イギリス編:第26話~第30話

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第26話:亡霊の行方1

──ウィンズダム宮殿滞在6日目。

ジョージ──で、追いかけて廊下を曲がったら
その先には誰もいなかったんだ!
ジョージ見た目の特徴的にはスナイダーっぽいんだけど、
生きてるスナイダーなのか、幽霊になってるのか、
特徴がかぶってるだけの別人なのかわかんなくて……。
ライク・ツー……ふぅん。
ジョージちょっ、反応薄くないか!?
ライク・ツー実際見てればなにかわかったかもしんねーけど、
俺はそいつのこと見てねぇし。
つーかなんで俺だけ呼ばなかったんだよ。
マークスそれは、てめぇがビヨー?がなんとか言って、
起きなかったからだろ。
ライク・ツーは? なんだそれ。
マークスこっちが聞きたい。
ジョージよし、幽霊のことに話を戻そう!
主人公【ライク・ツーはどう思う?】
【意見を聞かせて】
ライク・ツーお前らが見たのがなんにせよ、
少なくともそいつが城の中にいて、
話もできることははっきりした。
ライク・ツーそうとくれば、
捕まえて直接話を聞くのが一番手っ取り早いだろ。
ライク・ツーそいつは、“テューダー・ローズの先にいる”
って言ったんだよな?
ジョージああ。そう言ってた。
マークステューダー・ローズってなんだ?
聞いたことがないが、薔薇の品種か?
ジョージいや、薔薇の名前じゃなくて、
赤い薔薇と白い薔薇を組み合わせた紋章のことだよ。
ライク・ツーへぇ、よく知ってんな。
つまり、城の中でその紋章を探せばいいってことか。
ジョージ……よし!
それじゃあ今日は、昨日のヤツを探そう!
ライク・ツー張り切るのはいいけどよ、お前、探せんのか?
ジョージバカにすんなよー! オレだってそれくらい──
ライク・ツーいや、そうじゃなくて。
お前には“あいつ”がいるだろ。
ジョージ“あいつ”?

そのとき、扉をノックする軽快な音が響いた。

エンフィールドジョージ師匠、皆さん、おはようございます!
入ってもよろしいですか?
ライク・ツー……噂をすれば、だな。
ジョージOh……!
ジョージ……ゴホン。
入っていいぞー。
エンフィールドおはようございます、皆さん。
おや、〇〇さんも
こちらにいらしたんですか。ちょうどよかった!
エンフィールドもうすぐ朝食の用意が整うので、
そろそろ移動をお願いしますね。
ジョージおう、わかった!
呼びに来てくれてありがとな、エンフィールド。
エンフィールドいえいえ!
ジョージ師匠のお役に立てたなら何よりです。
エンフィールドさぁ、早速行きましょう!
こちらですよ、ジョージ師匠!
ジョージうおっ、ちょっ……!
マークス……なぁ、マスター。
エンフィールドに昨夜のこと、話すか?
スナイダーを見つけたかもしれない、と。
ライク・ツーやめとけ。話さない方がいい。
マークスどうしてだ。
ライク・ツーはぁ……お前、バカなのか?
よく考えてみろよ。
ライク・ツーあいつは、スナイダーがいないことを隠してた。
どこまで本当のことを言ってて、
どこから嘘なのかわからない。
ライク・ツー手放しで信用していい奴じゃねぇ。
与える情報は慎重に選ぶ必要がある。
ライク・ツー……ま、ジョージを与えときゃご機嫌で、
暴走はしなさそうだけどな……。
マークスいざとなったらジョージを囮にして、
エンフィールドの目を盗んで探すか。
ライク・ツーよし、その作戦でいこう。

ジョージうう……食いすぎた。
エンフィールドのやつ、オレの皿に盛りすぎ……。
主人公【胃薬飲む?】
【部屋で横になる?】
ジョージいや、大丈夫だ……。
薬キライだし、横になると余計に苦しそうだし、
のんびり歩き回ってる方がマシな気がする……。
ライク・ツー……ん?
向こうにいるの、あの胡散臭ぇ大臣だな。
アッカーソン…………。
マークスあんなに急いで、どこに行くんだ?
ライク・ツー……追ってみるか。

第27話:亡霊の行方2

アッカーソン──進捗があったというのは本当か。
捜索隊隊長はっ。郊外で菜園を営む老夫婦が目撃していました。
食料を売ってほしいと持ちかけられたそうです。
捜索隊隊長潜伏場所もその近くではないかと見て捜索したところ、
怪しい箇所がいくつかあり……。
こちらが、そのリストです。
アッカーソンよくやった!
だが、捜索隊は引き上げさせろ。
警戒されて逃げられてはかなわんからな。
アッカーソンあとはこちらで対処する。
捜索隊隊長かしこまりました。

