【路地裏の追跡】ライク・ツー

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解説

カード解説

これは彼がまだ目覚める前と、目覚めたあとの日常譚。
ライク・ツーが、何故か夜の街に頻繁に外出していると聞き、尾行開始した主人公だったが……
「こんなとこまでノコノコついてきてんじゃねーよ、馬鹿が」

心銃解説:Hide and seek?

俺のことがわからなくなった?
なら逆に、お前は俺の何をわかってると思ってたんだ?
わからない方が、いいことだってあるんだぜ。なあ、覗き魔さん。

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

Ep1. 語られない過去

マークス人が多いな……。
ライク・ツーはぁ、なんで俺まで
一緒に出掛けなきゃなんねぇんだよ……。
ジョージHAHA☆ まーたそんなこと言って~!
全員分の外出許可を取り付けてくれたのは
ライク・ツーじゃないか。
ジョージそれってつまりー、
おまえも、俺たちと出かけるのを
楽しみにしてたってことだろ~?
ライク・ツーちげーよバカ。調子に乗んな。
お前らがボーッとしてんのが
見ててイラついただけだっつーの。
ライク・ツー外出許可も取らずに出かける気だったなんてな。
規則違反でもしてみようってか?
十手はは、面目ない……。
ライク・ツー君がしっかりしてて、助かったよ。
マークスで、これからどこへ行くんだ。
ジョージ行き先はオレに任せろっ!
いくつかいい感じの店をピックアップしてきたんだ。
ジョージえーっと、地図の右上の方だから……こっちだな!
ライク・ツーいや、それだと逆の方角。
ほら、さっさと行くぞ。
十手あ、待ってくれ、ライク・ツー君!

人混みの中、ライク・ツーは人とぶつかることなく、
難なく進んでいく。

マークス……っと……。
あいつ……なんか、人混み歩くの慣れてるな。
十手ああ、スルスルと歩いていくなぁ。
見事なもんだ。よーし、俺たちも彼に続こう!

ジョージ──このイカした帽子、ください!
えっと……お金はこれで足りるか?
店主ああ、まいど。
……はい、お釣りだよ。
ジョージThanks!
じゃ、次の店へGO~!
ライク・ツー……ジョージ、ちょっと待て。
ジョージへっ?
ライク・ツー……おい、お前。
こいつが買い物慣れしてなさそうだからって、
ふざけた真似してんじゃねぇよ。
店主……っ! な、なんの話でしょう……。
ライク・ツー寝ぼけたこと言ってねぇで、
ちょろまかした分のお釣りを返せよ。
ほら、さっさとしろ。
ジョージええっ……!?
オレがもらったお釣り、足りなかったのか!?
店主ま、間違えただけだ!
ほらよ! これでいいだろ!
ライク・ツーったく……。

マークス……釣りを9割横取りしといて、間違えただけだと?
あの男、嘘が下手すぎるだろう。
十手まったく、呆れたもんだな。
あの店で二度と買い物してやるかってんだ!
ライク・ツー……人間なんて、みんなああだぜ。
利己的で、他人を出し抜く隙を抜け目なく窺ってる。
士官学校の奴らは、まだいくらかマシだがな。
十手渡る世間に鬼はなし……
そんな言葉を信じたいものだがなぁ。
十手しかし……ライク・ツー君は、
なんというか……そう、
人の暮らしに慣れている感じがするなぁ。
ジョージだな! 金の計算速いし!
十手こういう、大勢の人でにぎわった街の巡り方も
すっかり心得てる感じがするよ。
何か、秘訣でもあるのかい?
ライク・ツー…………。
んなの、お前らが鈍くさいだけだろ。
ジョージええっ、ヒドッ!
マークス……今、嘘ついただろ。
ライク・ツーは? ……ついてねぇし。
ライク・ツーおい、まだ見る店あんだろ?
のんびりしてると時間なくなるぞ。
マークス…………。
ライク・ツーほら、地図貸せよ。

ヴィヴィアン──『UL85A2』……。
あとは、これを隠して寮に戻れば……。
ラッセルん……? ヴィヴィアン・リントンロッジ候補生。
こんなところで何をしているんだね。
ヴィヴィアンあっ……い、いえ!
ただ、買い物をした帰り道で……。
ラッセル……それだけじゃないだろう。
君が今、荷物の中に隠したのは……銃だな。
ヴィヴィアン……っ!
ラッセル外に銃を持ち出すことは校則違反だ。
君も、知らないわけはないだろう。
……校外に銃を持ち出して、何をしていた。
ヴィヴィアン……も、申し訳ありません。
ですが、誓って悪用なんかしていません!
教官、どうか話を聞いてもらえませんか……?
ラッセル…………。君は、元来真面目な生徒だ。
そこまで言うからには、相応の理由があるのだろう。
言ってみなさい。
ヴィヴィアンは、はい……。
……実は。……実は、この銃は──。

