ジョージ | なーなー、ちょっといいか? |
---|---|
グラース | ……なんだい、君は。 |
ジョージ | そんなに怖い顔すんなって! |
ジョージ | オレ、その人のこと助けたいんだ。 上手くできるかわかんないけど、やらせてくれ! |
グラース | ……はぁ? マスターに何を── |
ジョージ | ……絶対高貴! |
グラース | ……っ、この光は……っ! |
カトリーヌ | ん……。 |
カトリーヌ | あら……? なんだか、身体が楽に……。 |
グラース | マスター……! |
ジョージ | おおっ、効いた! 顔色がだいぶ良くなったな。よかったよかった! |
マークス | おお……ジョージ、あんた、 絶対高貴を使ってる時だけはすげーな。 |
ジョージ | オレ、やればできるみたいだなっ! HAHAHA☆ |
ジョージ | ……って、「絶対高貴使ってる時だけ」!? それはないだろーっ!? |
グラース | 君たちは…… イギリスから来たマスターと貴銃士だったか。 なぜ、僕たちを助けたんだ……? |
ジョージ | えっ? 助けるのに理由なんていらないだろ? オレはただ、2人を放っておけなかっただけだよ。 |
グラース | ……っ! |
グラース | ……僕のマスターを助けてくれたことには感謝する。 ……ありがとう。 |
グラース | マスター、立てるようになったかい? こんなところは一刻も早く出て、屋敷で休もう。 |
主人公 | 【お大事に……】 【ゆっくり休んでください】 |
カトリーヌ | ……あの、ありがとうございました。 後ほど、お礼をさせていただきますので……。 |
タバティエール | …………。まずいな……。 |
グラースに支えられてカトリーヌが退場すると、
広間はすぐに、ざわめきに包まれた。
女性1 | あれが、絶対高貴……! まさか、この目で見られる日が来るなんて! |
---|---|
男性1 | 躊躇いなく、あのお力を使うとは…… ジョージ様は実に寛大で素晴らしい貴銃士様だ……! |
男性2 | しかし、レザール家が主催するパーティーで、 フィルクレヴァートの士官候補生が ロシニョル家に肩入れしたとなっては問題ですぞ。 |
女性2 | フィルクレヴァートのマスターは、ロシニョル家を 支持するということですの? いやですわ……。 |
ジョージ | ……あ……。 |
ジョージ | ……〇〇。 オレ、少し外の風に当たってくるよ。 たくさん話して、少し疲れちゃったからさ。 |
主人公 | 【大丈夫?】 【冷えないうちに戻っておいで】 |
ジョージ | ……うん! |
??? | …………。 |
ジョージ | ふぅ……。 |
---|---|
ジョージ | (……やっぱり、こういう場所は息が詰まるなぁ……) |
従者 | ──ジョージ様。 |
ジョージ | うわっ、びっくりした! |
従者 | これは、驚かせてしまい申し訳ありません。 お疲れのようでしたので、 お飲み物をお持ちしたのですが……。 |
ジョージ | えっ、わざわざ持って来てくれたのか!? ありがとな! ちょうど喉が渇いてたんだ。 |
ジョージ | ……んん、うまいなこれ! |
従者 | お口に合って何よりでございます。 |
ジョージ | なんか、元気出てきた! これ、〇〇とマークスにも 持って行ってやりたいなー。 |
ジョージ | 会場のどこかで配ってるのか? リフレッシュできたし、2人にも──…… |
ジョージ | ……あ、れ……? |
ジョージ | (なんだ、これ……。 目がかすむし、身体に、力が……) |
従者 | ……いいえ、ジョージ様。 このドリンクは、我が主が用意した特別なもの……。 会場のどこにも、置いておりませんよ。 |
ジョージ | おま、え……何、を……。 |
従者 | ……おやすみなさいませ、ジョージ様。 |
マークス | ……マスター。俺は今、逆に あいつのことを尊敬しはじめた……かもしれない。 |
---|---|
マークス | 色々騒動があったのに、 あいつ……シャルルヴィルの周りだけは、 まったく様子が変わっていないぞ……! |
シャルルヴィル | あ、マカロンだ。カヌレもある~! 僕、スイーツ大好きなんだよね。 1ついただいちゃおうかな♪ |
女性1 | ……っ、シャルルヴィル様、 そちらのテーブルのものは……。 |
