初めてできた友達のためにがんばった在坂へ、邑田たちから労いの焼き芋パーティー。
心と体が温まるこの場所で、在坂は改めて自分の周りには多くの仲間がいることに気付くのだった。
茜色に染まる空の下。
ホクホクの焼き芋を目いっぱいに頬張って、美味しいねって仲間たちと笑いあう。
いつもと変わらない日常が、今日も変わらず輝いている。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
邑田が日本から大量に取り寄せたさつまいもで、
〇〇たちは焼き芋をすることになった。
在坂 | 在坂は、紅あずさを焼く。 |
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邑田 | がぁーん! そこは紅ほのかであろう……! よよよ……在坂と焼き芋の好みだけはわかり合えぬ……。 |
邑田 | しかし、在坂の望みとあらばやむを得ん。 わしは紅ほのか、在坂は紅あずさ。 異なる芋を食しながら、共に生きようぞ……。 |
八九 | ……たかが芋の好みが違うだけで、 そんな悲壮な決意いらねぇだろ……。 |
邑田 | 何か言ったかえ、八九。 ほれ、早うふぁいやーの準備をするのじゃ。 |
八九 | へいへい……。 |
十手 | 八九君、俺も手伝うよ。 よく乾いた落ち葉や小枝がある、いい場所を知ってるんだ。 |
八九 | マジか。すげー助かるぜ。 |
主人公 | 【自分も手伝う】 【自分も一緒に行くよ】 |
在坂 | 邑田、在坂たちは──包み、だな。 |
邑田 | さよう。 この大量の芋を、紙とあるみほいるでくるくる巻きじゃ! それ、かかれーっ! |
落ち葉や木の枝をグラウンドの片隅に集めて焚き火をし、
濡らした新聞とアルミホイルで巻いたさつまいもを投入する。
そうして待つこと1時間ほど……。
邑田 | そろそろ焼けた頃合いかのう。 どれ、試しに1つ割ってみるか。 |
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邑田が丁寧にアルミホイルを剥がしていく様子を、
在坂、八九、十手と〇〇も見守る。
さつまいもが半分に割られると、
美味しそうな濃い黄色の断面から、ほくほくと湯気が立ち昇った。
邑田 | うむ! なんとも素晴らしい黄金……♪ 上出来である。 これは紅あずさゆえ、在坂にやろうな。 |
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在坂 | ありがとう。 とても美味そうだ。 |
八九 | おい、邑田。 こっちはたぶん紅ほのかだぜ。 |
邑田 | ほう。 八九、そなたも芋の見分けがつくようになってきたか。 立派な薩摩男児への第一歩じゃな。感心感心。 |
在坂 | ……そういえば、マスターたちは、 どっちの芋が好きなのかを聞いていなかった。 在坂は、皆の芋の好みを聞きたい。 |
十手 | うーん、どっちも美味しいんだが、 俺は在坂君と同じで紅あずさが好みかな。 ほくほくした食感が実にいい! |
八九 | 俺は、紅ほのかだな。 紅あずさも悪くねぇけど、茶が欲しくなる感じっつーか……。 紅ほのかの方がしっとりしてて食いやすいよな。 |
主人公 | 【自分は紅ほのか派】 【自分は紅あずさ派】 |
邑田 | 【自分は紅ほのか派】 →ほっほっほ。 そなたとわかり合えて嬉しく思うぞ、〇〇や。 |
在坂 | 【自分は紅あずさ派】 →……そうか。 在坂と同じだな。 |
エルメ | あれ……? 煙が見えたから、バーベキューか火事かと思って 来てみたんだけど……何を食べてるの? |
ドライゼ | 赤っぽい皮に、黄金色の中身…… 馴染みのない食べ物だな。なんとも興味深い……。 |
在坂 | これは、芋だ。さつまいもと言う。 |
ドライゼ | サツマイモ……甘いいい匂いがするな。 芋、しかも熱々のものであるからには、 あれを乗せて食べると尚のこと美味そうだ。 |
邑田 | あれ、とな……? |
ドライゼ | 1つ、サツマイモとやらをもらっても構わないだろうか。 |
在坂 | ああ。在坂は構わない。 たくさんあるから、いくつか食べても問題ないだろう。 |
ドライゼ | 礼を言う。 ……エルメ、さっき買ったものがあったな。 |
エルメ | はい、どうぞ。 有塩のしかないけど、それでいいよね? |
ドライゼ | ああ。 少しの塩味が加わることで、甘みはより際立ち奥深くなる。 俺の勘が正しければ、素晴らしい組み合わせになるはずだ。 |
エルメから四角い物体──バターを受け取ったドライゼは、
ナイフで正方形に切り取った一片のバターを、
熱々のさつまいもに乗せた。
邑田 | なっ……! わしの愛しきさつまいもに何をしておるのじゃ、そなた……! |
