開催期間:2021年11月29日~12月12日
(復刻:2023年3月13日~3月20日)
ジョージ | おーい、こっちこっち! すっげぇ面白い草が生えてるんだ! |
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十手 | ジョージ君、あんまり急ぐと危ないぞ……! |
ライク・ツー | ったく、あいつは……。 キャンプじゃねぇっつってんのに。 |
十手 | はは……。 しかし、何事も楽しむ姿勢は見習いたいもんだ。 |
マークス | …………。 |
遡ること数日──。
マークス | ……野営訓練? |
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ラッセル | ああ。 |
ラッセル | 今後、〇〇君は、君たち貴銃士たちと共に 任務に当たることがより一層増えていくだろう。 |
ラッセル | 市街地への派遣であれば、 衣食住を確保することは簡単だが…… 山間部や、荒廃した村々となるとそうはいかない。 |
ラッセル | いかなる状況であろうとも、 〇〇君の健康を維持しつつ、 任務を続行するための訓練が必要だ。 |
ラッセル | そういうわけで…… 君たち4人と〇〇君の5人で、 野営訓練を決行する! |
主人公 | 【イエッサー!】 |
マークス | マスターと訓練か。 同行するのは、俺1人でいいと思うんだが? |
ジョージ | こういうのは人数が多い方が楽しいって! キャンプファイヤーとかしようぜ☆ |
ラッセル | 5人で、と言ったばかりだろう……。 それに、これは訓練であってキャンプではないぞ。 |
十手 | 野営か……初めての経験だなぁ。 皆で焚き火を囲んで、飯ごうで米を炊いて……。 うまくやれるか心配だが、頑張るとしよう! |
ライク・ツー | ……おい、ラッセル。実戦想定の訓練はなしなのか? こんなお遊び気分の奴らと野営訓練しても、 なんの意味もねぇだろ。 |
ラッセル | いや……そんなに簡単な訓練ではないぞ。 |
ラッセル | 君たちが向かうのは、世界連合が保有する、 山間部の広大な訓練地だ。 |
ラッセル | 人里から離れていて、頼れるのは自分たちしかいない。 携行するのは、連合軍の基礎装備と半日分の食料のみ! その状態で、3日間過ごしてもらう。 |
ライク・ツー | へぇ……? 3日間ってのは生温いが、 まあまあ本格的なサバイバル訓練ってわけか。 |
ラッセル | ああ。 君の言う通り、実戦想定の訓練は組み込んでいないが、 相手は厳しい自然だ。くれぐれも油断をしないように。 |
ラッセル | 訓練の継続が困難な事態に陥った場合のみ、 訓練中断の緊急連絡が許可される。 それ以外での通信はナシだ。 |
十手 | つまり、よほどのことがない限り、 連絡も取れないってことか……。 うう、なんだか緊張してきたな……。 |
ラッセル | 全員で協力して、サバイバルを見事成功させてくれ。 健闘を祈る! |
訓練初日を迎え、〇〇たちは、
深い森の中を軽快に進んでいた。
ジョージ | ほらこの草! セクシーな唇みたいな花がついてるだろ!? |
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十手 | うぉっ!? な、なんと珍妙な! |
ライク・ツー | これってジャングルに生える植物じゃねぇか? どうなってんだ、この森は……。 |
主人公 | 【探索しがいがあるね】 【怪しい植物には気をつけないと】 |
マークス | ……おい、お前ら。 マスターを無駄に歩かせるな! 訓練は始まったばかりなんだぞ。 |
マークス | マスター、少しでも体力を温存した方がいい。 荷物が重いだろう? 俺が半分持つ。 |
ライク・ツー | ……おい、マークス。余計なことすんな。 |
マークス | 余計……? 何がだ。 |
ライク・ツー | 〇〇は子守りが必要なガキじゃねぇ。 士官候補生だ。 |
ライク・ツー | 自分の荷物も持てねぇようなヤワな訓練してねぇだろ。 甘やかすんじゃねぇよ。 これくらいでへばるようなら置いていく。 |
マークス | ……なんだと? |
ライク・ツー | お前は〇〇を無駄に甘やかして、 この程度の荷物も運べねぇ雑魚にする気らしいからな。 俺が迷惑するからやめろって言ってんだよ。 |
ライク・ツー | ……おい、〇〇。 お前が途中でへばって遅れたら、そのまま置いていく。 いいな。 |
ライク・ツー | もし生半可な鍛え方してたんなら、 山の中で一晩置き去りにするくらいで ちょうどいい薬になるだろ。 |
十手 | ライク・ツー君、それはさすがに冗談だろう……? 夜の山に置き去りって……。 |
ライク・ツー | いや、本気だけど。 〇〇がちゃんと鍛えてりゃ、 なんの問題もないはずだ。 |
主人公 | 【大丈夫】 【これくらいの荷物で遅れたりしない】 |
ライク・ツー | ほらな。 |
ジョージ | でも、大変なときは助け合うもんだろ? オレは、〇〇が遅れそうになったら 手伝うぞ! |
十手 | もちろん、俺もだ! |
ライク・ツー | どいつもこいつも……。 実戦でもそうやってお前らが荷物持ちすんのか? |
ライク・ツー | 余計な荷物背負い込んで、 動きをトロくして敵のいい的になろうってか? ……ハッ、笑える。 |
マークス | おい、いい加減にしろよ。 |
マークス | 俺たちはマスターの貴銃士だ。 指示をするのはマスターで、あんたじゃない。 だから、指示に従う理由もない。 |
マークス | そもそも……あんたは信用ならない。 マスターのことを、 大事に考えてないような奴だからな。 |
ライク・ツー | 〇〇、耐えろよ! |
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ライク・ツー | どんな手段を使っても、俺は……、 僕は二度と、負け犬にはならないっ! |
ライク・ツー | ──絶対非道! |
マークス | 絶対非道がマスターを苦しめる力だとわかってるのに、 あんたは平気で力をふるって、マスターを傷つける。 |
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マークス | あんたは、自分のために マスターを利用しようとしてる……そんな気がする。 |
ライク・ツー | …………。 |
ライク・ツー | じゃあお前は、〇〇が傷つくからって 絶対非道を使わずに、アウトレイジャーにやられて 一緒に死ぬってのか? |
ライク・ツー | 馬っ鹿馬鹿しい。 甘い奴だってのはわかってたが、 まさか脳ミソまで砂糖漬けだったとはな。 |
マークス | なんだと……! |
十手 | ちょ、ちょっと! 2人とも、喧嘩はやめにしよう! |
十手 | 物資も少ないし、日没までの時間も限られてる。 ラッセル教官にも言われた通り、 ここは協力して、3日間乗り切っていかないと……! |
ジョージ | 十手の言う通りだって! なっ、〇〇! |
主人公 | 【喧嘩はそこまで】 →マークス「……マスターが、そう言うなら。」 【野営の準備を急ごう】 →十手「そうだな……! やらなくちゃならないことが山ほどあるぞ。」 |
ライク・ツー | ……ふん。 |
十手 | あっ、ライク・ツー君! 待ってくれ……! |
マークス | …………。 |
主人公 | 【マークスにお願いがある】 |
マークス | あ……ああ。 もちろん、なんでも言ってくれ。 |
主人公 | 【ライク・ツーと、手を取り合える?】 |
手強い敵であるアウトレイジャーに立ち向かう上で、
2人には手を取り合って戦ってほしいと、
〇〇はマークスに伝える。
マークスは今でも十分頼もしいが、
今後戦いが激化する可能性を考えると、
お互いに力を合わせることを覚えてほしい、と。
マークス | マ、マスター……。 |
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マークス | …………。 |
