ベルギー編:第32話~第37話

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第32話:焼け落ちる思い

マチルダ撃て、撃て!
奴らはファルがエサとなって誘き出した大物!
必ず捕らえろ、これは千載一遇の好機だ!
ファルな、なぜ……!? どういう、ことだ、これは……!
エフ信じてたのに……ファルちゃん……!
アインス……これが、お前の出した結論ということか。
ファルアインス……私は……!
アインスお前の選択を尊重しよう。
だが、俺たちの行く道が交わることはない。
……エフ、行くぞ。
エフはい……アインスお兄様。
……さようなら、ファルちゃん……。
アインス&エフ──絶対非道。
ファル待って──っ、く!

ファルは追いすがろうとするが、絶対非道で廃墟が一部崩れ。
どこからか火の手が上がる。
煙に紛れて、2人の姿はすぐに見えなくなった。

ファルどう、して……。
ファル……監視? 私に?
ファルいや、監視がついていたとしても、
この規模の突入はあり得ない……。
私が彼らと接触すると、事前に知っていなければ……!
マチルダ……状況が理解できていないようだな。

マチルダの後ろから、ミカエルとカトラリーが姿を現した。
ミカエルは、ファルへゆっくりと手を差し伸べる。

ミカエル……ファル。
ファル……ミカエル、さん……?
ミカエルおかえり。
ファル……ッ!!!

ファル……あなたもいらっしゃいますか?
ミカエル…………。
ミカエルノン、僕は行かないよ。
ミカエル僕にかつての記憶はない……。
行ったとしても、誰も何も得るものはないだろう。

ファルミカエル……あなたが、情報を……!
ファル何故ですか……あのまま彼らと一緒に行けた方が、
私……は……。
ミカエルノン……いけないよ。彼らと行く先に安寧はない。
君はここで生きて行くんだ……僕らとともに。
ミカエルそのために……──
ミカエル愛を拒むきみに……憎しみをあげる。
ミカエル僕を憎むことが、きみの生きる理由になるなら。
……きみの音が、濁らなくなるなら。
ミカエル──それが、僕の幸いだ。
ミカエルさぁ、帰ろう。ファル。
ファル…………。

???ファル。
???ファルちゃん!

マチルダこれからはお前の力を、
祖国ベルギーのために存分に使ってもらうぞ。
マチルダ……返事をしろ。
祖国に仕える気はあるか?
ファル世界帝に召銃されれば、特別幹部として振る舞う。
あなたに召銃されれば、祖国のために働く。
なんら変わりはありませんね。

ファル……っ!?
ミカエル何か……?
ファル…………。
最近、心臓の調子がおかしいようで。

ファルおや……目をつけていたつぼみが開花していますね。
期待通りの美しい薔薇です。
十手ファル君は、花が好きなのかい?
ファルいえ、別に。

ファル──私は、何をしているんでしょうね。
ファル(私は何を望んでいるのか。
かの時代の復興か? それとも──)
ファル……いや。
武器が物思いに耽るなど、馬鹿らしい。

ファル……クソが……。

──ガン! ガン!

ファル……ハァ、ハァ……ッ!
せっかくの楽しみを……邪魔しやがって……!

──ガン! ガン! ガン!
──ガン! ガン! ガン!


──ザクッ、ザクッ!

ファル黙れ……黙れ……ッ!
うるさい、うるさい……うるさい……!

ゴーストせやなぁ。ワイは情深い銃やから。
──なぁ、ファルはん。あんさんもそうやろ?
ファル……私が? そんなわけないでしょう。
ゴーストいいや。
アインスの兄さんやエフといる時のあんさんには、情があった。
少なくともワイには……そう見えてたで。
ゴースト……ワイは知っとる。
あんさんは、あの2人に会いたいはずや。

エフ信じてたのに……ファルちゃん……!
アインス……これが、お前の出した結論ということか。
ファルアインス……私は……!
アインスお前の選択を尊重しよう。
だが、俺たちの行く道が交わることはない。
……エフ、行くぞ。
エフはい……アインスお兄様。
……さようなら、ファルちゃん……。

ファル…………ふっ。
ファルふふふ……はははは……。
ファルあっははははは!
カトラリーファル……?
ファルああ……おかしい。
あのねぇ、憎むほどの気力も残っていませんよ。

ファルは、自分の銃を壁に強く叩きつけはじめた。

十手……っ!
ファル君、そんなことをしたら……!
ファル黙れ。その善人面、反吐が出る……!
十手……っ!

