オーストリア編:第31話~第35話

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第31話:怪しい手紙のいざない

───その日の夜。

シャルルヴィルはぁ……もう、どうしたらいいんだろう。
ローレンツさんは元に戻らないままだし、
カールさんも、本当のマスターの居場所もわからないし。
シャルルヴィルもうすぐフィルクレヴァートに戻る予定なのに、
何も解決できてない……。
マークス一番の問題は時間だな。
オーストリアに残る、いい口実とかないのか?
シャルルヴィルえーっと……ウィーンのスイーツ名店巡りが終わってないから、
あと1週間欲しい、とか?
マークス……なるほど。
あんたみたいな砂糖狂いからの申し出なら、
説得力があるかもしれない。
シャルルヴィルちょっ、砂糖狂いって何!?
マークスってボクのこと、スイーツおばけか何かだと思ってない?
マークス……ん?
マークスくんくん、くんくん……!
シャルルヴィルわっ!? またマークスが犬みたいに……!
もしかして、盗聴器?
マークスいや、違う。
……これだ。

マークスがベッドサイドにある小机の引き出しを開けると、
1通の封筒が入っていた。

シャルルヴィル手紙……? 宛名がない。
ボクたち宛てってことでいいのかな。
マークス開けてみるぞ。
シャルルヴィルうん……気を付けて。

マークスが封筒を開けると、中には短い手紙が入っていた。

シャルルヴィル……何これ。
『あなたがたの知りたい情報を知っている者より』……?

〇〇も加わり3人で、
謎の手紙が入っていた封筒を囲む。

マークスマスター、これが置いてあった封筒の中身だ。
主人公【怪しげな手紙だね】
【これは、宮殿の見取り図?】
マークス地下にバツ印がついてるな。
俺たちを誘い出すための何かの罠かもしれない。
シャルルヴィル別の紙には、丁寧に秘密の地下室への行き方が書いてあるよ。
やっぱり、来いってことなのかな……。
行ったらトルレ・シャフに囲まれたりして。
主人公【罠だったとしても、収穫があるかも】
【黒幕に繋がる情報が得られるかも】
シャルルヴィルうーん……確かに……?
このままじっとしてるよりは、罠だろうがなんだろうが、
少しでも多く情報を得た方がいい、のかなぁ……?
シャルルヴィル仮にこの手紙が罠じゃなかったとして……
ボクたちが知りたい情報って、なんのことを指してるんだろう。
マークスカールの居場所か、マスターの居場所か?
それとも、オーストリアで何が起きているのかを、
直接会って教えるつもりなのかもしれない。
シャルルヴィルはぁ……連合軍に応援を要請できたら心強いんだけどね。
現状じゃ、応援を呼ぶだけの根拠が乏しくて、
オーストリア政府の反対を押し切ることなんて無理だし。
マークス俺たちでやるしかないってことだな。
マークス……マスター、慎重に行こう。
俺の最優先は、マスターの安全だ。
そのことは覚えていてくれ。
主人公【了解】
【わかってるよ】
シャルルヴィルそれじゃあ……すぐにでも出発しようか。

〇〇たちは準備を整えると、
手紙の内容に沿って、秘密の地下室へと向かった。


マークスこの部屋だ。
床下点検口……あった。

宮殿本館の一室にある床下点検口を開けると、
縦穴があり、はしごで下まで下りられるようだった。

シャルルヴィルここまでの情報は正しかったってことだね。
だけど、この細さだと1人ずつしか下りられない。
待ち構えられてたらマズいよ。
マークス俺が最初に行く。
安全を確認したあとで、マスターは下りて来てくれ。

マークスがはしごで下りていくのを、
〇〇とシャルルヴィルは固唾を呑んで見守る。

やがて、地下へ降り立ったマークスが2人を見上げ、
OKの合図を送った。


シャルルヴィル宮殿の地下にこんな空間があったなんて……。
マークスイギリスの城の地下室より広いし新しいな。
マークス……! 誰か来る。

近づいてくる足音があり、〇〇たちは慌てて 物陰へと身を隠した。

シャルルヴィル衛兵だ。それも、結構いるね。
マークス何かを守ってる……いや、隠してるのか?
それなら、カールがいる可能性も高そうだ。

衛兵が遠ざかっていくのを確認し、3人は慎重に奥へと進む。

???───れ……。─────、─────ろ……!
シャルルヴィル今の声は……? 苦しそうな声……。
マークスカールではないな。
主人公【とにかく行ってみよう】
【助けが必要かも】
マークス了解した、マスター。
声が聞こえてきたのはあっちだ。

3人が進むにつれ、うめき声もより大きく聞こえてくる。
やがてたどり着いた先には牢屋があり、
その中で囚人服を着た1人の男が苦しんでいた。

シャルルヴィル……! あの人の手……!
マークス薔薇の傷……本物のマスターか!?

