スプリングフィールドの案内で市場にやってきた一同は、
リンゴを売っている店の店主に経緯をかいつまんで話し、
誠心誠意謝罪した。
ケンタッキー | 今回は迷惑をかけて、 本当にすみませんっした! |
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スプリングフィールド | す、すみません、でした……! |
ペンシルヴァニア | 本当に、すまなかった……。 買い物の仕方を教えていなかった俺に、非がある。 |
マイケル | いや、それを言うなら俺の落ち度だ。 ご店主、本当に申し訳ない……! |
店主 | もういいよ。 さっきからペコペコと何度も頭を下げられて、 こっちが申し訳ない気分になってきたからな。 |
店主 | ちゃんと代金は払ってもらったし、 その子……買い物の仕方も知らねぇような、ワケアリなんだろ。 そんな子を問答無用で警察に突き出しちゃ、気分が悪いよ。 |
ジョージ | おっちゃん……本っ当にありがとう! |
主人公 | 【温情に、心から感謝します】 |
店主 | どういたしまして。 追加の買い物があれば、さらに気をよくするぜ? |
ペンシルヴァニア | ああ……それならちょうど、欲しいものがある。 もう1つ、リンゴを売ってもらえないだろうか。 |
店主 | もちろん、大歓迎だ。 好きなヤツを選びな。 |
ペンシルヴァニア | ありがとう。 |
ペンシルヴァニアは代金を払って、
リンゴを追加で1つ買った。
ペンシルヴァニア | スプリングフィールド。これは、お前のだ。 |
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スプリングフィールド | え……? 僕、に……? |
ケンタッキー | なにびっくりしてんだよ。 お前が1番美味しいと思うモンがリンゴなんだろ? なら、一緒に食おうぜ。 |
ケンタッキー | 美味いモンをみんなで食うと、もーっと美味いんだぞ。 |
店主 | いいこと言うな、派手な兄ちゃん。 おまけに、ウチのリンゴは絶品だぜ。 丸かじりが特に最高だ! |
主人公 | 【ほら、食べよう】 【いただきます!】 |
ジョージ | オレも、いただきまーす! |
ジョージ | ん〜! シャリシャリで甘くていい感じに酸っぱくて、うま〜! |
ケンタッキー | ほんとだ、うめぇな、コレ! 腹減ってたし、染み渡るぜ……! |
ペンシルヴァニア | うん……いいリンゴだ。 夏の草原をなでる風を思い出す……。 |
スプリングフィールド | …………。 |
主人公 | 【スプリングフィールドも食べよう】 【ガブッと齧りついてみて】 |
スプリングフィールド | は、はい……。 |
そっと一口リンゴを齧ったスプリングフィールドは、
そこから、ニ口、三口と次々に口にしていく。
スプリングフィールド | ……、……。 |
---|---|
ジョージ | どうだ? ウマイだろ!? |
スプリングフィールド | ……はい。 |
スプリングフィールド | ……う、う……っ。 |
スプリングフィールドは俯くと、静かに肩を震わせた。
目からはポロポロと涙がこぼれている。
ケンタッキー | ちょ……!? なんで泣くんだよ!? |
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スプリングフィールド | うぅ……だって、おいしい……。 とっても、美味しくて……。 |
ジョージ | ええ! ウマすぎて泣いてるのか!? |
スプリングフィールド | ひっく……すみません……っ! |
ケンタッキー | ……っあはははっ! 美味くて謝りながら泣くって、どんだけ器用なんだっつーの! |
ペンシルヴァニア | ほら、涙が口に入ると、しょっぱいぞ。 これで拭いてやる。 |
ケンタッキー | よーし、もっとどんどん食え! リンゴはこれから毎日食ったっていいんだから! な! |
スプリングフィールド | うっ……ひっく……。 |
