ドイツ編Ⅱ:第11話~第15話

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第11話:深夜のお菓子作り

ミュンヘン奪還作戦まであと5日。
〇〇たちは事前準備に忙殺されていた。

……その日の夜。
ジョージはそっとベッドから抜け出した。

ジョージ…………。
シャスポーおい。
ジョージわっ!!
シャスポー盗み食いでもするつもりか?
〇〇の貴銃士として、
品位に欠ける行いは見逃せないな。
ジョージち、違うって!
盗み食いなんてオレ……いつもはしてるけどっ!
今回は違うぞ!
ジョージほら、もうすぐ作戦で、ドイツ支部の人たち、
毎日すげー頑張ってるだろ?
ジョージだから、少しでもホッとできたらいいなって思って、
みんなにサプライズでお菓子を作ろうと思ったんだ。
シャスポーお菓子……?
ジョージそう☆
前に夏祭りで食べたチョコバナナが美味くてさ。
んで、ドイツの人はソーセージをよく食べてるだろ。
ジョージだから、ちょっとアレンジして、
チョコソーセージを作るぜ☆
シャスポーチョコ、ソーセージ……。
……一応聞くけど、どうやって作るんだ?
ジョージえ? ソーセージにチョコをかける!
シャスポーうう……。聞かなきゃよかった……。
ジョージダメかな?
シャスポー絶対にやめるんだ。
ヴルストへの冒涜だとか言って、
ドライゼ以下この基地の兵士が一斉蜂起する可能性がある。
ジョージNoooo……!
シャスポー馴染みのあるドイツの菓子ならいいかもな……。
しょうがない……僕も手伝ってやるか。

〇〇の部屋の前では、
エルメが交代で警護・見張りをしている。

ジョージは、夜食を作るため、
近くにあるサブキッチンを借りたいと伝え、
シャスポーとともに静かに部屋を出た。

シャスポーアプフェルシュトゥルーデル、ベーネンシュティッヒ、
シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ……
うーん、どれもなかなか難しそうだな。
シャスポーパイは工程が多くて時間が掛かるし、
スポンジ生地は上手く膨らまないとなかなか悲惨だ。
ジョージあ、これはどうだ?
テーゲベック……コーヒーブレイクに合うクッキーみたいだ。
シャスポーテーはお茶だろう?
テーゲベックで、お茶請けの焼き菓子ってところかな。
シャスポーサブレなら、ケーキよりは大失敗の可能性は低いし、
配るにもちょうどいい。
それに、素朴な焼き菓子を懐かしく思う兵士もいるだろう。
ジョージNice! それじゃあ、このゲベックを作ろうぜ☆
シャスポー……ところで、材料は?
ジョージ料理担当の人に、あとで使った分補充するからって
お願いしたらOKもらえたぜ!
作戦前に1回買い物行かないとな~。
シャスポーえっ、昼間から計画していたのか。
……君、意外とちゃんと考えて動いてるんだな。
シャスポー(ただの能天気だと思ってたけど、
冷静な部分もあって……なんというか──そう、不思議な奴だ)
ジョージ意外でCOOLだろ☆ 惚れちゃったか?
シャスポーはぁ? ふ、ふざけたこと言ってないで、
さっさと始めるぞ!
ジョージんじゃ、Let’s cook☆
えーっと……? まずは小麦粉とバターと……?
シャスポーいいか、お菓子は繊細なんだ。
全部きっちり計量してから手順通りに作るぞ。
僕は小麦粉を計る。
ジョージOK! それじゃあオレはバターだ。
重さは……グラム? ああ、秤もグラム単位のだから大丈夫か。
計ったバターは柔らかくして……って、ええっ?
ジョージ袋に入れて、手でギュッと握ればいいかな!?
じっと待っててもなかなか柔らかくならないって!
シャスポーだからって体温で溶かしたら、
ドロドロになりすぎるんじゃないか?
「柔らかいバター」と「溶かしバター」は別物らしいぞ。
ジョージそ、そんな……どうすればいいんだ!?
あう、ここにタバティエールがいてくれたら……!
ジーグブルート……誰だ?
ジョージ&シャスポー……!!
ジーグブルートあ? こんな時間に何してんだ、お前ら。
ジョージえーっと、これは……!
シャスポー……差し入れのお菓子を作っているんだ。
キッチンと食材を借りる許可は得ているよ。
ジョージはサプライズにしたいみたいだから、他言無用で頼む。
ジーグブルートそれは別に構わねぇが……何作ろうとしてんだ?
ジョージゲベックってやつ!
けど、バターがカチカチでさ。
どうすりゃいいかなーってなってたんだ。
ジーグブルートはぁ……シンプルなゲベックの初歩で躓いてんのか。
ジーグブルートお前らの自由にさせてたらキッチンがめちゃくちゃになるか、
嬉しくねぇ差し入れができるか、どっちもになりそうだ。
俺が手を貸してやる。
シャスポーえ? 君、製菓の心得でもあるのかい?
それに、酔っているように見えるけれど……大丈夫なのか?
ジーグブルートハッ、俺は成功作様だからな。
菓子作りにも自信があるぜ。
この程度の酔いで失敗するかっての。

