解説

カード解説

遠くから、苦労に末に結ばれた二人を祝う喧騒が聞こえる。
人知れず二人の幸福に貢献した彼は、月夜の庭で静かに時を過ごすのだった。

心銃解説:レンズ越しの秘め事

今宵は祝福の宴。甘く優しい愛の調べを聞きながら、共に夜を明かそう。
夜空を見上げて、輝くあの月に誓おうか。永遠の契りを交わしたあの二人のように。

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

Ep1. 幸せの招待状

──ある日の昼休み。

恭遠ちょっといいだろうか。
これから名前を呼ぶ者は、俺と一緒に来てくれ。
ライク・ツーなんだ? 補習か?
マークス俺じゃないぞ! ……たぶん。
恭遠ははは……今回は補習ではなく──おっと。
これ以上言うのはやめておこう。
十手なんと……? もっと気になってしまうなぁ。
恭遠それじゃあ呼ぶぞ。
マークス、ジョージ。
ライク・ツー……補習じゃなくて説教とかじゃねーの。
ジョージNoooo……!
恭遠それから、グラース、シャスポー、
タバティエール、シャルルヴィル。
以上の6人だ。
シャスポー……? どういう基準で呼ばれたのかわからないな。
シャルルヴィルとにかく、行ってみようか……。

マークスマスター! マスターも呼ばれたのか?
主人公【そうだよ】
【何か大事な用があるらしい】
ラッセルさて。全員揃ったところで、これを。

ラッセルが差し出したのは、
美しい箔押し加工が施された一通の封筒だった。

シャスポーこれって、もしかして……?
主人公【カトリーヌさんとテオドールさんからだ!】
→ジョージ「Wow!
ってことは、あの2人、ついに結婚するんだな!」

【結婚式の招待状だ!】

→タバティエール「ははっ、そういうことか!
道理でこの顔ぶれなわけだな。」

シャスポーの元マスターであるカトリーヌと、
グラースとタバティエールの元マスターであるテオドールは、
敵対する名家という関係の中でも密かに想いを通わせ──

〇〇たちがフランスでの任務についていた際、
紆余曲折がありながらも、見事に結ばれたのだった。

マークスということは、またフランスに行くのか……。
フランスではろくなことがなかった。
ジョージHAHAHA! だけど、今回は大丈夫だって☆
HAPPYに盛大にお祝いしようぜ!
ラッセルジョージの言う通りだ。
今回はなんの任務でもない。
特別休暇として、フランスで存分に楽しんできなさい。
マークスマスターと、旅行……!
シャルルヴィルじゃあ、時間を気にせずゆっくりお祝いできるんだ!
こんなに嬉しいことってないよね……!
タバティエールああ。
2人の幸せな姿を、早く見たいもんだ。
シャスポー2人が結ばれることができたのも、〇〇のおかげだよ。
結婚式への旅行、楽しもうね、〇〇。
グラース…………。
グラース僕は行かねぇぞ。
シャルルヴィルえっ!?
グラースじゃあな。
タバティエールお、おい! グラース──
シャスポー行かないだと!?
あいつ……一体何を考えているんだ?
マークス……そういえば、フランスでは現代銃が嫌われていたな。
シャルルヴィルあ……シャスポーと入れ替わってたことも知られてるし、
ちょっと顔を出しづらいのかもね……。

〇〇は、
出て行ったグラースを追いかけることにした。


グラース…………。
グラース……なんだよ、〇〇。
式に出ろって、僕を説得しに来たのか?
主人公【無理に出ろとは言わない】
→グラース「へぇ? 物分かりがいいじゃねぇか。
でも、「だけど」とか続くんだろ?」

【そうとも言えるかも】

→グラース「ふぅん。正直だな。それで?」

フランスでは、現代銃の貴銃士は肩身が狭いかもしれない。
だけど、外野がどう思い何を言うかより、2人のことと、
グラースがどうしたいかが大事だと、〇〇は伝えた。

グラースはぁ……。
別に、行ってやってもいいぜ。
グラースその代わり……
お前が1日、僕のしもべになるならな! ハハッ!
主人公【交渉成立!】
【それでいい】
グラースは……はぁっ!?
しもべ、下僕だぞ。わかってるのか?
主人公【わかってる】
【1日こき使われるくらいならいい】
グラースチッ……冗談だ。
……お前にそんな真似、させるかっての。
グラース結婚式に行ってやる! それでいいだろ!

