メインストーリーⅠ:第25話~第30話

コメント(0)

第25話:はじめての士官学校1

生徒1全体、前へ進め!
ジョージ&十手おお~~!
十手一糸乱れぬ動き……見事なものだなぁ。
ジョージなぁ、あいつらは何やってんだ?
ラッセル午後の授業に向かう、”課業行進”だ。
士官候補として恥ずかしくない動きを、
ああやって身体に叩き込む。
ライク・ツー……行進なんかより、
普通にトレーニングでもする方が、
ずっと効率的だと思うけどな。
マークス軍は団体での行動だ。
協調性を身につけるためにも重要なんだろ。
……あんたもやった方がいいんじゃないか?
ライク・ツー……んだと?
主人公【2人とも落ち着いて】
十手うおっ!?
ジョージ君は一体何をしているんだ……?
ジョージいち、に! いち、に!
右、左! 右、左!
ジョージおお!? オレ、結構上手くないか?
なぁ、おまえもそう思うだろ?
生徒2えっと……!?
じ、自分でありますか!?
ジョージおまえしかいないだろー。
HAHA、変なヤツ!
ジョージっていうかおまえ、堅苦しいなぁ!
カノジョとかにもそういう態度なのか?
生徒2彼女……!?
い、いえ、自分にはそういった方はいませんので!
ジョージマジかよ! 年頃の男にカノジョなし!?
ってことは、キスとかもしたことないのか!?
生徒2はっ、ありません!
ジョージうっそだろ……!
主人公【こらーっ!】
【戻りなさーい!】
ジョージうお、やべっ!
マスターが呼んでるから、オレ戻るな!
生徒2はぁ……助かった……。
マークスおい。勝手な行動をするな。
あんたのせいでマスターの評判が落ちたらどうするんだ。
ジョージ悪かったって!
……しっかし、あの年でキスしたこともないなんて、
ここのヤツらはなんてクソ真面目なんだ……!
ラッセル真面目なのは大いに結構なことだよ。
ジョージそーかぁ?
若いうちに遊んだり無茶したりしないなんて、
人生損してるってカンジがするけどなぁ。
ラッセル……ここ、フィルクレヴァート連合士官学校は、
イギリスで唯一の陸軍士官学校なんだ。
ラッセルここに集う生徒には、高い能力と品位が求められる。
風紀を乱すような行いは、厳に慎まなければならない。
……もちろん、これからは君たち貴銃士もだ。
ジョージうげぇっ!!
十手なぁ、ラッセル教官殿。
不勉強ですまないが、
俺は士官学校というものについて、よく知らないんだ。
十手もう少し詳しい話を聞かせてもらえないかい?
ラッセルもちろんだとも。
ここは「士官学校」という名の通り、
未来の「士官」を育成する学校だ。
十手んん……?
その「士官」ってのは、
軍のお偉いさんにあたるわけか?
ラッセルああ。士官というのは、
軍の中枢となる重要なポジション──
少尉以上の将校のことを指している。
ラッセルそして、我が校の校訓は、
Be Noble, Be Truthful, and To Overcome!
(高貴であれ、誠実たれ、そして打ち克て!)
十手高貴であれ、か……。
ライク・ツー……見た感じ、結構古い建物だよな。
元から何かの施設だったのか?
ラッセルその通り、
ここは、旧世界帝軍の士官養成学校だった場所なんだ。
ライク・ツー旧世界帝軍の……?
ラッセルああ。7何前──レジスタンスの勝利によって
世界帝府が解体されたあとに閉鎖された。
ラッセルその後、世界各国が加盟する世界連合軍が発足し……
今度は連合士官学校として、
再びこの施設が使われるようになったというわけだ。
ジョージなぁ、ここにいるヤツらって、
イギリス人だけじゃないんだな。
ラッセルハハ……そうだよ。連合軍の学校だからね。
加盟している各国から、生徒を募っているんだ。
ラッセルただし、入学者選抜は非常に厳しい。
多くの志望者がいるが、
入学できるのはほんの一握りだ。
十手ということは……
〇〇君はえらく優秀なんだなぁ。
マークスふふん。当たり前だろ。
俺のマスターなんだから。
ライク・ツー理由になってねぇよ……。
ラッセルああ。〇〇君はとても優秀な生徒だ。
射撃大会の件で、校内でも有名人なのさ。
主人公【ありがとうございます】
【恐縮です】
十手……あれ? またジョージ君がいなくなったぞ。
マークスったく、あのブラウン・ベスの中身違いは……!
ふらふらどこ行きやがった。
ジョージおーい!
Big Newsがあるんだ! 聞いてくれ!
マークスおい、勝手な行動すんなって言っただろうが。
マスターに迷惑かけんな。
ジョージごめんごめん。でもさ、いい情報をGetしたんだよ!
街のイケてる奴が集まってわいわいする店があるって。
カワイイ女の子もいっぱいらしい!
ジョージさっそく今から行こうぜ!
マークス&ライク・ツー行かねぇよ。
ジョージかぶった!
マークス&ライク・ツー…………。
ラッセル残念だが、どのみち行くことはできないぞ。
外出が許されるのは土日だけ。
そして、外出には許可証が必要だ。
ジョージマ、マジかよ!?
ラッセル紛れもない事実だ。
ジョージNoooooo~~~!!!