マークス | ……わかった。 努力、してみる……。 |
──3日間の訓練の拠点となる
野営地に適した場所を探して歩くことしばらく。
ジョージ | Wow! このあたりとかいいんじゃないか!? 地面が平らで、ゴツゴツしてないし! |
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十手 | 確かに、ここなら野営にもってこいだな。 それじゃあ早速、食糧確保といくか! |
ライク・ツー | ……お前ら、気合入れろよ。 山歩きでただでさえ筋肉が消費されちまってんのに、 タンパク質補給ができないとかマジ最悪だからな。 |
ライク・ツー | 全力で、何か肉を確保するぞ。 |
十手 | おお……ライク・ツー君は気合十分だな……! 俺も負けないぞ! いざ、食料確保! |
ジョージ | Go! Go~! |
マークス | マスターの食糧は、俺が確保する。 俺に任せてくれ、マスター! |
マークス | む、これは……。 |
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マークス | ……木の実だな。 赤くて美味そうだ。 早速マスターのところに── |
ジョージ | お、なんだそれ!? 美味そうだな~。もーらいっと! |
マークス | おい、ジョージ! それはマスターに……。 |
ジョージ | もぐもぐ……ぐほぁっ!? |
マークス | どうしたんだ、故障か! |
ジョージ | うぐ……〇〇が食べなくてよかった……。 酸っぱさと苦さとえぐみが同時に襲ってきて……。 ぐはっ! |
マークス | ジョージ……! そんな……のたうち回るほどの味なのか……。 |
マークス | 美味そうな見た目に騙されてしまった。 俺もまだまだだな……。 |
ライク・ツー | なぁ、これ食えるんじゃねーのか。 |
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十手 | ちょっと待ってくれ、今確認するよ。 えーっと……そのキノコは……。 |
十手 | うん、食べられそうだ! |
ライク・ツー | ……なんだ? その本。 |
十手 | ああ、これかい? 恭遠教官が持たせてくれたんだ。 『食べられる野草デラックス』という図鑑だよ。 |
十手 | 野草やキノコの中には、毒のあるものも多いからね。 うっかり食べないようにと、 わざわざ街の書店で買ってきてくれたそうだ。 |
十手 | いやぁ、恭遠教官は立派な御仁だよ。 若くして世界連合の大事なお役目に就いていて、 でも驕らずに、こうして細やかな気遣いをしてくれる。 |
ライク・ツー | ふぅん……。 |
ライク・ツー | ……なぁ、あの辺のキノコはどうなんだ? |
十手 | むむむ……、おお! これは食べられそうだよ。 |
十手 | 裏側を指でぎゅっと押すと……ほら、青くなった。 図鑑にも、食用として問題ないと書かれているな。 |
ライク・ツー | 青って……食欲湧かねぇ色だな。 まぁいい。贅沢は言ってらんねぇからな。 |
十手 | ははっ、美味そうな色とは言い難いが、 自然の神秘を感じるね。 ……よし、これは確保しておこう。 |
十手 | キノコはこれくらいにして……おや? あの草は、もしかしてイタドリじゃないか? |
ライク・ツー | あ……? トリ? |
十手 | 鳥じゃなくて、植物の名前だよ。 日本でよく見かける野草なんだが……。 へぇ、この国にもあるんだなぁ。 |
十手 | 少しアクが強いが、湯がいて水にさらしておけば、 明日にはおひたしにして食べられる。 俺に任せてくれ。 |
十手 | それに…… あっちは接骨木(せっこつぼく)だね。 |
ライク・ツー | セッコツ、ボク……? |
十手 | ああ。漢方薬にも使うし、 新芽なんかは天ぷらにできるはずだよ。 |
十手 | セッコツボク……セッコツボク…… んー、図鑑には載ってないのかな……。 |
十手 | ……ああ! この国ではニワトコと呼ばれてるみたいだ。 |
十手 | そうかぁ……日本から遠いこの国でも、 似たような草木はあるんだなぁ。 ホッとするというか、懐かしいというか……。 |
ライク・ツー | お前……たまには役に立つんだな……。 |
十手 | えっ! そ、そうかな……? |
十手 | ……って、たまには!? |
ジョージ | おーい! 十手、ライク・ツー! |
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十手 | おっ、ジョージ君にマークス君。 それに、〇〇君も。 |
主人公 | 【順調そうだね】 →ライク・ツー「珍しく、十手のおっさんが役に立ってな。」 【キノコに山菜だ】 →十手「恭遠教官に渡された本のおかげでね。 なんとか、食べられそうなものを色々集められたよ。」 |
マークス | ……おい、ライク・ツー。 偉そうなことを言っていたが、あんたは収穫なしか? |
ライク・ツー | はぁ? んなわけねーだろ。 ちゃんと見つけてる。 ……あそこの木になってる果物とかな。 |
マークス | ……? それで、補給はできたのか? |
ライク・ツー | いや。誰か取ってこいよ。 俺は木登りなんて御免だね。 |
マークス | は……? マスターのための食料を見つけておいて、 取りに行かない意味がわからない。 |
ライク・ツー | 〇〇のためのって……貢ぎ物かよ。 つーか、お前と一緒にすんな。 とにかく、俺は木登りなんてしない。 |
マークス | ライク・ツー……あんた……。 |
ライク・ツー | な、なんだよ。 |
マークス | あんた、まさか…… 高いところが怖いのか? |
ライク・ツー | は……!? ちげーよ、んなわけねぇだろ! |
ジョージ | なぁーんだ! それなら早く言ってくれよ! オレが取ってくるからさ☆ |
ライク・ツー | だから、ちげけよ! ……ムダに汚れるのが嫌だっただけだ。 |
ライク・ツー | はぁ……まぁいい、見てろ。 あんなもん、俺にかかればすぐ取れるっての。 |
ライク・ツーは渋々と言った様子で、木に登り始めた。
普段から徹底的に鍛えている成果なのか、
力強く、しかし軽々とした見事な動きだ。
十手 | おおー! ライク・ツー君は木登りまで上手なのか。 いやぁ、猿にも勝る手練れっぷりだ! |
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ライク・ツー | おい、誰が猿だ、ふざけんな! |
ライク・ツー | ……って、うわっ! 虫っ! |
ライク・ツー | くそ……だから木登りは嫌だったんだよ! ああ! 気持ち悪っ! |
ぶつくさと文句を言いつつも、
ライク・ツーは果物が実っているあたりまで到達する。
ライク・ツー | ほら、受け取れ。 |
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マークス | うおっ!? おい、ライク・ツー! いきなり投げるんじゃねぇ! |
ジョージ | Hey! ライク・ツー! こっちにパスくれよ! |
十手 | んん……! 甘い匂いがする。 こいつは美味そうだ……! |
マークス | …………。 |
主人公 | 【マークス?】 【どうかした?】 |
マークス | マスター。 美味そうに見えるものを信用したらだめだ。 |
マークス | こういう時は…… まずはジョージが食べるのがいい。 |
ジョージ | ええっ、オレは毒見役!? ひどいぞ、マークス! |
ジョージ | ま、今度こそは美味しそうだし、別にいいけどさ~。 いただきまーす! |
ジョージ | もぐ、むぐ……。 |
ジョージ | ウッ……!? |
十手 | ジョ、ジョージ君!? |
マークス | やっぱりか……。 |
ジョージ | う……。うぅ……! |
ジョージ | ……美味いっ! |
マークス | は……? |
十手 | ……本当だ、これは絶品だよ! ほっぺたが落ちそうだ! |
主人公 | 【美味しい!】 【マークスも食べてみて】 |