Ep2. 暗雲

──結婚式2日前。
〇〇たちはレザール家の屋敷に到着した。

テオドール久しいな。ようこそ、レザール家へ。
主人公【ご招待ありがとうございます!】
【この度はおめでとうございます!】
カトリーヌふふっ、こちらこそ、来てくださってありがとうございます。
皆さんにまたお会いできてとても嬉しいわ。
シャスポー本当におめでとう、カトリーヌ。
カトリーヌありがとう、シャスポー。
この幸福な今があるのは、あなたや皆さんのお陰よ。
タバティエールよかったな、カトリーヌちゃん。
しっかし……。
テオドール…………。
タバティエール俺たちの元マスターは、相変わらずだな。
程よい緊張感があるのはいいが、緊張し過ぎはよくないぜ?
グラースまったくだ。
新郎がそんな顔してると、余計な詮索を招くぞ。
テオドール……わかっている。
しかし、この顔は生まれつきだ。
カトリーヌふふふ……っ!
カトリーヌ──あ、わたくしはそろそろ行かないと。
ジョージんん? 何か用事があるのか?
カトリーヌええ、結婚式の準備がまた残っていて……。
本当は皆さんと色々とお話をしたかったのですが、
また後日、ゆっくりとお話させてくださいね。

カトリーヌは名残惜しそうに告げると、
ロシニョル家の屋敷へと戻っていった。


タバティエール……んで、どうしたんだ?
さっきはうまく誤魔化してたけどさ。
テオドール……お前にはすべてお見通しか、タバティエール。
カトリーヌには余計な心配をさせたくなくてな。
テオドール実は……だな。客人として招待しているのに
申し訳ないが、君たちに折り入って相談がある。
……これを見てくれ。

テオドールがポケットから取り出したのは、
一通の白い封筒だった。

グラースおいおい、まさか僕にまた郵便配達をさせる気か?
彼女に伝えたいことがあるなら、お前が直接言えばいいだろ。
テオドールいや、この手紙は俺が書いたものではない。
これは……俺宛ての脅迫状なんだ。
主人公【脅迫状!?】
シャスポーなんだって!?
シャルルヴィルええっ!?
タバティエール結婚式前なのに浮かない顔をしていると思ってたら、
まさか脅迫状とはね……。
ジョージなんて書かれてるんだ?
テオドールこれまでに届いたものの文面からして……
送り主はどうやら、カトリーヌに懸想していたらしい。
テオドール便せんや筆跡には犯人に繋がるヒントはなさそうだが、
自由に見てくれ。

ジョージが、テオドールに手渡された脅迫状を開いてみる。
そこには血のような赤い文字が乱雑に綴られていた。

ジョージうわっ……!
シャルルヴィル『カトリーヌを解放しろ』『彼女は俺と結ばれる運命にある』
『式を強行する簒奪者には報いを与える』……ひどいね……。
グラース……なぁ。脅迫状はこの状態で届いたのか?
切手も消印もねぇみたいだけど。
テオドールああ。レザール家のポストに直接投函されていた。
シャスポー今のところ、狙いは君みたいだけど……。
こんなおかしな輩なら、彼女を攫おうとするかもしれない。
ちゃんと手は打ってあるのかい?
テオドール無論だ。ロシニョル公爵には事情を伝え、
レザール家からも私兵を派遣している。
表向きは、カトリーヌが結婚式で身に着ける宝石の警備としてな。
マークス犯人に心当たりはあるのか?
テオドール探偵を雇って調べさせたが、今のところ手がかりはない。
カトリーヌと親しかった人物は限られているしな。
彼ら、彼女らがこんなことをするとは思えない。
テオドールそれに、脅迫状を投函する現場を押さえても、
投函しているのは使い走りの無関係な人間ばかりだ。
タバティエールなかなか周到だな。
テオドールああ。
異常な思考をしながら、冷静さも持ち合わせている……。
何をするか、どう仕掛けてくるのかもわからず厄介なんだ。
テオドールはぁ……式は明後日だというのに。

 

