───その日の夜。
シャルルヴィル | はぁ……もう、どうしたらいいんだろう。 ローレンツさんは元に戻らないままだし、 カールさんも、本当のマスターの居場所もわからないし。 |
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シャルルヴィル | もうすぐフィルクレヴァートに戻る予定なのに、 何も解決できてない……。 |
マークス | 一番の問題は時間だな。 オーストリアに残る、いい口実とかないのか? |
シャルルヴィル | えーっと……ウィーンのスイーツ名店巡りが終わってないから、 あと1週間欲しい、とか? |
マークス | ……なるほど。 あんたみたいな砂糖狂いからの申し出なら、 説得力があるかもしれない。 |
シャルルヴィル | ちょっ、砂糖狂いって何!? マークスってボクのこと、スイーツおばけか何かだと思ってない? |
マークス | ……ん? |
マークス | くんくん、くんくん……! |
シャルルヴィル | わっ!? またマークスが犬みたいに……! もしかして、盗聴器? |
マークス | いや、違う。 ……これだ。 |
マークスがベッドサイドにある小机の引き出しを開けると、
1通の封筒が入っていた。
シャルルヴィル | 手紙……? 宛名がない。 ボクたち宛てってことでいいのかな。 |
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マークス | 開けてみるぞ。 |
シャルルヴィル | うん……気を付けて。 |
マークスが封筒を開けると、中には短い手紙が入っていた。
シャルルヴィル | ……何これ。 『あなたがたの知りたい情報を知っている者より』……? |
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〇〇も加わり3人で、
謎の手紙が入っていた封筒を囲む。
マークス | マスター、これが置いてあった封筒の中身だ。 |
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主人公 | 【怪しげな手紙だね】 【これは、宮殿の見取り図?】 |
マークス | 地下にバツ印がついてるな。 俺たちを誘い出すための何かの罠かもしれない。 |
シャルルヴィル | 別の紙には、丁寧に秘密の地下室への行き方が書いてあるよ。 やっぱり、来いってことなのかな……。 行ったらトルレ・シャフに囲まれたりして。 |
主人公 | 【罠だったとしても、収穫があるかも】 【黒幕に繋がる情報が得られるかも】 |
シャルルヴィル | うーん……確かに……? このままじっとしてるよりは、罠だろうがなんだろうが、 少しでも多く情報を得た方がいい、のかなぁ……? |
シャルルヴィル | 仮にこの手紙が罠じゃなかったとして…… ボクたちが知りたい情報って、なんのことを指してるんだろう。 |
マークス | カールの居場所か、マスターの居場所か? それとも、オーストリアで何が起きているのかを、 直接会って教えるつもりなのかもしれない。 |
シャルルヴィル | はぁ……連合軍に応援を要請できたら心強いんだけどね。 現状じゃ、応援を呼ぶだけの根拠が乏しくて、 オーストリア政府の反対を押し切ることなんて無理だし。 |
マークス | 俺たちでやるしかないってことだな。 |
マークス | ……マスター、慎重に行こう。 俺の最優先は、マスターの安全だ。 そのことは覚えていてくれ。 |
主人公 | 【了解】 【わかってるよ】 |
シャルルヴィル | それじゃあ……すぐにでも出発しようか。 |
〇〇たちは準備を整えると、
手紙の内容に沿って、秘密の地下室へと向かった。
マークス | この部屋だ。 床下点検口……あった。 |
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宮殿本館の一室にある床下点検口を開けると、
縦穴があり、はしごで下まで下りられるようだった。
シャルルヴィル | ここまでの情報は正しかったってことだね。 だけど、この細さだと1人ずつしか下りられない。 待ち構えられてたらマズいよ。 |
