灰色の髪の男 | ──絶対非道! |
---|---|
ガスマスクの男たち | グァアアァ……ッ! |
謎の人物 | ……チッ……。 |
主人公 | 【倒せた……!】 【助かった……?】 |
灰色の髪の男 | マスター、立てるか? ここは危険だ。俺たちも退避しよう。 |
灰色の髪の男 | ……っ! 誰か接近してくるぞ。 |
ラッセル | さっきの銃声はなんだ。 君たち、一体何をしている! |
主人公 | 【ラッセル教官!】 |
ラッセル | これは……〇〇君!? この状況はどういうことだい? |
ラッセル | それに、そっちの男は? ……士官候補生ではなさそうだが。 |
主人公 | 【早く治療を……!】 【ヴィヴィアンが……!】 |
〇〇は急いで、
ラッセルをヴィヴィアンのところへ連れていく。
呼吸や脈拍を確認し、彼はゆっくりと首を横に振った。
ラッセル | ヴィヴィアン君は……もう……。 |
---|---|
ラッセル | ……ッ、なんということだ……! 未来ある士官候補生が…… 俺の生徒が、こんなことになるなんて……! |
主人公 | 【そんな……】 【嘘だ……!】 |
〇〇はヴィヴィアンに駆け寄り、
その身体を抱き抱える。
何度名前を呼んでも、返事はない。
少しずつ冷たくなっていく親友の身体を、
強く、強く、抱きしめる。
その時──不意に、指先に冷たいものが当たった。
まだ温かいヴィヴィアンの身体とは対照的に、
無機質に冷たいモノ。
……ヴィヴィアンの銃、UL85A2だ。
何かに導かれるようにして銃に触れた途端、
〇〇は強く頭を押さえた。
主人公 | 【ぐ……これは……っ!?】 【何かが頭に流れ込んでくる……!】 |
---|---|
灰色の髪の男 | マスター!? どうしたんだよ、大丈夫か……!? |
銃身に触れた指先から、
何かが頭の中に流れ込んでくる。
絶え間なく、押し寄せるように。
フラッシュバックのように流れ込む誰かの記憶。
意識が、少しずつ──遠のいていく──。
灰色の髪の男 | マスター、しっかりしろ。 ……マスター! |
---|
??? | なんということだ── |
---|---|
??? | なんという失態……! あれを失っただと? |
??? | 損失はあまりにも大きい。 我々の命でも、到底あがなえるものではないぞ。 その認識はしているのか!? |
??? | はっ……! ……しかし、判断にはまだ早いかと。 |
??? | ……なんだと? |
??? | ──実は。 私に事態を好転させる一手がございます。 |
??? | ほう……。 ……いいだろう、話したまえ。 |
…………。
──声が、聞こえる……。
冷たく、蔑むような声──。
??? | アシュレーが無理を押して呼び覚ましたというのに、 その報いがこれですか。 |
---|---|
??? | ……あなたはもう不要です、……イ……ツー。 |
ヴィヴィアン | お、願い、この箱……。 この箱を、ラッセル教官、に……! |
---|---|
主人公 | 【ヴィヴィアン……!】 |
知らない少年の声、見覚えのない場所。
親友の身体が冷たくなっていく生々しい感覚──。
誰かの記憶と、
自分の記憶が混ざっていく──……!
