───数時間後。
〇〇たちは、
事前に忍び込む準備をしておいたルートを進み、
カールの部屋へと向かっていた。
マークス | よし。見張りはいないな。 |
---|---|
シャルルヴィル | カールさんの部屋は、ここだったよね。 ……入ろう。 |
シャルルヴィル | 失礼しまーす……。 |
カールの部屋は真っ暗で、静寂に包まれていた。
〇〇は暗闇に目をこらすが、
ベッドにもどこにも人影はない。
マークス | あんなに眠そうだったのに、寝てないのか? 部屋は……間違えてないよな。 |
---|---|
シャルルヴィル | うん……。 どこに行っちゃったんだろう? |
シャルルヴィル | あ、チョコレートがちょっと残ってる。 ナイト・チョコレートを食べたってことは、 寝る直前だったんだと思うけど……。 |
マークス | 歯磨き……? いや、洗面所にもいないな。 |
シャルルヴィル | 近くの部屋も探してみよう。 |
廊下に出た3人は、付近の部屋をそっと見て回る。
だが、やはりカールの姿はない。
シャルルヴィル | ……ボク、ちょっと心当たりあるかも。 ついて来て。 |
---|
マークス | ここは……春っぽい名前の部屋だったか。 |
---|---|
シャルルヴィル | 『常春の間』だよ。 この部屋には、カールさんの大切な仲間がいるから、 もしかしたら……って。 |
マークス | シャルルヴィル……あんた、すげぇな。 本当にいたぞ。 |
カール | …………。 |
『常春の間』の片隅にあるカウチで、
カールはぐっすり眠っていた。
シャルルヴィル | ……会いたいんだね、きっと。 |
---|---|
主人公 | 【起こさない方がよさそうだね】 【おやすみなさい、カールさん】 |
シャルルヴィル | ……ん? あれ……なんだ、か……うう……っ、ねむ……。 |
マークス | おい、どうした。 |
シャルルヴィル | ごめん……すっごく眠い。 マークス、おんぶしてくれる……? |
マークス | はぁ? 何を言ってるんだ。 寄りかかるな! 自分で歩け! |
シャルルヴィル | 無理……もう、ほんと眠い……。 今ここで寝る……ぐぅ……。 |
マークス | こんな場所で寝るな! おい、起きろ!! |
主人公 | 【……! 誰か来る!】 |
マークス | 見回り……いや、声に気づかれたか? 隠れよう、マスター。こっちだ。 |
マークス | クソ、こいつ本当に寝てやがる……! |
マークスはシャルルヴィルを担いで、
物置の中に隠れる。
幸い、足音は部屋の前を素通りしていき、
〇〇たちは見つからないうちに
客室へ戻ることにした。
マークス | おい、起きろ。 部屋に戻るぞ、シャルルヴィル。起きて歩け!! |
---|---|
主人公 | 【自分がおんぶしようか?】 →マークス「それなら俺がマスターをおんぶする!」 マークス「……いや、コイツを置いていくわけにもいかないか。 仕方ない、俺が担ぐ。」 【運んであげてくれるかな】 →マークス「了解した、マスター。 俺に任せてくれ。」 |
マークスは、シャルルヴィルを肩に担ぐようにする。
肩当ての防具がみぞおちにめり込んでいた。
主人公 | 【その担ぎ方は痛そう……】 【肋骨大丈夫かな……】 |
---|---|
マークス | 安心してくれ、マスター。 俺たちは銃だし、痛かったら起きるはずだ。 |
結局、シャルルヴィルは部屋に戻るまで眠ったままだった。
マークス | おやすみ、マスター。 何かあったら俺を呼んでくれ。 1秒で駆けつける。 |
---|---|
主人公 | 【おやすみ、マークス】 【また明日】 |
マークス | ああ。 |
マークスは、貴銃士用の客室に入ると、
シャルルヴィルをベッドへと放り出した。
マークス | よっ、と。 |
---|---|
シャルルヴィル | …………。 |
だが、シャルルヴィルはすぅすっと寝息を立てて
眠り続けている。
マークス | こいつ……ここまで雑にしても起きないなんて……。 俺は今、ちょっとあんたを尊敬したかもしれない……。 |