第26話:はじめての士官学校2

ラッセル──さて、このあたりの案内はおおよそ済んだな。
ラッセル最後に、注意事項について伝えておこう。
ジョージ。特に君は注意して聞くように。
ジョージオレだけ名指し!?
ライク・ツー普段の行いのせいだろ。
ラッセル……いいだろうか。
この学校は山と運河に囲まれているが、
山への立ち入りは禁じられている。
十手山歩きはいい運動になりそうなもんだが……
どうして禁止なんだい?
ラッセル先ほど言った通り、
ここは旧世界帝軍の施設を流用している。
山にはその廃墟が残っていて危険なんだ。
ラッセルそれに、山の地形も複雑なようでね。
過去には山に入った生徒が遭難した例もあった。
ラッセル山に面している東門から、立ち入り禁止区域だ。
間違っても、そこから抜け出したりしないように。
主人公【(東門……)】
【(ヴィヴィアンが殺された場所……)】
マークス……マスター、大丈夫か? 顔色が悪い。
ラッセル……辛いことを思い出させてしまったな。
ラッセル次は食堂を案内するよ。
深呼吸をしながら、ゆっくり歩こう。

ラッセル……〇〇君。
君には、本来一生徒が負うべきではない、
大きな負担がかかっている。
ラッセル君の貴銃士たちも力になってくれるだろうが、
彼らは人としてはまだまだ未熟だ。
困ったことがあれば、なんでも私に相談しなさい。
ラッセル私では力不足の点もあるかもしれないが……
担当教官として、面倒を見てきた。
これから先も、君の力になりたいんだ。
主人公【ラッセル教官……】
【ありがとうございます】

ジョージおおー! すげぇ広いな!
ラッセルここが食堂だ。
士官学校には世界各国から生徒が集まっているからね、
各国の多様な食事を提供している。
ジョージバーガーもあるのか!?
ラッセルもちろん。人気メニューの1つだな。
ジョージGreat!!!
土日以外は外出できないって聞いてガックリしたけど、
食堂で美味いモンを食べられるってのはいいな!
十手和食はあるのかい……?
ラッセルああ。
和食も人気が高いから、時々用意されているよ。
十手おお……! それは楽しみだ!
ラッセル……そろそろ約束の時間だな。
みんな、これから理事長室に挨拶に行く。
ラッセル〇〇君の貴銃士として、
恥じない行いを心がけてくれよ。