Ep3. 作戦会議

テオドールこれが単なる脅しではなく、犯人が本気ならば、
式までの間に俺を排除しようとするだろう。
テオドール言い換えると、挙式までに犯人本人が現れる可能性が高い。
ある意味チャンスでもある。
ジョージそうだな!
犯人を捕まえちまえば、安心して結婚式ができるし☆
シャスポー言うのは簡単だけど、どうやって?
犯人は慎重なやつみたいじゃないか。
簡単に捕まえられるとは思わない方がいい。
タバティエールそうだな。
だが……その性格を利用できるかもしれないぞ。
グラースどういうことだ?
タバティエール犯人は、慎重で用意周到な性格だ。
そして、結婚式は明後日。
タバティエールつまり……犯人からすると、
失敗したらリトライする時間がほとんどないことになる。
グラース……なるほどな。闇雲に動くんじゃなくて、
最も成功率が高いタイミングの1度に賭けてくるということか。
タバティエールそういうことだ。
シャスポー犯人が脅迫通りにテオドールを狙うなら、だけど。
一番狙いやすそうなのは、式の直前だと考えるんじゃないかな。
新郎が1人になる時間もありそうだし。
テオドール俺が1人に……それなら、うってつけのタイミングがある。
レザール家のしきたりで、式の当日の朝、新郎となる者は
礼拝堂に1時間ほど1人でこもり、祈りを捧げるんだ。
主人公【犯人もそれを知っているかも……】
【犯人がそこを狙ってくるかも……】
テオドールそうだな。レザール家のしきたりについては、
特に秘匿されているものでもないから、
知っていても不思議はない。
テオドール絶好のタイミングだと思って、
狙ってくる可能性は十二分にある……!
シャスポーだけど、万が一にも、
門出の日の新郎を傷つけられるわけにはいかないよ。
シャスポーだから……、うん。
誰かテオドールと体格が似た人を囮にして、
周囲を僕たちや警備員で密かに監視しておくのはどうだい?
ジョージNice! それでいこうぜ!
問題は、誰が囮になるかだなー。
テオドールレザール家の警備員に、俺と背格好の似た男がいる。
彼が適任だろうが……もうすぐ子供が生まれると言っていた。
そんな時に、もしものことがあってはならないな。
シャルルヴィル精巧な人形を作るとか……?
でも、準備する時間が足りないよね。
グラース囮なら、僕がやってやる。
一同えっ!?
グラースそ……そんなに驚くことねぇだろ。
面倒な連中に囲まれるより1人の方が気楽でいいし、
まぁ……テオドールには世話になったしな。
タバティエールグラース……。
シャスポーへぇ……君も少しは成長したみたいだね。
グラースなんだよその顔は!
シャルルヴィルみんな感激してるんだよ!
危険な役目に自分から手を挙げるなんてすごいことだし。
ねっ、ジョージ、マークス!
ジョージおう!
オレ、グラースのこと、これまで勘違いしてたみたいだ。
本当はヒーローなんだな、グラース☆
マークスふん。
俺はマスターのためなら喜んで囮になる。
マークス……ハッ!
マスターはこの結婚式を楽しみにしていたな。
つまり、式のために俺が囮になれば喜んでくれる……!?
マークスマスター、俺を囮に指名してくれ!!
主人公【先着順ということで……】
【ここはグラースにお願いしよう】
マークスそうか……。
テオドールそれでは……頼んだぞ、グラース。
テオドールだが、無理に捕まえようとしなくていい。
お前なら大抵のことは大丈夫だろうが、安全第一としてくれ。
今のお前は、俺の貴銃士ではなく、大事な友で客人なのだから。
グラースクサいこと言うなっての。
第一、僕を誰だと思ってやがる。
フランスが生んだ名銃、グラース様だぞ。
グラースお前は余計な心配してねぇで、
結婚式と、その先の未来のことでも考えてろ。
テオドール……感謝する。

Ep4. 犯人を捕まえろ!

