メインストーリーⅠ:第6話~第10話

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第6話:迸る痛み

灰色の髪の男──絶対非道!
ガスマスクの男たちグァアアァ……ッ!
謎の人物……チッ……。
主人公【倒せた……!】
【助かった……?】
灰色の髪の男マスター、立てるか?
ここは危険だ。俺たちも退避しよう。
灰色の髪の男……っ!
誰か接近してくるぞ。
ラッセルさっきの銃声はなんだ。
君たち、一体何をしている!
主人公【ラッセル教官!】
ラッセルこれは……〇〇君!?
この状況はどういうことだい?
ラッセルそれに、そっちの男は?
……士官候補生ではなさそうだが。
主人公【早く治療を……!】
【ヴィヴィアンが……!】

〇〇は急いで、
ラッセルをヴィヴィアンのところへ連れていく。
呼吸や脈拍を確認し、彼はゆっくりと首を横に振った。

ラッセルヴィヴィアン君は……もう……。
ラッセル……ッ、なんということだ……!
未来ある士官候補生が……
俺の生徒が、こんなことになるなんて……!
主人公【そんな……】
【嘘だ……!】

〇〇はヴィヴィアンに駆け寄り、
その身体を抱き抱える。
何度名前を呼んでも、返事はない。

少しずつ冷たくなっていく親友の身体を、
強く、強く、抱きしめる。

その時──不意に、指先に冷たいものが当たった。

まだ温かいヴィヴィアンの身体とは対照的に、
無機質に冷たいモノ。
……ヴィヴィアンの銃、UL85A2だ。

何かに導かれるようにして銃に触れた途端、
〇〇は強く頭を押さえた。

主人公【ぐ……これは……っ!?】
【何かが頭に流れ込んでくる……!】
灰色の髪の男マスター!?
どうしたんだよ、大丈夫か……!?

銃身に触れた指先から、
何かが頭の中に流れ込んでくる。

絶え間なく、押し寄せるように。
フラッシュバックのように流れ込む誰かの記憶。

意識が、少しずつ──遠のいていく──。

灰色の髪の男マスター、しっかりしろ。
……マスター!

???なんということだ──
???なんという失態……!
あれを失っただと?
???損失はあまりにも大きい。
我々の命でも、到底あがなえるものではないぞ。
その認識はしているのか!?
???はっ……!
……しかし、判断にはまだ早いかと。
???……なんだと?
???──実は。
私に事態を好転させる一手がございます。
???ほう……。
……いいだろう、話したまえ。

…………。

──声が、聞こえる……。
冷たく、蔑むような声──。

???アシュレーが無理を押して呼び覚ましたというのに、
その報いがこれですか。
???……あなたはもう不要です、……イ……ツー。
ヴィヴィアンお、願い、この箱……。
この箱を、ラッセル教官、に……!
主人公【ヴィヴィアン……!】

知らない少年の声、見覚えのない場所。
親友の身体が冷たくなっていく生々しい感覚──。

誰かの記憶と、
自分の記憶が混ざっていく──……!

第7話:愛銃の記憶

灰色の髪の男……スター。……おい、マスター!
大丈夫か?
灰色の髪の男起きたか。
かなり、うなされてた……身体に問題があるのか?
主人公【ここは……】

上体を起こした〇〇は、辺りを見回す。
いつの間にか、見慣れたザクロ寮の部屋に戻っていて、
灰色の髪の男がこちらを心配そうに見つめていた。

ヴィヴィアンはどうなったのかと問うと
──彼は黙って首を横に振った。

灰色の髪の男……彼女は、機能を停止した。
あとで、さっきの男が説明に来ると言ってた。
主人公【そんな……】
【……っ!】
灰色の髪の男…………。
灰色の髪の男……マスター。
俺は、マスターが元気になるなら、
誰を殺したっていい。誰がいい?
主人公【……!?】
灰色の髪の男……いや、その……。違うな。
だから……目から、水漏れしていたんだ。
さっき、マスターが眠っていた時……。
灰色の髪の男俺は召銃されて間もないが、知っている。
人間がよくないコンディションの時には、
目から、水が出るんだろ?
灰色の髪の男何度か感じたことがある。
時々、マスターが夜中に突然起き出して
俺のメンテナンスをしてくれた時──
灰色の髪の男マスターは目から水漏れしてただろ?
俺は覚えてる。
マスターの痛みが伝わってきた。
灰色の髪の男それでも、俺を整備する手つきはいつだって丁寧で、
なんつーか……大事に扱ってくれていた。
灰色の髪の男あの時だってそうだ!
灰色の髪の男俺をかばってマスターが川に落ちた時は驚いたが、
それ以上に……俺は嬉しかったんだ。
灰色の髪の男今は、こうして貴銃士になれたからな。
これからは、溺れたって俺が助けてやれる!
だから──……。
主人公【……本当に、自分のUL96A1なんだ】
UL96A1……ん?
ああ、俺はUL96A1だ。
UL96A1最初からそう言ってる。
俺はUL96A1──マスターの銃だ。

