──革命戦争の最中、まだ幼い子供だった頃。
レジスタンス活動をしていた両親が世界帝軍によって処刑され、
〇〇は孤児となってしまった。
そんな〇〇を、金銭的にも精神的にも
支えてくれていた謎の恩人『ダンローおじさん』。
これまで頑なに正体を明かさず、会おうともしなかった彼から
突如『会いたい』と連絡があり、〇〇は
ライク・ツーとともにドイツを訪れた。
そこで、恩人──ダンロー・ユリシーズが
連合軍ドイツ支部の兵士であり、
決死のマスター任務に就いていることが明らかとなる。
〇〇は、彼を助けるために、
親世界帝派との内線が繰り広げられている前線基地に留まり、
ドライゼらドイツの貴銃士たちに協力して作戦に参加。
様々な危機がありながらも、
ドライゼ率いるドイツ支部の前線部隊は、
ニュルンベルク基地奪還に成功したのだった。
〇〇たちがイギリス・フィルクレヴァート士官学校へ
戻ってから一週間後……。
ジーグブルート | ……っ、ここは……基地か。 おい、俺が銃に戻ってからどれくらい経ってる? |
---|---|
エルメ | 目が覚めたかい? 言うことを聞けないお馬鹿さん。 最初の発言がそれでいいのかな。 |
ジーグブルート | あ? |
エルメ | まったく……まだ事の重大さがわからないかな。 ジグ、君の行動は度を越しているんだ。 |
ドライゼ | ジーグブルート、よく聞け。 度重なる規律違反、特に、撤退命令を無視して 単独での戦闘を強行・継続したことは重大な問題だ。 |
ドライゼ | それを鑑みて、貴様を銃のままで1週間謹慎とした。 再び貴銃士として生まれたことに感謝し、 次こそ自らを制し秩序ある行動を取れ。 |
ジーグブルート | ああ……!? 戦場で敵をブッ飛ばして何が問題だっつうんだ! むしろ感謝すべきはてめぇらだろ!? |
エルメ | あのね。君が犯した規律違反はもう20回を越えているんだよ。 君の存在や戦い方は、ドイツ支部のリスクになっているんだ。 それがわからないかな? |
エルメ | 貴銃士だからといって無条件に許されはしないよ。 それに、マスターへの負担も大きすぎる。 |
ジーグブルート | ハッ、今回のやつも死んだのか。 |
ドライゼ | ……貴様の暴走により、瀕死の状態だった。 今回は〇〇の貴銃士が駆けつけて、 処置が間に合い一命をとりとめたが。 |
ジーグブルート | それがなんだ。 消耗品の状況なんてどうでもいい。そうだろ。 |
ドライゼ&エルメ | …………。 |
ドライゼ | これまでのドイツ支部は、マスターを含め 兵士の犠牲もある程度許容せざるをえない状況にあった。 |
ドライゼ | 親世界帝派の激しい抵抗、 次々と現れる多数のアウトレイジャー……。 |
ジーグブルート | それから、絶対高貴になれねぇ特別司令官サマ? |
ドライゼ | …………。 そうだ。確かにそうだった。 |
ジーグブルート | そうだった、って……。まさか。 |
エルメ | うん、ドライゼは絶対高貴に目覚めたんだよ。 俺たちの新たなマスター……〇〇のもとでね。 |
ジーグブルート | は……!? 絶対高貴……いや、それだけじゃねぇ。 マスターがあの士官候補生って…… 俺が銃に戻ってる間に何があったんだよ! |
ドライゼ | それについては今詳細を話す必要はなかろう。 重要なのは、これ以上貴様の規律違反を容認できないこと、 今後の戦いの方針が変わるということだ。 |
ジーグブルート | ……どういうことだ。 |
エルメ | マスターである〇〇の方針に寄せる…… というのもあるけど、これまでとっていた次善策ではなくて、 最善の戦い方にシフトするんだよ。 |
エルメ | つまり──マスターを使い潰すことをやむなしとせずに、 極力少ない犠牲での勝利を目指す。 |
