目 次

    第7話:疑惑の銃

    シャスポー……いた! 〇〇!!
    ケンタッキー大丈夫っすか、マスター!!
    主人公【大丈夫だけど……】
    【どうしたの、みんな】
    マークスマスターを訪ねてきたヤツが、
    トルレ・シャフの手先だったって聞いたんだ!
    大丈夫か? 何もされてないか!?
    主人公【大丈夫】
    【無事だよ】
    シャスポーよかった……。
    ほら、〇〇、こっちに来て。
    シャスポー僕たちは……ライク・ツー。
    君に、聞かなきゃいけないことがあるんだ。

    シャスポーに腕を引かれ、〇〇は
    彼やマークス、ケンタッキーがいる方へと移動する。

    マークスライク・ツー……あんた、
    街でトルレ・シャフのUL85A1に声をかけられたらしいな。
    マークスそれで、ラッセルが連れてったおっさんは、
    あんたが──マスターの親友が持ってた銃は、
    世界帝のものだったはずだって言ってた。
    シャスポーこれは、ただの偶然なのか?
    1日のうちに、君にまつわる不穏な出来事が連続しているのに、
    僕はただの偶然だと楽観視して片付けることはできない。
    主人公【……どういうこと?】
    【街で何があったの?】
    シャスポーライク・ツーの兄……
    ラブ・ワンだと名乗るやつが接触してきたんだ。
    そしてそいつは、トルレ・シャフの貴銃士だと言っていた。
    シャスポーライク・ツーは……そいつはただの不審者で、
    きっと貴銃士でもなんでもないと言うから、
    僕も一度は納得して士官学校に帰ってきたんだけど……。
    ケンタッキーあのおっさんは明らかに様子がヘンっすけど、
    全部が全部妄想で片付けていいのかって言われると……。
    だから、はっきりさせようぜ、ライク・ツー。
    ケンタッキーお前は……あいつらの話に、心当たりあるのか?
    嘘はナシだ。本当のこと、話せよ。
    ライク・ツー…………。
    ライク・ツー知らねぇよ、俺は。
    あんな不審者も、ヴィヴィアンの親父のわけわかんねぇ話も。
    ライク・ツー不審者の方は何が目的かわかんねぇけど、
    デレクの方は完全にイッちまってる感じだっただろ。
    ライク・ツー俺が「ライク・ツー」って名乗ってるから、
    世界帝軍にいたやつとごっちゃになって、
    意味不明な妄想でも始めたんだろ。
    ライク・ツー……俺がこの名前を名乗ったのは、
    のこのこ近づいてきたトルレ・シャフを
    ボッコボコにして捕まえるためだ。
    ライク・ツーハッ……そういう意味じゃあ、
    デレクは作戦大成功だな。
    シャスポー……?
    彼についてはそうかもしれない。
    けどそれなら、ラブ・ワンを名乗るやつはなんで放っておいた?
    ライク・ツー……!
    ライク・ツーいや、それは……俺はUL85A1が貴銃士になったら
    どんなやつなのか知らねぇし……。
    ライク・ツーあいつがそうなのか?って一瞬信じたのに、
    トルレ・シャフとかいきなり言い出すから、
    悪趣味ないたずらで……相手にするだけ無駄だと思って……。
    ケンタッキー(こいつがこんなに歯切れ悪ィの、珍しいな……。
    それに……スナイパーの勘が、何かに引っかかってる)
    マークス……あんたは、ムカつくくらい冷静で、
    やべぇ状況でも素早く合理的な判断をする。
    それは……俺も認めてる。
    マークスそのあんたが、街中で不審者に会ったくらいで、
    最善なのか微妙な行動を取ったのが……。
    このへんのパーツが歪んだみてぇに、しっくりこない。

