ベルギー編:第6話~第10話

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第6話:マチルダとファル

マチルダ……先ほどは失礼した。
私はマチルダ・ジャンセン。
現代銃2挺のマスターで、特別執行官の任についている。
ライク・ツー特別執行官?
マチルダ軍属ではなく、臨時の司法機関員として
ベルギー国内や、貴銃士を擁さない周辺国においての
アウトレイジャー討伐任務に従事しているのでね。
ライク・ツーふぅん……。
ライク・ツー(ベルギーの立場は微妙らしいし、別個体っていっても
世界帝軍にいたのと同じ種類の貴銃士連れて国内外を動くには、
軍属だといろいろ面倒臭いってところか)
マチルダファル、お前も自己紹介を。
ファルはじめまして。私はベルギーで作られたアサルトライフル、
KB FALLの貴銃士です。
ファル…………。
十手ど、どうしたんだい?
ファル……? 何がでしょう。
自己紹介なら終わりましたが。
十手そうかぁ。なんともあっさりした御仁だなぁ。
多くを語らないのも、また粋というかなんというか。
ファル…………。
十手おっと。名乗りが遅れたが、俺は十手だ!
ライク・ツー俺は──ライク・ツー。UL85A2の貴銃士。
んで、こっちが俺たちのマスター、〇〇だ。
ファルそうですか。
ライク・ツー反応薄っ……。
マチルダ〇〇殿、十手殿。改めて礼を言わせてくれ。
傷の治療をしていただき、感謝する。
十手なぁに、気にしないでくれ!
それに、無理は禁物だぞ。
俺が滞在している間は、つらくなったらいつでも言ってくれよ!
ファルいいのですか?
そのように軽々しく絶対高貴を使って。
十手軽々しくも何も、傷の治療は大事なことだろう?
それに、困ったときはお互い様ってやつさ。
ファル……はぁ。“お優しい”のですねぇ。
十手ははは、照れるな。
優しいだなんて……。
ファル……ふふ。
これはこれは、素直な人ですね。
無線『──ジャンセン特別執行官。
出動を要請します』
マチルダ了解。
……行くぞ、ファル。
ファルええ。
シャルロットまあ……!
せっかくお客様がいらしているのに、また戦いですの?
相変わらず、せわしない人ね。
マチルダ私は、優雅な首相令嬢殿とは違って、
アウトレイジャー討伐に忙しいのでな。
主人公【自分たちも行きましょうか?】
【同行しても構いませんか?】
マチルダいや、それには及ばない。
あなたたちの力が必要であれば、軍から協力要請があるだろう。
……それでは、失礼する。
マチルダ…………。
主人公【……?】
【(睨まれてる……?)】

去り際に、マチルダは〇〇を
じっと睨むように見てから去っていく。
ファルも踵を返して、彼女に続こうとした。

ライク・ツー…………。
おい、ファル。
ファルなんでしょう。
ライク・ツー4大アサルトライフルって大物が、
ボロボロのマスターによく従ってるもんだな。
ファルはぁ……マスターですので。
それでは、これで。
ライク・ツー…………。
十手ライク・ツー君、マチルダ殿は身を削ってでも
懸命にアウトレイジャー討伐に励んでいたんだよ。
ファル君がそんなマスターをどうこう思うはずないじゃないか。
ライク・ツーはいはい。
ライク・ツー…………。
シャルロット彼女、ぶっきらぼうでご不快だったでしょう。
ごめんなさいね。
シャルロットあの人は少し荒っぽいところがあるというか……。
ファルを召銃してから、戦いばかりに明け暮れているのです。
シャルロット軍属でもないというのい、必要以上に戦場に出ていって……。
戦いがよほど性に合っているのかしら。
でも、マスターとして、少しは身なりにも気を使ってほしいわ。
ライク・ツー……ベルギーにいるもう1人のマスターの貴銃士が
まともに戦えるヤツだったら、あいつも身綺麗になるかもな。
シャルロット…………っ!
カトラリー……ねぇ、もういい?
早く天使の演奏を聞きに行こうよ。
シャルロットええ……そうね、カトラリー。
皆さん、こちらへどうぞ。

