シャルルヴィル | とっ……!? |
---|
一瞬叫びかけたシャルルヴィルは、ぐっとこらえて、
オペラに紛れるよう小声でささやいた。
シャルルヴィル | ……盗聴!? |
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カールはシャルルヴィルの言葉に頷く。
カール | この『ドン・ジョヴァンニ』は大変な色男が主人公でね一。 前年に作曲された『フィガロの結婚』と同じく、 脚本は─── |
---|---|
シャルルヴィル | あ、えっと……『フィガロの結婚』ならパリで聴いたよ。 すっごく華やかで素敵だったな〜! |
オペラについて語るカールに、シャルルヴィルが相槌を打つ。
それと並行して、筆談が続けられる。
カール | 『〇〇。 実は、君については全部恭遠から聞いている。 僕と恭遠は、レジスタンスのよしみで繋がっているからね』 |
---|---|
マークス | 『それより、盗聴ってなんだ? 誰が聞いている』 |
カール | 『おそらく、オーストリア政府の誰かだろう』 |
主人公 | 【『一体なんのためにですか?』】 |
カール | 『理由はわからない。だからそれを知りたいんだ。 僕は、君がキーパーソンだと思う』 |
カール | 『さっき君に、アリノミウム結晶を見せたね。 僕は、今世界中に出回っているあれは、 君が触れた結晶とは別種偽物なのではないかと考えている』 |
主人公 | 【『『結晶に、本物と偽物があると……?』】 |
カール | 『そうだ。君が触れた結晶こそが希少な本物で、 世界各地で有象無象のマスターを生み出しているのが偽物。 さっき君と話して、僕の考えはほとんど確信に変わった』 |
〇〇は先程見せられた結晶を思い出す。
確かに自分が触れたものとは何かが違うような気もするけれど、
形も、見た時間帯も状況も違うので、やはりわからない。
マークス | ……誰か来る。 |
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ローレンツがメモをポケットに隠した次の瞬間、
部屋のドアがノックされた。
上級使用人 | 失礼いたします。 音楽が聞こえましたが……カール様! 皆様までこちらに……!? |
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カール | 下は大変な騒ぎだったし、 君たちは逃げ惑うのに忙しそうだったからねー。 客人を部屋に招いて、音楽鑑賞をしていたのさ。 |
上級使用人 | もっ、申し訳ございません……! |
カール | なに、気にするな。 負傷者は出ていないかね? |
上級使用人 | は、はい……。 |
上級使用人 | 騒動のために遅れてしまっておりますが、 ディナーの用意を進めております。 今しばらくお待ちください。 |
カール | そうか。 ……〇〇たちは、今晩ここに滞在するのだったね。 |
上級使用人 | いえ、市内のホテルへ───。 |
カール | せっかくならば、宮殿に宿泊する方が面白いだろう? 僕が許す。滞在場所は変更だ。 それから、ディナーも彼らと一緒で頼むよ。 |
上級使用人 | …………。 ……かしこまりました。 |
カール | 諸君、ヴァイスブルク宮殿のシェフが作る料理は絶品だぞ。 特に肉料理を期待していたまえ。 |
マークス | 肉……! |
シャルルヴィル | ディナーってことは、当然スイーツもあるよね? ボクはそっちも楽しみだな〜♪ |
カール | スイーツもなかなかのものだよー。 他に食べたい物があれば、好きにリクエストするといい。 |
シャルルヴィル | やった〜! |
上級使用人 | コホン。 それでは……お客様方を客室へご案内いたします。 |
カール | ではな。 ディナーの席でまた会おう。 |
カール | シェフ自慢のオーストリア料理だ、 心ゆくまで味わってくれたまえ。 |
---|---|
