スナイダーの部屋からは、物音1つしない。
おそるおそるノックをするが、返事はなかった。
ジョージ | おーい。スナイダー……いるか? |
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マークス | やっぱり返事がないな。寝てるのか? |
ジョージがそっと、ドアノブに手をかける。
ジョージ | あれっ? 鍵、かかってないぞ。 とりあえず、入ってみるか。 |
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マークス | おい、待て……! |
主人公 | 【あれ……?】 【誰もいない……?】 |
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ジョージ | どっか行ってるのかな? でも、調子悪いならあんまり動けないよなぁ? |
マークス | ……この部屋、なんかおかしくないか? |
ジョージ | えっ、そーか? 普通の部屋じゃん。 |
マークス | そういうことじゃない。 くんくん……そうか、綺麗すぎるんだ。 |
マークス | ベッドや机、何もかも…… さっきまで誰かがいたとは思えない、 新品みたいな匂いだ。 |
ジョージ | ええー? でも、そんなのおかしいって! エンフィールドは確かにこの部屋に向かって── |
マークス | ……しっ! 誰か来る! |
エンフィールド | ……です。 あなたはここで待っていてください。 |
使用人 | ですが……。 |
エンフィールド | 大丈夫ですよ。 僕は毎日食事を運んでいますから、心配ご無用です。 |
マークス | この声……エンフィールドか! とにかく隠れるぞ。 マスター、こっちの物置に入ろう! |
エンフィールド | ……はい、ありがとうございます。 あとは僕がやります。 スナイダーは、誰にも会いたくないようなので……。 |
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使用人 | かしこまりました。 |
エンフィールド | スナイダー、水を持ってきたよ。 |
エンフィールド | 夕食、もう終わっちゃったよ。 君も少しぐらい食べないと。 |
物置のわずかな隙間から、
〇〇たちは様子を窺った。
エンフィールド | …………。 |
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主人公 | 【(エンフィールドは何を……?)】 【(誰もいないのに……)】 |
それは、異様な光景だった。
エンフィールド | ほら、スナイダー。 水だけでも飲むんだ。水分はしっかりとらないとね。 |
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エンフィールドは、誰もいないベッドに向かって
朗らかに話しかけながら、グラスに水をそそぐ。
ジョージ | (なんだ、これ……) |
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マークス | (どういうことだ……?) |
エンフィールド | 君の気持ちはわかるけど…… いつまでもここに閉じこもるのは、よくないだろう? |
エンフィールド | とにかく、今はゆっくり休んで、元気になるんだ。 マスターだってそれを望んでるはずだからね。 |
窓辺へと足を進めたエンフィールドは、
グラスに入ってた水を、すべて花瓶へと零していく。
エンフィールド | また来るからね。 今度こそ、まともに食事をとってくれよ? |
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使用人1 | スナイダー様の体調はいかがでしたか? |
エンフィールド | 食事はまだいらないみたいです。 また後で、水分補給をさせます。 |
ジョージ | ……行ったな。 |
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マークス | ……なんとかバレずに済んだが……。 |