言葉は拙いけれど、何かを伝えようとしてくれている。
UL96A1を、〇〇もまっすぐに見つめ返した。

UL96A1その……。
胸部が、ムカムカするんだ。
マスターの親友を、救えなかった。
UL96A1俺はマスターの銃なのに……役に立てなかった。
主人公【……そんなことはない】
【自分を助けてくれた】
UL96A1……マスター。
今日のことは、俺の不覚だ。
だが、二度と今日のようなことは起こさせない。
UL96A1俺は、どんなことがあろうとマスターを守る。
マスターの敵はすべて、俺が撃ち抜いてやる。
UL96A1いや……、むやみに狙撃をするという意味じゃない。
マスターが命じた奴だけだ。
ただ、その……とにかく……だから!
UL96A1……マスターの、力になりたいんだ。

UL96A1の言葉は、
すべてが本心からのものだと伝わってきて
──不思議と、気持ちが穏やかになっていく。

主人公【ありがとう】
【優しいね】
UL96A1……っ!? なんか、マスターにそう言われると、
胸が、くすぐったいっつーか……なんだこれ?
UL96A1とにかく、少し落ち着いたみたいだな。
UL96A1……あのな、マスター。
マスターに、ずっと聞きたかったことがある。
UL96A1俺がただの銃だった頃……。
ラッセル……入るぞ。
ラッセル……よかった、気がついたか!
主人公【ラッセル教官……!】
【はい、なんとか……】
ラッセルそうか……。
ヴィヴィアン君のことは……本当に、残念だった。
ラッセルそれから……突然ですまない。
2人とも、おとなしく従ってもらおう。
主人公【えっ?】
UL96A1おい、何しやがるっ!

頭に布を巻き付けられる。目隠しだ。
突然の出来事に言葉を失っていると、
教官の心底すまなそうな声が響く。

ラッセル〇〇君、これは上官としての命令だ。
私の誘導に従って歩いてくれ。
君たち2人を──
ラッセル──世界連合軍の極秘組織に案内する。

第8話:カサリステ

UL96A1マスター、大丈夫か!?
ずいぶん長い距離を歩かされた。
主人公【ここは、一体……?】
【見たことがないところだ……】
UL96A1おい、お前ら。
突然わけわかんねぇことしやがって……
マスターに謝れよ。
???ほう……
これは勇ましいな、青年。
???手荒な真似をしてすまないね。
この場所の存在は最重要機密ゆえ、
目隠しをさせてもらったのだ。
主人公【理事長……!?】
シド理事長いかにも。
私はフィルクレヴァート連合士官学校の理事長であり、
連合国中将シド・コペールだ。
シド理事長こうして個人的に話をするのは初めてだね、
〇〇候補生。
射撃大会での活躍は実に素晴らしかったよ。
シド理事長……こういった状況で面会をすることになったのは、
非常に残念だ。
シド理事長──ヴィヴィアン・リントンロッジ。
我が校の大切な一員、かけがえのない候補生を
失った悲しみは、筆舌に尽くしがたい。
シド理事長君はリントンロッジ候補生の親友だったと聞く……。
心中は察する。
シド理事長だが、今からする話は最重要かつ極秘の情報だ。
心して聞いてほしい。
UL96A1……?
シド理事長ここは、カサリステ。
連合軍の秘密研究組織だ。
シド理事長この場所の存在は、連合軍内でも
ごく限られた人物にしか知られていない。
シド理事長──単刀直入に聞こう。
君たちはこの赤い石を知っているかね?