ライク・ツー……見つかったみたいだな。
ジョージ前におまえが言ってたことが当たってたら、
ヤバいんじゃないのか……?
ライク・ツーああ。俺が考えていた通りなら、
今度こそ消されるかもな。
ライク・ツーま、だとしても、俺らにはあんまり関係ない話だけど。
ジョージいやいや、止めないとだろ!
マークスだが、スナイダー探しはどうする?
ライク・ツー二手に別れればいい。
俺は大臣の動きを追う。
お前ら3人はスナイダー探しだ。
ライク・ツーつっても、ジョージはエンフィールドの足止め係で、
実質スナイダーを探せるのは
〇〇とマークスの2人だけどな。
マークスエンフィールドは任せたぞ。
今日も付きまとわれてこい。
ジョージええっ!? う、うう……。
ライク・ツーんじゃ、俺は行く。
主人公【気をつけて】
【そっちは頼んだ】
ジョージ……よし、それじゃあこっちも行動開始だな。
この城にいられるのは、今日を含めてあと2日だけだ。
急がないとな。
マークスああ。

ライク・ツー(大臣のあとをつけて来たが……
こんなところでのんびり新聞読んで、何してんだ?)
ライク・ツー(“あとはこっちで対処する”つってたのに、
何もしてねぇじゃねーかよ……)
ライク・ツー(もしかして、俺が尾行していることに気づいて、
カモフラージュしているのか?)

やがて、大臣は新聞をベンチに置いて立ち去った。

ライク・ツー今度はどこ行く気だよ……。

尾行を続けようとするライク・ツーだったが、
大臣が座っていたベンチに別の男がやって来て、
新聞を手に取ったことに気づき、足を止める。

パラパラと新聞を確認した男は、
周囲へさっと視線を走らせると、
新聞を小脇に抱えて立ち上がった。

ライク・ツー(なんだ? 今の動き……。
捨てられた新聞をパクるのに、
そんなに警戒する必要あるか?)
ライク・ツー(もしかして……。
あの新聞で何かやり取りをしているのか?)
ライク・ツー大臣じゃなくて、あの男を尾行してみるか……。

ジョージ……おい、チャンスだ!
マークス何がだ?
ジョージ今日はエンフィールドが来るのが遅いなーと思って、
その辺にいた人に聞いてみたんだ。
そしたら、大臣に呼ばれてどっか行ったって!
ジョージ今のうちに、昨日のやつを探しに行こう!

ジョージ昨日の夜、スナイダーっぽいやつが消えたのは
このあたりだよな……?
マークスああ。あの肖像画に見覚えがある。
この角を曲がった先で、あいつは消えた。
ジョージそうそう、そうだった!
ジョージどうする?
もう1回、このあたりの部屋から調べてみるか?
主人公【そうしよう】
ジョージよし、まずはこの部屋からだな。

マークスはぁ……これで何部屋目だ?
ジョージまだ5部屋目だって。
城には確か、800部屋ぐらいあるんだから、
まだまだ先は長いぞー。
マークス800!?
あと2日で全部調べるのは、どう考えても無理だろ。
ジョージ文句言ってねーで、どんどん探さないと!
マークスはぁぁ……。
ジョージテューダー・ローズ、テューダー・ローズっと……。
マークス……おい!
このキャビネット、薔薇の紋章が入ってるぞ。
ジョージWow!
手がかりになりそうなものは入ってそう?
マークスいや、使われてないみたいで、中は空だ。
ジョージテューダー・ローズの先にいるって言っても、
この棚の中にいるわけないしなぁ……。
ジョージはっ!
もしかして……この裏に秘密の部屋への入口が
あったりして!?
マークスそんな大層な仕掛けがあるか?
……まあ、一応動かしてみよう。
マークス&ジョージせーのっ!
マークス……くっ! 全っ然動かないぞ!?
壁に固定されてんのか?
ジョージうーん、あいつが消えたあたりの部屋だし、
テューダー・ローズの紋章もあるし、
何かあると思ったんだけどなぁ……。
マークスつーか、あの幽霊野郎、
思わせぶりなこと言ってねぇで、
居場所をズバッと教えろよ! 面倒くせぇな!