マークス | マスター……! マスターに美味しいものを一番に渡して、 笑顔にするのは俺の役目なのに……! |
ライク・ツー | ……はっ、ほら見ろ。 一番役に立ってねぇのはお前じゃねーか、マークス。 |
マークス | くっ……! |
ジョージ | ライク・ツーのおかげで、 デザートには困らなそうだなっ! |
マークス | …………。 マスターが腹を空かせないように役立ったことは…… まぁ……認めてやる。 |
ライク・ツー | それが認めるって顔かよ。……つーか、 お前に認められる必要なんてねーんだけど? |
マークス&ライク・ツー | ……フン! |
マークス&ライク・ツー | …………。 |
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十手 | え、えーと……。 気を取り直して、野営の準備に戻ろうか! |
ジョージ | だな! テントを張って~、あと、火おこしもしないと! |
ライク・ツー | ……そういや、薪は集めたのか? |
ジョージ | オレたちは集めてないぜ。 |
ライク・ツー | 火おこし以前の問題だな。 タンパク質も確保できてねぇし、 俺は薪集めがてら鳥かなんか狙ってくる。 |
ライク・ツー | ……〇〇。 お前、スポッターもできるんだろ? ついて来い。 |
マークス | おい。マスターから手を放せ。 マスターの狙撃のバディは、俺の役目だ。 |
マークス | アサルトライフルのあんたより、 狙撃銃の俺の方が、正確に獲物を撃ち抜けるしな。 |
ライク・ツー | 別にいいけど。 足引っぱんじゃねーぞ。 |
マークス | あんたの方こそ。 |
主人公 | 【喧嘩しない】 →マークス「……すまない、マスター。」 【薪拾いも借りも頑張ろう】 →マークス「……わかった、マスター。 全力で任務にあたると誓おう。」 |
マークス、ライク・ツー、〇〇で
よく乾いた枝を拾い集めていく。
マークス | かなりの量になったな。 マスター、重くはないか? |
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主人公 | 【大丈夫だよ】 【まだまだ持てる】 |
マークス | さすがマスターだ。 これならライク・ツーの野郎も、 何も文句は言えないだろう。 |
マークス | ……ん? あれはなんだ? |
マークスの視線の先には、
薄闇の中に隠れるように佇む建物があった。
主人公 | 【……なんだろう?】 →マークス「明かりはついていない……廃墟ってやつか。 もし訓練中に天候が悪くなったっ時は、 あそこで雨風をしのぐのもいいかもしれないな。」 【人の気配はなさそうだ】 →マークス「ああ。 ……中が綺麗なら、 野営はやめてあそこに泊まるのもありか……?」 |
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ライク・ツー | 見た感じはボロそうだけどな。 ま、土砂降りやらになった時は、 濡れ鼠になるよりマシかも。 |
マークス | …………。 |
マークス | あの建物、なんつーか……。 あれに似てるな。 |
ライク・ツー | ……あれ? |
マークス | 士官学校の敷地内にある、立ち入り禁止の森だ。 あんたがあそこに行ったのは銃の時だけだから、 わからないかもしれないが……。 |
ライク・ツー | 立入禁止区域にある建物っつーと…… 世界帝時代の遺物か。 同じなのは、廃墟ってとこだけだろ。 |
マークス | そうか。なら、どうでもいい。 |
ライク・ツー | あの廃墟のこと、 戻ってもジョージには秘密にしとけよ。 |
マークス | なぜだ? |
ライク・ツー | あいつのことだから、 「探検に行こう」とか言い出しそうだろ。 |
マークス | ……確かにな。 |
その時、背後の森で、何かが動く気配があった。
マークス | ん……? なんだ? ジョージと十手か? |
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茂みが揺れる音が聞こえた方へ、
〇〇とライク・ツーも視線を向ける。
主人公 | 【2人が手伝いに来てくれたのかも】 |
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ライク・ツー | けどよ、十手のおっさんはともかく、 ジョージが近づいてきてんならもっと騒がしいだろ。 |
マークス&ライク・ツー | …………。 |
マークスとライク・ツーが、
それぞれ自分の銃を素早く構える。
アウトレイジャー | ウゥゥ……殺、ス……。 |
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マークス | アウトレイジャー!? |
マークス | なんでアウトレイジャーが! ここは連合軍の敷地なんだろう……!? |
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アウトレイジャー | ウゥ……殺ス……壊、ス……! |
ライク・ツー | ……待て、見ろ。 あいつら、どうも動きがトロい。 ……弱ってる? |
ライク・ツー | 軍に撃退されて、逃げてきたのか……? ま、なんにしろ3体なら問題ないだろ! ここで止めを刺してやる── |
マークス | いや、待て! |
ライク・ツー | ああ!? |
マークス | ジョージたちが近くにいるんだ。 あんたの銃で応戦しながら戻って合流するべきだ! |
ライク・ツー | はぁ? んなこと言ってる場合か? この場で絶対非道でケリをつける。 わざわざ逃げ戻る必要なんかねぇ。 |
マークス | いや、必要だ。 あの力を使えばマスターが傷つく。 せめて、すぐに治療できるように── |
ライク・ツー | おい、甘ったれてんなよ! 戦ってれば誰だって無傷じゃいられない。 〇〇だって当然、そんなこと覚悟してる。 |
ライク・ツー | てめぇの勝手でウジウジしてんじゃねーよ! |
マークス | だが……! |
主人公 | 【内輪揉めしてる場合じゃない】 →マークス「マスター……。」 【アウトレイジャーに対処を】 →マークス「マスターが言うなら……了解した。」 |
マークス | あいつと協力するのが、マスターの望みだから……。 わかった。あいつの判断に──委ねてみる。 |
ライク・ツー | フン……。 最初からそうしとけっつの! |
ライク・ツー | ──絶対非道! |
アウトレイジャー | ウゥゥ……! |
ライク・ツー | チッ、仕留め損なった……! もう1発だ。今度こそ消し飛ばしてやるよ。 |
マークス | おい、ライク・ツー! マスターの負担になるような戦い方すんじゃねぇ! |
ライク・ツー | お前にはマスター以外の語彙はねぇのかよ。 俺に文句行ってねーで、お前も合わせろ! |
ライク・ツー | 心銃──! |
マークス | ……っ! マスター! 薔薇の傷が悪化している! |
主人公 | 【これくらい……】 【気にしないで】 |
アウトレイジャー | グ……アァァア! 殺……ス! |
ライク・ツー | おらおらおら! さっさとくたばれ! |
マークス | あの野郎……! マスター……やはり俺には、無理だ。 |
主人公 | 【……!?】 【マークス?】 |
マークス | 俺はここには……いられない! あいつがこのままマスターを傷つけるのを、許せない! |
マークスは〇〇を抱え上げると、
アウトレイジャーたちのいない方へと駆け出す。
ライク・ツー | おい、どこに行く! 逃げんのか!? |
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マークス | あいつを信じてみようかと思ったが…… 俺にとって、一番大切なのはマスターだ。 そこは絶対で、揺らがない。 |
マークス | あいつの判断は、マスターを傷つける。 だから俺は……マスターの安全を最優先に動く! |
ライク・ツー | あいつ……! ふっざけんじゃねーぞ!!! |
アウトレイジャー | 壊、ス……!! |
