メインストーリーⅡ:第11話~第15話

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第11話:セーヌ川の雨1

ライク・ツーったく、ジョージのやつ……
また勝手に走り出しやがって!
主人公【行こう!】
ライク・ツーああ、了解!

ジョージ(シャルル……無事でいてくれよ……!)
主人公【待って!】
【やっと追いついた!】
ジョージ〇〇、ライク・ツー!
ライク・ツーおい、行き先も言わねぇで勝手に突っ走るな!
ジョージごめん!
でも、いても立ってもいられなくなって……。
ライク・ツーはぁ……。
それで、シャルルヴィルの行き先に
心当たりでもあんのかよ。
ライク・ツー闇雲に走ったところで、簡単には見つかんねぇぞ。
ジョージシャルルが行きそうな場所……。
シャルルヴィルほら、向こうに小さく橋が見えるのわかる?
ノルドール橋っていって、
景色がすごくいいところなんだ。
ジョージ……っ、そうだ、ノルドール橋!
ジョージこの街で一番大きな橋で、
景色がよくて気に入ってるって言ってた!
主人公【行ってみよう!】
ジョージああ!

ジョージはぁっ、はぁっ……!
着いた、ノルドール橋……っ!
主人公【シャルルヴィル!】
【いたら返事して!】
ライク・ツーくそっ、雨で視界が悪いな……!
ジョージ……いた! あそこ!

ジョージが指差す方向へ目を凝らしてみると、
橋の欄干に腰掛けている人影があった。

ジョージ間違いない、シャルルだ!
ジョージ!おい、シャルル!
シャルルヴィル……ジョージ?
それに、〇〇とライク・ツーも。
シャルルヴィルどうしたの、こんな雨の中で散歩なんて危ないよ。
ほら、セーヌ川もこんなに増水してる。

シャルルヴィルが足を揺らめかせながら、
セーヌ川を見下ろす。

大雨で一気に増水したセーヌ川は、
ごうごうと音を立て、濁流と化していた。

ジョージおまえが言うな!
そんなとこにいたら危ないだろ!
ジョージ早くこっちに来い!
オレが手を掴むから慎重に──
シャルルヴィル来ないで!
ジョージなっ……!?
シャルルヴィルごめん、ジョージ。
……もう、いいんだ。
シャルルヴィルボク、もう疲れちゃったんだよ。
……貴銃士であることに。

ロジェこれが、私の貴銃士……。
ロジェああ、なんて……
なんて、美しいんだ……!
ロジェ絶対高貴になれない貴銃士など、なんの価値もない!
せめて演じるくらいは、まともにやってみせろ!
いいな!
フランス市民たちなんて高貴なお姿……。
麗しきフランスの貴銃士、万歳!
フランス市民たちシャルルヴィル様は、我々の恩人です!

シャルルヴィルみんなを騙して、みんなに嘘ついて。
本当の僕を隠して、上手くやろうって誤魔化して!
ライク・ツー…………。
シャルルヴィル…………。
もう、限界なんだ。
シャルルヴィル僕はこれ以上、みんなを騙したくない!
自分に嘘をつきたくない!
シャルルヴィルこの世界にいても、つらいだけ。痛いだけ。
……苦しいだけなんだ。
シャルルヴィル──お茶会、来てくれてありがとう。
シャルルヴィル最後に君たちにも会えたし、心残りはないよ。
シャルルヴィルだから、もう。
終わりにさせてほしいんだ。
ジョージ……馬鹿! 大馬鹿野郎!
心残りがないなんて嘘言うなよ!
ジョージおまえ、言ってたじゃねぇか。
弟分のスプリングフィールドに会ってみたいって!
ジョージそれに、ブラウン・ベスとの約束だって……!
シャルルヴィルベスくんとの、約束……。
ジョージああ。
あいつと──ブラウン・ベスと約束しただろ。
いつか絶対高貴になろうって。
ジョージブラウン・ベスが表から消えて、
オレっていう人格が代わりに出てきたけど……。
ジョージオレは、ブラウンが絶対高貴になれるように、
またあいつが表に出てこられるように、
──あの日の謎を解きたいんだ!
ジョージなんで、どうして。あいつが──
ジョージブラウン・ベスが、アウトレイジャーになったのかを!
ジョージだから、おまえが諦めんな!
あいつがまた目覚めて、一緒に絶対高貴になるまで!
おまえがおまえを諦めるなんて、悲しいことするな!

