天使のラッパはこの世の終わりを告げるものだという。
では、天使のピアノは我々に何を告げるのか──?
不吉な予感とは裏腹に、天上の音楽とも呼べる美しい調べと共に天使は尋ねる。
「リクエストはあるかな?」
哀れなる群衆よ歓喜の声を上げよ。
美しき旋律を響かせて、天命の使者が舞い降りる。
与えるは無情な救済。
致死量の祝福に灰となれ。新たな命の人柱となれ。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
シャスポー | いきなりグラウンドに集まるようにって…… 何が始まるんだ? |
---|---|
タバティエール | さあなぁ……。 一般クラスとの合同訓練とかになるのかねぇ。 |
恭遠 | みんな、急遽集まってもらってすまない。 今日は予定を変更して、特別授業だ。 |
ジョージ | 外で特別授業……! わかった! キャンプファイヤーで焼きマシュマロだな☆ |
恭遠 | 違うぞ、ジョージ。 |
マークス | つーか、横にいるおっさんはなんだ。 |
恭遠 | マークス……おっさんはやめるんだ。 こちらは、連合軍イギリス支部のブルック中尉だよ。 |
ブルック | ここからは私が説明しよう。 君たち貴銃士には、連合軍の各国支部と協力して、 アウトレイジャー討伐などの任務に当たってもらうことが多い。 |
ブルック | そこで、より綿密な連携が取れるようになることを目的に、 本日の授業では試験的に私が指揮をする。 |
ブルック | 連合軍と共同の任務を想定して、 私の指示に沿って訓練を行ってくれ。 |
ライク・ツー | へぇ、実戦想定の訓練ってわけか。悪くねぇな。 |
シャスポー | ふん……どの程度の指揮なのか、お手並み拝見だね。 |
ブルック | ……ゴホン。静かに。 貴銃士諸君の銃の適性を考え、チームを組んだ。 今から発表するので、各自の役目をしっかり把握してくれ。 |
ブルック | まず、制圧射撃にミカエル君。 そして、歩兵をジョージ君、ファル君、ライク・ツー君。 |
ライク・ツー | ジョージが歩兵……まあ、絶対高貴込みならアリか。 |
ブルック | この編成では、分隊支援火器のミカエル君を活かし、 敵の侵攻を阻止する想定で射撃訓練を行う。 |
ライク・ツー | なるほどな。まあ、順当で悪くねぇ。 ……ミカエルが機能すれば、だけど。 |
ファル | どうでしょうねぇ。 |
ブルック | 全員、ポジションについてくれたまえ。 では……訓練開始! |
ブルック | 制圧射撃、始め! |
ミカエル | …………。 |
ブルック | ……ん? ミカエル君、聞こえているかね? 制圧射撃だ! |
ミカエル | …………。 |
ブルック | ミ……ミカエル君。なぜ立ったままなのだ? 制圧射撃をしないか。君がこの作戦の要なんだぞ……! |
ミカエル | ここにはピアノがないのだから、 僕がすべきこともない。 |
ブルック | な、何を言っているんだ……? |
ライク・ツー | はぁ……やっぱこうなったか。 |
ブルック | くっ……! ならばライク・ツー君、君がバックアップだ! 制圧射撃開始! |
ライク・ツー | はいはい……。 |
ブルック | よし、いいぞライク・ツー君。 ここで援護だ。ミカエル君! ……ミカエル君!? |
ミカエル | 蝶の羽ばたき……音のないものを曲に起こすには……? |
ブルック | どこを見ているのだね? 早く銃を構えないか……!! |
生徒1 | あの……失礼します! 自分がミカエル様に代わり、制圧射撃をやります! いえ! やらせてください……っ! |
ミカエル | そう、よろしく。 |
生徒1 | ……っ! ありがたき幸せ……! 頑張りますっ!! |
ブルック | いや、待て待て! 待ちたまえ!! 何故、ミカエル君が撃たないのだね!? そもそも君はいつの間に訓練場にやってきた!? |
ジョージ | ……そういや、ミカエルが自分で銃を撃ってるとこ、 見たことないな~。 なぁ、たまには撃ってみようぜ☆ |
ミカエル | 僕にとって銃を撃つことよりも、 ピアノを弾くことの方が重要なのだけれど。 |