---|
───翌日。
マークス | マスター、3軒目はこの店だ。 ケーキがなんでも美味いらしい。 早速入ってみよう。 |
---|
マークス | なあ、マスター。 次はどこに行く? |
---|---|
主人公 | 【どこにしようか】 【マークスはどこに行きたい?】 |
マークス | 俺は、マスターが行きたいところに行きたい。 |
主人公 | 【シャルルヴィルにお土産を買おうか】 【焼き菓子を売っているお店に寄ろう】 |
マークス | ああ、そうだな! |
───今朝。
マークス | おい、シャルルヴィル。いつまで寝てんだ。 今日はスイーツを食いに行くんだろう。 |
---|---|
シャルルヴィル | ……すぅ……。 |
マークス | 全っ然起きねぇな……。 マスターを待たせるわけにはいかない。 起きないと置いていくぞ! |
マークス | ハッ! 待てよ……? |
マークス | こいつを置いていけば、俺とマスターの2人きりだ! でも、優しいマスターは、自分も行かないと言うかもしれない。 どうしたら納得してくれるだろうか……? |
シャルルヴィル | むにゃ……ショコラ……ふふっ……。 |
マークス | ……そうだ、置いていくかわりに土産を買って帰ればいい。 それならば、マスターも罪悪感がなくなるはずだ……! |
主人公 | 【シャルルヴィルは大丈夫かな】 【起きないなんて、疲れが溜まっているのかも】 |
---|---|
マークス | よく寝て起きれば大丈夫だろう。 それに、土産のスイーツを食えば絶対に元気になる。 |
マークス | ん……? なんだ、あいつらは。 |
マークスの視線の先を〇〇も見てみる。
そこには、護衛らしき数人に囲まれた初老の男女と、
ローレンツ、ザラの姿があった。
店員 | ようこそいらっしゃいました。 お席へご案内いたします。 |
---|---|
ローレンツ | こちらはカール様もお気に召されている名店で、 特にチョコレートを使ったケーキは国内屈指……。 |
ローレンツ | 中将閣下ご夫妻はチョコレートがお好きと伺いましたので、 ぜひ召し上がっていただこうと、ご案内しました。 |
連合軍中将 | なんと気遣いに溢れた素晴らしい貴銃士だ……! マスターであるザラ君も誇らしいだろうね。 |
ザラ | ええ。お褒めにあずかり光栄でございます。 |
マークス | あ、ローレンツとそのマスターだ。 一緒にいるのは中将……偉い奴か。 |
主人公 | 【理事長と同じくらい偉い人だよ!】 【挨拶しないと!】 |
〇〇は、慌てて立ち上がって敬礼をする。
ローレンツ | おや? 〇〇殿とMr.マークスもここに来ていたのか。 いい選択だ。 |
---|---|
ローレンツ | 紹介しよう。 こちらは明日の式典へご出席される 連合軍中将エーリッヒ閣下ご夫妻だ。 |
エーリッヒ中将 | おお……君が〇〇君か。 会えて嬉しいよ。 隣は、UL96A1の貴銃士、マークス君だね。 |
マークス | ジイ……中将。 あんた、マスターや俺のことを知ってるんだな。 |
エーリッヒ中将 | 無論だ。 君たちは連合軍の中でも非常に特殊で重要な立場にいる。 コペール中将からの報告を興味深く見ているよ。 |
ローレンツ | 貴銃士や〇〇殿に関する報告…… それは、ぜひとも見てみたいものです。 |
ローレンツ | 先日はMr.マークスの協力のもと、思考変化実験を行い、 見事語尾をピョンにすることに成功したのですよ。 |
エーリッヒ中将 | ピョン……? |
ローレンツと中将が話している隙に、
〇〇はザラに小声で話しかけてみる。
主人公 | 【薔薇の傷は痛みませんか?】 →ザラ「痛むといえば痛む。 だが、私のバイオリンの音色が曇ることはない。」 【カールさんの体調は大丈夫ですか?】 →ザラ「さあ……。マスターといえど主ではない。 かの貴き銃に報告など義務付ける立場にない。」 |
---|---|
マークス | よくわかんねぇ奴だな。 |