スプリングフィールド | ……僕は……。 |
スプリングフィールド | ぼ、僕は……盗む、こと、しか……、 最初の、マスターに……教えて、もらわなかった……ん、です。 |
ペンシルヴァニア | ………………。 |
スプリングフィールド | そう、しないと……、食べる、ものが……なくて……。 動けないと……マスターの、役、に、立て……なくて……。 |
ケンタッキー | スプリングフィールド……。 |
スプリングフィールド | 僕は……皆さんの役に……立ちたかった……。 でも結局、迷惑をかけてしまって……。 |
スプリングフィールド | ……ペンシルヴァニアさん、マスター……。 僕に、自由にしていい……と、 言って、くれました……よね? |
ペンシルヴァニア | ……ああ、言ったな。 |
スプリングフィールド | やりたいこと……を、やれって。 それが、自由だって……。なら、やりたくないことを、 やらないのも、自由……ですか? |
ペンシルヴァニア | ああ。何か、おまえなりの自由は見つかったか……? |
スプリングフィールド | 僕、は───……。 |
スプリングフィールド | ……皆さん……と、 一緒に、いたく……あり、ません。 |
ケンタッキー | なっ……!? どういうことだよ……っ!? |
スプリングフィールド | 僕は……皆さんとは、違いすぎるんです……。 だから……一緒に、いることが……つらい……。 |
ジョージ | スプリングフィールド……。 |
スプリングフィールド | (……薄暗い、天井……朽ちた壁…… ……足の折れた椅子……) |
---|---|
スプリングフィールド | (……ここは、一体……?) |
スプリングフィールド | ……? |
??? | ……おい。何黙ってんだぁ。 俺ぁテメェのご主人様だぞ!? |
それが、スプリングフィールドが初めて出会った
人間の第一声だった。
そして、その人間こそが───……。
??? | おい。チャンスはあと1回だけだ。 ───俺は、お前のなんだ? |
---|---|
スプリングフィールド | マ、マスター……? |
貴銃士になったスプリングフィールドに与えられたのは、
罵倒と暴力、そして飢えだけだった。
スプリングフィールド | ……! ご、ごめんなさい……! |
---|---|
マスターの男 | はぁ? 「ごめんなさい」 だぁ? そうじゃねぇだろ! |
男の足が、スプリングフィールドの
頭を、腹を、腕を、幾度となく蹴り上げる。
マスターの男 | てめぇは俺に使われる銃なんだぞ? もっと相応しい謝り方があるだろうが! |
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スプリングフィールド | も、申し訳……ございませ、ん……! |
マスターの男 | ……フン。 最初からそうやってりゃいいんだよ。 |
スプリングフィールド | (この人が、僕のマスター……) |
マスターの男 | るせぇなぁ! 銃ごときが腹鳴らしてんじゃねぇよ! |
---|---|
スプリングフィールド | 申し訳、ございません! |
スプリングフィールドが空腹を訴えると、
男は決まって激怒し、酒瓶を投げつけてきた。
マスターの男 | 俺、前に教えたよなぁ? 自分の餌はどうすればいいかってよぉ。 |
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スプリングフィールド | はい。 自分の餌は、自分で見つけてきます。 |
スプリングフィールド | ……何か……食べられるものを……。 |
---|
スプリングフィールドは、空腹でふらつきながら
路地裏のゴミ置き場をさまよい続けた。
それが、生き延びる唯一の方法だった。
空腹と暴力は日に日に増していき、
スプリングフィールドの心身をむしばんでいった。
マスターの男 | くそっ……この、疫病神が……! |
---|---|
