イギリス編:第7話~第12話

コメント(0)

第7話:ロンドンを覆う霧1

エンフィールドそれでは、また明日──
主人公【ちょっと待って】
【聞きたいことが……】
エンフィールドはい、なんでしょうか。
城内の案内でしたら、僕にお任せを。
主人公【あなたのマスターは大丈夫?】
エンフィールドああ……先ほどはお騒がせしてすみません。
今は落ち着いて、部屋で休まれています。
エンフィールドバタバタしていて紹介が遅れましたが、
マスターの名はジェイコブ・テイラーと言います。
官庁に勤める秀才だったようですよ。
マークスんなことはどうでもいい。
それより、あいつ……物騒なこと言ってたけど、
あれはなんだ?
マークス殺されるとかなんとか……。
まさか、俺のマスターに危害が及ぶようなことは
ないだろうな?
エンフィールドええ、そんなことはありえませんよ!
マスターは、以前の──いえ、なんでもありません。
きっと大丈夫ですから……ご心配なさらず。
主人公【スナイダーの様子は?】
エンフィールドまだあまり体調が良くないようですが、
状態は安定しているのでご安心を。
エンフィールドお気遣いいただきありがとうございます。
早くスナイダーのことも紹介できるといいのですが。
ジョージおう!
オレたちも、スナイダーと会えるのを楽しみにしてる!
エンフィールド……それでは、僕はこれで。
ジョージ師匠、明日からよろしくお願いいたします!
ライク・ツー……本当に大丈夫なのか、この城は。
主人公【マスターが? スナイダーが?】
ライク・ツースナイダーのことはよく知らねぇ。
だけど、あのマスターの様子は
明らかにおかしかっただろ?
ライク・ツーそれに……士官学校で、妙な噂を聞いたんだ。
ジョージ噂って、どんな?
ライク・ツー……イギリスのマスターが、
相次いで姿を消してるんだとよ。
お前らは聞いたことないか?
マークス……初耳だな。
ジョージオレも初めて聞いたぞ。
主人公【詳しく聞かせてほしい】
【他に知っていることは?】
ライク・ツー情報はあるに越したことはねぇからな。
食堂で噂話してた奴らから、色々と聞き出しておいた。
ジョージおお……!
ライク・ツー、オレたち以外に友達いたんだな!
ライク・ツーそいつらによると……って、おい!
お前、俺のことなんだと思ってんだよ。
ライク・ツーつーか、別に友達じゃねぇし。
俺はたまたま話を聞いただけだ。
ライク・ツー……そもそも、お前らとも友達じゃねーし。
ジョージHAHAHA、確かに!
オレたち、友達じゃなくて仲間だもんな☆
それで、噂って?
ライク・ツー仲……、あー、もういいや。
話戻すぞ。
ライク・ツー新しい貴銃士──エンフィールドとスナイダーは、
約半年前に召銃された。
ここまではお前らも聞いてるよな?
ライク・ツー問題はこの先だ。
……奴らのマスターは、今ので3人目らしい。
マークス3人目? 前の2人はどうしたんだ。
ライク・ツー1人目のマスターも2人目のマスターも、
2ヶ月くらいで姿を消したそうだ。
ライク・ツーどっちも、霧の深い夜に──忽然とな。
ジョージ2ヶ月くらいで……ってことは……。
ライク・ツーああ。2人の召銃からもうすぐ半年。
つまり、今のマスターの任命からもうすぐ2ヶ月だ。
ライク・ツー噂が本当なら……あいつもそろそろ、
前任者たちと同じ道を辿るのかもしれない。
マークスなるほどな……。
それで怯えてたってわけか。
マークスん、でも待てよ。あのマスターは、「消される」とか、
「殺される」とか言ってなかったか?
主人公【失踪じゃないと確信している?】
【彼は、殺されると思っている?】
ライク・ツーさぁな。1つ確かなのは……
この城で、何かが起こってるってことだ。
ライク・ツー問題は、俺たちが呼ばれたことと、
この城で起きている何かが関連しているのかどうか。
……俺は、妙なことに巻き込まれるのは御免だ。
マークスああ。
マスターが危険な目に遭うのは絶対ダメだからな。
ジョージはぁ~。
せっかくの旅行なのに、幸先悪いなぁ。
ライク・ツーとにかく、1週間の辛抱だ。
深入りせず、1週間経ったらとっとと帰ろうぜ。
それまで……全員、気をつけろよ。
ジョージ&マークスああ。