    マークスは落ち着かない様子で、
    喉のあたりをさする。

    ケンタッキー……そうか。俺の違和感もそれだ。
    ライク・ツーはっ……なんだよそれ。
    俺だって、動転することくらいあるっての……。
    ライク・ツーつーか……くだらねぇ言いがかりばっかでうぜぇ。
    俺は寮に戻るから。じゃあな。
    シャスポーあっ……おい!
    ケンタッキーあいつ……なんかおかしくないっすか?
    マスター……。
    主人公【(ライク・ツーは、何かを隠してる……?)】
    【(ライク・ツーのことは信じてるけど……)】

    ライク・ツーを追いかけられたはずなのに、
    〇〇の足は動いてくれなかった。

    マークスマスター……俺たちも寮に戻ろう。
    ケンタッキーお墓、マスターの大事なダチのなんっすよね。
    俺とこいつで綺麗にしときますんで。
    シャスポー死者の安寧のためにも、きちんと整えるから……
    君は安心して、少しでも休んで。
    いろいろあって疲れただろうから。
    主人公【……ありがとう】
    【……ヴィヴィアンをお願い】

    ──数時間後。

    ラッセル〇〇君、呼び出してすまないね。
    あんなことがあったあとで……君も気になっているだろうから、
    リントンロッジ氏についての現状を共有しようと思う。
    ラッセル彼の身柄は拘束して、連合軍イギリス支部に引き渡した。
    彼が口走っていたことについて、どこまでが本当なのか……。
    ラッセルヴィヴィアン君のこともあって半分錯乱したような状態だから、
    信憑性については慎重に精査する必要があるが……
    兎にも角にも、聴取をしなければいけないからね。
    ラッセルそれで……彼の話について、
    ライク・ツーは何か言っていたかい?
    主人公【嘘だと言っていました】
    【デレク氏の妄想だと……】
    ラッセル……そうか。私としてもそうであってほしいが……
    街で接触してきたという自称ラブ・ワンの件もあるし、
    ライク・ツーの周辺がどうもきな臭い。
    ラッセル彼の名前に反応したトルレ・シャフが、
    何かを画策している可能性もある。
    君も、十分に注意してくれ。
    主人公【わかりました】
    【気をつけます】
    ラッセルしかし……はぁ。大変な1日だったね。
    まさか、リントンロッジ氏の来訪からこんなことになるとは。
    主人公【ヴィヴィアンの父があんな人だったとは……】
    【なんでお墓にあんなことができるんでしょう】

    〇〇は、困惑を吐き出すように、
    ぽつりぽつりと話し始めた。

    記憶にある〇〇の両親は、
    多少美化してしまっているかもしれないけれど、
    優しく、愛情を注いでくれていたように思うこと。

    世界帝軍がやってきた時も、
    真っ先に〇〇を隠してくれた。
    そうして──2人は見つかり、処刑されたこと。

    主人公【彼は、銃の方が気になっているみたいでした】
    【娘より世界帝崇拝の方が大事なんでしょうか】

    明るく、優しくて、負けず嫌いで、努力家。
    そんなヴィヴィアンの父があんな人だとは信じられないと、
    〇〇は呟く。

    ラッセル…………。
    生物学的な父親になら、誰でもなれる。
    父親としての資質や資格、覚悟がなくても。
    ラッセル…………。
    ラッセル……君のご両親は、立派な人たちだったんだね。
    君を見ていればわかるさ。間違いない。
    ラッセルただ、残念なことに、
    世の中のすべての親が子供思いで善人というわけではない……。
    ラッセル……俺の、父親のように……。
    ラッセル……さ、この話はおしまいだ。
    寮に戻ってゆっくりやすみなさい。

    第8話:貴銃士クラスへの転入生

    ──翌日。

    恭遠……えっ!?
    では、昨日貴銃士たちが見たというのは……。
    ラッセルええ、本人だったのでしょうね。
    急な受け入れ要請で、恭遠審議官には申し訳ない……。
    ご苦労をおかけします。
    恭遠いえいえ、気にしないでください。
    貴銃士特別クラスの教官として呼ばれている以上当然の仕事です。
    それに、任務周りを担当するラッセル教官こそ大変でしょう。
    ラッセルはは……お気遣い痛み入ります。
    では、“彼”のこともよろしくお願いします。

