オーストリア編:第11話~第15話

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第11話:アリノミウム結晶

シャルルヴィルとっ……!?

一瞬叫びかけたシャルルヴィルは、ぐっとこらえて、
オペラに紛れるよう小声でささやいた。

シャルルヴィル……盗聴!?

カールはシャルルヴィルの言葉に頷く。

カールこの『ドン・ジョヴァンニ』は大変な色男が主人公でね一。
前年に作曲された『フィガロの結婚』と同じく、
脚本は───
シャルルヴィルあ、えっと……『フィガロの結婚』ならパリで聴いたよ。
すっごく華やかで素敵だったな〜!

オペラについて語るカールに、シャルルヴィルが相槌を打つ。
それと並行して、筆談が続けられる。

カール『〇〇。
実は、君については全部恭遠から聞いている。
僕と恭遠は、レジスタンスのよしみで繋がっているからね』
マークス『それより、盗聴ってなんだ? 誰が聞いている』
カール『おそらく、オーストリア政府の誰かだろう』
主人公【『一体なんのためにですか?』】
カール『理由はわからない。だからそれを知りたいんだ。
僕は、君がキーパーソンだと思う』
カール『さっき君に、アリノミウム結晶を見せたね。
僕は、今世界中に出回っているあれは、
君が触れた結晶とは別種偽物なのではないかと考えている』
主人公【『『結晶に、本物と偽物があると……?』】
カール『そうだ。君が触れた結晶こそが希少な本物で、
世界各地で有象無象のマスターを生み出しているのが偽物。
さっき君と話して、僕の考えはほとんど確信に変わった』

〇〇は先程見せられた結晶を思い出す。
確かに自分が触れたものとは何かが違うような気もするけれど、
形も、見た時間帯も状況も違うので、やはりわからない。

マークス……誰か来る。

ローレンツがメモをポケットに隠した次の瞬間、
部屋のドアがノックされた。

上級使用人失礼いたします。
音楽が聞こえましたが……カール様!
皆様までこちらに……!?
カール下は大変な騒ぎだったし、
君たちは逃げ惑うのに忙しそうだったからねー。
客人を部屋に招いて、音楽鑑賞をしていたのさ。
上級使用人もっ、申し訳ございません……!
カールなに、気にするな。
負傷者は出ていないかね?
上級使用人は、はい……。
上級使用人騒動のために遅れてしまっておりますが、
ディナーの用意を進めております。
今しばらくお待ちください。
カールそうか。
……〇〇たちは、今晩ここに滞在するのだったね。
上級使用人いえ、市内のホテルへ───。
カールせっかくならば、宮殿に宿泊する方が面白いだろう?
僕が許す。滞在場所は変更だ。
それから、ディナーも彼らと一緒で頼むよ。
上級使用人…………。
……かしこまりました。
カール諸君、ヴァイスブルク宮殿のシェフが作る料理は絶品だぞ。
特に肉料理を期待していたまえ。
マークス肉……!
シャルルヴィルディナーってことは、当然スイーツもあるよね?
ボクはそっちも楽しみだな〜♪
カールスイーツもなかなかのものだよー。
他に食べたい物があれば、好きにリクエストするといい。
シャルルヴィルやった〜!
上級使用人コホン。
それでは……お客様方を客室へご案内いたします。
カールではな。
ディナーの席でまた会おう。