ミカエル | ……でも、そうだね。 どんな響きなのか、少し興味がある。 |
ジョージ | それじゃ、やってみようぜ! |
生徒1 | では、自分は失礼して……。 ミカエル様、どうぞ!! |
ミカエルは、銃の引き金にそっと指をかけた。
ミカエル | ……わっ。 |
---|
きちんと構えず引き金にだけ触れたために、
反動で銃が跳ね上がる。
ライク・ツー | ちょっ……! おい! 突っ立って銃もしっかり持たずに撃つんじゃねぇ……! ちゃんと射撃姿勢を取れ! |
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ファル | ……彼、一度でも銃を撃ったことがあるんですか? とても、あるようには思えませんが。 |
ライク・ツー | 前に任務には行ったことあるって聞いたけど…… 銃をまともに使ったかどうかは怪しいな。 ……やばいんじゃねぇの、これ。 |
ジョージ | うわぁっ! 銃口どっち向いてんだ、あれ! 皆、伏せろーっ! |
ハンド上ランダムに動く銃から、弾が発射されていく。
ブルック | ひいいっ!? や、やめ! 射撃やめーい!! 仲間を殺す気かね!? |
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ライク・ツー | おい、やめろっての! ミカエル!! |
近くにいたライク・ツーとファルが、
銃を押さえつつミカエルを引き離して銃撃を止めた。
ミカエル | …………。 |
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ファル | ミカエルさん、大丈夫ですか? |
ミカエル | …………。 こんなに激しい鼓動は、初めてだ……さすが、僕の銃だね。 ふふ、新たな音に出会えた……。 |
ブルック | 一体なんだったのだ……。 貴銃士とはこういうものなのか……? |
ブルック | はぁ……とても私の手には負えそうにない。 グランバード氏は一体どうやって彼らを指導しているのだか……。 |
──ブルック中尉による訓練2日目。
ブルック | 本日は機関銃についての訓練だが……。 その前に、機能の訓練のおさらいをしよう。 |
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ブルック | 制圧射撃とは何か。 ずばり答えられる者はいるかね。 |
ローレンツ | 俺が答えるとしよう。 制圧とは、威力をもって相手を押さえつけること。 |
ローレンツ | 制圧射撃とは、相手の動きを制限することを主な目的とした、 機関銃などの火器によって行う攻撃である。 目的はあくまで制圧であり、命中はあまり重視されない。 |
ローレンツ | フッ……Q.E.D. |
ブルック | Q.E.D.は不要だが……まさにその通り。 さすが、ローレンツ殿は博識でおられる。 |
十手 | なるほどなぁ。 しっかり狙いを定められていなくとも、 連射されていると迂闊には動けない。効果は十分というわけか。 |
ブルック | さて、おさらいはこれくらいにしておこう。 これより、分隊支援火器を使った訓練に入る。 今回は軍用銃を使ったことがない貴銃士諸君をメインに行おう。 |
ブルック | カトラリー君、カール君、十手君は前へ。 |
ミカエル | おや……? 僕はいいのかな。 |
ブルック | ……っ! ミカエル君は、他の貴銃士のアシストをしなさい。 ただし、くれぐれも君自身は決して! 撃たないように!! |
ミカエル | そう……わかった。 |
ミカエルが銃からやや離れた場所に移動すると、訓練が始まる。
ブルック | では機関銃の操作から始めよう。 まずは、持ち上げてみてくれ。 |
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カトラリー | うわっ、何この重さ……! こんなの僕が持てるわけないじゃん! |
十手 | むむっ……かなりの重さだなぁ……。 これを担いで長い距離を歩くのは大変そうだ。 |