ライク・ツー | クソッ……また出やがった! ……ッ、心銃……! |
アウトレイジャー | グォァァ……。 |
ライク・ツーの攻撃がアウトレイジャーを貫くが、
攻撃から逃れた1体が、
〇〇たちの方へと襲いかかってくる。
ライク・ツー | ほらほら、そっちに1体行ったぞ! どうすんだ? ああ? |
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マークス | なっ!? ライク・ツー! あいつ……やりやがったな!! |
アウトレイジャー | 殺ス、コロス……ッ! |
マークス | マスター、全力で逃げるぞ! |
主人公 | 【駄目だ、追いつかれる!】 【絶対非道を使って!】 |
マークス | ……ッ、くそっ……! すまない、マスター。 |
マークス | ……絶対非道! |
アウトレイジャー | アァァ……。 |
マークス | マスター! 傷の具合は!? 見せてくれ! |
〇〇に駆け寄ったマークスは、
右手に刻まれている傷の具合を確認する。
薔薇の傷は手首付近まで進行し、血を滲ませていた。
マークス | ……ッ、ライク・ツー、てめぇ……! |
---|
マークスがライク・ツーの方へ向かっていき、素早く拳を振るう。
しかし、ライク・ツーはそれを掌で受け止め、2人は睨み合った。
ライク・ツー | ……何すんだよ。 |
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マークス | あんたの方こそ何しやがる! あれくらい、あんたなら漏らさず倒しきれたはずだ! 俺を困らせるために、わざと手を抜いたんだろう!? |
マークス | あんたが仕留めてれば…… マスターを無駄に苦しめずに済んだんだぞ! |
ライク・ツー | はぁ? |
ライク・ツー | てめぇがグダグダ言わずに最初からさっさと戦って 一撃で仕留めてれば、〇〇の傷も 大して悪化せずに済んだんじゃねーの? |
ライク・ツー | それを傷つけたくないだのなんだのと アホみてぇな我儘ばっかり言いやがって……! 一回銃に戻れば治るかと思ったわけ! ははっ! |
マークス | なっ……! |
ライク・ツー | はぁーあ……。 これ以上馬鹿の相手はしてらんねぇ。 |
そう吐き捨てると、ライク・ツーは
〇〇たちに背を向けて、立ち去ってしまった。
ライク・ツーの足音が遠ざかっていく。
夜が近づく森ではぐれるのは得策ではないため、
〇〇が促し、追いかけることにした。
マークス | おい、勝手な行動をするな! マスター、やっぱりあいつのことなんか放っておいて、 ジョージと十手のところに戻ろ── |
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マークス | …………。 |
すっかり暗くなった周囲を見回して、マークスが沈黙する。
立ち並ぶ木々はどれも同じに見えて、
足跡を残さないように動いていることも仇となり、
元来た方角がどちらなのかも怪しい。
ライク・ツー | ……で、戻れるのか? |
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マークス | それは……。 あんたの方はどうなんだ。 |
ライク・ツー | ……大体の位置はわかる。 けど、目印はつけてないから確実じゃない。 下手に動けば立派な遭難だな。 |
マークス | 遭難なんかするわけにはいかない。 そうだ、銃声でジョージたちに合図をして── |
ライク・ツー | ついさっきアウトレイジャーが出たことを忘れたのか? 音に反応して寄ってくるのがあいつらならいいが、 アウトレイジャーだったら最悪だぞ。 |
マークス | じゃあ、あんたに何か考えはあるのか? |
ライク・ツー | ……俺は、さっき見かけた廃墟に行く。 雨風はしのげるだろうし、 何か保存食でも見つかるかもしれねぇからな。 |
マークス | …………。 いつどこから何が現れるかわからない森より、 建物の中の方が安全、か……。 |
マークス | マスターはどう思う? |
主人公 | 【廃墟に行ってみよう】 【廃墟ならジョージと十手も見つけやすい】 |
マークス | 了解した。 周囲を警戒しつつ、慎重に進もう。 |
月明かりを頼りに森の中を進み、
廃墟の前へとたどり着く。
ライク・ツー | ……鍵がかかってる。 仕方ねぇな、窓割って入るぞ。 |
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ライク・ツー | よし、と。 ほら、とっとと入ろうぜ。 |
ライク・ツーが鍵付近のガラスを割って窓を開け、
3人は建物の中へと侵入する。
主人公 | 【……ちょっと気味が悪い場所だ】 →マークス「ああ……なんだかジメッとしてる。 ジョージなら湿気りそうだ。」 【雨風はしのげそうでいい】 →マークス「マスターは逞しいな。 さすが俺の自慢のマスターだ。」 |
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ライク・ツー | …………。 なんか、きな臭ぇな。 |
マークス | ん……? どういうことだ、ライク・ツー。 |
ライク・ツー | 気づかねぇか? この廊下も、そっちの部屋も……綺麗すぎるんだよ。 外見はどうみても廃墟なのに、内側はそうでもない。 |
ライク・ツー | 建物も、物だ。 人に手入れされなくなった途端、 物ってのは一気に劣化する。ってことは……。 |
マークス | ここには、今も人の手が加わっているということか。 |
ライク・ツー | ああ。 思えば、窓ガラスが1枚も割れてなかったのも妙だ。 |
マークス | ……マスター、こんなところからはさっさと出よう。 |
ライク・ツー | いや、待て。 ここにいるのがただの世捨て人だとか、 無害な奴なら問題ないだろ。 |
ライク・ツー | どんな奴がいるのか…… その面、拝みに行ってやろうぜ。 |
マークス | おい、マスターを危険に晒す気か? |
ライク・ツー | 何が危険かは、考え方次第だろ。 ここにいるのが無害な奴なら、 闇雲に外に出て夜の森で凍える方が断然危険だ。 |
ライク・ツー | もし潜んでるのが敵でも、 ぶっ潰して俺たちがここを奪っちまえばいい。 |
主人公 | 【……行ってみよう】 【2人がいれば心強い】 |
ライク・ツー | ほら、〇〇も賛成だってよ。 お前はどうする、マークス。 1人で逃げたいなら止めねぇ。好きにしろ。 |
マークス | マスターが行くなら、俺も行く。当然だろう。 |
まずは1階から探索するが人気はなく、
空き部屋や、埃っぽい物置部屋だけだった。
続いて3人は階段を上がり、2階へと向かう。
マークス | ……明かりがついている。 外からは見えなかったぞ。 |
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ライク・ツー | 見てみろ。窓にきっちり暗幕が張られてる。 外に明かりが漏れないようにしてたんだ。 |
マークス | ……っつーことは……。 |
ライク・ツー | ここに潜んでるヤツは、存在を悟られたくないんだろ。 いよいよ胡散臭ぇな。 逃げ出した凶悪犯が隠れ住んでたりして。 |
ライク・ツー | ……この部屋は、誰もいないみたいだな。 入ってみるか。 |
そこは、何かの研究室のようだった。
実験器具や、取り扱い注意と書かれた薬品が並び──
部屋の奥には、1枚の旗が飾られている。
マークス | あの旗……授業で見たことがある。 確か、世界帝軍の旗だったな。 |
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ライク・ツー | ……冗談半分だったけど、 逃げ出した凶悪犯って読みは、ある意味正解だったってわけか。 |
ライク・ツー | 山奥の廃墟を装った施設で、世界帝の旗のもと、 コソコソ怪しい研究をしてるとくれば…… 正体は、親世界帝派のテロ組織── |
主人公 | 【トルレ・シャフ……】 |