シド理事長おお、来たかね、〇〇君。
シド理事長君のさっそくの活躍は耳にしているよ。
アウトレイジャー討伐は順調なようだね。
ライク・ツー……なぁ。ヴィヴィアンについてはどうなったんだ。
シド理事長…………。
シド理事長リントンロッジ候補生の死をどう処理するか、
まだ学校側として、対応が固まっていなくてね。
彼女の行動には、謎が残っていることであるし……。
シド理事長ただ……未来ある若者の命が失われたことは事実。
私としては、事故死として公表し、
公式に葬儀ができたらと考えているよ。
主人公【そう、ですか……】
【よろしくお願いします……】
ライク・ツー…………。
ライク・ツーおい。お前が今さらへこんだところで、
あいつが死んだっていう事実は変わらねぇ。
ライク・ツー後悔する暇があるなら、これからどうするかを考えろ。
その方が合理的だし、あいつのためになる。
……そうだろ?
主人公【……そうだね】
【……ありがとう】
ライク・ツーん。わかったんならいい。
十手……ライク・ツー君は、
器用だけど不器用なんだな。
ジョージだな!
ライク・ツーおい、お前ら……!
ラッセルこら、君たち。
ラッセル……失礼しました。
理事長、紹介させていただきます。
ラッセルリリエンフェルト家にて、
〇〇候補生が新たに召銃した
貴銃士2名です。
ラッセル我が国が誇る名銃、ブラウン・ベス──なのですが。
ラッセル彼は、アメリカ独立戦争にてアメリカ側で使用された、
“ジョージ”という人格の貴銃士です。
ジョージよっ! よろしくな、おっさん。
主人公【こら!】
【ジョージ!!】
ラッセルそして彼は、日本で作られた奇銃、十手です。
十手は、はじめまして。
よろしくお願いいたす! いや、いたします!
ラッセル彼らはリリエンフェルト家が所有していたものですが、
士官学校あずかりとなり、〇〇君とともに
連合国軍の任務につくことが承認されています。
シド理事長ふむ……それは非常に心強い。
古銃の貴銃士は、絶対高貴という力を持つというしな。
シド理事長我が校の校訓は、
Be Noble, Be Truthful, and To Overcome!
(高貴であれ、誠実たれ、そして打ち克て!)
シド理事長これは、革命戦争当時に
レジスタンスとして活躍した貴銃士たちのモットー、
「Be Noble(高貴であれ)」に基づくものだ。
シド理事長ジョージ君、十手君。
君たちがかつての貴銃士たちの意志を継ぎ、
その高貴さを示してくれることを期待するよ。
十手あ……、俺は、そんな大層なことは……。
ジョージおう! オレは、苦しんでいる人がいるなら助けたい!
高貴とかは、まだよくわかんねーけど……。
たぶんそれが、オレの絶対高貴だから。

ジョージが力強く言い切った途端に、
彼の身体が淡く、温かな光を放ち始める。

シド理事長おお……!
これが噂に聞く、貴銃士の絶対高貴……!
シド理事長素晴らしい、実に素晴らしい。
ぜひとも、我らカサリステとともに、
世界の平穏に貢献しようではないか。
シド理事長──ブルースマイル曹長。
彼らをカサリステの入り口に案内したまえ。
ラッセルはっ、承知しました。
ジョージよーし、行こうぜ!
十手(ジョージ君は、いつも奔放で
何も考えていないみたいなのに……
本当はしっかり、信念を持っている)
十手(それに比べて俺ときたら……
銃としても役立たずで、絶対高貴にもなれない……)
十手はぁ……。

第27話:はじめての士官学校3

ジョージWow……立派な図書館だな……!
十手書物がこんなにたくさん……!
これを読み切るには何十年──
いや、百年くらいかかるかもしれないなぁ……。
ライク・ツー……おい。
カサリステの入り口に案内するんじゃなかったのか?
なんでここに連れてきた。
ラッセルそれは──
???ようこそ!
フィルクレヴァート連合士官学校の本の聖地にして
アタクシの城である図書館へ!
マークス……なんだ? このおばさん。
主人公【しーっ!】
【失礼だよ】
ゾーイ皆様、おこんにちは。
アタクシはこの図書館の司書を務める、
ゾーイ・モンテルノッテですわ。
ゾーイ……というのは、表の顔で。
ゾーイアタクシの裏の顔……
それは、スーパー・シークレット・オーガニゼーション
──その名も「カサリステ」の受付嬢ですの!
ラッセル……まぁ、そういうことだ。
この図書館には、カサリステへの秘密の入り口がある。
だから君たちをここへ連れてきたんだ。
ジョージへぇ~! それで、いくつくらいなんだ?
ゾーイアタクシは27ですわ。オホホホッ!
ライク・ツー大胆にサバ読んだな……。
ジョージっていうか、オレが聞きたかったのは、
秘密の入り口の数なんだけど……。
ゾーイあら! 恥ずかしい勘違いをしてしまいましたわね!
……それより、皆様のお顔がやけにぼやけますわ。
なんでかしら?
ゾーイ……あらやだ!
アタクシったら、リーディンググラスのまま!
ライク・ツーなんか格好いい言い方してるけど、
それ老眼鏡のことだろ……。
ゾーイ何か言いまして?
えー、眼鏡眼鏡……これでよし、と。
ゾーイ……あら、あなたは……!
ジョージん? オレの顔になんか付いてる?
ゾーイ…………。
ゾーイまあ! なんて麗しい方々なのでしょう!
さすがは貴銃士さま、といったところでしょうかね。
オホホホ、眼福眼福♪
ゾーイ貴銃士の皆様には、カサリステでの
定期検査に来ていただくことになりますから、
そのときはアタクシにお声がけを。
ゾーイしっかり案内しますわ。
それでは以後、お見知りおきを~!
ラッセルではまたな、ゾーイ。
彼らをくれぐれもよろしく頼むよ。
ゾーイBye~♪