ファルはなおも自分の銃を叩きつけ続ける。
何度も、何度も、何度も──

カトラリーそ、うだよ! やめて……やめて、ファル!
そんなにしたら、壊れちゃう!!

ファルは誰の声にも耳を貸さず、銃を叩きつけ続ける。
しかし、凹みや傷はできても、決定的な破壊には至らない。

ファル……壊れたくとも、ここまでしても壊れられないとは。
軍用銃とは厄介なものですね……。
ライク・ツーおい、やべぇぞ。
火の手が回ってきてる……!
マチルダ我々も待避するぞ。ファル、来い……!
ファルは、はは……!
あーはっはっはっ! すべてが、馬鹿らしい……!
もう何もかも壊れてしまえば、いい……っ!!
ファルふ、ふふ…………ああ、赤い──。

ファルは薄らと笑みを浮かべると、
建物の奥──火の勢いが強い方へと歩きはじめる。

ミカエルファル……およしよ。そんなことは……!
カトラリーな、何やってるの!
ファル……ファルってば!

ミカエルとカトラリーの手を強く振り払ったファルは、
炎の中へと消えていく。

カトラリー……っ、ファル!!
十手ダメだ、カトラリー君!
マチルダ全員、避難しろ!

ベルギー支部の兵士たちに引っ張られるようにして、
〇〇たちは燃える建物の外へと出る。


──数時間後。

火事は鎮圧され……
焼け跡からは、ひどく損傷したKB FALLが発見された。

第33話:急転直下

──翌日。

シャルロット驚きましたわ。
マチルダの銃が、わたくしたちベルギーを裏切って、
トルレ・シャフらしき組織に接触だなんて……。
シャルロットはぁ、なんて恐ろしいこと……。
ライク・ツーさっそく噂になってるみてぇだな。
主人公【ファルは……?】
十手損傷がひどいそうだよ。
マチルダ殿と専門家が修復を試みているらしいが……。
十手…………。
俺には、修復することも酷に思えてね……。
カトラリー……ファル……。
ミカエル……君に、会えなくなるなんて……。
一同…………。
シャルロット……沈んでいる暇はありませんわ。
ファルがいなくなってしまった今、
ベルギーの国防は手薄になってしまっています。
シャルロット一刻も早く、カトラリーには絶対高貴になってもらわないと。
十手さん。今日も家庭教師をお願いしますわね。
シャルロット今日はわたくしも授業の見学を──
コーバスシャルロットお嬢様……!
シャルロットまあ、コーバス。
一体何事ですの?
コーバスこ、これを……!

執事が持ってきた新聞の一面には、
『サリバン首相ブレーン、対抗候補の罪を捏造!』
という見出しが躍っていた。

シャルロットどういうことですの……これは……?
十手サリバン首相というと、シャルロット殿のお父上だね。
ライク・ツー対抗候補で罪って言ったら……。
主人公【ドリス・シルヴァスター氏のこと?】
【マチルダさんのお母さん……?】

ライク・ツーはシャルロットが取り落とした新聞を拾い上げ、
素早く目を通す。

ライク・ツー間違いねぇな。マチルダの母親だ。
ドリス・シルヴァスター……当時の第一野党党首だった奴に、
虚偽の罪をなすりつけてスキャンダルをでっち上げた。
ライク・ツーその首謀者がサリバン派の中核ってのが、すっぱ抜かれたとさ。
……サリバン本人にも関与の疑いがあるらしい。
ライク・ツーベルギーで謎の強兵を討伐する、マチルダ・ジャンセンの
身元を探っていた記者が偶然、証拠を発見した、
……って書いてあるぜ。
ライク・ツーへぇ……あいつ、死ぬ気で動き回ってた甲斐があったな。
カトラリーねぇ……これって、どうなっちゃうの……?
シャルロット…………っ。
シャルロットお父様は……お父様は、正しい方です!
わたくしが、尊敬してやまない……。
こんなこと……ありえません!