灰色の髪の男 | ……スター。……おい、マスター! 大丈夫か? |
---|---|
灰色の髪の男 | 起きたか。 かなり、うなされてた……身体に問題があるのか? |
主人公 | 【ここは……】 |
上体を起こした〇〇は、辺りを見回す。
いつの間にか、見慣れたザクロ寮の部屋に戻っていて、
灰色の髪の男がこちらを心配そうに見つめていた。
ヴィヴィアンはどうなったのかと問うと
──彼は黙って首を横に振った。
灰色の髪の男 | ……彼女は、機能を停止した。 あとで、さっきの男が説明に来ると言ってた。 |
---|---|
主人公 | 【そんな……】 【……っ!】 |
灰色の髪の男 | …………。 |
灰色の髪の男 | ……マスター。 俺は、マスターが元気になるなら、 誰を殺したっていい。誰がいい? |
主人公 | 【……!?】 |
灰色の髪の男 | ……いや、その……。違うな。 だから……目から、水漏れしていたんだ。 さっき、マスターが眠っていた時……。 |
灰色の髪の男 | 俺は召銃されて間もないが、知っている。 人間がよくないコンディションの時には、 目から、水が出るんだろ? |
灰色の髪の男 | 何度か感じたことがある。 時々、マスターが夜中に突然起き出して 俺のメンテナンスをしてくれた時── |
灰色の髪の男 | マスターは目から水漏れしてただろ? 俺は覚えてる。 マスターの痛みが伝わってきた。 |
灰色の髪の男 | それでも、俺を整備する手つきはいつだって丁寧で、 なんつーか……大事に扱ってくれていた。 |
灰色の髪の男 | あの時だってそうだ! |
灰色の髪の男 | 俺をかばってマスターが川に落ちた時は驚いたが、 それ以上に……俺は嬉しかったんだ。 |
灰色の髪の男 | 今は、こうして貴銃士になれたからな。 これからは、溺れたって俺が助けてやれる! だから──……。 |
主人公 | 【……本当に、自分のUL96A1なんだ】 |
UL96A1 | ……ん? ああ、俺はUL96A1だ。 |
UL96A1 | 最初からそう言ってる。 俺はUL96A1──マスターの銃だ。 |
言葉は拙いけれど、何かを伝えようとしてくれている。
UL96A1を、〇〇もまっすぐに見つめ返した。
UL96A1 | その……。 胸部が、ムカムカするんだ。 マスターの親友を、救えなかった。 |
---|---|
UL96A1 | 俺はマスターの銃なのに……役に立てなかった。 |
主人公 | 【……そんなことはない】 【自分を助けてくれた】 |
UL96A1 | ……マスター。 今日のことは、俺の不覚だ。 だが、二度と今日のようなことは起こさせない。 |
UL96A1 | 俺は、どんなことがあろうとマスターを守る。 マスターの敵はすべて、俺が撃ち抜いてやる。 |
UL96A1 | いや……、むやみに狙撃をするという意味じゃない。 マスターが命じた奴だけだ。 ただ、その……とにかく……だから! |
UL96A1 | ……マスターの、力になりたいんだ。 |
UL96A1の言葉は、
すべてが本心からのものだと伝わってきて
──不思議と、気持ちが穏やかになっていく。
主人公 | 【ありがとう】 【優しいね】 |
---|---|
UL96A1 | ……っ!? なんか、マスターにそう言われると、 胸が、くすぐったいっつーか……なんだこれ? |
UL96A1 | とにかく、少し落ち着いたみたいだな。 |
UL96A1 | ……あのな、マスター。 マスターに、ずっと聞きたかったことがある。 |
UL96A1 | 俺がただの銃だった頃……。 |
ラッセル | ……入るぞ。 |
ラッセル | ……よかった、気がついたか! |
主人公 | 【ラッセル教官……!】 【はい、なんとか……】 |
ラッセル | そうか……。 ヴィヴィアン君のことは……本当に、残念だった。 |
ラッセル | それから……突然ですまない。 2人とも、おとなしく従ってもらおう。 |
主人公 | 【えっ?】 |
UL96A1 | おい、何しやがるっ! |
頭に布を巻き付けられる。目隠しだ。
突然の出来事に言葉を失っていると、
教官の心底すまなそうな声が響く。
ラッセル | 〇〇君、これは上官としての命令だ。 私の誘導に従って歩いてくれ。 君たち2人を── |
