──〇〇たちは、貴銃士の屋敷へ戻ってきた。
十手 | はぁ……。 |
---|---|
ライク・ツー | だから、しけた顔するなって。 完全に突っかかってきたあっちが悪いだろ。 |
十手 | だが、カトラリー君だって、その……。 |
主人公 | 【何か事情があったのかも】 【ストレスが溜まっていたのかも】 |
ライク・ツー | はぁ……事情があったからって、八つ当たりを許す必要ねぇだろ。 ったく、お前らどこまでお人好しなんだよ。 |
話しつつ屋敷のエントランスに向かっていた3人は、
どこからかいい香りが漂ってくることに気づいた。
十手 | む……この匂いは……? |
---|---|
主人公 | 【紅茶のような……?】 【薔薇の香り……?】 |
ライク・ツー | 言われてみれば、そうかも。 向こうの庭園から匂ってきてるのか? |
十手 | ふむ……カトラリー君は風情あるものが好きみたいだから、 庭園で気持ちを鎮めているのかもしれないね。 |
ライク・ツー | あいつがそういうガラか? |
十手 | とにかく、ちょっと行ってみないかい? |
十手 | カトラリー君がいればよし。いなかったとしても、 ミカエル君や屋敷の人……誰かがいれば、 カトラリー君と仲直りするコツを聞けるかもしれないし。 |
ライク・ツー | はぁ……お前のお人よしは筋金入りだな。 |
庭園には、赤い薔薇を中心に、様々な花が咲き誇っていた。
その中で、優雅にお茶を飲む人影がある。
ミカエル | おや。帰ったんだね。 |
---|---|
ライク・ツー | ……ミカエルか。 |
十手 | いやぁ……見事な庭だね。 |
ミカエル | きみたちも、庭園を見に来たの? |
ミカエル | 美しいだろう。僕のお気に入りの場所だよ。 それに……薔薇の香りを嗅いでいると、 なんだか懐かしい気がしてね。 |
ミカエル | 誰か、このかぐわしい香りをまとっていた人を、 僕は知っている気がするんだ。 |
ミカエル | ……かつての僕と、何か関係がある人なのかな。 |
主人公 | 【どういうこと?】 【かつての僕とは……?】 |
ミカエル | ……おや、知らなかったの? |
ミカエル | どうやら僕は以前、 アシュレーというマスターに呼び覚まされていたようでね。 |
ライク・ツー | ……っ!! |
十手 | 待ってくれ、アシュレーという名前は授業で何度も習ったよ。 それって、圧政を敷いていた……第2代世界帝じゃ……!? |
ミカエル | うん、そう。 僕はもともと、その世界帝の貴銃士だったそうだよ。 |
主人公 | 【世界帝軍にいた貴銃士とは別の銃だと聞いた】 【別の個体だと公表されているはず……】 |
ミカエル | おや、そうなの? |
??? | ──まったく。 |
ファル | ……極秘情報をペラペラと喋らないでください、ミカエルさん。 |
ライク・ツー | 今度はお前か。 |
ミカエル | おかえり、ファル。 |
ファル | 任務が終わって帰ってきたばかりで、 こんな現場に居合わせるとは思いませんでしたよ。 やれやれ……困った方ですね。 |
ライク・ツー | おい、説明しろ。 こいつが世界帝軍の銃だってのは、本当なのか? |
ファル | 正確には、世界帝軍の銃“だった”……です。 |
ファル | 彼はベルギーへの搬送中に、 武装集団に強奪されたそうでして。 |
ライク・ツー | 強奪……。 |
ファル | 強奪自体は、激しい戦闘の末になんとか阻止できたものの、 その際に、彼の銃は一部が破損してしまったそうですよ。 |
ファル | 修繕を施したのが原因なのか、 彼の記憶のほとんどは失われてしまっていると聞いています。 |
ファル | それで、公には別個体ということになっているんですよ。 まあ、実際のところ……記憶がないのに まったく同じ貴銃士とは言い難いでしょう。 |