第8話:ロンドンを覆う霧2

──ウィンズダム宮殿滞在2日目。

ジョージGood Morning! Everybody!
マークスう……朝からなんだよ……。
ライク・ツーうるせぇ……。
ジョージおいおい! 気になることはあるけど、
せっかく豪勢にもてなされてるんだぜ
ジョージもっと楽しんでいかないと損だって!
マスターもそう思うだろ?
主人公【そうだね】
【警戒しつつ楽しもう】
ジョージなっ!
ちなみにみんな、今日は何するんだ?
ジョージオレは、ポロってやつを見に行ってくる!
馬に乗ってバトルするって、すっげー面白そうだろ?
みんなで行こうぜ!
マークス俺は、アウトレイジャーの襲撃に備えてここにいる。
主人公【自分もここに残る】
【ジョージは楽しんでおいで】
ジョージ〇〇もマークスも行かないのか……。
まぁ、任務も大事だしな。
ジョージもしアウトレイジャーが出た時は、
大至急オレも呼んでくれ!
……んで、ライク・ツーはどうするんだ?
ライク・ツーあー、俺は少し出かけてくるわ。
アウトレイジャーが出るまで
ただ待ってるだけっつーのは暇すぎるしな。
ライク・ツーアウトレイジャーが出たら呼べ。
俺もすぐに向かう。
ジョージOK!
それじゃ、それぞれ自由行動を満喫しようぜー。
主人公【行ってらっしゃい】
【気をつけて】
マークス……ライク・ツーは、どこ行ったんだろうな。
主人公【気になる?】
【ついて行ってもいいよ】
マークス何を言っているんだ、マスター。
マスターのそばにいるのが最優先に決まってるだろ。
マークスあいつらが妙なことをしでかさなければ、
俺は別にどうでもいい。
使用人1失礼いたします。
クリームティーのセットをお持ちいたしました。
マークスん? ティーセット?
そんなもん、頼んでねぇぞ。
使用人1女王陛下の計らいでございます。
王室のシェフ特製のスコーンをぜひ、と。
使用人2季節の果物のジャムを多数ご用意いたしましたので、
お好みのジャムとクロテッドクリームとともに
お召し上がりください。
主人公【ありがとうございます】
【いただきます】
マークス……変わった形だな。
マスターが食べるなら、俺も食べてみるか。
マークスジャムと……この白いのを付けるんだな。
……こんな感じか?
主人公【そうそう】
マークス……ん、美味い!
パンみたいなのに、軽くてどんどん食べられるな。

紅茶とスコーンを楽しんでいると、
にわかに部屋の外が騒がしくなった。

使用人1おや……? 妙に騒がしいですね。
お客人がいるというのに申し訳ありません。
何かあったのか、確認してまいります。
マークスまさか、敵襲じゃないよな……?
俺たちも行ってみよう、マスター。

〇〇たちが廊下に出てみると、
使用人たちが青白い顔で立ち尽くしていた。

マークスおい、何かあったのか?
使用人2マークス様、〇〇様……!
使用人1実は英国所属のマスター……ジェイコブ様が
行方不明になってしまったそうなのです!
マークスエンフィールドたちのマスターが?
使用人3ええ。昨夜自室に戻られたことは確認できたのですが、
今朝から室内に呼びかけても返事がなく……。
使用人3様子がおかしいと踏み込んだ時には、
部屋はもぬけの殻だったのです……。
ああ、なんということでしょう……!
マークスあいつの姿を最後に見たのは誰なんだ?
使用人1昨晩、最後に会話を交わしていたのは……
確か、エンフィールド様だったと思います。
主人公【エンフィールドはどこ?】
【エンフィールドから話を聞こう】
使用人1エンフィールド様のお部屋にご案内いたします。
どうぞ、こちらへ。