---|---|
ラッセル | ──世界連合軍の極秘組織に案内する。 |
UL96A1 | マスター、大丈夫か!? ずいぶん長い距離を歩かされた。 |
---|---|
主人公 | 【ここは、一体……?】 【見たことがないところだ……】 |
UL96A1 | おい、お前ら。 突然わけわかんねぇことしやがって…… マスターに謝れよ。 |
??? | ほう…… これは勇ましいな、青年。 |
??? | 手荒な真似をしてすまないね。 この場所の存在は最重要機密ゆえ、 目隠しをさせてもらったのだ。 |
主人公 | 【理事長……!?】 |
シド理事長 | いかにも。 私はフィルクレヴァート連合士官学校の理事長であり、 連合国中将シド・コペールだ。 |
シド理事長 | こうして個人的に話をするのは初めてだね、 〇〇候補生。 射撃大会での活躍は実に素晴らしかったよ。 |
シド理事長 | ……こういった状況で面会をすることになったのは、 非常に残念だ。 |
シド理事長 | ──ヴィヴィアン・リントンロッジ。 我が校の大切な一員、かけがえのない候補生を 失った悲しみは、筆舌に尽くしがたい。 |
シド理事長 | 君はリントンロッジ候補生の親友だったと聞く……。 心中は察する。 |
シド理事長 | だが、今からする話は最重要かつ極秘の情報だ。 心して聞いてほしい。 |
UL96A1 | ……? |
シド理事長 | ここは、カサリステ。 連合軍の秘密研究組織だ。 |
シド理事長 | この場所の存在は、連合軍内でも ごく限られた人物にしか知られていない。 |
シド理事長 | ──単刀直入に聞こう。 君たちはこの赤い石を知っているかね? |
そう言うと、理事長は胸ポケットから
1枚の写真を取り出した。そこには、
透き通った赤色の小さな結晶が写されていた。
主人公 | 【……見覚えがあります】 【ヴィヴィアンに渡された箱に入っていた……】 |
---|---|
シド理事長 | ──これは、「アリノミウム結晶」という。 我々カサリステが研究対象としている、 最も重要な物質だ。 |
シド理事長 | 見た目は宝石のようだが…… この結晶は政治的、軍事的な価値が非常に高く、 世界中で高値で取引されている。 |
シド理事長 | ──その価値、約100億。 |
主人公 | 【ひゃ!?】 【100億……っ!?】 |
シド理事長 | 今や各国の英雄であり、象徴である貴銃士── |
シド理事長 | その貴銃士を誕生させ、 使役する力を持つのが「マスター」と呼ばれる 人間たちであることは、君も知っているだろう。 |
シド理事長 | マスターは最初からその力を持っているのではない。 そう──この結晶に触れることで、 その力を宿すことができるのだ。 |
ラッセル | 〇〇候補生。 右手を見せてくれ。 |
ラッセル | ……理事長殿。 これは確かに、薔薇の傷です。 |
主人公 | 【薔薇の傷……?】 |
シド理事長 | ふむ……。 そうか……。 |
シド理事長 | ……人間がアリノミウム結晶に触れると、 強い痛みや苦しみと引き換えに 薔薇のような裂傷と共に「力」を得ると言われている。 |
シド理事長 | そして──青年。 君は、〇〇候補生が召銃した貴銃士…… それで間違いはないな? |
UL96A1 | ああ、もちろんだ。 |
シド理事長 | ……これでわかっただろう。 リントンロッジ候補生はこの研究所に忍び込み、 結晶を盗み出し、そして君に渡した。 |
シド理事長 | そして君は、マスターとしての力を得て、 この貴銃士を召銃した……そういうことだ。 |
主人公 | 【自分が、マスターに……】 【でも、なぜヴィヴィアンが……】 |
シド理事長 | ……今回の問題には謎が多すぎる。 |
シド理事長 | ヴィヴィアン・リントンロッジ候補生が、 なぜカサリステの存在を知っていたのか。 |
シド理事長 | 厳重に管理されていたアリノミウム結晶を、 彼女はどうやって盗み出したのか。 |
シド理事長 | そして、なぜアウトレイジャーが校内にいたのか……。 |
主人公 | 【アウトレイジャー?】 |
ラッセル | リントンロッジ候補生を襲ったのは、 「アウトレイジャー」と呼ばれる存在だ。 |
ラッセル | 半年ほど前に初めてフランスで出現して以来、 各地で猛威を振るうようになった。 |