ファル | どのみち彼は戦いませんし、 この屋敷で無害に過ごしている以上、たいした問題ではないかと。 |
ライク・ツー | 結果的にそうなったかもしれねぇ。 けど、そもそも、なんであえて世界帝軍にいた銃を召銃した? |
ファル | 機密事項です。 お答えできませんね。 |
ライク・ツー | ……チッ。 |
ミカエル | ……ね、ファル。 こっちへ来ておくれよ。 |
ファル | はぁ、またあれですか。 |
ミカエル | きみの音は、いつだって聴きたいから。 |
ミカエルはファルを手招きして呼び寄せると、
その胸元に耳を当てた。
ミカエル | ……うん。リズムが整っているね。 美しいテンポだ。 |
---|---|
ファル | そうですか。よかったですね。 |
ファル | おや……目をつけていたつぼみが開花していますね。 期待通りの美しい薔薇です。 |
ファルは、一輪の薔薇を摘み取った。
十手 | ファル君は、花が好きなのかい? |
---|---|
ファル | いえ、別に。 |
ファル | アウトレイジャー討伐で出払っていることも多く、 部屋には最低限のものしかなくて殺風景なものですから。 彩りに一輪挿しを置いているだけです。 |
十手 | へぇ、一輪挿しか。 風流じゃないか。 |
十手 | 俺は、盆栽をやっていてね。 薔薇のように華やかではないんだが、 身近に緑があると気分が和むんだ。 |
十手 | 切り花はあまり日持ちしないだろうし…… 薔薇の盆栽なんかもできたりしたら── |
ファル | …………。 |
十手 | あれ……。 俺、もしや盆栽のことを熱く語りすぎてしまったかい? 押しつけがましかっただろうか……。 |
ライク・ツー | さあな。 |
ライク・ツー | (……赤い花……) |
---|
??? | ねぇ、お兄ちゃん。 前から聞きたかったんだけどさ、 なんでここの花壇って、赤い花ばっかりなわけ? |
---|---|
??? | お、それ気になっちゃう? 正解はぁ~~、アイちんが、赤い花が好きだから! なんだってさ☆ |
??? | へぇ、アインスさんが? ちょっと意外かも……。 でも、シャツとかも赤いし、赤が好きなのかな。 |
??? | アイちんのことだからぁ、 「慈悲の血しぶきの色だ」ってことかもよーん? |
??? | んで、アイちんがいないときはファルるんが水やりしてんだって。 フゥ! 優しィ~! ま、おいらの弟ほどじゃないけど! |
??? | ……ウッザ……。 |
ライク・ツー | いや、まさかな……。 |
---|---|
シャルロット | 皆様、こちらにいらしたのですね! そろそろ我が家に参りましょう。 晩餐は期待してくださいね! |
シャルロット | ただ……わたくしはしばらく、不在がちになってしまいますの。 丁重におもてなしすると言っておきながら、 本当に申し訳ないわ……。 |
シャルロット | もちろん、コーバスや屋敷の者たちに、 ベルギーの素敵なところを案内させますけれど。 |
十手 | なあ……シャルロット殿。 ものは相談なんだが、俺たちも明日から こちらの屋敷に泊まることはできないかな? |
シャルロット | あら……でも、我が家の方がよろしいのではないかしら。 ここは少し手狭ですし……。 |
十手 | 家庭教師を請け負ったからには、 カトラリー君と寝食を共にした方がいいと思うんだ。 |
十手 | ……それに、カトラリー君とはゆっくり話したいしね。 |
シャルロット | ……そうですか。 では、皆様の居室をすぐに用意させますね。 日当たりのいい客間がちょうど2部屋ありますの。 |
──翌日から、〇〇たちは
貴銃士たちが住まう屋敷に滞在することになった。
