これは、彼の決意の記憶。大切なものを傷つけたくない。だから手を取り合いたい。
──そう思うのは、はたして甘えだろうか?
「俺が、どうにかしないと…!」
歩み寄ったら遠ざかる。手を伸ばせばふいと逃げていく。
……そのくせ、気が付いたら傍で助けてくれる。
「猫みたいな奴」とでもいうのか? お前を理解、できない。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
ラッセルの提案で、野営訓練を行うことになった
〇〇、マークス、ライク・ツー、ジョージ、十手。
森の中を進み始めて早々、マークスとライク・ツーが揉め始め、
険悪なムードが漂っていた。
ライク・ツー | ……ふん。 |
---|---|
十手 | あっ、ライク・ツー君! 待ってくれ……! |
マークス | …………。 |
主人公 | 【マークスにお願いがある】 |
マークス | あ……ああ。 もちろん、なんでも言ってくれ。 |
主人公 | 【ライク・ツーと、手を取り合える?】 |
マークスは今でも十分頼もしいが、
手強い敵であるアウトレイジャーに立ち向かう上で、
手を取り合って戦うことは重要だと、〇〇は伝える。
マークス | マ、マスター……。 |
---|---|
マークス | …………。 |
マークス | ……わかった。 努力、してみる……。 |
──その後、ライク・ツーと十手と合流して
再び5人は森の中を進み始めた。
マークス | ……おい、ライク・ツー。 |
---|---|
ライク・ツー | あ? なんだよ? まだ文句でもあんのか。 |
マークス | …………。 いや……。 |
マークスはライク・ツーに歩み寄ると、
突然その手を取り、ぎゅうっと握りしめた。
ライク・ツー | なっ……!? なんだよいきなり。気色悪ィな。 |
---|---|
十手 | おっ、仲直りの握手かい? |
ジョージ | Wow……That’s nice! おまえたち2人が仲良くしてると、オレもHappyだ! |
十手 | 俺の故郷にこんなことわざがあるんだよ。 「雨降って地固まる」ってね。 一波乱あった後は、前以上にうまくまとまるって話なんだ。 |
ジョージ | へぇ……! いい言葉だな! そういやアメリカにも、似たようなことわざがあったような……? |
十手 | そうなのかい? それは興味深いなぁ。 世界は広く、いろんな人たちがいるけれど、 人付き合いの本質は変わらないって証かもしれないな! |
ライク・ツー | おい、そこ。 勝手に盛り上がんな! |
ライク・ツー | ……で、マークス。 お前は何がしてぇんだよ。 いよいよ脳味噌まで砂糖になっちまったのか? |
マークス | ……? 意味がわからない。 それに俺だって、やりたくてやってるわけじゃない。 |
マークス | だが、これは他でもないマスターの願いなんだ。 マスターは、俺たちに手を取り合ってほしいと言った。 だから……俺は、マスターの想いに応えたい。 |
ライク・ツー | はぁ……そういうことかよ。 馬っ鹿じゃねーの? 〇〇が言ってたのは、そういう意味じゃねぇだろ。 |
マークス | なに? 違う、だと……? でも、他に何が……。 |
マークス | ハッ……そうか! 手を取り合うというのは、奪い合えということなんだな? |
ライク・ツー | ……は? |
マークス | 手をもぎ取るという発想は、俺にはなかった。 マスターの意図を誤解するなんて……相棒失格だな。 |
ライク・ツー | それもちげーよ! 人体から手をもごうとすんな。 ……ったく、どうしようもねぇ馬鹿だな。 |
マークス | なんだと!? |
ライク・ツー | 馬鹿に馬鹿って言ったんだよ。 なんか文句でもあんのか? |
ジョージ | Oh……仲直りかと思ったら違ったみたいだな。 |
十手 | まあまあ……落ち着いて。 君たちが喧嘩したら、〇〇君が困るだろう? |
マークス | …………。 すまない、マスター……。 |
マークス | なぁ、マスター。 俺は、マスターの意図をきちんと理解できていなかったみたいだ。 手を取り合う……って、何をすればいいんだ? |
---|---|
主人公 | 【2人で協力してほしい】 →マークス「あいつと、協力? そんなことができるのか……?」 【相互理解を深めてみたらどうだろう】 →マークス「相互、理解……? んー……自己紹介から始めればいいだろうか……?」 |
マークス | マスター、もう少し知恵を貸してくれ。 |