シャルロットは、急ぎ部屋を出ていく。

コーバス〇〇さん、皆さん。
おそらく、ここにも記者たちが詰めかけるでしょう。
コーバス急ぎ帰国なされることをお勧めいたします。
帰路は責任を持って手配いたしますので、お早く──。

混乱の中、〇〇たちは士官学校に戻ることになった。

第34話:ベルギーからの招待、再び

──数週間後。

十手……はぁ。
ライク・ツーんだよ、辛気くせぇな。
十手いや……つい、ベルギーの一件を考えてしまってね。
俺がしたことに、意味はあったのだろうか……。

……カトラリーは、絶対高貴になれないまま。
ファルは焼損し、サリバン家は没落。
ベルギーはしばらくの間混乱に陥っていた。

ライク・ツー……お前が気に病むことはねぇだろ。
なんでもかんでも解決できるわけねぇんだからさ。
主人公【意味はあったはず】
【カトラリーと打ち解けられていた】
十手しかし、カトラリー君はファル君を失ってしまったし……。
なんとも後味が悪いというか……うーむ……。
ラッセル〇〇君。
十手とライク・ツーも一緒か。ちょうどよかった。
ラッセル今朝、また君たち宛に郵便が届いていた。
ベルギー首相のご令嬢からなんだが……。
十手シャルロット殿から?
ラッセルいや、違うんだ。
例の事件があってから、ベルギーでは政権交代があってね。
ラッセル……新首相ドリス・シルヴァスター氏のご令嬢、
マチルダ殿からの招待状だ。

〇〇たちは再びベルギーを訪れた。

マチルダ〇〇士官候補生、貴銃士の諸君。
招待に応じていただけたこと、心から感謝する。
主人公【お久しぶりです】
【またお会いできて嬉しいです】
マチルダああ、例の事件ぶりだな。
慌ただしい出国となってしまったと聞いている。
申し訳なかった……。
マチルダ改めて。
現在は、特別執行官の職を退いている。
マチルダ母が……ドリス・シルヴァスターが新首相となり、
ともなって私もかねてから力を注ぎたいと思っていた、
産業開発分野の大臣補佐を担当することになった。
マチルダマチルダ・シルヴァスター産業開発大臣補佐、だ。
長たらしくてすまない。
ライク・ツー……で?
ライク・ツー俺たちをわざわざ呼び戻したのはどういうことだ?
マチルダ前置きが長くなってしまったな。
君たちを呼んだのは、2つ頼みがあってのことだ。
マチルダ1つは、この薔薇の傷だ。
政権運営に関わることになった以上、
私はこれ以上危険を伴う前線勤務を続けられなくなった。
マチルダ今の私が背負うべき任務は、命を省みず戦うことではなく、
自らを万全の状態に保ち、
この国の未来のため、長きにわたりこの身を捧げることだ。
マチルダ……よって、私は貴銃士のマスターから退く。
この薔薇の傷を、絶対高貴で完治させてほしい。
マチルダそして、もう1つは……私がマスターを退くに伴って、
今後のアウトレイジャー討伐に、君たちの力を借りたい。
マチルダ私とファルは、ベルギー国内だけではなく、
周辺諸国の要請に応じて、
国外でもアウトレイジャー討伐を引き受けていた。
マチルダベルギーは世界帝の武器工場ではなく世界連合の一員である、
という連帯を示すために。
マチルダ今後は、今まで通りともいかなくなる。
貴銃士がいなくなるのだからな。
マチルダ……もしもの時には、どうか力を貸してくれ。
主人公【わかりました】
【任せてください!】
ライク・ツーおう、戦闘なら、家庭教師よりは気乗りするぜ。
十手その……マチルダ殿。
君がマスターではなくなるということは、
ベルギーの貴銃士たちはどうなるんだい……?
マチルダファルとミカエルについては、連合軍に管理を委ねる。
マチルダミカエルは……すでに耳に入っているだろうが、
かつて世界帝軍にいたのと同じ個体だ。
マチルダしかし、以前の記憶はほとんどなく、
例の事件の際にも、我々への情報提供を行うなど協力的だった。
マチルダそこで、連合軍ベルギー支部としては、
多くの貴銃士を束ねる士官学校のマスターが希望するなら、
召銃してよいという判断を下しているそうだ。
マチルダファルについては……損傷が激しく、
試してはみたが、召銃はできない状態だ。
マチルダ……召銃に成功したところで、
尋問を行ったのち処分となる可能性もある。
ライク・ツー…………。
十手カトラリー君についてはどうなるんだい?
その……シャルロット殿は、
随分と立場が変わってしまっただろう。
マチルダああ、カトラリーについてだが──

──コンコン

シャルロット……マチルダ。
わたくしから説明させてくださいな。

第35話:幼馴染み

 