第12話:セーヌ川の雨2

シャルルヴィル……っ。ジョージ……。
ライク・ツーえ……、はぁっ!?
ライク・ツーおい、ちょっと待て。
ジョージ、お前、いきなり何言ってんだよ。
ライク・ツー今の話だと、王室にいたブラウン・ベスが消えて、
別人格のお前が出てきたってことになるけど……。
ライク・ツーブラウン・ベスなら、イギリス王室にいるだろ!?
ジョージいや、あれは──偽物だ。
ジョージブラウン・ベスも、マスターである女王も。
どっちもただの偽物──影武者だ。
主人公【本当に……!?】
【そんな、まさか……!】
ライク・ツーいきなりそんなこと言われても、
意味わかんねぇんだけど……。
何がどうなってんだよ……。
ジョージ…………。
ジョージイギリスの新女王マーガレットに召銃されたあいつ──
ブラウン・ベスは、絶対高貴になれなかった。
ジョージそれどころか……
ある日、アウトレイジャーになっちまった。
???──邪魔者を排除しなさい、私の騎士。
兵士ひぃ!
お、おやめください……陛下……!
???…………。
ジョージそして、正気を失った女王と一緒に、
城から抜け出そうとしたんだ。
ジョージ……女王に命じられるがまま、
止めようとした衛兵を撃ってまで、な。
ライク・ツーマジ、かよ……。
ジョージ──シャルルヴィルは、恩人なんだ。
シャルルヴィル……っ!
主人公【恩人?】
【どういうこと?】
ジョージ応援が来て、
ブラウン・ベスは取り押さえられ、銃に戻された。
ジョージアウトレイジャーと化した貴銃士を、
再び召銃するリスクなんて犯せるわけがない。
ジョージだから……
ブラウン・ベスは、破壊されるはずだったんだ。
ジョージでも……リリエンフェルト家が、保管を申し出た。
いつか謎が解ける日が来るかもしれないから、
その日まで責任を持って、厳重に保管すると。
ジョージ……なぁ、シャルル。
オレは、銃に戻ってたから直接見聞きはしてないけど、
あれは、おまえが掛け合ってくれたんだろ?
シャルルヴィル……、うん……。
シャルルヴィルロジェ様に頼み込んだんだ。
ブラウン・ベスはリリエンフェルト家で預かろうって。
シャルルヴィルだって……信じられなかったんだ。
あのベスくんが、
イギリスの兵を撃つなんてありえない。
シャルルヴィル不器用だけど優しくて、ちょっと頑固で、まっすぐで、
──あんなに気高いベスくんが、
凶暴で凶悪なアウトレイジャーになるなんて。
シャルルヴィルそんなの、何かの間違いに決まってる。
何か、ベスくんの意思以外のものが
そうさせたに違いない、って……。
シャルルヴィル…………。
シャルルヴィル君たちが来て、倉庫で見つけたブラウン・ベスwp
召銃するって言い始めたとき、僕は迷ったんだ。
シャルルヴィルまたベスくんがアウトレイジャーになるかもしれない。
あんな悲劇をまた起こしたら……
今度こそ、壊されるだろうから。
シャルルヴィルそう思うと怖くて……
それなのに、僕は君たちを止められなかった。
シャルルヴィルきっと……少し、期待しちゃったんだ。
シャルルヴィル今度こそベスくんが絶対高貴になるかも、ってさ。
それに、あの日の謎が解けるかもしれないとも思った。
ジョージ……シャルル。オレは絶対高貴になれた。
あいつが願ったように、
マスターや困ってる人を助けられるようになった!
ジョージ今はまだブラウン・ベスはいない……。
だけど、そのうち必ずあいつは目覚める。
ジョージなぁ、一緒に絶対高貴になるって約束しただろ。
ジョージそれまで待っていてくれよ、シャルル。
あいつが戻るまで、消えるなんて許さないからな!
ジョージおまえを止めるのが、
ブラウンの代わりに表に出てるオレの役目だ!
主人公【お願い、シャルルヴィル】
【こっちへ戻って】
シャルルヴィル……!
シャルルヴィルありがとう。
でも……ごめんね。
シャルルヴィル僕は……待つことも、戻ることもできないよ。
シャルルヴィル……ねぇ。
みんなは、アウトレイジャーになってしまった貴銃士の
共通点って考えたことある?
シャルルヴィル共通点……?
シャルルヴィルシャスポー、エンフィールド、ベスくん……。
シャルルヴィルアウトレイジャー化してしまったのはみんな、
絶対高貴になれなかった貴銃士だ。
ライク・ツー……!
シャルルヴィルアウトレイジャーは、絶対高貴になれない
貴銃士のなれの果ての姿なんだよ、きっと。
シャルルヴィルだから、僕もいつかは、ああして──
シャルルヴィル絶対高貴になれなかった貴銃士として、
アウトレイジャーに堕ちるんだ。
シャルルヴィルだったら、僕はここにいちゃいけない。
シャルルヴィルみんなに迷惑をかけて、裏切って、嘘をついて。
その果てに正気を失ってみんなを傷つけるなんて、
僕は絶対に嫌だよ!
ジョージお、おい、シャルル!
やめろ……!