第9話:ロンドンを覆う霧3

使用人に案内されて、エンフィールドの部屋に向かう。
その途中で話し声が聞こえてきて、
〇〇たちは足を止めた。

エンフィールド……ああ。大丈夫だ。
エンフィールド僕がなんとかするから……。

声のする方を見てみると、
ある一室の扉を薄く開けたエンフィールドが、
中へ向かって語りかけている。

主人公【あの部屋は?】
【彼は何を?】
使用人1あそこはスナイダー様のお部屋です。
スナイダー様は気難しく、使用人を寄せ付けないので、
エンフィールド様が看病などをされているのです。
使用人1きっと、マスターの失踪を伝えているのですね……。
それでは、私はここで。
何かありましたらお呼びください。
マークスおい、エンフィールド。
エンフィールドマークスさん……!
〇〇さんまで……!
マークスん……? スナイダーは、もういいのか?
エンフィールドあ、はい。
マスターの失踪で少し動揺していましたが、
落ち着いてきたので……。
主人公【あなたは大丈夫?】
エンフィールドええ、大丈夫です。
僕も、スナイダーも……きっと。
主人公【少し話せる?】
エンフィールド…………。
僕からも話をしたいと思っていたところでした。
場所を変えましょう。

エンフィールドせっかく皆さんが王城へ来てくださったばかりなのに、
こんな騒ぎになってしまってすみません……。
マークス……マスターがどうなったのか、心当たりはあるのか?
エンフィールドわかりません。
ただ……僕がこうしてここにいる以上、
マスターはどこかで無事に生きているはずです。
エンフィールドマスターがいなければ、僕たち貴銃士は、
この身を保つことすらできませんから。
マークスああ、確かに……。
もしマスターが死んでたら、
あんたも消えてるはずだ。
エンフィールド……ええ。
マークス……なぁ。
これまでにマスターが消えた時は、何があったんだ?
今回と同じような感じだったのか?
エンフィールド……っ!
エンフィールド……僕たちのマスターのこと、ご存知だったんですね。
マークス今のマスターが3人目で、前の2人は2ヶ月くらいで
消えちまったらしいっていう噂話なら聞いた。
エンフィールドそうでしたか……。
主人公【噂は本当?】
【1番目と2番目のマスターは?】
エンフィールドその噂は……事実です。
僕たちの最初のマスターと、その次のマスター……
2人とも、2ヶ月ほどでいなくなってしまいました。
エンフィールドあの時のことは、はっきり覚えていないのですが……。
以前マスターがいなくなった時は、
ふっと突然意識がなくなって──
エンフィールド呼ばれたような気がして目覚めた時には、
新しいマスターに召銃されていました。
マークス1度は銃に戻ったのか。
ってことは……。
エンフィールド……ええ。かつてのマスターたちは、
マスターとしての力を失ったのでしょう。
命を落とした可能性も捨てきれませんが……。
エンフィールドただ、マスターたちはいずれもお身体は丈夫でしたし、
誰かに恨まれるような方々でもありません。
エンフィールドですから……マスターとしての力を失っただけで、
どこかで生きてるんじゃないかって、信じてるんです。
主人公【今回は、銃に戻っていない……】
【今回の失踪は、何かが違う】
マークスマスターの言う通りだ。
あんたらのマスターが消えたのに
あんたらが消えてないのは、今回が初めてなんだろ?
エンフィールドえ、ええ。
その理由まではわかりませんが……。
エンフィールド…………。
マスターがいなくなった理由……。
エンフィールド……もしかしたらマスターは、
僕たちに愛想を尽かしてしまったのかもしれません。
エンフィールド歴代のマスターも今回のマスターも、当然、
僕たちが絶対高貴に目覚めることを期待していました。
エンフィールドマスターが変わる度、今度こそ、今度こそと思うのに、
僕は半年近くも絶対高貴になれず、
燻り続けている……。
エンフィールド……ハッ! そうです。逆に考えれば、
僕が絶対高貴の力に目覚めて真価を発揮すれば、
マスターは戻ってきてくださるかもしれません!
エンフィールドそういえば、ジョージ師匠は
今どちらにいらっしゃるのですか?
エンフィールド師匠にご指導をお願いして、
一刻も早く絶対高貴にならなければ……!
マークスジョージなら、“ポロ”ってやつを見に行ったぞ。
エンフィールドええ!? そんな……。
エンフィールド僕としたことが……!
師匠の予定ぐらい、ちゃんと把握しておくべきでした。
エンフィールドこうしてはいられません!
大至急、ジョージ師匠の元に行ってきます!
マークスちょっ、おい……!
エンフィールドでは、また後ほど!
マークスなんなんだあいつ……。
人の話全然聞かねぇな……。
マークスジョージに師匠、師匠ってついてまわって。
ああいう奴を「犬みたい」って言うって聞いたぞ。
主人公【そうだね】
【マークスと少し似てる】
マークス俺は犬じゃなくて、マスターの相棒だ!
マークス……にしても、エンフィールドたちのマスターは
どこに行っちまったんだろうな?
マークス何かが起きてるのに、
どうなってるのかわからなくて……
なんだか、嫌な感じだ。