第7話:ミカエルのピアノ

案内された先には、グランドピアノが置かれた部屋があり、
片目に包帯を巻いた青年が、美しくも物悲しい旋律を奏でていた。

???…………♪
ライク・ツー……っ!
カトラリーさ、邪魔しないようにソファに行こう。

〇〇たちは、しばらくの間
ソファに座ってピアノ演奏を鑑賞する。

レクイエムの演奏が終わると、ピアノを弾いていた青年は、
そこで初めて来訪者に気づいたようだった。

???おや。観客がいたんだね。
カトラリーこの人たちは、イギリスの士官学校から来たお客様だよ。
ミカエルの演奏を聞いてほしくて案内したんだ。
シャルロットさ、ミカエルさん。
皆さんに自己紹介をお願いしますね。
ミカエル……?
僕の紹介なら、さっきのレクイエムで済んだと思うのだけれど。
カトラリーほら、名前とか、銃のこととか。
もう少し教えてあげて。
ミカエルふむ……僕は、KB MNMの貴銃士。
ミカエルと呼ばれているよ。
ミカエルさて、次の曲のリクエストはあるかな。
ライク・ツー……なあ、お前も現代銃だろ?
ファルはもう行っちまったけど、
お前はここでピアノ弾いてていいのか?
ミカエル僕としては行っても構わないよ。
けれど、僕の指は音色を奏でるためにあるから、
行くことにさほど意味はないのではないかな。
十手んん……? どういうことだい?
カトラリーミカエルは、戦いに行く時もピアノと一緒なんだよ。
そしたらマチルダが「来るな」ってさ。
カトラリーもったいないよね。
天使の音色を戦場で聴けるなんて、贅沢なのに。
ライク・ツーいや、それなら確かに来ねぇ方がマシだろ。
十手う、うーむ……適材適所と考えるなら、
ミカエル君はここにいた方がいいのかもしれないね。
十手しかし、戦いたい気持ちがあるのなら、
何かいいやり方があるといいんだが……。
主人公【確かにそうだね】
【鍵盤ハーモニカで我慢してもらうとか】
ミカエル……ねぇ、きみたち。

ミカエルは立ち上がると、
〇〇と十手の前へやってくる。

ミカエルあのね……ファルのことだけれど。
ミカエル彼のことを、誤解しないでほしい。
そして……誤解を解こうともしないでほしいな。
十手む……?
ミカエル頼んだよ。

そう言うとミカエルは、再びピアノの前に座り、
暗いメロディーを奏で始める。

十手あの、今のはどういう……?
カトラリーあ! 演奏中は話しかけちゃだめだよ。
ミカエルは、演奏の邪魔をされるのが嫌いなんだ。
十手あ、ああ……すまない。

──コンコン

コーバス失礼いたします。
お嬢様、少々よろしいでしょうか。
シャルロットええ。

執事と何かを話し終えて、
シャルロットが〇〇たちのところへ戻ってくる。

シャルロットごめんなさい……急用が入ってしまって、
わたくしは行かなくてはなりませんの。
十手承知した!
それなら俺は、さっそくカトラリー君と
絶対高貴の道探しをするよ。
シャルロットありがとうございます。
カトラリーをよろしくお願いしますね。
シャルロットでは皆様、ごきげんよう。
カトラリー……ねぇ、十手さん。
家庭教師は、天使の演奏が終わってからでもいいよね?
十手ああ。せっかく弾いてくれているのに、
途中で出て行くなんて失礼はしないよ。
ライク・ツーはぁ……。

第8話:昼間のフルコース

ミカエルの演奏が終わったあと、
十手はカトラリーの家庭教師を始めた。

カトラリー絶対高貴!
カトラリー…………。
カトラリー……はぁ、ダメだ。
十手焦らない、焦らない。
絶対高貴になるきっかけは、意外なところにあったりするもんさ。
カトラリー別に……僕は焦ってないよ。
どっちかっていうと……焦ってるのはマスターの方。
わざわざ家庭教師なんて呼ぶくらいだし。
十手うーん……シャルロット殿は、
カトラリー君やベルギーのために、なんでもしたいのかもね。
十手それに、きっと君を信じているんだよ。
何かきっかけさえあれば、絶対高貴に目覚められるってね。
カトラリー…………。
……そうだね。
カトラリーそれより、絶対高貴になるきっかけって……?
十手さんには、そういうのがあったの?
十手ああ。
俺が絶対高貴に目覚めたのは……神社の夢がきっかけだったんだ。
カトラリージンジャ? 夢?
十手なんとも摩訶不思議な話なんだが……
見覚えがあるような神社──日本の教会みたいなものだね。
それを何度も繰り返し夢に見るようになったんだ。
十手そこで俺は〇〇君と、
絶対高貴を求めて、遥か遠くの日本へと旅立ったんだ!
ライク・ツーいや、壮大な冒険風に言ってるけど、
日本から招待が来たからそれに乗じて行っただけだろ。
十手はっはっは! まあ、そうなんだけどね。
こう、語り口は浪漫がある方が楽しいかなと思って。
カトラリー……して……。
カトラリー……を……踏みつけて……たたいたら……。
十手カトラリー君?
大丈夫かい? なんだかぼーっとしているみたいだったけど。
カトラリー……別に、なんでもない。
カトラリーねぇ。もうお昼になるし、食事にしない?
僕が食堂に案内するよ。
十手あ、ああ。ぜひお願いするよ!