さっそく、十手はカトラリーに会いに行ったのだが……。
十手 | やっぱり、ダメだった……。 |
---|---|
ライク・ツー | 朝から辛気くせぇ顔してなんだよ。 |
十手 | カトラリー君と話がしたいんだが、 部屋に入れてくれないんだ……。 |
ライク・ツー | だから、放っとけって、あんな奴。 |
十手 | いやいや、そんなわけにはいかないよ。 |
ライク・ツー | はぁ……家庭教師の時間になりゃ出てくるだろ。 あっちのマスターの命令なんだし。 |
十手 | うーん、それはそうなんだが……。 |
十手とライク・ツーが話をしていると、
外で車が何台も止まる音がした。
十手 | 軍用車のようだね。 ……マチルダ殿がいる。 |
---|---|
ライク・ツー | 兵士も何人かいるな。 慌ただしいが、なんかあったのか……? |
主人公 | 【行ってみよう】 【何か手伝えるかも】 |
十手 | そうだね。 マチルダ殿の体調も心配だし、行ってみるとしよう。 |
マチルダ | ……君たちか。 |
---|---|
十手 | マチルダ殿、傷は大丈夫かい? |
マチルダ | ……ああ、問題ない。 すまない、朝から騒がしかったか。 |
ライク・ツー | いや、別に。それより── |
主人公 | 【自分たちも手伝います】 【任務でしたら同行します】 |
ライク・ツー | アウトレイジャー討伐に行くなら、 古銃の貴銃士がいないと長期戦はキツイぞ。 それに、スネた貴銃士のお守りより、任務のほうが重要だしな。 |
マチルダ | ……いや、必要ない。 アウトレイジャー討伐は、できる限り私がやるべきことだ。 外部の手は、極力借りたくない。 |
ライク・ツー | ……? |
ライク・ツー | (なんだそれ……わけあり臭ぇ感じだな) |
ファル | ……お待たせしました。 |
マチルダ | ファル、遅いぞ。 反体制組織のアジトが見つかった。 このまま、現場に急行する。 |
ファル | 承知しました。 |
マチルダとファルは、軍用車に乗り込み、
あっという間にいなくなってしまった。
十手 | マチルダ殿……。 昨日の様子といい、鬼気迫るものがあるなぁ……。 |
---|---|
十手 | また、無理をしないといいんだが……。 |
──ミカエルの部屋にて。
カトラリー | ……行っちゃった。 |
---|---|
カトラリー | あの人も慌ただしいよね。 ファルのこと、いつも連れ回してさ。 |
ミカエル | …………。 |
ミカエル | このままではただの兵器になってしまう。 心なき貴銃士は、冷たい銃と何が違う? |
ミカエル | 心をなくして何の音も奏でなくなったら、銃に戻る……。 |
カトラリー | ……ミカエル? |
カトラリー | もう……ミカエルをこんなに心配させてさ。 あいつはワインとチーズのうんちく垂れてるくらいで、 ちょうどいいんだよ。 |
カトラリー | なのに近頃は、ワインもチーズもさっぱりだし…… ぼーっとしてることも多い気がするし……。 |
ミカエル | このままでは……ファルの音が……。 |
コーバス | ──失礼します。 |
コーバス | カトラリー様、少々よろしいでしょうか。 |
カトラリー | ……何? |
十手 | さて、今朝もそろそろ家庭教師の時間だが……。 今日も部屋に入れてくれないかもしれないな……。 |
---|
カトラリー | お前らみんな、大っ嫌い!! |
---|
十手 | はぁぁ……。 |
---|---|
十手 | (高い高い壁が築かれてしまった。 なんであんなに嫌われてしまったのか……。 どうにか、もう少し腹を割って話せるといいんだが……) |
十手 | (しかし、家庭教師として来ていること自体が、 壁の原因になっているかもしれないなぁ……。 コーバス殿とも、あまり上手くいっていないようだし) |