第12話:晩餐会

カールシェフ自慢のオーストリア料理だ、
心ゆくまで味わってくれたまえ。
主人公【自分たちだけですか?】
【ザラさんは……?】
カールああ、ザラのことなら気にしなくていい。
彼はもともとこの宮殿にはほとんどいないし、
今日も招いていないからね。
カールさあ、肉が冷えてしまわないうちに食すとしよう!
マークス……っ!? なんだ、この肉は……!
分厚いのに柔らかいぞ……!
マスター、早くこの肉を食べてみてくれ……!
主人公【……Fantastic!】
【……美味しいっ!】
シャルルヴィル本当だ……美味しいっ!
繊細なのに濃厚で、お肉自体が極上の味って感じだね。
それを邪魔せず引き立てるソースも絶妙……!
シャルルヴィルこれは、デセールも楽しみだなぁ〜。
給仕の人から聞いたんだけど、リンツァートルテが出るんだって。
本場の味、わくわくするよ♪
カールおかわりが必要なら、遠慮なく言うといい。
僕だけでなく客人も満足できる量を用意しているはずだからね。
カールさて、僕は2枚目のステーキをいただくとしよう。
もぐもぐ……うむ、うまい!
カールくかー……。
シャルルヴィルえ……?
食べながら寝ちゃった!?
カールはっ!
……うまい! これはロースか。
バランスが取れていて、美しさすら感じる味わいだ。
カール……ぐぅ。
シャルルヴィルまた寝ちゃった……。
マークス寝たり食ったり、器用な奴だな……。
カールはっ! また寝てしまっていたか。
やれやれ、この睡魔にはさすがの僕も参ってしまうよ。
はっはっは。
カールはむ、もぐ……すぅ。
マークス……おい、起きろ。
マスターの安全のために、聞きたいことがある。
カールむ……? なんだい。
マークス昼間、いきなり現れて暴れてた奴はなんだ。
耳がついた妙な服を着て、絶対非道を使っていた。
現代銃の貴銃士だろう。
シャルルヴィルボクたちが部屋に戻ったあと、あの使用人さんが、
「連合軍には政府から報告を入れるから他言無用です」って
ものすごーく念を押してきたんだけど……。
シャルルヴィル彼も、オーストリアの貴銃士なの?
たしか……ベルガーって呼んでたっけ。
ローレンツ見られたからには、
下手に隠すより、ある程度明かした方がいいだろう。
上級使用人……ローレンツ様。
ローレンツおや、何か問題が?
連合軍に報告するのであれば、
彼らに多少情報を開示しても問題ないと認識しているのだが。
上級使用人……かしこまりました。
ローレンツでは、要点から。
彼は俺のモルモット───もとい、Mr.ベルガー。
現代銃の貴銃士だ。
主人公【ベルガー……】
【……世界帝軍に、同じ名前の貴銃士がいた】
ローレンツああ。世界帝が使役した貴銃士のうちの1挺として、
その名を記憶している者は多いだろう。
シャルルヴィルレジスタンスに同名の別銃がいたボクや君と同じで、
同じ種類の違う銃を呼び覚ましたってこと?
ローレンツ今の発言は聞き捨てならないな、Mr.シャルルヴィル。
レジスタンスにいたローレンツ・ライフルは民間製。
お粗末な出来の銃と、官製の優秀な俺と混同しないでくれ。
ローレンツむ、無論……カール様と共に戦い、
英雄の1人に数えられるほどの功績は認めるべきだが……。
官製と民間製のローレンツ・ライフルはもはや別種の銃で───
カールローレンツ、脱線しているよー。
ローレンツはっ……! 申し訳ありません、カール様。
ローレンツ……ゴホン。話を戻そう。
彼は、世界帝府解体後にオーストリアへ返還された個体。
かつて世界帝の銃だった貴銃士だ。
主人公【……!?】
マークスなんだと……!?
シャルルヴィルちょっと待ってよ……!
なんでそんな銃がまた貴銃士になってるの?
暴れてたし、全然改心してなさそうだったし……!
マークスオーストリアの奴らは何を考えてるんだ……!?
それに、そんな奴をマスターの前に出すな。
マスターの両親は───!
カール〇〇の生い立ちについては知っているよ。
世界中には数え切れないほど、世界帝の貴銃士へ複雑な思いや
憎悪すらも抱いている人間がいることだろう。
カールだが……いや、だからこそと言うべきかな。
彼には役に立ってもらおうと思ってねー。
ローレンツそう……彼は、崇高な目的のために、
主を変えて再び召銃されたのだ。
ローレンツ我々貴銃士が持つ奇跡の力、絶対高貴および
それと対をなす絶対非道の力について解明するための
重要な研究パートナーとしてな。
ローレンツラットにしては大きいのでね。
親しみを込めてモルモット1号と呼んでいる。
シャルルヴィルし、親しみ……。

〇〇は、ベルガーの姿を思い返す。
枷や鎖などがつけられた手足や、ひび割れて血がにじむ爪。

いきなり攻撃を仕掛けようとするなど、
常軌を逸した行動もあったものの、
白いネズミのことを心底大事にしている様子もあった。

主人公【非人道的な扱いはやめるべきだと思う】
【いくら元世界帝の銃でも虐待はだめだ】
ローレンツ言っただろう、彼は重要な研究パートナーだと。
彼に施すことは、俺も共に───
政府職員……ゴホンッ。
ローレンツ様、お話はそこまでに。
カール質疑応答の時間は終了のようだ。
ベルガーについては、また機会があれば話してやるといい。
カール……ぐぅ。
マークスまた寝たぞ……。