主人公 | 【(この人はどこまで知っているんだろう)】 【(マスターでないこの人の協力は望めない)】 |
フリッツ・ザラは表向きのマスターであり、
本当のマスターは数多の死刑囚だと語っていたカール。
ザラは自らをマスターだと思い込んでいるのか、
それとも、すべて知った上でマスターの役を演じているのか。
後者なら、自分の貴銃士ではないカールやローレンツのために
動いてくれるのか否か……現時点では、何もわからない。
恭遠 | ……いや、不安にさせてすまない。 だが、ただ1つだけ確かなことがある。 |
---|---|
恭遠 | それは……。 何があろうと、カールのことは信じていい! ということだ。 |
恭遠 | これだけは、今の段階で断言できる。 君が何か判断に迷うことがあれば、俺の言葉を思い出してくれ。 |
マークス | マスター、大丈夫か? 苦い実をかじってしまったみたいな顔をしている。 |
---|---|
主人公 | 【……大丈夫】 →マークス「そうか……? 何かあるなら、俺に話してくれよ。」 【心配してくれてありがとう】 →マークス「ふふっ。俺がマスターを心配するのは当然だ。 俺にできることがあるなら……いや、できるかわからなくても、 なんでも話してくれると嬉しい。」 |
マークス | はぁ……。偉い奴らが早くいなくなればいいのにな。 |
〇〇とマークスが昼過ぎに宮殿へ戻ると、
ようやくシャルルヴィルが起きており、
ソファに座ってぼんやりしていた。
シャルルヴィル | ん……おはよ……。 今何時……? |
---|---|
マークス | 14時48分だ。 |
シャルルヴィル | じゅう……よ……。14時……!? ウソでしょ、スイーツ名店巡りは……!? |
マークス | もう終わった。帰ってきたところだ。 |
シャルルヴィル | そそそ、そんなぁ……! うう……! |
マークス | 俺は何度も起こしたぞ。 起きなかったあんたが悪い。 それに、土産なら買ってきた。 |
主人公 | 【大丈夫?】 【どこか調子が悪い?】 |
シャルルヴィル | うーん……寝すぎたせいだと思うけど、 ちょっと頭が重いかな……。 |
シャルルヴィル | あと、なんだかお腹のあたりが痛くて見てみたら、 気持ち悪い色になってたんだよね。 なんなんだろう、これ……。 |
マークス | ん……? 覚えてないのか? あんた、カールを見つけたあと、 いきなり眠いとか言い出して寝ただろ。 |
マークス | 起きないから、 俺が担いでこの部屋まで戻ってきたんだぞ。 |
シャルルヴィル | ええっ……ありがとう……? でも、担いだって……まさか左肩の方で!? それは痛いはずだよ! おんぶにしてほしかった……! |
主人公 | 【やっぱり何かおかしい】 【痣になるほどの痛みなら、普通は起きるはず】 |
シャルルヴィル | そうだよね。 ボク、そんなに熟睡するタイプじゃないし。 むしろ、慣れないところだと寝るまで時間かかる方だし……。 |
シャルルヴィル | なんか変だよね……? 昨日のボクに何があったんだろう。 |
主人公 | 【睡眠薬でも飲んだ……?】 |
シャルルヴィル | ううん、ボクは飲んでないよ。 盛られた可能性はあるのかなぁ……? でも、だとしたら、なんでボクだけ? |
マークス | どこかに置いてあった誰かの薬を、 砂糖菓子か何かと間違えて食ったんじゃないか? 甘そうなもんなら、あんたはなんでも食うだろう。 |
シャルルヴィル | そんなことしないよ! もう、失礼だなぁ……! |
シャルルヴィル | ……あっ。 |
マークス | なんだ。やっぱり食ってたのか。 |
主人公 | 【何か心当たりが?】 【何か思い出した?】 |
シャルルヴィル | えっと……その、呆れないでほしいんだけど……。 |
マークス | もったいぶらずにさっさと言え。 |
シャルルヴィル | ……ボク、チョコレートを食べちゃったんだ。 |
マークス | それがどうした。 節制すると言いながら食ってるのはいつものことだろう。 |