ジーグブルート | ……は? なんだよそれ、今更そんな……。 |
エルメ | まあ、今までも別に、積極的に使い潰す方針ではなかったけど。 戦力や戦況的に余裕ができたからなおさら、 殉職を「仕方がない」「そういうもの」とは言えないよ。 |
ドライゼ | そのことを胸に刻み、 マスターに過度の負荷をかけるような戦い方は慎め。 いいな。 |
ジーグブルート | は……んなこと…… お前ら、これまで散々……! |
ドライゼ | ……何を喚こうと、貴様が貴銃士になったばかりで、 ドイツ支部の新入りであるという事実は変わらん。 文句は成果を出してから言え。 |
---|
エルメ | まあ、マスター候補はいくらでもいるみたいだし、 いつどこでどんな死に方をするかわからない、 遺体も回収されるかわからない兵士よりはマシかもね。 |
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ジーグブルート | 偉そうに言ってるお前らだって……同罪だろうが! 今になって、俺だけ責めるってのかよ……! |
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エルメ | 同罪……? 状況的にどうしても限界まで戦わないといけない時を除いて、 俺はマスターを急速に死に至らしめるようなことはしてないのに。 |
エルメ | マスターが死ねば、俺たちは銃に戻る。 特別司令官と、特別司令官補佐がまとめて消えたら大変だから、 力の使い所と加減はよく考えていたよ。 |
ドライゼ | エルメも俺も、貴様の無茶な戦い方を何度も止めたはずだ。 それを忘れたとは言わせないぞ。 |
ジーグブルート | ……っ! |
青年 | 私は、君の新しいマスターだ。 |
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青年 | ジーグブルート、よくやった……! 君は……私の誇りだ! |
ジーグブルート | ……あいつは、死んだのか。 |
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ジーグブルート | あいつはまあまあ馬が合うし、 見どころがある奴と思ってたんだが……。 まさか戦場でコロッと死ぬような男だったとはな。 |
エルメ | ん? ちょっと待って。 ジグ、君……彼が戦いの中で死んだと思ってたの? |
エルメ | いや、だって──彼を殺したのは君でしょ。 |
エルメ | 絶対非道の力はどこから湧いていると思ってたんだい? 貴銃士自身の力ももちろんあるけど…… その源は、マスターの生命力だ。 |
ジーグブルート | 俺が、あいつを──。 ……っ! |
ジーグブルート | (俺は……俺は、知らなかったんだ……!) |
---|---|
ジーグブルート | (くそ……っ、やめろ、考えるな……!) |
エルメ | ジグ? |
ジーグブルート | …………。 戦場だ。俺は戦場に行く……。 |
ドライゼ | おい、待て。 勝手な行動は慎めと──…… |
ジーグブルートはドライゼの言葉を最後まで聞くことなく、
さっさと出て行ってしまった。
──アウトレイジャーがうろついていた廃墟を制圧したあと、
ジーグブルートは1人、屋上に立つ。
あたりには、戦闘により損壊した建物の破片が散らばっていた。
それを拾い上げ、宙に放り投げ──
それが地面に落ちる前に、銃で撃ち抜いた。
ジーグブルートは、無心を保つように──
何度も何度も同じ行為を繰り返す。
ジーグブルート | …………。 |
---|
また1つ破片を投げ、狙いを定めた時──
──パァン!