ラッセル | 攻撃手段は銃だが、特殊な弾丸を使用しているのか、 その威力は通常の弾丸と比べ物にならない。 |
ラッセル | また、通常の火器では損傷を与えづらく、 我々連合軍は対応に悩まされている。 ただ、奴らは一定の損傷を受けることで……消滅する。 |
ラッセル | ──銃だけを残して。 |
主人公 | 【それは……】 |
シド理事長 | うむ。かつての貴銃士にも見られたという現象だ。 この特徴から、貴銃士と関連のある存在だと推測され、 目下、カサリステの調査対象となっている。 |
白衣の男 | ……失礼いたします。 |
白衣の男 | ヴィヴィアン・リントンロッジの…… 遺品を持ってまいりました。 |
白衣の男 | 死亡時に身に着けていたものは、 すべてこちらの箱にまとめてあります。 |
---|---|
シド理事長 | うむ、ご苦労。 |
ラッセル | ほとんどが学校の支給品ですな。 そうでないものは銃、時計、これは……髪飾りか。 ──おや。この封筒は、手紙のようですね。 |
ヴィヴィアン | もしも……もしも、だよ? |
---|---|
ヴィヴィアン | 万が一、私が……。 私が死ぬようなことがあったら、 この封筒を開けてほしいんだ。 |
主人公 | 【そうだ、あの約束……】 【その封筒、貸してください!】 |
---|---|
ラッセル | 待ってくれ。 |
ラッセル | リントンロッジ候補生は、残念ながら カサリステにとって脅威となる行動をとった。 |
ラッセル | この封書の中身も、機密に触れている可能性がある。 まずは我々が確認をする必要があるんだ。 すまないね。 |
ラッセル | ──理事長殿。 自分が中身をあらためても? |
シド理事長 | 許可しよう。 |
ラッセル | ありがとうございます。 |
ラッセル | おや、2通入っていますね。 これは……。 |
ラッセル | ご両親宛の手紙と── 〇〇候補生宛の手紙? |
ラッセル | …………。 特に機密らしいものはありません。 ごく一般的な遺書です。 |
ラッセル | 〇〇君。 君に宛てたものだ。 |
暴かれてしまった遺書に目を通す。
〇〇に宛てられた遺書には、
士官学校で共に暮らした日々の思い出や、
感謝の言葉が綴られていた。
そして……自分が命を落とした時は、
UL85A2と一緒に、士官学校内にある
構内墓地に埋葬してほしいという願いも。
主人公 | 【(UL85A2と一緒に……?)】 【(でも、UL85A2が苦手って……)】 |
---|---|
UL96A1 | マスター……? |
シド理事長 | ふむ、構内墓地……。 たしかに士官学校の構内には、 卒業生や教官の戦死者慰霊碑があるが……。 |
ヴィヴィアンの意図を知りたくて、
遺品のUL85A2をじっと見つめる。
その瞬間──
何かを訴えかけるような強い気配を感じ、
同時に、激しい頭痛に襲われた。
UL96A1 | 大丈夫か、マスター! 頭に痛みがあるのか? |
---|---|
主人公 | 【UL85A2が何か訴えてる……?】 【貴銃士にしたら何かわかるかも……?】 |
ラッセル | なっ! |
ラッセル | まさか、その銃を貴銃士にする気か? |
ラッセル | そ、それは許可できない! 第一、彼女の手紙を読んだだろう。 |
ラッセル | 彼女は銃とともに埋葬されることを 望んでいると──。 |
UL96A1 | マスター、迷っているのか? |
UL85A2から、強い想いを感じる。
まるで、訴えかけてくるような、強烈な気配。
遺言のことは、たしかに気にかかる。
しかし、それ以上に──
この銃を、貴銃士として目覚めさせるべきだと、
直感が、そう訴えている。
UL96A1 | 俺はそいつのことは知らないが── マスターのことは、信じている。 マスターがすべきだと思うことが、正しいと思う。 |
---|---|
シド理事長 | ……ふむ。 |
シド理事長 | やってみなさい。 〇〇候補生。 |
ラッセル | 理事長殿!? しかし……! |
シド理事長 | 何か意見があるのかね、ブルースマイル曹長? |
ラッセル | ……っ、No, Sir. 失礼いたしました。 |
薔薇の傷跡が刻まれた右手で、
〇〇はおそるおそる、