シャルルヴィル | んん~っ、美味しい! ほら、みんなも食べたらどう? |
シャルルヴィル | ……毒なんて、入ってるわけないんだからさ。 |
女性たち | ……っ! |
シャルルヴィル | 食べなきゃもったいないって~! |
女性1 | シャルルヴィル様が、そうおっしゃるのなら……。 私もいただきますわ。 |
女性2 | あら、本当に美味しい。 さすがは、レザール侯爵家が用意されたものですね。 |
シャルルヴィル | ふふっ、そうだよね。 |
マークス | なんだ、あれ……。 言うこともころころ変わるな、フランスの奴らは。 |
マークス | ……なぁ、マスター。腹ごしらえも済んだし、 早くフランス支部に行かないか? |
マークス | ……ここにいると、なんだか気分が悪くなる。 |
主人公 | 【そうしよう】 【ジョージにも声をかけないと】 |
マークス | ああ……。 そういえばジョージの奴、まだ戻ってきてないな。 すぐ戻るって言ったくせに、何してんだか。 |
マークス | あいつ、風に当たるって言ってたよな。 ……とりあえず、俺たちも外に出てみよう。 |
マークス | ──どこにもいねぇじゃねーか! ったく、ジョージの奴、どこに行きやがった! マスターを待たせるなんて── |
---|---|
タバティエール | ……よっ。お2人さん。 |
マークス | あんたは、レザール家の……。 |
タバティエール | ……そういえば、まだちゃんと挨拶はしてなかったか。 俺はタバティエール。 19世紀にフランス陸軍で使われた後装式ライフルだ。 |
タバティエール | ほら、薬室が嗅ぎ煙草入れの形に似てるだろ? だから、嗅ぎ煙草入れ──タバティエールってわけだ。 |
タバティエール | ま、お2人さんは煙草と縁がなさそうだし、 嗅ぎ煙草なんて知らないかもしれないけどな。 |
マークス | ああ、知らないな。 |
タバティエール | ははっ、そりゃそうだ。 |
タバティエール | 君たちは…… マークスくんに、〇〇ちゃん……だろ? ジョージくんは……まだお客さんの相手中かな。 |
マークス | ……マスターの名前を馴れ馴れしく呼ぶな。 |
タバティエール | はいはいっと。 これはまた、随分慕われたもんだねぇ。 |
マークス | あんた、あの仏頂面男の貴銃士なんだろう。 よくもあんな男に従ってられるな。 |
タバティエール | ……仏頂面男ってのは、うちのマスターのことか? 確かに顔は無愛想だが、悪い奴じゃないんだ。 あんまり嫌わないでやってくれよ。 |
タバティエール | それで、パーティーはどうだった? |
主人公 | 【……華やかだった】 【……食事を楽しめた】 |
タバティエール | ははっ、気になることも多かっただろうに、 上手い答え方をするもんだ。 |
タバティエール | 未来の士官として、政治の勉強もしてるのか…… それとも、事前に色々知っていたからか? |
マークス | ……? 何を尋ねているのかわからない。 |
タバティエール | 回りくどいのは好みに合わないか。 なら、端的に聞こう。 |
タバティエール | ……君たちは、フランス── それから、レザール家とロシニョル家について、 どこまで知っているんだ? |
マークス | フランスの地理や気候については、授業で習った。 レザール家とロシニョル家は、 リリエンフェルト家に次ぐ大きい貴族だと聞いた。 |
マークス | 知ってるのは、これくらいだな。 |
マークス | 元々ここに来る予定もなかったし、 連合軍のフランス支部に行こうとしてるところだ。 貴族の面倒な話に興味はない。 |
タバティエール | …………。 |
マークス | ……それがどうかしたか? |
タバティエール | そうか……君たちは、何も知らないんだな。 |
マークス | はぁ……? 任務に必要な情報はちゃんと聞いてる。 それで十分だろ。 |
タバティエール | ……ああ、そうだな。 |
タバティエール | 知らないなら、知らないままの方がいい。 君らまで巻き込まれる必要はない……。 |
タバティエール | 善良そうな君たちだから、忠告しておく。 できることなら、もうここには来ない方がいいぜ。 |
主人公 | 【どういうこと……?】 【なぜ?】 |
タバティエール | ……悪いことは言わないから、 ジョージくんを連れて早いとこ支部へ── |
