだろうが! |
マークス | は? なぜだ? 俺の部屋はマスターが住んでるこの部屋だ。 |
ライク・ツー | あのなぁ。 銃だった時と貴銃士になった今では、 事情も変わってくるだろ。 |
マークス | なにっ……!? |
マークス | (あれから、ずっとマスターとは別々の部屋だ……) |
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マークス | ……はぁ。 考えても仕方ない。セレクターを切り替えよう。 |
マークス | とりあえず、身体を洗って埃をとっておくか。 いざという時に整備不良でジャムったら困るからな。 |
マークス | ふう……さっぱりした。 石鹸で洗ったら、体中が花の香りになってしまったが……。 |
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マークス | しかし、同じシャワーのはずなのに 寮のシャワーより快適な気がしたのはなぜだ? |
マークス | なにより、この服が気持ちいい。 脱衣所においてあったから着てみたが── |
マークス | ツルツルで軽くて柔らかい。 こうやって着てるのに、何も着ていないみたいだ……! |
マークス | なのに、寒くも熱くもない。 不思議な服もあるものだな……。 |
マークス | ……いやいや、何を浮かれているんだ。 マスターが安心して休めるよう、俺が一晩中警戒しておかないと! |
マークス | といっても、ずっと立っているわけにもいかないな。 ……ベッドにでも座っているか。 |
マークスが腰をかけると、
ベッドは柔らかく、しかししっかりとその身体を受け止めた。
マークス | ……! |
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マークス | なんだ、この感じは。 上等なガンケースでもここまで居心地がよくないぞ。 |
マークス | ……いや、座っただけだから勘違いしたのかもしれない。 寝転がってみれば── |
マークス | ……! |
マークス | やはり心地いい……! ああ、こんなガンケースに包まれてマスターに運ばれたい……。 |
マークス | ……すぅ……。 |
マークス | ……って、ダメだダメだ! 俺はマスターを守るために一晩中警戒しないと! |
マークス | でも、この感覚は……いい……。 |
マークス | …………。 |
──翌朝。
マークス | …………。 ……んっ? |
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マークス | なっ……もう朝か!? ああっ! |
マークス | 不覚にも、ぐっすり眠ってしまった……ッ! 一晩中、マスターの警護をするつもりだったのに! |
マークス | この寝間着のせいだ……! サラサラとした肌触りで、雲に包まれるような 寝心地で……クソ、もう二度と着るものか……! |
テオドールとカトリーヌの駆け落ち計画を手伝い、
彼らを護衛しながら〇〇たちは森を抜ける──
カトリーヌ | はぁ……はぁ……けほっ……。 |
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テオドール | 大丈夫か!? 顔が真っ青だ……。 |
タバティエール | どこかで休もう。 たしか……近くに宿屋があるはずだ。 |
カトリーヌ | でも……。 |
タバティエール | なぁに、急がば回れってね。 |
タバティエール | 〇〇ちゃんたちは、見張りをお願いできるかい? まだ大丈夫だとは思うけど、追っ手が来ないとは限らない。 |
主人公 | 【了解】 【任せて】 |
マークス | マスターは頼りになる。 そして、マスターは俺が守る。 |
テオドール | 頼んだ。 ……行こう、カトリーヌ。 |
カトリーヌ | ええ……。 |
マークス | …………。 |
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マークス | それにしても、よくわからないな。 『カメイを捨てる』とはなんなんだ? |
マークス | あいつらがカメイとやらを捨てて遠くに行けば、 すべて解決するのか? |
主人公 | 【そう簡単じゃないかもしれない】 【相当の覚悟が必要】 |
〇〇は、2人は生まれ育った土地や家族を捨てて
2人で生きる決意をしたこと、それでもすべてが解決するわけでは
ないだろうことをマークスに伝えた。
マークス | 解決しないのに、逃げるのか? まあ、あのままだとカトリーヌは殺されそうだったが……。 |
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マークス | でも、なんだかすっきりしない。 銃身に煤がこびりついたままみたいな気分だ……。 |
主人公 | 【大切なものを捨てる覚悟をしたんだよ】 【きっとつらいはずだ……】 |
マークス | そう、なのか……うまく理解できないな。 駆け落ちは2人が決定したことなのだろう……? |
主人公 | 【マークスにとってかけがえのないものは?】 【もしマークスが同じ立場だったら?】 |
マークス | ええっと……俺にとってかけがえのないものはマスターだ。 つまり、それを捨てる決意を── |
マークス | できるわけない!! |