第32話:シャルルヴィルの決意

秘密の地下室の奥にいた男の手には、
薔薇の傷が深く刻まれていた。

シャルルヴィルこの人がカールさんの本当のマスター……?
囚人ぐ、うぁ……お前ら、なんだ……?
また、薬を打ちやがるのか……!
あれは……あれだけはやめてくれ……!
主人公【薬……?】
【どういうこと?】
シャルルヴィル……!
カールさんのマスターが異常に短命なのは、
その薬のせいなんじゃない?
マークス薬で弱らされていたということか?
薔薇の傷も酷い状態だが……。
シャルルヴィル薔薇の傷を悪化させる薬とか……?
それか、薬で身体が弱ると、
薔薇の傷も余計に酷くなるのかも……。
マークスとにかくこれではっきりした。
カールのマスターの死は、何か企んでるヤツのせいだ。
主人公【マスターの居場所はわかったから……】
【あとはカールさんを見つければ……!】
シャルルヴィル彼の傷を癒して、
カールさんを助けられる!
衛兵……っ!? 侵入者!?
マークスしまった!

衛兵が応援を呼ぶより早く、
マークスが彼を気絶させる。

主人公【時間がない】
【ここでやろう!】

もし、またこの後衛兵に見つかれば、
マスターである囚人のもとへ戻ってこれないかもしれない。
選択肢は限られていた。

シャルルヴィルわかった。
───絶対高貴!
囚人う……。あぁ…………。

シャルルヴィルの絶対高貴によって、
衰弱していた男の薔薇の傷が癒えていく。
男は、そのまま気を失ってしまった。

マークスこれで、カールは銃に戻ったのか?
シャルルヴィルたぶん……? もしかしたら、
ローレンツさんかベルガーさんのマスターかもしれない。
シャルルヴィル薬でわざと弱らされていたことからして、
カールさんのマスターっていう可能性が高いとは思うけど……。
シャルルヴィル…………。
シャルルヴィルねぇ。ボクはここに残るから、2人は上に戻って。
マークスは……? 何言ってるんだ、あんた。
ここに長居するのは危険だぞ。
シャルルヴィルでも、この人の他にも、マスターがいるはずだよ。
もしも、そっちがカールさんのマスターだったら?
それに、カールさんの居場所が見つかったか、まだわからない。
シャルルヴィル広い宮殿の中をローレンツさんだけで全部調べるのは大変だし、
できるだけ早く───カールさんを利用してる奴らより早く、
ボクたちが見つけるか、奪っちゃわないといけない。
マークス……俺がここにいても、囚人の傷は治せねぇけど、
上での捜索や戦闘なら役に立てる……か。
シャルルヴィルOui♪ 適材適所ってやつだよ。
だから……ここはボクに任せて、行って。
主人公【……気を付けて】
【無事に再会しよう】
シャルルヴィルうん!
マークス行こう、マスター!
シャルルヴィルふぅ……。
シャルルヴィル(手が震えてるの、バレなかったかな……)
シャルルヴィル本当は、ちょっと怖い……。
でも……。
シャルルヴィル……ここでやらなきゃ、貴銃士じゃない!

───〇〇たちが地下へ向かっていた頃。

ローレンツ……宮殿内の主要な部屋の確認は終えた。
だが、カール様は見つからない……。
隠し部屋だった場合、見つけるのは困難だ。
ローレンツやはりここは……Mr. ベルガーの崇高な絶対非道の力で、
宮殿内に歓喜の狂乱を巻き起こし、
カール様を秘匿している連中をおびき出すしかないのだが……。
ローレンツ肝心のMr.ベルガーも見つからないのとは……。
ああっ、なんたる悲劇……!
使用人1きゃーーーーっ!!!
ローレンツむ!? 何事だ……?
まさか、カール様が!?