シャルルヴィル | もう! そうじゃなくて! ボク───……お、音楽が聴きたい気分だな〜! |
マークス | はぁ? |
音楽を流し始めたシャルルヴィルは、
〇〇とマークスを手招きして、小声で話し始めた。
シャルルヴィル | ボク……昨日、カールさんの部屋に行った時に、 チョコレートを食べちゃったんだ。 |
---|---|
シャルルヴィル | 残ってたから、もう食べないのかな〜、 もったいないな〜って思ってつい、1つだけ……。 |
シャルルヴィル | ボクだけ眠くなったってことは、ボクだけが口にしたものでしょ? ボクと2人はだいたい同じものを食べてたから、例外の何か。 タイミング的に考えて、あのチョコレートが一番怪しいと思う。 |
マークス | チョコレートに、睡眠薬が入ってたってことか。 |
シャルルヴィル | そうだと思う……。 ほら、だって、カールさんも異常に眠いって言ってたよね? |
シャルルヴィル | 不完全な召銃のせいかもって話だったけど、 それと眠気とは関係なかったんだよ……! |
シャルルヴィル | カールさんは、レジスタンスにいた頃から 倒れるように眠っちゃうことがあるって言ってたし…… 犯人はそれを利用してたんだ、きっと。 |
マークス | ……意味がわからないな。 誰が薬を盛っている? あいつを眠らせて何がしたいんだ。 |
シャルルヴィル | わからない。 けど、このままじゃダメだ。 |
シャルルヴィル | また忍び込んで、チョコレートを食べないように……って、 もう寝てたら教えられないよね。 |
マークス | あいつと話そうにも、政府や宮殿のやつらが邪魔をする。 チョコレートを全部隠して食えないようにするか? |
シャルルヴィル | それもダメだよ。 チョコレートを隠したのがボクたちだってバレなかったとしても、 誰かが異常に気づいたことが犯人に知られちゃう。 |
主人公 | 【チョコレートをすり替えるのはどうだろう?】 |
シャルルヴィル | ……それならいいかも! 問題は、カールさんがいつも食べてるのと 同じチョコレートを用意できるかだけど……。 |
マークス | チョコレート……これはどうなんだ? あんた用の土産に買ってきたやつだ。 カールが気に入ってる店のらしい。 |
シャルルヴィル | そうなの? 開けてみるね。 |
シャルルヴィル | あ……このデザイン! 同じ店のだ! |
シャルルヴィル | どうにかしてこれを、カールさんのところに運ばれる ナイト・チョコレートと入れ替えよう。 |
マークス | そうしたら、あいつは眠くならない。 今夜こそ話せるな、マスター。 |
主人公 | 【やろう!】 【2人とも、力を貸してほしい】 |
マークス | ああ、マスター! |
シャルルヴィル | うん……! |
───その日のディナーは、ローレンツが公務で不在、
カールは体調不良とのことで、
〇〇たちが彼らと顔を合わせることはなかった。
シャルルヴィルが給仕係から入手した情報によると、
カールのところヘチョコレートが運ばれるのは
夜8時半頃とのことだった。
シャルルヴィル | それで、どうしようか。 廊下で待ってれば、給仕係の人が通りかかるはずだけど……。 |
---|---|
マークス | あんたが何かうまく言えばいい。 |
シャルルヴィル | 無茶だよ……! とりあえず、怪しまれないように美術品鑑賞しとく……? |
??? | ぷくくっ……あひゃひゃ! |
シャルルヴィル | あれ……この声って、まさか……。 |
ベルガー | やったぜ、アルパチーノ! お前、やっぱサイコーのスパイだな! |
シャルルヴィル | ネズミと喋ってる……? スパイって、まさか彼、ネズミの言葉がわかるの……? |
主人公 | 【何か知ってるかも】 【話しかけてみよう】 |
マークス | あいつは危険だ、マスター。 俺が探りを入れる。 |
マークス | ……おい。 あんた、ここで何をしている。 |
---|---|
ベルガー | んぁ? |