第10話:女王マーガレット1

ジョージいやぁ、面白かったなー!
侍従長お楽しみいただけたようで、何よりでございます。
ジョージポロって初めて見たけど、
あんなに白熱する試合だったんだな!
〇〇たちも見れたらよかったのにな~。
ジョージあ、そうだ! 明日はオレが留守番して、
マスターたちに出かけてもらうか!
よーし、早速──
侍従長お待ちください。ジョージ様。
ジョージおっ、どうした?
侍従長実は、ジョージ様と内密に
お話ししたいという方がいらっしゃいまして。
ジョージオレに会いたいって……あ、エンフィールドか?
侍従長いえ、エンフィールド様ではございません。
侍従長ご案内いたしますので……どうぞ、こちらへ。
ジョージ……わかった。
ジョージ(オレだけ……?
なんか胡散臭いけど……とりあえず、行ってみるか)

ジョージ(ここは確か……女王の間の扉……?)
ジョージWow……すっげー豪華な扉だな!
もしかして、オレに会いたいって言ってるのって……
女王サマだったりして!?
侍従長左様にございます。
ジョージええっ、本当!?
でも、なんでオレだけ?
〇〇も会いたがってたんだけどなぁ。
侍従長…………。
侍従長……お連れいたしました。

マーガレット女王──ウィンズダム宮殿へようこそ。
昨夜はわたくし自ら迎えることができず、
心苦しい限りです。
マーガレット女王城での滞在はいかがですか?
ブラウン・ベス・マスケットの貴銃士、ジョージ。
アッカーソン…………。
ブラウン・ベス…………。
ジョージおーっ、本当に女王サマだ!
会えて嬉しいぜ!
ジョージうおっ、ブラウン・ベスもいるのか!
マジでオレと同じような顔してるんだな!
ジョージでも、性格はぜってー違ってそうだよなぁ。
マジメそうな顔してるもんな。HAHAHA☆
アッカーソンジョージ殿、女王陛下の御前ですぞ。
そのような態度は……!
マーガレット女王構いません。
楽しい方ではありませんか。
マーガレット女王……ブラウン・ベス、あなたも挨拶を。
ブラウン・ベス…………。
奇妙なものだな。こうして同じ銃の貴銃士が集うとは。
ジョージExactly! なんだか面白いもんだな!
ジョージオレはジョージだ。よろしくな、ブラウン・ベス!
……って、オレもブラウン・ベス・マスケット
なんだけど。
ブラウン・ベス……ああ、そうだな。まぁ、よろしく。
マーガレット女王……ジョージ。
あなたに1つ尋ねたいことがあります。
マーガレット女王同じ種類の銃から、
これほどまでに異なる性質の貴銃士が目覚めるのは、
大変に興味深いことですわ。
マーガレット女王このブラウン・ベスは気高きイギリスの騎士。
対するあなたには、ブラウン・ベスとしての
記憶や意識はないのでしょうか。
ジョージうーーーん……。
アッカーソン…………。