主人公 | 【一体なんだったんだろう……】 【何がしたかったんだろう……】 |
ジョージ | さっぱりわからん……! スナイダーってのは、 エンフィールドだけに見えるヤツなのか? |
マークス | とにかく、部屋に戻ろう。 ずっとここにいて見つかったらまずい。 |
ジョージ | そうだな……。急いで戻ろうぜ! |
マークス | …………。 よし、誰もいないな。あの角から── |
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エンフィールド | おや、皆さん。 こんなところにいらっしゃったのですね。 |
ジョージ&マークス | ……! |
主人公 | 【こ、こんばんは……!】 【ぐ、偶然だね……!】 |
エンフィールド | 食後の散歩ですか? それなら僕がご案内しますよ。 この城には見所がたくさんありますから! |
ジョージ | い、いや、もう帰るところだったんだ。 |
エンフィールド | 大広間には行かれましたか? ヴィクトリア女王の絵画はそれはもう気品があり…… 豪華な調度品の数々には、うっとりして溜息が出ます。 |
ジョージ | あー、そこはまだだな。 明日案内を頼むぜ! 今日はもう疲れたからさ。 |
エンフィールド | ええ、なんなりとお申し付けください! ジョージ師匠のお願いでしたら いくらでもお付き合いさせていただきます。 |
ジョージ | おう。じゃ、オレたちはこれで……。 |
エンフィールド | ええ。ゆっくりお休みなさいませ! |
エンフィールド | ……ああ、それと、1つお伝えしたいことが。 |
マークス | なんだ? |
エンフィールド | 今夜は霧が深いそうですから、 出歩かないことをおすすめしますよ。 |
エンフィールド | 霧の夜は、人が消えるといいますし。 ……皆さんも、どうぞお気をつけて。 |
ジョージ | そうか……。 それじゃ、また明日な! |
エンフィールド | ええ。おやすみなさい。 |
エンフィールド | スナイダー、入るよ。 ……って、誰もいないし、言わなくていいか。 |
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エンフィールド | (ん……? 物置の扉が、ちゃんと閉まってない?) |
エンフィールド | ハンガーの位置がずれてる……。 |
エンフィールド | ……見られてた、かな。 |
マークス&ジョージ | …………。 |
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主人公 | 【何を見てしまったんだろう……】 【奇妙な光景だった……】 |
ライク・ツー | どうしたんだよ、お前ら。 顔が強張ってんぞ。 |
ジョージ | いや、それがさ……。 |
ジョージ | スナイダーはたまたま部屋を出てて…… エンフィールドは寝不足で、 ついうっかりスナイダーの幻覚を見た、とか? |
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ライク・ツー | いやそれはねーだろ。 現実逃避すんな。 |
ライク・ツー | あいつのやったことを考えてみろ。 まず、わざわざ人目につくように、 部屋の外からスナイダーに話しかけてる。 |
ライク・ツー | それに、水を飲んだと見せかけるために、 花瓶に零してたんだろ? |
ライク・ツー | ……どう考えても偽装工作だ。 あの部屋に、スナイダーはいないってことだな。 |
マークス | でも、なんのためにあんなことをしてるんだ? いないならいないと言えばいいのに。 |
ライク・ツー | そう単純な話でもねぇだろ。 貴銃士がいなくなるなんて、大問題だぞ。 |
ジョージ | 確かにそうだよなぁ。 ってことは、スナイダーが戻ってくるまで、 大騒ぎにならないように誤魔化してんのかな? |
ライク・ツー | かもな。とにかく…… あいつは、スナイダーの失踪を隠したがってる。 |
ライク・ツー | そして、スナイダーの居場所か失踪理由か…… 何かしら知っていることがあるはずだ。 |
ジョージ | え? なんでだ? |