第13話:ナイト・チョコレート

食事を終えてしばらくすると、
給仕係がカールのもとにやってきた。

給仕係カール様。
本日のおやすみのチョコレートはいかがなさいますか?
カールそうだねー……。
ピスタチオとオレンジにしよう。
給仕係かしこまりました。
マークスあんた、まだ食うのか?
夜中に甘いものを食うと、ジョージみたいに歯が痛くなるぞ。
カールはっはっは。なに、ちゃんと歯磨きはする。
チョコレートには睡眠の質を向上させる効果があるそうでね、
夢見がよくなるように、毎日入眠前に何粒か口にするのさ。
カールそれに、これを食べないと悪夢を見る。
まあ、これがあっても悪夢を見るのだがねー。
はっはっは。
マークスそれは、意味があるのか……?
単にあんたが、チョコレートが好きなだけだろう。
カールうむ、そうとも言える。
毎日食べても飽きない、多種多様な最上級の嗜好品だ。
君たちも食べるかい?
マークスいや、俺はいい。
ぐっすり眠ってしまったら、マスターの護衛ができない。
シャルルヴィルポクはもらっちゃおうかな。
でも、寝る前に甘いものって、太りそう……。
給仕係でしたら、高カカオのものはいかがでしょうか?
カカオ75%のもののご用意がございます。
シャルルヴィルあっ、それならいいね♪
Merci! いただくよ。
カール……すぴー……。
ローレンツナイト・チョコレートを待たずして眠ってしまわれた……。
カール様は、俺がお部屋へとお運びしよう。
ローレンツカール様の健やかな睡眠環境を整えたら、
モルモット1号の様子を見に行くとするか。
ローレンツ明日は宮殿内を案内しよう。
では諸君、よい夢を。

───その後〇〇たちは、
ヴァイスブルク宮殿の別棟にある客室へと戻った。

使用人警備上の都合により、
夜9時から早朝5時までの間、各棟の出入り口は封鎖されます。
警備兵がおりますが、締め出されぬよう何卒お気をつけください。
使用人それでは、ごゆっくりお休みくださいませ。
シャルルヴィルふぅ、なんだか疲れたね……。
って、マークス? 何してるの……?
マークスくんくんくん……。
主人公【どうした?】
【気になる匂いでも?】
マークスああ……あった、これだ。
シャルルヴィル……? 何それ。
主人公【……!】

〇〇は、立てた人差し指を口元に当てて
静かにするようジェスチャーをし、筆談で『盗聴器』と伝えた。
窓を開けたマークスが、盗聴器を外へ投げ捨てる。

シャルルヴィルマークスって、たまに銃じゃなくて
犬なのかなって思う時があるよね……。
マークス何を言っている。
俺は犬じゃない、マスターの銃だ。
マークスそれはそうと、俺はこんな場所に残るのは反対だ。
なあ、マスター。
本当に式に出ないと駄目なのか?
主人公【ここまで来て不参加というわけにはいかない】
→シャルルヴィル「うーん、そうだよね……。
なんでいきなり帰ったんだって、不審がられちゃいそうだし。」

【士官学校にはまだ戻らない】

→シャルルヴィル「うん……この状況で、何も解決しないまま戻れないよね。」
シャルルヴィルボクは、カールさんたちと話したいことが、
まだまだたくさんある。
シャルルヴィルカールさんが知っていることと、
〇〇やボクたちの情報を重ね合わせたら……
きっと、重大なことがわかる気がするんだ。
シャルルヴィル(ベスくんが、どうしてあんなことになったのか……。
その理由にも、きっと近づける)

〇〇は、今日のカールたちとの会話を振り返る。


カールこの世界はおかしなことだらけだ。
アウトレイジャーの出没に、異様に多い例の結晶。
カールそして、次々に現れるマスター。
……こんなことは、本来あり得ないんだ。

