【ハート、砕く記憶】ライク・ツー

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解説

カード解説

これは、彼の決意の記憶。大切なものを傷つけたくない。
冷たく突き放す言葉は、もう二度と、過ちを繰り返さないと誓う故。
声には出さず、心に独り歌う。

心銃解説:フラジール・オービット

手を取りたい、と思わないといえば嘘になる。
馬鹿みたいに真直ぐな感情が、自分が無くした日々と交差する。
…だから手を払った。血染めの銃は、もう見たくない。

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

 

Ep1. 記憶の残滓と決意

──7年前。
世界は第二代世界帝の圧政下に置かれていた。

ラブ★ワンフゥ~! 今日の仕事はライたんとおいらの激アツコンビ★
テンション上がるゥ~~!
ライクツーちょっとお兄ちゃん、うるさい!
そんなにはしゃいでると──
ラブ★ワンOh……! 鼻血出てきちった!
ライクツーほらね。
もう……ティッシュあげるから、これでさっさと拭いて。
ラブ★ワンフゥ! おいら専用ティッシュ登場★
って、今回は星柄プリントじゃーん!?
最高にイカスゥ~~~!
ライクツーほんっとにうるさいんだけど! 撃つよ。

──ドン!!

ライク♥ツー……っ、何、今の。
おい、報告急げ!
世界帝軍兵士1──失礼します!
隊列先端の隊が攻撃を受けました!
レジスタンスの襲撃だと思われます!
ラブ★ワンおおっと、これはおいらたちの出番かな~?
ライクツー行くよ、お兄ちゃん。
レジスタンス1よし、第二波行け!
レジスタンス2喰らえ!!
世界帝軍兵士たちぐっ……!
世界帝軍兵士2くそっ……!
なんでレジスタンスがあんなに爆薬を持ってるんだ!
世界帝軍兵士3……っ!
確かこの間、輸送車両が襲われて、物資を奪われたって……。
世界帝軍兵士2それでか……!
畜生、世界帝に歯向かう逆賊どもが……!
ラブ★ワンおおっ、派手にやってんねぇ。
ライクツーちょっとお前ら。
レジスタンスなんか相手に何モタモタしてるわけ?
世界帝軍兵士たちラブ★ワン様!
ライクツー様!
ライクツーほら、さっさと隊列立て直して応戦して。
お兄ちゃん、やるよ。
ラブ★ワンオッケェェェーイ!!!
ラブ★ワンほーらほらドブネズミたち!
大人しくゴミになぁ~れ★
レジスタンスたちうわあぁぁぁぁああっ!!
ラブ★ワンフゥ……イイ感じ!
調子出てきたわぁ。
ラブ★ワン……って、あれ?
レジスタンス1今だ! やれ!
レジスタンスたちうおおおお!!!
ライクツーお兄ちゃんっ!
レジスタンスたちぐあぁっ!
ライクツーおいお前ら! 援護射撃!
世界帝軍兵士たちは、はい!

ライクツーもう、本っ当にありえない。
お兄ちゃんすぐジャムるんだから、調子乗って前出ないでよ。
それかジャムらないで。
ラブ★ワンええーっ、おいらがジャムってもへっちゃらっしょ?
ライたんがいれば助けてくれるし、超安心★
ライクツー1回マジで撃たれてきたら?
ラブ★ワン弟が手厳しィ~!
アインスん……? ラブ★ワンとライクツーか。
ラブ★ワンやっほー、アイちん!
任務お疲れぃ!
アインスああ、お疲れ。
お前たちはいつも仲が良いな。いいことだ。
ライクツー仲いいっていうか……お兄ちゃんがポンコツだから、
僕が助ける羽目になってるってだけで……。
アインスお前は家族思いの優しい銃だな。
これからもラブ★ワンを助けてやってくれ、ライクツー。
ライクツー……ったく、しょうがないなぁ。
アインスさんがそう言うなら了解でーす。
他の奴の手には負えないだろうし、僕が面倒見てあげる。
ラブ★ワンフゥ! ツンデレなライたんも好きだよーん★
ライクツーうっざ……。撃っていい?

