【鉄の掟、鉄の意志】ドライゼ

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解説

カード解説

これは遠い記憶の欠片。ドイツでの、彼らの物語の前日譚。
連合軍ドイツ支部にて、特別指揮官として辣腕を振るうドライゼ。
傍らに立つエルメと彼は、互いに秘密を握り合う。
「己の弱さを抑え込み、日々鍛錬を──」

心銃解説:狂気を秘める軍靴の戦律

私が知覚するモノは、一体何処までが真なのか。世界は容易に反転し、血に塗れた虚実が私を苛む。
私は、まだ私(ヒト)であるか。
答えは出ず、じっと手を見る。

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

Ep.1 完璧に見えた彼の弱点

これはまだ、〇〇が
『おじさん』に会うために
ドイツへと向かうより前の、ドイツ軍の話──。

ドイツ支部兵士このような過酷なやり方では兵がついていけません!
もう少し、段階を踏ませていただきたく──。
ドライゼ……私は、方針を変えるつもりはない。
あの程度の訓練をこなせないようでは、
実戦で使い物にはならない。
ドイツ支部兵士で、ですが……!
ドライゼ貴様は戦場を知らんのか?
銃弾が飛び交い、血肉と汚泥にまみれた、本当の戦場を。
ドライゼ生半可な訓練では駄目だ。
貴様らは訓練など天国の出来事だったと戦場で知り、
そして死んでいくことになるぞ。
ドイツ支部兵士……っ!
エルメ……ちょっといいかな。
君は少し誤解しているみたいだ。
ドライゼは君たちに期待を寄せているんだよ。
エルメ絶対にこなせないような訓練内容を課したりはしない。
君たちの力を最大限に伸ばそうとしているんだ。
まぁ、ちょっと言葉が足りなすぎだけどね。
エルメドライゼの本心がわかれば、
兵たちの士気も少しは上がるかな。
ドイツ支部兵士は、はい……!
隊の仲間に、今のお言葉を伝えてきます……!
ドライゼ……すまない。
間に入ってもらい、助かった。
エルメこれくらい、なんてことないんだけどさ。
もう少し上手くやってみたら?
エルメ人間って、感情の生き物だからね。
それに配慮する言葉を使いながら扱った方がいいよ。
ドライゼああ……そうだな。
ドライゼ(エルメはやはり、人間をよく観察している。
俺も、指導者として見習わなければ──)

──数日後

ドライゼエルメ、今日の訓練だが……
命中率が急に低下していたな。
お前らしくもない。
エルメあ、ああ……。
次からは、気を付けるよ……うん。
ドライゼ……?

ドライゼ次はお前の番だ。
銃を構え──エルメ? 何をしている?
ドライゼそんな構え方で、的に当てられるわけがないだろう。
訓練中に気を抜くな。
事故の元だ。
エルメああ……そうだね……。
えっと──。
ドライゼ…………。

ドライゼおい、エルメ! なぜ銃の手入れを怠った!?
あやうく大事故につながるところだったぞ!
エルメ…………。
ドライゼ聞いているのか!?
大体近頃のお前は……!
エルメ……うっ……。
ドライゼ……っ!? エルメ!
おい、しっかりしろ……!
ドライゼくそっ……
待っていろ、人を呼んで──。
エルメ……っ! それは、ダメ、だ……。
少し、横になれば平気だから……
このことは、誰にも言わないでほしい……。
ドライゼ…………。
わかった……とりあえず、部屋に運ぶぞ。

ドライゼおい、エルメ。体調はどうだ?
ドライゼ…………。
ドライゼ(……物音一つしない……。
まさか、中で倒れて……!?)
ドライゼ入るぞ!

エルメ…………。
ドライゼ…………。
ドライゼ──なんだそのだらしない格好はッ!!
ドライゼ床で寝るな!
きちんと服を着ろ!
来客対応ぐらいしろッ!!
エルメはぁ、放っておいてよ……。
俺はただ……冷たい床と一体化して……
ただの鉄であることを味わっていたいんだ……。
ドライゼなっ……!
そのような情けない姿が
許されるとでも思っているのか!
エルメ…………。
ドライゼ……ッ!
勝手にしろ!

ドライゼ(エルメの奴……もう夜だというのに、
あれからまるっきり部屋から出てこない……
食堂にも現れなかった)
ドライゼ(……様子を見るのは、これで最後だ。
日ごろの恩があるとはいえ、これ以上の介入は……)
エルメ……のど、乾いたな。
腹も減ってきたし……。
まぁ、いいか……。
ドライゼお、お前は……まだそんなだらけた格好で!
まずは服を着替えろ!
その間に食事を持ってくる!
エルメえー……面倒だよ……。
ドライゼいいから言われた通りに動け!
ほら服だ! 早く着ろ!
エルメふ……ははっ。
ドライゼは……なんだかんだ、お人好しだよね。
……ありがとう。面倒だし、ついでに着せるところまで頼むよ。
ドライゼなっ……!?
ドライゼ(……これが本当に、
あのエルメなのか……!?)
ドライゼ馬鹿を言っていないでさっさと動け!

