月夜に友を思うシャルルヴィルの姿にインスパイアされた、清廉な誘惑をテーマにした香水「UNICORN」。
そのうっとりするような香りに導かれ、彼の新たな一面が引き出される。
身にまとうは誘惑の香り。
それはまるで、艶めかしい甘い罠。
ユニコーンすらも虜となる。
貴方だけのメリーゴーランド。
次は誰を溺れさせようか。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
シャルルヴィル | Bonjour! お待たせしました。 |
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主人公 | 【失礼いたします】 【ラッセル教官、お呼びでしょうか】 |
ラッセル | シャルルヴィルに〇〇君。 お客様がお見えだ。 |
ラッセルからの呼び出しを受けた2人が応接室に入ると、
初老の上品そうな男性がこちらに向かって会釈した。
初老の男性 | お久しぶりです、シャルルヴィル様。 |
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シャルルヴィル | あっ……! もしかして、アランさん!? |
ラッセル | その通り。こちらのお方は、 フランスのファッションブランドJHANELの調香師、 アラン・デュボア氏だ。 |
主人公 | 【あのJHANELの……!?】 |
シャルルヴィル | 初めてお会いしたのは、かなり前でしたね。 確か、リリエンフェルト家の夜会で……。 |
アラン | ええ。 あれは、私にとって運命の夜でした── |
それは、シャルルヴィルがまるまると出会う前。
フランスのある日の出来事。
リリエンフェルト家が主催するパーティーで、
シャルルヴィルはいつものように偽りの笑顔を振りまいていた。
貴婦人1 | シャルルヴィル様……! 今日も一段と美しく……。お会いできて光栄ですわ。 |
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シャルルヴィル | ありがとう。 素敵なレディたちに囲まれて、ボクも嬉しいよ。 |
中尉 | 失礼……シャルルヴィル様。 ご挨拶をどうか。 |
シャルルヴィル | ギース中尉、ようこそいらっしゃいました。 そちらの方は……? |
中尉 | JHANELの調香師、アラン・デュボア氏です。 彼の作る香水は、歴代の名女優たちに愛されております。 |
シャルルヴィル | はじめまして、アランさん。 JHANELはボクも愛用しているブランドなんです。 お会いできて光栄ですよ。 |
アラン | …………。 |
無言での握手の後、アランは肩を落としたような様子で
その場を去っていった。
シャルルヴィル | (えっ……?) |
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中尉 | お、おい……アラン!? シャルルヴィル様、申し訳ございません……! |
シャルルヴィル | い、いえ……。 |
貴婦人2 | シャルルヴィル様! このスイーツはお召し上がりになられまして? |
貴婦人3 | ぜひお話を伺いたいですわ♪ |
シャルルヴィル | う、うんっ。 そうだね……。 |
シャルルヴィル | (ボク、何かまずいこと言っちゃったかな……?) |
──パーティーの後。
疲れ切ったシャルルヴィルは逃げるように庭園へとやってきた。
シャルルヴィル | ベスくん……。 |
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かつて一緒に過ごした友の名を呟き、月を見上げる。
その時、背後でどたっと何かが倒れたような物音が聞こえた。
シャルルヴィル | だっ、誰……って、あなたはさっきの……!? |
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振り向くと、そこには尻餅をついたアランがいた。
驚いたように目を見開き、シャルルヴィルを一心に見つめている。
アラン | これだ……! これこそが、私の求めていた世界! |
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アラン | 月光の下で憂いを纏う、気高き白百合……! 妖精が私を誘惑して── ああっ! この香りだ……! |
シャルルヴィル | 月光……? 憂い……? あの、なんのお話ですか……? |
アラン | ありがとう……! あなたのおかげで、スランプを乗り越えました!! |
一方的に強い握手を交わした後、アランは去っていった。
シャルルヴィル | えっ……? えええ……??? |
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ラッセル | なるほど。 それが、あなたとシャルルヴィルの出会いだったのですね。 |
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アラン | その頃の私は、新作を生み出せずスランプに陥っていました。 英雄である貴銃士なら、私の憂いを吹き飛ばしてくれるだろうと 期待してパーティーに参加したのですが……。 |