第12話:こぼれた本心

──数十分後。
キッチンには甘い香りが漂っていた。

ジーグブルート粗熱は取れたか。これで完成だ。
味見してみろ。
ジョージ……ウマい!
サクサクで、なんか懐かしい感じがする。
シャスポーこ、これは……美味しい……!
料理なんてと一蹴しそうな君に、こんな特技があったなんて。
ジーグブルート菓子作りには精密さが要求される。
優れた銃である俺にかかれば簡単ってわけだ。
ジーグブルートほらよ、夜中だから飲み物はこれでいいだろ。
ジョージホットミルクだ! Thank you!
ジョージジーグブルート、おまえ、いいヤツだよな!
ってことはやっぱり……
基地の外に会いに行ってるのってカノジョ!?
ジーグブルートはぁ……? どういう理屈だよ、そいつは。
てめぇはろくでなしじゃあなさそうだが、
わけはわかんねぇな。
シャスポーそれに関しては概ね同意するね。
訓練で『絶対高貴ビーム』とか言い出した時は目と耳を疑ったよ。
ジョージええーっ!?
かっこいいだろ、絶対高貴ビーム!
シャスポー駄目だ、品がない。
貴銃士たるもの高貴で気高くなくちゃいけないんだ。
ジーグブルート…………。
ジーグブルートお前ら古銃は、絶対高貴になれるんだよな。
絶対高貴で、マスターの薔薇の傷を治せる……だったか。
シャスポーああ、そうだよ。
絶対高貴を薔薇の傷に当てて癒やすこともできるし、
僕たちが絶対高貴を使って戦うだけでも多少の効果がある。
ジョージけど、あんまり使いすぎると、
マスターの薔薇の傷が完全に消えちまうんだよな。
だから、絶対非道とバランスを取るのが大事なんだぜ☆
シャスポー絶対高貴に関心があるとはね。
君は戦果を求めるあまり、
マスターを次々に犠牲にしたと聞いたけれど。
ジーグブルート……かったんだよ。
シャスポーん?
ジーグブルート知らなかったんだよ……!
絶対非道が、マスターの命を食い潰すもんだって。
ジーグブルート別に……好き好んで殺したわけじゃねぇ。
俺は、自分の力を示したかった。
俺の活躍を心底喜ぶマスターもいた。
ジーグブルート……そいつが死んだあとで聞かされた。
俺のせいで、マスターが死んだんだと。
シャスポー…………。
ジーグブルートそれを知らされたところで……俺にどうしろって言うんだ。
マスターを死なせねぇために戦いをやめるのか?
それじゃあ俺は役立たずだ! なんのために存在してる!?
ジーグブルート戦時に犠牲がまったく出ないことはありえねぇ。
マスターの犠牲もそういうもんだ。
その分俺が戦いまくって勝てばいい……そう思うことにした。
ジーグブルートマスターの顔もろくに知らねぇ……見ねぇようにした。
死んだと聞かされても、ああそうかよって……。
ジーグブルート戦ってるうちは、余計なことを考えなくて済むからいい。
銃に……貴銃士に求められる『力』をふるって、
存在意義を示しまくって……。
ジーグブルート……チッ。
俺は何を喋ってんだ……。
思ってた以上に酔いが回ってたらしい。
ジーグブルート今のは忘れろ。
ジョージオレは……ジーグブルートの話、聞けてよかったよ。
ジーグブルート忘れろって言っただろ。
変に気ィ遣ってんじゃねぇ!
ジーグブルート……じゃあな。
それだけありゃ、顔見知りの奴らに配れるだろ。
ジョージあっ……!