ジョージが猛然と駆け出した。
シャルルヴィルは憑き物が取れたように、
白百合を想わせる、穏やかで美しい笑みを浮かべる。

シャルルヴィルごめん。
さよならだよ、ジョージ。
みんなを……僕から守るために。
主人公【駄目っ!】
【シャルルヴィルッ!】

引き止める手も声も、届かない。
シャルルヴィルの姿が、欄干から消えた。

第13話:セーヌ川の雨3

シャルルヴィルの姿が、欄干から消えた。
その一瞬後に、ジョージが続く。

主人公【ジョージ!】
ライク・ツーやめろ、〇〇!

飛び込もうとした〇〇だったが、
ライク・ツーに強く腕を掴まれる。

ライク・ツー馬鹿かよ! いくら訓練してても、
こんな濁流に飛び込んだら助からねぇぞ!
主人公【でも、2人が!】
【助けないと!】
ライク・ツージョージのやつ、
微塵もためらわないで飛び込みやがったな……。

2人の姿が、まだどこかに見えないか、
一縷の望みを胸に、橋の下を覗き込むと──。

ジョージセーフ……。
死ぬかと思った……。
ライク・ツーうっそだろ……!
主人公【ジョージ! シャルルヴィル!】

シャルルヴィルをしっかりと掴んだジョージが、
橋の金具に引っかかるようにしてぶら下がっていた。

ライク・ツー待ってろ、今引き上げる!
ジョージ頼む!

ライク・ツーと協力して、
なんとか2人を橋の上まで引き上げることに成功した。

ジョージふぅ……。
ありがとな、〇〇。ライク・ツー。
ジョージおい、シャルル。
怪我とかしてねぇか?
シャルルヴィル……うっ、……ッ。
シャルルヴィルうっ、ヒック……うわぁあぁっ!