苛立ったマークスが、キャビネットの
テューダー・ローズのあたりを拳で殴る。

すると……ガコン!という音とともに、
紋章の部分が凹んでしまった。

第28話:亡霊の行方3

マークスうわっ!?
ジョージおまえ、なに高そうな家具壊してるんだよ!
マークスそ、そんなに強く叩いてねえよ、
もとからボロかったんだろ!
主人公【ちょっと待って】
【壊れてないかも】
ジョージん……?
あれ、本当だ。

壊れたのであれば、木の繊維がささくれ立ったり、
木目に沿って亀裂が入るはずだが、
綺麗に紋章のところだけが凹んでいた。

ジョージ……もしかしてこれ、紋章がボタンみたいに
押せるようになってるのか……?
マークスってことは、俺が壊したんじゃないのか?
ジョージああ! むしろお手柄だ!
マークスそ、そうか……。
ジョージ棚に仕掛けがあるのはわかったけど、
紋章を押したからって特に変化はないよな?
主人公【でも、絶対に怪しい】
【もう1回動かしてみよう】
マークスそうだな。
おい、ジョージ。手を貸せ。
マークス&ジョージせーのっ!
ジョージうおっ! 動いた!!
さっきはびくともしなかったのに……!
マークスマスター、見てくれ!
キャビネットの裏に隠し扉があるぞ!

隠されていた扉を開けると、狭く暗い空間があった。
暗闇に目を凝らすと、
地下へ階段が続いているのが見える。

マークスすげぇ……なんだこれ……。
ジョージ王城だからさ、やっぱり敵の襲撃とかに備えて、
秘密の抜け道とか隠し部屋とかがあるんだよ、たぶん!
ジョージこの先に何があるのか……
すっげーわくわくするな……!
マークス入ってみよう。
何があるかわからないから、
マスターにはここで待っていてほしいんだが……。
主人公【自分も行く】
【2人といる方が安心】
マークス……わかった。
マスターは俺から離れないように、
後ろをついてきてくれ。

マークス暗いな……。
入り口は開けてくればよかったか?
ジョージいや、もし誰か来たら、
忍び込んだことがバレちまうだろ?
閉めてきて正解だって。
ジョージほとんど何も見えないし、
ひんやりジメッとしてて不気味だけど……。
ジョージうわぁああぁっ!
今、首になんか冷たいのが!!
マークスなにっ! 大丈夫か、ジョージ!
ジョージ……あ、ただの水滴だった。
上から垂れてきたみたいだな。
マークスったく、人騒がせな奴だな。
……マスター、足元に気をつけてくれ。
湿っていて滑りやすい。
主人公【了解】
【気をつける】
ジョージ……お、おい!
マークス今度はなんだ。
ジョージ奥の方! うっすら光が漏れてるぞ!
マークス……本当だ。
奥にまた扉があるみたいだな。
マークス準備はいいか?
慎重に行くぞ。
ジョージおう。

マークスの手によって、
軋んだ音を立てながら、地下室の扉が開かれる。

マークス……! 誰かいる。
マスター、下がってろ。

部屋の中央に置かれた椅子に、
誰かがぐったりと座っていた。

???…………。
マークスあの服装、紫の髪……。
昨日見た奴だ!
ジョージな、なんかぐったりしてないか……?
昨日見たのは、やっぱり幽霊だったりして……。
マークス確認してみよう。
マークス奴が安全だとは限らない。
俺が行くから、マスターはここでジョージと待機だ。

 

第29話:亡霊の行方4

マークス……おい、あんた。
生きてんのか?
ジョージ死んでたら返事できないって!
……いや、でも幽霊ならそうとも限らないかな?
マークスジョージ、今は黙ってろ。
???……っ、ん……。
ジョージい、生きてた!
主人公【しっかり!】
【大丈夫?】
マークスマスター! 待ってろって言っただろ!
???おまえ、たちは……。
ジョージその顔……やっぱり昨日の!
???来たのか……。
マークスあんたが中途半端に、
よくわかんねーこと言って消えたからな。
仕方なく探しに来てやったんだ。
???…………。
ジョージなぁ、おまえがスナイダーなのか?
スナイダー……ああ、そうだ。
ジョージおまえ、なんでこんなところにいるんだよ……!
スナイダー俺が、好き好んでここに身を潜めているとでも?
……これを見ろ。

