───ある日の士官学校にて。
恭遠とラッセルは、〇〇によってまとめられた
任務報告書を精読していた。
恭遠 | よく書けていますね。教官方が口を揃えて 「〇〇君は優秀だ」と話しておられましたが、 本当に将来が楽しみです。 |
---|---|
ラッセル | ええ。 若者らしく、やや直情的に突っ走る時もありますが……。 |
ラッセル | そういう場合や難しい状況の中でも、 貴銃士たちと協力して、素晴らしい成果を上げています。 頼もしいことです。 |
恭遠 | しかし……彼らの活躍をもってしても、 まだまだアウトレイジャーやトルレ・シャフの動きについて、 気になる点や謎は多いですね。 |
ラッセル | 今後の任務での動き方や、情報の漏れがないか確認するためにも、 一度〇〇君たちと一緒に、情報整理を行いましょう。 |
マークス | 俺たちを集めてどうした。 |
---|---|
主人公 | 【任務でしょうか?】 【何か問題がありましたか?】 |
恭遠 | いや。 今回集まってもらったのは、これまでの任務を振り返るためだ。 |
ジョージ | Oh……反省会ってヤツか!? |
ライク・ツー | へぇ。駄目出しならいくらでもできるぜ。 |
十手 | うっ……耳も胃も痛くなりそうだが…… 反省すべきところはきちんと受け止めて、 今後に繋げていかないとだよなぁ……! |
ラッセル | はは……そう身構えないでくれ。 反省会ではなくて、情報共有と整理のためだからね。 |
ラッセル | 君たちには、イギリスを含め様々な国で任務を行ってもらった。 その中で、新たに入手した情報もあるが…… いまだ解明できていない謎も多い。 |
恭遠 | そういう部分を、今後の任務で重点的に調べたり、 ヒントになりそうな情報を見逃したりしないように、 君たちと共有しておこうと思ってね。 |
ライク・ツー | なるほどな。 それで、何が気になってんだ? |
ラッセル | まずは……対アウトレイジャー戦および、 親世界帝派反乱軍からの基地奪還作戦に参加した、 ドイツ派遣での報告だ。 |
ラッセル | 連合軍ドイツ支部ドライゼ特別司令官や、 エルメ特別司令官補佐の話では、 反乱軍とアウトレイジャーの間では戦闘は発生していないとか。 |
ライク・ツー | ああ……確かにそう言ってたな。 |
ドライゼ | 前線で数か月の戦闘を重ね、はっきりしたことがある。 ……原理は不明だが、アウトレイジャーどもと反乱軍との間では、 戦闘が発生していない。 |
---|---|
ライク・ツー | は……? どういうことだ。 |
エルメ | アウトレイジャーはどうも、反乱軍に対しては 攻撃をしかけないみたいでね。 でも、彼らは意思疎通を図れる存在じゃないし……。 |
エルメ | 反乱軍は何かしら、アウトレイジャーを寄せ付けない 秘密の手段でも握っているのかもしれない。 |
ライク・ツー | 反乱軍は親世界帝派だし…… トルレ・シャフとも関連してそうだよな。 |
---|---|
ライク・ツー | そういや、あのおっさん───ここの理事長が、 アウトレイジャーが出没する場所の近くで、 トルレ・シャフっぽい奴も目撃されてるって言ってたっけ。 |
ラッセル | ああ……アウトレイジャーについて、 我々よりもトルレ・シャフの方が、詳しく把握していそうだな。 |
十手 | 連合軍で捕らえたトルレ・シャフの連中から、 話を聞き出せればいいんだがなぁ。 |
ラッセル | 口を開くのは下っ端だけで、大した情報は得られない。 重要な役職に就いている者は忠誠心が高く、 口を開くより死を選ぶ……あまり期待はできないな。 |
恭遠 | 俺としては、フランスで一時、 ジョージが監禁されていたのも気になるよ。 結局、犯人も目的もわからないままなんだろう? |
ジョージ | おう。さらわれたのも解放されたのもいきなりだったし。 Mysteryだよな〜。 |
マークス | あのあと、フランスに何日も滞在するような任務はないな。 アウトレイジャーは出なくなったのか? |
恭遠 | ゼロではないが、あの任務前後に比べると激減……というより、 以前と同じくらいの出没数に減ったと聞いているよ。 基本的に、連合軍フランス支部で対処できているそうだ。 |
十手 | アウトレイジャーといえば、日本も不思議だったなぁ。 俺と〇〇君が行っている間に、 初めてアウトレイジャーが出没したんだ。 |
恭遠 | 君たちの任務終了からしばらくして、 日本でも時折アウトレイジャー被害が報告されている。 |
ラッセル | 〇〇君と十手の懸念…… あれで終わりではなさそうだという読みが、 残念ながら当たってしまった。 |
十手 | なんと……。 |
恭遠 | 今は、貴銃士3名を擁する自衛軍を中心に、 対処に当たっているそうだ。 |
ライク・ツー | はぁ……相変わらず、世界各地で アウトレイジャー被害が出続けてるってことだな。 |
ラッセル | そうだな……。 ああ、それから、この結晶についても共有しておこう。 |
ラッセルは、ベルべットのケースに収められた透明な結晶を、〇〇たちに見せた。
ジョージ | あっ! それ、オレがフランスで拾ったやつ! |
---|---|
ラッセル | これなんだが……カサリステで解析を行った結果、 アリノミウム結晶と類似する成分が検出された。 |