小さな嗚咽を漏らしたかと思うと、
シャルルヴィルは堰を切ったように、
大粒の涙を流して泣き始めた。

シャルルヴィルご、ごめんなさい……っ、ごめんなさい……!
ジョージおいおいシャルル。
せっかく助かったんだから、
ごめんよりありがとうだろ!
シャルルヴィルあ、あ……っ、ありが、どうっ……!
ほんとは、すごく怖かった……っ!
シャルルヴィル絶対高貴に、なれなくって……
ロジェ様が変わっちゃって、
毎日酷いことされて、言われて……!
ジョージ……なんだと?
シャルルヴィルそれで、いつかボクも
アウトレイジャーになっちゃうんだって思ったら、
ボク、もう……!
シャルルヴィルうわぁあぁんっ!
ジョージ…………。
ライク・ツー……何が言いたいかわかったから先に言うけど、
俺は反対だからな。
ジョージなっ……! 今の聞いてただろ!?
ジョージ〇〇。オレは、シャルルを助けたい。
こいつをこのままリリエンフェルト家に置いとくなんて、
オレには無理だ!
ライク・ツー簡単に言うけど、お前、連合軍とか
士官学校の資金源知ってんのか?
ライク・ツーリリエンフェルト家は、最大級のパトロンだぞ。
ラッセルも言ってたんだろ?
今回、士官学校は大っぴらに動けないかもって。
主人公【でも、放っておけない】
【……やろう】
ライク・ツーはぁ……。
ま、お前はそっちを選ぶよな。
ジョージ〇〇……! ありがとな!
ジョージさぁ、行こうぜ、シャルル!
オレたちと一緒に帰るんだ!
シャルルヴィルうん……っ!
ライク・ツーんで、どうやってこいつを
リリエンフェルト家から引き離すんだよ。
ライク・ツー士官学校に連れて帰ったところで、
連合軍も士官学校もリリエンフェルト家には
強く出られないんだから、大して頼りにならねぇぞ。
ジョージうーん……そうだよなぁ……。
話し合いで解決できればいいけど、
ロジェのあの様子だと聞く耳持たなそうだしなぁ。
ライク・ツーつまり……今のところ、無策ってことだな。
頼もしいことで。
ジョージむーっ! おまえも何か考えろって!
主人公【一緒に考えよう】
【落ち着いて】
シャルルヴィルあの……ちょっといいかな。
向こうから来てるのって、
〇〇の貴銃士たちじゃない?
マークスマスターーーーッ!
マークス無事か? 怪我はないか?
リリエンフェルト家で妙な真似をされたり
嫌なことを言われたりしてないだろうな?
シャルルヴィルあはは……相変わらず熱烈だね。
シャスポーおい、ライク・ツー!
君、僕たちを差し置いて勝手に随伴するなんて、
いい度胸じゃないか。
ライク・ツーお前らがいつまでも、
くだらねぇやり取りしてるからだろ。
時間の無駄を省いて何が悪い。
シャスポーなんだと……!?
タバティエールまあまあ、落ち着けって。
シャスポー……ふん。
主人公【みんな、どうしてここに?】
【応援要請はまだのはずだけど】
十手いやぁ……君たちがいないことに気づいてから、
マークス君とシャスポー君が、
どうしても追いかけると言って聞かなくて。
十手ラッセル教官を説き伏せて──というか、
強引に学校を飛び出してここまで来たんだ。
十手あの2人だけだと、道中で喧嘩別れしそうで、
無事に辿り着くか怪しいからね。
俺も心配でついてきたってわけだ。
タバティエールんで、俺が引率。十手だけだと、
シャスポーのお守りは荷が重いだろうからな。
十手はは……タバティエールが来てくれて、
本当に助かったよ……。
マークスおい、マスター。
雨でびしょ濡れじゃないか。
このままじゃコンディションが──。
マークス……ん?
おい、におうぞ!
シャスポーはぁ? 何言って──
マークスしっ!
気をつけろ、なんか来る。

 