ライク・ツー | エンフィールドがマジで何も知らないなら、 スナイダーを探しもせず、 失踪を隠し続けるのはおかしいだろ。 |
ジョージ | そっか……。 あいつが慌ててないってことは、 スナイダーはどっかで元気にしてるのかなぁ。 |
ライク・ツー | ま、俺らには大して関係ないことだな。 |
ライク・ツー | ……ったく、マスターだけじゃなくて 貴銃士も1人いなくなってるなんて、 この城はどうなってるんだ……。 |
マークス | マスターは安心してくれ。 マスターに危害を及ぼそうとする奴は、 1匹残らず俺が片付けるから。 |
主人公 | 【ありがとう】 【頼りにしてる】 |
ジョージ | …………。 |
マークス | どうした、ジョージ。 |
ジョージ | オレはやっぱり、スナイダーのことが気になる。 なんで消えちまったのか、何があったのか……。 |
ジョージ | それに、もしオレに何かできることがあれば、 力になってやりたいんだ。 |
主人公 | 【そうだね】 【調べてみよう】 |
ジョージ | 本当か……!? ありがとう、〇〇! |
マークス | マスターがそう言うなら、当然俺も同行する。 |
ジョージ | じゃ、早速明日から── |
ライク・ツー | おい、俺は反対だぞ。 面倒事に首を突っ込むな。 |
マークス | 嫌なら、あんただけ部屋に籠ってればいい。 |
ジョージ | うん。別に無理やり引っ張っていったりしないし。 オレたちで勝手にやるからさ! |
ライク・ツー | その勝手にやるのが首を突っ込むなってこと…… ……はぁ。 |
ライク・ツー | ま、止めたところで聞かない奴らだったな。 |
主人公 | 【力を貸してほしい】 【手伝ってくれる?】 |
ライク・ツー | …………。 お前らだけでフラフラ動くよりは、 俺もいた方がまだマシか。 |
ジョージ | よっしゃ! そうこなくっちゃな! |
ライク・ツー | 渋々だからな! 調子に乗んなっての。 |
──ウィンズダム宮殿滞在3日目。
使用人1 | ええっ! そんな、嘘だろう……!? |
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使用人2 | いや、本当だって! 私も見たんだが、部屋がもぬけの殻で── |
ジョージ | どうした? なんかあったのか? |
使用人1 | あっ、皆様……。お騒がせして申し訳ありません。 実は── |
エンフィールド | ああっ、ジョージ師匠、皆さん! スナイダーを見かけていませんか? |
主人公 | 【見てないけど……】 【何があったの?】 |
エンフィールド | 実は……スナイダーがいなくなってしまったんです。 |
エンフィールド | マスターだけじゃなくて、 あいつまでいなくなってしまうなんて……! |
エンフィールド | 僕は、どうすればいいんだ……っ! |
一同 | …………。 |
ジョージ | エンフィールド、落ち着こうぜ。なっ? |
エンフィールド | ジョージ師匠……。 すみません、取り乱してしまいました。 |
ジョージ | それで、何があったんだ? 最初から聞かせてくれ。 |
エンフィールド | はい……。今朝、いつものように、 スナイダーの部屋まで食事を届けに行ったんです。 |
エンフィールド | ですが、部屋に弟の姿はなくて……。 使用人の皆さんにも手伝ってもらって 城内もくまなく探したのですが、見つからないんです。 |
ライク・ツー | スナイダーがいなくなったのは、 昨夜から今朝にかけての間ってことか? |
エンフィールド | ええ。その通りです。 |
ライク・ツー | ふぅん……。 |
エンフィールド | あの……。 賓客として招いている師匠たちに こんなことを頼むのは本当に心苦しいのですが……。 |
エンフィールド | よろしければ、スナイダーを探すのを 手伝っていただけませんか? |
エンフィールド | この間のように アウトレイジャーが現れる可能性もありますし、 広い森の探索は、城の兵士だけでは厳しくて……。 |
マークス | どうする? マスター。 俺はマスターの決定に従う。 |
ライク・ツー | ちょっといいか、〇〇。 |