アラン | 会場の女性たちの美しいドレス、かぐわしいワインの香り、 貴族たちが交わし合うお世辞……すべてがまがい物に見えた。 |
アラン | その中で笑顔を放つ貴銃士シャルルヴィルもまた、 他のフランス人と同じまがい物に見えたのです。 |
シャルルヴィル | …………。 確かにあの頃のボクは、作り笑いばかりでした。 |
アラン | しかし、そのあとそれは間違いだったとわかりました。 庭園の隅で夜空を眺めるあなたは、 パーティーの時とは別人だった! |
アラン | 清廉なユニコーンのような佇まいとその瞳の奥にある魅力に、 私はニンフに誘惑されたヒュラスのような衝撃を受け、 一瞬にしてあなたの虜になったのです! |
ラッセル | ゆ、ユニコーン……? ニンフ……? |
主人公 | 【(お、おう……)】 【(すごい世界だ……!)】 |
シャルルヴィル | ……そ、そうだったんだね。 創作のお役に立てたみたいでよかった。 |
アランの秘書 | 皆様、話を続けてよろしいですか? |
アランの隣りにいる秘書が、突然口を開いた。
アランの秘書 | というわけで、シャルルヴィル様をモデルにした香水を、 我がJHANELの新作として売り出したいのです! |
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ラッセル | ななっ……! あのアラン・デュボアが、シャルルヴィルの、香水を……!? |
シャルルヴィル | ボクの香水……って── |
シャルルヴィル&ラッセル | ええええっっ!!! |
アランとの再会から数日後──
シャルルヴィルと〇〇は、
フランスにあるJHANELの本社を訪れていた。
JHANEL従業員 | Bonjour! シャルルヴィル様、〇〇様。 本日はお越しいただきありがとうございます。 |
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JHANEL専属モデル | まぁ、素敵な貴銃士様……! 今日はステージでファッションショーがあるので、 ぜひ見にいらしてください! |
シャルルヴィル | Merci! 素敵なお誘いありがとう♪ |
主人公 | 【なんだか緊張する……】 【すごいところに来ちゃった……】 |
シャルルヴィル | 大丈夫だよ、マスター。 今日はボクが、君のパートナーをしっかり務めるからね。 |
アラン | こちらが完成した香水です。 どうぞお試しください……! |
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アラン | JHANELの新作、『UNICORN』 ──テーマは「清廉な誘惑」。 |
ムエットを差し出されて、2人は香水の匂いを嗅いだ。
シャルルヴィル | …………! |
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シャルルヴィル | ……っ、すごくいい匂い……! 上品だけど、どこかエキゾチックで……! |
主人公 | 【すばらしい完成度!】 【シャルルヴィルに似合いそう!】 |
JHANEL従業員 | トップノートはベルガモットをメインに清廉なイメージで始まり、 ミドルノートはジャスミンとミュゲで高貴な上品さを。 |
JHANEL従業員 | ラストノートはホワイトムスクをベースに、 ガーデニアとチューベローズで官能的な誘惑を表現いたしました。 |
シャルルヴィル | 官能的な誘惑……。 ボク、そんなセクシーなタイプじゃないけど、 大丈夫かなぁ……。 |
アラン | シャルルヴィル様、あなた以外に適任者などいません! 気品に溢れているからこそ、官能的な美を表現できるのです。 この世界の憂いを知る貴銃士シャルルヴィル様だからこそです! |
シャルルヴィル | そ、そうかな……? |
アラン | 精錬の象徴として、香水の瓶のデザインには ユニコーンを採用しました。 |
アラン | 清らかな美しさがありながらもどこか蠱惑的なオーラを纏う 一角獣は、まさしくシャルルヴィル様に相応しい……。 |
JHANEL | そして……。 我々はこの作品の広告モデルに、ぜひシャルルヴィル様を 起用したいと考えております。 |
シャルルヴィル | ええっ!? 今まで大女優が務めてきた広告のモデルに、ボクが……!? |
アラン | ただのモデルではありません。 大空を華麗に舞い、地上の人間たちを誘惑する ユニコーンとなっていただけませんか? |
シャルルヴィル | ユニコーンに……! …………。 |
シャルルヴィル | アランさんがこれだけ熱心に作り上げてくれた作品なんだ。 ボクも、その気持ちに応えたいけど……。 |
シャルルヴィル | でも、そこまでできる自信がないよ……。 |
主人公 | 【シャルルヴィルならできる!】 【自分も協力するよ!】 |
シャルルヴィル | マスター……。 |
主人公 | 【絶対高貴になった時を思い出して】 |
シャルルヴィル | そっか……! そうだよね。 ボクはマスターの貴銃士なんだから。 |
シャルルヴィル | ありがとう、〇〇。 君のおかげで勇気がわいてきた。 |
アラン | では……引き受けていただけますか? |
シャルルヴィル | はい、喜んで! JHANELのイメージモデルとして、精一杯頑張ります。 |
主人公 | 【頑張って!】 【応援してる!】 |