第14話:狂気の支配1

兵士1いたぞ、囲め!
兵士2こっちだ!
ライク・ツー……ほんとに来やがった。
ライク・ツーおい、マークス。
お前いよいよ犬じみてきたんじゃねーの。
マークスうるせー。
マスター、俺の後ろに。
シャルルヴィル君たちは……!
ジョージあれ……こいつらって、
さっきロシニョル家に来てたヤツと似てるような?
シャルルヴィルリリエンフェルト家の──ロジェ様の私兵だよ。
ロジェ──探したぞ、シャルルヴィル。
シャルルヴィル……ッ、ロジェ、様……っ!
ロジェああ……やはりか。
やはりお前たちが、
シャルルヴィルをそそのかしたのだな……!
ロジェ私の目に狂いはなかった。
あとをつけさせて正解だったな。
マークスおい。お前がいて、なんで尾行されてんだ。
ライク・ツーチッ……
大雨のせいで、気配が掴みにくかったんだよ。
ロジェシャルルヴィル。
汚らわしい盗人どもと一緒にいるのはやめて、
こちらへ戻るんだ。いいな。
十手おいおい、盗人ってぇのは、俺たちのことかい!?
ロジェ当然だ! お前たちの考えなど、
私にはわかりきっている!
ロジェお前たちは、私からシャルルヴィルを奪いにきた。
そうだろう!?
ロジェシャルルヴィルが招待した2人はともかく、
貴銃士を5人も引き連れて……!
ロジェおまけに、そこにいるのは
シャスポーにタバティエール……
ロシニョルとレザールが召銃した貴銃士じゃないか!
ロジェリリエンフェルト家への恩を忘れ、
揃いも揃ってこの俺を陥れようとするとは……っ!
許せんッ!! この裏切り者どもめぇッ!!
タバティエール……おい、なにやら様子がおかしいぜ。
シャスポーああ。リリエンフェルト家のロジェといえば、
穏やかで紳士的な人物だったと記憶してるけれど、
今の彼は……。
ロジェああ、そうだ……そうだ!
ロシニョル家の小娘もレザール家のいけ好かない次男も
全員で示し合わせているに決まっているッ!!!
シャスポー……っ!
とても、正気とは思えないね……。
マークスマスター、どうする。
こいつらを全員排除するか?
ロジェおい、動くな!
ロジェシャルルヴィルを大人しくこちらに引き渡すなら
お前たちに危害は加えない。
連合軍側にも圧力はかけないでおいてやるぞ。
ジョージうるせーっ!!
ジョージおまえのところにシャルルを戻したら、
また酷い目に遭わせる気だろ!
こっちだってお見通しなんだからな!
ロジェなんだと……?
シャルルヴィル……
お前はまた、余計なことを漏らしたようだな……。
シャルルヴィルヒッ……ごめんなさ──
ジョージシャルルが謝る必要なんてないだろ!
おまえは堂々としてればいいんだ。
シャルルヴィルう、うん……!
主人公【ことを荒立てる気はありません】
【兵を下がらせてください】
ロジェちっ!
こちらとしても、お前たちに危害を加えたくはない。
ロジェ連合軍に手を出せば、
いくらリリエンフェルト家といえども
面倒なことになるからな……。
ロジェだが、これ以上シャルルヴィルを拘束するなら──
実力行使もやむを得ん。
主人公【待ってください!】
【話し合いを!】
ロジェええい、黙れ!
お前たちにシャルルヴィルを返す気がないことなど、
わかりきっている!
ロジェ──撃て。
私兵1し、しかし……!
シャルルヴィル様もいらっしゃいますし、
相手は士官学校のマスターと貴銃士ですよ!?
ロジェ構わん。俺が撃てと言っている!
私兵1は、はいっ!
タバティエール全員退避だ!
マークスマスター、こっちだ!
私兵1──撃て!
ロジェチッ……隠れたか。
お前たち、奴らを探せ!
ロジェ奴らはフランスから貴銃士たちを奪って
我々に反逆しようとしている!
ロジェ奴らを捕らえろ!
ただし殺すな!
私兵たちはっ!

ジョージ……セーフ!
十手間一髪、だったなぁ……。
はぁ、寿命が縮みそうだ。
主人公【みんな、大丈夫?】
【怪我はない?】
タバティエールああ、全員無事だぜ。
シャスポー……それで、どうする?
ライク・ツーどうするもこうするも。
こうなったら戦うしかねぇだろ。
マークスマスターに危害を加えやがった時点で、
答えは1つしかないな。
シャルルヴィルみんな……ボクのせいで、ごめ──
ジョージおい! 謝るなって言っただろ、シャルル。
ジョージこれは──自由のための戦いだ!
シャルルヴィル自由……。
ジョージああ、そうだ!
この戦いを切り抜けて──おまえは絶対、自由になる。
シャルルヴィル……ッ!
シャルルヴィル……うん!