ライク・ツー(…………。
お前らとは経験が違うんだよ、経験が)

Ep2. ヴィヴィアンの苦手

これは、〇〇がマスターとなる
数か月前の、とある休日のこと──

ヴィヴィアン………………。
ヴィヴィアン……暇だっ!
ヴィヴィアンああ~っ!
〇〇は用事があるって言って出かけちゃったし、
こんなことなら、私も出かける予定を立てておけばよかった~!!
ヴィヴィアンはぁー……。

ヴィヴィアンはふと、
UL85A2が入っているケースに目を留める。

ヴィヴィアン……たまには〇〇を見習って
じっくり銃のメンテナンスでもしてみようかな。

ヴィヴィアンはさっそくUL85A2を分解し、
くまなくクリーニングをし始めた。

ヴィヴィアンあれ? 意外とほこりが……
ちゃんとこまめに手入れしてるつもりでも、
残ってるものなんだ……。

それが終わると、
次は丁寧に保護潤滑剤を塗布していく。

ヴィヴィアンここ、細かいな……うわっ、塗りムラが!
ぬ、塗り直さないと!

ヴィヴィアンうん……すごく綺麗になった……。
だけど……この銃は……。
ヴィヴィアンどんなに磨いても……
この銃は綺麗にはならない。
ヴィヴィアン世界帝の……史上最悪な人殺しの、
……!
ヴィヴィアンあんな奴がいたから……!
エマは……!!

ヴィヴィアンは強く唇を噛みしめると、
今しがた自分の手で丁寧に磨き上げたばかりの銃を、
叩きつけるように床へと落とした。

ヴィヴィアン世界帝なんていなければ、誰も不幸にならなかった!
世界がこんなに乱れることもなく、
エマだって、今ごろ、一緒に笑って……!
ヴィヴィアンたくさんの人の人生を歪めて、人を不幸にして、
何が『世界の皇帝』よ。笑わせる……!
ヴィヴィアンこんな銃なんか……!
ヴィヴィアン…………。

怒りと悲しみ、悔しさ。
そして──戸惑い。

いくつもの複雑な感情に瞳を揺らしながら、
ヴィヴィアンはそっと、床から銃を拾い上げる。

ヴィヴィアン銃に当たったところで、どうしようもないよね……。
ヴィヴィアンあんた自身が悪いんじゃなくて、
あんたを使ってたヤツが悪いってことは、わかってる。
わかってる、んだけど……。
ヴィヴィアン私さ、不器用だから。
それでもあんたのこと……好きになれないんだ。
ごめんね。
ヴィヴィアン…………。
よし! 気分転換に、食堂にでも行ってこよっかな!
ヴィヴィアン……じゃあね。

 

Ep3. 1人きりのランウェイ

〇〇が、ライク・ツーを召銃して
間もないころ──

ライク・ツーふーん……ここが、俺の部屋になるのか?
主人公【そうだよ】
【自由に使って】
ライク・ツーりょーかい。じゃあな。
ライク・ツー……味気ねー部屋。
ま、マークスと同室にならなかっただけマシか。
ライク・ツー……ん?

部屋全体を見回していたライク・ツーは、
ふと、壁にかけられている鏡が気になり、覗き込む。
鏡に映る姿を確認し、前髪に軽く指で触れた。

ライク・ツー……全然、違うな……。

ライク・ツーは、鏡の前で髪を触ったり、
指輪や腕輪などのアクセサリーをいじったりしてみる。

ライク・ツーお、こういうのも悪くないじゃん。
ライク・ツーこっちの派手な指輪も、しっかり馴染むし。
やっぱ僕って、なんでも似合っちゃうんだよなぁ。
ライク・ツー次はこういうのも──

──ガチャ。

主人公【ライク・ツー】
【ちょっといいかな】
ライク・ツーうおっ!?
なんで、お前……ってか、今の、聞こえた……?
主人公【なんの話?】
【何か言ってた?】
ライク・ツーえ? あ、いや……別に。
ライク・ツー(……この様子じゃ、何も気づかれてないか。
くそっ、焦らせやがって!)
ライク・ツーっつーか、ノックせずに入ってくるとか、
人間のクセにマナーも知らねーのか?
ライク・ツーおい、ちょっとそこ座れ。
俺が有り難いお説教してやるからよ。