何者かの弾丸が、ジーグブルートより先にそれを撃ち抜いた。
ジーグブルート | 誰だ! |
---|---|
??? | ハハ、怖い顔すんなよ。 |
??? | 楽しそうな遊びしてるじゃん、俺もやっていい? |
2ヶ月後──。
ドイツ、インゴルシュタット仮設基地にて。
エルメ | まだ痛むかい? それ……。 |
---|---|
ドライゼ | ぐ……多少な。 しかし、まったく……不甲斐ない。 特別司令官たる俺が停滞の原因となるなど……。 |
エルメ | あの状況じゃ仕方ないよ。 アウトレイジャーに囲まれた状態から、 1人も欠けずに戻れただけでよしとすべきじゃないかな。 |
ミュンヘン奪還へ向けて進軍していた、
ドライゼ率いるドイツ支部の前線部隊。
親世界帝派組織と日々激闘が続く中で重傷を負ったドライゼは、
インゴルシュタットの仮設基地にて休養を余儀なくされていた。
ドライゼ | ベッド上で軽い執務ができる程度には回復できたが…… 前線に戻るには2週間以上かかりそうだな。 |
---|---|
エルメ | 下手に急がずにじっくり治そう。 いくらドライゼでも、 マスターの治療なしだと完治まで時間がかかるよ。 |
ドイツ支部兵士 | ……失礼します! ドライゼ特別司令官にお客人がいらしています! |
ドライゼ | 客……? そんな予定は聞いていないが。 |
ドイツ支部兵士 | 約束はしていないとのことで…… あ、皆さん、待ってください! まだ了承が──…… |
ジョージ | Hey! ドライゼ、エルメ! これ、お見舞いのぶどうだぜ☆ |
エルメ | えっ? |
主人公 | 【お待たせ】 【治療しに来たよ】 |
ドライゼ | な……、マスター、あなたがなぜここに!? 救援要請など出していないぞ……! |
シャスポー | おい、その言い草はなんだ。 〇〇がわざわざ来たっていうのに……! |
エルメ | ええと……状況がよくわかっていないんだ。 どうしてここまで来たのか教えてくれる? |
主人公 | 【了解】 【もちろん】 |
〇〇は、
仮設基地に来るまでの経緯を話し始めた。
ラッセル | ……〇〇君、ちょっといいか。 |
---|---|
ラッセル | ドイツ支部から緊急の連絡が入った。 どうやらドライゼ殿が作戦中に負傷したらしい。 |
ジョージ | Oh……大丈夫なのか!? |
ラッセル | 詳細は不明だが、全治1ヶ月ほどの重傷だそうだ。 |
主人公 | 【治療に行きます】 【ドイツ行きの許可をいただけますか?】 |
ラッセル | 君ならそう言うだろうと思ったが…… ドライゼ殿からの連絡や協力要請は来ていない。 あくまで、ドイツ支部から情報が共有されただけだ。 |
ラッセル | 必要ならば協力要請が来るはずだし、 それがないということは問題ないのかもしれないぞ。 |
シャスポー | ねぇ、〇〇。 内戦の前線に近い危険地帯にわざわざ行く必要はないよ。 僕は反対だ。 |
主人公 | 【でも、ドライゼの怪我の具合が気になる】 【無事かどうかちゃんと見て確かめたい】 |
ジョージ | そうだよなぁ。 遠いところで大怪我したって聞いたら、 心配で落ち着いて勉強なんてしてらんないって! |
ジョージ | なあ、護衛でオレも一緒に行くよ! それならいいだろ? ラッセル! |
シャスポー | ちょ、ちょっと待ってくれ。 それなら、君にだけ任せるわけにはいかないね。 僕も同行するよ! |
シャスポー | (ジョージはいい奴だけど考えなしで能天気だからな……。 僕がしっかり監督して、〇〇を守らなければ!) |
シャスポー | (それから、ドライゼの奴……! 怪我して〇〇の手を煩わせるなんて、 ひとこと言ってやらないと!) |
その後、士官学校からドイツ支部へ、
〇〇が応援に向かうことについて打診が行われた。
ラッセル | 待たせたね。君たちのドイツ行きについて確認を取ったよ。 ドイツ支部の中将殿から、君たちを歓迎すると返答があった。 |
---|---|
ラッセル | 〇〇君は先日のドイツ行きで 嫌というほどわかっているだろうが、 ミュンヘン周辺にはまだまだアウトレイジャーが多いそうでね。 |
ラッセル | 『貴銃士を伴いドイツに来てくれるのであれば 戦力的にも有り難いが、くれぐれも無理はしないように』…… との言葉もいただいている。 |
ラッセル | 今回は要請を受けての任務ではなく、 あくまで善意の協力だ。 絶対に無理はせず、安全第一で行ってきてくれ。 |