食堂に到着すると、
カトラリーが使用人に合図をした。

カトラリーお客さんの分も準備させてあるから、遠慮なくどうぞ。
十手かたじけない!
実は、結構お腹が空いててね……助かったよ。
給仕こちら、アミューズでございます。
左から真鯛のブランダード、バゲット2種、
グジェールとなっております。
カトラリーふふっ。一流シェフが作るフレンチだよ。
僕、こういう上品で美味しいものしか食べたくないんだ。
ライク・ツーふーん。
十手ほほう、ふれんち! 士官学校の食堂とはまた違うなぁ。
しかし……カトラリー君は小食なんだねぇ。
カトラリーえ……? どうして?
十手どの料理も品がよくて美味しそうだが、
一口くらいで食べ終わってしまいそうだろう?
これっきりで足りるのかと驚いてしまってねぇ。
カトラリーふ……あははっ、十手さんって面白いことを言うね。
これはアミューズ……もてなし用の一口料理だよ。
カトラリーこれから、オードブル、スープ、ポワゾン……って
いろんな料理を味わうんだ。
カトラリーもしかして、フルコース食べたいことないの?
ふっ……信じらんない。
十手あ……そうだなあ、士官学校ではなかなか。
じゃあ、遠慮なく……いただきます!
十手むぐ……おおっ、美味しい!
〇〇君、ライク・ツー君、これは美味いねぇ。
主人公【本当だね】
【うん、美味しい!】
カトラリー…………。
十手さんの……な口にも合って、よかった。
給仕オードブルをお持ちしました。
ホタテとエビのジュレ仕立てのサラダでございます。
十手おお、海鮮か。美味そうだなぁ!
十手……って、あれ?
匙がいくつもあるな……どれも少しずつ形が違うし……。
十手(懐石料理みたいなものだとしたら、
きっと作法があるのだろうが……ナイフとフォークも、
こんなにたくさん並んで……うーん……)
十手ダメだ。わ、わからん……。
カトラリーあれ、もしかして食べ方に迷ってるの?
なら、簡単に教えてあげる。
並んでるカトラリー類を外側から順番に使っていけばいいよ。
カトラリーあ、フルーツとかデザートとかは、
お皿の上側に並んでるのを使うから。
十手おお……そうなのか。
ありがとう、カトラリー君!

前菜を食べ終えた頃、スープが運ばれてくる。

給仕セロリアックが香るヴィシソワーズでございます。
十手ぽわ……美シソ……?
カトラリージャガイモの冷製クリームスープだよ。
旬のセロリアックで、香り高く仕上げさせたんだ。
十手ふむふむ。
旬の食材を取り入れて楽しむのはいいもんだね。
せろりあっく、かぁ……どんな味なのか気になるよ。
カトラリー……ははっ! ああ……なぁんだ。
十手え……? どうしたんだい、カトラリー君。
カトラリーいや……だって、十手さんって、
なぁんにも知らないんだもん。
カトラリー一般的なマナー程度の教養がなくたって
絶対高貴になれるんだって思ったら、肩の力が抜けたっていうか。
僕も大丈夫って思っちゃった。
十手あ、ああ……! そうさ、カトラリー君は大丈夫だよ。
きっと、絶対高貴になれるさ。
カトラリーだよね。十手さんみたいに、貴銃士っぽくないっていうか……・
人混みにいてもわからないくらい平凡な感じでも、
ちゃんとああやって力を持ってるんだもんね。
カトラリー僕は結構目立っちゃうからさ。
これで絶対高貴になれないのはちょっと肩身が狭かったけど、
なんだかとっても元気が出てきたよ。
十手そ……そうかい。
元気が出たならよかった、のかな。
十手はは……。
…………。
主人公【落ち込む必要なんてないよ】
【十手は立派な貴銃士だ】
ライク・ツー…………。
ライク・ツーま、いくらメシをお上品に食えたところで、
絶対高貴にはなれねぇみたいだけど。
カトラリーっ……!!
十手ラ、ライク・ツー君……。
カトラリー君はきっと、思ったことを率直に言ったまでで……。
ライク・ツー俺も思ったことを率直に言っただけ。
カトラリー……もういいよ。
ほら、次はポワゾンだよ。魚料理。
カトラリー食べ終わったら、外に出よう。
街を案内してあげる。