十手 | (誰か親しい人に取り持ってもらうのがいいだろうか。 ミカエル君は……協力してくれるかよくわからないなぁ。 この屋敷にいる人で誰か──んん?) |
十手 | (そういえば…… カトラリー君がこの屋敷の人たちと喋っているところを、 ほとんど見ていないような……?) |
十手 | (指示だとか、必要最低限のやりとりはしていたけれど、 親しく話しているところはまだ見ていないな……) |
十手 | (身の回りにいろいろな憂いの元があって、 それが絶対高貴を阻んでいるとか……?) |
十手 | ……うーむ……。 |
主人公 | 【まずは行ってみよう】 【入れてくれなかったらまた考えよう】 |
十手 | ありがとう、〇〇君。 |
〇〇と十手がカトラリーの部屋に向かっていた時──
カトラリー | 出て行けよ!! |
---|---|
十手 | この声は……カトラリー君!? |
声が聞こえた方に行くと、
ミカエルの部屋のドアが半開きになっており、
室内ではカトラリーが執事のコーバスと言い争っていた。
カトラリー | 放っといてよ! わざわざそんなこと言いに来て……僕のこと見張ってるわけ!? |
---|---|
カトラリー | っていうか、絶対高貴、絶対高貴って……もう聞き飽きたし。 言われなくてもわかってるっての!! |
コーバス | でしたら── |
カトラリー | ああもう、わかってるって言ってるんだから、黙れよ! あいつの家庭教師を受けてればいいんだろ! |
十手 | ……っ! |
部屋から飛び出してきたカトラリーが、
〇〇たちの存在に気がついて硬直する。
カトラリー | あ……っ。 |
---|---|
コーバス | 〇〇様、十手様……! 大変失礼いたしました。 カトラリー様は少々取り乱しておいででして……。 |
カトラリー | だ、誰のせいだと──! |
コーバス | ……カトラリー様。〇〇様と十手様は、 あなた様のためにシャルロットお嬢様がお招きになった 世界連合軍の大切なお客様であることをお忘れなきよう。 |
カトラリー | …………。 ……わ、わかったよ。 |
カトラリー | 悪かったね、十手……さん。 行こう。 |
十手 | カトラリー君……その、大丈夫かい? |
カトラリー | 何が言いたいわけ? 僕は平気だよ。別に。 |
十手 | しかし……。 |
カトラリー | 早く始めて、ディナーの前には終わらせよう。 ……どうせ、絶対高貴になんてなれないんだしさ。 |
十手 | ……カトラリー君、少し提案なんだが。 しばらくの間、授業の方針を変えてみないかい? |
カトラリー | え……? |
──2日後。
〇〇とライク・ツーが部屋でトランプをしていると、
十手が家庭教師から帰ってきた。
十手 | ……むぅ。 |
---|---|
ライク・ツー | おい、どうしたんだよ。 |
十手 | …………。 |
ライク・ツー | いや、無視すんなって! |
十手 | はっ、すまんすまん! 少し考え事をしていてね。 |
ライク・ツー | あっそ。で、調子はどうなんだよ? こっちは毎日暇で暇で仕方ねぇんだけど。 |
十手 | ははは、それは申し訳ない……。 |
十手 | 家庭教師の方は、少しずつ前進している気がするよ。 最初はぎこちなくて、会話もあまり続かなかったんだが、 近頃は少しカトラリー君の素を見せてくれるようになってね。 |
ライク・ツー | へぇ……あの状態からよくやるもんだな。 一体何したんだよ。 |
十手 | 大したことは何も! じっくり話を聞いたり、 士官学校の授業で習ったことを一緒にやってみたり……。 |
十手 | 煙玉作りや折り紙なんかもしたね。 そうやって過ごしているうちに、少しずつ打ち解けてきたよ。 |
