【リーディングルーティーン】ローレンツ

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解説

カード解説

これは遠い記憶の欠片。オーストリアでの、彼らの物語の前日譚。
皇帝の右腕を自負するローレンツは、かつての運命との出会いに思いを馳せつつ、知識の世界に耽溺する。
「読書の供に、音楽とコーヒーは必須だよ」

心銃解説:刮目せよ! 技術の粋!

青年は歓喜した。必ず、かの絶世独立の王の力にならなければならなぬと決意した!
俺が呼ばれた意味はあまりに自明だが、求めるならば証明しよう。いざ、証明開始!

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

Ep1. 優秀な君の仕事

これは、〇〇たちが
オーストリアを訪れる前──
ローレンツが、貴銃士として目覚めたばかりの頃の話。

ローレンツ……青年がおもむろに目を開くと、
まばゆい光が彼を照らし出していた。
そんな彼の前に現れたのは、1人の少年であった……。

ローレンツが真っ先に認識したのは、
1人の少年と、その後ろに控える人々だった。

仕立てのいい服装や、部屋の調度品からして、
彼らは只者ではなさそうだと、
ローレンツは瞬時に判断する。

ローレンツ(ふむ……)
???やぁ。
無事に目覚めたようだねー。
???さっそく説明に入ろうか?
色々聞きたいこともあるだろう。
ローレンツ……いいや。その必要はない。
なぜなら、俺が呼ばれることはわかっていたからだ。
ローレンツ特別なローレンツ・ライフルは、
特別な貴銃士として目覚め、歓迎されるもの……。
ローレンツそして俺は紛れもなく、
官営工場で作られた特別で優秀なローレンツライフルだ。
ローレンツ……そう。
仮説はこの場をもって証明されたのだ!
???……?
何も証明されていないが……?
ローレンツさて、諸君。
俺は──んん!?

話を続けようとしたローレンツは、
少年が手にしている銃を見て、ハッとする。

ローレンツそそ、その銃は!
ローレンツサンゴで施された美しい意匠、
そして、プルス・ウルトラの文字……!
ローレンツあっ、貴方様はもしや、
カール5世陛下のピストルではありませんか!?
カールああ、そうだ。
ローレンツ……っ!
そうとは知らず、先程はとんだご無礼を……。
どうか何卒、ご容赦ください……!
カールま、別に構わんさ。
さて……本題に戻るがね。
カール単刀直入に聞く。
──君は、絶対高貴になれるか?
ローレンツ絶対高貴……!
カール…………。
ローレンツ──小さな体躯に幼い声。しかしその見た目に反し、
偉大で荘厳な歴史を秘めた、
かの銃の化身である少年は重々しく告げた。
ローレンツ『絶対高貴』という言葉を……。
カールうん、うん。
ローレンツ『絶対高貴』……青年はその言葉を、
何度も頭の中で反芻した。
しかし──。
カールしかし……?
ローレンツ残念なことに青年は、
『絶対高貴』という単語について……。
ローレンツまったくの無知であったのだ……!!!
カール……!!
ローレンツなんという悲劇。
青年は憧れと尊敬を抱いた偉大な少年の力になれぬと、
嘆くしかなかったのである……。
カールなんだ、そうだったのか。
使えないねー、君は。
ローレンツはうぁっ……!
誠に、申し訳ございません!!
カールああ、いや「使えないんだね」の間違いさ。
それにしても、なかなか愉快だなー君は。
ははっ!
ローレンツさすがはカール様……!
寛大なお方でいらっしゃる。
ですがどうぞ、ご安心を。
ローレンツ官営工場製の優れた俺は、
すぐにでも絶対高貴とやらに目覚めてみせましょう!
カールうむ! なら期待していよう。
ローレンツはい! さて、そうと決まれば……
さっそく仮説を立てて、検証を進めなければ。
ローレンツまずは情報収集を……
絶対高貴とはどのような状態なのかの
定義づけを行わなければ……。