──到着翌日も警戒しつつ過ごし、
何事もないまま迎えた結婚式当日。

グラースどうだ、〇〇。
髪型もテオに似せてオールバックにしてみた。
なかなか似合うだろ?
主人公【素敵だね!】
【よく似合ってる!】
グラースま、当然だけどな。
シャスポーおい、グラース。
後ろ姿は似ていても、声を聞かれたらすぐ偽物だと気づかれる。
礼拝堂にいる間、余計なことを喋るんじゃないぞ。
グラースうるせぇな、わかってるっての。
お前らはさっさと教会に行けよ。
遅れて不審がられたらどうする。
タバティエールそれもそうだな。シャスポー、シャルルくん、
俺たちもそろそろ出発するか。
シャルルヴィルグラース、ジョージ、マークス、〇〇、
みんな気をつけてね。
あとで合流しよう!
ジョージおう!

テオドールに扮したグラースが礼拝堂にいる間、
ジョージ、マークス、〇〇の3人が
密かに待機して犯人を待つ作戦になった。

テオドール本人は既に、使用人に扮し車で
結婚式の会場となる教会へ出発しており、
そちらにもカトリーヌにも厳重な警備がついている。

タバティエール、シャスポー、シャルルヴィルの3人は、
結婚式の会場にいないと怪しまれるため、
テオたちと同様、一足先に教会へ向かう計画だ。

シャスポー〇〇をそばで守る役目は僕がよかったけれど……
作戦成功のためだものね。
君の安全を願っているよ。
マークスあんたが心配する必要はない。
マスターのそばには俺がいるからな。
主人公【そちらも気をつけて】
【またあとで!】
グラース……さてと。僕は礼拝堂に移動するか。

──その頃、レザール家の正門にて。

あの……すみません。
キャンドルを届けに来たのですが。
礼拝堂はどこでしょうか?
使用人えっ? この時間はテオドール様の礼拝の時間なので、
避けてほしいと言われているのですが……。
時間をお間違えではないですか?
それが、テオドール様ご本人から、
『礼拝に必要なものなので、この時間に届けてほしい』
と言われておりまして……。
使用人それは失礼いたしました。
どうぞお入りください。
礼拝堂の場所は……──。

男は使用人から場所を聞くと、礼拝堂へと向かった。


グラース…………。

テオドールに扮したグラースが
跪いて祈りを捧げるポーズをしていると、
1人の男が礼拝堂へと忍び込む。

男は静かに足を進め、グラースまであと数メートルというところで
隠し持っていたナイフを取り出し、構えた。

カトリーヌを返せぇぇぇぇぇぇ!
グラース……会いたかったぜ、陰湿野郎!
……っ!?
な、なんだお前は!
あいつは……テオドールはどこだ!?
グラース残念だったな、テオはここにはいねぇよ。
今頃、教会に着いてるかもな。
クソッ……貴様に用はない!
だが、顔を見られたからには消えてもらおうか。
グラースはっ、てめぇなんかにやられるかよ!
主人公【マークス、ジョージ!】
【行こう!】
ジョージおう!
マークス動くな。
マスターに危害を加えるなら、撃ち抜いてやる。
う、うわぁぁぁぁぁっ!
殺されるぅ……ッ!
グラース……はぁ? 囲んだだけで気絶とか弱すぎだろ!
つまんねぇ~!

捕まえた男を警察に引き渡し、
〇〇たちは教会へと向かった。

グラース……ってことで、脅迫状のことも自分がやったと素直に認めたぜ。
不安要素がなくなってよかったな。
テオドールありがとう。
これで心置きなく、結婚式に臨める。
グラースはぁ、呆気なかったな。
あ……。せっかくタキシード着たんだし、
花嫁を掻っ攫ってやればよかったか?
シャスポーおい、グラース!
グラース冗談だっての。
グラースほら、もう時間だろ。
花嫁を待たせるなんて、紳士のすることじゃねぇ。
早く彼女のところに行ってやれ。

Ep5. 2人の門出

親しい友人や親族などに見守られる中、
カトリーヌとテオドールの結婚式が幕を開けた。

司祭幸福な時も困難な時も、富める時も貧しき時も、
病める時も健やかなる時も共に歩み、
死が2人を分かつまで愛を誓いますか?
テオドール&カトリーヌ誓います。
司祭では、誓いのキスを。