ジョージ……ないな! ぜんっぜん!!
ジョージオレにあるのは独立戦争やらで、
アメリカ兵の銃として戦った時の記憶だけだ。
ジョージだからブラウン・ベスのことは何も知らないし、
聞かれても答えられないよ。
マーガレット女王…………。
……なるほど。そうですか。
ジョージそれよりさ、そっちのブラウン・ベスはどうなんだ。
おまえにはイギリスの銃としての記憶があるんだろ?
よかったら聞かせてくれよ!
ブラウン・ベス……俺は、マーガレット女王陛下の騎士。
それ以上でもそれ以下でもない。
マーガレット女王積もる話は、ぜひお茶会や晩餐の際にでも。
ところで、ポロの観戦はいかがでしたか?
ジョージああ、ポロの観戦な。
招待してくれてありがとな、女王サマ!
迫力があって、最高にいい試合だったぜ!
ジョージでさぁ、オレもポロやってみたいんだけど、
乗っていい馬とかいないのか?
マーガレット女王……わかりました。
乗馬できるよう、手配しましょう。
マーガレット女王──ただし、1つ条件があります。
ジョージへっ? 条件?
マーガレット女王滞在中、人前で絶対高貴にならないことです。
ジョージえっ……なんでだ?
マーガレット女王絶対高貴は、貴銃士だけが持つ特別な力。
ゆえに、その力は大いに人々の注目を集めます。
マーガレット女王あなたが人前で気軽に絶対高貴を使うと、
力を求める者たちが、あなたを利用しようと
画策するかもしれない。
マーガレット女王いらぬ諍いや危険を避けるためにも、
約束してもらいたいのです。
ジョージそういうことなら……わかった。
ただ、〇〇の傷が悪化した時は、
目立たないようにコソッと治療するからな!
マーガレット女王ええ、火急の治療の際はそれで構いません。
……滞在をお楽しみくださいね。
ジョージうん、ありがとう! またな!

マーガレット女王……なるほど。
あれがジョージですか。
マーガレット女王もし彼にブラウン・ベスの記憶が少しでもあれば、
対策を講じる必要がありましたが……。
マーガレット女王彼に、かつての記憶はなさそうですね。
放っておいても問題はないでしょう。
アッカーソンええ。あれに腹芸ができるとも思えませんし、
記憶がないというのは本当でしょう。
……滞在中、様子を見ておく必要はありますが。
アッカーソンしかし、ある意味では惜しい。
もし記憶があれば、脅すなりなんなりして引き込み、
ブラウン・ベスに代わらせるつもりだったのだが。
マーガレット女王それは無理でしょう。
侍従長ええ。記憶がないことに加え、あの性格です。
「ブラウン・ベス」を満足に演じるのは不可能かと。
アッカーソンうむ……落ち着きのなさといい、下品な口調といい、
危うくて民衆の前に出すことなどできん。
アッカーソン今の状態が現時点でのベストということだな。
ブラウン・ベス…………。

 