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マークス | 俺が最初に行く。 安全を確認したあとで、マスターは下りて来てくれ。 |
マークスがはしごで下りていくのを、
〇〇とシャルルヴィルは固唾を呑んで見守る。
やがて、地下へ降り立ったマークスが2人を見上げ、
OKの合図を送った。
シャルルヴィル | 宮殿の地下にこんな空間があったなんて……。 |
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マークス | イギリスの城の地下室より広いし新しいな。 |
マークス | ……! 誰か来る。 |
近づいてくる足音があり、〇〇たちは慌てて 物陰へと身を隠した。
シャルルヴィル | 衛兵だ。それも、結構いるね。 |
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マークス | 何かを守ってる……いや、隠してるのか? それなら、カールがいる可能性も高そうだ。 |
衛兵が遠ざかっていくのを確認し、3人は慎重に奥へと進む。
??? | ───れ……。─────、─────ろ……! |
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シャルルヴィル | 今の声は……? 苦しそうな声……。 |
マークス | カールではないな。 |
主人公 | 【とにかく行ってみよう】 【助けが必要かも】 |
マークス | 了解した、マスター。 声が聞こえてきたのはあっちだ。 |
3人が進むにつれ、うめき声もより大きく聞こえてくる。
やがてたどり着いた先には牢屋があり、
その中で囚人服を着た1人の男が苦しんでいた。
シャルルヴィル | ……! あの人の手……! |
---|---|
マークス | 薔薇の傷……本物のマスターか!? |
秘密の地下室の奥にいた男の手には、
薔薇の傷が深く刻まれていた。
シャルルヴィル | この人がカールさんの本当のマスター……? |
---|---|
囚人 | ぐ、うぁ……お前ら、なんだ……? また、薬を打ちやがるのか……! あれは……あれだけはやめてくれ……! |
主人公 | 【薬……?】 【どういうこと?】 |
シャルルヴィル | ……! カールさんのマスターが異常に短命なのは、 その薬のせいなんじゃない? |
マークス | 薬で弱らされていたということか? 薔薇の傷も酷い状態だが……。 |
シャルルヴィル | 薔薇の傷を悪化させる薬とか……? それか、薬で身体が弱ると、 薔薇の傷も余計に酷くなるのかも……。 |
マークス | とにかくこれではっきりした。 カールのマスターの死は、何か企んでるヤツのせいだ。 |
主人公 | 【マスターの居場所はわかったから……】 【あとはカールさんを見つければ……!】 |
シャルルヴィル | 彼の傷を癒して、 カールさんを助けられる! |
衛兵 | ……っ!? 侵入者!? |
マークス | しまった! |
衛兵が応援を呼ぶより早く、
マークスが彼を気絶させる。
主人公 | 【時間がない】 【ここでやろう!】 |
---|
もし、またこの後衛兵に見つかれば、
マスターである囚人のもとへ戻ってこれないかもしれない。
選択肢は限られていた。
シャルルヴィル | わかった。 ───絶対高貴! |
---|---|
囚人 | う……。あぁ…………。 |
シャルルヴィルの絶対高貴によって、
衰弱していた男の薔薇の傷が癒えていく。
男は、そのまま気を失ってしまった。
マークス | これで、カールは銃に戻ったのか? |
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シャルルヴィル | たぶん……? もしかしたら、 ローレンツさんかベルガーさんのマスターかもしれない。 |
シャルルヴィル | 薬でわざと弱らされていたことからして、 カールさんのマスターっていう可能性が高いとは思うけど……。 |
シャルルヴィル | …………。 |
シャルルヴィル | ねぇ。ボクはここに残るから、2人は上に戻って。 |
マークス | は……? 何言ってるんだ、あんた。 ここに長居するのは危険だぞ。 |