十手なんだかすごい人だったな……。
ラッセルゾーイは、悪い人ではないんだが……。
君たちが単独でカサリステへ行くことはないだろうから
まぁ、安心してくれ。
ラッセル……さて、これで校舎案内は終わりだ。
さっそく午後から、君たちも授業に──
十手──ぐぅ
全員…………。
十手め、面目ない……。
その、腹が減ってしまってだな……。
ジョージオレも腹減った~!
なあなあ、食堂行こうぜ!
ラッセルすまない、昼食のことを忘れていたな。
腹ごしらえをしてから、
各自教室に集合するようにしよう。
ライク・ツーそのことなんだけど。
なんで俺らが授業なんか受けなきゃいけないわけ?
ライク・ツー貴銃士はアウトレイジャーと戦えばいいんだろ。
俺には十分過ぎるほど力があるし、
授業を受ける必要性を感じられない。
ラッセル確かに、戦闘能力に関してはそうだ。
だが、君たちは貴銃士として人の身体を持ち、
これから士官学校で暮らすことになる。
ラッセルだから、現代社会についてや、人との関わり……
連合軍に所属する者として、
色々なことをしっかり学んでほしいんだ。
ラッセルそれに……
君は、自己研鑽は嫌いではないと思ったんだが。
ライク・ツー…………。
ま、独学するよりは、人に習ったほうが手っ取り早いか。
……わかったよ。
ジョージよーし、それじゃあ食堂へ
Let’s Go~~~!
ラッセル……はは。君の貴銃士たちは、
一癖も二癖もあるけれど、愉快なものだね。
ラッセル常識やマナーはまだまだ学ぶ必要があるが……
こと戦闘面においては、本当に心強い。
ラッセルそれに、心から君を慕っているようだ。
きっと、信頼できる仲間になってくれるだろう。
マークスおーい、マスター!
早く食堂に行こう!
ラッセルおっと、呼ばれてしまったな。
君もしっかり昼食をとって、午後に備えるように。
主人公【はい!】

ゾーイはぁ……。
危うく怪しまれてしまうところでしたわ。
ゾーイ“ジョージ”という貴銃士が来ると聞いていたのに、
まさか彼が“ブラウン・ベス”と同じ姿だなんて……。
ゾーイ……“彼女”と接触しないように、
これまで以上に警戒しなくてはいけませんわね……。