ローレンツが声のする方に行くと、
使用人たちが戸惑った様子で人だかりを作っていた。

ベルガーギャハハハハ!
ポテチうめー!
アルパチーノキキッ! チューッ!
ローレンツあれは……Mr.ベルガー……?
ま、待て、ポテトチップスを入れているあの入れ物は……!
使用人1ああ、希少な壺が油まみれに……!!
私の一生分の給与より高そうなのに……!
使用人2やめてください、壺を置いてください!
ベルガーあ? うるせぇ!!
ちょうどいい持ち手もあるしよぉ、
この壺はポテチ入れるために作られたんだろ〜〜が!
使用人2そ、そんな……。
ローレンツMr.ベルガー、見つけたぞ!
ベルガーげっ!!

第33話:再会

ローレンツMr.ベルガー、その壺は非常に貴重な逸品だ。
チップス入れには相応しくない!
ベルガーやべーーー!!
キモメガネだ!!
逃げるぞ、アルパチーノ!
アルパチーノキキキィッ!

ローレンツを見て慌てたベルガーは、
手にしていた壺をぽいっと放り投げてしまった。

使用人1ああーーッ!!
使用人2つ、壺が……希少な壺が……!
ローレンツMr.ベルガー、お待ちを!
ローレンツ素晴らしい絶対非道の力をお持ちのMr.ベルガーだが、
歴史深い品への冒涜はいけない!! お待ちをー!!!
ベルガーぎゃはははっ!!
せっかく出られたんだから捕まってたまるかー!!
ばーか、ばーーーーか!!

宮殿中を逃げるべルガーを追いかけて、
ローレンツが必死に走り回る。
が、広い宮殿の中に隠れたベルガーはなかなか見つからない。

ローレンツぜぇ……はぁ……み、Mr.ベルガー!
このあたりにはオーストリアゆかりの骨董品が多いのだ。
どうか動かないでじっとしていてくれ……!
ベルガー動くなって言われて動かねぇバカは動かねぇんだよォ!!
ローレンツ意味がわかるようでわからないと思いきや、
至極当然のことを言っている……。
ああ、待ってくれ!!

ベルガーが走っていった先から、
逃げ回る使用人たちの悲鳴があがる。

ローレンツあちらの方向か……!

ローレンツ……?
ここは、ほとんど使われていない客間のはずだ。
ローレンツなぜこんなところに使用人がいたのだ?
Mr. ベルガーの姿は……見当たらないな。
ローレンツ(この部屋……何か違和感がある。なぜだ?)

室内を観察したローレンツは、
本棚付近のソファの前に絨毯がないことに気づいた。

ローレンツ(ヴァイスブルク宮殿では、こういった家具配置の場合、
ソファの前に絨毯が敷かれていることが多い。
それがないということは……?)

ローレンツは、本棚をあさりはじめた。
そして───。

ローレンツ……あった。
俺の推測通りだ。

本の奥に隠されていたロックを解除すると、
本棚が軽い力で動くようになり、
隠されていた入口があらわになる。

ローレンツこの部屋にいた使用人。隠し扉の仕掛け。
見つからないカール様。
これらの情報から導き出される答えは───。
ローレンツすぐに参ります、カール様……!

ローレンツは、隠し扉から中へ入る。
通路を進んでいくと、塔を上がるらせん状の階段があり、
その先に1つの部屋があった。

ローレンツ……っ!
カール様……!
カール…………ぅ、ん?
……っ!ローレンツ!
ローレンツカール様!
ああ……お待たせしてしまい申し訳ありません。
カールまったくだ……。
礼を言うよ、ローレンツ。
君が来なければ、僕は動くことすらままならなかっただろう。
カール力を失った挙句にお荷物になるなど悔しいがね。
嘆いている暇はない。
攻めに転ずるためには、まずはここから脱出しなくては。
カール……ローレンツ、助けてくれ。
君の力が必要だ。
ローレンツ……っ、カール様……!
もちろんです。俺はあなたの、忠実なる臣下なのですから!
ローレンツさあ、こちらですカール様!
俺が背負いますので、どうぞ───

ローレンツがカールを背負おうとした時、
カールの身体が淡い光に包まれる。

カールこれは……!
ローレンツなっ……!?
カールふむ、この感じ……。
誰かが絶対高貴で薔薇の傷を癒やしているようだねー。
カールフルサトでないとしたら、シャルルヴィルか。
……うん。
カールローレンツ、“僕”を任せたぞ。

カールはそう言い残すと、銃に戻っていく。
床に落ちそうになった彼の本体を、ローレンツが受け止めた。

ローレンツ……お任せを、カール様!