伝令 | 大変です! 市街地からほど近い林間に、 武装襲撃犯が多数現れました! |
マークス&タバティエール | ……!! |
伝令の大きな声が響き渡り、
パーティー会場にいた人々も、何事かと出てくる。
女性1 | 武装襲撃犯ですって……!? まぁ、なんて恐ろしい……! |
---|---|
女性2 | 市街地の近くって…… まさか、この辺りまで危険になったりはしないわよね? |
男性1 | 急いで屋敷に戻った方がいいだろうか……。 |
男性2 | いや、下手に動くとかえって危険かもしれませんぞ。 |
シャスポー | 皆、落ち着いて。 大丈夫だよ。レザール家には僕がいるんだから。 |
マークス | マスター、俺たちはどうする? |
主人公 | 【応援に行く】 【現場に急ごう】 |
マークス | ……でも、まだジョージが見つかってねぇ。 あいつがいないと、絶対非道を使った時に、傷が……! |
主人公 | 【緊急事態だから】 【探している余裕がない】 |
マークス | ……っ、わかった。 |
タバティエール | ジョージくんのことは、俺に任せてくれ。 見つけたら、すぐ現場に向かうよう伝えるよ。 |
マークス | ああ、頼む! |
マークス | ……つーか、あんたが来ればいいんじゃないのか? 古銃の貴銃士なら、絶対高貴で戦えばいい。 |
タバティエール | あー……悪いな。 俺は絶対高貴になれないんだ。 ただの古銃じゃ、あんまり戦力にならないだろ? |
マークス | じゃあ、シャルルヴィルは? あんたは絶対高貴を使えるんだよな!? |
シャルルヴィル | えっ、ボク!? |
シャルルヴィル | ボクは……えーっと…… ロジェ様がいないところで、 勝手に戦うわけにはいかないから……ごめんね。 |
マークス | くそっ、あとの古銃は……! |
シャスポー | 僕? ……お断りだね。 |
シャスポー | 連中がここまで来ないとも限らないし、 か弱いマダムやマドモアゼルを守る貴銃士がいないと。 |
マークス | チッ……古銃ってマジで使えねぇな……。 |
シャスポー | ……! 聞き捨てならないが……流してやろう。 そこまで言うなら、グラースに声を掛けておくよ。 |
シャスポー | あいつは絶対非道を使えるみたいだから、 多少の戦力にはなるんじゃないかな。 |
主人公 | 【ありがとう】 【よろしくお願いします】 |
シャスポー | それじゃあ、気をつけてね。 |
マークス | ……行こう、マスター。 |
〇〇たちが駆けつけた先では、
連合軍フランス支部の部隊が
アウトレイジャーを必死に食い止めていた。
アウトレイジャーたち | 殺、ス……。 |
---|---|
連合軍指揮官 | 攻撃くるぞ! 退避っ!! |
連合軍兵士1 | ぐあぁぁっ! |
連合軍兵士2 | おいっ、大丈夫か!? くっ……このままだと突破されるぞ……! |
マークス | ──苦戦してるみたいだな。 |
連合軍指揮官 | 君たちは……フィルクレヴァートの! |
主人公 | 【援護します!】 【応援に来ました!】 |
連合軍指揮官 | 感謝する! |
マークス | それで、状況は? |
連合軍指揮官 | アウトレイジャー1体の討伐に成功したが、 残り2体の討伐に苦戦している。 |
連合軍指揮官 | アサルトライフルではなかなか止めを刺すに至らず、 かといって、市街地にほど近いここで、 大型の火器を使用するわけにもいかない……。 |
連合軍指揮官 | 貴銃士なら奴らを無力化できると聞いているが、 対処可能だろうか? |
マークス | …………。 |
マークス | (絶対非道を使えばすぐに倒せるが、 ジョージがいない今、あの力は使いたくない……) |
マークス | (2体くらいなら、絶対非道を使わなくても、 制圧は無理ではない、はず……) |
マークス | ……やってみる。 |
マークス | 俺が急所を撃ち抜く。 あんたらもとにかく撃って、動きの止まったところに グレネードを投げるとかして、どうにか止めを刺せ。 |
連合軍指揮官 | ああ! |
マークス | …………。 |
アウトレイジャー | グァッ……! |
マークス | ……よし。 |
マークスが放った弾丸は、
人体の急所であるはずの部分を正確に貫いた……
かのように見えた。しかし──