アラン | Merci beaucoup! ああ、今すぐ白百合の舞う丘を駆け抜けたい!! |
アラン | シャルルヴィル様、私にとってのあなたは どんな宝石よりも輝く大天使だ! |
シャルルヴィル | ふふっ、大袈裟だなぁ。 でも、喜んでもらえて嬉しいです! |
シャルルヴィル | (ボクは、ユニコーンになるんだ……!) |
そして迎えた、広告写真の撮影日。
シャルルヴィル | うわ~! すごい……!! |
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タバティエール | へぇ。 ずいぶん凝ったスタジオセットだな。 |
シャスポー | あのメリーゴーランド、よく見たら馬じゃなくて、 全部ユニコーンの乗り物になってる……! |
アラン | この作品の世界観を、セット全体で表現しました。 シャルルヴィル様にはこちらの衣装を……! |
シャルルヴィル | えっ!? これが衣装……!? |
用意されたのは、胸元が大きく開いた黒のジャケットに
セクシーなネックレス、ボディチェーンに派手なエクステだった。
グラース | へぇ、センスいいじゃねーか。 僕なら、もっとセクシーな衣装でも着こなせるけど? |
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シャスポー | お前が着るんじゃないだろ。 |
シャルルヴィル | ど、どうしよう……! こんなの着こなせないよっ! |
主人公 | 【シャルルヴィルなら大丈夫】 【意外と似合うと思うよ】 |
タバティエール | 〇〇ちゃんの言う通りだ。 普段は控えめなシャルルくんだからこそ、 着こなせる衣装なんじゃないか? |
シャルルヴィル | マスター、タバティさん……! |
シャルルヴィル | ありがとう。 うん……着てみる! |
グラース | やる気になっちまったか。 僕が代わりに着てやろうかと思ってたのに。 |
シャスポー | だから、お前が着ると「清廉な誘惑」にならないだろ。 |
シャルルヴィルの準備が完了し、
ほどなくして撮影が始まった。
カメラマン | シャルルヴィル様、もう少し表情を憂いのイメージに……! |
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シャルルヴィル | (どうしよう……。緊張で、うまく表情が作れない……!) |
アラン | シャルルヴィル様。 今のあなたは貴銃士でも撮影モデルでもなく、 地上に舞い降りたユニコーンなのです。 |
シャルルヴィル | えっ……? |
アラン | 月光の下で私と出会った、あの時の気持ちを思い出してください。 この儚くも美しい世界で感じた、憂いを……! |
シャルルヴィル | (ああ。絶対高貴になれなかった、あの時のことか……) |
シャルルヴィル | (あの時は疲れ切って……心細くて……。 ボクの救いはベスくんだけだった……) |
シャルルヴィル | (そうだ……! 夜空を照らす星のように……。 ベスくんが、ボクを見ていてくれた……) |
その瞬間、シャルルヴィルの顔つきが変わった。
憂いを帯びながらも強い意志を感じさせる瞳が、
どこか蠱惑的なオーラを放っていた。
アラン | Très bien……! これこそが、清廉な誘惑……! |
---|
撮影終了後。
一同はJHANELのスタッフが用意したスイーツを囲みながら、
お茶会を楽しんでいた。
タバティエール | 撮影お疲れさん、シャルルくん。 |
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主人公 | 【あの表情、すごくよかった!】 【いい広告になりそうだね!】 |
シャルルヴィル | ありがとう。 マスターたちが励ましてくれたおかげで、ボクも頑張れたよ。 |
グラース | 確かにいい写真だったけど。 なんで選ばれたのが僕じゃなくて、シャルルヴィルなんだ? |
グラース | 僕は寝るときはいつも、JHANELのNo.5をまとってる。 この僕ほどセクシーな逸材はなかなかいないだろ? |
タバティエール | それ、単に裸で寝てるってだけだろ。 |
シャルルヴィル | ふふっ。 グラース、JHANELが大好きなんだね。 |
シャスポー | とにかく、無事に終わったんですから。 ご褒美のスイーツを楽しんだらいかがですか? シャルルヴィル先輩。 |
シャルルヴィル | うん、そうだね……。 |
主人公 | 【大丈夫?】 【疲れた?】 |
シャルルヴィル | ううん! 撮影は思ったより楽しかったし、ボクは大丈夫! |
シャルルヴィル | ちょっとだけ、考え事してたんだ。 |
シャルルヴィル | フランスにいた時、ボクは絶対高貴になれないし、 自分には何もできない── 誰の役にも立てていないと思ってた。 |
シャルルヴィル | だけど……アランさんのスランプを救えていたってわかって。 そのことが、嬉しくて……。 |
主人公 | 【あの時から、多くの人を救ってたんだね】 |
シャルルヴィル | ……あは、ゴメン! 湿っぽいこと言っちゃって。 |
シャルルヴィル | 香水、楽しみだな! 〇〇にも、ボクの香りをプレゼントさせてね♪ |
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