UL85A2の銃身に触れる。
すると、UL95A1が現れた時と同じ、
眩い光が溢れ出した。
ラッセル | こ、この光は……っ!? |
---|---|
UL85A2 | …………。 |
ラッセル | ……っ! |
UL85A2 | …………。 はあーーぁ。 |
UL85A2 | 何やってんだよ、雑魚ども。 |
UL96A1&ラッセル | なっ!? |
UL85A2 | ザコは誰かだって? お前だよ、お前。 そうだ、俺を呼び出したお前。 |
---|---|
UL85A2 | お友達が殺られたんだろうが。 うだうだ話してる暇あったら追いかけろ。 |
UL85A2 | お前それでも親友か? |
UL96A1 | おい。あんた、何様のつもりだ? マスターは今── |
UL85A2 | んだよ、お前。 ……ああ。そいつの銃じゃねぇか。 UL96A1だっけ? |
UL85A2 | はっ! 腑抜けの候補生は銃まで腑抜けなんだな。 |
UL96A1 | ッ! てめえ── |
UL96A1が、
UL85A2の胸ぐらをつかみ上げる。
ラッセル | お、おい。君たち! 今は喧嘩などしている場合ではないだろう。 |
---|---|
主人公 | 【気持ちはわかるけど、抑えて】 【手を放して】 |
UL96A1 | ……っ。 |
UL85A2 | 腑抜けに腑抜けっつって何が悪いんだ? |
UL85A2 | 俺も、俺の持ち主も。 こいつらみたいな腑抜けじゃねえ。 |
主人公 | 【ヴィヴィアンは何を考えていたの?】 【知っていることを、教えてほしい。】 |
UL85A2 | あ? あいつが考えていたことまでは知らねえよ。 |
UL85A2 | だが、あいつは……俺の持ち主は、 いつも何かに怒ってた。悲しんでた。 |
UL85A2 | それに、何か強い決意を抱いてた。 ──銃である俺にも伝わってくるくらいに、な。 |
ラッセル | ……本当に、ヴィヴィアン・リントンロッジが アリノミウム結晶を盗み出した理由を知らないんだな? |
UL85A2 | しつこいな、あんた。 |
UL85A2 | 知らねえっつってんだろーが。 ねちっこい奴は嫌われるよ? |
ラッセル | そ、そうか。 これで真相は闇の中だな……。 |
シド理事長 | だが単独での犯行とは考えにくい。 リントンロッジ候補生の背後に、 誰がいたのかが気になるところだが……。 |
ラッセル | しかし、彼女は本当に素直で、努力家で……。 なぜこんな盗人のような真似をしてしまったのか……! |
UL85A2 | ……おい。 |
UL85A2 | おい、おっさん。 今なんつった。盗人? それとも俺の聞き間違い? |
UL85A2 | ──ふざけんのもたいがいにしろよ。 |
UL85A2 | いいか、そういうのをな……汚名ってんだよ。 しかも何のいわれもない汚名だ。 |
UL85A2 | あいつは盗人なんかじゃねぇ。 何か……重い決意をもって、行動した。 志があって、やり遂げようとしたんだよ。 |
UL85A2 | 俺はあいつを殺したやつを、この手でぶっ殺す。 |
UL85A2 | そして、あいつが成し遂げようとしていたことを、 この手で代わりに成し遂げてやる。絶対にな。 |
UL85A2 | よし、そう決めた。 いま決めた。 |
UL85A2 | ……おい、お前。 |
UL85A2 | お前だよ、マスター! 俺を呼び覚ましたんだからな、協力してもらうぞ。 |
UL96A1 | 勝手に話を進めるな! マスターに命令しやがって、ふざけんなよ。 |
UL85A2 | は? なんだよ、お前。 |
UL85A2 | 付き合うのは当然だろーが。 こいつが見殺しにした奴の仇討ちだし。 |
UL96A1 | 見殺しじゃねぇ! あれは、俺の力が足りなくて……。 |
ラッセル | 2人とも、落ち着いてくれ! ピンクの髪の、君は……。 |
UL85A2 | UL85A2。 |
ラッセル | ヴィヴィアン君のことを盗人と言って悪かった、 UL85A2。 |
ラッセル | ──君はつまり、アウトレイジャーに復讐をしたいと、 そう考えているんだな? |
UL85A2 | ……ああ、そうだけど? |
シド理事長 | ──ならば、トルレ・シャフについても知るべきだろう。 今なお暗躍する、世界帝派組織だ。 |