アウトレイジャー | ……ス……、殺ス……。 |
---|---|
マークス | チッ……、駄目か。 |
一度は倒れたアウトレイジャーだが、
すぐに立ち上がっては、再び攻撃を繰り返してくる。
連合軍兵士2 | ヒッ……! なんで起き上がるんだよ……っ! 無理だ、あんな奴らに勝てるわけがない……! |
---|---|
連合軍指揮官 | 怯むな! 攻撃を続けろ! |
指揮官が必死に鼓舞するが、
不死身の狂戦士のような敵を相手にして、
兵士たちにはありありと恐怖の表情が浮かんでいた。
主人公 | 【マークス!】 【絶対非道を!】 |
---|---|
マークス | マスター……! だが、まだジョージが……。 |
主人公 | 【待ってる時間がない!】 【力を使って!】 |
マークス | ……っ、了解した、マスター。 |
マークス | ──絶対非道! |
---|
マークスが絶対非道の力を使う度に、
薔薇の傷がじわじわと〇〇を蝕んでいく。
連合軍兵士2 | すごい……アウトレイジャーが消滅したぞ……! |
---|---|
連合軍兵士3 | ……いや、まだだ! |
アウトレイジャーたち | …………。 |
連合軍兵士3 | 新たに2体、アウトレイジャーが出現! |
マークス | くそっ! これ以上は……! |
マークス | (どうする……? ジョージがいない中で、 これ以上絶対非道を使えば、マスターが危険だ) |
マークス | (マスターは、まだ戦えると言うかもしれないが…… マスターを限界まで痛めつけるような真似は、 絶対にしたくない……!) |
マークス | (撤退するように言うか……? いや、こっちが退いたところで、 アウトレイジャー共が引っ込むわけじゃない……!) |
マークス | くっ……! |
??? | ──苦戦してんじゃねーか。 |
マークス | あんた……グラースか!? |
グラース | おーおー、どっから湧いてきたんだか。 アウトレイジャーがわんさかいて楽しめそうだな。 |
グラース | んじゃ、さっさとやっちまおうぜ。 |
グラース | ……おい、ぼさっとしてないで、お前も合わせろ! |
マークス | ……あ、ああ。 一撃で片付けるぞ。 これ以上マスターに負担を掛けたくない。 |
グラース | ハッ、一撃で仕留めるなんて当然だ。 この僕に向かって、何を言っているんだか。 |
グラース | ほーら、行くぞ! |
マークス | チッ……俺に指示していいのはマスターだけだ! |
マークス&グラース | ──心銃! |
アウトレイジャーたち | グァァァ……! |
連合軍兵士2 | や、やった……! アウトレイジャーの無力化に成功……! |
連合軍兵士3 | はぁ……命拾いしたなぁ。 貴銃士がいなけりゃ、俺たち……。 |
グラース | よーし、片づいたな。 それじゃあ、僕は帰る。じゃーな。 |
マークス | マスター。あいつ、なんか……。 さっきと、随分雰囲気が違ってなかったか? |
マークス | パーティーの会場ではジメッとしてて、暗くて、 あんまり強そうには見えなかったが……。 |
主人公 | 【戦いが好きなのかも……?】 【銃の本能かな……?】 |
マークス | ……なるほど。 |
マークス | そういえば十手も、悪いことした奴がいると、 急にデカい声を出して張り切りだすよな。 あれと似たようなもんか。 |
マークス | ……それよりマスター、傷は大丈夫か? やっぱり、悪化してるよな……。 |
主人公 | 【まだ大丈夫】 【気にしないで】 |
マークス | ったく、ジョージは何やってんだ!? タバティエールも、ジョージを見つけたら 向かわせるって言ってたくせに……! |
マークス | ジョージの野郎、あとで一発ぶん殴ってやる……! |
連合軍指揮官 | 〇〇候補生、マークス殿。 アウトレイジャー討伐への協力、本当に感謝する。 |
連合軍指揮官 | フランス支部からの伝言がある。 明日、エラメル大佐が、 君たちにお会いになりたいとのことだ。 |
連合軍指揮官 | 面会の時間は12:00。 迎えの車が向かうから、それで本部まで来るように。 |
マークス | 迎えの車……? 俺たちはこれから、フランス支部に滞在するんじゃないのか? |
連合軍指揮官 | いや、君たちの宿泊場所は変更になっている。 部下が送るから、車に乗ってくれ。 |