ブルック | そう。今体感してもらったように、機関銃は重い。 20~40kg程度の重量がある。 |
カール | 砦なんかの防衛には適しているだろうけど、 攻勢に持ち込むには実用的とは言い難いねー。 |
ブルック | その通りです、カール閣下。 |
ブルック | 敵地に前進していく歩兵をサポートするには、 ライフルより多くの弾をばら撒け、なおかつ軽い銃がいい── そんなないものねだりに答えたものが、こちらだ! |
ライク・ツー | ……昨日の衝撃でテンションおかしくなってねぇか? |
カトラリー | あ、ミカエルの銃……! |
ブルック | さあ、KB MNMを持ってみてくれ。 |
十手 | おお……さっきの機関銃と比べると、ずいぶん軽いなぁ! |
ブルック | そうだろうとも。 KB MNMは200発装填してもなお10kg前後なのだ。 |
ミカエル | ……ねぇ。 |
ブルック | どうしたのだね、ミカエル君。 何か補足することが? |
ミカエル | きみ……僕のことをよく知っているね。 褒めてあげる。 |
ブルック | なに、兵士や銃火器それぞれの特徴を知り、 適切に運用するのは、将校として当然のことだ。 |
ミカエル | そう……。 ところできみ、その調子でもう少ししゃべってくれないかい? |
ブルック | 何故だ? |
ミカエル | 声が聴きたいんだ。 きみの声は……川のせせらぎのようで、耳に心地良くてね。 |
ミカエル | ピアノを弾けない時間は退屈だと思っていたけれど、 きみが喋っていてくれるのなら、悪くはなさそうだ。 |
ブルック | う、うむ……では、教科書の朗読でも……。 声の調子を整えるので、少し待ってくれ。 あー、あー……ごほんっ……。 |
ブルック | では、分隊支援火器の作られた経緯について……。 |
ミカエル | ……うん、よく眠れそうだ。 |
十手 | さ、さすがに堂々と寝るのはまずいんじゃないかい!? |
──ある日の士官学校にて。
恭遠 | 今日の授業では、それぞれの銃について考えてみよう。 世界には新旧いろんな銃があるが、すべてに共通することがある。 それは、弾がなければ銃として使えないということだ。 |
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シャルルヴィル | 確かにそうだね……。 |
シャルルヴィル | ボクとかジョージは、銃剣を付けて槍みたいにしたり、 銃床は鈍器として使えたりするけど、 それは”銃として”の使い方ではないし。 |
恭遠 | そこでこの時間は、弾切れを起こさないための工夫を 各自考えてみてくれ。 |
ベルガー | 弾切れってクッソイラつくよなぁ! 弾切れを撃ちてぇのに弾が切れてっから撃てねぇしよぉ。 |
ローレンツ | 弾切れという事象を撃ち抜こうという思考になるか……。 モルモット1号の認識能力について、メモを加えておこう。 |
ケンタッキー | はぁ~あ。 これだから数撃ちゃあたる戦法のヤツはダメなんだよなぁ。 |
ケンタッキー | 手持ちの弾数から逆算して作戦組み立てんのは常識だろ。 ワンショット・ワンキルを貫くからには、 俺はトーゼン、何発持ってて何発使ったか把握してるぜ。 |
ベルガー | あ? 俺の銃はすっげぇから、 チマチマ数えらんねーくらいドバババンって撃てるんでぇ~す! |
ケンタッキー | んだと? スナイパー舐めんなよ長耳!! |
恭遠 | こら、そこ。喧嘩しない! 弾切れを起こしてしまった時の対処法についても考えてみよう。 |
ベルガー | はぁ~? んなもん、そこらへんの兵士から奪えばいいだろ。 |
ケンタッキー | 都合よくお前の銃と同じ弾使ってるヤツがいるとは限らねぇだろ。 |
ベルガー | んぇ? マジ? |
八九 | はぁ……バカだってわかってんのに、 毎度お前のバカさは想定を超えてくるな……。 |
ベルガー | ああ? じゃあお前はどうすんだよ! |
八九 | 俺は……ミカエルからもらうぜ。 どうせあいつは撃たねぇだろうし。 俺らはほら、弾と弾倉の規格が共通だからな。 |
カトラリー | え、そうなの? |