シャルルヴィル | でも、この人の他にも、マスターがいるはずだよ。 もしも、そっちがカールさんのマスターだったら? それに、カールさんの居場所が見つかったか、まだわからない。 |
シャルルヴィル | 広い宮殿の中をローレンツさんだけで全部調べるのは大変だし、 できるだけ早く───カールさんを利用してる奴らより早く、 ボクたちが見つけるか、奪っちゃわないといけない。 |
マークス | ……俺がここにいても、囚人の傷は治せねぇけど、 上での捜索や戦闘なら役に立てる……か。 |
シャルルヴィル | Oui♪ 適材適所ってやつだよ。 だから……ここはボクに任せて、行って。 |
主人公 | 【……気を付けて】 【無事に再会しよう】 |
シャルルヴィル | うん! |
マークス | 行こう、マスター! |
シャルルヴィル | ふぅ……。 |
シャルルヴィル | (手が震えてるの、バレなかったかな……) |
シャルルヴィル | 本当は、ちょっと怖い……。 でも……。 |
シャルルヴィル | ……ここでやらなきゃ、貴銃士じゃない! |
───〇〇たちが地下へ向かっていた頃。
ローレンツ | ……宮殿内の主要な部屋の確認は終えた。 だが、カール様は見つからない……。 隠し部屋だった場合、見つけるのは困難だ。 |
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ローレンツ | やはりここは……Mr. ベルガーの崇高な絶対非道の力で、 宮殿内に歓喜の狂乱を巻き起こし、 カール様を秘匿している連中をおびき出すしかないのだが……。 |
ローレンツ | 肝心のMr.ベルガーも見つからないのとは……。 ああっ、なんたる悲劇……! |
使用人1 | きゃーーーーっ!!! |
ローレンツ | む!? 何事だ……? まさか、カール様が!? |
ローレンツが声のする方に行くと、
使用人たちが戸惑った様子で人だかりを作っていた。
ベルガー | ギャハハハハ! ポテチうめー! |
---|---|
アルパチーノ | キキッ! チューッ! |
ローレンツ | あれは……Mr.ベルガー……? ま、待て、ポテトチップスを入れているあの入れ物は……! |
使用人1 | ああ、希少な壺が油まみれに……!! 私の一生分の給与より高そうなのに……! |
使用人2 | やめてください、壺を置いてください! |
ベルガー | あ? うるせぇ!! ちょうどいい持ち手もあるしよぉ、 この壺はポテチ入れるために作られたんだろ〜〜が! |
使用人2 | そ、そんな……。 |
ローレンツ | Mr.ベルガー、見つけたぞ! |
ベルガー | げっ!! |
ローレンツ | Mr.ベルガー、その壺は非常に貴重な逸品だ。 チップス入れには相応しくない! |
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ベルガー | やべーーー!! キモメガネだ!! 逃げるぞ、アルパチーノ! |
アルパチーノ | キキキィッ! |
ローレンツを見て慌てたベルガーは、
手にしていた壺をぽいっと放り投げてしまった。
使用人1 | ああーーッ!! |
---|---|
使用人2 | つ、壺が……希少な壺が……! |
ローレンツ | Mr.ベルガー、お待ちを! |
ローレンツ | 素晴らしい絶対非道の力をお持ちのMr.ベルガーだが、 歴史深い品への冒涜はいけない!! お待ちをー!!! |
ベルガー | ぎゃはははっ!! せっかく出られたんだから捕まってたまるかー!! ばーか、ばーーーーか!! |
宮殿中を逃げるべルガーを追いかけて、
ローレンツが必死に走り回る。
が、広い宮殿の中に隠れたベルガーはなかなか見つからない。
ローレンツ | ぜぇ……はぁ……み、Mr.ベルガー! このあたりにはオーストリアゆかりの骨董品が多いのだ。 どうか動かないでじっとしていてくれ……! |
---|---|
ベルガー | 動くなって言われて動かねぇバカは動かねぇんだよォ!! |
ローレンツ | 意味がわかるようでわからないと思いきや、 至極当然のことを言っている……。 ああ、待ってくれ!! |
ベルガーが走っていった先から、
逃げ回る使用人たちの悲鳴があがる。