Ep2. 異なる戦闘の流儀

ジーグブルート……そこかぁっ!
アウトレイジャーグァ……!
ジーグブルートヘッ……、楽勝だぜ。
ドライゼおい、何を1人で突っ走っている!
陣形を崩すな!
ジーグブルートあ? 俺に指図するんじゃねぇ。
のろまなお前らに合わせろっつーのかよ。
ドライゼだから前に出すぎるなと……くっ!?
アウトレイジャー……殺ス……。
ドライゼアウトレイジャー……!
アウトレイジャー撃ツ……殺ス……。
エルメ俺に任せて。
ドライゼエルメ……!
……すまない、助かった。
ジーグブルートハッ!
人にああだこうだと文句言っときながら、
やられそうになってちゃ世話ねぇな!
ドライゼ……!
元を辿れば、貴様の浅慮が原因だろう!
ジーグブルートぐっ……! てめぇ……!
何すんだ!
ドライゼおい、エルメ。急ぎ戻るぞ。
この命令違反者は、お前に任せる。
ドライゼまた独断で動かないように、見張っていろ。
絶対に目を離すな。
エルメはいはい、わかったよ。
エルメほら、立てる?
ジーグブルートクソッ……! おい待て、でくのぼう!
お返しに俺からも一発喰らわせてやるよ!
エルメそれは俺の責任なっちゃうから、困るな。
ここは大人しくしといてよ。
エルメ今日の君は、ちょっとやりすぎだった。
これ以上、あまりドライゼを困らせないようにね。
ジーグブルートハッ……あれくらいで“やりすぎ”とはな。
てめぇらに合わせてたら、倒せるもんも倒せねぇよ。
エルメうーん。
その様子だと、まったく懲りてないみたいだね。
帰ったらお説教だから、そのつもりでいてよ。
ジーグブルートどいつもこいつも、俺に盾突きやがって……。
俺は誰よりも敵を殺してるだろうが……!
ジーグブルート俺は悪くねぇ……。俺は最高の成功作だ。
あのグズどもに合わせるなんざ、死んでもごめんだ……!

 

Ep3. 高潔な男

ドライゼ──本日の作戦にて、
旧市街地区を拠点としていた親世界帝派を殲滅。
投降し捕虜となった者たちの輸送も完了した。
ドイツ支部上層部了解した。では、次の指示は追って出す。
それまで待機だ。
ドライゼ……そのことで、1点提案がある。
ドイツ支部上層部──なんだね?
ドライゼこのまま戦局を長引かせるよりも、
奴らの拠点を見つけて先回りし、
こちらから攻めるべきではないだろうか。
ドイツ支部上層部否、今はまだその時ではない。
指示を待て。話は終わりだ。
ドライゼだが、それでは……くっ!

ドライゼなんと愚かな……!
今、徹底的に叩かねば……
いらぬ消耗をするだけだというのに!
ドライゼあの連中というのは、
なぜ後手に回るような真似しかしないのだ……!
ゴーストドライゼ……残念だったな。
ドライゼん?
……いたのか、ゴースト。
ゴーストああ、うん……。
言われると、思った……。
会議の最初っから、すぐ近くに、いたんだけど……。
ゴースト……はぁ。悪気なしで言っとるのがわかる分、
余計に言葉のナイフがキレッキレやわ……。
ドライゼ……?
何をブツブツ言っている。
聞こえんぞ!
ゴーストああ、いや……。
ドライゼが、気の毒……だなと、思ったんだ。
兵士たちやら市民のために、最善の方法を考えたのになぁ……。
ドライゼ……だからなんだ?
無駄口をたたく時間があるなら、鍛錬に打ち込め。
ゴーストいやいや、ただ……。
『昔のドライゼみたいに』頑張ってるのに、
お偉いさん方はひどいなぁって慰めてるんだ。
ドライゼ……!
ドライゼ……俺にそんな慰めは必要ない。
今後、くだらん用事で話しかけたら貴様を罰する。
いいな!

ゴースト……おお、こわ。
ドライゼはホンマに、クソ真面目で高潔で潔癖やなぁ。
ゴースト哀れすぎて、涙ちょちょぎれるどころか……
笑いが止まらんくらいや……ククッ!