カール『そうだ。君が触れた結晶こそが希少な本物で、
世界各地で有象無象のマスターを生み出しているのが偽物。
さっき君と話して、僕の考えはほとんど確信に変わった』

───この世界に生じているという歪み。
なんらかの要因でアウトレイジャー化する貴銃士たち。
そして、アウトレイジャーに殺された、ヴィヴィアン。


カール要するに……僕は死刑執行人というわけだ。
誰が言い出したのかは知らないが、
“死神皇帝”とはお似合いの名だね、はは。

ローレンツ……カール様は近頃、眠りがひどく深くなられた。
俺には何も言ってくださらないのだが……。

主人公【彼らを放っておけない】
主人公【それに、この世界の謎を自分も知りたい】
マークスマスター……。
マークス俺は……マスターの相棒だからな。
マスターはそう言うだろうって、なんとなくわかってた……。
マークスマスターが危険な目に遭う可能性は、
なるべく減らしたいんだが……。
マスターの望みは、できるだけ叶えたい。
マークスだから、俺が必ずマスターを守る。
主人公【頼りにしてる】
【ありがとう、マークス】
シャルルヴィルそれじゃあ……明日からも、気をつけて動こうね。
おやすみ、〇〇、マークス。

 

第14話:ローレンツの研究室

───翌日。

シャルルヴィルあれ? カールさんは?
ローレンツカール様はお加減が優れないため、
大事を取ってお休みになる。
ローレンツ今日は俺が宮殿の案内をしよう。
ついて来たまえ。

ローレンツまずは『新緑の間』から。
主に音楽鑑賞のサロンに使用され、
天井画はハイゼンベルクの作だ。見事だろう。
シャルルヴィルクレマン様のコレクションもすごかったけれど、
ここもすごいなぁ……。
宮殿全体が美術館みたいだよ。
マークスこんな広いところに住んでるのが、あんたらだけなんだよな。
人が少なすぎて、なんか落ち着かねぇ。
シャルルヴィル士官学校は毎日賑やかだもんね。
ボクもすっかりあの雰囲気に慣れちゃったから、
静かだと落ち着かない感じ、ちょっとわかるかも。
ローレンツ様々な貴銃士が集う
フィルクレヴァート士官学校貴銃士特別クラス……。
ローレンツかの恭遠・グランバード氏が教官を務めていることといい、
実に興味深い。
俺も一度行ってみたいものだ。
ローレンツ……さて、次の場所を案内しよう。

ローレンツここは『常春の間』。
レオポルト1世と、皇后マルガリータ・テレサに関連する
美術品などが置かれている場所だ。
ローレンツ皇帝夫妻については、君たちも知っているだろうか。
ハプスブルク家は政略結婚により影響力を広げたが、
夫婦仲は良好という例が多い。
ローレンツレオポルト1世と皇后マルガリータもその例に漏れない。
2人の結婚式は盛大で、9時間にわたるオペラの上演は、
後世まで語り継がれることとなった。
ローレンツオペラ『エイシスとガラテア』の衣装をまとった
皇帝夫妻の絵画が残されていることからも、
音楽を愛する仲睦まじい2人の関係が垣間見えるだろう。

〇〇がローレンツの解説を聞いているかたわらで、
マークスはショーケースにおさめられた2挺の銃を眺めている。

マークスこの銃は置物なのか?
すごく模様が細かい。実用的には見えない。
ローレンツまったく……嘆かわしいな。何を言っている。
彼らは皇帝夫妻の銃であり───
レジスタンスでカール様と共に戦った貴銃士だった銃だ。
シャルルヴィルこれが、レオポルトさんとマルガリータさんなんだ……!
うわぁ……綺麗な銃……。
どんな貴銃士だったのかなぁ。
ローレンツレオポルト様は、かつての持ち主と同じく、
オペラを愛する穏やかで気品ある紳士だったと伝えられている。
ローレンツマルガリータ様は明るく、多くの人に愛されていた。
カール様曰く、『パリピ』だそうだ。
マークスこいつらは召銃されてないんだな。
ローレンツ…………。