マスターの男 | てめぇが来てから…… こんな、わけのわからねぇ傷がどんどん広がって……! なぁ! てめぇのせいなんだろ!? |
マスターの男 | なんだ、その反抗的な目はぁ! 所有物が持ち主様に反抗してんじゃねぇ! |
薔薇の傷にむしばまれた男は、
よりいっそうスプリングフィールドに当たるようになっていた。
スプリングフィールドへの暴力は、来る日も来る日も続き……
抵抗する気力も体力も、何ひとつ残らなかった。
ジョージ | そんな……。 |
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ケンタッキー | クソ野郎、許せねぇ……! ただ痛めつけるだけなら、 なんで貴銃士なんか呼び覚ましたんだっての! |
スプリングフィールド | でも……僕が悪かったのは、事実……です。 僕が、いるだけで……マスターを、傷つける。 |
ペンシルヴァニア | スプリングフィールド……それは、違うと思う。 |
スプリングフィールド | 前に……ケンタッキーさんが言っていたみたい、に……。 逃げたり、言い返したり…… できたらよかった、のかも、しれません……。 |
スプリングフィールド | でも……僕、言われるまで…… そういうこと、考えたことも、なくて……。 |
ケンタッキー | ……っ! |
ケンタッキー | ……ごめんっ! |
ケンタッキー | あん時は───ぽっと出のお前ばっかり……って、 ムカついて、八つ当たりした部分もあって……。 本当に、ごめん。 |
ケンタッキー | ……だから……。 あー、その……よかったら、仲間になるか? 俺と……。 |
スプリングフィールド | 仲間……。 |
スプリングフィールド | 僕は……なんの役にも、立てないから……。 みなさんと僕は……違いすぎ、ます。 だから……一緒にいられません。 |
ケンタッキー | ……おい、スプリングフィールド。 |
スプリングフィールド | は、い……。 |
無言でスプリングフィールドに近づいたケンタッキーは、
そのままぎゅっと強く、細い身体を抱き締めた。
スプリングフィールド | え、っと……あの……? |
---|---|
ケンタッキー | ……どうだ。温かくないか? |
スプリングフィールド | ……? |
ケンタッキー | どうなんだよ、スプリングフィールド。 |
スプリングフィールド | あ……あったかい、です……。 |
ケンタッキー | ……だろ? |
ケンタッキー | 温かいのは、生きてるって証だ。 この温かさがなくなる時は、死んじまう時なんだ。 |
ケンタッキー | 俺たちは、銃で……本当は、冷たいものだけど。 今はこうして、貴銃士として…… 人と同じように、生きてる熱を持ってる。 |
ケンタッキー | だけど……ひとりぼっちで、 なんにも考えなくて、ただの武器になっちまったら、 俺たちは……また冷たくなるのかもしれない。 |
ケンタッキー | だから……俺たちは、一緒にいなきゃいけねぇ。 そうやって、貴銃士は生きていくもんなんだ。 ……たぶん、だけど。 |
ケンタッキー | 俺には、お前やペンシルヴァニアが必要だし、 お前にも、俺やペンシルヴァニアが必要だ。 一緒にいない方がいいなんて、そんなことねぇよ……! |
ペンシルヴァニア | ……なぁ、スプリングフィールド。 あの日、お前が俺に言ったことは…… きっと、本心だったと思っている。 |
スプリングフィールド | あの、日……。 |
ペンシルヴァニア | お前は、アウトレイジャーになって理性を失いかけながら、 必死に抗って……俺に言っただろう? |
ペンシルヴァニア | ───助けて、って。 |
ペンシルヴァニア | だから……俺は、どこまでもお前を助ける。 お前が何をしたいかわからないなら、共に考える。 |
ペンシルヴァニア | 俺たちといることが“嫌”なんじゃなくて、 “怖い”なら、怯えなくて済むようになるまで、そばにいる。 |
ペンシルヴァニア | ……そうやって、助ける。 ずっとだ。 |