ライク・ツー | ……! |
ラッセル | 確か、この結晶は…… ロジェ・ド・リリエンフェルト氏の薔薇の傷を消し去ったあとで、 近くに落ちているのを拾ったんだったな。 |
ジョージ | そうそう! 綺麗だったから、なんとなく気になってさ。 でも……アリノム? アリミウム? 結晶と 関係があるのか!? |
ラッセル | 成分や、拾った場所からして、その可能性は高いだろう。 マスターの薔薇の傷を完全に治療した際に出るのか……? ドイツや日本、ウィンズダム宮殿ではどうだった? |
ジョージ | ドイツの時は……うーん、覚えてないなぁ。 外だったし、夜で暗かったし、ちゃんと見てなかったよ。 |
マークス | そういえば……フランスで、カトリーヌってやつの傷を 謎の貴銃士が治した時、何か拾ってたような気もする。 いや、見間違いかもしれないが……。 |
十手 | 日本の時は……うーん……すまない。 子供たちの傷を治すのに精一杯で、他に意識が向いていなかった。 |
ライク・ツー | あのさ……。 俺、たぶん、同じの持ってるかも。 |
ラッセル | ……! 本当か、ライク・ツー。 |
ライク・ツー | ジェイコブっつったっけ。 あのビビり散らかしてたおっさんの傷を治した部屋で、 絨毯の上に落ちてんのを見つけて……拾っといた。 |
ライク・ツー | 綺麗だったし、宝石の原石か何かかなーって。 |
マークス | あんた……マスターにも黙って何やってんだ。 |
ラッセル | すまないが、その結晶も預からせてくれ。 アリノミウム結晶に関する物質だと考えると、 手元に置いておくのは危険かもしれないからね。 |
ライク・ツー | ……りょーかい。あとで持ってくる。 |
ラッセル | 今後の任務でも、この謎の結晶が見つかったら、 持ち帰って拾得状況の報告を頼む。 |
恭遠 | 薔薇の傷を絶対高貴によって完治させた際にできるのか、 それ以外にも何かしらの発生条件があるのか…… 世界連合で、検証を進めていくよ。 |
一同 | 了解。 |
ラッセルと恭遠からの話のあと……
ライク・ツーに呼び出された〇〇は、
言われた通りにひっそりと、彼の部屋を訪れた。
ジョージ | あれ? 〇〇! ライク・ツーの話って、オレとマスターにか? |
---|---|
ライク・ツー | ああ。マークスも呼ぶか考えたけど、 あいつ、隠し事とか腹芸とかとは無縁だろ。 危なっかしくて話せねぇからパスだ。 |
主人公 | 【……危険な話?】 【自分たちを呼んだのはなぜ?】 |
ライク・ツー | ……〇〇。 お前、報告書にジョージのこと書かなかったんだな。 |
ライク・ツー | マーガレット女王が呼び覚ましたブラウン・ベスが、 今はジョージとして、お前の貴銃士になってること。 |
ジョージ | ……オレが、秘密にしてほしいって頼んだんだ。 オレ自身も何も知らないことにしといた方が、 あの日、ブラウンに何があったのかを探りやすいから……。 |
ジョージ | ライク・ツーも、誰にも言わないでほしい。 ───頼むっ! |
ライク・ツー | 別に、頼まれなくても言うつもりはねぇよ。 つーか、「イギリスのマーガレット女王とブラウン・ベスが、 実は偽物で影武者と入れ替わってまーす」とか……。 |
ライク・ツー | まともなヤツがそんな話信じるかっての。 陰謀論者を喜ばせるのが関の山だ。 |
ジョージ | あはは……確かに、そうだよなぁ。 |
ライク・ツー | でもさ、考えてみたら、エンフィールドとスナイダーは ブラウン・ベスが偽物だって気が付いてるんじゃないか? |
ジョージ | うん……たぶん、エンフィールドは確実に気づいてる。 あの時、“あいつと同じ偽物”って口走ってたし……。 |
ジョージ | でも、女王まで偽物だとは知らないんじゃないかな。 それに、オレが女王に呼び覚まされたブラウン・ベスと 同じ銃だってことも知らないと思うんだ。 |
ライク・ツー | ……知ってたら、あんなもんじゃ済まなそうだよな。 |
ライク・ツー | エンフィールドは〇〇の貴銃士になって、 宮殿にいた頃よりずっとまともになったように見えるが…… ジョージの秘密を知ったら、どう転ぶかわからないところもある。 |
ジョージ | オレは、エンフィールドのことを信用してるよ。 けど、オレとブラウンの繋がりを知るのは……たぶん危険だ。 だから、今はまだ巻き込みたくないんだ。 |
ライク・ツー | どのみち、現時点で既に知ってる奴ら…… 俺たちとシャルルヴィルだけの間で、 しばらく情報を留めておくのがいいってことだな。 |
主人公 | 【秘密は必ず守る】 【真相を早く明らかにしよう】 |
ジョージ | ……おう。ありがとな、〇〇! |
??? | なんと……! ここまで純度の高い結晶は久方ぶりに目にしたぞ。 |
---|---|
??? | ああ。 イギリス女王へ最初に献上したもの以来の水準だ。 |
??? | これほどの結晶であれば…… 実る果実は、さぞ甘美に澄んだものであろうな。 ふふ……はっはっはっは……! |
Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.
まだコメントがありません。