スナイダーが手足を動かすと、
床に鎖で繋がれた手枷と足枷が、
重い金属音を響かせる。

マークス監禁されてたってわけか。
でも、一体誰が……?
ジョージもしかして、アッカーソンっていう
大臣のおっさんか!?
スナイダーいや……。
スナイダー…………。
マークス黙ってたらわかんねぇだろ。なんか言えよ。
ジョージ覚えてないとか? 顔隠してたとか?
スナイダー……いや。
マークスあんた、ちゃんと犯人知ってるんだろ?
なんで言わねぇんだ。
スナイダー…………。
主人公【言いたくない?】
【犯人をかばってる?】
スナイダー……っ!
マークス&ジョージ……!!
マークスあんたが庇うっつったら……
考えられるのは2人しかいねぇ。
マークスマスターか、エンフィールドか。
スナイダー…………。
スナイダー……──だ。
スナイダー……エンフィールドに、やられた。
ジョージそんな……っ!
マークスやっぱりか。
スナイダー昨夜、あいつの目を盗んで抜け出してみたが、
結局見つかって……このザマだ。
スナイダーもう2週間ほどこうしている……。
そろそろ俺も、ゴホッ……限界に近い……。
ジョージウソ、だろ……。
ジョージあいつはちょっと熱心過ぎるところもあるけど、
絶対高貴になりたいって、あんなに一生懸命で、
真っ直ぐに頑張ってるヤツなんだぞ?
ジョージこんな場所に閉じ込めるなんてひどいこと、
本当にあいつが……?
スナイダーあいつは……絶対高貴になれない俺のことが、
許せないと言っていた……。
スナイダー人前になど、恥ずかしくて出せないと……。
ジョージそんな……!

──ズズ……

マークス今の音……!
誰かが上でキャビネットを動かしたようだな。
スナイダー……ここに来るのはあいつだけだ。
食事を持ってきたんだろう。
おまえたちは、さっさと隠れろ。
ジョージで、でも……!
スナイダー早くしろ!
主人公【スナイダーの言う通りに】
ジョージ……わかった。

第30話:亡霊の行方5

スナイダー…………。
エンフィールドスナイダー、食事を持ってきたよ。
できるだけ味が薄いものを選んできたから
ちゃんと食べて──
スナイダー食事なんてどうでもいい。
それより、俺をここから出せ。
エンフィールドそれだけは断る。
ここから出したら、君はまた勝手なことをするだろう?
……絶対に、出してやらないよ。
ジョージ……っ、本当にあいつが……!
くそっ!
マークス待てっ、ジョージ!
ジョージ離せっ!
エンフィールド……この声は……!
ジョージおい、エンフィールド!
エンフィールドジョージ師匠っ!?
どうしてここに……!?
マークス俺たちもいる。
エンフィールドマークスさんに〇〇さんまで、なぜ……。
ジョージエンフィールド!
おまえ、スナイダーに何してんだ!
エンフィールドご、誤解です!
これには深い理由が──
ジョージ誤解って、この状況で何が誤解なんだよ!
スナイダーをこんなとこに監禁して……!
ジョージおまえがこんなことするやつだとは
思わなかったよ……。
エンフィールドジョージ師匠……。
マークススナイダーはあなたの弟なんだろ?
なんでこんなことしてんだ。
エンフィールド……弟だからこそ、ですよ。
エンフィールドスナイダーは僕の弟なので、
兄である僕がこうして仕置きをしているんです。
エンフィールド弟には、そうされるだけの理由があるんですよ!
僕を信じてください!
マークス信じろって言われても、この状況じゃな……。
エンフィールドマークスさん!
マークス何か理由があったにしろ、ここまでやるか?
鎖つけて地下に監禁……?
よっぽどあんたがいかれてると思うぜ。
エンフィールドそんな……!
ジョージ師匠は、信じてくれますよね?
僕は──
ジョージ…………。
エンフィールドジョージ、師匠……。
ジョージわっかんねぇよ……。
ジョージエンフィールド……おまえは、
ちょっと危なっかしいところはあるけど、
一生懸命ないいヤツだと思ってた。
ジョージだけど……それは、間違いだったのか……?
オレには、もう……おまえがわからない。
エンフィールドそんな……! ジョージ師匠──!
ジョージ…………。
エンフィールドい、嫌だ……僕をそんな目で見ないでください……!
僕は、僕は……っ!
スナイダー……エンフィールド。
エンフィールドスナイダー……君のせいだ……!
エンフィールドこんなことになったのは、
全部、全部君が悪い! 君のせいだ!
ジョージ……っ、おい!
なんでスナイダーのせいになるんだよ。
エンフィールドうるさいっ!
……なぜなんですか、ブラウン・ベス先輩……。
エンフィールド強くて、恐ろしくて……
視界にも入れたくないと思うことすらあるのに、
どうしても壊すことができない……。
エンフィールドそんなモノが『弟』として存在する僕の苦悩を、
なぜ、ブラウン・ベス先輩は
理解しようともしてくれないのですか……!
ジョージ……オレはジョージだよ。
けど、オレだろうとブラウン・ベスだろうと、
考えることは、たぶん一緒だと思う。
ジョージ後輩が間違ったことをしてるなら、それを止める。
エンフィールド勝手なことを言うなっ!!
エンフィールドあなたはブラウン・ベス先輩じゃない!
だからなんだ!
だから、そうやって僕を責めるんだ!
エンフィールド──お前もあいつと同じ、偽物なんだ!!
エンフィールド偽物め! 偽物めぇーーっ!!!

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