ブツブツと呟きながら退室しようとするローレンツを、
カールが制止する。

カールまぁ、待て。
君には、別にやってもらいたいことがあるんだ。
ローレンツそれは……
絶対高貴の研究より、優先されるものなのですか?
カールもちろんだとも!
『優秀』な君を見込んで、任せたい案件があってねー。
ローレンツ……!
カール僕には、信頼のおける直属の部下が必要なのさ。
そのために君を召銃させたと言っても過言ではない。
ローレンツ……! そうだったのですか……。
なんたる光栄……!
ローレンツ不肖ローレンツ、粉骨砕身お仕えいたします!
どうぞ俺になんなりとお任せください。
カール……はは、それは頼もしい。
ならば早速、君への任務を伝えるとしよう。

Ep2. 2人の化学反応

カールからベルガーのことを託され、
ローレンツは早速、ベルガーのもとへと出向いた。

ローレンツ──失礼するぞ、Mr.ベルガー。
ベルガーギャハハッ!!
アヒャハハハハ!!
ローレンツ(う……! なんと下品な笑い声なんだ……)

ローレンツが牢の中を覗き込むと、
ポテトチップスとコークを貪りながら寝そべり、
漫画を読んでいるベルガーの姿が見えた。

ローレンツこれは……非常にだらしない……。
ベルガーうひゃひゃ、やっぱコレおもしれー!
……んぁ? ポテチもうなくなっちまった!
ベルガー……お? お前アレか?
俺の新しい召使いだろ!
新しいポテチとコーク持ってこい。5秒でな!
ローレンツこの俺が、召使いだと……。
そんなわけがないだろう。
ローレンツ俺は、ローレンツ。
オーストリア帝国初の国産ライフルの貴銃士だ。
そして──
ローレンツ光栄にもカール様『直属』の
『信頼』のおける『優秀』な部下として、
君のもとへやってき──
ベルガーぶひゃひゃっひゃひゃひゃ!
ローレンツ君! 漫画を読むのをやめたまえ!
人の話を聞け!
ベルガーはぁ?
なんだよおめー、まだいたのかよ。
ポテチとコーク持ってこいつっただろーが!
ローレンツ…………。
ローレンツ聞いていなかったようだからもう1度言ってやろう。
俺は君の召使いなどではなく、
官営工場製の優秀な貴銃士ローレンツだ。
ローレンツ……それから、菓子や炭酸飲料ばかり摂取するなど、
実に愚かしいことだぞ。
食事というのはバランスよく……むむっ!?
ローレンツな、なんだ、その書物についた汚れは……。
まさか君、菓子を食べて油まみれになった手で、
そのまま書物を読んでいるというのか……!?
ベルガーあ? 別に、読めりゃいーだろ。
ローレンツ……! 本はデリケートなのだぞ。
もっと丁寧に扱いたまえ!
まったく……なんとおぞましい……。
ベルガーつーか、なんだっけ、お前。
モーレツ?
ローレンツ……違う、ローレンツだ。
ベルガーロンレーツ、てめぇ、
召使いじゃねぇなら何しに来たんだよ。
暇なら差し入れくらい持ってこいっつーの!
ローレンツはぁ……全然わかっていないじゃないか……。
ローレンツまぁいい。
なぜ俺がここに足を運んだか、教えてやろう。
俺は、君の研究のために赴いたのだ!
ベルガーはぁ? ケンキュー?
ローレンツ我々は、絶対非道について知りたいと願っている。
ならば、絶対非道を使える貴銃士を研究するのは、
証明するまでもない当然の帰結と言えよう。
ベルガーフーン。
俺は漫画読んどくから邪魔すんじゃねーぞ。
ローレンツ何を言っている。
君が怠惰に漫画を読んでいるだけでは、
研究が一向に進まないじゃないか。
ローレンツ絶対非道を発動してみるとか、
その時の感覚について伝えるとか──
ベルガーはぁ~?
なんで俺がんなメンドーなことしなきゃなんねーんだよ!
ベルガーけど……そーだな~~、
「ベルガー様、力を貸してください~」って
土下座して毎日コーク持ってくんならいいぜ?
ベルガーま、1秒で気が変わっちまうかもしんねーけどな~!
あひゃひゃひゃっ!
ローレンツ……!
……かの青年は、ここまで傍若無人な生物が
世界には存在したのかと、頭を抱えた……。
ローレンツ人としての知性や理性を持たず、
ただ豚のように菓子とジュースを口にするだけの、
囚われし者……。
ローレンツ……そうか!
ローレンツつまり君は、貴銃士というよりも……
絶対高貴・非道について解き明かすために存在する、
実験用の生命体というわけだな……!
ローレンツ言うなればラット……
いや、それにしては大きいから、
さしずめモルモットといったところか。
ベルガーてめぇブツブツうるせーぞ!
きもちわりー奴だな~。黙ってろ!
ローレンツああ、すっきりしたぞ。
Mr.ベルガーは今後、実験体として扱うとしよう。
ローレンツさて……まずは基本的な数値の測定からか?
となると、必要な器具は……。
ベルガーま、無視しときゃいっか!
次の巻はぁ~っと……。