第28話:はじめての士官学校4

ラッセルさて、と……。
彼らはちゃんと初授業を受けられているだろうか……。
ラッセル……ん?
なんだ、ずいぶんと騒がしいな……。
マークス……おい。
あんたのヘマをマスターのせいにすんじゃねぇよ!
生徒1ヒッ……!
お、俺は悪くない……!
生徒2離してやってくれよ!
それに、いくら貴銃士でも喧嘩は罰則ものだぞ!
マークスああ? んなくだらねぇこと知るかよ。
こいつがヘンテコなビンを落としたせいで、
マスターが注意されたんだぞ!
生徒1〇〇がちゃんと受け取らなかったんだ!
俺は悪くねぇ!
マークスてめぇ……!
主人公【マークス!】
ラッセルやめないか、2人とも!
……まったく、ライク・ツーは何をして──
生徒3ラッセル教官。ライク・ツーくんは、
向こうで机を並べてベッド代わりにして寝ています。
ラッセル何……!?
そうだ、十手は──
十手ふらすこにびぃかぁ……
まずは言葉を覚えるのに精一杯で、
授業に置いていかれそうだ……。
十手ろくに戦えないし絶対高貴にもなれない、
おまけに授業もよくわからない俺って……。
はぁぁぁー……。
ラッセルとても話しかけられる雰囲気ではないな……。
ジョージは──
ジョージ……なんだこれ?
「混ぜるな、キケン」……?
ジョージキケンって、何が起こるんだ?
火が出たり爆発したりすんのかな?
生徒4あっ、おい、やめ──
ジョージそーれっ!
生徒4こいつやりやがった!
おいみんな、有毒ガスが出るぞ!!
生徒4窓を開けろおおおぉぉっ!
生徒たちうわぁああああっ!!!
生徒たち貴銃士たちがいると授業になりませんっ!!
ラッセルどうやらそのようだな……。
対処を考えるとしよう……。

主人公【疲れた……】
【嵐みたいな1日だった……】

久々に寮に戻り、向かいの部屋──
ヴィヴィアンの部屋だったところに入る。

ヴィヴィアンの私物はすべてなくなり、
空っぽの家具だけが残されている。
彼女がいた痕跡はどこにもない。

主人公【……静かだ】

少しお調子者の彼女と
この寮で過ごした日々は、
思い返せばいつも賑やかで、楽しいものだった。

だからなおさら、静けさが寂しさをいざなう。

???うおっ!?

──ドタッ!

主人公【……!?】

突然、部屋の外から大きな声と物音が聞こえた。
何事かと思い、
〇〇が少しだけドアを開けてみると──。

マークスお前ら、何しやがる!
ジョージHAHAHA! 悪い悪い!
そんなに驚くとは思ってなくてさ。
十手すまない、マークス君。
ジョージ君を止めようとしたんだが、
間に合わなくて……。
主人公【どうしたの?】
【何してるの?】
マークスマ、マスター!
いや、これは、その……。
ジョージオレは、マークスが部屋の前で
ウロウロしてたから、何してんだろうと思って
後ろからちょっとびっくりさせてみたんだ。
ライク・ツー俺は通りかかっただけだ。
……んで、マークスは何してたんだ?
すっげー怪しかったけど。
マークスべ、別に変なことは……!
ただ、なんつーか、その……。
マークス士官学校に戻ってきて、1人になったら
マスターが落ち込むんじゃないかと思って……。
ジョージ……励まそうと思った?
マークスまぁ、そんなところだ。
……俺は、マスターの相棒だからな。
どんな時もそばにいて、力になりたい。
ジョージヒュ~! 熱烈だな!
マークスうっ、うるせぇ!
主人公【……ありがとう】
マークス……マスターは、どうやって笑ってるのが一番だ。
十手……ふふ。
〇〇君が笑ってくれたなら、
俺も転んだ甲斐があったよ。
ライク・ツー……ま、シケた面してるより、よっぽどマシだな。
ジョージ──よーし!
それじゃあみんなで、パーッとトランプしようぜ!
ライク・ツーはぁ……? なんでトランプ?
マークスマスターには休息が必要だ。却下。
ジョージおいおい、カタいこと言うなって。
楽しむのも休むうちじゃん!
ジョージな? 頼むよ~、1回だけやろーよ!
十手のおっさんもやるだろ?
十手お、俺もかい?
十手でも、みんなの足を引っ張るかも……。
ジョージ大丈夫だって!
マスターもみんなとやりたいだろ?
主人公【そうだね】
【やろう!】
ライク・ツー……ふん。
ほんとーに1回だけだからな。
ジョージやっほう! 行こうぜ~!