第11話:女王マーガレット2

ライク・ツー『世界帝府解体の歴史』
──これなら何か書いてあるか?
ライク・ツー『世界帝府が保有した物品類のうち、
破棄対象とならなかったものは、
然るべきところへ返還されることとなった』
ライク・ツー『世界帝が使役した貴銃士の本体である銃については、
破棄か保管かで議論が紛糾したものの、生産国へ
返還され、各国で厳重に保管することで決着した』
ライク・ツーはぁ……。
誰でも知ってるレベルのことしか書いてねぇな。
ライク・ツー変換処理中のこととか、輸送中のこととか、
もっと細かいことが知りてぇのに……。
図書館司書あの……何かお困りですか?
探している本などあれば、お力になれますが。
ライク・ツー……っ!
いや、調べ物はもう終わったから大丈夫だ。
図書館司書左様でございますか。
何かございましたら、いつでもお声がけください。

ライク・ツー……やっぱり、公開資料の中にはねーか。
ライク・ツーそりゃそうだよな。
返還途中に紛失した銃があるなんて知られたら、
とんでもねぇ大騒ぎになる。
ライク・ツーだが……政府や王室の一部の人間は、
絶対に何かを掴んでいるはずなんだ。
ライク・ツーUL85A1──ラブ・ワンの情報を。

ジョージやっほー! 今戻ったぜー!
ライク・ツー戻って早々騒がしいな、お前。
主人公【おかえり】
【ポロはどうだった?】
ジョージいやぁ~、ポロ、マジですごかったよ。
試合は格好よくて、迫力あって最高!
マークスへぇ……。
ライク・ツーふーん……。
ジョージ反応薄っ!
マークスなぁ、あんたは何してたんだ? ライク・ツー。
ライク・ツー……読書?
ジョージうへぇ、せっかくの休みなのにマジメだなぁ……。
ジョージあ、そうそう!
ポロの見学のあと、女王に少しだけ会ってきたんだ。
ライク・ツーはぁっ!? 女王と!?
マークスふーん……。
ライク・ツーいや、そこは驚くところだろフツー。
マークスマスター以外のマスターはどうでもいい。
ライク・ツーあー……はいはい、お前はそういう奴だな。
主人公【お、押しかけたりは……?】
【すごいね……!】
ジョージしてねーって!
ポロのあと、ちょっと来てくれって呼ばれたんだ。
ライク・ツーなんでお前だけ呼ばれたんだよ。
ジョージさぁ……? オレがブラウン・ベスから
呼び覚まされた貴銃士だから、
興味があったとかじゃねーかな?
ライク・ツーそういうもんか……。
女王は体調が悪いって言ってたけど、
お前に合うくらいの元気はあったんだな。
エンフィールド失礼します!
エンフィールドジョージ師匠がお帰りだと聞いてやってまいりました!
ジョージうおっ、エンフィールド!
エンフィールド師匠! 早速ですが、特訓をお願いします!
ジョージ特訓……ああ、絶対高貴の!
気合十分ってカンジだなぁ! いいぜ!
主人公【あ、そういえば……】
【2人にはまだ話してなかった】
ライク・ツーなんのことだ?
主人公【エンフィールドのマスターが失踪した】
ライク・ツーはぁっ!? マジかよ?
エンフィールドはい……。きっと、僕たちが絶対高貴になれないので、
嫌気がさしてどこかへ行ってしまったんですね……。
政府の上層部からも急かされていたようですし。
エンフィールド……だから、僕が絶対高貴になれたら、
マスターが戻ってきてくれるのではないかと!
ライク・ツーふぅん……。
ジョージそんなことがあったのか……!
エンフィールドそういうわけで……ジョージ師匠、お願いです!
エンフィールドなんでもいいので、絶対高貴になれるコツを
教えてください!
ジョージ……わかった。
ジョージおまえが絶対高貴になれるように、
オレも全力で手伝う!
エンフィールドありがとうございます、ジョージ師匠!

第12話:ジョージ師匠の特訓!