ライク・ツー | ……ここは、エンフィールドの話に乗っておけ。 |
ライク・ツー | あいつは、スナイダーがいなくなったのは 昨夜から今朝の間だと嘘をついた。 |
ライク・ツー | 何がしたいのか、何を考えてるのかもよくわからない。 下手に刺激するより、行動をともにして、 出方を窺う方が得策だ。 |
主人公 | 【……わかった】 【協力しよう】 |
ライク・ツー | 俺らも手を貸す。 |
エンフィールド | よかった……! ありがとうございます! |
ジョージ | よーし、そうと決まれば探しに行こう! |
ジョージ | あ、でも、スナイダーってどんなヤツなんだ? オレたちは見たことないから、 よくわかんねーんだけど……。 |
ライク・ツー | エンフィールド、おまえと似てるのか? |
エンフィールド | いえ……。弟と僕は似ていません。 |
エンフィールド | 背は、僕より少し高いぐらいで、 濃い紫色の髪と、切れ長の目をしています。 |
ライク・ツー | 紫か。それなら、その辺にはめったにいない髪色だし、 見かけたらすぐわかりそうだな。 |
ジョージ | ああ! 頑張ろうぜ! |
エンフィールド | ……せっかくの滞在なのに、マスターや弟のことで ご迷惑をおかけしてすみません……。 |
エンフィールド | 僕だけではきっと途方に暮れていたと思いますが、 皆さんのおかげでなんとか頑張れそうです。 本当に、ありがとうございます……! |
ジョージ | おまえのマスターも、スナイダーも、 頑張って早く見つけような! |
エンフィールド | はい、ジョージ師匠! |
ライク・ツー&マークス | …………。 |
マークス | それで、スナイダーが行きそうな場所に 心当たりはあるのか? |
---|---|
エンフィールド | そうですね…… 一番可能性があるのは、森でしょうか。 |
マークス | 森……? |
エンフィールド | ええ。スナイダーは王城での暮らしが あまり性に合わなかったようで。 よく城を抜け出して森へ行っていたんです。 |
ジョージ | そうか。 それじゃあ、さっそく森に行ってみよう! |
ジョージ | おーい、スナイダー! いたら返事しろー! |
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エンフィールド | スナイダー! 僕だよ! 出てきてくれー! |
エンフィールド | はぁ……駄目か。 どこに行ってしまったんだろう。 |
ライク・ツー | つーか、そもそも、 スナイダーって呼んだら出てくるような奴なのか? |
エンフィールド | ……あっ。 |
ライク・ツー | その顔……答えを聞くまでもないな。 |
エンフィールド | すみません……。 僕としたことが、初歩的なことを忘れていました。 |
エンフィールド | スナイダーは……気難しいところがあって。 反抗的と言いますか、呼んで素直に返事をするような タイプではありませんね。 |
マークス | じゃあ、どうやって探せばいいんだよ。 |
ジョージ | 足跡とか、痕跡を探すしかねーかなぁ? こういう時、ケンタッキーとか ペンシルヴァニアがいたら心強いんだけど。 |
エンフィールド | ケンタッキーさんにペンシルヴァニアさん……? 師匠のお知り合いですか? |
ジョージ | おう。アメリカ独立戦争で民兵が使ってた銃なんだ。 元は猟師の相棒だから、 森で獲物を追いかけるのは、すっげー得意だと思うぜ! |
ライク・ツー | いねぇもんはどうしようもないだろ。 俺たちだけでどうにか探さねぇと。 |
ジョージ | そうだよなぁ。 5人いるし、2人と3人に分かれて探すか? |
ライク・ツー | そうだな。アウトレイジャーが現れた場合を考えて、 〇〇には貴銃士を2人つけよう。 |
ライク・ツー | どうせマークスは〇〇から離れねぇだろ? |
マークス | 当たり前だ! |
ライク・ツー | なら、お前とジョージが〇〇といろ。 そうすれば、傷が悪化してもジョージが治せる。 |
ジョージ | おう! 任せとけ。 |
エンフィールド | 師匠と別行動というのは残念ですが…… とても合理的な判断ですね! |