ライク・ツー | ああ、だろうな。 |
マークス | ……危険すぎる。 すぐに出よう、マスター! |
ライク・ツー | 俺は、このまま探索を続ける。 |
マークス | は……? あんた、何考えて── |
ライク・ツー | 世界各地のアウトレイジャーの出現には、 トルレ・シャフが関係してる可能性が高いんだろ。 なら、ここで何か手掛かりが掴めるかもしれない。 |
マークス | だとしても、残るのは危険だ! アウトレイジャーが出て戦いになれば、 ジョージたちがいないのに絶対非道を使うことになる! |
マークス | そうしたら、またマスターが傷ついて……。 |
ライク・ツー | ……あーあー、うるせぇな! |
ライク・ツー | いい加減にろ! お前のその言い分にはうんざりなんだよ! |
ライク・ツー | アウトレイジャーが出現する原理や、 奴らへの対処法について何かわかれば、 それは〇〇の負担を減らすことに繋がる。 |
ライク・ツー | だから、これはチャンスなんだ。 お前の大好きなマスターの任務を忘れたのか? |
マークス | ……っ、違う……! だが、あんたが言うことなすこと、全部信用できねぇんだよ! |
マークス | だから、俺はあんたに逆らう! あんたとは違う道を選ぶ……! |
ライク・ツー | あっそ。好きにすれば。 元々、同じ道を歩みたいとも思ってねーし。 |
マークス | 俺の方だって── |
??? | ……おい、今何か聞こえなかったか? |
マークス&ライク・ツー | ……!! |
マークス | マスター、こっちだ! |
---|
マークスが〇〇を引っ張り、
机の下へと慌てて身をひそめる。
次の瞬間、2人の男が室内に入ってきた。
トルレ・シャフ研究員1 | 誰もいない……? だが、確かに誰かの声が聞こえたよな。 |
---|---|
トルレ・シャフ研究員2 | ああ。登山者でも入り込んだのかもしれない。 建物内を捜索して始末しよう。 |
マークス | (まずい……。 このままだと見つかるのも時間の問題だ……!) |
ライク・ツー | …………。 |
と、その時だった。
ライク・ツーが突然〇〇の腕を掴み、
堂々とした様子で立ち上がる。
主人公 | 【……!?】 |
---|---|
トルレ・シャフ研究員1 | な、何者だ! |
ライク・ツー | あ、勝手に入ってゴメーン。 僕、ライク♥ツーって言えばわかるよね? 見た目はちょっと……いや、だいぶ変わってるけど。 |
トルレ・シャフ研究員1 | な、に……? |
トルレ・シャフ研究員2 | まさか、いや、そんな……。 |
ライク・ツー | ま、いきなり現れたらびっくりするか。 もうちょっとわかりやすく言ってあげるよ。 |
ライク・ツー | ──Great World Emperor. |
トルレ・シャフ研究員たち | ……はっ! |
ライク・ツー | 杖の1人から指示を受けてきた。 話のわかるやつはいるか? |
トルレ・シャフ研究員2 | 杖の方から直々に……!? やはりあなた様は、偉大なる世界帝が呼び覚ました 貴銃士ライク♥ツー様……!? |
トルレ・シャフ研究員1 | と、とんだご無礼を! |
男たちが警戒を解き、ライク・ツーに跪く。
トルレ・シャフ研究員1 | すぐに気づけず申し訳ありません……! 話に聞いていたお姿とは、 ずいぶんと違っておられましたので……。 |
---|---|
トルレ・シャフ研究員2 | ライク♥ツー様といえば、 長髪のツインテールだと思い込んでおり……! |
ライク・ツー | あー……、まぁな。それはいい。 |
ライク・ツー | で、こっちは俺のマスターだ。 連合軍の内情を探るべく、士官候補生として潜り込んでる。 |
ライク・ツー | 当然、俺と行動を共にするから。 ……ってことで、まずはこの施設の案内よろしく。 研究がどこまで進んでるのかも確認したい。 |
トルレ・シャフ研究員1 | かしこまりました! どうぞ、こちらへ……。 |
男たちが、〇〇とライク・ツーを案内しようとする。
マークス | ……おい、待て! |
---|---|
ライク・ツー | ……ッ! |
トルレ・シャフ研究員2 | なんだ、貴様は! |
ライク・ツー | ……なんだよ、まだ生きてたのか。 |
マークス | ぐっ……!? |
ライク・ツーは、マークスへ銃口を向けると……
躊躇いなく引き金を引いた。
主人公 | 【……!!】 |
---|
マークスの名前を呼びかけた〇〇の口を、
ライク・ツーが素早く塞ぐ。
ライク・ツー | ……黙ってろ。死にたくなけりゃな。 |
---|
念を押すように〇〇をじっと見たあと、
ライク・ツーは倒れたマークスに近づき、
その身体を抱え上げる。
ライク・ツー | 窓を開けろ。 |
---|---|
トルレ・シャフ研究員2 | はっ! |
マークス | てめぇ……何、を……。 |
ライク・ツーは、開け放たれた窓へと歩み、
ぐったりとしたマークスを押し出す。
ライク・ツー | とっとと失せろ。 ──あの世で仲間によろしくな。 |
---|
マークスが、窓の外へと落ちてゆく。
〇〇が手を掴もうと駆け寄るが、
ライク・ツーがそれを阻み──。
──ドサッと、鈍い音が響いた。
主人公 | 【(早く治療しないと……!)】 【(この状況で、一体どうすれば……?)】 |
---|---|
トルレ・シャフ研究員2 | ライク♥ツー様、我々がとどめをさして参りましょうか? |
ライク・ツー | いや、放っておけ。 きっちり急所を撃ち抜いたから、出血多量で死ぬだろ。 |
ライク・ツー | それより、早く案内しろ。 軍を抜け出してきてるから、急いで戻らなきゃなんねぇんだよ。 |
トルレ・シャフ研究員2 | はっ! |
主人公 | 【(……急所を?)】 |
トルレ・シャフ研究員1 | ライク♥ツー様、こちらへ。 |
ライク・ツー | ほら、行こうぜ。「マスター」。 |
マークス | う、……ッ。マスター……。 |
---|---|
マークス | く……そ……。頭、が……。 |
マークスの視界が、徐々に霞がかってゆく。
やがてその身体は、冷たい地面の上で動かなくなった。
──数時間後。
隙を見て逃げ出した〇〇は、
倒れているマークスのもとへと駆け寄った。
ライク・ツーに撃たれたのは利き腕のようだが、
骨に損傷はなく、出血もそこまで多くはない。
気を失っているのは、頭を打ったせいだろうか。
マークス | う……。 |
---|---|
主人公 | 【マークス!】 |
マークス | ……マスター……? |
マークス | ……マ、マスター!! 無事か!? 酷いことはされてないか!? |
主人公 | 【大丈夫】 【何もされなかった】 |
マークス | よかった……。 すまない、俺がそばにいたのに、こんなことになって……。 |
マークス | ……ん? 撃たれた傷が塞がってるし、頭も痛くない……。 マスターが治療してくれたんだな。 |
マークス | ……ありがとう、マスター。 それに、ごめん……マスターを、守れなかった。 |
マークス | マスター、あいつは……ライク・ツーはどこだ。 俺が撃ち抜くから、安心してくれ。 |
主人公 | 【ライク・ツーは、まだ中にいる】 →マークス「それなら、俺だけ戻って、 あいつらを残らず排除するか……。」 【ライク・ツーを撃ったら駄目だ】 →マークス「マスター……なぜだ? あいつはマスターを危険に巻き込んで、 俺のことも撃ちやがった!」 |
マークス | くそ……! やっぱり、あいつを信じちゃいけなかったんだ。 |
マークス | トルレ・シャフもライク・ツーも、 まとめて始末してやる。だが……俺1人だと、 マスターの安全を確保できるとは言い切れない……。 |
マークス | どうにかして、ジョージと十手と合流しよう。 態勢を整えたら反撃だ。 |
主人公 | 【でも……】 【まだライク・ツーが敵だとは……】 |
マークス | ますたー、わかってるだろ。 あいつは俺たちを裏切ってたんだ! |
マークス | あいつこそ、トルレ・シャフのスパイだったってことだろ! 何か隠してるって、俺はずっと思ってたんだ! |
