「お願いできるかい、マスターちゃん?」
テロリストを追いかけて、彼はDGSEさながらのカーチェイスを行う。
状況を動かす決めの一手は、大切な人に託して。
スリルのあるドライブはお手のもの。
危ない場面も大胆なテクニックで華麗にこなすのさ。
デッドヒートの行く末に、勝利の女神の微笑みを見に行こう。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
〇〇とタバティエール、カトラリーで
アウトレイジャー討伐任務にあたった帰り道。
タバティエール | ……ん? ふんふん。 ……どこからか……。 |
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主人公 | 【いい匂いが……!】 【甘い香りが……!】 |
カトラリー | ねぇ、あそこってもしかして……。 |
甘い香りのもとを探すように周囲を見回したカトラリーは、
ある店に気づき、指さした。
カトラリー | あ、やっぱり! “幻のマドレーヌ”! |
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そこはこじんまりとしたお店だが、
外にお客さんの行列ができて賑わっている。
マドレーヌの専門店のようだ。
タバティエール | ああ~! イギリス初上陸って噂になっていた名店だな。 ちょっと覗いてみるかい? |
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カトラリー | ……っ! き、気になるでしょ? 数量限定でなかなか買えない“幻のマドレーヌ”…… どんな味なのか、〇〇は気になるでしょ? |
主人公 | 【もちろん!】 【すごく気になる】 |
タバティエール | よーし、それじゃあ並ぼうぜ。 いい土産ができそうだ……! |
カトラリー | ……、……♪ |
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タバティエール | ははは。 ずいぶん嬉しそうだな、カトラリーくん。 |
カトラリー | えっ、別に? 焼き立てでラッキーだったなとか……別に? 寮に戻ったら食べ比べしよう……とか別に……! |
不審者 | …………。 |
タバティエール | ん……? |
カトラリー | タバティエール? 何見てるの? |
タバティエール | いや……今、道向かいにいた男が何か投げる動きをしてて── |
次の瞬間、周囲に爆発音が響き渡った。
カトラリー | わぁっ! |
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通行人 | な、何! 爆発!? |
通行人 | 軍の施設が爆発したぞ! |
タバティエール | まさか……さっきの奴、手榴弾か何かを投げたのか……!? |
主人公 | 【連合軍を狙った攻撃だ!】 →カトラリー「タバティエール、犯人はどっちに行ったの!?」 タバティエール「案内する、こっちだ!」 【犯人を追おう!】 →タバティエール「ああ!」 |
カトラリー | 行こう、〇〇! |
タバティエール | ……いた! あそこだ! |
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タバティエールが指さした方には、1台の車が停車していた。
爆弾を投げた男が、仲間と合流し、逃亡しようとしているようだ。
主人公 | 【止めないと!】 【逃がすわけにはいかない!】 |
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カトラリー | でも、一般人もたくさんいるのに撃てないよ! |
タバティエール | なら……こいつだ! |
カトラリー | ええっ、タバティエール!? |
タバティエールは、近くに停めてあった連合軍の車に乗り込み、
驚く兵士から鍵を受け取るとエンジンをかける。
タバティエール | 2人とも乗ってくれ。 あいつらを追うぞ! |
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タバティエール | 今日ばっかりは安全運転はできないからな。 シートベルトつけて、しっかり掴まっといてくれよ、 〇〇ちゃん、カトラリーくん! |
タバティエール | 飛ばすぞ、掴まっててくれ! |
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タバティエールが運転する車は、
エンジンをふかし、急加速して犯人グループを追う。
カトラリー | タバティエール! 車の運転ちゃんとできるわけ!? |
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タバティエール | これでも車は好きでね。 まあ、見てな。 |
カトラリー | うわあっ!! |
カトラリー | 信じられない! あいつら撃ってきた!! |
タバティエール | 2人とも伏せてろ! |
主人公 | 【応戦する!】 |
周囲に歩行者や他の車がいないことを確認し、
〇〇はハンドガンで威嚇射撃をする。
タバティエール | アシストありがとな、〇〇ちゃん。 ギア上げていくぞ! |
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カトラリー | うわああっ、ぶつかるって……! |
タバティエール | 大丈夫だ! |
犯人グループが乗った車は、工場地帯に逃げ込み、
ドラム缶にわざとぶつかって転がし、
行く手を阻もうとする。
しかし、タバティエールは華麗なハンドルさばきでそれを避け、
逆に犯人グループとの距離を縮めていった。
タバティエール | もうすぐ工場地帯を抜ける。 そしたら、一方通行の細いトンネルがあるはずだ。 |
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カトラリー | それが何!? |
タバティエール | その中なら、クラッシュしても民間人に被害は出ない。 一気に距離を詰めるから、タイヤを撃ち抜いて止めてくれ! できるかい、〇〇ちゃん。 |
主人公 | 【射撃は得意だから、任せて】 【頑張ってみる】 |
タバティエール | 頼んだぜ! |
車はさらに加速し、工場を抜けて一般道に戻る。
ジリジリと距離を詰め、犯人グループの車を狙える距離に入った。
カトラリー | ……僕の銃じゃ、威力も射程距離も足りないから、 〇〇任せになっちゃうけど……。 |
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カトラリー | 〇〇なら……僕のマスターならできるって、 その……信じてる、から。 |
タバティエール | もうすぐトンネルだ……いくぞ、〇〇ちゃん! |
カーブを抜けて直線に入り、前方にトンネルが見えてくる。
タバティエールはアクセルを全開にし、
エンジンが唸り声を上げた。
タバティエール | ──今だ! |
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〇〇は窓から身を乗り出し、銃を構える。
タイヤに狙いを定め、素早く引き金を引いた。
──パァン!!