2人が見つめ合い、誓いのキスを交わす。
パイプオルガンと賛美歌の響きに、祝福の拍手が重なった。

タバティエール本当にあの2人が結婚したんだなぁ……。
感慨深いもんだ。
シャルルヴィルふふっ、2人とも本当に幸せそうだね。
ボク、感動してちょっと、うるっと…………ずびっ!
シャスポーここに至るまで、いろいろありましたからね。
シャルルヴィル先輩にも……とてもお世話になりましたし。
シャスポー僕も……なんだか、すごく。
……ほっとしました。

無事に式が終わり、教会の外で記念写真をすることになる。
〇〇たちも、参加者たちの列に並んだのだが……。

子供おかあさん、見て! あの人、手におっきいケガしてる……。
いたいいたい……こわい……!
母親しーっ……!
子供だって、怖いんだもんっ~!
うえぇぇぇえん!
父親すみません、うちの子が……。
どうかお気になさらないでください。
主人公【大丈夫です】
【こちらこそすみません】

薔薇の傷を見た子供が泣き出してしまい、
〇〇は即座に手を隠す。

グラース……〇〇。
ここだと写真に綺麗に映らねぇだろ。
あっちに行こうぜ。
主人公【ありがとう】
→グラース「別に礼を言われるようなことしてねぇし。」

【あんまり目立たないところにしよう】

→グラース「はぁ?
せっかくなら2人で目立つ位置に行くぞ。」
マークスマスター! こっちだ。
俺の隣に来てくれ。
シャスポーいや、僕の隣においでよ〇〇。
ね、こちらだよ。ほら。
グラース……お前、分身の術を覚えたほうがいいな。

賑やかな空気の中、集合写真を撮り終わり、
新郎新婦や親族、ゲストたちは、
パーティーが行われるロシニョル家へと移動した。


──パーティー会場にて。

ジョージ……すっごい賑わいだな~!
っていうか、式の時より人増えてないか!?
シャルルヴィル式に参列したのは、本当に親しい人とか親族が中心だもん。
パーティーには、国内外の名士もたくさん参加してるから、
人数は3倍くらいになってるかも。
タバティエールフランス三大貴族のうち二家の縁組だからなぁ。
名誉貴族って言っても、大イベントってわけだ。
女性1まぁ、ご覧になって!
あそこにいらっしゃるの……貴銃士のシャルルヴィル様じゃない?
男性1お隣はジョージ様だ!
フランスでお目にかかれるなんて……!
男性2あっちにはフランスの貴銃士たちがいますぞ。
タバティエール様にシャスポー様……グラース様。
女性2ねぇ。シャスポー様とグラース様って、入れ替わっていたのよね。
服装を変えられたらどちらがどちらかわからないけれど……
どうお声をかけるのが正解なのかしら。
女性3グラース様にお声がけを……?
で、でも、現代銃ですのよ……。
グラース…………。
マークスおい、シャスポー。
これはなんの肉だ? 美味いならマスターに持っていく。
シャスポーそれは子牛だってお品書きに書いてあるだろう?
冷えてしまうから、持っていくんじゃなくて、
〇〇を呼んだ方がいい。
女性1あのっ、シャスポー様! お会いできて光栄です。
ぜひ一度お話したいと思っておりましたの。
男性1私もご一緒によろしいでしょうか……!
シャスポーえっ、ああ、構わないけど……。

シャスポーやタバティエールの周りに人だかりができる中、
グラースはひっそりと壁際へ移動した。

グラース……こうなるだろうと思ってたさ。
グラース(この国では……僕は……)
主人公【グラース】
【隣いいかな】
グラース……!
…………。
グラース……おい、〇〇。
僕を連れてきた責任を取って、お前が僕を構え。

Ep6. 2人きりの庭園で

グラースと〇〇はパーティー会場を抜け出し、
庭園へと移動した。

グラース知ってるか?
この屋敷の庭園は手入れが行き届いてて、
珍しい薔薇があったりするんだぜ。
グラース本当は、朝露に濡れた薔薇を見せてやりたかったけど……
ああ、明日の朝見にくればいいか。
グラース夜に綺麗なのは、あっちの水辺の方かもな。
お前も気に入りそうな場所があるぜ。