そう言うと、理事長は胸ポケットから
1枚の写真を取り出した。そこには、
透き通った赤色の小さな結晶が写されていた。

主人公【……見覚えがあります】
【ヴィヴィアンに渡された箱に入っていた……】
シド理事長──これは、「アリノミウム結晶」という。
我々カサリステが研究対象としている、
最も重要な物質だ。
シド理事長見た目は宝石のようだが……
この結晶は政治的、軍事的な価値が非常に高く、
世界中で高値で取引されている。
シド理事長──その価値、約100億。
主人公【ひゃ!?】
【100億……っ!?】
シド理事長今や各国の英雄であり、象徴である貴銃士──
シド理事長その貴銃士を誕生させ、
使役する力を持つのが「マスター」と呼ばれる
人間たちであることは、君も知っているだろう。
シド理事長マスターは最初からその力を持っているのではない。
そう──この結晶に触れることで、
その力を宿すことができるのだ。
ラッセル〇〇候補生。
右手を見せてくれ。
ラッセル……理事長殿。
これは確かに、薔薇の傷です。
主人公【薔薇の傷……?】
シド理事長ふむ……。
そうか……。
シド理事長……人間がアリノミウム結晶に触れると、
強い痛みや苦しみと引き換えに
薔薇のような裂傷と共に「力」を得ると言われている。
シド理事長そして──青年。
君は、〇〇候補生が召銃した貴銃士……
それで間違いはないな?
UL96A1ああ、もちろんだ。
シド理事長……これでわかっただろう。
リントンロッジ候補生はこの研究所に忍び込み、
結晶を盗み出し、そして君に渡した。
シド理事長そして君は、マスターとしての力を得て、
この貴銃士を召銃した……そういうことだ。
主人公【自分が、マスターに……】
【でも、なぜヴィヴィアンが……】
シド理事長……今回の問題には謎が多すぎる。
シド理事長ヴィヴィアン・リントンロッジ候補生が、
なぜカサリステの存在を知っていたのか。
シド理事長厳重に管理されていたアリノミウム結晶を、
彼女はどうやって盗み出したのか。
シド理事長そして、なぜアウトレイジャーが校内にいたのか……。
主人公【アウトレイジャー?】
ラッセルリントンロッジ候補生を襲ったのは、
「アウトレイジャー」と呼ばれる存在だ。
ラッセル半年ほど前に初めてフランスで出現して以来、
各地で猛威を振るうようになった。
ラッセル攻撃手段は銃だが、特殊な弾丸を使用しているのか、
その威力は通常の弾丸と比べ物にならない。
ラッセルまた、通常の火器では損傷を与えづらく、
我々連合軍は対応に悩まされている。
ただ、奴らは一定の損傷を受けることで……消滅する。
ラッセル──銃だけを残して。
主人公【それは……】
シド理事長うむ。かつての貴銃士にも見られたという現象だ。
この特徴から、貴銃士と関連のある存在だと推測され、
目下、カサリステの調査対象となっている。
白衣の男……失礼いたします。
白衣の男ヴィヴィアン・リントンロッジの……
遺品を持ってまいりました。

 

第9話:暴かれた遺書

白衣の男死亡時に身に着けていたものは、
すべてこちらの箱にまとめてあります。
シド理事長うむ、ご苦労。
ラッセルほとんどが学校の支給品ですな。
そうでないものは銃、時計、これは……髪飾りか。
──おや。この封筒は、手紙のようですね。
ヴィヴィアンもしも……もしも、だよ?
ヴィヴィアン万が一、私が……。
私が死ぬようなことがあったら、
この封筒を開けてほしいんだ。
主人公【そうだ、あの約束……】
【その封筒、貸してください!】
ラッセル待ってくれ。
ラッセルリントンロッジ候補生は、残念ながら
カサリステにとって脅威となる行動をとった。
ラッセルこの封書の中身も、機密に触れている可能性がある。
まずは我々が確認をする必要があるんだ。
すまないね。
ラッセル──理事長殿。
自分が中身をあらためても?
シド理事長許可しよう。
ラッセルありがとうございます。
ラッセルおや、2通入っていますね。
これは……。
ラッセルご両親宛の手紙と──
〇〇候補生宛の手紙?
ラッセル…………。
特に機密らしいものはありません。
ごく一般的な遺書です。
ラッセル〇〇君。
君に宛てたものだ。

暴かれてしまった遺書に目を通す。

〇〇に宛てられた遺書には、
士官学校で共に暮らした日々の思い出や、
感謝の言葉が綴られていた。

そして……自分が命を落とした時は、
UL85A2と一緒に、士官学校内にある
構内墓地に埋葬してほしいという願いも。

主人公【(UL85A2と一緒に……?)】
【(でも、UL85A2が苦手って……)】
UL96A1マスター……?
シド理事長ふむ、構内墓地……。
たしかに士官学校の構内には、
卒業生や教官の戦死者慰霊碑があるが……。

ヴィヴィアンの意図を知りたくて、
遺品のUL85A2をじっと見つめる。

その瞬間──

何かを訴えかけるような強い気配を感じ、
同時に、激しい頭痛に襲われた。

UL96A1大丈夫か、マスター!
頭に痛みがあるのか?
主人公【UL85A2が何か訴えてる……?】
【貴銃士にしたら何かわかるかも……?】
ラッセルなっ!
ラッセルまさか、その銃を貴銃士にする気か?
ラッセルそ、それは許可できない!
第一、彼女の手紙を読んだだろう。
ラッセル彼女は銃とともに埋葬されることを
望んでいると──。
UL96A1マスター、迷っているのか?