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在坂 | 在坂は、じゃがバターを知っている。 だが、さつまいもにバターを乗せるのは……知らない。 |
ドライゼ | む……っ、これは……。むむ……。 |
邑田 | ほれ、邪道なことをするからじゃ! |
ドライゼ | う……うまいっ! |
邑田 | な、なんじゃと……!? |
ドライゼ | 素晴らしい……甘味と旨味が濃い、 それだけでも1つの完成された菓子のような味わいの イモ・フォン・サツマ……。 |
ドライゼ | そこへ、バターのコクとほのかな塩味が加わることで、 極上の逸品へ昇華している……! |
エルメ | へぇ。 ドライゼがそこまで言うなら、俺も食べてみようかな。 |
在坂 | ……在坂も、食べてみたい。 紅あずさに、バターを少し乗せてもらえないだろうか。 |
邑田 | あ、在坂……!? |
ドライゼ | 無論、構わない。 この美味さは、より多くの者が味わうべきものだ。 |
ドライゼが、エルメと在坂のさつまいもにも、
一片のバターを乗せた。
在坂 | んん……美味しい……! 邑田も、食べてみるといい。 |
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邑田 | 在坂が……そう言うのであれば……。 むむむむ……。 |
在坂に差し出されたバター乗せさつまいもを、
邑田は恐る恐るといった様子で一口食べる。
邑田 | な、なんと……! 美味である……! |
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十手 | それなら、俺も少しいただこうかな! |
八九 | 俺も。 ていうかよ、考えてみりゃ、スイートポテトみたいなもんだよな。 マズくなる要素がねぇ。 |
在坂 | はふっ、もぐ……!! もぐもぐ……!! |
30分後──
八九 | うぅ……腹いっぱい……。 もう食えねぇ……。 |
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在坂 | 不思議だ……。バターなしの焼き芋と、ありの焼き芋。 甘いとしょっぱいが交互だと、在坂はいくらでも食べられる……。 |
十手 | 在坂君、まだ食べるのかい……!? |
邑田 | これ、在坂や。 いくら美味くとも、食べ過ぎては腹を壊してしまうぞ。 今食うておるもの以外は没収じゃ。 |
在坂 | 在坂の、焼き芋……。 |
邑田 | そっ……そのような目で見ても、此度ばかりは駄目じゃ。 そなたのことを思うて、心を鬼にし、 さつまいもを取り上げるわしを許せ……! |
八九 | いや、だから、芋のことでそんな悲壮な決意いらねぇだろ……。 |
邑田 | 何か言ったかえ、八九。 |
八九 | ……なんでもないっす。 |
邑田に焼き芋を没収された在坂は、
他の貴銃士たちも続々と集まってくる焚き火の前の輪を離れ、
1人で芝生に座っていた。
在坂 | 焼き芋……在坂は、まだ食べられるのに……。 |
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八九 | ……よう。 |
在坂 | ……なんだ。 在坂に見せびらかしながら、焼き芋を食べに来たのか? |
八九 | ちげーよ! まだまだ焼き芋あるし、お前ひょろいくせに大食いだから、 焼き芋ちょっと持ってきてやったんだっての。 |
八九 | ほらよ。 邑田にバレる前に、さっさと食おうぜ。 |
在坂 | はふ……、熱い……が、美味い。 在坂は、毎日焼き芋とオムライスでも飽きないだろう。 |
八九 | お前の場合マジで飽きなさそうだよな……。 俺はさすがに毎食味噌ラーメンだと飽きるぜ。 |
在坂 | 在坂にはわからない。食べ物があるだけでも嬉しい。 毎食好物があるのは、もっと嬉しいのではないか? |
八九 | まぁ……そうかもな。 |
在坂 | 八九、芋がなくなった。 在坂は、おかわりが欲しい。 |
八九 | いや、食うのはえーよ!! |
邑田 | …………。 |
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十手 | (邑田君は何を見て──って、八九君が在坂君に こっそり差し入れをしてるのが見つかってしまってる……!?) |
十手 | む、邑田君……八九君を怒らないであげてほしいんだが……。 ほら、在坂君に頼まれたのかもしれないし……ねっ!? |
邑田 | ほっほっほ。案ずるでないぞ、十手や。 わしは、見守るということを学んだのじゃ。 在坂の腹は心配であるがのう……。これ以上口出しはするまい。 |
十手 | おお……! |
──焼き芋の会は、こうして穏やかなまま幕を下ろしたのだった。
※このカードはストーリーが1話のみです。
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