誰かの遠い記憶の欠片。今や世界に悪とされた、7年前の、とある貴銃士の追憶。
彼らの正義を食い荒らす虫を、ただひたすら踏み潰す。その行為を正義と信じていた。
どうすればよかったんだろう。
どこを間違えていたんだろう。
「彼」は独り、夜闇に呟く。
夢の中、警報のように鳴り響く、悔恨と懐旧のリフレイン。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
──フィルクレヴァートの市街地にて。
シャルルヴィル | ……はぁ……。 |
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ライク・ツー | …………。 |
主人公 | 【来ないね……】 【場所はここで合っているはずだけど……】 |
〇〇とライク・ツー、シャルルヴィルは、
任務の指定場所に来たものの相手が現れず、
待ちぼうけを食らっていた。
ラッセル | 『──〇〇君!』 |
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シャルルヴィル | あ、連絡だよ、〇〇! |
ラッセル | 『すまないが、今日の任務は中止だ』 |
シャルルヴィル | ええっ!? 何かトラブルでもあったんですか? |
ラッセル | 『それが……伝達メモに書かれていた日付が 今日だと思っていたんだが、俺が6と0を読み間違えていて、 本当は6日後だったんだ……』 |
ライク・ツー | ……そんなことかよ!! |
ラッセル | 『本当にすまない! 遅い時間だが、好きな店でランチでもしてきてくれ。 私が奢らせてもらうよ』 |
主人公 | 【お気遣いなく……!】 【ありがとうございます!】 |
シャルルヴィル | わっ、まさかの展開! ねぇねぇ、そういうことなら、行きたい店があるんだよね♪ おしゃれで雰囲気がいいって話題のガーデンカフェ! |
ライク・ツー | へぇ。それって近いのか? |
シャルルヴィル | 確かこっちだったかな。ついて来て! |
シャルルヴィルの案内でたどり着いたのは、
表通りから小道に入って少し歩いた場所だった。
シャルルヴィル | あった! あそこだよ! |
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入口から続くレンガの道の左右には小さな庭が広がっており、
いくつか置かれたテーブルでは、人々がのんびりと過ごしている。
シャルルヴィル | 噂通り、素敵なお店だね。 それに、遅い時間なのに混んでるみたい。 やっぱり人気のお店なんだ! |
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主人公 | 【入ってみよう!】 |
ライク・ツー | ……俺はパス。 |
シャルルヴィル | えっ? |
ライク・ツーは踵を返すと、来た道を戻っていく。
シャルルヴィル | ちょ、ちょっと待ってよ。 せっかく来たんだから一緒に── |
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店員1 | いらっしゃいませ。何名様でしょうか? |
シャルルヴィル | あ、えっと……。 |
店員1 | ……あれ? |
ライク・ツー | …………。 |
店員1 | も、もしや……ライリー先輩!? |
ライク・ツー | あー……。 |
店員1 | ひぃっ! た、大変だ……!! |
スタッフの男性が慌てて店内に戻ったかと思うと、
別のスタッフたちを連れて小走りで現れる。
店員1・2・3・4・オーナー | ライリー先輩! いらっしゃいませ! |
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シャルルヴィル | い、いったい何事……!? |
オーナー | この店は私が祖父から引き継いだ店で、 古くて休日でも閑古鳥が鳴くような、 寂れた店だったんです……。 |
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オーナー | 今日から短期で入ってもらうライリー君です。 えっと……みなさん、色々と教えてあげてくださいね。 |
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店員1 | っす……。 |
店員2 | ども……。 |
ライリー | ……ハァ。 |
ライリー | 暗い店だと思ったら、オーナーも店員も暗いわけか。 |
オーナー | ……っ! |
店員1・2 | …………。 |