ローレンツ | あちらの方向か……! |
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ローレンツ | ……? ここは、ほとんど使われていない客間のはずだ。 |
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ローレンツ | なぜこんなところに使用人がいたのだ? Mr. ベルガーの姿は……見当たらないな。 |
ローレンツ | (この部屋……何か違和感がある。なぜだ?) |
室内を観察したローレンツは、
本棚付近のソファの前に絨毯がないことに気づいた。
ローレンツ | (ヴァイスブルク宮殿では、こういった家具配置の場合、 ソファの前に絨毯が敷かれていることが多い。 それがないということは……?) |
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ローレンツは、本棚をあさりはじめた。
そして───。
ローレンツ | ……あった。 俺の推測通りだ。 |
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本の奥に隠されていたロックを解除すると、
本棚が軽い力で動くようになり、
隠されていた入口があらわになる。
ローレンツ | この部屋にいた使用人。隠し扉の仕掛け。 見つからないカール様。 これらの情報から導き出される答えは───。 |
---|---|
ローレンツ | すぐに参ります、カール様……! |
ローレンツは、隠し扉から中へ入る。
通路を進んでいくと、塔を上がるらせん状の階段があり、
その先に1つの部屋があった。
ローレンツ | ……っ! カール様……! |
---|---|
カール | …………ぅ、ん? ……っ!ローレンツ! |
ローレンツ | カール様! ああ……お待たせしてしまい申し訳ありません。 |
カール | まったくだ……。 礼を言うよ、ローレンツ。 君が来なければ、僕は動くことすらままならなかっただろう。 |
カール | 力を失った挙句にお荷物になるなど悔しいがね。 嘆いている暇はない。 攻めに転ずるためには、まずはここから脱出しなくては。 |
カール | ……ローレンツ、助けてくれ。 君の力が必要だ。 |
ローレンツ | ……っ、カール様……! もちろんです。俺はあなたの、忠実なる臣下なのですから! |
ローレンツ | さあ、こちらですカール様! 俺が背負いますので、どうぞ─── |
ローレンツがカールを背負おうとした時、
カールの身体が淡い光に包まれる。
カール | これは……! |
---|---|
ローレンツ | なっ……!? |
カール | ふむ、この感じ……。 誰かが絶対高貴で薔薇の傷を癒やしているようだねー。 |
カール | フルサトでないとしたら、シャルルヴィルか。 ……うん。 |
カール | ローレンツ、“僕”を任せたぞ。 |
カールはそう言い残すと、銃に戻っていく。
床に落ちそうになった彼の本体を、ローレンツが受け止めた。
ローレンツ | ……お任せを、カール様! |
---|
ローレンツは銃に戻ったカールを手に、
隠し部屋をあとにした。
ローレンツはカール本体の銃を抱え、
宮殿の中を駆けていた。
トルレ・シャフ構成員1 | 地下牢に侵入者あり! 塔にもだ! |
---|---|
トルレ・シャフ構成員2 | 銃ごと消えている。 なんとしても探せ! |
ローレンツ | (もう気づかれたのか……。 ここからどうする。一旦宮殿を出た方がよさそうか) |
トルレ・シャフ構成員1 | ……おい、待て! |
ローレンツ | ……っ! まずい……! |
トルレ・シャフ構成員1 | 逃げたぞ、追え!! |
ベルガー | なーなーアルパチーノ。 ポテチもコークも飽きるほど食ったし、外行くかー! |
アルパチーノ | チー! |
ローレンツ | ……Mr.ベルガー!? |
ベルガー | げっ!!!! |
カールの銃を持って逃走していたローレンツは、
食糧庫から出てきたべルガーと鉢合わせる。
トルレ・シャフ構成員1 | 3挺とも確保するぞ! |
---|---|