マークス | 俺は……たとえマスターに恨まれようと、 マスターの安全を最優先に考える。 だから、無理やりにでも連れていく。 |
マークスは〇〇の手を掴むと、
月明かりを頼りに足早に歩き始める。
その時──夜露で濡れた落ち葉に足を取られ、
〇〇が転倒した。
そのまま運悪く、急な斜面を転がり落ちる。
マークス | マスター!! |
---|---|
マークス | マスター、大丈夫か! ……足をひねったのか? |
マークス | ご、ごめん……。 俺が無理に引っ張ったから……。 |
マークス | クソッ、俺はなんでいつもこうなんだ……! マスターを守りたいのに、傷つけてばかりで……。 |
主人公 | 【これくらい大丈夫】 【そんなに落ち込まないで】 |
マークス | マスターは、優しい。 そういうところも大好きだ。 だけど……時々無性に、自分が情けなくなる……。 |
〇〇が、うなだれるマークスを
励まそうとした時だった。
十手 | おーい、〇〇君! マークス君! |
---|---|
ジョージ | あ、いたいた! Hey! こっちこっちー! |
マークス | ジョージ、十手……! |
十手 | よかった、無事みたいだな! しかし、2人ともこんなところでうずくまって 一体どうしたんだい? それに、ライク・ツー君は? |
マークス | ライク・ツーの野郎のことは今はどうでもいい。 それより絶対高貴だ! ジョージ! |
ジョージ | へっ? 今のオレ、そんなに高貴だった!? |
マークス | そうじゃない! |
ジョージ | わっ! |
マークス | アウトレイジャーとの戦闘があって、 マスターの薔薇の傷が悪化してるんだ。 早く治してやってくれ……! |
悪化していた〇〇の傷を
ジョージが治したあと、
4人は情報交換をすることにした。
ジョージ | ……〇〇たちが蒔拾いに行ったあと、 銃声がしてさ。 |
---|---|
十手 | 最初は獲物を見つけたのかと思ったんだが、 どうもただ事じゃなさそうな様子だ。 |
十手 | 俺たちも応援に行こうとしたんだが、 途中でアウトレイジャーと遭遇してしまってなぁ……。 |
ジョージ | ま、そいつらはオレたち2人でBang☆したけどな! |
十手 | はは……ジョージくんがあっという間に倒したから、 俺の出番はなかったよ。 |
ジョージ | それで、そっちは何があったんだ? ライク・ツーがいないけど……もしかして迷子!? |
マークス | ……迷子じゃない。 話せば長いが……まず、薪を拾ってる途中で、 アウトレイジャーと遭遇したんだ。 |
マークス | アウトレイジャーを無力化して野営地に戻ろうとしたんだが、 帰り道が怪しくなって……。 |
マークス | 雨風がしのげそうな廃墟があったからそこに入ってみたら、 トルレ・シャフの施設だった。 |
十手 | なっ……!? トルレ・シャフの!? |
ジョージ | まさか、ライク・ツーがいないのって…… 捕まっちまったのか!? |
マークス | 違う! あいつは……自分から奴らのところに行ったんだ。 |
ジョージ | ん……? どういうことだ? |
マークス | あいつは自分のことを、世界帝の銃だと言った。 よくわからない会話をしたら、 トルレ・シャフの奴らがあいつに従い始めたんだ。 |
マークス | それから、マスターを奴らと一緒に連れていこうとした……! 止めようとした俺を── |
マークス | あいつは、撃った……! |
ジョージ&十手 | ……!? |
十手 | ……ええっ? ライク・ツー君が、マークス君を……? |
ジョージ | マジかよ……。 |
マークス | 本当だ。 マスターも見ていた。 |
〇〇が静かに頷くと、
ジョージと十手は絶句する。
マークス | 信用ならない奴だとは思ってたが……これではっきりした。 俺たちは全員騙されてたんだ……! |
---|---|
マークス | あいつは、敵になった。 いや……最初から、敵だったのかもしれない。 |
ジョージ | そんな……ライク・ツーが敵になるなんて、 オレ、嫌だよ……! |
十手 | …………。 |
十手 | ……なぁ、マークス君。撃たれたっていうのは、 具体的に言うと、どのあたりだったんだい? |
マークス | 右腕だ。 そのせいで、俺は反撃できなくなって……。 |
十手 | ふむ……。 |
十手 | だったら、少なくとも、 ライク・ツーくんに殺意はなかったんじゃないかな。 いや、これは、都合のいい解釈かもしれないが……。 |
ジョージ | どういうことだ? 十手。 |
十手 | だってほら、ライク・ツー君は合理性の鬼だ。 もしもライク・ツー君が本気なら、 確実に急所を撃って仕留めるんじゃいないかい? |
ジョージ | 確かに……ライク・ツーって容赦ないしなぁ。 マジで敵なら、蜂の巣にされそうだ……。 |
十手 | 〇〇君、君はどう思う? |
主人公 | 【十手の意見が合ってるかも……】 【マークスを逃がすためだったのかも】 |
〇〇は、廃墟での出来事を思い返しつつ、
3人にあの時のライク・ツーの言動を伝える。
トルレ・シャフ研究員1 | ライク♥ツー様、我々がとどめをさして参りましょうか? |
---|---|
ライク・ツー | いや、放っておけ。 きっちり急所を撃ち抜いたから、 出血多量で死ぬだろ。 |
マークス | …………。 暗かったから、 胸に当たったと勘違いしたのかもしれない。 |
---|---|
ジョージ | でも、マークスを抱えた時に、 急所を外したことに気づくはずだよなぁ……? |
十手 | やっぱり、わざと逃がしたんじゃ……? |
マークス | ……いや、そんなわけない。 あいつは、世界帝の銃だって自分で言ってたんだ。 喋り方もなんか変だったし……! |
マークス | 杖がなんとか、向こうの内情みたいなのを ぺらぺら喋ってたのが何よりの証拠だろ! |
マークス | ……俺は、もうあいつを仲間とは思えない。 いや、そもそも思ってなかったけど。 |
マークス | お前らとも合流できたし、俺は今すぐあの研究所に戻って、 トルレ・シャフの奴らとあいつを──倒す! |
主人公 | 【ライク・ツーとちゃんと話そう】 【ライク・ツーの本心を確かめよう】 |
ジョージ | そうだよ、マークス! オレは……ライク・ツーを信じたい。 |
ジョージ | だって……ライク・ツーはそりゃちょっとキビシイけどさ、 いいところもたくさんあったじゃん。 なんだかんだ、世話焼いてくれたよ。 |
十手 | マークス君……俺も、何か引っかかるんだ。 ライク・ツー君の行動は、 何か事情があってのことじゃないかって……。 |
十手 | 撃たれた手前、そんな気持ちにはなれないかもしれないが……。 最後に話を聞いてもいいんじゃないかい……? |
マークス | ……あんたら2人は能天気すぎる。 |
主人公 | 【自分からもお願いする】 【戦うのは最後の最後の手段にしよう】 |
マークス | ……了解した、マスター。 だが、俺はマスターの安全を一番に考えるからな。 |
十手 | さて、そうと決まれば、少し休もう。 〇〇君もマークス君も、 傷のせいで消耗しただろう。 |
十手 | トルレ・シャフやアウトレイジャーとの戦闘になる 可能性も考えて……まずは回復しないとな。 |
ジョージ | おう! 見張りはオレに任せとけ☆ |
──夜が明けるころ。準備を整えた4人は、
トルレ・シャフの施設へ向けて出発した。
ジョージ | お、見えてきたな。あの建物だろ? アウトレイジャーに用心しながら進もうぜ! |
---|---|
十手 | ああ。奴さんらに遭遇しなきゃいいんだが……。 |
マークス | …………。 |
マークス | マスター……昨日のようなことには、もうならない。 何があっても、俺がマスターを守る。 ライク・ツーの野郎が牙を剥くなら、俺は──……。 |
主人公 | 【…………】 |
トルレ・シャフの研究所までの道のりで
アウトレイジャーが現れることもなく、
4人は建物が見えるところまでやってきた。
茂みに隠れて、内部の様子を伺う。