ローレンツは銃に戻ったカールを手に、
隠し部屋をあとにした。

 

第34話:脱出

ローレンツはカール本体の銃を抱え、
宮殿の中を駆けていた。

トルレ・シャフ構成員1地下牢に侵入者あり!
塔にもだ!
トルレ・シャフ構成員2銃ごと消えている。
なんとしても探せ!
ローレンツ(もう気づかれたのか……。
ここからどうする。一旦宮殿を出た方がよさそうか)
トルレ・シャフ構成員1……おい、待て!
ローレンツ……っ! まずい……!
トルレ・シャフ構成員1逃げたぞ、追え!!
ベルガーなーなーアルパチーノ。
ポテチもコークも飽きるほど食ったし、外行くかー!
アルパチーノチー!
ローレンツ……Mr.ベルガー!?
ベルガーげっ!!!!

カールの銃を持って逃走していたローレンツは、
食糧庫から出てきたべルガーと鉢合わせる。

トルレ・シャフ構成員13挺とも確保するぞ!
ベルガーはぁ? テメーら人間だろ?
俺サマ貴銃士! 絶対ヒドー! つまり捕まんねぇ!
AED! あひゃひゃひゃ!!
ローレンツMr.ベルガー、そこはAEDではなくQ.E.D.かと。
とにかく、あなたの素晴らしき絶対非道の力で───
ベルガー言われなくても使ってやんよ。
絶対ひ───……あれぇ?
アルパチーノキキッ!?
ローレンツなっ!!!!
ローレンツMr.シャルルヴィルが、
Mr. ベルガーのマスターを癒やしたのか……!?
こんな時に……そんな……!
トルレ・シャフ構成員1どういうことだ、貴銃士が消えていく……?
トルレ・シャフ構成員2だが、好都合だ。大人しくしろ!
ローレンツぐあっ!

殴られたローレンツが床に倒れた。
トルレ・シャフ構成員がローレンツから
カールの銃とベルガーの銃を取り上げようとした時───

アルパチーノキキッ───ッ!!
トルレ・シャフ構成員2い、痛ぇ!!!
トルレ・シャフ構成員2手が……クソッ!!
なんだこのネズミは!!
ローレンツアルパチーノ……!!

アルパチーノに噛みつかれた男は、
必死に手を振り回してアルパチーノを振りほどこうとする。

ローレンツい、今のうちに……!

ローレンツは、2挺の銃を拾い上げて再び駆け出す。

トルレ・シャフ構成員2クソネズミが……こうしてやる!!!!
アルパチーノヂュッ!?
ローレンツアルパチーノ!!!!
アルパチーノ……キッ…………。

噛み付いた拳ごと壁に叩きつけられたアルパチーノは、
小さな鳴き声を最後に動かなくなる。

それでもなお手に食らいついたままのアルパチーノを、
トルレ・シャフ構成員の男は忌々しそうに引きはがし、
床へと放り投げた。

ローレンツあ……アルパチーノ……!!
………………っ!
ローレンツあんな小さな身体で、勇敢にも……っ。
立ち向かっていった戦士がいるのに、
官製ローレンツ・ライフルの俺が逃げ回ってどうする……!
トルレ・シャフ構成員1絶対高貴にもなれない古銃は、
大人しく投降しろ。
ローレンツ断る!
貴様らのような連中に、カール様とMr. ベルガーを渡すものか!
ローレンツ……はっ、これは……!?

その時───ローレンツの身体も、
淡い光を帯びて輪郭がぼやけ始める。

ローレンツそうか、しまった……俺のマスターも……!
トルレ・シャフ構成員2ふん、銃に戻るか。
手間が省けたな。
ローレンツく、くそ───……!

ローレンツが貴銃士としての肉体をなくしたことで、
3挺の銃が床へと落ちる。

トルレ・シャフ構成員1よし、回収だ。
とっととずらかるぞ。
???そうはいかない。
トルレ・シャフ構成員1お前らは……!

第35話:フリッツ・ザラの真実

〇〇とマークスは、
ローレンツたちを捜してヴァイスブルク宮殿内を走り回っていた。

マークスダメだ、こっちにもいない。
あいつ、どこに行ったんだ……!
マークス……! 今の音……銃声か!?
主人公【行こう!】
マークスこっちだ、マスター!