主人公 | 【自分たちだけですか?】 【ザラさんは……?】 |
カール | ああ、ザラのことなら気にしなくていい。 彼はもともとこの宮殿にはほとんどいないし、 今日も招いていないからね。 |
カール | さあ、肉が冷えてしまわないうちに食すとしよう! |
マークス | ……っ!? なんだ、この肉は……! 分厚いのに柔らかいぞ……! マスター、早くこの肉を食べてみてくれ……! |
主人公 | 【……Fantastic!】 【……美味しいっ!】 |
シャルルヴィル | 本当だ……美味しいっ! 繊細なのに濃厚で、お肉自体が極上の味って感じだね。 それを邪魔せず引き立てるソースも絶妙……! |
シャルルヴィル | これは、デセールも楽しみだなぁ〜。 給仕の人から聞いたんだけど、リンツァートルテが出るんだって。 本場の味、わくわくするよ♪ |
カール | おかわりが必要なら、遠慮なく言うといい。 僕だけでなく客人も満足できる量を用意しているはずだからね。 |
カール | さて、僕は2枚目のステーキをいただくとしよう。 もぐもぐ……うむ、うまい! |
カール | くかー……。 |
シャルルヴィル | え……? 食べながら寝ちゃった!? |
カール | はっ! ……うまい! これはロースか。 バランスが取れていて、美しさすら感じる味わいだ。 |
カール | ……ぐぅ。 |
シャルルヴィル | また寝ちゃった……。 |
マークス | 寝たり食ったり、器用な奴だな……。 |
カール | はっ! また寝てしまっていたか。 やれやれ、この睡魔にはさすがの僕も参ってしまうよ。 はっはっは。 |
カール | はむ、もぐ……すぅ。 |
マークス | ……おい、起きろ。 マスターの安全のために、聞きたいことがある。 |
カール | む……? なんだい。 |
マークス | 昼間、いきなり現れて暴れてた奴はなんだ。 耳がついた妙な服を着て、絶対非道を使っていた。 現代銃の貴銃士だろう。 |
シャルルヴィル | ボクたちが部屋に戻ったあと、あの使用人さんが、 「連合軍には政府から報告を入れるから他言無用です」って ものすごーく念を押してきたんだけど……。 |
シャルルヴィル | 彼も、オーストリアの貴銃士なの? たしか……ベルガーって呼んでたっけ。 |
ローレンツ | 見られたからには、 下手に隠すより、ある程度明かした方がいいだろう。 |
上級使用人 | ……ローレンツ様。 |
ローレンツ | おや、何か問題が? 連合軍に報告するのであれば、 彼らに多少情報を開示しても問題ないと認識しているのだが。 |
上級使用人 | ……かしこまりました。 |
ローレンツ | では、要点から。 彼は俺のモルモット───もとい、Mr.ベルガー。 現代銃の貴銃士だ。 |
主人公 | 【ベルガー……】 【……世界帝軍に、同じ名前の貴銃士がいた】 |
ローレンツ | ああ。世界帝が使役した貴銃士のうちの1挺として、 その名を記憶している者は多いだろう。 |
シャルルヴィル | レジスタンスに同名の別銃がいたボクや君と同じで、 同じ種類の違う銃を呼び覚ましたってこと? |
ローレンツ | 今の発言は聞き捨てならないな、Mr.シャルルヴィル。 レジスタンスにいたローレンツ・ライフルは民間製。 お粗末な出来の銃と、官製の優秀な俺と混同しないでくれ。 |
ローレンツ | む、無論……カール様と共に戦い、 英雄の1人に数えられるほどの功績は認めるべきだが……。 官製と民間製のローレンツ・ライフルはもはや別種の銃で─── |
カール | ローレンツ、脱線しているよー。 |
ローレンツ | はっ……! 申し訳ありません、カール様。 |
ローレンツ | ……ゴホン。話を戻そう。 彼は、世界帝府解体後にオーストリアへ返還された個体。 かつて世界帝の銃だった貴銃士だ。 |
主人公 | 【……!?】 |
マークス | なんだと……!? |
シャルルヴィル | ちょっと待ってよ……! なんでそんな銃がまた貴銃士になってるの? 暴れてたし、全然改心してなさそうだったし……! |