グラースが〇〇を案内していた時、
ぐぅ、とお腹が鳴る音が、小さいながらもしっかりと響く。

グラースははっ、どうした?
もしかして、パーティー会場で何も食べてねぇのか?
主人公【実は……】
グラースはぁ……仕方ねぇな。ちょっと待ってろ。

しばらくして、なぜか再びタキシードに着替えたグラースが、
料理を盛った皿を手に戻ってきた。

グラースなんだよ、ポカンとして。
この格好の方が、パーティー参加者に紛れられて目立たねぇだろ。
グラースさぁ、パーティーの仕切り直しだ。
ほら、テリーヌやるよ。

グラースは庭園のテーブルに、
テリーヌが丸ごと載った皿を置く。

主人公【シャスポーの好物なのに……】
→グラース「だから持って来たんだよ。
あいつ、今頃泣いてるだろうな。ハハハ!」

【まるっと!? ありがとう……】

→グラース「ははっ、ちまちまと切り分けるのなんざ面倒だろ。
丸ごと奪っちまった方が手っ取り早い。」
グラース……あと、これもやるよ。

グラースが差し出したのは、真新しいシルクの手袋だった。

グラースこれをつけてれば、子供に泣かれることもねぇだろ。
主人公【これ、どうしたの?】
【用意してくれたの?】
グラーステオとカトリーヌへのウェディングギフトの山から見つけた。
手触りもいいし、〇〇の手にもきっと合うぜ。
グラース……? どうした?
あんまり嬉しくなさそうだな。
好みの手袋じゃないなら、他のがないか探してくるけど?
主人公【勝手に取ったらだめだ】
→グラース「いいんだよ。
2人ならこんなの腐るほど持ってるだろ。
どうせ使わないなら、使ってやった方が手袋だって本望さ。」

【2人に返して謝らないと】

→グラース「チッ……わかったよ。
〇〇も一緒なら謝ってやってもいい。」
グラースもうこの話はいいだろ。
せっかく美味しそうな料理を持ってきたんだから、食べようぜ!

グラースと〇〇は、
庭園で静かなディナーを楽しむことにした。

グラース……そういえば。
〇〇と2人きりでディナーは初めてじゃねぇか?
グラース前に誘った時は、この僕の誘いを断るなんて、
信じられねぇって思ったけどな……。
ようやく実現したってわけだ。
グラースははっ、いいね。今だけマスターを独り占めだ。
そう思うと、このタキシードに着替えてきてよかったぜ。
ほら、ムード作りにはぴったりな格好だろ?
主人公【本当にぴったりだ】
【タキシード、よく似合ってる】
グラース……っ!?
グラース……ふん。この僕だぞ。
どんな服だって似合うに、決まってるだろ!
グラース…………。
グラース……でも、その……。
……〇〇。
グラースフランスに来るのは気が重かったけど、
……お前がいてくれて────

グラースが何かを言うが、風の音が邪魔をする。

主人公【ごめん、もう1回言って】
【よく聞こえなかった】
グラースなっ……!
グラースい、言えるか……! 二度と言えるか!
マークスおい!
マスターを誘拐するな!
シャスポーもう冷えるっていうのに……外で何をしてるんだ!?
タバティエールおいおい、2人とも。
話してる時に邪魔しちゃ悪いだろ?
ジョージWow! 庭園パーティーも楽しそうだな☆
オレも混ぜてくれ!
シャルルヴィル夜の庭園を眺めながらスイーツを食べるのって、
雰囲気あっていい感じだね♪
グラースチッ……お前ら……。

やがて、賑やかな声に誘われたのか、
テオドールとカトリーヌも庭園へとやって来た。

テオドールパーティー会場に姿が見えないと思ったら、
外に集まっていたんだな。
カトリーヌふふっ、ここでの食事も素敵ですね。
わたくしたちも混ぜてもらおうかしら。

〇〇は手袋のことを謝ろうとするが、
それより先に音楽隊が現れ、音楽を奏で始めた。

テオドールカトリーヌ、お手をどうぞ。
カトリーヌええ、テオ。踊りましょう。
シャルルヴィルふふ、いい夜だね。
ジョージよーし! みんなで一緒に踊ろうぜ~!
グラース……やっぱり、楽しみは奪わなきゃな。
〇〇、立て!
グラース……麗しき我がマスター。この僕が一緒に踊るぜ?
当然、誰よりも輝かせてやるよ。
さあ……お手をどうぞ。

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