第15話:狂気の支配2

マークスマスター、どう動く?
主人公【なるべく危害を加えたくない】
【足を狙える?】
マークス了解。
腕だろうが足だろうが、必ず当ててやる。
私兵1ぐあっ!
私兵2足をやられた! 止血急げ!
ロジェくそっ……どこから狙っている!?
小癪な真似を……!
ロジェおい、撃て! 撃ちまくれ!
殺さなければ、多少傷付けて構わない!
ライク・ツーチッ……遠慮なしに撃ってきやがるな。
シャスポーこっちはこの少人数で、加減しつつだっていうのに。
まぁ、これくらいのハンデはあって然るべきかもね。
シャスポー……さぁ、シャスポー銃の力、見せてあげるよ。
私兵3・4うぁっ! 足が……!
タバティエールかわいそうだが、あの位置なら命には関わらないか。
さすが、いい狙いだな、シャスポー。
シャスポー当然だろう。この僕だぞ?
……後方支援はお前に任せる。
喋ってばかりいないで、手も動かせよ。
タバティエールへいへい。
十手よーし、俺も……って、
この距離だと無理があるな……。
ライク・ツーお前は引っ込んでろ。
単発式だし射程距離もしょぼいんだから、
下手に出ると無駄に怪我するだけだぞ。
ライク・ツーこういうのは、俺らの仕事だ。
私兵5ぐあぁっ!
私兵6くそっ、また足をやられた!
ロジェくっ……! お前たち、何をしている!
士官学校の生徒1人に何を手間取っている!
私兵リーダーしかし、彼らがどこに潜んでいるかわからない以上、
闇雲に攻撃しては落命する可能性も──
ロジェ……構わん。
私兵リーダー……えっ。
ロジェ構わんと言っている。
ロジェもう──こうなったら、殺してもいい。
私兵リーダーなっ……! 相手は士官学校の生徒、
それも、貴銃士を多く抱えるマスターですよ!?
ロジェ黙れ、口答えをするな!
相手がなんであろうと、リリエンフェルトの力を
もってすれば、存在ごと消すこともできよう!
ロジェ小賢しいマスターも、貴銃士どもも
……俺を裏切ったシャルルヴィルも。
ロジェ──全員、殺シ、テ、シマエ……!
私兵リーダー……っ、ロジェ様……!?

シャルルヴィルみんなが、ボクのために……
ボクと一緒に、戦ってくれてる……!
ジョージオレたちは普通に撃つと硝煙で位置がバレちまうけど、
絶対高貴ならビームみたいに、
ズババッて一気に攻撃もできるんだぜ!
ジョージ自由を勝ち取ったシャルルは、きっと強い!
だから必ず、絶対高貴になれる!
シャルルヴィルうん……!
シャルルヴィル……ッ、……っく!
めまい、が……。
ジョージ……シャルル?
おい、大丈夫か?
シャルルヴィル……ッ、ぁ……!
い、やだ……ぅ、そ、あぁあ…………!!
ジョージシャルルッ!?
ジョージそんな、なんで……!
なんでおまえまで……!
シャルルヴィル殺、ス……。
いや、だ……ボクは……っ!
十手シャルル君……!?
ライク・ツーおい、向こうも様子が変だぞ。

ライク・ツーが示す方では、
頭を押さえ、半狂乱になったロジェが、
私兵たちを怒鳴りつけている。

ジョージまさか、あいつに引きずられて……!?
ジョージ──よし。オレが突っ込む。
ライク・ツーはぁ? 何考えてんだよ。
貴銃士っつったって、
身体の性能は人間と大して変わりないんだぞ?
ライク・ツーさっきから向こうは容赦なく撃ってきてる。
蜂の巣にされるのがオチだ。
ジョージでも……!
あいつの傷を治してシャルルを解放するのが、
一番手っ取り早い方法だろ!?
十手……ちょっと待ってくれ!
俺に、手がある。
ジョージ本当か!?
十手何かの役に立てばと、煙玉を持ってきてるんだ。
こいつを使えば煙幕が張れて、
目くらましになる!
ライク・ツーへぇ。たまには役に立つじゃねぇか。
ジョージよし! 十手のおっさん、やってくれ!

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