ローレンツは周囲を素早く確認すると、
ごく小さな声で囁く。

ローレンツオーストリア政府からは、召銃を求める声が度々上がっているが、
カール様が反対なさっている。
ローレンツ……当然だ。
今、カール様や俺たちが置かれている状況を考えれば、
彼らを巻き込みたいと思うはずがない。
シャルルヴィルうん……そうだよね。
マークスだが、あんたはカールのあとに召銃されたんだったな。
それは反対しなかったのか?
ローレンツ俺は、彼らとは違って量産銃だ。
まったく条件が違う俺であれば絶対高貴になれるのか、
カール様は知ろうとなさっていた。
ローレンツそれだけでなく、官製の優秀な俺であれば、
絶対高貴や絶対非道について解き明かす一助になると見込み、
俺をお呼びくださったのだ……!
ローレンツ…………。
マークスどうした。いきなり黙って。
壊れたのか?
ローレンツ……いや。
本当は、今こそ彼らが必要なのだろう。
ローレンツ俺は、カール様が自ら選ばれた忠実な臣下で、
尊敬するカール様に、どこまでもついていく。
ローレンツだが……カール様と並び立ち、
時に先導し、手を引くことはできない。
それは臣下の領分を越えた行為で、カール様も俺も望んでいない。
ローレンツ正しい……けれど、歯がゆい。
解明しがたい命題だ。
主人公【難しい問題だね】
【正解はないのかもしれない】
ローレンツ……そうだな。
今はただ、少しでもカール様のお役に立てるように励むしかない。
ローレンツさて、次は俺の研究室を案内しよう。

ローレンツに案内され、一行は地下の一室へとやって来た。
書類や謎の機械が所狭しと置かれているが、
その中にとりわけ異様なもの───巨大な檻があった。

マークスあいつ……!
昨日暴れてた、ベルガーって奴じゃないか!
シャルルヴィルなんで檻の中に……?
ベルガーぐぅぐぅ……もうコークは飲めねぇ……。
チッ……次の漫画よこせよぅ……ギリギリギリリ……!
むにゃぁ……。
マークス眠ってんのにすげー喋ってるぞ。
ライク・ツーよりひどい。
シャルルヴィル昨日、マークスも夜中にいきなり
「マスター、すごいぞ!」って叫んでたけど……。
シャルルヴィルって、寝言の話は置いといて……!
ここで何してるの?
主人公【研究室だと言っていたけど……】
【監禁している……?】
ローレンツいかにも。
ここは俺の城……研究室だ。
ローレンツここでは、モルモット1号もといMr. ベルガーの協力のもと、
絶対高貴と絶対非道についての研究を行っている。
ローレンツ彼は、カール様とも俺とも違う、「現代銃」の「量産銃」。
さらに、「元世界帝軍の銃」でもある希少なサンプルだ。
ローレンツそして〇〇殿は、古銃と現代銃両方の貴銃士を
絶対高貴もしくは絶対非道に導いたマスター……。
非常に興味深い。改めて、モルモット2号に勧誘させてくれ。
マークスわけのわからないことを言うな!
マスターの名前は〇〇で、
モルモット2号なんて変な名前じゃねぇ!
ローレンツふむ……よく考えてみると、君もまた興味深い。
最初から〇〇殿の貴銃士として呼び覚まされた君と、
モルモット1号の絶対非道には何か違いがあるのか。
ローレンツふふっ……なかなか面白い研究テーマになりそうだ。
どうだね。俺の研究の偉大さに触れれば、
君自らモルモット3号にしてくれと懇願するかもしれないぞ。
マークスはぁ? 何を言って……。
ローレンツさあ、味わってみたまえ!
マークスうわ、ちょっ……!?

止める間もなく、
ローレンツは怪しげな装置をマークスにかぶせた。

ローレンツスイッチオン!
マークスうわぁぁあっ!!
主人公【マークス!】
【一体何を!】
シャルルヴィル何するのさ!

2人がローレンツに詰め寄った直後、
マークスは自力で装置を外して投げ捨てた。

マークス何するんだピョン!
主人公【えっ!?】
【マークス……?】
マークス……っ!?
ピョンってなんだピョン!!
シャルルヴィル……っ 、マークス、その口調……。
ふ……っ、ふふっ、あははははっ!
マークス笑うなピョン!
シャルルヴィルごめん……っ、ふふ!
語尾にピョンって……っ、ははっ、あははははっ!
マークスチクショウピョン!
ピョンって言いたくないのにピョンと言ってしまうピョン!!
あんた何をしたピョン……!
ローレンツこれは語尾に必ずピョンをつけてしまう装置だ。
モルモット1号は「ピョンピョン」と2回言っていた。
差が出るとは興味深い。
シャルルヴィル面白いけど、絶対非道とは関係なくない……?
ローレンツこれは、俺の理論を証明するためのテスト装置にすぎない。
現在は絶対高貴に向けた、とある大きな実験装置を開発中だ。
完成を楽しみにしているといい!
ベルガーうがぁ!!!!
シャルルヴィルうわっ!? 本が飛んできた!
ねぇ、本当に彼、寝てるの!?
マークスどうでもいいから、早く元に戻せピョン!!