Ep4. 危険な路地裏

──ライク・ツーが士官学校で暮らし始め、
しばらく経ったある日のこと。

ラッセルああ、〇〇君。
ちょうどよかった。確認しておきたいことがあってね。
主人公【なんでしょうか?】
ラッセルライク・ツーから頻繁に外出申請を受けているんだが、
何をやっているのか……君は聞いているかい?
主人公【いえ、何も聞いていません】
【外出が多いんですか?】
ラッセル……そうか、君も知らないのか。
ラッセル実は……ライク・ツーが、
フィルクレヴァート市街地の路地裏で
何度か目撃されているらしいんだ。
ラッセルどんな目的があるのかはわからないが……
とにかく、あの辺りは危ないから注意するよう、
君から言っておいてほしい。
主人公【(路地裏になんの用事だろう……)】
【(まさか、何か危ないことを……?)】

数日後──。
再びライク・ツーが外出申請をしたと聞き、
〇〇はこっそり彼を尾行していた。

ライク・ツー…………。

早足に歩いていくライク・ツーを
見失わないように気をつけながら、
〇〇はあとを追いかけていく。

そして、ライク・ツーが曲がった角を、
同じように曲がるが──。

主人公【あれ……!?】
【いない……!?】
???──わっ!

ライク・ツーははっ、引っ掛かってやんの!
こんなとこまでノコノコついてきてんじゃねーよ、
馬鹿が。
主人公【バレたか……】
【いつから気付いてた……?】
ライク・ツー最初からバレバレだっつーの。
お前、相手が俺だからいいけど、
敵の尾行だったら死んでたぞ?
ライク・ツーほら、懲りたならさっさと帰るぞ。
主人公【路地裏で何を?】
【この辺りに何か用事でも?】
ライク・ツー…………。
ライク・ツーそれよりお前、ラッセルに何か言われて、
俺のこと追いかけてきたんだろ?
ライク・ツーハッ。なんでも鵜呑みにしてると、
そのうちマジで危ない目に遭うぞ。
ライク・ツー……俺はただ、適当にふらついてただけだ。
お前が気にするようなことなんてねーから、
余計な心配すんなよ。いいな。

Ep5. プレゼントの中身は?

──コンコン

ライク・ツー……ん? 誰?
主人公【〇〇です】
【入るよ】
ライク・ツーなんだ、お前か。
で、何の用?
主人公【渡したいものがある】
【プレゼントを持ってきた】

そう言って、〇〇は、
ライク・ツーに小包を差し出す。

ライク・ツーこれ……俺に? なんで。
主人公【ライク・ツーに似合いそうだった】
【欲しがっていたものだから】
ライク・ツー……えっ、なに──
ライク・ツー…………。
ライク・ツー──いや、いい。いらない。
主人公【いらない……?】
【そっか……】
ライク・ツーうん。いらねぇから。さっさと出てって。
ライク・ツー…………。
ライク・ツーいらねぇんだよ……目的の邪魔になりそうな、
しがらみは……。

それから数時間後──。

ジョージHey、マスター!
みんなで遊ぼうぜ!
ジョージ&ライク・ツー&マークス…………。
ライク・ツーおい……これ留守じゃねーのか。
ったく、無理やり連れてきといて人騒がせな……。
マークス仕方ないな。
俺が1人でマスターを待つから、あんたらは帰れ。
ジョージえ~。
せっかくみんなで遊びに来たのに!
ほんとにいないのか~?
ライク・ツーあ、お前……人の部屋に勝手に入るなよ。

ジョージやっぱいないのか~。
マークスおい! さっさと出ろ!
マスターに失礼だろうが!
ジョージそうか? じゃあ、仕方ないから廊下で──
……あれ?

部屋を出ようとしたジョージだったが、
机の上に置かれているプレゼントらしき包みが気になり
足を止めた。

ライク・ツー(……! さっきの……!)
ジョージなんだろう、これ? 誰かにプレゼントかな?
〇〇が誰かからもらったのかな?
マークス……おい!
マスターのものに勝手に触るな!
ジョージいや、だって気になるだろ?
なぁ、ちょっと振ってみたら、
音で中身がわかるかな!?
ライク・ツー…………。
ライク・ツー(俺がもらうはずだったプレゼントだし、
中身が何か知る権利ぐらいはある……よな)
ジョージちょっとだけ!
ちょーっとだけだからさ……!
ライク・ツー(そうそう。別に惜しいとかそういうんじゃなくて、
これは単純な興味で……)
マークスそんな問題じゃない!
やめろっ!
ジョージマークスのケチ! ……あっ!
主人公【あのー……】
【一体何を……?】
マークスマスター!
ジョージの悪事は俺が止めたから、もう大丈夫だ。
ジョージ悪事!?
さ、さすがにそれは言い過ぎじゃ……!?
主人公【う、うん……?】
【ありがとう……?】
ライク・ツー(…………。
結局、あのプレゼントの中身はわからずじまいか……。
って、別に知りたかったわけじゃないけどっ!)

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