マークス | オーストリアの奴らは何を考えてるんだ……!? それに、そんな奴をマスターの前に出すな。 マスターの両親は───! |
カール | 〇〇の生い立ちについては知っているよ。 世界中には数え切れないほど、世界帝の貴銃士へ複雑な思いや 憎悪すらも抱いている人間がいることだろう。 |
カール | だが……いや、だからこそと言うべきかな。 彼には役に立ってもらおうと思ってねー。 |
ローレンツ | そう……彼は、崇高な目的のために、 主を変えて再び召銃されたのだ。 |
ローレンツ | 我々貴銃士が持つ奇跡の力、絶対高貴および それと対をなす絶対非道の力について解明するための 重要な研究パートナーとしてな。 |
ローレンツ | ラットにしては大きいのでね。 親しみを込めてモルモット1号と呼んでいる。 |
シャルルヴィル | し、親しみ……。 |
〇〇は、ベルガーの姿を思い返す。
枷や鎖などがつけられた手足や、ひび割れて血がにじむ爪。
いきなり攻撃を仕掛けようとするなど、
常軌を逸した行動もあったものの、
白いネズミのことを心底大事にしている様子もあった。
主人公 | 【非人道的な扱いはやめるべきだと思う】 【いくら元世界帝の銃でも虐待はだめだ】 |
---|---|
ローレンツ | 言っただろう、彼は重要な研究パートナーだと。 彼に施すことは、俺も共に─── |
政府職員 | ……ゴホンッ。 ローレンツ様、お話はそこまでに。 |
カール | 質疑応答の時間は終了のようだ。 ベルガーについては、また機会があれば話してやるといい。 |
カール | ……ぐぅ。 |
マークス | また寝たぞ……。 |
食事を終えてしばらくすると、
給仕係がカールのもとにやってきた。
給仕係 | カール様。 本日のおやすみのチョコレートはいかがなさいますか? |
---|---|
カール | そうだねー……。 ピスタチオとオレンジにしよう。 |
給仕係 | かしこまりました。 |
マークス | あんた、まだ食うのか? 夜中に甘いものを食うと、ジョージみたいに歯が痛くなるぞ。 |
カール | はっはっは。なに、ちゃんと歯磨きはする。 チョコレートには睡眠の質を向上させる効果があるそうでね、 夢見がよくなるように、毎日入眠前に何粒か口にするのさ。 |
カール | それに、これを食べないと悪夢を見る。 まあ、これがあっても悪夢を見るのだがねー。 はっはっは。 |
マークス | それは、意味があるのか……? 単にあんたが、チョコレートが好きなだけだろう。 |
カール | うむ、そうとも言える。 毎日食べても飽きない、多種多様な最上級の嗜好品だ。 君たちも食べるかい? |
マークス | いや、俺はいい。 ぐっすり眠ってしまったら、マスターの護衛ができない。 |
シャルルヴィル | ポクはもらっちゃおうかな。 でも、寝る前に甘いものって、太りそう……。 |
給仕係 | でしたら、高カカオのものはいかがでしょうか? カカオ75%のもののご用意がございます。 |
シャルルヴィル | あっ、それならいいね♪ Merci! いただくよ。 |
カール | ……すぴー……。 |
ローレンツ | ナイト・チョコレートを待たずして眠ってしまわれた……。 カール様は、俺がお部屋へとお運びしよう。 |
ローレンツ | カール様の健やかな睡眠環境を整えたら、 モルモット1号の様子を見に行くとするか。 |
ローレンツ | 明日は宮殿内を案内しよう。 では諸君、よい夢を。 |
───その後〇〇たちは、
ヴァイスブルク宮殿の別棟にある客室へと戻った。
使用人 | 警備上の都合により、 夜9時から早朝5時までの間、各棟の出入り口は封鎖されます。 警備兵がおりますが、締め出されぬよう何卒お気をつけください。 |
---|---|
使用人 | それでは、ごゆっくりお休みくださいませ。 |
シャルルヴィル | ふぅ、なんだか疲れたね……。 って、マークス? 何してるの……? |