 

Ep.3 深夜の秘密実験

ローレンツが実験のために
ベルガーの元に通うようになってから、
しばらく経ったころ……。

ベルガーぶひゃひゃ、あひゃっひゃっひゃ!
すっげ~なコイツ、つえ~~~!
ローレンツなぁ、モルモット。
……君は、外に出たいとは思わないのか?
ベルガーんぁ?
外に出たらなんか面白いことでもあんのか?
ベルガーここにいりゃあ、下僕その1がマンガ持ってきてよぉ、
下僕その2がコークやらなんやら運んでくるだろ~。
ベルガーふぁ~、ねみ……。
昼寝でもすっかな~。
ローレンツ(俺は一刻も早く、絶対非道の研究を進め……
カール様の期待に応えたいというのに)
ローレンツ(当の本人がこの調子で実験に協力する気がなく、
脱走のために絶対非道を使おうともしない。
これでは何もできないではないか……)

思案するローレンツとは逆に
ベルガーは横になり、漫画を広げたまま
すやすやと居眠りを始めてしまう。

ローレンツ(……やはり、このままではいけない)
ローレンツ(協力する気がないのならば……
力ずくで協力させるまでだ……!)
ローレンツフッ……フフフフフ……!!
ローレンツ見ていろ、モルモットよ。
この俺に間違いはないのだ!
フフフフフ……!!

──その夜。

ローレンツ……っと。
よし、ここに置こう。ふぅ……。
ベルガーぐー……ぴー……。
すかっ………………ぐー……ぴー……。
ローレンツ(よく眠っている……ではまずは、
『絶対非道はどのような条件で発動するのか』
という検証から始めよう……)
ローレンツストローグル博士の実験を参考に……。

ローレンツはブツブツと呟きながら、
機材から伸びたコードの先端にあるパッドを
ベルガーに貼り付ける。

ローレンツでは……実験、開始。
ベルガーッ!!! うががががッ!?
ローレンツふむ……電気は問題なく流れたようだな。
ベルガーな……なんら!? んぁ!?
あっ!! てめぇ!!!
ベルガーおいこらクソメガネ! いきなり何しやがる!
死ぬかと思っただろうがっ!
ローレンツおお、そうか。それはよかった!
どうだ? 絶対非道を発動したくなったか?
ほら、早く使え。
ベルガーあ? んなわけねーだろバーーカ!
いきなりビリビリさせて絶対非道使えとか
意味わかんねぇこと言ってんじゃねーぞ!
ローレンツそうか……では絶対非道を発動したくなるまで、
死なない程度に電流を強くしていくとしよう。
ベルガーは……!?

──数日後。

静かにうなだれるベルガーに向かって、
ローレンツは新作のポテトチップスを差し出す。
ベルガーは反射的に受け取るが、それと同時に──

ベルガー……うぎゃああああっ!?
ベルガー…………。
ローレンツこれもだめか……。
電気ショックを伴いながら報酬を受けた場合の、
新たな反応が見られると思ったのだが……。

あれから日常的に強力な電気ショックを
与え続けられたベルガーは、
痛みへの反応が鈍くなってしまっていた。そして──

ローレンツおい、Mr,ベルガー。
おーい。おーい?
ベルガー…………。
ローレンツ(絶対非道の兆しがないばかりか……
表情の起伏すら乏しくなってしまったな)
ローレンツ(このままでは実験が進展しない。
ふむ……どうしたものか。
これではカール様の期待に応えられない……!)