賑やかさに包まれて、
〇〇を蝕んでいた寂しさが薄らいでいく。

──ヴィヴィアンは、二度と戻らない。
だけど、自分は1人じゃない。
そう思えた、優しいひとときだった。

 

第29話:貴銃士特別クラス

──翌日。

ジョージ今日の授業はなんだろな~。
よくわかんねーけど、意外と楽しいよな、授業!
十手ジョージ君は前向きだなぁ……。
俺は、これから先やっていけるのか不安だよ。
ライク・ツー社会やらで各地の特産物なんか覚えて
なんになるってんだよ……。
はぁ、だる……トレーニングしてぇ。
マークス今日は無礼な奴がいなきゃいいんだが……。
俺がマスターを守り抜かないとな。
ジョージつーか、他のやつら来ねぇなぁ。
もしかして、教室間違えたか?
ラッセルおはよう、諸君。
全員揃っているな。
十手え? これで全員なのかい?
ラッセルそれについてはこれから説明しよう。
まずは、君たちに紹介したい人がいる。
恭遠──はじめまして。
私は、恭遠・グランバードだ。
恭遠君たちが、新しく目覚めたという貴銃士だね。
よろしく頼むよ。
ラッセル恭遠氏は、革命戦争でレジスタンスのマスターと、
その貴銃士たちと共に戦った指揮官だ。
ライク・ツー……マジかよ。
十手すごいお方なのだな……!
ラッセルその功績により、世界連合本部の審議官として、
イギリス支部に赴任されていたが──
ラッセル貴銃士に詳しいということで、
急きょ本校へおいでいただくことになった。
ラッセル恭遠氏にはこれから、
新設する「貴銃士特別クラス」を担当していただく。
つまり──今日から彼が、君たちの教官だ。
マークス貴銃士特別クラス?
マスターと授業が別になるってことかよ!
んなのあり得ねぇ!
ラッセル……言っておくが、こうなったのは
昨日の君たちの行いを、学校側が重く見たからだよ。
ラッセルあわや殴り合いの喧嘩になる、
机の上で熟睡する、
しまいには有毒ガスを発生させる……!
ラッセルこれでは、とてもじゃないが、
通常クラスではやっていけない。
マークスくっ……!
おい、ジョージ! あんたが余計なことするから……!
ジョージええっ、オレ!?
マークスだって喧嘩してただろ!?
十手ふ、2人とも落ち着こう……!
ライク・ツー……そうやってすぐ騒ぎを起こすから、
別クラスにされたんだろ。
マークス…………チッ。
恭遠はは……この賑やかさ、なんだか懐かしいよ。
また貴銃士と過ごすことになるなんて、感慨深い。
ジョージよろしくな、キョードー!
オレはジョージだ。
恭遠ジョージ……?
そうか、君は……。
恭遠こちらこそ、よろしく頼む。
マークス……マークスだ。
恭遠ああ。君のことは聞いているよ。
マスターの相棒だそうだね。
マークスおう! その通りだ!
十手えー、俺の名は十手。
ご指南、どうぞよろしくお願い申し上げる!
恭遠丁寧にありがとう。
十手というと、日本の奇銃だな。
十手……! よもやご存知だったとは!
恭遠私の母は日本人でね、
日本のことについて、少しは耳にしているんだ。
それで、君は──。
ライク・ツーイギリスのアサルトライフル、ライク・ツーだ。
恭遠ライク・ツー……!
ライク・ツー……おい。
世界帝のとこにいた銃と一緒にすんじゃねぇよ。
恭遠あ、ああ……。
そうだな、すまない……。
ライク・ツー…………。
ラッセルそれでは、さっそく今日から、
恭遠氏の指導を受けてくれ。
ジョージ&十手おう!
マークス&ライク・ツー……了解。

第30話:光と影

主人公【……ふぅ】
【やっと1週間終わった……】

貴銃士たちの士官学校生活も、
恭遠教官が来てくれたおかげで、少しずつ軌道に乗り始めている。

アウトレイジャーの襲撃やヴィヴィアンの死が、
まるで幻だったみたいな、穏やかな日常。

しかし──

主人公【明日は、ヴィヴィアンの葬儀か……】

明日の予定──ヴィヴィアンの葬儀が、
あの悲劇が現実のものだったと思い知らせる……。


リントンロッジ夫人うう……ヴィヴィアン……。
聖職者──我らが姉妹、
ヴィヴィアン・リントンロッジの肉体は、
死を迎えました。
聖職者しかしその魂は神のみもとに召され、
天の御国で永遠の命を得るのです。
聖職者皆で祈りましょう。
神よ、彼女の魂をみもとに迎え、
ここに集った皆の心に慰めをお与えください。
主人公【…………】
【ヴィヴィアン……】
ラッセル大丈夫かい、〇〇君。
さぁ、ヴィヴィアン君に花を捧げよう。