ベルガー | 弾もらえるだけでドヤ顔かよ。 うわー、引くわぁー。 |
八九 | べ、別にドヤってねぇし!! |
カトラリー | ねぇ、八九がミカエルの弾を使えるってことは、 ミカエルも八九のを使えるってこと? |
ミカエル | どうなんだろう。 今度やってみようか、八九。 |
八九 | いや……やめとけ。 MNMは俺の弾倉を使うとなぜか暴発するらしい。 だから、自衛軍では禁止されてるぜ。 |
ミカエル | おや、そうなの? |
グラース | へぇ……要するに片想いってことか。 受け入れられねぇ想い……惨めなもんだな。 |
八九 | はぁ? 想い関係ねーだろ、弾倉の話だっての! |
ベルガー | あひゃひゃひゃ! オマエ、ドーテーだもんな!! |
八九 | もっと関係ねぇぞ、クソが! |
八九 | ったく、好き勝手言いやがって……。 ミカエル、お前も少しは怒れよ。 |
ミカエル | …………。 |
八九 | おーい、どうした? |
ミカエル | ん……少し考え事をしていたんだ。 僕の弾倉を八九に貸して、それを返してもらって使ったら…… どうなるんだろうね。 |
八九 | さあ……? 元はミカエルのなんだし、平気なんじゃね……? |
八九 | まあでも、やってみて暴発して、 お前がどっか壊れちまったりしたら怖ぇから、やめとくわ。 |
ミカエル | そう……残念。少し興味がそそられたのだけれど。 諦めるしかなさそうだね。 |
猫 | ニャ、ニャ……ッ! |
---|---|
ベルガー | おっ? 猫はっけーん。 何追いかけてんだ? |
ベルガー | ……うげっ! まさかアルパチーノを狙ってんじゃねーだろうな! |
ベルガー | おいっ! 猫!! 俺のトモダチに手ェ出すんじゃ── |
猫 | フーッ!! |
ベルガーが近づくと、猫は驚いて逃げてしまった。
ベルガー | アルパチーノ── ……って、ちげーじゃん! バッタかよ。 |
---|---|
ベルガー | 動かねぇ……もう壊れちまったのか。なーんだ。 |
ベルガーがバッタを放り投げた方にはミカエルがいて、
動かないバッタを前にし、立ち止まった。
ミカエル | ……虫? |
---|---|
ベルガー | そ。もう壊れちまってるから、触ってもつまんねーぞ。 |
ミカエル | そうかな。 |
ミカエルがバッタを拾い上げた途端、
死んでいたはずのバッタが勢いよく跳ね、
草むらの中へと逃げていった。
ベルガー | マジかよ、生き返った!? カッケー! |
---|---|
ミカエル | 生き返ったのではなく……仮死状態になっていたんじゃないかな。 猫はただ、いたぶって遊んでいただけだね。 殺すつもりではなくて……。 |
ミカエル | …………。 |
革命戦争時代のこと──。
ミカエルがピアノ奏でる中、戦闘が行われていた。
レジスタンス | うわぁぁぁぁっ! |
---|---|
世界帝軍兵士1 | よし、やったな……。 |
世界帝軍兵士2 | ああ、さすがミカエル様の銃だ! これだけ撃てば、さすがにレジスタンスの奴らも全滅だろ。 |
レジスタンス | うぅ……っ。 |
世界帝軍兵士1 | ……っ!? お、おいっ! あいつ、立ち上がってるぞ! |
世界帝軍兵士2 | 馬鹿な! 確かに命中したはずだぞ! あいつら、人間じゃねぇのか? |
世界帝軍兵士1 | いや、怪我はしているから確かに当たってはいるぞ。 それが動きを止めることに繋がってないんだ……! |
レジスタンス | うおおおおおっ! |
立ち上がったレジスタンスが、火炎瓶を投げてくる。
世界帝軍兵士1 | ッ!! 避けろ!! |
---|---|
世界帝軍兵士2 | 駄目だ! 間に合わないっ! |
ミカエル | …………。 |
---|---|
ミカエル | (今、一瞬よぎったのは……記憶の残滓かな) |
ベルガー | へぇ~確かに遊ぶなら、殺しちゃもったいねーよな! 俺が猫でも同じことするぜぇ。あひゃひゃっ! |
ミカエル | そうだね……。 |
ミカエル | (僕の役目も、たぶん……) |
──ある日の午後。
ミカエル | …………♪ |