タバティエール | ──今だっ! |
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〇〇が放った弾丸は、
見事に犯人グループが乗った車の右後輪を撃ち抜く。
カトラリー | やった……! |
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激しく蛇行し、トンネルの壁にぶつかりながら減速していく車。
なおも逃走を続けようとするので、
〇〇は左後輪も狙い、速度が出ないようにする。
タバティエール | よし、もうすぐ止まるな。 怪我しないように、慎重に確保するぞ。 |
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カトラリー | う、うん……! |
逃走した車の中から、2人の男が飛び出したかと思うと、
何かを〇〇たちが乗る車へと放り投げた。
タバティエール | ……っ! まずい、手榴弾だ! 〇〇ちゃん、カトラリーくん、伏せろ! |
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タバティエールが車を急加速させ、飛んできた手榴弾を避ける。
しかし、爆風で車体が大きく揺らぎ、
トンネル出口付近にかすってスピンする。
タバティエール | くっ! |
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カトラリー | いたた……! |
タバティエール | この匂い……まずい、すぐ脱出するぞ! 〇〇ちゃん、カトラリーくん、動けるか? |
主人公 | 【大丈夫!】 |
カトラリー | 最後まで荒っぽいなぁ、もう! |
タバティエール | ほら、2人ともこっちだ! |
3人が車から脱出した直後、漏れ出したガソリンに引火し、
車が炎上する。
タバティエール | ふぅ……間一髪だったな……。 |
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カトラリー | っていうか、あいつらは!? |
タバティエール | 連合軍の応援が、きっちり捕まえてくれたみたいだぜ? |
タバティエールが親指で示した先では、
駆けつけた連合軍の兵士たちが、
犯人グループを取り押さえていた。
カトラリー | なんとか一件落着だね。 ……車は、完全にスクラップになっちゃったけど。 |
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タバティエール | ……ははは……。 |
犯人グループが連行され、車の消火活動などが終わったあと、
連合軍の応援を率いていた隊長がやってくる。
連合軍上官 | 貴銃士殿、〇〇候補生。 迅速で勇敢な行動に敬意を表します。 |
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タバティエール | 借りた車を廃車にしまって悪いな……。 俺に鍵をくれたやつ、怒んないでやってくれよ。 |
連合軍上官 | 無論ですとも。 皆さんの活躍については、士官学校理事長コペール中将殿宛にも 報告と感謝の一報を入れておきましょう。 |
連合軍上官 | ところで、先ほどの運転はどなたが? 民間人に負傷者を出さず見事に追い込んだ、 あっぱれな追跡劇だったと部下から聞きましたよ! |
タバティエール | 運転は俺だが……それほどでも。 腕のいい狙撃手のおかげさ。 |
連合軍上官 | マスターと貴銃士による、 息の合ったファインプレーだったということですか。 いやぁ、お見事。 |
連合軍上官 | 怪我などがなければ、士官学校へ送らせ── |
カトラリー | あーっ!!! |
タバティエール | どうした、カトラリーくん。 |
カトラリー | 幻のマドレーヌ!! |
タバティエール | ……あ。 車と一緒に炭になっちまったな、こりゃ……。 |
──翌日。
タバティエール | できたぜ。 タバティエール特製マドレーヌだ。 |
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カトラリー | へぇ……。 あの店とは違うけど、いい匂いだね。 |
タバティエール | 〇〇ちゃんとミカエルくんも、 たくさん食べてってくれ。 |
主人公 | 【ありがとう】 【いただくよ】 |
ミカエル | ああ……いい香りだね。 甘い息吹がミモザの幸福を運んでくるようだ……。 |
タバティエール | そいつは、美味そうってことでいいのか……? ありがとな。どんどん食べてくれよ。 ほら、カトラリーくんも。 |
カトラリー | ふん、当たり前だよ。 |
カトラリー | タバティエールの運転のせいで5回は頭をぶつけたし、 楽しみにしてたマドレーヌは黒焦げになったんだから。 本当なら慰謝料もらわないと許せない── |
カトラリー | もぐもぐ……。もぐ……。 |
カトラリー | ……っ!! |
カトラリー | これなら……まあ、特別に許してあげても……いいよ。 その代わりもっと頂戴!! |
ミカエル | ああ、本当に美味しいね。 ……ところでタバティエール。 きみの運転技術は素晴らしいみたいだね。 |
タバティエール | あー、昨日のことか……。 |
ミカエル | 僕も体験したかったな。 金属の悲鳴、オイルの香り、爆発の熱風…… きっと、いい曲が浮かんだだろうね。 |
ミカエル | 今度は僕たち4人で、一緒にドライブをしよう。 |
ミカエル | ノン……ただのドライブじゃ刺激が足りないね。 せっかくならカーチェイスがいいな。 |
カトラリー | ちょっ……何言ってるの、ミカエル! あんな危ないのは、僕はもうゴメンだからね……! |
カトラリー | タバティエール、マスターが食べ終わってるでしょ! すぐにおかわり用意できないの!? |
タバティエール | はいよ。 やれやれ……頭の上がんない相手が増えちまったなぁ。 |
カトラリー | ふん。 これに懲りたらもうあんな危ない運転しないでよ。 |
タバティエール | ははっ、そうするよ。 車は好きだし久々の運転もよかったが、 やっぱり俺はハンドルよりも泡だて器の方がしっくりくるしな。 |
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