UL85A2から、強い想いを感じる。
まるで、訴えかけてくるような、強烈な気配。

遺言のことは、たしかに気にかかる。
しかし、それ以上に──

この銃を、貴銃士として目覚めさせるべきだと、
直感が、そう訴えている。

UL96A1俺はそいつのことは知らないが──
マスターのことは、信じている。
マスターがすべきだと思うことが、正しいと思う。
シド理事長……ふむ。
シド理事長やってみなさい。
〇〇候補生。
ラッセル理事長殿!?
しかし……!
シド理事長何か意見があるのかね、ブルースマイル曹長?
ラッセル……っ、No, Sir.
失礼いたしました。

薔薇の傷跡が刻まれた右手で、
〇〇はおそるおそる、
UL85A2の銃身に触れる。

すると、UL95A1が現れた時と同じ、
眩い光が溢れ出した。

ラッセルこ、この光は……っ!?
UL85A2…………。
ラッセル……っ!
UL85A2…………。
はあーーぁ。
UL85A2何やってんだよ、雑魚ども。
UL96A1&ラッセルなっ!?

第10話:2人目の貴銃士

UL85A2ザコは誰かだって?
お前だよ、お前。
そうだ、俺を呼び出したお前。
UL85A2お友達が殺られたんだろうが。
うだうだ話してる暇あったら追いかけろ。
UL85A2お前それでも親友か?
UL96A1おい。あんた、何様のつもりだ?
マスターは今──
UL85A2んだよ、お前。
……ああ。そいつの銃じゃねぇか。
UL96A1だっけ?
UL85A2はっ!
腑抜けの候補生は銃まで腑抜けなんだな。
UL96A1ッ! てめえ──