マークス | ……? わかった。 |
連合軍兵士 | 〇〇候補生、マークス殿。 到着いたしました。どうぞ降車を。 |
---|---|
マークス | ああ。 ……ん? |
レザール家執事長 | マークス様、〇〇様、お帰りなさいませ。 |
マークス | ……って、またここかよっ!! |
テオドール | ……聞いていないのか? 君たちのフランス滞在中の拠点は、我がレザール家だ。 |
マークス | はぁっ!? |
テオドール | 軍の施設よりは、ずっと居心地がいいだろう。 フランス支部にもほど近く、不便はないはずだが…… 何か不満でも? |
主人公 | 【いえ……!】 【お世話になります】 |
テオドール | アウトレイジャー討伐、ご苦労だったな。 執事長が部屋まで案内する。ゆっくり休め。 |
テオドール | ……ん? もう1人の貴銃士はどうした? |
マークス | どうした、って……ここにいないのか? マジであいつ、どこ行きやがった……? |
レザール家執事長 | どなたか、招待客のお屋敷へ 案内されているのでしょうか……? |
テオドール | 初日から勝手をしてくれる……。 執事長。彼が戻ったら、部屋へ案内し── |
テオドール | ──ッ、くっ……。 |
レザール家執事長 | テオドール様!? 大丈夫ですか!? |
テオドール | ……騒ぐな。少しめまいがしただけだ。 お前はさっさと、客人を案内しろ。 |
レザール家執事長 | は。はい……! それでは、お二方はどうぞこちらへ。 |
レザール家執事長 | こちらの続き間の客室をお使いくださいませ。 |
---|---|
マークス | ……派手だな……。 |
レザール家執事長 | お気に召しませんでしょうか? |
マークス | 俺は……マスターがゆっくり休めるならなんでもいい。 マスターは、気に入ったか? |
答えようとするが、それより先に、
手の甲から指先へと生ぬるい液体が滴る感覚があり、
〇〇は慌てて手元を押さえる。
マークス | マスター! ……ッ、薔薇の傷から血が出てる……! |
---|---|
レザール家執事長 | ……! お待ちください。 |
レザール家執事長 | 応急処置のセットです。 薔薇の傷に薬が効かないことは承知していますが、 軟膏には痛みを和らげる効果もありますので、どうぞ。 |
マークス | ああ、助かる。 |
レザール家執事長 | では……ほかに何かお困りのことがございましたら、 なんなりとお申し付けください。 |
マークス | ほら、マスター。 手を出してくれ。 |
主人公 | 【ありがとう】 【自分でできるよ】 |
マークス | 無理するな。 片手で包帯を巻くのは難しいだろ?? |
マークス | それに……俺のせいで傷が広がったんだ。 大人しく手当させてくれ。 |
マークス | ジョージがいれば、すぐに良くなるのにな……。 あいつ、いつになったら戻ってくるんだ? |
マークス | あいつだって、自分がマスターにとって ものすごく重要な存在だってわかってるはずだ。 それなのに、どこをほっつき歩いてるんだ……。 |
主人公 | 【明日の朝いなかったら、探しに行こう】 【きっとすぐに戻ってくるよ】 |
マークス | ……ああ。 |
マークス | ……戻った後は、1発叩き込んでやる。 |
主人公 | 【どうした?】 【何か言った?】 |
マークス | いや、ただの決意表明だ。 マスターが気にすることはない。 |
マークス | はぁ……今日は色々あったな。 |
マークス | アウトレイジャー討伐に来たと思ったら、 いきなりパーティーに参加させられるし……。 |
マークス | 歓迎パーティーだとか言ってたけど、 あの場にいるだけで妙に疲れる気がした。 |
マークス | 支部に行って休もうと思ったら、 アウトレイジャー討伐に駆り出されて…… おまけに、またここに戻ることになるとはな。 |
マークス | マスターは、俺よりもっと疲れただろ。 今日はもう休もう。 |
マークス | 俺は隣の部屋にいるから、 何かあったら大声で呼んでくれ。 1秒で駆けつける。 |
主人公 | 【心強いな】 【おやすみ、マークス】 |
マークス | おやすみ。また明日な、マスター。 |
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