第36話:ベルギーの未来へ

シャルロット……父が投獄され、路頭に迷っていたわたくしに
マチルダが手を差し伸べてくれました。
シャルロット今まで彼女にしていた仕打ちが許されるとは思っておりません。
現代銃の貴銃士のマスターとして傷つきながら戦っていた彼女を
わたくしは助けることができなかった。
シャルロット……カトラリーを絶対高貴に導けなかったのですから。
シャルロットそれどころか、絶対高貴への焦りが募って
カトラリーにもつらく当たってしまい、
……お世辞にも、マスターとしてふさわしい人間ではなかった。
カトラリー…………。
僕のことが嫌いだったんじゃなかったの?
シャルロット違うわ!
嫌いなのは……──
シャルロット嫌いなのは、むしろ……素直になれないで、
外面ばかり取り繕っている自分自身よ。
カトラリー……そっか。
シャルロット〇〇さん。
実は……わたくしも貴銃士のマスターを退くことに決めたのです。
シャルロット力不足の未熟なマスターでは、
きっとカトラリーを絶対高貴に導いてあげることができない。
シャルロットあなたたちに、カトラリーをお任せしたいと思っているのです。
主人公【カトラリーの気持ちは……?】
【一方的には決めたくありません】
シャルロット……!
そう、ですね。わたくしの悪い癖が出てしまいましたわ。
シャルロット……カトラリー、どうかしら?
カトラリー……いいよ。
ミカエルもいなくなっちゃうし、
シャルロットもこれから忙しくなるんでしょ?
カトラリー僕は、士官学校でも暮らしていけるし。
別に問題ないよ。
シャルロットカトラリー……ありがとう。
あなたが今度こそ、伸び伸びと暮らせることを願っているわ。
シャルロットでは……〇〇さん、十手さん。
お願いしてもいいかしら。
主人公【わかりました】
【十手、お願い】
十手ああ、任せてくれ!

薔薇の傷を治そうと近づいた十手に、
シャルロットは小声でささやく。

シャルロットねぇ、十手さん。
シャルロットカトラリーは、あなたにとても心を許しているみたい。
……どうか、あの子をよろしくお願いいたしますね。
十手ああ、合点だ。
十手それじゃあ、マチルダ殿の傷も合わせて──
十手──絶対高貴!

絶対高貴の光が、2人の薔薇の傷に降り注ぐ。
薔薇の傷が消えていくのと同時に、
ミカエルとカトラリーの姿も揺らぎ始める。

ミカエルああ……この感覚を、知っている気がする……。
カトラリー……じゃあね、シャルロット。
今まで……ありがと。一応。
シャルロットこちらこそありがとう、カトラリー。
元気でいてね。

〇〇は、銃に戻った2挺へ、
順番に手を触れていく。

カトラリー…………。
えーっと……よろしく、〇〇。
カトラリータイヤキは美味しかったけど、
僕のマスターなら、食事のマナーは完璧にしててよね。
ライク・ツー……相変わらずのクソガキだな。
カトラリーなっ……・、僕は当たり前のこと言っただけでしょ!
十手ははは、カトラリー君はまた俺たちと食事したいって
言ってくれているんだよな。
楽しみにしているよ。

続いて、〇〇はミカエルの銃に触れる。

ミカエルよろしく、〇〇。
……士官学校には、ピアノはあるのかな。
主人公【音楽室にあるよ】
【グランドピアノがあるよ】
ミカエルそう。それはいいね。
ライク・ツー揺らぎねぇな……。
マチルダ……ファルについてだが、
修繕が終わり次第、イギリスに届けさせるつもりだ。
マチルダ現状、ベルギー支部では扱いに困っている部分があってな。
再び奪われる危険もあるため、
貴銃士の扱いに長けたフィルクレヴァートに預けたがっている。
マチルダ奴の願ったように、このまま捨て置くか、
いっそ粉々に破壊してやった方がいいのかもしれないが……
連合軍では、尋問したいという意見も多いのだろう。
マチルダ銃として機能するよう徹底的に修繕をして、
召銃を試みるという結論に至るかもしれない。
このあたりは、追々また相談することになるはずだ。
十手…………。
ライク・ツー…………。

エフ信じてたのに……ファルちゃん……!
アインス……これが、お前の出した結論ということか。

ライク・ツー(あれは、元世界帝軍の貴銃士、アインスとエフ……)
ライク・ツー(ということは、護送途中で銃を奪ったのは、
世界帝軍に恨みを持つ奴らじゃなくて、
トルレ・シャフ……で確定か)
ライク・ツー(なら、UL85A1もトルレ・シャフ側にいる……?
無事で……また召銃されてる可能性も──)
十手ライク・ツー君?
どうしたんだい、怖い顔をして……。
ライク・ツー……いや、なんでもねぇ。

