これまでの感謝と、未来への願いを込めて、貴銃士たちはパーティーを開く。
マスターとの思い出の扉を、ゆっくり振り返っていこう。
扉の先に待つ、過ぎ去りし物語。楽しい瞬間も、悲しい瞬間もあったかもしれない。
仲間たちと共に思い出の扉を開きに行こう。
そこにはきっと、忘れられない物語が待っているから。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
Danke.
優秀な成功作の
俺についてこい
──貴銃士たちが企画した、
〇〇のためのサプライズパーティーにて。
ジーグブルート | ……おい。 ちょっと来い。 |
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ジーグブルート | エルメの野郎やらドライゼ…… いや、今回はむしろシャルルヴィルあたりか? |
ジーグブルート | とにかく、見つかると面倒なんだよ。さっさとしろ。 |
主人公 | 【(なんでシャルルヴィルを警戒して……?)】 【(何があるんだろう?)】 |
不思議に思いながら、
〇〇はジーグブルートについていく。
賑わう会場から少し離れたところに、
真っ白なクロスが掛けられたテーブルと、
一脚の椅子が用意されていた。
ジーグブルート | 座れ。 |
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主人公 | 【……?】 |
ジーグブルート | 座ったまま大人しく待ってろ。 |
〇〇が席に着くと、ジーグブルートはどこかへ消え、
やがてワゴンを押しながら戻ってきた。
ジーグブルート | 待たせたな。 ほらよ。 |
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ジーグブルートは、〇〇の前に皿を並べた。
そして、かぶせてあったクロッシュを取る。
ジーグブルート | 1皿目はアプフェルシュトゥルーデルのミルクアイス添えだ。 |
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ジーグブルート | ドイツの菓子は重めのも多いが、 こいつはリンゴを薄い生地で包んで焼いてるから、 軽めに食えるだろ。 |
主人公 | 【美味しそう!】 |
主人公 | 【でも、どうして?】 |
ジーグブルート | …………。 |
ジーグブルート | まあ……一応、俺もてねぇには世話んなったからな。 借りっぱなしってのは性に合わねぇから、 今日くらいは何かしてやろうと思っただけだ。 |
ジーグブルート | まだ肌には余裕あるだろ? 適度に味わいつつとっとと食え。 邪魔が入らないうちにな。 |
ジーグブルート | 今回のデザートコースは3品構成だ。 コンセプトは『夏の訪れ』。 |
ジーグブルート | つっても、俺がよく作るのはドイツの菓子だからな。 季節感はそこまでないかもしれねぇ。 ま、味は保証するぜ。 |
ジーグブルート | 俺みたいな成功作様にかかりゃあ、 繊細な技量が必要な菓子作りも楽勝だからな。 |
〇〇はさっそく、
アプフェルシュトゥルーデルを口に運ぶ。
主人公 | 【……美味しいっ!!】 |
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ジーグブルート | 当然だ。 アイスと一緒に食うのもまたいいぞ。 |
ケーキだけ、ケーキとアイス、アイスだけなど、
〇〇は食べ方を変えつつあっというまに平らげた。
ジーグブルート | いい食いっぷりだな。上等だ。 |
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ジーグブルート | 2皿目は、シュヴァルツヴェルダーキルシュトルテ。 |
主人公 | 【呪文……!?】 →ジーグブルート「呪文じゃねぇ。 シュヴァルツヴァルトって聞いたことねぇか? ドイツの黒い森のことだ。」 ジーグブルート「キルシュはさくらんぼ。 トルテはざっくり言うとケーキのことだな。」 【よくわからないけど美味しそう】 →ジーグブルート「シュヴァルツヴェルダーは『黒い森の』 キルシュトルテは『さくらんぼケーキ』だ。 これくらい優等生なら知っとけ。」 |
ジーグブルート | ま、要するにシュヴァルツヴァルト地方発祥の さくらんぼを使ったケーキだ。 |
ジーグブルート | はぁ……クソ。お前がとぼけたこと言うから、 エルメとかドライゼみてぇな御託並べちまったじゃねぇか。 |
ぼやきつつ、ジーグブルートは紅茶を注ぐ。
〇〇はそれを一口飲んでから、
2皿目のケーキへと手を伸ばした。
主人公 | 【これも美味しい……!】 【大人な味わいで美味しい!】 |
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ジーグブルート | キルシュヴァッサーを効かせてるからどうかと思ったが、 気に入ったみてぇだな。 |
ふわっと洋酒が香るクリームと、
さくらんぼの甘酸っぱさが絶妙にマッチしており、
ケーキを食べる〇〇の手は止まらない。
ジーグブルート | 最後はちょっと凝ったもんを作ってみた。 腰抜かすなよ? |
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ジーグブルートは、3皿目を並べて、
クロッシュを取る。
ジーグブルート | こいつが今日の主役──タンバルエリゼだ。 |
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鮮やかなベリーソースが彩る皿の上に、
網目状の繊細なドーム型飴細工が乗っている。
ジーグブルート | 飴細工は脆いから、スプーンで崩しながら食えるぞ。 |
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主人公 | 【芸術品みたい!】 【壊すのがもったいない……!】 |
ジーグブルート | 食うために作ったんだから、いつまでも眺めてんなよ。 |
しっかり鑑賞してから〇〇が飴細工を崩すと、
中からチョコレートで文字が書かれたクッキーが現れる。
主人公 | 【──『Danke』】 |
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ジーグブルート | それくらいのドイツ語ならわかるだろ。 |
ジーグブルート | ……まあ、念のため言っとくと、礼の言葉だ。 |
主人公 | 【Bitte schön!】 |
ジーグブルート | へぇ? Jawohl以外のドイツ語も覚えたんだな。 |
ジーグブルート | 軽い食感のラングドシャクッキーと、 季節のフルーツを盛ってる。 下はパッションフルーツのジュレだ。 |
ジーグブルート | さっぱりしてて、初夏向きだろ。 |
ジーグブルート | それぞれ味わうのも良し、一緒に口に入れるのも良し。 まぁ、好きなように食べてみろ。 |
最後の1皿を、〇〇は味わいつつも、
ぺろりと食べ終えた。
ジーグブルート | うまかったか。 |
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主人公 | 【とても!】 【ものすごく!】 |
ジーグブルート | そうかよ。 ここまで手が込んだものはたまにしかやらねぇが、 気晴らしに何か作った時には分けてやってもいい。 |
ジーグブルート | けど、俺は貴銃士だからな。 今日が特別なだけで、てめぇに対してガキの機嫌取るみてぇに、 あれこれしょっちゅう菓子作りなんざしねぇぞ。 |
ジーグブルート | 礼なら戦場でする。 俺はDG36の貴銃士。実力は料理じゃなくて戦いで見せる。 |
ジーグブルート | 戦果が俺の栄誉で、勲章になる。 覚えとけよ、マスター。 |
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