主人公 | 【まずは信頼してみるとか?】 →マークス「あいつを、信頼……。」 【ライク・ツーを信じてみたらどうだろう】 →マークス「信じてみる……。」 |
マークス | マスターの望みなら、努力はしたい……。 けど、あいつを信じることは、マスターのためになるのか……? |
マークス | …………。 |
波乱の野営訓練を終え、マークスたち5人は、
なんとか無事にフィルクレヴァート士官学校へと帰還した。
ジョージ | ふぅ! なんか、戻ってきたー!ってカンジがするな! |
---|---|
十手 | いやぁ、訓練はたったの数日なのに、 士官学校に戻るのは随分久しぶりに思えてしまうよ。 |
ジョージ | HAHAHA! この数日でいろいろあったもんなー☆ |
恭遠 | みんな、おかえり。 今回は大活躍だったな。 |
ライク・ツー | そりゃどーも。 |
マークス | …………。 |
十手 | 恭遠教官! 用意してもらった図鑑が大いに役立ったよ。 いやぁ、感謝、感謝だ! |
ジョージ | 十手が作ってくれた野草の料理、 なかなかウマかったな~! |
ライク・ツー | ……はぁ。お気楽な奴ら。 |
マークス | おい、どこに行くんだ? |
ライク・ツー | 筋トレ。 野営訓練中は日課ができなかったからな。 身体が鈍らないように整えねぇと。 |
十手 | ライク・ツー君はすごいなぁ。 自分にも厳しくて、真面目にコツコツと鍛錬を重ねている。 俺も見習いたいもんだ。 |
ラッセル | ああ……。彼は成績も優秀で、いつも冷静に状況を見ている。 非常に心強い貴銃士なんだが…… だからこそ、もう少し協調性があればと思ってしまうよ。 |
恭遠 | そうですね……。 しかし、あれは彼の個性でしょうし、 なかなか外側からどうこうするのは難しいかと。 |
ラッセル | うーむ……そうですか……。 |
恭遠 | さぁ、君たち。今日は特別休暇だ。 今のうちにゆっくり身体を休めておきなさい。 |
主人公 | 【はい】 【ありがとうございます】 |
マークス | …………。 |
ジョージ | おーい。どうしたんだ、マークス。 さっきから難しい顔してるけど。 |
マークス | ……なぁ。 あんたたちはなんで、ライク・ツーのことを信じられたんだ? |
十手 | え……? |
マークス | あの状況ならライク・ツーが裏切ったと考えてもおかしくない。 なのにあんたたちは、あいつの話を聞くべきだと言った。 それはなぜなんだ? |
ジョージ | うーん……そうだなぁ……。 |
ジョージ | こう……ビビッときた! ライク・ツーの行動には、理由があるんじゃないかって! |
マークス | ビ……ビビッ……? |
ジョージ | ビビッっていうか、ピーン!かな!? ほら、なんとかのカンってやつ? |
十手 | ふむ……第六感というやつかな。 |
ジョージ | YES! それそれ! |
マークス | 要するに、なんの根拠もないというわけか。 あんたに聞いた俺が馬鹿だった。 |
ジョージ | ええっ、マークスひどいぞー! |
マークス | ……で、十手はどうなんだ? |
十手 | ……そうだなぁ。 彼は素っ気ない態度のことも多いが、率直だと思わないかい? |
マークス | 率直……? |
十手 | 言葉は厳しいけれど、それは変に包んだりせず、 ありのままを伝えてくれているからだと思うんだ。 |
十手 | 自分が嫌われたり誤解されたりすることも恐れずに、 俺たちのためにわざと、普通なら言いづらいような 厳しいことも言ってくれているんじゃないかなぁ。 |
マークス | そう……なのか……? あいつの言葉で、あんたのためになったことがあるのか? |
十手 | もちろん。貴銃士になったばかりの頃…… 俺が十手鉄砲で戦おうとすると、ライク・ツー君に 「邪魔だ」とか「下がれ」とか言われて凹んだもんだ。 |
十手 | けど……絶対高貴が使えない状態の俺では、 むやみに出張ろうとしても、彼の言う通り邪魔になってしまう。 まぎれもない事実の指摘だった。 |
十手 | このままじゃいけない……そう思った俺は、 あのときの自分にできることは何かを懸命に考えて、 少しずつみんなの役に立てるようになっていった。 |
マークス | …………。 |
十手 | 良薬口に苦しというように、正論は耳に痛く、 時に受け入れがたいものだ。 けれど、ためになる苦言を聞き逃してはいけないと思うんだ。 |