ジーグブルートはキッチンから立ち去ってしまった。

シャスポー……追わない方がいい。
ああいう時、人からかけられる言葉は意味を持たないばかりか
癪に障るだけのこともある。
ジョージ……そっか。
シャスポー絶対非道を使わない僕たちの言葉は特に……
今は率直に受け入れられないだろう。
ジョージそう、だな……。
手伝ってくれたお礼は、今度ちゃんと言わなきゃ。

第13話:隠し事

──ミュンヘン奪還作戦まであと4日。
ティータイムになると、
ジョージたちはゲベックを兵士たちに配った。

ドイツ支部兵士1ううん、懐かしい……!
母さんが作ってくれたゲベックを思い出すなぁ。
ドイツ支部兵士2俺にとっては兄ちゃんの味だな!
菓子職人をしてて、昔からいろいろ作ってくれてたんだ。
ジョージまだまだあるから、食べてないやつは言ってくれよ!
遠慮はいらないぜ☆
ほら、〇〇も!
主人公【すごくおいしい!】
【いいアイデアだね】
ジョージへへっ、喜んでくれてよかった!
でももっとたくさん作っておけばよかったな。
エルメ賑やかだね。どうしたの?
シャスポー彼らのためにドイツの菓子を作ったんだ。
……まあ、ジーグブルートが半分以上作ったようなものだけど。
ドライゼジーグブルートが……?
ジョージおう!
オレたちが苦戦してるのを見て手伝ってくれたんだ。
いいヤツだよな~!
シャスポー正直なところ、彼を〇〇には近づけたくない
粗暴で信用ならない貴銃士だと思っていたけれど……。
昨日少し話してみて、誤解があったと感じたよ。
ジョージうん。あいつは……どうしたらいいのかわかんなくって、
がむしゃらにもがいてたのかもなって思った。
ジョージ真っ暗な中にいる時って、
どっちが正しい方向かもわかんなくってさ。
頑張って走った方向が、間違いってこともあるよ。
ジョージだからオレは、ジーグブルートが『こっちだ!』って思える道を、
胸を張って堂々と進めるようになればいいなって思う。
主人公【どういうこと……?】
【もう少し詳しく聞かせてほしい】
シャスポー……彼には、聞かなかったことに……と言われたけれど。
誤解がある今の状態よりはいいと思う。

ジョージとシャスポーは、
昨晩キッチンでジーグブルートから聞いたことを話した。

シャスポー……ジーグブルートの気持ちも少しわかる気がする。
僕もパリ・コミューンでは……多くの人の命を奪った銃だ。
シャスポー自分の存在が人の命を奪う。
銃なら当たり前かもしれないけれど……
貴銃士として、人のような心を持った今、複雑な問題だ。
シャスポー彼は……どうしたらいいのかわからなくなったんだろう。
周囲やマスターの期待に応えようと戦ったら、
そのマスターを自身が死に至らしめてしまった。
シャスポーかといって戦うことをやめるわけにはいかない。
犠牲に報いるくらいの活躍をと思えば、
余計にどつぼにはまってしまう……。
ドライゼ…………。
ドライゼジーグブルートの振る舞いは度を越している部分が多々ある。
一兵士ならば不名誉除隊処分10回分ほどになるだろう。
ドライゼ単身で前進しすぎることにも大いに問題があるが、
奴が多数のアウトレイジャーを倒したのは事実……。
ドライゼマスターたちの犠牲と、奴の捨て身なまでの戦いがなければ、
我々は今と同じペースで進軍できていたかわからない。
ミュンヘン奪還が見えてきたのには、奴の功績もある。
主人公【ちゃんと話してみたらどうだろう】
【お互い率直に、落ち着いて話そう】
ドライゼ……そうだな。
エルメおや……噂をすればジグだ。
ねぇ、ジグ。こっちに来て。
ジーグブルートあ? なんだよ。
説教ならいらねぇぞ。
ドライゼ……無闇矢鱈に威圧的な態度を取るな。
俺たちはお前と──
ジーグブルートおーおー、偉そうに。
アウトレイジャー化した特別司令官サマがよ!
ドライゼ……なんだと?
その話をどこで聞いた。
ジーグブルートハッ、やっぱり俺には隠してたのか。
だっせぇもんなぁ?
ジーグブルート自分が一番正しくて偉いですってツラしてる奴が、
アウトレイジャーになりかけちまっただなんて!
エルメジグ!
主人公【でも、ドライゼは耐え抜いた】
【ドライゼはアウトレイジャーになっていない】
ドイツ支部兵士1あ、あの!
自分はあの場におりましたが、ドライゼ特別司令官は
我々が知るアウトレイジャーとはまったく違っていました!
ドイツ支部兵士2そうです!
我々に危害を与えることなど決してせず、
正気を保てているうちに撃てとまでおっしゃって……!
ドイツ支部兵士3それに、ドライゼ特別司令官がいなければ、
我々がここまで鍛錬を重ねることもなく、
士気も及ばず、ずっと多くの者が倒れていたはずです。
ドイツ支部兵士2自分はあの一件から、
ドライゼ特別司令官をますます尊敬しております!
ジーグブルート……ッ!
ドイツ支部通信兵エルメ特別司令官補佐。
先日の件について追加の資料が……、……!