エンフィールド | では、僕らはあちらから── |
マークス | ……待て。今、何か聞こえなかったか? |
──ガサッ
アウトレイジャー1 | …………殺ス。 |
---|---|
マークス | アウトレイジャーだ! |
エンフィールド | こ、これがアウトレイジャー……!? |
ライク・ツー | とっとと片付けるぞ。 |
マークス | マスターの敵は、俺が全て倒す! |
ジョージ | 行こうっ! |
マークス | チッ……数が多いな……! |
---|---|
ライク・ツー | もう一発、絶対非道を喰らわせるか……。 |
マークス | ……っ、でも、マスターが……! |
ライク・ツー | ジョージもいるから大丈夫だ。 おら、グズグズすんな! |
主人公 | 【こっちは大丈夫】 【力を使って】 |
マークス | マスター……了解した。 やるぞ、ライク・ツー。 |
マークス&ライク・ツー | 絶対非道! |
アウトレイジャーたち | グァァァ…… |
エンフィールド | アウトレイジャーたちが、消えていく……。 |
エンフィールド | これが絶対非道……。 なんて禍々しく、おぞましい力なんだ……。 |
ジョージ | 〇〇! 大丈夫か!? |
エンフィールド | 〇〇さん? ……っ、顔が真っ青だ……! |
エンフィールド | これは……!? なんで傷がこんなに広がってるんだ……!? |
エンフィールド | もしかして……あの力のせいで……? |
エンフィールド | ああ、なんておぞましい……! その力は、呪われているんだ……! |
マークス | ……っ! |
エンフィールド | あなたたちはどうかしています! 自分のマスターを傷つけてまで、 絶対非道なんていう禍々しい力を使うなんて……! |
エンフィールド | あなたたちはどうかしています! 自分のマスターを傷つけてまで、 絶対非道なんていう禍々しい力を使うなんて……! |
---|---|
マークス | そんなのわかってる! |
マークス | 俺だって、マスターを傷つけなくても 守れるようになりたかった……! |
アウトレイジャー4 | ……殺ス! |
ライク・ツー | チッ……まだいたのかよ。 |
マークス | クソッ、こんな時に……! |
ライク・ツー | 絶対非道でさっさと片付けんぞ。 |
マークス | ……っ、でも、俺は……! |
エンフィールド | 絶対非道なんて力を使うのは間違っています! 目を覚ましてください! |
ライク・ツー | うるせぇ! 外野は黙ってろ!! |
エンフィールド | ……っ!! |
主人公 | 【マークス、敵の殲滅を】 【平気だから、気にしないで】 |
マークス | …………。 |
マークス | マスターが、そう望むなら……。 |
ライク・ツー&マークス | 絶対非道……! |
アウトレイジャー4 | グァァァ……! |
ライク・ツー | よし、これで終わりだな。 またあいつらが湧いたら面倒だ。場所を移すぞ。 |
ジョージ | マスター、立てるか? よし、行こう。 |
マークス | マスター、大丈夫か!? |
主人公 | 【大丈夫】 【これくらい問題ない】 |
マークス | ……本当に、すまなかった。 ジョージ、早く傷の治療を── |
ライク・ツー | おい、エンフィールド。 |
エンフィールド | なんでしょう。 |
次の瞬間、ライク・ツーの拳が、
エンフィールドの頬を勢いよく殴打していた。
エンフィールド | くっ……! |
---|---|
ジョージ | うおっ!? 何してんだよ! |
ライク・ツー | うるせぇ! お前は黙ってろ! |
ライク・ツー | おい、てめぇ。 戦いの最中に余計なことベラベラ喋ってんじゃねぇよ。 |
エンフィールド | で、ですが、現に〇〇さんは 傷が悪化して苦しんで……! |
ライク・ツー | それがなんだ。 〇〇はそんなこと承知の上で、 俺たちに力を使えって言ってんだよ。 |
ライク・ツー | 絶対高貴にもなれねぇ、何もできねぇ奴が、 こいつの覚悟も何もかも無視してウダウダ喚くな。 |
エンフィールド | ……っ! |
エンフィールド | …………。 あなたの言う通りだ。僕は、何もできない……。 |