主人公 | 【イエッサー!】 【了解です。ありがとうございます!】 |
ジョージ | って感じで、ヘルプに来たんだぜ☆ |
---|---|
エルメ | そう……。 |
ドライゼ | ふむ……。 |
ジョージ | あ……アレ? なんか機嫌悪い? |
ドライゼ | いや……正直なところ、 俺の怪我が原因で進軍が停滞するのは不本意極まりなかったから、 治療をしてもらえるのはとてもありがたい。 |
シャスポー | なんだい。 ありがたいっていう顔じゃないだろう、それは? |
ドライゼ | ……ありがたいのは間違いないんだ。 ただ、あなたが今ドイツに来るのは……。 |
ドライゼ | うむ……あまり考えたくないことだが、 以前のように基地内に不穏分子が紛れ込んでいる可能性もある。 |
ドライゼ | 安全と言い切れない場所に、マスターであるあなたを 呼び寄せるわけにはいかないと思っていたのだ。 |
シャスポー | へぇ? 君にしては殊勝な心がけじゃないか。 |
ドライゼ | 手を煩わせてすまない、マスター。 治療を終えたら早急に士官学校へ──…… |
ジョージ | No, No! 急いでたからとりあえずオレたち2人が来たけど、 あとから増援が来るから、すぐ帰ったりしないぜ☆ |
エルメ | え? どういうこと? |
主人公 | 【ミュンヘン奪還にも協力するつもり】 【大規模作戦なら自分がいた方がいいはず】 |
ドライゼ | ……! |
エルメ | そう……確かに、今後の作戦で俺たちが負傷しないとは限らない。 君や、応援の貴銃士たちがいるのは心強いね。 ねぇ、ドライゼ? それなら……。 |
ドライゼ | ああ……決まりだ。増援が来るまで、 俺たちが責任を持って、あなたの安全確保に全力を尽くすと誓う。 |
ジョージ | じゃあ、まずは傷を治さないとだな☆ |
〇〇は、あちこちに傷を負っているドライゼに、
薔薇の傷が刻まれた手をかざした。
ドライゼ | ありがとう……マスター。 あなたに、心からの感謝を。 |
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ドライゼの怪我が治ったことにより、
ミュンヘン奪還作戦の再開が早められ、
一週間後に動き出すことが決まった。
インゴルシュタットの仮設基地では、
作戦再開に向けた準備が着々と進んでいく。
ドイツ入り翌日の朝。
〇〇が自室から出ようとすると──
──ドンッ!
主人公 | 【うわっ!?】 |
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ドライゼ | む! すまない、マスター!! |
壁に激突したと思いきや、それはドライゼだった。
ドライゼとエルメが部屋の前で仁王立ちしていたのだ。
エルメ | おはよう。 警備をしていたんだよ……驚かせてすまないね。 |
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すると、隣の部屋からシャスポーとジョージが現れる。
ジョージ | Good Morning! 今日のごはんはなんだろな~! |
---|---|
シャスポー | おはよう、〇〇。 よく眠れたかな。 |
シャスポー | …………。はぁ……。 |
ジョージ | おいおい! シャスポー、どうしたんだよ。 朝から悩み事か? |
シャスポー | 悩みというか……あるだろう、いささか不愉快なことが。 君は気にならないのか? |
ジョージ | へ、何が? |
シャスポー | 昨日ここにやってきてから四六時中! 〇〇がどこへ行くにも何をするにも! ドライゼとエルメどちらかか両方がついて回るんだぞ!? |
シャスポー | エルメはまだしもドライゼのゴツい顔を常に 見続けなくちゃいけないなんて、ああ! 拷問のようだよ……! |
ドライゼ | ……昨日も伝えた通り、基地内でも警戒は必要だ。 マスターの身の安全は、この基地の責任者たる俺とエルメが 責任を持って確保すると誓ったのだ。 |
ジョージ | へへっ、頼もしいよな☆ |
エルメ | 警戒する人数が多いと油断に繋がるというけれど、 君たちも気を抜かず、安全確保に努めて。 |
シャスポー | もちろん。 言われなくても、〇〇は僕が守るよ! |
主人公 | 【自分自身も気をつけるよ】 【みんなありがとう】 |