やってきた兵士が、
ジーグブルートを見て資料を隠すそぶりをした。

ジーグブルート……おい、それはなんだ?
俺が見ちゃあまずいもんかよ。
ドイツ支部通信兵いえ、これは、その……。
ジーグブルート寄越せ!
ドイツ支部通信兵あっ!
ジーグブルート……これは……?
ジーグブルートなんだよ、これは!
ふざけんじゃねぇぞ!!

兵士から取り上げた資料の表題を見たジーグブルートは、
資料を床に叩きつけた。

シャスポー……『DG36の欠陥についての報告書』。
ジョージDG36……それって……。
エルメドイツ支部において制式採用されているアサルトライフルだよ。
……ジーグブルートの本体でもある。

 

第14話:DG36の欠陥

──その日の夜、インゴルシュタット仮説基地の会議室にて。
ドイツ支部上層部と通信が繋がれ、DG36に関する
会議が行われている中へ、ジーグブルートは乱入した。

ジーグブルート……おい、説明しろ!
俺が、DG36が欠陥品のはずねぇだろうが!!
エルメジグ! この会議は君が参加するものじゃないはずだよ。
ドライゼ勝手な行動は慎めとあれほど……。
ドイツ支部兵士1中将、ドライゼ特別司令官、申し訳ございません!
お止めしたのですが……!
ドイツ支部中将いや、いい。
遅かれ早かれ、このことは耳に入る。
ドイツ支部中将ジーグブルート、この報告書に記載されている内容は事実だ。
現場からDG36に関する欠陥が報告されている。
ジーグブルート……DG36をどうするつもりだ。
別の銃に置き換えるつもりか!?
ドイツ支部中将まだ検証段階だ。
今すぐにどうこうということはない。
ジーグブルート検証とやらをするなら俺の戦果も資料に載せとけよ。
俺は最高傑作だ! 戦場での優位性を見ろ。
誰よりもアウトレイジャーを倒してるだろうが!
ドイツ支部中将うむ。
だが、欠陥を指摘する報告の数々を無視することはできない。
……見たまえ。

会議室の壁面には、拡大印刷された資料が貼り出されている。

ドイツ支部中将DG36のテスト環境下での性能は、
既知の通り申し分ないものだった。
ドイツ支部中将だが、実戦配備以降に現場から不具合の報告が相次いだ。
特に記録的な猛暑に見舞われた地域からの報告だ。
ドイツ支部中将外気温の上昇や直射日光、あるいは連続使用などによる
銃身の温度上昇で命中精度が如実に落ちる、という報告だ。
ドイツ支部中将この度、ドイツ支部による検証により、
この報告が事実であることが確認された。
ドイツ支部中将ここに掲出されているのは、それを裏付けるデータだ。
ジーグブルート……っ!
ドイツ支部中将軽量化のために多用されたプラスチック部品が原因ではないか、
という仮説を検証するため、現在は追加の実験が行われている。
ドイツ支部中将加熱による歪みか、あるいは経年劣化か……。
いずれにせよ、原因究明と、対処を考える必要がある。
エルメ……ジーグブルート。
銃の評価と、貴銃士の評価は必ずしもイコールではないよ。
エルメそれに、銃が世代交代していくのは必定だ。
どんなに優れた銃でも、いつか新しい銃に置換されていく。
ジーグブルート……チッ……!