ベルガー | はぁ? テメーら人間だろ? 俺サマ貴銃士! 絶対ヒドー! つまり捕まんねぇ! AED! あひゃひゃひゃ!! |
ローレンツ | Mr.ベルガー、そこはAEDではなくQ.E.D.かと。 とにかく、あなたの素晴らしき絶対非道の力で─── |
ベルガー | 言われなくても使ってやんよ。 絶対ひ───……あれぇ? |
アルパチーノ | キキッ!? |
ローレンツ | なっ!!!! |
ローレンツ | Mr.シャルルヴィルが、 Mr. ベルガーのマスターを癒やしたのか……!? こんな時に……そんな……! |
トルレ・シャフ構成員1 | どういうことだ、貴銃士が消えていく……? |
トルレ・シャフ構成員2 | だが、好都合だ。大人しくしろ! |
ローレンツ | ぐあっ! |
殴られたローレンツが床に倒れた。
トルレ・シャフ構成員がローレンツから
カールの銃とベルガーの銃を取り上げようとした時───
アルパチーノ | キキッ───ッ!! |
---|---|
トルレ・シャフ構成員2 | い、痛ぇ!!! |
トルレ・シャフ構成員2 | 手が……クソッ!! なんだこのネズミは!! |
ローレンツ | アルパチーノ……!! |
アルパチーノに噛みつかれた男は、
必死に手を振り回してアルパチーノを振りほどこうとする。
ローレンツ | い、今のうちに……! |
---|
ローレンツは、2挺の銃を拾い上げて再び駆け出す。
トルレ・シャフ構成員2 | クソネズミが……こうしてやる!!!! |
---|---|
アルパチーノ | ヂュッ!? |
ローレンツ | アルパチーノ!!!! |
アルパチーノ | ……キッ…………。 |
噛み付いた拳ごと壁に叩きつけられたアルパチーノは、
小さな鳴き声を最後に動かなくなる。
それでもなお手に食らいついたままのアルパチーノを、
トルレ・シャフ構成員の男は忌々しそうに引きはがし、
床へと放り投げた。
ローレンツ | あ……アルパチーノ……!! ………………っ! |
---|---|
ローレンツ | あんな小さな身体で、勇敢にも……っ。 立ち向かっていった戦士がいるのに、 官製ローレンツ・ライフルの俺が逃げ回ってどうする……! |
トルレ・シャフ構成員1 | 絶対高貴にもなれない古銃は、 大人しく投降しろ。 |
ローレンツ | 断る! 貴様らのような連中に、カール様とMr. ベルガーを渡すものか! |
ローレンツ | ……はっ、これは……!? |
その時───ローレンツの身体も、
淡い光を帯びて輪郭がぼやけ始める。
ローレンツ | そうか、しまった……俺のマスターも……! |
---|---|
トルレ・シャフ構成員2 | ふん、銃に戻るか。 手間が省けたな。 |
ローレンツ | く、くそ───……! |
ローレンツが貴銃士としての肉体をなくしたことで、
3挺の銃が床へと落ちる。
トルレ・シャフ構成員1 | よし、回収だ。 とっととずらかるぞ。 |
---|---|
??? | そうはいかない。 |
トルレ・シャフ構成員1 | お前らは……! |
〇〇とマークスは、
ローレンツたちを捜してヴァイスブルク宮殿内を走り回っていた。
マークス | ダメだ、こっちにもいない。 あいつ、どこに行ったんだ……! |
---|---|
マークス | ……! 今の音……銃声か!? |
主人公 | 【行こう!】 |
マークス | こっちだ、マスター! |
〇〇たちが駆けつけると、
そこにはフリッツ・ザラが3挺の銃を持って立っていた。
ザラ | 来たか。 |
---|---|
マークス | てめぇ……そいつらを渡せ! |
主人公 | 【もうカールさんを死神にはさせない!】 【これ以上利用するなら彼らを奪う!】 |
ザラ | 奪う必要はない。 もとより、君に託すつもりだった。 |
マークス | ……は? どういうことだ? |
〇〇たちが状況を掴めずにいると、
ザラはカールの銃を恭しく差し出した。
ザラ | 危険な賭けでしたが……やってくださったのですね。 どうかよろしくお願いいたします。 あなたならば、真にカール様のマスターになれるでしょう。 |
---|---|
マークス | ……??? 意味がわからない……何を企んでいる? あんたは敵だろう? |