マークス | くんくんくん……。 |
主人公 | 【どうした?】 【気になる匂いでも?】 |
マークス | ああ……あった、これだ。 |
シャルルヴィル | ……? 何それ。 |
主人公 | 【……!】 |
〇〇は、立てた人差し指を口元に当てて
静かにするようジェスチャーをし、筆談で『盗聴器』と伝えた。
窓を開けたマークスが、盗聴器を外へ投げ捨てる。
シャルルヴィル | マークスって、たまに銃じゃなくて 犬なのかなって思う時があるよね……。 |
---|---|
マークス | 何を言っている。 俺は犬じゃない、マスターの銃だ。 |
マークス | それはそうと、俺はこんな場所に残るのは反対だ。 なあ、マスター。 本当に式に出ないと駄目なのか? |
主人公 | 【ここまで来て不参加というわけにはいかない】 →シャルルヴィル「うーん、そうだよね……。 なんでいきなり帰ったんだって、不審がられちゃいそうだし。」 【士官学校にはまだ戻らない】 →シャルルヴィル「うん……この状況で、何も解決しないまま戻れないよね。」 |
シャルルヴィル | ボクは、カールさんたちと話したいことが、 まだまだたくさんある。 |
シャルルヴィル | カールさんが知っていることと、 〇〇やボクたちの情報を重ね合わせたら…… きっと、重大なことがわかる気がするんだ。 |
シャルルヴィル | (ベスくんが、どうしてあんなことになったのか……。 その理由にも、きっと近づける) |
〇〇は、今日のカールたちとの会話を振り返る。
カール | この世界はおかしなことだらけだ。 アウトレイジャーの出没に、異様に多い例の結晶。 |
---|---|
カール | そして、次々に現れるマスター。 ……こんなことは、本来あり得ないんだ。 |
カール | 『そうだ。君が触れた結晶こそが希少な本物で、 世界各地で有象無象のマスターを生み出しているのが偽物。 さっき君と話して、僕の考えはほとんど確信に変わった』 |
---|
───この世界に生じているという歪み。
なんらかの要因でアウトレイジャー化する貴銃士たち。
そして、アウトレイジャーに殺された、ヴィヴィアン。
カール | 要するに……僕は死刑執行人というわけだ。 誰が言い出したのかは知らないが、 “死神皇帝”とはお似合いの名だね、はは。 |
---|
ローレンツ | ……カール様は近頃、眠りがひどく深くなられた。 俺には何も言ってくださらないのだが……。 |
---|
主人公 | 【彼らを放っておけない】 |
---|---|
主人公 | 【それに、この世界の謎を自分も知りたい】 |
マークス | マスター……。 |
マークス | 俺は……マスターの相棒だからな。 マスターはそう言うだろうって、なんとなくわかってた……。 |
マークス | マスターが危険な目に遭う可能性は、 なるべく減らしたいんだが……。 マスターの望みは、できるだけ叶えたい。 |
マークス | だから、俺が必ずマスターを守る。 |
主人公 | 【頼りにしてる】 【ありがとう、マークス】 |
シャルルヴィル | それじゃあ……明日からも、気をつけて動こうね。 おやすみ、〇〇、マークス。 |
───翌日。
シャルルヴィル | あれ? カールさんは? |
---|---|
ローレンツ | カール様はお加減が優れないため、 大事を取ってお休みになる。 |
ローレンツ | 今日は俺が宮殿の案内をしよう。 ついて来たまえ。 |
ローレンツ | まずは『新緑の間』から。 主に音楽鑑賞のサロンに使用され、 天井画はハイゼンベルクの作だ。見事だろう。 |
---|---|
シャルルヴィル | クレマン様のコレクションもすごかったけれど、 ここもすごいなぁ……。 宮殿全体が美術館みたいだよ。 |
マークス | こんな広いところに住んでるのが、あんたらだけなんだよな。 人が少なすぎて、なんか落ち着かねぇ。 |
シャルルヴィル | 士官学校は毎日賑やかだもんね。 ボクもすっかりあの雰囲気に慣れちゃったから、 静かだと落ち着かない感じ、ちょっとわかるかも。 |
