【首輪をつけて】マークス

コメント(0)

解説

カード解説

これは彼がまだ目覚める前と、目覚めた後の日常譚。
主人の信頼に報いたいのに、残念な失態を犯したマークス。
仲間の『助言』で真理に気付き、彼は首輪を入手して──?
「マスター! こうすればずっと一緒だ!」

心銃解説:重要項目は『最適な距離』

リードの長さをrと置く。
首輪をつけた俺が、マスターから距離rの円周上を永遠にぐるぐる回る点Pになれれば……
うん、ナイスアイデアだ。ワン。

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

Ep1. 川辺の優しい決意

マークス目的地はこの川沿いを進んだ先だ。
マスター、疲れてないか?
主人公【大丈夫】
【まだまだ行ける】
マークスそうか。じゃあ、行こ──
マークス……うおっ!?

濡れた地面に足を取られ、
マークスの身体が川の方へと投げ出される。

主人公【危ない!】
マークス──ッ!!

???ラッセル教官……!
???大変です!
〇〇が川に……!

マークス──大丈夫か!? マスター!!
主人公【ゲホッ、ゴホッ!】
【だ、大丈夫……!】
マークス俺を庇って、川に落ちるなんて……!
マークス落ち着いて、ゆっくり深呼吸してくれ。

咳き込む〇〇の背中を、
マークスが優しくさする。

マークス…………。
この状況、なぜか覚えがある……。
マークスいつか、前にも……。
……そうだ……! あれは……。

それは、マークスがまだ
貴銃士として目覚める前のこと──。

生徒1ふぅ……。
今日の訓練もハードだなぁ……。
主人公【あと少しで終わりかな】
【最後まで頑張ろう!】
生徒1ああ、そうだな。
毎日頑張ってる分、力もつくはずだし……あっ!?

躓いてよろめいた同期の士官候補生の体が、
図らずも〇〇にぶつかり、
川の方へと投げ出されてしまう。

主人公【……うわっ!!】

その時とっさに〇〇がとった行動は……
手に持っていたUL96A1を、
地上へ向かって投げ飛ばすことだった。


マークス思い出したぞ……! あの時マスターは、
俺が川に落ちないように、かばってくれた……!
今と同じように……。
マークスこうして、俺が人の形を得ても……
マスターは迷わず助けようとしてくれるんだな。
マークス……心臓のあたりが、なんだかぽかぽかする……。
これが、嬉しいという気持ちなんだろうか。
マークスだが……。
マークス銃を庇ってマスターが傷つくのは、本末転倒だ。
万が一マスターがいなくなってしまったら、俺は……。
マークス今は、あの時とは違う。
俺は使われるだけの銃じゃなくて、
腕も足も動かせる貴銃士になったんだ。
マークス川へ落ちたとしても、自分で泳いで
浮かび上がることもできるようになった。
マークスだから……
マスターが危険な目に遭う必要はないんだ。
主人公【ごめん】
【わかった】
マークス……ああ。
覚えておいてくれ。
マークスそして……いつまでも、俺と共にいてくれ。
マスター。

Ep2. 気持ちは相反する

マークスマスター、今日の合同訓練だが……
俺と組んで、スポッター役をしてくれないか?
主人公【もちろん!】
【任せて】
マークス……ありがとう。
気を引き締めて頑張る……!
今回はスナイパーが任務成功の要だからな。
マークス俺の背中は、マスターに任せるぞ。

マークス…………。
そろそろ、他のチームの司令官が
こちらに……来たか!
主人公【標的までの距離と角度を測定!】
【風向きと風速を確認!】
マークス了解。
狙撃のタイミングを合図してくれ。
マークス…………。
主人公【撃て!】
マークス……!

主人公【お疲れ様!】
マークス無事に訓練目標を達成できたのは、マスターのおかげだ。
一緒に組めて、誇らしく思う。ありがとう。
マークスまぁ、スナイパーとしても優秀なスナイパーが
スポッターをしてくれたんだから、成功するのは必然だよな。
マークス……なぁ、マスター。
俺は、1つ気になっていたことがある。
マークス世界中に、スナイパーライフルはいくつもあるだろう。
どうして俺を……UL96A1を選んだんだ?
主人公【それは……】