スプリングフィールド | ……っ! どう、して……? |
---|---|
スプリングフィールド | どうして、ここまで……僕に、よくしてくださるんですか……? みなさん、どうして……? 僕……傷つけることしか、できないのに……! |
ジョージ | そんなの、決まってるだろー? みんな、スプリングのことが大切だからだよ! |
ジョージ | だって、自分じゃなくて誰かのためだけに、 買い物の仕方わかんないままリンゴを持ってくるなんて、 そんな優しくておもしれぇヤツ、なかなかいないぞ! |
ケンタッキー | それは間違いねぇな。 |
ジョージ | だろー? HAHAHA✩ |
スプリングフィールド | ケンタッキーさん……ジョージ、さん……。 |
ケンタッキー | ……っつーか、ペンシルヴァニア。 お前、こいつとちゃんと話してたのかよ。 |
ペンシルヴァニア | 話……。 |
ケンタッキー | 一緒にいていいとか、 んな当たり前のこと言われてメソメソするくらい、 色々伝わってなかったみてぇだけど? |
ケンタッキー | スプリングの事情も、 よく知らなかったみたいだしよ。 |
ペンシルヴァニア | そうだな……。 スプリングが話さなかったから。 無理に聞くこともないかと思って。 |
ケンタッキー | おま……っ、それもそうだけど! 自分から言いづれぇことだってあるんだし、 ちょっとは察して聞き出すとかしてみろよ……! |
ケンタッキー | お前はいっつも自分の頭ん中で勝手に考えて、 口には出さないまま勝手に行動すんのがダメなんだよ! あの時も、勝手に出て行くしよ! |
ペンシルヴァニア | ……すまない。 |
ケンタッキー | ごめんで済むか! もっと反省しろっての、バーカ! |
ペンシルヴァニア | 本当に……すまなかった、ケンタッキー。 それに、スプリングフィールド……! |
ペンシルヴァニア | どうか、許してくれ……。 |
そう言うなり、ペンシルヴァニアは、
ケンタッキーとスプリングフィールドを
まとめて抱きしめる。
ケンタッキー | うぎゃあっ! 何しやがる! 離せ! |
---|---|
ペンシルヴァニア | 本当にすまなかった……2人とも。 |
スプリングフィールド | あ、あの……いいんです……。 |
ジョージ | ヘイヘイ! オレも仲間に入れろよな! |
ケンタッキー | ぐぇっ! つぶれる〜っ!! |
ジョージも3人の輪に加わり、
カエルが鳴くようなケンタッキーの叫び声が響いた。
ジョージ | …………。 なぁ、スプリング。 |
---|---|
スプリングフィールド | ……はい? |
ジョージ | おまえがさっき言ってたこと…… マークスも、似たようなことでよく悩んでるよ。 |
ジョージ | 絶対非道を使って戦うと、マスターの傷を広げちまう。 だけど、アウトレイジャーと戦って、 マスターを守るためには、絶対非道の力を使うしかない……。 |
ジョージ | 絶対高貴を使って戦えて、 マスターの傷を癒せるオレが、羨ましい───って。 |
ジョージ | でもさ。マークスとかライク・ツーとか、スプリングとか。 現代銃がいないと、〇〇の傷は、 そのうち綺麗さっぱり消える。 |
ジョージ | そうしたら、オレたち貴銃士も、みーんな消える。 その時にまだ敵が残ってるなら…… 〇〇を守れないし、みんなを助けられない。 |
ジョージ | だから……古銃と現代銃、両方の貴銃士が、 力を合わせて一緒に歩んでいくんだ! |
ジョージ | どっちか片方だけじゃ、だめなんだよ。 マスターを傷つけちまう現代銃のみんなにとっては、 つらいことだけど……。 |
主人公 | 【スプリングフィールドの力も必要なんだ】 【皆といるために、力を貸してほしい】 |
スプリングフィールド | 僕の、力も……必要……? ほ、んとう、に……? |
ジョージ | ああ! 本当だ! |
ケンタッキー | ……それだ! |
主人公 | 【……!?】 |
マイケル | ど、どうしたんだ、ケンタッキー……? いきなり大きい声を出すからびっくりしたぞ……。 |