エルメ | さ、もう朝食の時間だよ。 早く食堂に行こう。 |
ドライゼが先頭、エルメがしんがりで、
インゴルシュタット仮設基地内を進んでいく。
一行の姿を見て、兵士たちがザッと整列し敬礼した。
ドイツ支部兵士 | ドライゼ特別司令官! 席はあちらに用意しております! |
---|---|
ドライゼ | ご苦労。 |
ドイツ支部兵士 | はっ!! |
エルメ | 君たちも席について。 |
ドイツ支部兵士たち | Jawohl(ヤヴォール)!! |
シャスポー | ああ……ここでは優雅な朝食というものは存在しないんだ。 |
ジョージ | オレはフランスに行った時もみんなの様子が 全然違ってびっくりしたけど、ドイツもまた全然違うよな! |
主人公 | 【ジョージは何にびっくりした?】 【何が違う?】 |
ジョージ | ものすっごいビシッ!バシッ!ってしてるとこ! 士官学校もスゲーって思ってたけど、 ここはもっとピリッとパリッとしてるよな。 |
シャスポー | ……すさまじく感覚的で知性が乏しい感想にも驚きだよ。 まぁ言いたいことはわかるけどね。 |
豪華ではないが栄養バランスの取れた十分な朝食を終え、
〇〇たちは訓練の様子を見学する。
ドイツ支部兵士1 | 遅いぞ! そんな動きでミュンヘン奪還を為せると思うな!! |
---|---|
ドイツ支部兵士2 | Jawohl!! |
ドイツ支部兵士1 | 第3班! 腕立て用意! |
ドイツ支部兵士たち | Jawohl!! |
シャスポー | ……なあ。重大な作戦が間近に迫っているのに、 こんなハードな訓練をしていていいのか? |
ジョージ | 作戦前にヘトヘトになっちまいそうだよなぁ。 |
ドライゼ | この程度で作戦に悪影響が出るような、 生ぬるい鍛え方はしていない。 |
ジョージ | ワーオ……。 オレがこの中に放り込まれたら、初日でダウンしそうだ……。 |
シャスポー | 君だって、本当に大事なものがかかっているとなれば、 これくらい真剣に訓練に取り組めるんじゃないか? |
ジョージ | 大事なもの……〇〇のためとか? それなら……うん、たしかにそうだな。 |
シャスポー | (……おや) |
ドイツ支部兵士3 | ドライゼ特別司令官、そろそろお時間です。 |
ドライゼ | ああ。 ……これから我々はベルリンと定期連絡を行う。 マスター、あなたは部屋で待機していてくれ。 |
エルメ | シャスポー、ジョージ。 〇〇の護衛はくれぐれも頼むよ。 |
シャスポー | 言われずとも。 |
見学や一部訓練への参加、
作戦へ向けた打ち合わせなどをして過ごし、迎えた夜。
シャスポー | ふぅ……やっと静かで落ち着く環境に戻れた。 この基地はどこもかしこも熱気がすごくて、 いるだけで精神力を使うよ。 |
---|---|
ジョージ | うんうん。 みんな、ミュンヘン奪還に向けて燃えてるよなー。 |
ジョージ | んで、ドライゼとエルメは……すっげー警戒してる。 それだけ〇〇を大事にしてるってことだよな☆ |
シャスポー | む……それは一理ある。 |
シャスポー | 君、脳天気なのに意外と見えるところは見えてるんだな。 |
ジョージ | えっ、どういうことだ!? |
シャスポー | まあ、元はと言えばドライゼが怪我なんてしたから 〇〇がこんなところまで来る羽目になったわけで。 それが原因で何かあったらいけないことは弁えてるんだろう。 |
シャスポー | 僕っていう護衛がいるのに……。 力に疑問符をつけられているようで腹立たしさはあるけれど。 〇〇の安全には代えられないからな……。 |
シャスポー | さぁ、明日も早いんだ。 さっさと休もう。 |
ジョージ | そうだな。Good Night☆ |
翌日──ミュンヘン奪還作戦の決行まで、あと6日。
ドライゼとエルメは会議のために朝から不在とのことで、
〇〇は3人で食堂へ向かった。
シャスポー | うんうん。前をでかいのが歩いていなくて視界良好! 暑苦しい挨拶もなしで清々しい朝だね。 |
---|---|
シャスポー | ドイツの貴銃士から解放されてせいせいするよ。 特に、というか主にドライゼから……! |
??? | ……こに……る、ぞ。 |
ジョージ | シャスポーって本当にドライゼがニガテなんだなー。 真面目で頼もしくていいヤツなのに! |