UL96A1が、
UL85A2の胸ぐらをつかみ上げる。

ラッセルお、おい。君たち!
今は喧嘩などしている場合ではないだろう。
主人公【気持ちはわかるけど、抑えて】
【手を放して】
UL96A1……っ。
UL85A2腑抜けに腑抜けっつって何が悪いんだ?
UL85A2俺も、俺の持ち主も。
こいつらみたいな腑抜けじゃねえ。
主人公【ヴィヴィアンは何を考えていたの?】
【知っていることを、教えてほしい。】
UL85A2あ?
あいつが考えていたことまでは知らねえよ。
UL85A2だが、あいつは……俺の持ち主は、
いつも何かに怒ってた。悲しんでた。
UL85A2それに、何か強い決意を抱いてた。
──銃である俺にも伝わってくるくらいに、な。
ラッセル……本当に、ヴィヴィアン・リントンロッジが
アリノミウム結晶を盗み出した理由を知らないんだな?
UL85A2しつこいな、あんた。
UL85A2知らねえっつってんだろーが。
ねちっこい奴は嫌われるよ?
ラッセルそ、そうか。
これで真相は闇の中だな……。
シド理事長だが単独での犯行とは考えにくい。
リントンロッジ候補生の背後に、
誰がいたのかが気になるところだが……。
ラッセルしかし、彼女は本当に素直で、努力家で……。
なぜこんな盗人のような真似をしてしまったのか……!
UL85A2……おい。
UL85A2おい、おっさん。
今なんつった。盗人?
それとも俺の聞き間違い?
UL85A2──ふざけんのもたいがいにしろよ。
UL85A2いいか、そういうのをな……汚名ってんだよ。
しかも何のいわれもない汚名だ。
UL85A2あいつは盗人なんかじゃねぇ。
何か……重い決意をもって、行動した。
志があって、やり遂げようとしたんだよ。
UL85A2俺はあいつを殺したやつを、この手でぶっ殺す。
UL85A2そして、あいつが成し遂げようとしていたことを、
この手で代わりに成し遂げてやる。絶対にな。
UL85A2よし、そう決めた。
いま決めた。
UL85A2……おい、お前。
UL85A2お前だよ、マスター!
俺を呼び覚ましたんだからな、協力してもらうぞ。
UL96A1勝手に話を進めるな!
マスターに命令しやがって、ふざけんなよ。
UL85A2は?
なんだよ、お前。
UL85A2付き合うのは当然だろーが。
こいつが見殺しにした奴の仇討ちだし。
UL96A1見殺しじゃねぇ!
あれは、俺の力が足りなくて……。
ラッセル2人とも、落ち着いてくれ!
ピンクの髪の、君は……。
UL85A2UL85A2。
ラッセルヴィヴィアン君のことを盗人と言って悪かった、
UL85A2。
ラッセル──君はつまり、アウトレイジャーに復讐をしたいと、
そう考えているんだな?
UL85A2……ああ、そうだけど?
シド理事長──ならば、トルレ・シャフについても知るべきだろう。
今なお暗躍する、世界帝派組織だ。
UL85A2……世界帝?
ラッセル圧倒的武力を背景に、世に圧政を敷いた世界帝が
レジスタンスによって打倒されてから7年が経ったが、
世界にはいまだ世界帝を信奉する者が息を潜めている。
ラッセル彼らは、世界帝のことを愚かな民衆を飼いならし導く
「羊飼い」として崇拝している。
その者たちが組織を成したのがトルレ・シャフだ。
シド彼らは各地で破壊活動を画策、反対運動を指揮している。
今の世界を混乱の渦に陥れ、
世界帝派が再び世に台頭することを目論んでいるらしい。
シド連合軍は奴らの尻尾を掴むため、日々その動向を追っているが──
その中で、気になる情報がある。
シドアウトレイジャーの出没地点付近で、
トルレ・シャフ構成員らしき者の姿が度々目撃されているのだ。
UL96A1そういえば……俺が倒したガスマスクのほかに、
逃げた奴らがいた。黒いマントを着ていた。
シドおそらくトルレ・シャフだろう。
アウトレイジャーとの関連性は不明だが、
なんらかの接触を図ろうとしているのか──
シドそれとも、アウトレイジャーを利用しようとしているのか──
真相は不明だが、トルレ・シャフは非常に危険だ。
奴らの存在にも十分に注意せねばならない。
主人公【わかりました】
【ご忠告ありがとうございます】
シド連合軍の秘密組織であるカサリステは、
アウトレイジャーとは何か、どのようなメカニズムで発生し、
貴銃士とどのような関連があるのかを解明しようとしている。
シドしかし、その間にも──
ヴィヴィアン・リントンロッジ候補生のような被害は世界中で起こっている。
シド……まことに遺憾なことだ。
シドアウトレイジャーの暴走を止めることができるのは、
特別な力を持つ貴銃士だけ。
シド──君たちが東の門で使ったと報告されている
あの奇妙な力だけだ。
UL96A1──絶対非道!
UL96A1……あれは、マスターを守るための力だ。
シド成り行きとはいえ、〇〇候補生は
アリノミウム結晶の力で君たちを貴銃士として
目覚めさせ、それを従えるマスターとなった。
シド本来、士官候補生を実戦投入するなどありえない。
しかし──。
シドアウトレイジャーの暴走を止め、世界帝派組織である
トルレ・シャフの卑劣な陰謀を暴くことは、
現状、君たちにしかできないと考えている。
シド単刀直入に言おう。
貴銃士のマスターとなった君に協力要請をしたい。
シド我々、世界連合軍傘下のカサリステと協力し、
アウトレイジャーどもを討伐する。
シド──この任務、受けてくれるかね?
主人公【イエッサー!】
【……頑張ります!】
シド感謝する。
頼んだぞ、〇〇候補生。
UL85A2……世界帝派、か。
ラッセル何か、心当たりがあるのかね。
UL85A2……ない。
全然ない。
UL85A2あいつらはヴィヴィアンを殺した。
今から俺が奴らを殺す。
UL85A2以上、それだけ。
UL85A2おら、なにボーっと突っ立ってんだ。
さっさと出発するぞ。
UL85A2もたもたするなよ、ほら。

突然UL85A2に手を引っ張られて、
軽くよろめいてしまう。

主人公【うわっ!?】
【(意外と綺麗な手をしてるな……)】
UL96A1おい!
マスターは右前腕部を損傷してる。
手を離しやがれ、手を!
UL85A2は?
損傷って、あー……怪我のこと?
UL85A2知るか、んなもん。
UL96A1知るかとはなんだ、離せ!
ラッセルま、待ちなさい。君たち!
ラッセル奴らがどこに逃げたのか、
何の情報もないのでは追いかけようがないだろう?
職員緊急報告です!
職員東の山中での目撃情報。
アウトレイジャーらしき者が確認されました!
全員!!

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