マークス | つらい! というか、ダメだ。 絶対にそんな決意、したくないぞ、マスター! |
主人公 | 【しーっ!!】 |
マークス | あ……。 |
マークス | すまない……。 つい、興奮して声が大きくなってしまった……。 |
マークス | だが、俺は決めた。 絶対にマスターから駆け落ちしないと。 |
マークス | ……マスターも俺から駆け落ちしないよな。 |
主人公 | 【ずっと大事な相棒だよ】 【そんなこと、考えたこともなかった】 |
マークス | よかった……! |
マークス | 俺は、生きることよりも、死ぬことよりも、 マスターの方が大事なんだ。 |
マークス | あいつらは……2人で生きるために、大切なものを捨てたのか。 んっと……それはお互いがいちばん大切だから……だろうか。 |
マークス | 確かに、一番大切なものを守るためなら、 2番目に大切なものは捨てられる。 |
マークス | ……だが、俺にとって2番目も3番目も大切なのはマスターだ。 ん……? そういう場合はどうしたら……?? |
主人公 | 【他にも大切なものが見つかるかもよ】 【仲間は大切だよね】 |
マークス | 何を言うんだマスター!? 俺にとってマスター以上に大切なものなどありはしないだろう! |
マークス | とにかく、俺とマスターはこれからもずっと一緒だぞ。 |
マークス | ずっとずっと……だ。 約束だからな。 |
レザール家とロシニョル家の諍いの陰に
リリエンフェルト家の企みがあると、
シャルルヴィルが打ち明けた日の夜──
〇〇は自室にマークスを招き入れ、
労いを込めてハーブティーを淹れた。
主人公 | 【お疲れ様】 【一息入れよう】 |
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マークス | ……! あ、ありがとう……マスター! |
マークス | ハーブティーは俺がいつも淹れているのに…… マスターが淹れた方がずっと美味しいな! 疲れが取れそうだ! |
主人公 | 【いろいろあったね】 【予想外のことだらけの旅だったね】 |
マークス | ああ……正直、俺には理解できていない部分が多い。 だが、テオドールとカトリーヌは もう駆け落ちをしなくてもよさそうで良かったと思う。 |
マークス | 明日からはジョージを探さなくちゃいけないな。 マスター、今夜はよく休んでほしい。 温かいシャワーを浴びるといい。 |
マークス | 最近気がついたんだが、 シャワーを浴びると部品が緩んでよく眠れるんだ。 |
主人公 | 【温まってゆっくり寝よう】 【マークスもよく休んで】 |
マークス | 俺は……今日はこのハーブティーで 十分にメンテナンスできた気がする。 |
主人公 | 【自分はシャワーを浴びてくる】 |
マークス | ああ、俺は飲み終わったら部屋に戻る。 ゆっくりしてきてくれ。 |
温かいシャワーを浴びた〇〇が部屋に戻ると──
マークス | すぅ……すぅ……。 |
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マークスがソファで眠り込んでいた。
〇〇は少し驚きつつも、
マークスを起こさないようにそっとブランケットをかけた。
マークス | ん、んん……── |
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マークス | マス、ター……? |
マークス | は……っ! |
マークス | 今、俺は寝ていたのか……? |
マークス | 俺としたことが! お茶を飲んでいたらふらふらして……それで、 ほんの少し、ソファに横になっただけなのに……くっ! |
主人公 | 【何も問題ないよ】 【冷えなかった?】 |
マークス | …………。 |
マークス | ……マスター、俺、今夜はここで寝たら駄目か? |
マークス | もちろん、別々の部屋がいい……らしいのはわかってる。 だが── |
マークス | 同じ部屋にいた方が、マスターを守りやすいと思う。 |
マークス | 今は解決したとはいえ、まだ何があるかわからないし、 その……。 |
主人公 | 【うん、わかった】 【仕方ないね】 |
マークス | いいのか! |
マークス | よかった……! 貴銃士になった頃、ライク・ツーに「ダメに決まってる」と 言われたから心配だったんだ。 |
マークス | さっき、目が覚めたら目の前にマスターがいた。 ……一瞬、俺が銃だった頃に戻ったかと思った。 |
マークス | 貴銃士になって嬉しいこともたくさんあった。 けど、部屋が別々になったのは寂しい……。 |
マークス | 寝ても起きてもマスターのすぐそばに俺がいたのに、 この身体を持ったら距離ができた。 |
マークス | まあ、悪いことばかりでもないが。 こうして話ができるし、銃では出来なかった手助けができる。 それに──……ふぁあ。 |
主人公 | 【眠くなってきた?】 【そろそろおしゃべりはおしまいにしようか】 |
マークス | う、ん……だが、もう少しだけ……。 |
マークス | せっかく、こうして一緒にいるんだ。 もう少しだけ、話がしたい……。 |
マークス | こうして意思疎通できるのが、 貴銃士になって1番うれしいことだから……。 だから、もう少しだけ。 |
マークス | ……いいか、マスター? |
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