ジョージ | エンフィールド……。 |
エンフィールド | ジョージ師匠が直々に、 絶対高貴の力を見せてくださったのに…… 僕はその片鱗すらも掴むことができていない。 |
エンフィールド | だから、あんなおぞましい力が使われるのを、 ただ見ていることしかできなかった……! |
エンフィールド | くそっ……! なんで僕は、絶対高貴になれないんだ……! |
エンフィールドは固く拳を握りしめ、
木の幹を思いっきり殴りつける。
エンフィールド | くそっ! くそっ……! |
---|---|
ジョージ | おっ、おい! エンフィールド! やめろって! 手から血が出てる! |
エンフィールド | ……! ジョージ師匠……。 |
エンフィールド | …………。 皆さん、お騒がせしてすみませんでした……。 |
ライク・ツー | ……次は邪魔すんじゃねーぞ。 もしまた何か余計なことしやがったら…… そん時は、お前から撃つ。 |
マークス | おい、ジョージ。 早くマスターの傷を治してやってくれ。 |
---|---|
ジョージ | あ、うん! 〇〇、手を貸してくれ。 |
ジョージ | ……高貴を。 |
主人公 | 【ありがとう】 【すっかり良くなった】 |
ジョージ | ならよかった! |
エンフィールド | 絶対高貴……本当にすごい力だ。 温かくて、眩しくて……。 僕はどうすれば、絶対高貴に手が届くんだろう……。 |
ジョージ | エンフィールド、なーに難しい顔してんだ? アウトレイジャーは片付いたし、 〇〇の傷も治ったから、気にすんな。 |
エンフィールド | ……ありがとうございます、ジョージ師匠。 ですが……僕、悔しくて。 |
ジョージ | 大丈夫だって。おまえならちゃんと絶対高貴に── |
エンフィールド | 絶対非道なんて恐ろしい力、絶対に使うべきじゃない。 なのに、僕に力がないから、止めることもできない。 そのことが、悔しくて悔しくて堪らないんです……! |
ジョージ | えっ、そっち!? |
エンフィールド | 僕は必ず絶対高貴の力に目覚めて、 絶対非道に頼らなくて済むようにしてみせます!! |
ライク・ツー | ……はぁ。何も変わってねぇな、こいつ。 |
ジョージ | あー、えっと…… ちょっと落ち着こうぜ、エンフィールド。 |
ジョージ | いつ、どうやって絶対高貴になれるかなんて 誰にもわからないんだから、焦ってもしょうがない。 |
ジョージ | あんまり気に病み過ぎると……。 |
ジョージ | ……とにかくさ、エンフィールド! オレにできることがあるなら言ってくれ。 なんでも手伝ってやるからさ! |
エンフィールド | ありがとうございます……! ジョージ師匠の教えがあれば百人力です! |
ライク・ツー | はぁ……ったく。 |
ライク・ツー | ……そういえば、今回はあいつ、来なかったな。 |
マークス | ん……? ああ、そうだな。 |
エンフィールド | あいつ……というのは? |
ジョージ | この間アウトレイジャー退治に来た時に、 別の貴銃士もいたんだ。 |
ライク・ツー | 俺たちの到着前に、そいつが絶対非道を使って 1人でアウトレイジャーをほとんど倒してた。 |
マークス | すぐいなくなったし、暗かったから、 どんな奴なのかはよく見えなかったんだけどな。 |
エンフィールド | そんなことがあったんですか……。 |
ライク・ツー | 俺ら以外にも、 別のマスター貴銃士が近くに来てるのかもな。 |
ライク・ツー | んで、どうする。スナイダーの捜索は。 |
エンフィールド | 傷がよくなったとはいえ、 〇〇さんは少し休まれるべきでしょう。 明日また捜索することにします。 |
マークス | 行こう、マスター。 |
──カサッ
ジョージ | んっ? 今、後ろで気配がしたような……。 |
---|---|
ライク・ツー | ……? 誰もいねぇよ。気のせいじゃねぇの? |
ジョージ | ……そっか。 |
??? | ……ふん。 |
---|---|
??? | 変わらないな、エンフィールド。 |
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