 

第9話:ベルギー散策

気まずい空気のまま食事を終えた一行は、
カトラリーの案内で街を歩くことになった。

市民1ねぇ、あれって……。
カトラリーやあ、こんにちは!
市民2わっ……貴銃士のカトラリー様……!?
カトラリーあ、ちょっと……。

カトラリーに声を掛けられた男性は、
驚いたのか数歩後ずさりする。

市民2あれが、カトラリー様……。
俺はじめて本物見たよ。
市民3馬車や車は時々見かけるけど……
街中に普通に出てくることもあるのね。
カトラリー…………。

街の人々が集まってくるが、遠巻きに見て囁き合っており、
積極的に話しかけたりする人はいない。

ライク・ツーへぇ? ずいぶんな人気者だな。
カトラリー……あの人たちはきっと、僕に恐縮しちゃってるんだね。
僕と彼らじゃ立場が違いすぎるから、仕方ないけどさ。
カトラリーほら、こっちだよ。
見所はたくさんあるから、急いで。

カトラリーあの店はワッフルが有名だよ。
ベルギーワッフルは有名だから、知ってるでしょ?
カトラリー大昔から食べられていて、フランス語だとゴーフル、
オランダ語ではウェハーとか、いろんな呼び方があるんだ。
でも、昔はぺったんこだったんだって。
カトラリービール酵母で発酵させる、ふわふわで風味豊かなワッフルは
ベルギーで生まれた美食なんだよ。
主人公【それは是非食べてみたい……!】
【物知りなんだ】
カトラリーそう? これくらい知ってて当然でしょ。
カトラリーベルギーの歴史は紆余曲折の連続なんだ。
フランスやオランダ、ドイツ……
そういう、周囲の国々の一部だったり、小国に分裂してたりでね。
カトラリーだから、“ベルギー”っていう国家の歴史は短いんだけど、
豊かでさまざまな食文化があるわけ。
たとえば、ワッフルとか、ビールとか、チョコレートとかね。
十手ははぁ……禍福は糾える縄の如しということかな。
カトラリーカフク、ファー、ザナエル……?
十手禍福(かふく)は、糾(あざな)える縄の如し、だよ。
十手幸せと不幸は、より合わさった縄のように表裏一体で、
幸せが不幸に繋がったりも、不幸が幸せの種になったりもする。
……っていう意味の、有名な故事成語さ。
カトラリー……ねぇ、僕が言ったことが気に食わないからって、
やり返そうとしてるわけ?
十手ええっ……!?
そんなつもりはなかったんだが……。
カトラリーそう?
ま、十手さんならそういうことはしないよね。
カトラリーそれじゃあ、もう少し街を歩いてみよう。
気になるところがあったら寄ってみてもいいよ。

一行は、市街地にある大きな公園へやってきた。

十手おお、賑やかだねぇ!
活気があっていいところだ。
屋台や茶屋なんかもたくさんあるみたいだね。
ライク・ツーさっきフルコース食ったばっかりなのに、
注目すんのはそこかよ。

公園では、多くの人たちが屋台の軽食を食べたり、
飲み物を片手に談笑している。

カトラリー……あんなお粗末なものを食べて嬉しくなれる庶民って、
ほんと、幸せそうでうらやましいよ。
十手ん……?
十手おおおっ!?
ライク・ツーなんだよ。
十手あそこにある店を見てくれ……!!
主人公【TAI-YAKI……?】
カトラリーああ、タイヤキね。
最近できたって聞いたかな。人気らしいね。
ライク・ツー確かに、すげぇ行列だな。
十手タイヤキの文字、あの絵……!
間違いない、正真正銘、たい焼きだ。
こんなところで出会えるとは……!
十手しかも、ベルギーの人たちにも人気だなんて、
なんだかじーんときてしまうなぁ。
子供1わぁ~、Fish cakeだ!
僕、ストロベリーカスタードがいい!
女性1私はバニラクリーム……うーん、マロンも気になるかも!
男性1俺はチョコレートにチョコチップトッピングだ。
Wチョコレートでリッチな味わいになりそうだろ?
十手…………んんん?
主人公【どれも美味しそう】
【いろんな味があるんだね】
十手な、なんと……。思っていたのとは違うが、
郷に入っては郷に従え、所変われば品変わるというやつだね。
この国の人の口に合うように、工夫していると見た。
十手しかし……俺はやっぱり、あんこが好きだなぁ。
上品な甘さで、大粒のふっくらした粒あんはもちろん、
ほろっと柔らかく解けるこしあんも捨てがたい……!
カトラリー何……? そのアンコってやつ。
そんなに美味しいの……?
十手ああ! 小豆やらを甘く煮たもので、和菓子には欠かせないんだ。
小豆だけじゃなくて、枝豆や白いんげん豆で作る、
緑や白いものもあってね。奥が深いんだよ。
十手たい焼きと言ったら……
迷うところだが、やっぱり小豆の粒あんかな!
一口、試しに食べてみないかい?
カトラリーえ……正気? 甘い豆なんて、信じられないよ。
それに庶民の食べ物をこの僕が? 冗談やめて。
ライク・ツー俺も、甘いもんはパス。
昼を結構がっつり食ったばっかりだしな。
十手そ、そうか……。
主人公【自分は食べてみたい】
【自分と一緒に行こう】
十手〇〇君……!
ああ、ぜひ試してみてくれ。