ローレンツ | 様々な貴銃士が集う フィルクレヴァート士官学校貴銃士特別クラス……。 |
ローレンツ | かの恭遠・グランバード氏が教官を務めていることといい、 実に興味深い。 俺も一度行ってみたいものだ。 |
ローレンツ | ……さて、次の場所を案内しよう。 |
ローレンツ | ここは『常春の間』。 レオポルト1世と、皇后マルガリータ・テレサに関連する 美術品などが置かれている場所だ。 |
---|---|
ローレンツ | 皇帝夫妻については、君たちも知っているだろうか。 ハプスブルク家は政略結婚により影響力を広げたが、 夫婦仲は良好という例が多い。 |
ローレンツ | レオポルト1世と皇后マルガリータもその例に漏れない。 2人の結婚式は盛大で、9時間にわたるオペラの上演は、 後世まで語り継がれることとなった。 |
ローレンツ | オペラ『エイシスとガラテア』の衣装をまとった 皇帝夫妻の絵画が残されていることからも、 音楽を愛する仲睦まじい2人の関係が垣間見えるだろう。 |
〇〇がローレンツの解説を聞いているかたわらで、
マークスはショーケースにおさめられた2挺の銃を眺めている。
マークス | この銃は置物なのか? すごく模様が細かい。実用的には見えない。 |
---|---|
ローレンツ | まったく……嘆かわしいな。何を言っている。 彼らは皇帝夫妻の銃であり─── レジスタンスでカール様と共に戦った貴銃士だった銃だ。 |
シャルルヴィル | これが、レオポルトさんとマルガリータさんなんだ……! うわぁ……綺麗な銃……。 どんな貴銃士だったのかなぁ。 |
ローレンツ | レオポルト様は、かつての持ち主と同じく、 オペラを愛する穏やかで気品ある紳士だったと伝えられている。 |
ローレンツ | マルガリータ様は明るく、多くの人に愛されていた。 カール様曰く、『パリピ』だそうだ。 |
マークス | こいつらは召銃されてないんだな。 |
ローレンツ | …………。 |
ローレンツは周囲を素早く確認すると、
ごく小さな声で囁く。
ローレンツ | オーストリア政府からは、召銃を求める声が度々上がっているが、 カール様が反対なさっている。 |
---|---|
ローレンツ | ……当然だ。 今、カール様や俺たちが置かれている状況を考えれば、 彼らを巻き込みたいと思うはずがない。 |
シャルルヴィル | うん……そうだよね。 |
マークス | だが、あんたはカールのあとに召銃されたんだったな。 それは反対しなかったのか? |
ローレンツ | 俺は、彼らとは違って量産銃だ。 まったく条件が違う俺であれば絶対高貴になれるのか、 カール様は知ろうとなさっていた。 |
ローレンツ | それだけでなく、官製の優秀な俺であれば、 絶対高貴や絶対非道について解き明かす一助になると見込み、 俺をお呼びくださったのだ……! |
ローレンツ | …………。 |
マークス | どうした。いきなり黙って。 壊れたのか? |
ローレンツ | ……いや。 本当は、今こそ彼らが必要なのだろう。 |
ローレンツ | 俺は、カール様が自ら選ばれた忠実な臣下で、 尊敬するカール様に、どこまでもついていく。 |
ローレンツ | だが……カール様と並び立ち、 時に先導し、手を引くことはできない。 それは臣下の領分を越えた行為で、カール様も俺も望んでいない。 |
ローレンツ | 正しい……けれど、歯がゆい。 解明しがたい命題だ。 |
主人公 | 【難しい問題だね】 【正解はないのかもしれない】 |
ローレンツ | ……そうだな。 今はただ、少しでもカール様のお役に立てるように励むしかない。 |
ローレンツ | さて、次は俺の研究室を案内しよう。 |
ローレンツに案内され、一行は地下の一室へとやって来た。
書類や謎の機械が所狭しと置かれているが、
その中にとりわけ異様なもの───巨大な檻があった。