第15話:どこかおかしい

騒動がありながらも1日を過ごし
〇〇たちは部屋へと戻った。

マークス……やっと元に戻った。
シャルルヴィルふふっ、ディナーまでに戻ってよかったね。
でも、あのままの口調もおもし……チャーミングだったと思うよ。
ね、〇〇。
マークスうう……マスターがそっちの方がいいと言うのなら……
俺は……っ!
マークス……マスター?
薔薇の傷が痛むのか?

〇〇がぼんやりと薔薇の傷を見ているのに気づき、
マークスが様子をうかがう。

主人公【昨日の話について考えていた】
→シャルルヴィル「そっか……うん。いろいろ気になるよね。
考えなしには動けないし、
ボクたちに何ができるんだろう、とか……。」

【自分の薔薇の傷について考えていた】

→シャルルヴィル「薔薇の傷って、不思議だよね。
マスターとしての力の根源だし……。
昨日の話もあるし。」
マークスマスターの悩みは撃ち抜いてやりたいが、
なんつーか……ややこしくて、的が何かもよくわかんねぇ感じだ。
使用人失礼いたします。
使用人ディナーの準備が整いましたので、
食堂へご案内いたします。
シャルルヴィルあ、もうそんな時間?
今日のメニューはなんだろうな〜。
マークスまたあの肉がいい。

〇〇たちが食堂に入ると、
そこには既にカールとローレンツの姿があった。

シャルルヴィルあっ、カールさん!
もう体調は大丈夫なの?
カール……ん? ああ……そうだね……。
昼食も食べないうちにディナーか。
上級使用人カール様、昼食はお部屋にて召し上がっておられました。
カールそうだったか……?
まぁ、いい……目の前の肉……肉があれば……うん……。
マークス……マスター。
あいつ、様子がずいぶんおかしくないか?
シャルルヴィル大丈夫かな……。すごく眠いみたい。
主人公【(気になるけど……)】
【(この場では不用意なことは言えない)】

政府職員や使用人の耳目があるため、
カールとは当たり障りのない話しかできない。
なんとも言えない空気の中、ディナーが始まった。

政府職員本日は宮殿見学をされたと伺いましたので、
明日はウィーン市街地の観光を手配しております。
政府職員シャルルヴィル様はスイーツがお好きだと伺いました。
代表的な名店の席をご用意しておりますので、お楽しみください。
シャルルヴィルMerci♪ 楽しみだなぁ。
カールさんとローレンツさんは?
ローレンツ俺は用事がある。楽しんでくるといい。
カール様は……お休みになるだろうか。
政府職員その方がよろしいかと。
給仕係カール様。
本日のおやすみのチョコレートはいかがしましょう?
カールああ、ヒレ肉の……いや、違う。
肉はもう食べ終わった。チョコ……ナイトチョコレート……。
……アプリコットと、ヘーゼルナッツにしよう。
給仕係かしこまりました。
政府職員……カール様はやはり体調が芳しくないようですね。
君、カール様をお部屋へ。
上級使用人はい。
ローレンツいや、俺がお連れする。
君たち、失礼するよ。
シャルルヴィルえっと、おやすみなさい……。

ほとんど会話もできないまま、
カールとローレンツは食堂を去ってしまった。


夕食後、部屋に戻ったあるたちは、
ローレンツの助言に従い念のため音楽を流しながら、
小声で会話をする。

シャルルヴィルカールさん、大丈夫かな……。
主人公【もう1度ちゃんと話したいのに】
【このままだと話すチャンスがない】
マークスこの宮殿の奴らも、オーストリアの政府の奴らも、
俺たちとカールを関わらせたくないみたいだ。
マークスマスターの望みを叶えるには……
こっそり、あいつの部屋に忍び込むのがいいんじゃないか?
シャルルヴィルそんな……って言いたいところだけど、
今回はボクも賛成かな。
そうでもしないと話せない気がするよ。
マークス21時に各棟の出入り口が封鎖されるって言ってたな。
それじゃあ……。

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