ローレンツ──というわけでして。
どうしたらよいでしょうか、カール様。
カールなるほどね……はっはっはっ!
まぁ、アプローチの仕方が
よくなかったんじゃないかなー。
カールベルガーが絶対非道を使いたくないのは、
なぜだと思う?
ローレンツ使いたくない理由……?
な、なるほど。うーん……うーむ……?
カールこれはあくまでも、一例だが……
彼が絶対非道で大暴れした時、
マスターの薔薇の傷跡が深くなってしまってね。
カールそういったことを気にする貴銃士もいるだろう、
ということだ。
ローレンツ……!
カールまあ、もっとも、
彼にそんな殊勝さがあるとは到底思えないがねー。
はっはっは! まあそんな感じで、色々理由を考えて──
ローレンツ(絶対非道と薔薇の傷跡の関連性……。
それが本当なら、彼は絶対非道になれないのではなく、
……なりたくない?)
ローレンツ(彼は、マスターを蝕む己の力に苦しんでいて……
だからあの無気力状態も、
俺を諦めさせるために、わざと演技を……?)

ローレンツ……Mr.ベルガー!
もう、心がないフリをする必要はない!

ベルガーの心をほぐすように、
ローレンツは、これまでで一番強い電気ショックを
彼に浴びせる。

ベルガー……!
いでぇ! いでぇよ!
もうやめてくれって……!
ローレンツおお……反応が!
やはり今までのは演技だったのだな!
ベルガーなんでこんな……嫌だ……
もう、本当にやめてくれ……ううっ……。
ローレンツおお……涙を流すほど嫌なのに、
マスターのために我慢しているのか……?
ならば──
ベルガーは!? 何やってんだ!?

ローレンツは、ベルガーに貼っていたパッドを
いくつか剥がすと、自分の身体へと貼り付ける。

ローレンツ……っ! 俺も君の罪を共に背負おう。
君と同じ、痛みと苦しみを分かち合おう。
ともに苦難を乗り越えよう。
ローレンツ君は俺の大事な──モルモットだからな!
ベルガーひっ……!
意味わかんねぇよ、やめろ……!
ローレンツふっ……嬉しいくせに悪態かい?
君は本当に素直じゃないな……!
ローレンツさぁ、今日も実験を開始しよう!
ベルガーぎゃあああっ!

Ep4. 安らぎのひととき

──時は流れ、これは〇〇が
オーストリアに滞在していた時の話。

ローレンツ……やれやれ。
まさか朝からこんな時間まで
公務が詰め込まれるとは……。
主人公【お疲れ様】
【大変そうだね】
ローレンツああ。カール様のためとはいえ、
大事な読書の時間に支障が出るのは困りものだな。

ローレンツは軽く溜め息をつきながら、
コーヒーを淹れるために湯を沸かし、
レコードプレーヤーへ手を伸ばす。

ローレンツ今日の音楽は……
そうだな、これにしよう。

レコードが回り、クラシック音楽が流れ出す。

ローレンツうむ、いい音だ……。

満足気に頷きながら、ローレンツは手慣れた様子で
カップにコーヒーを注ぎいれた。

ローレンツついでに君の分も淹れておいた。
飲むといい。
主人公【ありがとう】
【いただきます】
ローレンツああ。
俺はこれから読書の時間に入る。
君は好きに過ごすといいだろう。
ローレンツ君も何か興味深い本があれば、
コーヒーを飲みつつ読み進めてはどうだ?
ローレンツちなみに俺は、
1日最低5時間は読書をすると決めている。
ローレンツその時間に気にいった本を読み返すこともあれば、
新しい本を熟読することもある。
ローレンツそして読書の供に、
素晴らしい音楽とコーヒーは必須なのだよ。
主人公【今日読む本は?】
ローレンツこれは、
『正しいモルモットのしつけ方』というものだ。
ローレンツモルモットの生態や学習能力、
効率的な躾の仕方、健康を保つための食事……。
ローレンツ様々な観察や実験に基づいた、
実に興味深い内容がまとめられている。
なかなか読みごたえも実用性も十分だ。
主人公【…………】
【モルモット……】