ケンタッキー | それなら、スプリングフィールドが必要だって、 バシッと説明できる! |
〇〇たちは、スプリングフィールドと一緒に、
ワシントンD.C.へ帰還した。
見張りの目を避けて進んでいた時───
不意に、茂みが揺れて、一行に緊張が走る。
マークス | ……これは、マスターの気配……! |
---|---|
マークス | マスター! |
ジョージ | Wow! マークスか〜! びっくりさせんなって! |
マークス | マスター……! 無事だな!? 怪我はないな!? ああ、よかった……! |
ジョージ | オレのことは無視かよっ! |
主人公 | 【マークスたちも大丈夫?】 【教官たちは……?】 |
マークス | ああ、俺たちの方は問題なかった。 恭遠とラッセルは、何事もないふりをして働いてる。 マスターとジョージは風邪で寝込んでいることにした。 |
マークス | ……すまない、マスター。 俺もすぐに合流したかったんだが、 怪しまれて尾行される可能性があると、恭遠に言われて……。 |
マークス | 全員でここにいるってことは……? |
主人公 | 【作戦は成功したよ】 【2人が絶対高貴に目覚めた】 |
マークス | そうか……! さすがはマスターだ! |
マイケル | ピンチもあったけれど、ペンシルヴァニアとケンタッキーが 絶対高貴で俺たちを守ってくれたんだ。 |
マークス | ……そうだったのか!? く……っ、マスターの危機にそばにいられなくてすまなかった! |
マークス | おい、ペンシルヴァニア、ケンタッキー。 俺のマスターを守ってくれたこと……感謝する。 |
ペンシルヴァニア | 〇〇は、俺たちを危険を冒して守ってくれた……。 俺たちが守るのも……当然のことだ。 |
ケンタッキー | っつーか、今は“お前の”マスターじゃなくて、 俺たちのマスターでもあるんだけど? |
マークス | ふん。俺はマスターの相棒だからな! |
ケンタッキー | はぁ……? |
マイケル | こらこら、マスターを同じくするスナイパー同士、 仲良くするんだぞ? |
マイケル | 楽しい言い合いはあとにして…… まずは、大統領のところに、話をつけにいこう。 |
スプリングフィールド | ……っ。 |
ペンシルヴァニア | 大丈夫だ、スプリングフィールド。 みんながついていて……星の導きもある。 絶対に、大丈夫だ。 |
主人公 | 【どんな手を使っても説得するから】 【スプリングフィールドを壊させたりしない】 |
スプリングフィールド | マスター……ペンシルヴァニアさん……。 |
ペンシルヴァニア | 常に己の恐れるところを成せ、だ。 前に進もう。 何があっても……俺たちが必ず助ける。 |
スプリングフィールド | は、はい……! |
ケンタッキー | よっし、んじゃ、行こうぜ! |
ジョージ | Let’s Go〜! |
一行は、マークスの案内で警備の目をかいくぐって、
大統領の執務室の前まで慎重に進んでいく。
マークス | ───あそこが、大統領がいる部屋だ。 |
---|---|
スプリングフィールド | ……いよいよ、なんですね……。 |
ケンタッキー | なんだよ、緊張してんのか? |
スプリングフィールド | だ、だって……。 彼は、ペンシルヴァニアさんやケンタッキーさんのことも、 破壊するように命令していますから……。 |
ケンタッキー | ここにきて、俺たちの心配かよ! |
ケンタッキー | ……なぁ、スプリングフィールド。 いや、長ぇしよそよそしいな。スーちんとかでいいか? |
スプリングフィールド | えっ……? |
ケンタッキー | ニックネーム……愛称ってやつだよ。 俺のことも、“さん”とかいらねぇから。 |
スプリングフィールド | は、はい……。ケンタッ、キー……。 |
ケンタッキー | んで、スーちんってどうよ? |
スプリングフィールド | す、スーちん……? ……?? |