Ep4. 歪んだ優しさ

エルメみんな、本当にご苦労さま。
君たちが死力を尽くし奮闘してくれたおかげで、
連合軍ドイツ支部は、敵拠点の殲滅に成功した。
エルメさて。ドライゼからも何かあるだろう?
彼らはこんなに──
泥と血にまみれて戦ってくれたんだから、さ。
ドライゼ……っ!
兵士ドライゼ特別司令官……!
ドライゼ…………。
ここまで、よく戦ってくれた。
お前たちの働きに感謝する。
兵士たちはいっ……!
ドライゼ……以上だ。
速やかに基地へ戻って──。
エルメ待ちなよ、ドライゼ。
みんな、君の話をもっと聞きたがっているよ。
エルメそうだな……『鉄の掟』の話なんてどうだい?
ドライゼいや、今は……。
エルメ君たちも聞きたいだろう?
兵士たちぜひ!
ドライゼ……いいだろう。

ドライゼ…………。
ドライゼ──誇り高きドイツの兵士である以上、
己の責務に常に忠実であれ。
ドライゼ仲間と、守るべきもののために、
恐れに呑まれず戦場に立ち、
敵に立ち向かうことが誉であると知れ。
ドライゼ備えを怠らず、上官の命に服従し、
軍規を乱さず、常に冷静を保て。
ドライゼ己の弱さを抑え込み、日々鍛錬に励むこと。
──真の強さは、その先にしか存在しない。
兵士たちJawohl!

姿勢を正して敬礼した兵士たちから、
わずかに泥が跳ねた。

ドライゼ……ッ!
エルメふふ……顔色が悪いね。
大丈夫?
ドライゼあ、ああ……。
エルメ……あっ、そっか。
彼らの傷の治療が気になったんだね。
うっかりしていて悪かったよ。
ドライゼ…………!
そうだな……各自、回復に努めるように。
エルメ、あとは任せた。
エルメふふ……。

エルメ──全員の治療が終わったよ。
兵舎へ戻るように指示しておいた。
ドライゼそう、か……。
エルメ酷い顔色だよ。気分が悪いなら、
いっそ、吐いちゃった方が楽になるんじゃない?
ドライゼくっ……。大丈夫だ……。
エルメ君って本当に不器用だなぁ。
そんなにキツイなら、
さっさと切り上げることだってできただろう?
ドライゼ……すまん……。
エルメ謝ることなんてないよ。
ドライゼだが、俺は……。
ドライゼ……っ! 俺は、なんて奴だ……!
あんなにも懸命に戦ってくれた部下に対して……!
ドライゼ『血と泥にまみれている』というだけで……!
こんな……! くそっ……!
エルメ…………。
ドライゼがそう思うのなら……。
エルメ自分が汚れることへの抵抗感を
克服できるように頑張らないとね。
『部下のためにも』さ。
ドライゼ……そうだな。
助言、感謝する……。
エルメどういたしまして。
……ふふっ。

Ep5. ふたりの手料理

時は流れ──ドライゼとエルメが、
フィルクレヴァート士官学校を訪れるようになってからのある日。

ドライゼマスター。今、いいだろうか?
主人公【大丈夫だよ】
【もちろん】
ドライゼ……学習中だったか。すまない。
ドライゼ実はだな……エルメのやつが、その。
また、例の日、なのだが……。
主人公【なるほど……】
【……なぜ自分に声を?】
ドライゼ……今回は、俺の手に負えなくてな。
マスターの力も借りたいんだ。
ドライゼやつは今……「レバー料理しか口に食べたくない」(※)
などと言い出していてな……。
ドライゼだが、俺には……その、心得がない。
だから事情を知っているマスターに、
こうして声をかけた次第だ。
ドライゼ悪いが、俺の代わりに
レバー料理を作ってはくれないか。
主人公【頑張ってみる】
【力になれるなら嬉しい】
ドライゼすまない……助かる。

※おそらく「口にしたくない」と「食べたくない」の混同。今後修正されると思います。


ドライゼさすがに、ちょうどよく
レバーがあるわけもない、か……。
ドライゼ仕方ない。
まずは買い出しに……。
ペンシルヴァニア……もしかして、レバーが必要なのか?
ドライゼ……? ああ、そうだが……。
ペンシルヴァニアなら、ちょうと良かった。
これを使ってくれ。
ドライゼ……っ!?
ペンシルヴァニアつい先ほど、鹿を狩ったところでな。
全部使ってもかまわない。
ドライゼ恩に着る……!
主人公【調理開始しよう!】
ドライゼ俺も、補佐ぐらいならできるはずだ。

ドライゼふむ……ようやく完成が見えてきたな。
俺だけでは、こうはいかなかっただろう。
ドライゼこれまでも、エルメの世話をしていて
1人ではどうしようもないことがいくつもあった。
ドライゼだが、こうして信頼できる者の手を借りられるというだけで、
気持ちも効率も、こんなに変わるとは……。
主人公【1人だと色々大変そう】
【これからも手助けするよ】
ドライゼフッ……ああ、そうだな……。

ドライゼおい。
要望通り、レバー料理を持ってきたぞ。
マスターにも手伝ってもらった。礼を言え。
エルメへぇ……、なるほど。
マスターも手伝いを……。
エルメふぅ……うーん。
せっかく作ってくれたとこ、悪いんだけどさ……
噛むのも面倒だし、ペースト状にしてくれる?
ドライゼふん、
そんなこともあろうかと、
レバーペーストもあらかじめ作っておいた。
エルメ……わお。
わすがだね……。
ドライゼ当然だ。
備えは怠らないようにしているからな。

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