ライリー | 俺、キライなんだよね。こういう空気が淀んだ店って。 でも、乗りかかった船だ。 |
ライリー | お前ら──徹底的にシゴいてやるよ! |
店員1 | そこから、ライリー先輩の指導が始まりました。 お店の改装から、スタッフの態度、料理の味、提供速度の改善…… 全体の流れを管理しながら、問題点を次々と解消したのです! |
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ライリー | 盛り付け上手いな。キレイだ。 このまま丁寧さは維持してスピードアップしろ。 お前ならできる! |
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ライリー | おい調理遅れてんぞ! 代わる。 いいから休憩行っとけ。 |
店員1 | ライリー先輩は鬼のように厳しいけれど、 的確なアメと鞭で俺たちを、 そしてこの店を育ててくれた──! |
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オーナー | ライリー君のおかげで、この店は雑誌に取り上げられるほどの 人気店になりました。夢のようですよ……! |
店員1 | だから俺たちにとって、ライリー先輩は大恩人なんです! |
主人公 | 【そうだったんだ……!】 【ライリー、すごい!】 |
ライク・ツー | 別に、俺は職業体験やるなら気持ちよく働きたかっただけ。 |
シャルルヴィル | ライク・ツー──あ、いやライリーって経営の才能も あるんだね。リリエンフェルト家の レストラン事業も見てほしいくらいだよ……! |
オーナー | さっそく、何か召し上がってください。 おすすめは季節限定の── |
オーナー | …………。 |
店員1 | オーナー!? |
シャルルヴィル | 大変だ……オーナーさんが倒れちゃった!! |
オーナー | うっ……。 |
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主人公 | 【大丈夫ですか!?】 【どうされたんですか!?】 |
店員1 | オーナー、やっぱり無理がたたったんですよ……! |
ライク・ツー | どういうことだ? |
店員1 | オーナーは、その……。 |
店員1 | 今日で16連勤目でして。 |
シャルルヴィル | じゅ、16連勤!? |
オーナー | ──ふぅ、少し休んだら落ち着きました。 もう大丈夫です! 仕事に戻ります。 |
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ライク・ツー | あのなぁ……。 |
ライク・ツー | 自・己・管・理しろ! このバカ野郎っ! |
オーナー | ひぃっ! |
ライク・ツー | ヘルプを出すことも大事だって お前自身がスタッフの奴らに言ってたじゃねぇか! それに、お前もともと身体強くない方だろ。なのに……。 |
オーナー | そ、それはですね。 有難いことに、連日予約が入っておりまして! 誕生日や記念日、デートですとか……。 |
オーナー | お客様の大切な日にこの店を使ってもらえるなんて、 僕は嬉しくて、嬉しくて。 それで休むわけにはいかない、と……! |
シャルルヴィル | うーん……気持ちはわかるけど……。 |
主人公 | 【それで倒れたら元も子もないですよ!】 【無理するのはダメです!】 |
ライク・ツー | そういうこと。 |
ライク・ツー | ──っつーわけで、お前は今日から5日間出禁だ! |
オーナー | そんなっ! 5日も!? |
店員1&2 | 大丈夫ですよ、オーナー! 店は俺たちに任せてください! |
オーナー | で、でも明日はフィルクレヴァート婦人会の予約が……! 20名の団体様ですよ。 君たち2人じゃ回りません! |
ライク・ツー | じゃ、明日からは 俺が手伝いに来てやるよ。 |
シャルルヴィル | ボクもやるよ! カフェのスタッフは好きな仕事なんだ♪ |
オーナー | 皆さん……!! |
オーナー | ……わかりました。 明日からしばらく、店をよろしくお願いしますね。 |
店員1&2 | はいっ!! |
シャルルヴィル | オーナーさん、よろしくとは言ってたけど、 店のことが気になって仕方ないって顔だったね……。 本当にこのお店とお客さんのことが大切なんだ。 |
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ライク・ツー | ……俺のおかげ、とか言うけどさ。 あいつの店への愛情がなければ、 ここまで人気店になってなかったと思うぜ。 |