シャスポー | 君……僕が散々話して聞かせただろ? プロイセンがどれだけ野蛮で卑劣な行いを フランスに対してしてきたか! |
??? | おーい……。 |
シャスポー&ジョージ | え……? |
主人公 | 【今、声が……】 |
ゴースト | さっきから、ずっと話しかけ……てる、んだけど……。 |
ジョージ | Wow!? |
シャスポー | うわっ!? いるならいると言ってくれ……! |
ゴースト | え……俺、朝からそばにいたのに…… 今の今まで、気づい……てなかった、のか……? ドライゼたちに頼まれて、ずっと護衛し……てたんだけど……。 |
ジョージ | 護衛……? |
ゴースト | あんたたちとは、初対面……だったか。 俺はDG11の貴銃士……ゴースト。 |
ジョージ | Hi、ゴースト! よろしく! |
ジョージ | おまえ、マジでユーレイみたいだなぁ。 こんなに気配が薄いなんてCOOL☆ |
ゴースト | うぐ……悪気がないってわかる…… わかるからこそ余計に鋭く刺さるぅ……。 |
シャスポー | まあ、存在感がないのも護衛としてはいいんじゃないか? |
ゴースト | そうか……。 俺が護衛で……光栄、だろ。ふ、ふふっ……。 |
シャスポー | 何をぼろぼろ言って笑ってるんだい? 薄気味悪いな。 |
ゴースト | ひ、ひどっ……。 っていうか、ダジャレが伝わってない……。 |
シャスポー | …………。 ドライゼに君に……ドイツの貴銃士はどうなってるんだい。 |
シャスポー | あ……そういえば、ドイツの貴銃士は4人だと聞いていたけれど、 あと1人にはまだ会っていないね。 |
ゴースト | ああ……ジグは、ちょっとなぁ。 |
主人公 | 【もしかして、謹慎中とか?】 【まさか、銃に戻ってるとか?】 |
シャスポー | ……そのジグとやらも、まともではなさそうだね。 |
ゴースト | まあ……そうかもなぁ。 |
ゴースト | あいつの得意なことって言ったら……命令無視と戦闘、だ。 マスターに負担かけすぎるから、 俺も……何度巻き添えで銃に戻ったか。 |
シャスポー | ライク・ツーから少し話を聞いていたけれど…… なんて粗暴な奴なんだ……! |
ゴースト | ……ん……? |
その時、にわかに基地内が騒がしくなる。
ジョージ | 何かあったのかな? |
---|---|
エルメ | ゴースト、護衛ご苦労様。 |
ジョージ | Hey! 2人とも、会議はもういいのか? |
ドライゼ | 巡回中の兵士から、アウトレイジャー接近の一報が入ったため、 一旦切り上げて緊急対応にあたることにした。 |
ドライゼ | マスター、あなたも同行を願えるだろうか。 |
主人公 | 【もちろん!】 【行こう!】 |
エルメ | 助かるよ。それじゃあ、急ごう! |
アウトレイジャー | 殺ス……破壊、スル……! |
---|---|
ジョージ&シャスポー | 絶対高貴! |
ドライゼ&エルメ | ──心銃! |
〇〇たちは連携して
アウトレイジャーを倒していくが、
木立の中から次々に現れてきりがない。
シャスポー | くっ……数が多いな。 |
---|---|
ジョージ | ……! あれ! アウトレイジャーじゃなくて人間じゃないか!? |
シャスポー | なっ……!? あんなところにいたら……! |
ジョージが指さした先には、男性らしき人影があった。
アウトレイジャーたちが彼にどんどん近づいていく。
ドライゼ&エルメ | …………。 |
---|---|
主人公 | 【危ない!】 【早く逃げて!】 |
男性がアウトレイジャーに囲まれる。
しかし──アウトレイジャーたちはそのまま、
男性の横を通り過ぎて、〇〇たちに向かってきた。
ジョージ&シャスポー | えっ……!? |
---|---|
シャスポー | どういうことだ……? アウトレイジャーに理性はなくて、 破壊衝動のまま、近くに生き物がいれば攻撃するものだろう。 |
ジョージ | あの距離で視界に入ってないワケないし…… 何が起きたんだ……? |
エルメ | あの人影は……ほぼ間違いなく、親世界帝派反乱軍の一員だね。 |
ドライゼ | やはり……奴らには攻撃しないのだな。 たとえあれほどの距離にあろうとも。 |
主人公 | 【これが、前に言っていた……?】 |
シャスポー | 説明しろ、ドライゼ! |
ドライゼ | 俺たちにも詳しいことはわからないが、 アウトレイジャーは我々連合軍ばかりを攻撃してくるようだ。 |