第10話:喧嘩別れ

〇〇と十手の2人は、
無事あんこ入りのたい焼きを購入して、
ライク・ツーとカトラリーのところへ戻る。

ライク・ツー案外早かったな。
十手人は多かったけど、どんどん焼き上がっていたからね。
大将が作るたい焼きの大群……なんてな! ははっ!
十手……ゴホン。2人をあんまり待たせずに済んでよかったよ。
それじゃあさっそく、いただきます!
主人公【どこから食べるのがいいんだろう】
【頭か、お腹か、背中か、尻尾か……】
十手うんうん、どっちから攻めるか悩むのも、たい焼きの醍醐味だね。
俺は……尻尾からいただこうかな。
十手むむっ……尻尾にもしっかりあんこが入っているぞ。
粒あんも、かなり本格的なものだよ。
美味いなぁ……!
主人公【こっちも美味しい!】
【サクサクとろーりで最高!】
十手〇〇君も気に入ってくれてよかった。
そうだ、カトラリー君──
カトラリー…………。
十手カトラリー君?
カトラリー……あのさ、いい加減にしてくれない?
カトラリーさっきから、見てらんないよ。
十手さんって、どうしてそんなにみっともないの?
十手えっ……、何か変なことをしてしまったかな……。
カトラリーまだわからないの? 僕たちは貴銃士なんだよ。
ヒーローで、人々の憧れなの。
カトラリーだから、高貴で、キラキラしてて、
手を触れられない宝物みたいな振る舞いをするべきなのに、
そんな庶民のお菓子にかぶりつくなんて、ありえないよ。
カトラリー十手さんって……
別に高貴じゃないのに、なんで絶対高貴になれたわけ?
十手高貴っていうのは、何も、
高価や高級ってことと同じではなくて、ええっと──
ライク・ツーあー……まじでうっぜぇ。
カトラリー……っ!
ライク・ツーおい、カトラリー。てめぇこそいい加減にしろよ。
ライク・ツーこいつらは気持ちよく食ってんだろ。
それに対してネチネチグチグチ言うな。
みっともねぇのはどっちだよ?
ライク・ツー会ったばっかだけど──俺、お前のことマジで嫌いだわ。
カトラリーなっ……!
十手ライク・ツー君……。
カトラリーな……なん、……っ!

カトラリーの顔が真っ赤になる。
目元には涙が浮かび、握りしめた拳が小刻みに震えていた。

カトラリーなんなの? この僕に向かって……。
だいたい、お前なんて呼んでないのに勝手に来て……!
十手カトラリー君、大丈夫かい?
一度、落ち着いて──
カトラリー落ち着けるか!!
カトラリー……ああ、もう!!!
カトラリー十手はヘラヘラ、おどおどしててムカつくし!
〇〇だってそうだよ、いい人ぶってさ!
主人公【……!?】
カトラリー挙げ句の果てに、ライク・ツーは……っ。
僕だって、お前のことなんて嫌いだよ!
カトラリー大っ嫌い!!
カトラリーお前らみんな、大っ嫌い!!

カトラリーは叫ぶなり、走り去ってしまった。

十手あ……!
ライク・ツーおい、追いかけなくていいだろ。
ほっとけ、あんなガキ。
主人公【……大丈夫かな】
【泣いていたように見えた】
十手…………。
実は、カトラリー君もこれなら食べれるかと思って、
ベルギー風のたい焼きも買っていたんだが……。
十手はは、これは俺たちの夜食かもしれないな。
ライク・ツー夜食なら、お前ら2人で食えよ。
ライク・ツー……つーか、〇〇も十手もしけた顔するな。
お前らが悪く言われる筋合いはねぇんだから。
とっとと帰ろうぜ。
十手ああ、そうだね……。

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