ライク・ツー | ま、明日からは働くにせよ…… 今日はとりあえず、 客としてめいっぱい楽しもうな。 |
店員1 | お待たせしました。 オレンジアールグレイと、ベリーのティーソーダです。 こちらはよく混ぜてお召し上がりください。 |
シャルルヴィル | うわぁっ、美味しそう! |
店員2 | お客様。お庭の席が空きました。 よろしければテラス席の方に移動されますか? |
ライク・ツー | どうする? 〇〇。 |
主人公 | 【テラス席に行こう!】 【ぜひ!】 |
シャルルヴィル | お庭もセンスがいいね。 あのアンティークのバードバスは? |
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ライク・ツー | あー、それはもともとあったんだけど、 汚れてたから白のペンキで塗りなおしたんだよ。 |
シャルルヴィル | へぇ~! このフラワーガーランドは? |
ライク・ツー | これは俺が買い付けたやつ。 こんな感じでさ── |
ライク・ツー | ハートを目にかぶせて 写真撮るのが女子の間で流行ってるんだって。 |
ライク・ツー | 可愛いだろ? |
主人公 | 【ライク・ツーによく似合う】 →ライク・ツー「べ、別に俺は似合わなくていいけど。」 【すごく可愛い!】 →ライク・ツー「……サンキュー。」 |
シャルルヴィル | あ、照れてる? 珍しい! なんだか貴重だね! |
ライク・ツー | 何がだよ。ったく……。 |
シャルルヴィル | それにしても16連勤ってなかなかだよね。 ボクは最高、どれくらいだったかなぁ……。 |
ライク・ツー | 昔、20連勤やったやつを知ってるけど。 |
シャルルヴィル | に……20!? |
ライク・ツー | 終わった後は丸1日ぶっ倒れるように寝て、 次の日はエステとマッサージ行ってたっけ。 それからたまった金でガーッと買い物。これが楽しいんだよなぁ。 |
シャルルヴィル | へ、へぇ……? |
??? | ……ツー様……! |
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(……るさい……)
??? | ……きてく……い……! |
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(…………)
??? | ライク♥ツー様、モーゼル様がお呼びです……! |
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ライク♥ツー | あーーーー!!! |
ライク♥ツー | うっさいなぁ、もう!! 寝てんのに起こすなっての!! |
兵士 | す、すみません……! しかしですね、モーゼル様から報告に来るようにと── |
ライク♥ツー | 聞こえてるっつーの! っていうか僕、お前らが初手しくじったせいで 20連勤する羽目になったんだけど!? もう忘れたわけ!? |
兵士 | 申し訳ございませんんんん!! |
ライク♥ツー | レジスタンスの応援が集まって 森でゲリラ戦粘られて最悪の泥仕合! 3週間でカタつけてやった礼が先でしょ! |
ライク♥ツー | はぁ……とにかく、今日は寝るから。 明日の朝イチにエステシャン手配ね! わかった!? |
兵士 | はっ……はいぃぃ! 失礼しましたっ! |
ライク♥ツー | あー……やっと静かになった……。 |
ラブ★ワン | ライたんやっほぉーーう☆ |
ライク♥ツー | うわっ、またウルサイのが……サイアク。 |
ラブ★ワン | 20連勤だったんだって? お疲れーぃ☆ フゥ~~~!! |
ライク♥ツー | ハイハイ、お疲れなんで出ていってくれる? |
ラブ★ワン | おいらも手伝いに行きたかったのに、 別の仕事押し付けられちゃったんだよ~ん。 ごめんねライた~ん! |
ライク♥ツー | うんうん、じゃあオヤスミ。 |
ラブ★ワン | おいらはいつでもライたんの味方だよ☆ ピンチの時は駆けつけるし、 困った時は頼れるアニキとして大活躍するよ~ん! |
ライク♥ツー | …………。 |
ラブ★ワン | ライたん、愚痴も心配事もなんでも おいらに打ち明けちゃって☆ フゥ~~~~!! |
ライク♥ツー | ……じゃあ、頼み事があるんだけど。 |
ライク♥ツー | 出・て・い・け! |
ラブ★ワン | フゥ~! 20日振りの弟がきびすぃ~!! |
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