ベルガー | おぉ〜っ!? ……んー……? |
マークス | ……? |
ベルガー | あっ! お前ら、クソメガネのナカマだろ! |
ベルガー | 俺はキモキモ野郎のローレンツが大ッキライなんだよ。 ぜっっってぇあそこには戻んねぇからな!!! |
マークス | 俺もあいつは好まない。 俺に変な機械をつけて変にしやがったし、 マスターにモルモット2号になれだとか言いやがる。 |
ベルガー | だっろぉ!? お前、まーまー話せるヤツじゃねぇか。 アルパチーノが人がいねぇ道を教えてくれっからぁ、 外に出てぇならコーク2ダースでヒキトリ成立だぜ。 |
シャルルヴィル | ひき……取引? |
マークス | 取引はしない。 あんた、そのネズミをスパイとして使ってるのか? |
ベルガー | アルパチーノは俺のトモダチだ。 超おもしれぇ漫画に出てくるすっげースパイと同じ名前なんだぜ! |
ベルガー | 俺は今度こそ外に出て、アルパチーノとジューに暮らすっ! あっひゃっひゃ! |
マークス | あんた……馬鹿そうだが、どうやって暮らすんだ。 |
ベルガー | ああ? そのへんにお財布クンが歩いてんだろ。 チョーダイっつってオハナシするかぁ、殴ればオッケー! ぎゃははは! 俺ってば天才!? |
マークス | マスター……。 こいつは檻の中にいた方がいいんじゃないか? |
ベルガー | はぁ? ふっざけんなよ! 俺はぜってぇ逃げてやる!!! |
マークス | 待て! |
廊下を走るべルガー。
その足が何かを踏んで、カチッと音がする。
次の瞬間、壁からロボットの腕がいくつも出てきた。
ベルガー | ぎょわぁぁぁっ!? ぎゃはは、あひゃ、やめ、くすぐってぇ……! |
---|---|
シャルルヴィル | 何あれ、くすぐりマシーン!? 〇〇、マークス! 気をつけて!! |
ローレンツ | さぁ……実験の時間だ。 |
ベルガー | やめ、ひぃ!! あひゃひゃひゃっ! くすぐってぇぇぇっ、しぬぅ! |
ローレンツ | 泣くほど苦しいのか……! その思い、俺も分かち合おう! なぜなら君は、俺の大事なモルモットなのだから……。 |
ベルガー | ひっ……! ワケわかんねーこと言ってねーで、止めろよぉ! うひゃっ、あひゃひゃひゃ……! |
ローレンツ | ひっ、ふっふふふ、ははははっ……! |
マークス | な……なんなんだ、あいつらは……。 |
使用人1 | うわあああっ、なんだこれ! |
使用人2 | きゃあっ! くすぐったい……! |
カール用のチョコレートを運んでいた使用人もトラップにかかり、
くすぐったさに身をよじった彼女はトレーを放り投げてしまう。
使用人2 | ああっ……! チョコレートが……! |
---|---|
マークス | 俺に任せろ! |
マークスがトレーをキャッチし、
チョコレートも見事に皿の上に着地させる。
主人公 | 【今がチャンス!】 |
---|
シャルルヴィルがチョコレートを素早くすり替えた。
使用人たちはまだトラップから抜けられておらず、
まったく気づいていない。
マークス | ……よし。 |
---|---|
主人公 | 【大丈夫ですか!?】 【今助けます!】 |
3人はトラップから使用人を助け出した。
使用人1 | ぜぇ……はぁ……。 |
---|---|
使用人2 | ふぅ……助かりました……。 |
マークス | チョコレートはちゃんと落とさずにキャッチしたぞ。 |
シャルルヴィル | いやぁ、ナイスキャッチだったね、マークス。 はい、どうぞ。 今度は落とさないようにね♪ |
使用人2 | あ……りがとうございます。 |
使用人は、すり替え終えたチョコレートを持って立ち去った。
兵士1 | いたぞ! 笑い疲れているうちに捕獲しろ! |
---|---|
兵士2 | はっ! |
使用人1 | ……申し訳ありませんが、そろそろ各棟封鎖時間となりますので、 お客様方はお部屋へお戻りください。 ご案内いたします。 |
シャルルヴィル | ううん、大丈夫。 道はわかるし、ボクたちだけで戻れるよ。 |