ある日、士官学校への入学を控えている〇〇の元へ、
正体不明の支援者である『おじさん』から、
手紙と大きな包みが届いた。

厳重な包みを開封すると、
中にはイギリスの狙撃銃、UL96A1が入っている。
そして、同封の手紙には、こう書かれていた。

『スナイパーを目指したいと以前の手紙にあったので、
入学祝いにこれを贈る。スナイパーは厳しい道だが、
君がその夢を叶えられることを祈っている』と。

〇〇は手紙とUL96A1を胸に、
おじさんとこの銃に恥じないスナイパーになれるよう、
努力し続けることを誓ったのだった。


マークスそうだったのか……。
俺は、マスターの支援者からの贈り物だったんだな。
マークスマスターのもとに来られて、よかった……。
その援護者にも礼を言ってやりたいものだ。
マークスだが……マスターは知ってるのか?
スナイパーは、特殊で──危険な立場だ。
マークススナイパーは遠くに潜み、ターゲットを密かに狙い、撃つ。
だから恐れられるし、憎まれ、恨まれる。
マークス捕捉されれば真っ先に狙われ、
捕まっても捕虜としての適切な扱いを受けず即刻処刑になったり、
惨たらしく殺されることもあると、本で読んだ。
主人公【……知ってるよ】
【わかってる】
マークス…………。
マスターは、それほどまでに、この世界を……。
マークス……いや、なんでもない。
マークスもう帰ろう。夕飯が待っている。

マークス(俺は……マスターにはできるだけ安全でいてほしい。
だからできれば……士官学校を卒業したあと……
スナイパーには、ならないでほしい)
マークス(でも、俺をいつまでもマスターに使ってもらいたいし、
ずっと一緒に戦いたいとも思う……)
マークス(一方と一方が折り合わない……
これはムジュン、というやつだ)
マークス……感情って、不便だな。

 

Ep3. 迷子の行方

連合軍の任務で、ある村へ偵察にやってきた
〇〇、マークス、ライク・ツーの3人。

ここの村人がトルレ・シャフの構成員だという噂があり、
その真偽を確かめることが目的だった。

マークス…………。
遠目からだと、普通の村にしか思えないな。
ライク・ツーそりゃそうだろ。
ぱっと見ただけで分かるようなら、苦労はしねぇよ。
マークスマスター、ここは旅人を装うとかして村を見て回って、
真偽を確かめた方がいいと思う。
ライク・ツー行くなら1人だな。
急に3人で押しかけたら、目立つだろ。
主人公【自分が行く】
マークスなっ……!
マスターにそんな危ないことをさせられるわけないだろう!
ライク・ツーじゃお前が行ってこい。
はい決定、ヨロシク。
マークス……はぁ? なんでそうなる。
俺には、マスターを守るという使命が──
ライク・ツー1人じゃ偵察もできないって言うなら、
俺が行ってきてやってもいいけど?
マークスそういうことじゃない!
主人公【やっぱり自分が……】
【2人はここで待ってて】
マークス……!
いや、マスターはここにいてくれ。
マークスおい、ライク・ツー。
俺が戻ってくるまでに、もしマスターに何かあったら……。
ライク・ツーいいから、さっさと行け!

マークス(くまなく見てまわったが……。
どこも怪しい気配はない。
あの噂は、デマだったようだな)
マークス(よし、早くマスターのところに戻ろう)

ライク・ツー…………。

ライク・ツー…………。

ライク・ツー…………。
ライク・ツーおっせぇなあいつ!!
偵察にどんだけ時間食ってんだよ!!
主人公【探しに行こう】
【何かあったのかも】
ライク・ツーったく、使えねぇ奴。
見つけたらタダじゃおかねぇ……。

マークスうぅ……うぅ……。
マークスここは、どこだっ……!
マークス少し近道しようとしただけなのに……!
この森、方向感覚を狂わせる罠でもあるに違いない……!
マークスはぁ……マスター……。
きっと今頃、心配してるだろうな……。
マークス(…………。
このまま帰れなかったら、どうすれば……)
???おい!!
マークス……!?
ライク・ツーチッ……おい、マークスがいたぞ、〇〇。
主人公【大丈夫!?】
マークスマスター……。
本当に、すまなかった……。
ライク・ツーったく、偵察に行って迷子になるとか、
お前は何歳児だよ……。
無駄な手間かけさせやがって。
ライク・ツーもうこれからはいっそ、迷子紐とかリードでもつけて
マスターに持っててもらえよ!
お前、犬みてぇだしな。ハッ。
マークス…………。
リード、か……。