ケンタッキー | しっくりこねーか? うーん、じゃあ、スッピー? |
スプリングフィールド | ス、スッピー……。 |
マイケル | HAHA、なんだか、小さい頃に飼っていた 熱帯魚のことを思い出す響きだな。 |
ケンタッキー | 熱帯魚はちょっとあれっすね。 んじゃ、スーちゃんでどうだ! |
スプリングフィールド | スー……ちゃん……。 |
ペンシルヴァニア | どうだ? 嫌なら嫌だって言うんだぞ。 |
ケンタッキー | おい、案出しもしねぇで口挟むなっての! んで、どうなんだよ、“スーちゃん”は。 |
スプリングフィールド | ちょっと、慣れないけど……。 でも……嫌じゃありません。 |
ケンタッキー | よーし、んじゃあ決まり! 俺のことも、タッキーとか、ケンケンとか、 なんかいい感じのニックネームあったらそれでいいぜ。 |
スプリングフィールド | ケンケン……!? えっと、それは、大丈夫……。 |
ケンタッキー | ははっ! スーちゃん、少しは自分の意見言えるようになってきたな! |
ペンシルヴァニア | 緊張も……ほぐれたか? |
スプリングフィールド | あ……、本当だ。 確かに、少し……気持ちが楽になりました……。 |
ペンシルヴァニア | きっと大丈夫だ、スプリング。 お前には、俺たちがついている。 |
スプリングフィールド | ……はい。 |
ケンタッキー | よし、行こうぜ! |
ケンタッキーがスプリングフィールドの手をぎゅっと握る。
ペンシルヴァニアが反対の手を握り、3人は扉の前に立った。
ケンタッキー | 邪魔するぜ! |
---|---|
大統領 | キミたち……! |
ラッセル | なっ、〇〇君!? |
恭遠 | ああ、無事だったか……! |
ジュディス | ───衛兵! |
ジュディスの声に応じて、
隣室に控えていた護衛の兵士たちが部屋へ駆け込んでくる。
主人公 | 【待ってください!】 【話を聞いてください!】 |
---|---|
ペンシルヴァニア | 俺たちを破壊するかどうかは…… 話を聞いてから、検討しなおしてくれないか。 |
ケンタッキー | おい、ぐだぐだ喋るより、 見せてやった方がいいんじゃねぇの? |
ペンシルヴァニア | それもそうか。 それじゃあ───。 |
ケンタッキー&ペンシルヴァニア | ───絶対高貴! |
ペンシルヴァニアとケンタッキーの身体が、金色の光に包まれる。
幻想的にすら見えるその光景に、大統領とジュディス、
そして兵士たちも目をみはり、銃を下ろした。
大統領 | おお……! なんと……ついに、アメリカの貴銃士が絶対高貴に……! |
---|---|
ジュディス | これが、奇跡の光……。 |
ペンシルヴァニア | 時間はかかってしまったが…… 見ての通り、俺たちは絶対高貴に目覚めることができた。 これで……破壊する理由はなくなっただろうか。 |
ケンタッキー | 俺たちが絶対高貴になれた分、スーちゃんの力も必要っす! じゃねーと、マスターの薔薇の傷が消えちまう…… 俺たち3人は、誰かが欠けたらダメなんだ! |
スプリングフィールド | ケンタッキー……。 |
主人公 | 【スプリングフィールドも心配ありません】 【3人の破壊命令を撤回してください!】 |
恭遠 | 大統領、私からも改めてお願いします。 士官学校には、マークスをはじめとして、 〇〇君が召銃した現代銃の貴銃士も多くいます。 |
恭遠 | しかし、彼らはこれまで アウトレイジャー化の兆しすら見せたことがありません。 現代銃だからと、スプリングフィールドを破壊するのは早計です。 |
大統領 | …………。 |
瞼を下ろし、沈黙した大統領は───
やがてゆっくりと目を開け、兵士たちへ鋭い視線を向ける。
大統領 | …… |
---|---|
ラッセル | な……! |
兵士たちは一斉に銃を構え、
スプリングフィールドへと狙いを定めた。
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