───封鎖時刻が過ぎ、消灯された頃。
〇〇たちは再び部屋を抜け出して、
カールの部屋を目指した。
マークス | ……マスター、駄目だ。 部屋の前に見張りがいる。 なんでだ。昨日はいなかったのに……。 |
---|---|
シャルルヴィル | 昨日、カールさんが別の部屋で寝てたからかな……。 |
マークス | ……あんたを起こそうとして、 少しでかい声を出したせいかもしれない。 |
シャルルヴィル | う……それはゴメン。 |
主人公 | 【お陰でチョコレートがおかしいとわかった】 【でも、結果的にファインプレーだったよ】 |
シャルルヴィル | ありがとう、〇〇。 |
シャルルヴィル | でも、これじゃあ話せないね……。 窓からはさすがに忍び込めないし、 明日の金鷲勲章授与式の会場で話すしかないかな……。 |
───その日の深夜。
カール | …………。 ……あ……、?……。 |
---|---|
カール | ……? 外が暗い……まだ夜中か。 こんな時間に目を覚ますのは初めてだな。 悪夢よりはマシかもしれんが……。 |
───カタッ
カール | ……! |
---|---|
カール | (誰かが入って来た……? 寝たふりをしておいた方がよさそうだ) |
寝たふりをしているカールを、誰かが抱えて車椅子へと乗せる。
そして、どこかへ運ばれ始めた。
カール | (この足音と、かすかな化粧品の匂い…… 1人は、僕付きの使用人か。 他にも……2人、おそらく男がいるな) |
---|---|
カール | (僕はどこへ連れていかれている? スロープを下った……地下か) |
カール | (僕を運んでいる連中の動きには迷いがない。 慣れている様子だな。 寝ている間にこうしてどこかへ運ぶのは、初めてではないのか?) |
カール | (それどころか……頻繁に、だとしたら。 僕がこれまで起きなかったのはなぜだ? 逆に……今日はなぜ、起きている?) |
カール | (……わからない。判断するための材料が不足している。 このままこの連中のしたいようにさせて、より多く情報を得たい) |
やがてカールは、
周囲の空気がじっとりと重く濁ったのを肌で感じた。
カール | (まだ進むのか。目的地はどこだ?) |
---|---|
男 | 嫌だ……やめろ……やめてくれぇ……! |
カール | (男の叫び声……拷問でもきれているのか?) |
??? | ───破壊しろ。 ───すべてを、壊せ。殺せ。 ───お前を利用する者どもに罰を与えろ……! |
??? | カール! パーティしようよ♪ |
カール | うぅ……っ。 |
謎の男 | おい、急げ。 始まるぞ。 |
カール | (何が始まる……? ああ、まやかしの声が邪魔で、思考が進まない……!) |
まもなくして、移動が終わる。
カールをベッドか何かに寝かせたあと、
3人の足音は遠ざかっていった。
カール | (……行ったか……) |
---|---|
カール | (知らない部屋だな……。 運ばれていた時間と感覚からして、 ヴァイスブルク宮殿の地下で間違いないとは思うが) |
カール | (……! 足音……今度は1人だけか) |
キィ───
再び寝たふりをしたカールのそばに、誰かが佇む。
??? | カールちゃん……。 |
---|---|
カール | ……!! |
カール | ……フルサト……!? |
フルサト | ……! どうして起きているノ? チョコレートは───……! |
カール | チョコレート……そういうことか。 だが、わからない。 説明してくれ。なぜ君がここにいる!? |
フルサト | シーッ! いけないワ、人が来てしまう! それに、もうすぐ───。 |
カール | ……ぐっ!? あ、あ……っ、な、ん……だ、コレ……ハ……ッ!! |
フルサト | カールちゃん……!! |
カール | ウゥ……。 |
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