〇〇は、ベルガーと自分自身のことを
一瞬考えてしまったが、意識的に思考をストップする。

ローレンツん……?
なに、本の内容が難しそうだからと言って、
敬遠することはない。
ローレンツ読書はよいものだ。
読むだけで先人の知恵や思想、
努力の結果を知ることができるのだから。
ローレンツ新たな知恵を取り入れるための資料としても、
斬新な発想を得るためのきっかけとしても
活用することができる……。
ローレンツよって一つのものに囚われず、
様々な書物を読んで情報を取り入れることは
非情に有用なのだ。
ローレンツまぁ、俺の場合、
知識を蓄えること自体が好きというのが一番だがな。
ローレンツうむ。
やはり美味しいコーヒーは、
読書との相性が最高だな。

Ep5. ローレンツの贈り物

──ローレンツが士官学校を訪れるようになってからのこと。

ローレンツああ、会いたかったぞ、モルモット2号……!
主人公【久しぶり】
【(その呼び方はちょっと……)】
ローレンツ公務の間を縫って、
なんとかこちらへ来ることができた。
本当はもっと頻繁に来れるといいのだがな……。
ローレンツオーストリアには今、君たちのように
俺の好奇心を刺激してくれるモルモットがいない。
日々の張り合いがなく、退屈で仕方がないのだ……。
ローレンツ今日時間を作って士官学校を訪れたのも、
君たちにやってみたいことがあったからなのだよ。
主人公【また、酷いことを……?】
【危険なものは困る】
ローレンツ安心したまえ。
肉体や精神に害があるような実験をする気はない。
ローレンツ今回は……俺のモルモットたちは、
どんな刺激を与えられたら一番喜ぶのか、
という実験だからな。
ローレンツでは、さっそくモルモット1号に会いに行くとしよう!

ローレンツ……まさか、Mr.ベルガーが自室にいないとは。
ローレンツ彼ならば、アルパチーノやテキサス1号と
部屋でのんびり過ごしているとばかり……。
主人公【他に心当たりは?】
ローレンツそうだな。俺の仮説では……
彼は食堂で食事をしていると見た!
今は昼過ぎだしな。早速向かうとしよう。

ローレンツ……証明ならず、か。
やはりモルモット1号の思考を
完璧に解明するのはまだ難しいな。
ローレンツとなると、次に立てる仮説は……ん?
ベルガーげぇっ!
ローレンツおお、久しいな、モルモット1号!
ベルガーちょ、近寄んじゃねーよ、バーカバーカ!!!
ベルガーつーかお前もはやく逃げろよ!
主人公【大丈夫】
【今回は贈り物を持ってきてくれたらしい】
ベルガーは?
……マジ?
ローレンツモルモット2号の言う通りだ。
その証拠に──これを見たまえ!

ローレンツが差し出したのは、
黒っぽい液体が入った瓶だった。

ベルガーんん? コークじゃねぇか!
なんだお前、意外といいヤツだったんだな!
ベルガーんじゃ、いっただっきまーす!

コークを見てあっさりと心を許したベルガーは、
ほとんど奪うようにボトルを受け取り、
一気に飲み干そうとした。しかし──

ベルガーぶはあっ!!

飲んだ直後、思い切り噴き出してしまう。

主人公【……!?】
ベルガーゲホッ、ゲホッ……なんだこれ!?
甘くなくて、苦ぇのにしゅわしゅわしてて……
クッソマジぃ!
ベルガーてめぇ、何飲ませやがった!?
ローレンツん? 正式名称は知らないが……
それはこの俺が特別に手ずから作った、
コーヒー炭酸飲料だ。
ベルガーはぁ!? コークじゃねぇのかよ!
やっぱお前は悪魔だ! このクソメガネ!
もう二度とだまされねーかんな!
ローレンツ……?
なぜ1号はあんなに怒っているんだ?
いつも飲んでいるものより上質な飲み物のはずだが。
ローレンツ炭酸が喉に心地よく細やかになるように工夫し、
使用したコーヒーもアイス向きの上質なものだ。
それを、不味いなどと評して……。
ローレンツまさか調合を間違え……いや、やはり美味だ。
君も飲んでみるか?
主人公【……遠慮します】
【ローレンツが飲んだ方がいい】
ローレンツ……そうか?
では、遠慮なく。

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