エンフィールドとにかく、何か少しでも、
絶対高貴に繋がるヒントが欲しいんです。
エンフィールド師匠は絶対高貴の力を使う時、
どういう風に発動しているんでしょうか?
ジョージうーん、そうだな……。
……こう、高貴さを込めて、ガッと気合いを入れてる!
マークスいや、それじゃ参考にならねーだろ。
マークス高貴さとか気合とか、
そんな感覚的なことばっか言われてもな……。
ジョージじゃあ、おまえはどうやって絶対非道になってんだ?
マークスそれはこう……力にぐっと手を伸ばして……!
ジョージオレの言ってることと大差ねーじゃん。
ライク・ツーだな。
マークス違うぞ!
「どんなことをしてもマスターを守るんだ」って
思うのがコツだ。
ジョージそれならオレは、「苦しんでるマスターを助けたい」
……って思ったのがポイントだったかな。
そういう風に考えたら目覚めてたから!
エンフィールドガッと気合を……?
それから、力に手を伸ばして……?
ライク・ツーおいおい、真に受けちまってるぞ……。

ジョージじゃあさ! こういうのはどうだ?
城のテッペンから飛び降りてさ、
弾むやつでぽよーんって!
エンフィールドそ、それ、高貴に繋がるでしょうか……?
ライク・ツーいやダメだろ。
使用人1失礼いたします。夕食の準備が整いました。
ジョージおお! 晩メシだってさ!
一旦休憩にしようぜ、エンフィールド。
エンフィールドもうそんな時間ですか……。
結局、絶対高貴になれなかったなぁ。
ジョージ落ち込むなって!
うまいメシ食べて元気出そうぜ!
エンフィールドはい……そうですね。
僕は用がありますので、皆さんは先に食堂に
向かってください。
ジョージわかった。じゃ、また後でな~。

エンフィールド……なら、いいけど。
エンフィールドそれじゃ、僕は皆さんと一緒に夕食を食べてくるから。
気が向いたら、君もおいでよ。
ジョージスナイダーか?
エンフィールドジョ、ジョージ師匠!!
……皆さん、どうしてこちらに?
マークスどうしてって、食堂がこの先にあるからな。
通りかかった。
ジョージなぁ、エンフィールド。
スナイダーはこの部屋にいるんだろ?
まだ具合が悪いのか?
主人公【大丈夫?】
【怪我なら治せるけど】
エンフィールドお気持ちはありがたいのですが、その……。
怪我はしていないので、大丈夫です。
ジョージじゃあ、あとで見舞いに来てもいいか?
エンフィールドそれはやめた方がいいと思います。
ジョージえっ? なんで?
エンフィールドスナイダーは気難しいところがあるので、
馴染みのない相手を必要以上に警戒します。
エンフィールド不用意に近づくと攻撃する可能性もあるので、
絶対に近づかないでくださいね!
皆さんに万一のことがあっては大問題です。
マークス……物騒な奴だな。
エンフィールドええ、そうなんです。体調が悪いので
余計に気が立っていて……。僕も兄として、
なんとかしたいと思っているのですが……。
エンフィールド……ああ、すみません。ここで立ち話をしていては
ディナーが冷めてしまいますね。
さぁ皆さん、食堂に行きましょう!

ライク・ツー昨日の晩餐もすごかったけど、
今日もまた華やかだったな……。
イギリスとはいえ、さすがは王城ってところか。
マークスマスターのカレーには負けるけどな。
ジョージ…………。
ジョージなぁ、〇〇……。
ちょっといいか?
主人公【どうかした?】
【スナイダーのこと?】
ジョージ……!
さすがは〇〇だな!
ジョージあとでこっそり、様子を見に行ってみないか?
主人公【そうしよう】
【攻撃されないようにそーっと……】
ジョージうん!
マークス話は聞こえた。
マスターが行くなら、俺も行く。
ジョージライク・ツーはどうする?
ライク・ツーぞろぞろ行っても悪目立ちするだろ。
つーか、余計なことに首突っ込むな。
損しかねぇってのに……。
ジョージ損とか得とかの問題じゃなくて、
オレはスナイダーが心配なんだ。
ライク・ツーあっそ。
俺は行かねーから、お前らだけで行ってこい。

コメントを書き込む


Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

まだコメントがありません。

×