第37話:まっさらな心臓

──数カ月後。
カトラリーとミカエルが士官学校での生活にも
慣れてきた頃。

シャルロットごきげんよう、〇〇さん。
十手シャルロット殿!
カトラリー……久しぶり。今日は何しに来たわけ?
シャルロットカトラリー!
それに、十手さんにミカエルも。
シャルロットお久しぶりです。
本日は、マチルダの代理で参りましたの。
シャルロット……これを。

シャルロットが差し出したのは、KB FALLだった。

ラッセルこれが例の……。
シャルロット損傷が激しく。修理に時間がかかってしまいましたが……。
どうにか以前と同じ状態になりました。
シャルロット連合軍の要求通り尋問をするにせよ、ここに残ってもらうにせよ、
まずは召銃しなくてはいけません。
シャルロットですが……修復はしたものの、
召銃には応じなかったということにして、
このままの方がいいのでは……と、マチルダは言っています。
ミカエル……〇〇。
きみは、ファルをどうするの?

ファル感情があって苦しむとしたら、お前のせいだ。

〇〇の脳裏に、
ファルの苦しげな顔が思い出される。

主人公【召銃しない方がいいのかもしれない】
【マチルダさんの言う通りだとは思う】
主人公【でも、話をしないといけない】
【それでも、聞かないといけないことがある】
ミカエル……!
シャルロットわかりました。
わたくしたちは〇〇さんにお任せします。
あなたなら……ファルを救えるかもしれませんし。
シャルロットだって……カトラリー、聞きましたわ。
あなた、ついに目覚めたのでしょう?
ふふっ、すごいわ……!
カトラリー別に……割とみんな使えてるし、そんなにすごくないけど。
十手いやいや、照れることはないよ。
カトラリー君は本当に頑張っていたんだ。
自分でもちゃあんと誇っていいと思うぞ!
カトラリー……ふぅん、そう……?
カトラリー…………。
遠路はるばる、わざわざ来たわけだし?
絶対高貴、見せてあげてもいいけど。
シャルロットまあ……! 本当ですの?
それは素敵だわ……!
カトラリーそれじゃ、いくよ。
カトラリー……絶対高貴……っ!
シャルロットあ……っ!
シャルロットなんて……なんて優しくて、清らかな光……。
体中が、きれいなものでいっぱいになるみたい……。
シャルロットこれが、あなたの高貴なのね。
……おめでとう、カトラリー。
……おめでとう……っ。
カトラリー……うん。
……ありがと。

シャルロットを見送った後、〇〇たちは
警戒態勢の下でファルを召銃することにした。

ラッセル見た目には普通のKB FALLだが……
焼けて酷く損傷していたのだろう?
一度はそんな状態になった銃を、本当に召銃できるのか……?
ライク・ツー……ま、なるようにしかならねぇだろ。

〇〇が、そっとファルの本体に触れる。

ファル……っ!
主人公【大丈夫?】
【おかえり】
ファル……?
あなたは──
ミカエルああ、ファル……また会えて嬉しいよ。
ライク・ツーへぇ……あんなになったらもう無理だと思ったけど。
貴銃士ってずぶといんだな。
いや、この場合はこいつだからか。
ミカエルカトラリー? きみもこちらへ来たら。ほら。
カトラリー……!
カトラリーううん……僕はここでいい。
カトラリーでも……その……良かった、……ね。
僕、てっきりもう……。
カトラリー……良かった、ファル。
……良かっ、た……!
ファル…………。
ミカエルファル……?

ファルは何もしゃべらず、
ただ微笑みを浮かべて、周囲の様子を眺めている。

ファル皆さん、何か喜ばしいことでも?
ライク・ツーそんな冗談言うタイプだっけ、お前。
見りゃ分かんだろ。
こいつらはお前と再会できて喜んでんだよ。
ファル再会……?
私は皆さんと『初対面』ですが……。

ファルはまっさらな微笑みをたたえて、
〇〇たちに応対する。

ファル記憶喪失──というやつでしょうか。
ふふ……面白いですねぇ。
ミカエル…………。
ファルそれで、皆さん。
私は今、あなた方に何を期待されてるんでしょうか?
期待には応えますよ。
ファル世界4大アサルトライフルの1つと言われる
このKB FALLが、迅速かつむごたらしく、
始末して差し上げましょう。
ミカエル……なるほど。きみはそれを選んだんだね。
ミカエル──うん、僕が好きな、澄んだ音だ……。

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