あたりは不気味なほどの静けさに包まれていた。
ジョージ | 問題はここからだな……。 よーし、オレが一番乗りで行ってくるぜ! |
---|---|
ジョージ | 大丈夫だったら合図を送るから、 みんなもあとから来てくれ! Bye~☆ |
十手 | ちょっ、ジョージ君!? |
ジョージ | んーっと……見張りとかはいないみたいだな。 見たカンジはただの廃墟だけど、 ここがほん、と……に……。 |
---|---|
ジョージ | あ、れ……頭が……。 |
十手 | 待つんだ、ジョージ君……! ……っ、うう……。 |
十手 | な……ん……。 |
マークス | ジョージ、十手……ッ!? |
主人公 | 【ここで研究してたものって……】 【何かのガスかも!】 |
マークス | 毒ガスか……!? ……まさか、あの野郎…… 俺たちが来ると踏んで、毒ガスを撒いたんじゃ……! |
マークス | クソッ……! マスター、息をしたらだめだ! ……いや、しないとだめなんだが……! |
主人公 | 【鼻と口を覆って!】 |
マークス | あ、ああ! 十手、ジョージ、聞こえるか!? できるだけガスを吸わないように頑張れ! |
ジョージ | う……。 |
十手 | ゲホッ、……っ! |
ジョージと十手が、声に応えて腕を上げる。
それを確認すると、マークスは退路を探った。
マークス | 俺たち貴銃士は、ガスを吸っても マスターに治療されればなんとかなるはずだ。 マスターは、少しでもガスの薄いところに逃げ── |
---|---|
アウトレイジャー | 殺、ス……。 |
マークス | な……アウトレイジャー……!? チッ、こんな時に……! |
マークス | マスター、大丈夫だ。 マスターは、俺が必ず守る……! |
アウトレイジャー | …………。 |
マークスがよろめきながら放った弾丸は、
アウトレイジャーをわずかにかするだけだった。
マークス | クソ……身体が……! どう、して……っ、動け、動けよ……! |
---|---|
マークス | 俺が、マスターを守るんだ……! |
アウトレイジャー | 殺ス……破壊、スル……。 |
マークス | ……ッ! 俺が……どうにか、しないと……! |
マークス | ……俺は、マスターを傷つけたくない……! あいつみたいに……ライク・ツーみたいに、 マスターを平気で傷つけて戦いたくないんだ……! |
マークス | あいつと一緒には、なりたくない……っ!! |
主人公 | 【マークス!】 【絶対非道を!】 |
マークス | ……っ、マスター……。 |
マークス | クソッ……! なんで俺には、この力しかないんだ……! |
マークス | マスターを傷つけたくないのに……! この力がないと、マスターを守れない……。 |
アウトレイジャー | 壊、ス……! |
マークス | 絶対非道──! |
マークスの攻撃によってアウトレイジャーは倒れるが、
木々の間から次々と新たなアウトレイジャーが現れ、
少しずつ押されてしまう。
アウトレイジャー | 死ヲ……破滅ヲ……! |
---|---|
マークス | う……ゲホッ! 次から次へと……! |
有毒ガスのせいで、マークスは呼吸もままならず、
膝をつきかけた──その時だった。
??? | ──心銃! |
---|---|
アウトレイジャー | グアァアァァ! |
マークス | な、なに……っ!? |
マークス | !! |
マークスの口元に、何かが押し付けられる。
──それは、防毒マスクだった。
ライク・ツー | おい、大丈夫か、〇〇! ったく、雑魚ども相手になんてザマだよ、マークス。 |
---|---|
マークス | お前……! |
現れたのは、ライク・ツーだった。
〇〇にも防毒マスクをつけさせると、
後ろを振り返り叫ぶ。
ライク・ツー | おい、お前ら! ジョージと十手の救護を急げ! |
---|---|
連合軍兵士たち | はっ! |
マークス | これは……。 |
マークスの背後には、防毒マスクを装備した
連合軍の兵士たちがずらりと並んでいた。
ラッセル | 〇〇君! 遅くなってすまない! |
---|---|
ラッセル | ライク・ツーから連絡を受けて、 この施設を押さえようと動いていたんだが…… 我々に気づいた奴らが、有毒ガスを散布したようだ。 |
ラッセル | だが、ライク・ツーからの事前情報のおかげで、 適切な装備で対処に当たれる。 本当に助かったよ。 |
マークス | ライク・ツー……事前情報……? |
ライク・ツー | この施設で作ってる毒物の種類、量…… あれこれ聞き出した内容を、ラッセルに伝えた。 |
ライク・ツー | けど、まさかお前らがここに戻ってきて、 毒ガス騒ぎに巻き込まれるとはな。 予想外で焦ったっての……。 |
マークス | ふ……っざけんな! 何がしたいんだ、てめぇ! |
マークス | マスターを危険な目に遭わせて、 かと思えば最後は助けて……! |
マークス | 意味わかんねぇよ! |
ライク・ツー | ……おい、ラッセル。 さっさと中の奴らを捕まえて、このガスをなんとかしようぜ。 |
ラッセル | あ、ああ……。 |
マークス | おい、待てよ! くそ……なんなんだ、あいつは! |
ジョージ | ふぁーあ……よく寝た~! |
---|---|
十手 | む……ここは、士官学校? あれ、俺たちは森の中にいたはずじゃ……? |
ライク・ツー | お前ら、マジで呑気だな……。 |
主人公 | 【みんな無事でよかった】 |
マークス | …………。 |
十手 | ああ、ライク・ツー君! ここにいるってことは、やっぱり……? |
ジョージ | ほらな、マークス! いきなり戦わなくてよかっただろー!? |
マークス | …………。 ああ……。 |
ラッセル | おお、よかった! 2人とも気がついたんだな。 |
ラッセル | いやぁ……君たち、お手柄だったぞ! あの廃墟はやはり、トルレ・シャフの施設だった。 |
ラッセル | 催眠ガス、催涙ガスに、殺傷能力がある有毒なガス…… 様々なガスの研究と製造が行われていてね。 |
ラッセル | おまけに、明日、とある街で開かれるコンサートに 連合軍の高官が出席する予定だったんだが……。 |
ラッセル | そこを狙って、毒ガスでの大規模攻撃を 計画していたことも判明した。 それを阻止できたことは、勲章ものだ! |
ライク・ツー | ……だってよ。 キャンプまがいの野営訓練のはずが、上々じゃねぇか。 |
十手 | しかし……ライク・ツー君。 なんでマークス君を撃つようなことになったんだい? |
ラッセル | なっ、撃つ……!? |
ライク・ツー | ……マークスが余計なことしなきゃ、 あんな手荒な三文芝居する必要なかったんだぜ? |
ライク・ツー | 俺が、世界帝軍にいたUL85A2のふりをして、 あいつらから情報を引き出したあとで 〇〇を連れて脱出して── |
ライク・ツー | 俺たちがあいつらの相手をしてるうちに、 マークスがあの施設から出て ラッセルに連絡してくれればそれがベストだった。 |
ライク・ツー | けど、お前が空気読まねぇで暴れるから、 追加の即興劇が必要になったんだろうが。 |
マークス | ……っ! |
ライク・ツー | つーかお前も〇〇も、 俺がなんでライク・ツー──世界帝軍にいた UL85A2と同じ名前を名乗ってるか忘れたのかよ。 |
ラッセル | 君の方はどうする? UL85A2は、先の革命戦争中には、 「ライク・ツー」と呼ばれていたそうだが……。 |
---|---|
ラッセル | 世界帝軍の貴銃士と同じというのは、さすがに縁起が悪い。 別の名前に変えた方がいいな。 |
ライク・ツー | ……いや。 そのままの方が、都合がいい。 |
ライク・ツー | トルレ・シャフってのは世界帝派の組織なんだろ? 俺の名前を──「ライク・ツー」の名前を聞いて、 向こうから接触してくるかもしれない。 |
ライク・ツー | まあ、ノコノコやってきたところを、 ボッコボコにしてやるけどな。 |
ライク・ツー | 向こうから寄ってきたわけじゃねぇけど、 あの時の宣言通り、ボッコボコにしてやったってわけ。 |