ライク・ツー | それ、絶対高貴と関係あんのか……? |
十手 | 正直なところ、わからない。 でも、まずは打ち解けて、 信頼してもらうことが大事だと思うんだ。 |
十手 | ほら、信頼できない相手から何を言われたって、 まともに取り合おうとはなかなか思えないだろう? |
十手 | だから俺は、家庭教師として呼ばれはしたけれど、 まずはカトラリー君が気を許せる相手…… もっと言うなら、友達になりたいと思うんだ! |
ライク・ツー | ふーん。お前なりに方向は定まってるんだな。 |
主人公 | 【なら、考え事というのは?】 【順調そうなのに、悩み事が?】 |
十手 | うーん……実は少し、引っかかることがあってね……。 |
十手 | 今日は、一緒に料理をしてみたんだ。 カトラリー君は美食家だし、もってこいだろう? |
十手 | その時のことなんだが──……。 |
カトラリー | ……ねぇ。なんだよ、この授業。 なんで僕が料理なんてしないといけないわけ? |
---|---|
十手 | まあまあ! ほら、自分で作った料理は美味しいというし、 自分で作れば好みの味付けにできるだろう? |
カトラリー | ……はぁ。仕方ないな……。 えっと、ジャガイモを切り分ける……って……? |
カトラリー | こう? ……えいっ! |
十手 | のわ!? そんな、斬り捨て御免みたいにしたら危ないぞ……! まず、包丁はこう持って。 |
カトラリー | そ、そんなこと言われたって知らないよ……。 料理なんてしたことないし! |
十手 | え、そうだったのかい? |
カトラリー | するわけないでしょ。 僕は貴銃士であって、料理人じゃないんだから。 |
十手 | おお、それじゃあ今日は、記念すべき日だね。 頑張って美味いものを作り上げよう! まずは俺がやってみるから、見ていてくれ。 |
十手 | 人参はこうして……左手は猫の手で、 トントントン、と調子よく……! |
カトラリー | え、すごい……! 野菜、こんな早く切れるんだ……。 |
十手 | ははは、もっと早くできるぞぉ! トントントン……っと── |
十手 | ──あいた!? |
カトラリー | わっ……! 調子に乗るからだよ! 野菜じゃなくて指切っちゃうとか、バカじゃないの!? |
十手 | ははは……やってしまったよ。 少しはいいところを……と思ったのに、 これじゃあ格好がつかないなぁ。 |
カトラリー | 笑いごとじゃないし……! 今、人を呼ぶから。 |
十手 | 平気だよ。ほとんど血も出ていないし、舐めとけば治るさ。 食材に触れるところでもないから、大丈夫だろう。 |
カトラリー | え……放っといたらばい菌とか入るかもしれないでしょ。 いいから、ここでじっとしててよ! |
カトラリーが医者を呼んできたが、
十手の怪我は、手当ての必要がないくらいのもので、
塗り薬とガーゼが渡されたのだった。
十手 | ……ということがあってね。 医者を呼びに走ってくれたばかりか、 診察の間も、ずっと心配そうにしていてくれたんだよ。 |
---|---|
ライク・ツー | 大げさな奴だな。 |
十手 | でも、優しい子じゃあないか。 俺は、心配をかけてしまったのは申し訳ないけれど、 なんとも胸がじーんとしたんだよ。 |
十手 | カトラリー君は、ちょっと意地悪なことを言う時もあるが、 ちゃんと人を心配できる優しい心を持ってる。 決して、悪い子じゃないんだ。 |
十手 | だからこそ、ああやって壁を作って、 周りの人たちと打ち解けていないのがどうにも気になって── |
十手 | ……いでで! |
主人公 | 【指の怪我が痛む!?】 【大変だ、治療しよう!】 |
十手 | すまん、〇〇君……。 治療するようなところはどこもないんだよ。 |