──棺の上に捧げられた、たくさんの花。
そこへもう1輪、白い花を手向ける。

主人公【(絶対に、真相を明らかにする)】
【(ライク・ツーのことは任せて)】

決意を新たにしながら、彼女の安寧を願った。

ライク・ツー…………。
ライク・ツーヴィヴィアン・リントンロッジ……。

ライク・ツーの指先が、
新たに刻まれたばかりの彼女の名前をなぞる。

これは、士官学校に縁のある軍人が亡くなった際に
名前が刻まれる石碑──メモリアルウォール。

ヴィヴィアンへの疑いは払拭されていないが、
表向きは不幸な事故だったということになり、
ここに名前が刻まれることになった。

マークスマスター、苦しいのか……?
主人公【……どうして?】
マークスなんとなく、そう感じた。
マークス……なぁ。
俺、マスターに聞きたかったことがあるんだ。
マークス俺がまだ、貴銃士じゃなくて銃だった時……。
マスターから今みたいな気持ちが、
なんとなく伝わってくることがあった。
マークス心臓のあたりがもやもやして……そうだ。
俺が絶対非道で、マスターを
傷つけてしまった時の気持ちみたいな……。
マークス悔しい……、いや、悲しい……?
そういう、どうしようもない気持ち。
マークスああいう時、マスターは何を考えてたんだ?
主人公【……亡くなった両親のこと、かな】
マークスなくなった……って、死んだ……のか。
主人公【世界帝軍に殺されて……】
マークス……!

──特別、珍しい話ではない。
世界帝府による圧政が敷かれていた当時、
こういった悲劇はありふれたものだった。

レジスタンス活動をしていた彼らは、
ある日突然やってきた世界帝軍によって射殺された。
……それを、幼かった〇〇も目撃した。

孤児になった〇〇が学校に通えたのも、
入学に際してUL96A1を贈ってくれたのも、
経済的な支援をしてくれるある人物のおかげだった。

マークスマスター……。
俺は、マスターに大事にしてもらって、
マスターの相棒として扱ってもらえて、嬉しかった。
マークス──本当に、嬉しかったんだ。
マークスマスターが俺を大事にしてくれたみたいに、
俺もマスターのことが大事だ。
マークスだから、俺は……マスターのことを、支えたい!
相棒として、マスターの貴銃士として、
俺にできることがあれば、なんだってする。
マークスそれを、忘れないでくれ。
主人公【……ありがとう】

──数日後。

恭遠よーし、みんな。
針に糸は通せたか?
十手よし、できたぞ。
……俺は、裁縫はできるのかもしれないな……!
ジョージNoooo! こんなの無理だろ!
ライク・ツー俺はこんなことやりたくねーんだけど?
……破れた服を繕って着るなんて、絶対やだし。
マークス……標的が小さすぎる。無謀だ。
恭遠も、もう少し頑張ってみよう。
いざとなったら糸通しというものもある。
ライク・ツーはぁ……。
ラッセル授業中失礼する!
ラッセル君たち! アウトレイジャーの目撃情報が入った。
これから呼ぶ者は出撃準備を整えて正門に集合!
マークス了解した。
裁縫なんかより、戦闘の方がよっぽどラクだな。
ライク・ツーそれは同感。
十手俺は呼ばれないだろうから……
裁縫の続きでもしておくか。
ジョージよっしゃー! 気合入れていこうぜ!

ゾーイ──さぁ、お花を交換しましょうね。
ゾーイご覧あそばせ。見事な赤い薔薇ですよ!
???…………。
ゾーイん~! 香りも素晴らしいですわ。
さすがは最高級の薔薇ですわねっ!
ゾーイ花瓶ともばっちりマッチしておりますわ♪
???……ぅ……ぁ。
???……ラウン、ベス……。
ゾーイ…………。
女王陛下……。

コメントを書き込む


Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

まだコメントがありません。

×