---|---|
十手 | ああ……やっぱりそういうことだったんだな。 君が裏切るわけないと思っていたよ。 |
ジョージ | うんうん! マークスが撃たれたって聞いた時は マジでヒヤッとしたけど、結果オーライでよかったぜ! |
マークス | …………。 |
ジョージ | おーい、マークス? そんなに落ち込むなよ。 おまえも災難だったと思うぜ……! |
ジョージ | 敵のアジトに入り込んじまって、 〇〇を守るために必死だったんだろ? |
ジョージ | ライク・ツーとはケンカばっかりだし、 いきなり始まったぶっつけ本番の即興芝居で 以心伝心☆ってわけにもいかないよな~。 |
十手 | ライク・ツー君、もう少しわかりやすく ヒントを出したらよかったんじゃないかい? |
ライク・ツー | コイツが器用に芝居できると思うか? 敵を欺くには味方から、ってやつだ。 |
十手 | それもそうだが…… 撃ったことはちゃんと謝るのが筋ってもんだぞ。 |
ライク・ツー | うっぜ……。 |
マークス | …………。 |
──数日後。
ライク・ツー | ふぅ……今日もいい汗かいた。 |
---|---|
マークス | ……おい、ライク・ツー。 |
ライク・ツー | マークスか。 なんだよ、待ち伏せなんかして。 俺になんか用か? |
マークス | ……あんたに、提案がある。 |
ライク・ツー | 提案? |
マークス | ……あんたのやり方には、同意できない部分も多い。 だが、あんたの機転のおかげで、あの研究所から マスターを逃がすことができた……んだと思う。 |
マークス | 俺を撃ったのはムカつくが……あいつらを信用させて、 マスターに危害を加えさせないための芝居だったなら、 それも……まあいい。 |
ライク・ツー | ……撃った俺が言うのもなんだけど、 お前のマスター第一ぶりは本物だな……。 |
ライク・ツー | それで? |
マークス | マスターは、俺とあんたが協力することを望んでる。 そして、俺なりに色々と考えてみた。 |
マークス | あんたはアサルトライフル、俺は狙撃銃だ。 アウトレイジャー戦では、通常の狙撃は意味がない。 実銃での応戦なら、連射できるあんたの力が頼りだ。 |
マークス | だから、あんたが絶対非道を使わずに敵を追い込む。 そこを俺が最小限の絶対非道で倒す……。 そうすれば、マスターの負担を少なくして勝利できる。 |
マークス | 俺たちは、そういう風に手を組むべきじゃないか? |
ライク・ツー | なるほどな……。 |
ライク・ツー | その考え自体は悪くねぇ。 だが……お断りだ。 |
マークス | ……っ、なぜだ! どうしてあんたはマスターを苦しめようとする! |
ライク・ツー | 別に、〇〇を苦しませたいわけじゃねぇ。 問題はお前だ。 お前は……いつも迷ってるだろ。 |
マークス | 迷って……? |
ライク・ツー | マスターを守るために、マスターを傷つける。 そのやり方に、常に葛藤してる。 |
マークス | ……当たり前だろ。 俺はマスターを傷つけたくない。 だが……! |
ライク・ツー | それが原因だっつってんだよ。 戦場では一瞬の迷いが命取りになる。 |
ライク・ツー | その無駄な葛藤を捨てない限り、 お前が提案してきたやり方は成立しねぇんだよ。 |
マークス | な……! ふざけるなよ! お前が協力すれば、マスターの負担を減らしつつ勝てるんだ! |
ライク・ツー | ……はぁ。 |
マークス | やっぱりあんたはマスターのことを大事にしてない! クソッ……お前なんかを頼ろうとした俺が間違ってた! |
ライク・ツー | あっそ。 じゃあこの話は終わりだな。 |
ライク・ツー | 俺に頼るな、他人に期待すんな、 ──それが戦場で生き残るための道だ。 |
マークス | マスター……ごめん……。 |
マークス | 手を取り合ってほしいって言われたのに…… その願いだけは、叶えられそうにない……。 |
ライク・ツー | ……これでいい。 信じるな、期待するな、甘ったれんな。 |
---|---|
ライク・ツー | だって、そうしねぇと、また──。 |
??? | ってぇな……。 |
---|---|
??? | お兄ちゃ── |
ライク・ツー | (……勝利を掴むためには、なれ合いなんて必要ない。 信じられるのは、自分の力だけ。それでいい) |
---|---|
ライク・ツー | (誰かを頼りにしてたら、駄目になる。 甘えの先にあるのは、敗北の景色だけだから──) |
ライク・ツー | ……おい、マークス。余計なことすんな。 |
---|---|
マークス | 余計……? 何がだ。 |
ライク・ツー | 〇〇は子守りが必要なガキじゃねぇ。 士官候補生だ。 |
ライク・ツー | 自分の荷物も持てねぇようなヤワな訓練してねぇだろ。 甘やかすんじゃねぇよ。 これくらいでへばるようなら置いていく。 |
マークス | ……なんだと? |
ライク・ツー | お前は〇〇を無駄に甘やかして、 この程度の荷物も運べねぇ雑魚にする気らしいからな。 俺が迷惑するからやめろって言ってんだよ。 |
ライク・ツー | ……はっ、ほら見ろ。 一番役に立ってねぇのはお前じゃねーか、マークス。 |
---|---|
マークス | くっ……! |
ジョージ | ライク・ツーのおかげで、 デザートには困らなそうだなっ! |
マークス | …………。 マスターが腹を空かせないように役立ったことは…… まぁ……認めてやる。 |
ライク・ツー | それが認めるって顔かよ。……つーか、 お前に認められる必要なんてねーんだけど? |
マークス&ライク・ツー | ……フン! |
マークス | ジョージたちが近くにいるんだ。 あんたの銃で応戦しながら戻って合流するべきだ! |
---|---|
ライク・ツー | はぁ? んなこと言ってる場合か? この場で絶対非道でケリをつける。 わざわざ逃げ戻る必要なんかねぇ。 |
マークス | いや、必要だ。 あの力を使えばマスターが傷つく。 せめて、すぐに治療できるように── |
ライク・ツー | おい、甘ったれてんなよ! 戦ってれば誰だって無傷じゃいられない。 〇〇だって当然、そんなこと覚悟してる。 |
ライク・ツー | てめぇの勝手でウジウジしてんじゃねーよ! |
マークス | ……ッ、くそっ……! すまない、マスター。 |
マークス | ……絶対非道! |
マークス | てめぇ……何、を……。 |
---|---|
ライク・ツー | とっとと失せろ。 ──あの世で仲間によろしくな。 |
マークス | マスター、わかってるだろ。 あいつは俺たちを裏切ってたんだ! |
---|---|
マークス | あいつこそ、トルレ・シャフの スパイだったってことだろ! 何か隠してるって、俺はずっと思ってたんだ! |
マークス | クソッ、俺はなんでいつもこうなんだ……! マスターを守りたいのに、傷つけてばかりで……。 |
マークス | マスターは、優しい。 そういうところも大好きだ。 だけど……時々無性に、自分が情けなくなる……。 |
ライク・ツー | 問題はお前だ。 お前は……いつも迷ってるだろ。 |
---|---|
マークス | 迷って……? |
ライク・ツー | マスターを守るために、マスターを傷つける。 そのやり方に、常に葛藤してる。 |
マークス | ……当たり前だろ。 俺はマスターを傷つけたくない。 だが……! |
ライク・ツー | それが原因だっつってんだよ。 戦場では一瞬の迷いが命取りになる。 |
ライク・ツー | その無駄な葛藤を捨てない限り、 お前が提案してきたやり方は成立しねぇんだよ。 |
ライク・ツー | 俺に頼るな、他人に期待すんな、 ──それが戦場で生き残るための道だ。 |
ライク・ツー | 届かないままでいい。 |
---|---|
ライク・ツー | ……それでいいんだ。 それが、いいんだ。 |
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