十手 | 自分が悪者になってでも苦言を呈してくれる人なんて、 そうそういない貴重な存在だ。 だから俺は、彼のことを信頼しているよ。 |
マークス | んー……そうだろうか。 あいつは別にあんたのためじゃなくて、 あの時本当に思ったことを言っただけなんじゃないのか? |
十手 | な、な、な……っ!? つまり俺は、単純に邪魔だったと……!? |
十手 | 〇〇君……! 君はどう思う……!? |
主人公 | 【そんなことないと思うよ!】 【ど、どうだろう……?】 |
十手 | 〇〇君……! |
ジョージ | 元気出せって、十手! オレは、そうやってめげずに頑張れる十手のこと、 マジでスゴイと思うぜ! |
十手 | うう……。 ありがとう、ジョージ君……。 |
マークス | はぁ……。 結局、よくわからないままか。 |
マークス | (俺には……まだ、判断がつかない。 あいつを──ライク・ツーを信じていいのか) |
マークス | (……そもそも、この迷いがあるうちは、 信じているとは言えないんじゃないか……?) |
自室に戻った〇〇が休んでいると、
部屋のドアがノックされる。
マークス | マスター、ちょっといいか? |
---|---|
主人公 | 【いいよ】 【どうした?】 |
マークス | マスター。 足の具合を見せてくれ。 |
マークス | 俺のせいで……マスターは、足を挫いただろう。 だからせめて、手当てをさせてほしい。 |
マークスは〇〇の前に屈むと、
捻挫した方の足を注意深く観察する。
マークス | ……やっぱり、少し腫れているな。 あの調合で間違いなさそうだ。 |
---|
そう言うと、マークスは何かを取り出した。
主人公 | 【それは?】 【もしかして、湿布……?】 |
---|---|
マークス | ああ。俺が作ったオリジナルの湿布薬だ。 薬草園で、鎮静や鎮痛の効果がある外用薬向きの薬草を 育てているから、それを調合して作ってみたんだ。 |
マークス | 校医の話では、市販の湿布薬は、 貼っている時や剥がしたあとしばらくの間、 日光にあたると害が出る場合もあるらしい。 |
マークス | この調合なら、そういうことは起きないと確認した。 人体への効果もラッセルで実証済みだから、安心だ。 |
話しながら、マークスは患部に湿布薬を貼って、
その上から丁寧に包帯を巻いていく。
マークス | ……よし、これでいいだろう。 でも、足がちゃんと治るまで訓練は控えてくれ。 |
---|---|
主人公 | 【わかった】 【ありがとう】 |
マークス | …………。 |
主人公 | 【どうかした?】 【何か悩み事?】 |
マークス | ……マスター。 俺は、マスターに謝らなければならないことがある。 |
マークス | マスターは俺に、ライク・ツーと手を取り合うように…… 少しは信頼してみるようにと言った。 だから俺は、俺なりに努力してみた。 |
マークス | だけど……だめだった。 マスターの命令を聞けないのは、これが初めてだ……。 |
主人公 | 【マークスの意思を尊重する】 →マークス「すまない……。 ありがとう、マスター。」 【理由だけ聞いても構わない?】 |
マークス | 俺は、まだ……あいつのことがわからない。 信用していいのかどうかも……。 |
マークス | 俺は、マスターの願いはなんだって叶えたい。 だけど、俺にとってはマスターを守ることが第一だ。 |
マークス | あいつを信じることは、マスターを守ることに繋がるのか、 俺はまだ、確証を持てずにいる。 |
マークス | だから、ジョージや十手みたいに ライク・ツーを手放しで信じることができない……。 |
主人公 | 【わかった】 【話してくれてありがとう】 |
マークス | マスター……。 |
マークス | ……でも、どうか心配しないでくれ。 マスターは、アウトレイジャーと渡り合う上で、 あいつと俺が協力した方がいいと言った。 |
マークス | あいつと協力することはできないが、 俺1人でもマスターを守れるように、 俺がもっともっと強くなれば問題ない。そうだろう? |
マークス | 俺は、マスターの……マスターのためだけの銃だ。 いつか、俺さえいればマスターは大丈夫だと 胸を張って言えるような貴銃士になってみせる。 |
マークス | その時をどうか……。 信じて、待っていてくれ。 |
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