マークス | あいつ……! 昨日暴れてた、ベルガーって奴じゃないか! |
---|---|
シャルルヴィル | なんで檻の中に……? |
ベルガー | ぐぅぐぅ……もうコークは飲めねぇ……。 チッ……次の漫画よこせよぅ……ギリギリギリリ……! むにゃぁ……。 |
マークス | 眠ってんのにすげー喋ってるぞ。 ライク・ツーよりひどい。 |
シャルルヴィル | 昨日、マークスも夜中にいきなり 「マスター、すごいぞ!」って叫んでたけど……。 |
シャルルヴィル | って、寝言の話は置いといて……! ここで何してるの? |
主人公 | 【研究室だと言っていたけど……】 【監禁している……?】 |
ローレンツ | いかにも。 ここは俺の城……研究室だ。 |
ローレンツ | ここでは、モルモット1号もといMr. ベルガーの協力のもと、 絶対高貴と絶対非道についての研究を行っている。 |
ローレンツ | 彼は、カール様とも俺とも違う、「現代銃」の「量産銃」。 さらに、「元世界帝軍の銃」でもある希少なサンプルだ。 |
ローレンツ | そして〇〇殿は、古銃と現代銃両方の貴銃士を 絶対高貴もしくは絶対非道に導いたマスター……。 非常に興味深い。改めて、モルモット2号に勧誘させてくれ。 |
マークス | わけのわからないことを言うな! マスターの名前は〇〇で、 モルモット2号なんて変な名前じゃねぇ! |
ローレンツ | ふむ……よく考えてみると、君もまた興味深い。 最初から〇〇殿の貴銃士として呼び覚まされた君と、 モルモット1号の絶対非道には何か違いがあるのか。 |
ローレンツ | ふふっ……なかなか面白い研究テーマになりそうだ。 どうだね。俺の研究の偉大さに触れれば、 君自らモルモット3号にしてくれと懇願するかもしれないぞ。 |
マークス | はぁ? 何を言って……。 |
ローレンツ | さあ、味わってみたまえ! |
マークス | うわ、ちょっ……!? |
止める間もなく、
ローレンツは怪しげな装置をマークスにかぶせた。
ローレンツ | スイッチオン! |
---|---|
マークス | うわぁぁあっ!! |
主人公 | 【マークス!】 【一体何を!】 |
シャルルヴィル | 何するのさ! |
2人がローレンツに詰め寄った直後、
マークスは自力で装置を外して投げ捨てた。
マークス | 何するんだピョン! |
---|---|
主人公 | 【えっ!?】 【マークス……?】 |
マークス | ……っ!? ピョンってなんだピョン!! |
シャルルヴィル | ……っ 、マークス、その口調……。 ふ……っ、ふふっ、あははははっ! |
マークス | 笑うなピョン! |
シャルルヴィル | ごめん……っ、ふふ! 語尾にピョンって……っ、ははっ、あははははっ! |
マークス | チクショウピョン! ピョンって言いたくないのにピョンと言ってしまうピョン!! あんた何をしたピョン……! |
ローレンツ | これは語尾に必ずピョンをつけてしまう装置だ。 モルモット1号は「ピョンピョン」と2回言っていた。 差が出るとは興味深い。 |
シャルルヴィル | 面白いけど、絶対非道とは関係なくない……? |
ローレンツ | これは、俺の理論を証明するためのテスト装置にすぎない。 現在は絶対高貴に向けた、とある大きな実験装置を開発中だ。 完成を楽しみにしているといい! |
ベルガー | うがぁ!!!! |
シャルルヴィル | うわっ!? 本が飛んできた! ねぇ、本当に彼、寝てるの!? |
マークス | どうでもいいから、早く元に戻せピョン!! |
騒動がありながらも1日を過ごし
〇〇たちは部屋へと戻った。
マークス | ……やっと元に戻った。 |
---|---|
シャルルヴィル | ふふっ、ディナーまでに戻ってよかったね。 でも、あのままの口調もおもし……チャーミングだったと思うよ。 ね、〇〇。 |
マークス | うう……マスターがそっちの方がいいと言うのなら…… 俺は……っ! |
マークス | ……マスター? 薔薇の傷が痛むのか? |