〇〇たちが駆けつけると、
そこにはフリッツ・ザラが3挺の銃を持って立っていた。

ザラ来たか。
マークスてめぇ……そいつらを渡せ!
主人公【もうカールさんを死神にはさせない!】
【これ以上利用するなら彼らを奪う!】
ザラ奪う必要はない。
もとより、君に託すつもりだった。
マークス……は?
どういうことだ?

〇〇たちが状況を掴めずにいると、
ザラはカールの銃を恭しく差し出した。

ザラ危険な賭けでしたが……やってくださったのですね。
どうかよろしくお願いいたします。
あなたならば、真にカール様のマスターになれるでしょう。
マークス……???
意味がわからない……何を企んでいる?
あんたは敵だろう?
ザラ紛らわしい真似をして申し訳ない。
……あの手紙を出したのは私です。
ザラ地下室への道を示せば、
あなた方が状況を打開してくれると信じて……賭けたのです。
シャルルヴィル〇〇、マークス! みんな!
シャルルヴィル……あれ……この状況は……?
ザラシャルルヴィルさん。よくぞやってくださいました。
どうかお礼を言わせてください。
シャルルヴィルどういたしまして……?
あの、わけがわからなくて、説明が欲しいんだけど……?
マークス俺たちも何もわかってない。
ザラ私は、あなた方の味方です。
……恭遠さんとも旧知の仲でして。
マークス恭遠と?
ザラええ。私は、元レジスタンスですから。
主人公【レジスタンス!?】
ザラとはいえ、諜報を主としておりましたので、
私が元レジスタンスであることを知る者はごく少数です。
ザラこの情報は、政府側も把握していなかったのでしょう。
おぞましい計画の「お飾り」に選ばれてしまいました。
シャルルヴィルどういうこと……?
ザラ私がマスターになる前……ザラ家は経済的に困窮していました。
よくある話です。
現当主……つまり私の父親が事業で失敗してしまったのです。
ザラオーストリア政府からの協力要請が来たのは、
いよいよ破産が近づき、
大切なバイオリンを手放すかの瀬戸際という時でした。
ザラ───『何も言わず、何もせず、ただ我々に従うこと』
ザラそれが、ザラ家への経済支援と引き換えに
政府が提示した条件でした。
ザラ何かがおかしい、ということは明白でした。
だからこそ、私は恭遠殿と密かに連絡を取り合い、
オーストリアの現状について調査を進めたのです。
マークスあんたが本当に味方なら、
なんでカールたちにそのことを教えなかったんだ?
ザラ私はお飾りのマスターですから、
カール様たちとの交流の機会は制限されていました。
ザラそれに、カール様の御様子からして、
何かしらの睡眠薬が使われている様子……。
ザラああいった薬の中には、半ば自白剤のような作用をするものや、
薬の影響下にある間の記憶があいまいになるものもあります。
ザラ薬を排除できればそれが一番よかったのですが、
黒幕や目的が不明瞭な以上それも叶わず……
私が味方であることが敵に伝わらないようにしたのです。
シャルルヴィルそういうことだったんだ……。
確かにボクも、チョコレートを食べちゃったあとの記憶、
いまだにちょっと曖昧だし……。
シャルルヴィル味方なのに、嘘をつき通すのってつらそうだけど……
そのおかげでこうしてカールさんたちを確保できたんだよね。
ザラ私のつらさなど、なんということはありませんよ。
ザラカール様は偉大なお方で、
類まれなる強靭で気高い意志をお持ちです。
躊躇いなく、尊き御身に銃弾を放てるほどに……。
ザラレオポルト様、マルガリータ様……そしてカール様。
ハプスブルクゆかりの貴銃士のために
この身を使える栄誉は計り知れません……!
マークスなんか、こいつ……ローレンツと似たような匂いがしてきたぞ。
主人公【死刑囚が言っていた「薬」について知りたい】
【カールさんのマスターはなぜ短命なのか?】
ザラ囚人たちに投与されていたのは、ごくわずかな毒のようです。
しかし、わずかでも毒を投与されれば身体が弱る。
それによって、薔薇の傷の進行が異常に速まるようでした。
マークスそういや、フランスのマスター……カトリーヌだったか。
あいつも身体が弱いから、傷の悪化が早いみたいだったな。
ザラおそらく、それと似たような原理なのでしょう。
……最終的には、謎の協力者の貴銃士によって、
死刑囚たちの傷は完治しています。
ザラですが、繰り返された毒物投与などによって衰弱し、
そのまま死に至る者が多いようです。
ザラ生き延びた者も……口封じのため、死刑を執行されたかと。

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