---|---|
ミカエル | ふふ……ここのピアノは素晴らしい音色だな。 |
ミカエル | あと2、3曲弾いてみようか……。 おや。でも、外が暗い……今は何時なんだろう。 |
ミカエル | 一度、部屋に戻ろうか……。 |
ミカエルが廊下に出ると、『ミカエル様へ』と書かれた
クッキーが置かれていた。
ミカエル | ……? |
---|---|
ミカエル | (僕宛てのようだし、持ち帰っておこう) |
──数日後。
〇〇とカトラリーとミカエルは、
休日を街で過ごしていた。
ミカエル | おや……見たことのない花だな。 |
---|
文房具屋に行く途中、ミカエルは花屋に目をとめて立ち止まる。
カトラリー | ミカエル? 僕たちあそこの文房具屋を見てくるけど……。 |
---|---|
ミカエル | そう。行っておいで。 僕はここにいるから。 |
カトラリー | そっか……わかった。 飽きたらお店に来るか、ここから動かないでね! |
〇〇とカトラリーが手早く買い物を済ませて戻ると、
ミカエルが身動きできないほどたくさんの花に埋もれていた。
カトラリー | えっ……、ちょっ、何これ……!? 僕たちがいなかったほんの10分くらいで何があったわけ!? |
---|---|
主人公 | 【どうしたの!?】 【大丈夫!?】 |
ミカエル | 平気だよ。 絵のモデルになってくださいと花を渡されて……。 そうしたら、道行く人たちもどんどん花をくれたんだ。 |
カトラリー | え……それで、こんなになるまで断らなかったの? |
ミカエル | 花はいい匂いだし、気分はいいよ。 |
カトラリー | そ、そう……。 |
カトラリー | ミカエルは天使だもんね。 花を捧げたくなる気持ちはわかるけど……。 これはやりすぎって言ってもよかったんじゃないかな……。 |
主人公 | 【ミカエルが怒ることってあるのかな】 【ミカエルはなんでも受け入れてしまうのかな】 |
カトラリー | …………。 |
──数日後。
ミカエルはいつものようにホールでピアノを弾き、
それをカトラリーと〇〇が鑑賞する。
ミカエル | …………♪ |
---|---|
生徒1 | ああ……ミカエル様……。 |
ピアノの音色に聞き惚れていたファンの生徒は、
夢遊病のようにふらふらとピアノに近づき──
うっとりするあまり、手に持っていた花瓶を落としてしまう。
生徒1 | あ……っ! す、すみません! |
---|---|
ミカエル | 鍵盤に……水が……。 |
ミカエル | ……っ! |
カトラリー | ミ、ミカエル! 落ち着いて! こんな場所で力を使ったら、ピアノが壊れちゃうよ! |
生徒1 | ひいっ!? す、すみません……っ! |
主人公 | 【早く水を拭かないと!】 |
カトラリー | 僕、布巾を取ってくる……! 〇〇はここにいて、ミカエルを見てて。 |
大急ぎでピアノを拭いたあと、
調律師を呼んでピアノの調子を確認してもらう。
調律師 | ……素早く汚れと水分を拭きとってくださったので、 あとは時間をかけてしっかり乾燥する必要がありますね。 |
---|---|
調律師 | ただ……乾燥が完了しても、 鍵盤の吸湿による変化が出る可能性はありますので…… 後日、またケアしに来ます。 |
ミカエル | …………。 |
その日以降、ミカエルがピアノを弾いている時は、
〇〇と一部の貴銃士を除き、
誰も入れなくなった。
カトラリー | ふふふ、士官学校でも天使の調べを独り占めできるなんて、 僕ってばラッキーだよね。 |
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ミカエル | 今日は何がいい? 遠慮なくお言いよ。 |
カトラリー | うーんと、ミカエルの好きな曲! |
ミカエル | ……そう。 |
ミカルはレクイエムを弾き始める。
カトラリー | (天使は優しい曲を奏でるだけの存在じゃない。 時に冷酷で、咎人を罰する存在でもあるんだ……) |
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