ザラ | 紛らわしい真似をして申し訳ない。 ……あの手紙を出したのは私です。 |
ザラ | 地下室への道を示せば、 あなた方が状況を打開してくれると信じて……賭けたのです。 |
シャルルヴィル | 〇〇、マークス! みんな! |
シャルルヴィル | ……あれ……この状況は……? |
ザラ | シャルルヴィルさん。よくぞやってくださいました。 どうかお礼を言わせてください。 |
シャルルヴィル | どういたしまして……? あの、わけがわからなくて、説明が欲しいんだけど……? |
マークス | 俺たちも何もわかってない。 |
ザラ | 私は、あなた方の味方です。 ……恭遠さんとも旧知の仲でして。 |
マークス | 恭遠と? |
ザラ | ええ。私は、元レジスタンスですから。 |
主人公 | 【レジスタンス!?】 |
ザラ | とはいえ、諜報を主としておりましたので、 私が元レジスタンスであることを知る者はごく少数です。 |
ザラ | この情報は、政府側も把握していなかったのでしょう。 おぞましい計画の「お飾り」に選ばれてしまいました。 |
シャルルヴィル | どういうこと……? |
ザラ | 私がマスターになる前……ザラ家は経済的に困窮していました。 よくある話です。 現当主……つまり私の父親が事業で失敗してしまったのです。 |
ザラ | オーストリア政府からの協力要請が来たのは、 いよいよ破産が近づき、 大切なバイオリンを手放すかの瀬戸際という時でした。 |
ザラ | ───『何も言わず、何もせず、ただ我々に従うこと』 |
ザラ | それが、ザラ家への経済支援と引き換えに 政府が提示した条件でした。 |
ザラ | 何かがおかしい、ということは明白でした。 だからこそ、私は恭遠殿と密かに連絡を取り合い、 オーストリアの現状について調査を進めたのです。 |
マークス | あんたが本当に味方なら、 なんでカールたちにそのことを教えなかったんだ? |
ザラ | 私はお飾りのマスターですから、 カール様たちとの交流の機会は制限されていました。 |
ザラ | それに、カール様の御様子からして、 何かしらの睡眠薬が使われている様子……。 |
ザラ | ああいった薬の中には、半ば自白剤のような作用をするものや、 薬の影響下にある間の記憶があいまいになるものもあります。 |
ザラ | 薬を排除できればそれが一番よかったのですが、 黒幕や目的が不明瞭な以上それも叶わず…… 私が味方であることが敵に伝わらないようにしたのです。 |
シャルルヴィル | そういうことだったんだ……。 確かにボクも、チョコレートを食べちゃったあとの記憶、 いまだにちょっと曖昧だし……。 |
シャルルヴィル | 味方なのに、嘘をつき通すのってつらそうだけど…… そのおかげでこうしてカールさんたちを確保できたんだよね。 |
ザラ | 私のつらさなど、なんということはありませんよ。 |
ザラ | カール様は偉大なお方で、 類まれなる強靭で気高い意志をお持ちです。 躊躇いなく、尊き御身に銃弾を放てるほどに……。 |
ザラ | レオポルト様、マルガリータ様……そしてカール様。 ハプスブルクゆかりの貴銃士のために この身を使える栄誉は計り知れません……! |
マークス | なんか、こいつ……ローレンツと似たような匂いがしてきたぞ。 |
主人公 | 【死刑囚が言っていた「薬」について知りたい】 【カールさんのマスターはなぜ短命なのか?】 |
ザラ | 囚人たちに投与されていたのは、ごくわずかな毒のようです。 しかし、わずかでも毒を投与されれば身体が弱る。 それによって、薔薇の傷の進行が異常に速まるようでした。 |
マークス | そういや、フランスのマスター……カトリーヌだったか。 あいつも身体が弱いから、傷の悪化が早いみたいだったな。 |
ザラ | おそらく、それと似たような原理なのでしょう。 ……最終的には、謎の協力者の貴銃士によって、 死刑囚たちの傷は完治しています。 |
ザラ | ですが、繰り返された毒物投与などによって衰弱し、 そのまま死に至る者が多いようです。 |
ザラ | 生き延びた者も……口封じのため、死刑を執行されたかと。 |
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