UL85A2 | ……世界帝? |
ラッセル | 圧倒的武力を背景に、世に圧政を敷いた世界帝が レジスタンスによって打倒されてから7年が経ったが、 世界にはいまだ世界帝を信奉する者が息を潜めている。 |
ラッセル | 彼らは、世界帝のことを愚かな民衆を飼いならし導く 「羊飼い」として崇拝している。 その者たちが組織を成したのがトルレ・シャフだ。 |
シド | 彼らは各地で破壊活動を画策、反対運動を指揮している。 今の世界を混乱の渦に陥れ、 世界帝派が再び世に台頭することを目論んでいるらしい。 |
シド | 連合軍は奴らの尻尾を掴むため、日々その動向を追っているが── その中で、気になる情報がある。 |
シド | アウトレイジャーの出没地点付近で、 トルレ・シャフ構成員らしき者の姿が度々目撃されているのだ。 |
UL96A1 | そういえば……俺が倒したガスマスクのほかに、 逃げた奴らがいた。黒いマントを着ていた。 |
シド | おそらくトルレ・シャフだろう。 アウトレイジャーとの関連性は不明だが、 なんらかの接触を図ろうとしているのか── |
シド | それとも、アウトレイジャーを利用しようとしているのか── 真相は不明だが、トルレ・シャフは非常に危険だ。 奴らの存在にも十分に注意せねばならない。 |
主人公 | 【わかりました】 【ご忠告ありがとうございます】 |
シド | 連合軍の秘密組織であるカサリステは、 アウトレイジャーとは何か、どのようなメカニズムで発生し、 貴銃士とどのような関連があるのかを解明しようとしている。 |
シド | しかし、その間にも── ヴィヴィアン・リントンロッジ候補生のような被害は世界中で起こっている。 |
シド | ……まことに遺憾なことだ。 |
シド | アウトレイジャーの暴走を止めることができるのは、 特別な力を持つ貴銃士だけ。 |
シド | ──君たちが東の門で使ったと報告されている あの奇妙な力だけだ。 |
UL96A1 | ──絶対非道! |
---|
UL96A1 | ……あれは、マスターを守るための力だ。 |
---|---|
シド | 成り行きとはいえ、〇〇候補生は アリノミウム結晶の力で君たちを貴銃士として 目覚めさせ、それを従えるマスターとなった。 |
シド | 本来、士官候補生を実戦投入するなどありえない。 しかし──。 |
シド | アウトレイジャーの暴走を止め、世界帝派組織である トルレ・シャフの卑劣な陰謀を暴くことは、 現状、君たちにしかできないと考えている。 |
シド | 単刀直入に言おう。 貴銃士のマスターとなった君に協力要請をしたい。 |
シド | 我々、世界連合軍傘下のカサリステと協力し、 アウトレイジャーどもを討伐する。 |
シド | ──この任務、受けてくれるかね? |
主人公 | 【イエッサー!】 【……頑張ります!】 |
シド | 感謝する。 頼んだぞ、〇〇候補生。 |
UL85A2 | ……世界帝派、か。 |
ラッセル | 何か、心当たりがあるのかね。 |
UL85A2 | ……ない。 全然ない。 |
UL85A2 | あいつらはヴィヴィアンを殺した。 今から俺が奴らを殺す。 |
UL85A2 | 以上、それだけ。 |
UL85A2 | おら、なにボーっと突っ立ってんだ。 さっさと出発するぞ。 |
UL85A2 | もたもたするなよ、ほら。 |
突然UL85A2に手を引っ張られて、
軽くよろめいてしまう。
主人公 | 【うわっ!?】 【(意外と綺麗な手をしてるな……)】 |
---|---|
UL96A1 | おい! マスターは右前腕部を損傷してる。 手を離しやがれ、手を! |
UL85A2 | は? 損傷って、あー……怪我のこと? |
UL85A2 | 知るか、んなもん。 |
UL96A1 | 知るかとはなんだ、離せ! |
ラッセル | ま、待ちなさい。君たち! |
ラッセル | 奴らがどこに逃げたのか、 何の情報もないのでは追いかけようがないだろう? |
職員 | 緊急報告です! |
職員 | 東の山中での目撃情報。 アウトレイジャーらしき者が確認されました! |
全員 | !! |
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