ドライゼ | 反乱軍側が、アウトレイジャーに感知されないように、 何かしらの手段を講じているか……やや飛躍した考えだが、 反乱軍がアウトレイジャーを使役している可能性も捨てきれない。 |
アウトレイジャー | ウウウゥ……。 |
エルメ | とにかく、早く片付けよう。 捕らえて持ち物をあらためるなり実験するなりすれば、 もっと情報が得られるはずだ。 |
4人の貴銃士は、周囲を取り囲むアウトレイジャーを
次々になぎ倒していく。
しかし……包囲網を崩した時、既に男の姿はなかった。
ドライゼ | ……逃したか。 |
---|---|
ドライゼ | マスター、あなたは奴らに関して、 何か情報を得ていないか? |
主人公 | 【2人の方が詳しいと思う】 【理事長やラッセル教官に聞いたことくらい】 |
〇〇は、自分が聞いたことがある
アウトレイジャーについての情報を伝える。
シド | 連合軍は奴らの尻尾を掴むため、日々その動向を追っているが── その中で、気になる情報がある。 |
---|---|
シド | アウトレイジャーの出没地点付近で、 トルレ・シャフ構成員らしき者の姿が度々目撃されているのだ。 |
シド | アウトレイジャーとの関連性は不明だが、 なんらかの接触を図ろうとしているのか── それとも、アウトレイジャーを利用しようとしているのか。 |
エルメ | そう……カサリステでもはっきりしたことは掴めていないんだね。 でも、何かしらの接点があるのはまず間違いない。 |
---|---|
エルメ | アウトレイジャーとトルレ・シャフ。 そして、ドイツで暴れている親世界帝派とトルレ・シャフ……。 |
ドライゼ | この件については、ドイツ支部上層部にも調査を依頼しているが、 未だ調査結果や進捗などは聞かされていない。 |
ドライゼ | 調査が難航しているのか……。 |
ドライゼ | (あるひあ、上層部は何か掴んでいるが、 我々には隠しているのか……) |
アウトレイジャー | ウゥ……殺、ス……。 |
ジョージ | うわ、まだいた……! |
ジーグブルート | なんだぁ? 情けねぇ声出して。 もう限界かよ。 |
ジョージ | へっ……? |
主人公 | 【ジーグブルート……!】 |
ジーグブルート | おう、〇〇。久しぶりだな。 |
ジーグブルート | おい、ドライゼ。 片っ端から適当に片付けていいのか? |
ドライゼ | 俺が全体を見て指示をする。 ジーグブルートはエルメと組んで協力して対処に当たれ。 |
ジーグブルート | Jawohl. |
主人公 | 【(なんだか落ち着いてる……?)】 【(ドライゼの指示を聞いてる……!)】 |
ジーグブルートが加わったことでさらに優勢になり、
アウトレイジャーがやってくる方へと少しずつ前進しながら
討伐を進めていく。
ドライゼ | マスター、やや先行している! シャスポー、ジョージとともにその場で待機してくれ。 行くぞ、エルメ、ジーグブルート。 |
---|---|
ジーグブルート | は、やっと出番かよ。 んじゃ、やってやるぜ! |
ジーグブルート | 絶対非道! |
ジーグブルート | オラオラァ! アウトレイジャーども、俺を見ろ! |
ジーグブルート | 成功作様が一瞬であの世に送ってやるぜ! 喜びやがれ雑魚ども! |
ジーグブルート | あばよ──心銃! |
ジーグブルートの奮闘とドライゼの的確な指示により、
誰一人危機に陥ることも怪我をすることもなく、
アウトレイジャー討伐を終えることができた。
ジーグブルート | ……よし、片付いたな。 |
---|---|
主人公 | 【なんだか変わった感じがする】 【何か心の変化が……?】 |
ジーグブルート | ……あ? |
ジーグブルート | ああ、まあ……そうだな。 あいつらのことなんて、気にする必要ねぇって気づいたんだ。 |
ジーグブルート | 無闇矢鱈にぶつかって苛つくのも馬鹿らしいだろ。 |
ジーグブルート | あいつらと違って、俺を理解できる奴と会えたからな。 俺はこれまでの俺とは違うぜ。 |
ジーグブルート | ……あ、おい。 あいつらには余計なこと言うなよ? 詮索されてもうぜぇからな、秘密だ。 |
主人公 | 【……? わかった】 |
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