〇〇がぼんやりと薔薇の傷を見ているのに気づき、
マークスが様子をうかがう。
主人公 | 【昨日の話について考えていた】 →シャルルヴィル「そっか……うん。いろいろ気になるよね。 考えなしには動けないし、 ボクたちに何ができるんだろう、とか……。」 【自分の薔薇の傷について考えていた】 →シャルルヴィル「薔薇の傷って、不思議だよね。 マスターとしての力の根源だし……。 昨日の話もあるし。」 |
---|---|
マークス | マスターの悩みは撃ち抜いてやりたいが、 なんつーか……ややこしくて、的が何かもよくわかんねぇ感じだ。 |
使用人 | 失礼いたします。 |
使用人 | ディナーの準備が整いましたので、 食堂へご案内いたします。 |
シャルルヴィル | あ、もうそんな時間? 今日のメニューはなんだろうな〜。 |
マークス | またあの肉がいい。 |
〇〇たちが食堂に入ると、
そこには既にカールとローレンツの姿があった。
シャルルヴィル | あっ、カールさん! もう体調は大丈夫なの? |
---|---|
カール | ……ん? ああ……そうだね……。 昼食も食べないうちにディナーか。 |
上級使用人 | カール様、昼食はお部屋にて召し上がっておられました。 |
カール | そうだったか……? まぁ、いい……目の前の肉……肉があれば……うん……。 |
マークス | ……マスター。 あいつ、様子がずいぶんおかしくないか? |
シャルルヴィル | 大丈夫かな……。すごく眠いみたい。 |
主人公 | 【(気になるけど……)】 【(この場では不用意なことは言えない)】 |
政府職員や使用人の耳目があるため、
カールとは当たり障りのない話しかできない。
なんとも言えない空気の中、ディナーが始まった。
政府職員 | 本日は宮殿見学をされたと伺いましたので、 明日はウィーン市街地の観光を手配しております。 |
---|---|
政府職員 | シャルルヴィル様はスイーツがお好きだと伺いました。 代表的な名店の席をご用意しておりますので、お楽しみください。 |
シャルルヴィル | Merci♪ 楽しみだなぁ。 カールさんとローレンツさんは? |
ローレンツ | 俺は用事がある。楽しんでくるといい。 カール様は……お休みになるだろうか。 |
政府職員 | その方がよろしいかと。 |
給仕係 | カール様。 本日のおやすみのチョコレートはいかがしましょう? |
カール | ああ、ヒレ肉の……いや、違う。 肉はもう食べ終わった。チョコ……ナイトチョコレート……。 ……アプリコットと、ヘーゼルナッツにしよう。 |
給仕係 | かしこまりました。 |
政府職員 | ……カール様はやはり体調が芳しくないようですね。 君、カール様をお部屋へ。 |
上級使用人 | はい。 |
ローレンツ | いや、俺がお連れする。 君たち、失礼するよ。 |
シャルルヴィル | えっと、おやすみなさい……。 |
ほとんど会話もできないまま、
カールとローレンツは食堂を去ってしまった。
夕食後、部屋に戻ったあるたちは、
ローレンツの助言に従い念のため音楽を流しながら、
小声で会話をする。
シャルルヴィル | カールさん、大丈夫かな……。 |
---|---|
主人公 | 【もう1度ちゃんと話したいのに】 【このままだと話すチャンスがない】 |
マークス | この宮殿の奴らも、オーストリアの政府の奴らも、 俺たちとカールを関わらせたくないみたいだ。 |
マークス | マスターの望みを叶えるには…… こっそり、あいつの部屋に忍び込むのがいいんじゃないか? |
シャルルヴィル | そんな……って言いたいところだけど、 今回はボクも賛成かな。 そうでもしないと話せない気がするよ。 |
マークス | 21時に各棟の出入り口が封鎖されるって言ってたな。 それじゃあ……。 |
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