Ep4. 無垢の暴走

マークスの迷子騒動から数日──。
〇〇は、放課後に
貴銃士たちの教室へと顔を出していた。

ライク・ツー……〇〇? どうしたんだ?
主人公【マークスはいる?】
【呼ばれて来たんだけど……】
マークス来てくれたのか、マスター!
マークスマスターに、見てもらいたいものがあるんだ。
ほら、これだ!
ライク・ツーく、首輪と……リード……!?
マークス俺は首輪をつけるから、
マスターはこのリードを持ってくれるか?
ライク・ツーま、待て!
まさかお前、あのときの言葉を真に受けて……?
マークスああ、あんたの言う通りにするのは癪だが、
いい意見だと思ってな。
マークスペンシルヴァニアに作ってもらった
特製の首輪とリードなんだ。
かなり頑丈だぞ。
マークスこうすればもう、マスターと離れることはない。
いつでもそばにいて、守ることができる……!
ライク・ツーマ、マジかよ……。
主人公【えーっと……】
【どうしよう……】
十手あ、あれ……? 俺、疲れているのかな……。
どうもマークス君が、
首輪と紐を持ってるように見えるんだが……。
ジョージいや、オレにも見えるぞ!
マークス……いよいよ犬になるのか??
ライク・ツーおい、〇〇。
このままだとほんとに、リード持たされんぞ……。
マークスどうした、マスター?
主人公【……リードでも、離れる時はある】
【マークスをそういう風に扱うのは……】
マークス……?
どういう意味だ?
マークス俺は絶対にマスターの元に帰ってくるし、
マスターになら、どんな扱いをされても平気だ!
主人公【(どうしようか……)】
【(う、受け取るべき……!?)】
ライク・ツー……クソ、仕方ねーなぁ……。
こうなってんのも半分は俺のせいだし……。
ライク・ツーマークス、あのなぁ──!

その後、〇〇とライク・ツーがマークスを説得し、
首輪とリードの使用を諦めさせるまで、
3時間かかったのだった──。

Ep5. 美味いハーブティー?

マークス──マスター、今、いいか?
一息つけるよう、茶を用意したんだが……。
主人公【ありがとう】
【どうぞ、入って】
マークスああ……。
マークスその……薬草園で俺が育てていた薬草を収穫したんだ。
マスターに、最初に口にしてもらえたらと思って、
ハーブティーをブレンドしてみた。
マークス……飲んでもらえるだろうか?
主人公【喜んで】
【どんなハーブティーか楽しみ】
マークス……ああ!
疲れに効いて、リラックス効果もあるんだ。
いつも懸命なマスターを癒すことができるはずだ!

説明とともにカップに注がれたハーブティーは──
異臭を放ち、ドブのように濁った色をしていた。

主人公【……!?】
【こ、これは……】
マークスちょっと癖のあるハーブだが、薬効は保証する。
さぁ、遠慮なく飲んでくれ!
主人公【(……奇跡的に、美味しい可能性も……?)】
【い、いただきます】

勢いよく一口飲んだ途端、
〇〇は口元を押さえる。

主人公【うぐっ……!?】
マークスどうだ、マスター?
疲れは取れ──マ、マスター!?

主人公【あれ……?】
【ここは……?】
マークスマスター!
気が付いたのか……!
マークス大丈夫か? 気分はどうだ?
ライク・ツーコイツが騒ぐから何かと思えば……
〇〇が青ざめて倒れてて。
ライク・ツーその原因が──
手作りのハーブティーとはな!
マークスうぅ……っ!!
ライク・ツー体にいいかどうかの前に、
人間には味覚ってのがあるんだよ馬鹿が!
不味いモン食って平然としてられるヤツは、人間じゃねぇ。
マークス本当に……すまない……。
マスター……
俺は、マスターに元気になってほしくて……。
主人公【気にしないで】
【大丈夫だよ】
マークスマスター……こんな目に遭わせたのに、
俺に優しくしてくれるのか……。
マークス……よし!
次からは必ず、まずは自分の口で確認してから
マスターに渡すことにする……!
主人公【次は美味しいのを期待してる】
【また一緒にお茶しよう】
マークスああ、任せてくれ!
今日から早速ハーブの研究だ!

コメントを書き込む


Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

まだコメントがありません。

×