十手 | ……実は、カトラリー君のことを考えすぎて、夜眠れなくてね。 ちょっと、胃が痛むんだよ……ははは……。 |
ライク・ツー | ……おい。 お前がそこまで頑張る必要あるのかよ。 まずは自分の状態を万全にしろっての。 |
十手 | ……ライク・ツー君。 もしかして、俺のことを心配してくれているのかい? |
ライク・ツー | なっ! ち、ちげーよ。 |
ライク・ツー | よくもまあ、あんな生意気な奴のために身を粉にするもんだって 呆れてただけだっての。 |
主人公 | 【自分にできることは?】 【自分に手伝えることはあるかな】 |
十手 | 〇〇君も、ありがとう。 そうだねぇ……やはり、屋敷の人との関係が気になるかな。 |
十手 | 何かいざこざを抱えているなら、仲裁に協力したいんだ。 |
主人公 | 【任せて!】 【一緒に頑張ろう】 |
十手 | 〇〇君……ありがとう! |
十手と〇〇はさっそく、
屋敷の使用人たちが休憩している裏庭に話を聞きに行った。
十手 | カトラリー君と、普段どう接しているか教えてくれるかい? |
---|---|
料理人 | 美食家でいらっしゃいますね。 それ以外は、俺は知りませんよ。 |
使用人1 | ええ。私らごときが、貴銃士様のことは話せませんよ。 ……シャルロット様が、カトラリー様が絶対高貴になられるのを 心待ちにされていることは、皆さんもご存じでしょうし。 |
使用人2 | 革命戦争の貴銃士とよく似た“カトラリー”様なので、 シャルロット様がのみならず多くの国民も待ち望んでいるかと。 それ以外では、特に言うべきことは……。 |
給仕 | いずれにせよ、私たちはシャルロットお嬢様のご意向に沿って 貴銃士様方の生活を支えるだけです。 |
料理人 | その通り。 それが我々の仕事なのでね。 |
十手 | なる、ほど……。 |
給仕 | ……あっ。 |
使用人1 | あっ……。 申し訳ございません、私たちはこれで……。 |
十手 | ……? あ、ああ。皆さん忙しいところ、ありがとう。 |
使用人たちが、そそくさと立ち去ってしまう。
十手 | どうしたんだろう、みんなあんなに慌てて……。 |
---|---|
カトラリー | ……なんのつもりなの? |
十手 | ……! カ、カトラリー君……!? |
背後でカトラリーが、十手のことを睨み付けていた。
カトラリー | ……なんのつもりなのさ。 使用人たちと、なんの話をしてたの? |
---|---|
十手 | す、すまない……! これにはわけがあって── |
カトラリー | 言い訳なんて聞きたくないよ。 こそこそ嗅ぎ回るなんて……最っ低! 十手も僕にムカついて、あいつらと悪口言い合ってたんでしょ! |
十手 | カトラリー君、それは違── |
カトラリー | うるさい!! どいつもこいつも、口を開けば絶対高貴、絶対高貴って…… もうんざりだよ!! |
カトラリー | どうせあいつらから、あれこれ聞いたんでしょ。 僕がシャルロットに見捨てられて可哀想とでも言われた? |
カトラリー | せっかく召銃したのに役目も果たせない、 役立たずのお人形だって! |
カトラリー | わかってるよ……! みんなにどう思われてるかなんて!! |
カトラリーは唇を強く噛み締め、走り去ってしまった。
十手 | カトラリー君! |
---|---|
主人公 | 【……かなり追い詰められてるみたい】 【……つらい立場にあるみたい】 |
十手 | …………。 |
ライク・ツー | ……うわ、なんだよ。 2人揃って葬式みたいなツラして。 |
---|---|
十手 | カトラリー君を怒らせて──というより、 傷つけてしまってね……。 |
十手と〇〇は、
先ほどの出来事を話した。