時は流れ──
世界帝の居城、イレーネにて。

ラブ★ワンあっちゃ~!
ジャムるなんてツイてないっ!
ライクツーちょ……っ!
お兄ちゃん、こんな時にウソでしょ!?
ラブ★ワンってぇな……。
ライク♥ツーお兄ちゃ──
ライクツー……っく! 痛……ッ。

モーゼル……あなたはもう不要です、ライクツー。
ライク・ツー(助け合う……カバーする……。
そんなぬるま湯に浸かってるみたいな関係じゃ、ダメなんだ)
ライク・ツー(そんなふうだと、いずれすべてを失ってしまうから……)
ライク・ツー(だから、『俺』は──)

Ep2. ライク・ツーの暗躍

──野営訓練の途中、トルレ・シャフの秘密施設に迷い込んだ
〇〇、ライク・ツー、マークスの3人。

世界帝軍にいたライク♥ツーを名乗ったライク・ツーは、
与えられた部屋に〇〇を残して、
研究員から施設の案内を受けていた。

トルレ・シャフ研究員1それでは、ライク♥ツー様、各研究室をご案内いたします。
……ところで、マスター様のお姿が見えませんが……?
ライク・ツーあー……研究にはあんまり興味がないんだってさ。
部屋で休んでるから気にしなくていい。
ほら、案内よろしく。
トルレ・シャフ研究員1かしこまりました。
こちらへどうぞ。

ライク・ツーが案内された先には、
金属製の細長いボンベのようなものが並んでいた。

ライク・ツーこれは?
トルレ・シャフ研究員1今回の作戦の要であるガスです。
このガスに含まれる成分は、酸素とヘモグロビンの結合を阻害し、
吸い込むと酸欠状態に陥って、やがて絶命に至ります。
ライク・ツー……ふーん。
トルレ・シャフ研究員1最新の兵器ではありませんが、今回くらいの規模の作戦であれば、
問題なく結果を出せるでしょう。
トルレ・シャフ研究員1忌々しい世界連合軍の将校どもを、
これらで亡き者にしてみせます!
ライク・ツー(……この毒ガスがバラ撒かれたら、まずいことになるな……。
なんとかしてこのことを伝えねぇと……)
トルレ・シャフ研究員1偉大なる帝から世界を簒奪した連中に
目にものを見せてやりましょう。
我々は今後も研究を続け──
トルレ・シャフ研究員1……おや?
ライク♥ツー様、どちらへ?
ライク・ツー日課の筋トレしてくる。
あと、お前さ。意気込むのいいけど、
力みすぎると、失敗するから気をつけろよ。
トルレ・シャフ研究員1は、はい……!

ライク・ツーおい、〇〇。
奴らの狙いがわかった。
ラッセルたちに連絡し──……あれ。

ライク・ツーが、〇〇がいるはずの部屋に戻ると、
そこはもぬけの殻になっていた。
窓が開け放たれていて、夜の風が時折吹き込んでくる。

ライク・ツーマークスのところに行ったのか……?
ったく、ここ2階だってのに、無茶しやがって……。

夜が明けるころ──。

トルレ・シャフ研究員2た、大変だ……!
トルレ・シャフ研究員1どうしたんだ?
トルレ・シャフ研究員2監視用の熱感知カメラに反応が多数……
この施設は包囲されている!
おそらく連合軍だ……!
トルレ・シャフ研究員1なんだと!?
トルレ・シャフ研究員2まさかと思って、昨日侵入者が落ちた辺りを見に行ったら、
死体も何もなかった……!
あいつが連合軍を呼び寄せたのかもしれない。
トルレ・シャフ研究員1しかし、あいつは死ぬはずだとライク♥ツー様が……。
ライク・ツー……あんなかすり傷で死ぬわけないだろ。
トルレ・シャフ研究員1ライク♥ツー様……?
それは一体どういうことです!?
ライク・ツーどうもこうも、言葉のまんま。
腕にちょっと弾が掠っただけで死ぬかっての。
ライク・ツーついでに言うと、連合軍を呼び寄せたのも俺。
……あいつらに報告上げてもらおうと思ってたけど、
よく考えたら無線機俺が持ってたんだった。
トルレ・シャフ研究員1くっ……!
貴様は二度も世界帝を裏切るというのか……!
ライク・ツーはいはい、騒いでないで寝てろ。
トルレ・シャフ研究員1ぐぁっ……。
トルレ・シャフ研究員2うっ……!
ライク・ツーはぁ……いくら研究員だからって雑魚すぎ。

トルレ・シャフの研究員たちを縄で縛って物置に押し込み、
ライク・ツーは足早に歩き出した。

ライク・ツーさて……と。
あとは通信指令室を制圧して、
外部との接触を断っておかねぇとな。
ライク・ツー……俺がまた裏切ったとか余計な情報流されたら、
もう同じ手が使えなくなっちまう。

ライク・ツーが立ち去ってしばらく──。

トルレ・シャフ構成員1おい、大変だ!
俺たち、連合軍に囲まれて──あれ?
誰もいない……?

その時──物置の中に押し込まれていた研究員の眼鏡が床へ落ち、
カシャンと微かな音が響く。

トルレ・シャフ構成員1ん……? 今の音は……物置からか?