ジーグブルートは会議室を飛び出した。


主人公【待って!】
【ジーグブルート!】
ジーグブルートうるせぇ、どけ!

騒ぎを聞いて、会議室の前までやってきていた〇〇は
ジーグブルートを呼び止めようとするが、
彼の足が止まることはない。


ジーグブルートを追って基地の外まで出た〇〇たち。
しかし、ジーグブルートの姿は暗い木立の中に消えてしまった。

シャスポー〇〇、これ以上の深追いはやめよう。危険だ。
それに、今は1人になりたいんだろう……。
シャスポー世代交代するのは当たり前とわかっていても……
欠陥の指摘は、存在を否定されるようで傷つくのはわかる。
受け入れるまでには時間がかかるだろう。
シャスポーシャルルヴィル先輩やジョージのように、
欠陥云々じゃ揺らがない大きな名声があれば、
よかったんだろうが……。
ゴースト……俺と同じだな。
ジョージうわっ!?
びっくりしたー!!
ゴーストいや、ずっと隣りにいたんだけど……。
シャスポー……同じって、どういうことだ?
ゴーストああ……俺にも銃として致命的な欠陥がある。
……失敗作、だ。

第15話:DG11という銃

ゴースト俺は……致命的な欠陥があるし、
大きな名声なんてものも……ない。
ゴーストなんせ、DG11はプロトタイプしか作られ……なかった
ドマイナーな銃……だからな。
ジョージえっ、そうなのか?
ゴーストそう……だから製造数も少ない。
そんな俺を召銃して、貴銃士にして……
世界帝は、『特別幹部』として重用したらしいな。
ゴースト大罪人に召銃されたことはフクザツ……だけど、
違う俺を貴銃士にしてくれたおかげで知名度があがった。
それは……正直、感謝し……てる。
ゴースト……たぶん、世界帝に召銃されたゴーストも、
必要とされて嬉しかった……だろうな。
ゴースト……軍や兵士に必要とされてないってことは、
銃にとって……本当にツラいから。
シャスポー……そうだね。
後継がいいヤツとも限らないし。
シャスポーそれで……どうする?
僕らが何を言ったところで、
ジーグブルートには届かない気がするよ。
ゴースト一番立場が近いのは俺……だけど、
『てめぇと一緒にすんな』って余計怒りそう……だしな。
ジョージちょっと時間を置いて、
落ち着いた頃ならまた違うんじゃないか?
主人公【次こそちゃんと話をしたい】
【基地に戻ってきたら話してみよう】
シャスポーそうだね。
多くの貴銃士を呼び覚ましている君の言葉なら、
何か届くかもしれない……。
ゴーストありがとう……な。
ゴーストあいつとマスターが同じなせいでしょっちゅう銃に戻ったり、
迷惑はしてたけど……ジーグブルートの気持ちはわかるから。
頼んだ……ぞ。
シャスポーそれじゃあ、基地に帰ろう。
暗闇でアウトレイジャーに襲われたら厄介だ。

歩きだした一行だが、〇〇はジーグブルートが
気になり、後ろを振り返ってしまう。

主人公【ジーグブルートは大丈夫かな】
【ちゃんと戻ってくるかな】
シャスポー脱走は重大な違反だし……
基地に彼のマスターもいるはずだから、
時間はかかっても戻るんじゃないかな。
ジョージドイツ支部ってすげー厳しいし、脱走なんてしたら大変だよな。
でも……何もかも嫌になって、
どっかずっと遠くに行っちまったら……。
ゴーストその時は……探してる時間がない、な。
戦力が減るのは痛いけど……奪還作戦が優先、だろう。

〇〇たちは基地へ引き返した。


ゴースト…………。

シャスポーシャルルヴィル先輩やジョージのように、
欠陥云々じゃ揺らがない大きな名声があれば、
よかったんだろうが……。

ゴースト……せやなぁ。
あいつの言う通りや。
ゴーストなーんにもなかったワイを引き上げてくれたのは、
あの人や。
ゴーストあの人がおらへんかったら、
ワイは、忘れられ、歴史に埋もれた銃になっとったはず……。
ゴーストせやから……ワイがいっちゃん恩義を感じるのは、あの人や。
揺らがへん忠義を捧げたい、けど……。
ゴーストだからこそ……ただ、何も考えんとついてくだけじゃ……。
ゴースト……忠義ちゅうもんは、難しいな。
ゴースト…………。

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