ライク・ツー | ま、絶対高貴になれって圧力がかかってるんだろうな。 ベルギー政府からか、マスターからかは知らねぇけど。 |
---|---|
十手 | …………。 |
十手 | 俺は……周囲に恵まれていたんだな。 戦闘では役立てていなかったけれど、 絶対高貴になれるジョージ君がいてくれて……。 |
十手 | 周囲からの期待を一身に背負わずに済んでいたし、マークス君、 ライク・ツー君、ジョージ君がいて孤独ではなかった。 でも、絶対高貴になれない苦しさもよーくわかる……。 |
十手 | 俺も幸運にも日本に行く機会がなければ……もしかしたら……。 |
ライク・ツー | いや、お前は周囲に当たり散らかすタイプじゃねぇだろ。 |
十手 | でもなぁ……今思うと、いつも後ろ向きで、 みんなに気を遣わせていたんじゃないかと思うよ。 |
十手 | 俺とカトラリー君では、絶対高貴になれない焦りやらなんやらが どう表に出るかはもちろん違っているけれど…… それでも、とても他人事とは思えない。 |
十手 | あの頃の俺をキセル君が励ましてくれたように、 カトラリー君のためになる言葉がかけられればいいんだが……。 ……この状況じゃ、俺の言葉は素直に聞いてくれないだろうな。 |
十手 | うーむ……。 …………いや、違うな! |
俯いていた十手は、ぱっと顔を上げる。
十手 | 俺はキセル君とは違うし、人の真似事じゃあきっと響かない。 なら、俺は俺なりにまっすぐにぶつかっていくしかないよな。 |
---|---|
十手 | うん、よぉし! 腹をくくったら、なんだかやれる気がしてきたよ。 |
ライク・ツー | ……へぇ。 十手、お前ちょっと変わったな。 |
十手 | え、そうかな? |
ライク・ツー | ああ。 背中丸めてウジウジしてるより、断然マシ。 |
主人公 | 【ますます頼もしくなった】 【十手がいると心強いよ】 |
十手 | へへ……よしてくれよ、2人とも。 照れるじゃないか。 |
──コンコン
使用人 | お休みのところ失礼いたします。 世界連合軍のベルギー支部から入電でございます。 アウトレイジャー討伐への応援要請のようでして……。 |
---|---|
主人公 | 【行こう、2人とも!】 【すぐに出よう!】 |
十手&ライク・ツー | おう! |
〇〇たちは装備を整え、
指定された現場に急行した。
マチルダ | ……君たちか。 すまないな、私は候補生殿の支援は必要ないと伝えたのだが、 ベルギー支部の連中はずいぶんと心配性らしい。 |
---|---|
主人公 | 【お気になさらず】 【力になりたいので……】 |
マチルダ | では、情報を共有する。 |
マチルダ | この先に、トルレ・シャフのアジトの1つらしきものがある。 敵の数は不明。大規模戦闘になる恐れがある。 |
マチルダ | 周囲はネズミ一匹逃さないよう包囲済みだ。 これからアジト制圧作戦を行う。 |
ライク・ツー | あー、やっと働けるぜ。 筋トレだけじゃ、身体が鈍っちまうところだった。 |
ベルギー支部兵士1 | ……ジャンセン特別執行官殿。 作戦の準備が整いました。 |
マチルダ | 私とファル、〇〇殿は、 アウトレイジャーの出没に備えて周囲の警戒を行う。 |
ベルギー支部兵士1 | 了解。 |
ライク・ツー | 戦況次第でそっちの加勢にも行くぜ。 |
ベルギー支部兵士2 | ありがとうございます! |
──パァン!
ライク・ツー | 〇〇! |
---|---|
十手 | 伏せろ! |
ベルギー支部兵士2 | くっ……包囲に気づかれたか! |
ベルギー支部上官 | 奴らを逃すな! 捕らえろ!! |
ベルギー支部兵士たち | はっ!! |
Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.
まだコメントがありません。