男は警戒しつつ、物置の扉を開けた。

トルレ・シャフ構成員1こ、これは……!

ライク・ツーよし、これで完了っと。
あとは俺もさっさとずらかって──
アナウンス『有毒ガス警報、有毒ガス警報。
総員、直ちに防毒マスクを着用せよ』
ライク・ツーチッ……!
あいつらが見つかっちまったのか!?
物置じゃなくて別の場所に押し込んどきゃよかった!
ライク・ツーったく、毒ガス撒いて時間稼ぎのつもりかよ。
連合軍には毒ガスのこと伝えてあるから無意味だってのに。
ライク・ツー……って、やべ。
〇〇たちは状況がよくわかってないままかも。
あいつらがここに来たらまずい……!

Ep3. ライク・ツーの苛立ち

波乱の野営訓練を終え、士官学校に戻った5人。
〇〇が寮の自室で休んでいると、
部屋のドアがノックされる。

ライク・ツーおい、〇〇。
入るぞ。
ライク・ツー……よう。
主人公【どうかした?】
【何か用事?】
ライク・ツーああ。
いや、大したことじゃねぇんだけど……。
お前……足、怪我したんだって?
主人公【大したことはないよ】
【心配してくれてありがとう】
ライク・ツー【大したことはないよ】
→あっそ。ならいいけど。

【心配してくれてありがとう】
→心配ってわけじゃ……。
ライク・ツー大したことないからって甘く見ないで、
ちゃんと痛みも腫れも引いて良くなるまで無理すんなよ。
その方が早く治って、早く訓練に戻れるからな。
ライク・ツーんで、治ったらなまってる方を重点的に鍛えて、
左右の筋力差ができないようにきっちり戻せ。
ライク・ツートレーニングでなんかわかんねーことがあれば、
俺が暇だったら付き合ってやってもいい。
主人公【ありがとう】
【すごく助かる】
ライク・ツー暇だったら、だからな。
つーかそもそも、あの程度の山道でずっこけるなっての。
ライク・ツー…………。
主人公【少し話がしたい】
【マークスとのことなんだけど……】
ライク・ツー……あー、水差し、空っぽじゃん。
その足じゃ動きづらいだろうし、
今回だけ特別に俺が行ってきてやる。話はあとだ。
ライク・ツーじゃあな。

ライク・ツーはぁ……何やってんだ、俺。
別に一回離脱しなくても、ガツンと言ってやればよかったのによ。
ライク・ツー「マークスと俺とを協力させようとするな。
今後同じことを言うのはやめろ。うざい」……って。
ライク・ツー……いや、うざいは言い過ぎか?
ライク・ツーまあいいや。
水がなかったのも、あいつが動きづらいのも事実だし。

水差しに飲料水を補充し、
ライク・ツーは〇〇の部屋へと戻った。
ドアをノックしようとして、室内から声が聞こえることに気付く。

???マスターは俺に、ライク・ツーと手を取り合うように……
少しは信頼してみるようにと言った。
だから俺は、俺なりに努力してみた。
???だけど……だめだった。
マスターの命令を聞けないのは、これが初めてだ……。
ライク・ツー(この声、マークスか……。
俺と入れ違いに来たんだな)
マークス俺は、まだ……あいつのことがわからない。
信用していいのかどうかも……。
マークス俺は、マスターの願いはなんだって叶えたい。
だけど、俺にとってはマスターを守ることが第一だ。
マークスあいつを信じることは、マスターを守ることに繋がるのか、
俺はまだ、確証を持てずにいる。
マークスだから、ジョージや十手みたいに
ライク・ツーを手放しで信じることができない……。
マークス……でも、どうか心配しないでくれ。
マスターは、アウトレイジャーと渡り合う上で、
あいつと俺が協力したほうがいいと言った。
マークスあいつと協力することはできないが、
俺1人でもマスターを守れるように、
俺がもっともっと強くなれば問題ない。そうだろう?
ライク・ツー(……ああ、それでいい。
信じるな、頼るな、甘えるな。1人で戦える力を付けろ。
生温い慣れ合いなんて必要ねぇんだから……)

──やがて、〇〇の部屋からマークスが出てくる。

マークス……うおっ、ライク・ツー!?
あんた、ここで何して──
ライク・ツーほらよ。〇〇に渡せ。
マークスは……?
ライク・ツーじゃーな。

ライク・ツーは、持っていた水差しをマークスに渡すと、
踵を返してさっさと去っていった。

マークス……? なんだったんだ……?

水差しを持ったまま、マークスはしばらくの間、
遠ざかっていく背中を眺めるのだった──。

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