    恭遠みんな、席についてくれ。
    今日は、みんなに紹介したい人たちがいるんだ。
    ジョージOh……?
    その言い方って……恭遠、まさかケッコンするのか!?
    十手おお……!
    俺たちにも紹介してくれるなんて、嬉しいなぁ!
    恭遠ハハ……違うぞ。
    クラスで朝に「紹介」といえば、転入生だ。
    ケンタッキー転入生?
    このクラスにってことは、貴銃士ッスよね。
    恭遠ああ、もちろん。
    早速紹介しよう。
    ……2人とも、どうぞ。
    ???やっほ~~★
    一同……!!
    ラブ・ワンおいらはラブ・ワン。
    UL85A1の貴銃士だよーん★
    んで、ライたんのお兄ちゃん。よろしくゥ!
    ライク・ツーは……?
    マークスライ……たん……?
    ライク・ツー………………。
    シャスポー……っていうか、君!
    昨日、トルレ・シャフの貴銃士を名乗ってた不審者だろう!?
    ラブ・ワンええっ、おいらそんな風に思われたわけ!?
    ショックー!!
    ラブ・ワントルレ・シャフの貴銃士なんて、
    連合軍ジョークに決まってんじゃーん?
    ラブ・ワン真に受けるとか……ぷぷっ、ピュアすぎてかわウィ~!
    フゥ~~~!
    シャスポーなっ……!
    十手ええっと……混乱しているんだが、君は不審者じゃなくて
    本当にライク・ツー君のお兄さんで、トルレ・シャフではなく、
    連合軍の貴銃士……で合っているかい?
    ラブ・ワンそっ。そゆことお★
    ラブ・ワンんで、こっちがおいらのマスター。
    エヴァちんだよん。
    エヴァンズあー……ゴホン。
    私はハドソン・エヴァンズ。
    専門は国際法で、他の士官学校で教鞭をとっていた。
    ジョージんっ!? この先生見たことある!
    タバティエール……確か、ブレイブ・マスケッターズ・デーのときに、
    作法の講師をされてた……?
    エヴァンズその通り。その節は、様々な……様々な苦労があったが、
    式典は無事成功した。
    シャスポー苦労……主に女王を口説こうとする奴とか、
    勝手に戦いに行こうとする奴の世話だな。
    エヴァンズゴホン!
    そこでの働きが評価されたこともあり……。
    エヴァンズ昨今のアウトレイジャーによる被害拡大を受け、
    連合軍所属のマスターを試験的に増やすことになり、
    私が適任であるとして選ばれたのだ。
    エヴァンズ諸君も既に気づいているだろうが、
    貴銃士を絶対高貴に導くことは容易ではない。
    マスターの資質による部分も大きい可能性が出てきた。
    エヴァンズよって、〇〇君と連携しやすく、
    貴銃士に詳しい恭遠審議官もいらっしゃる本校に赴任したのだ。
    ファル……なるほど。
    傷が悪化しても、フィルクレヴァートにいれば、
    〇〇さんの貴銃士に治してもらえて便利だと。
    エヴァンズ……連合軍の思惑としては、そういうことだ。
    とはいえ、私自身貴銃士には並々ならぬ思いを抱いている。
    きっかけは、そう──革命戦争時代のことで……。

    エヴァンズは、革命戦争時代、
    レジスタンスに助けられた思い出などをとうとうと語るが、
    貴銃士たちは早々に飽きてラブ・ワンの方へ注意を向ける。

    ジョージおまえ、マジでライク・ツーの兄ちゃんだったんだな!
    トルレ・シャフの貴銃士とか言うからびっくりしたぜ。
    ラブ・ワンいやぁ~、メンゴメンゴ☆
    わざわざライク・ツーを名乗るってことは、世界帝軍意識っしょ?
    だから、そこは乗っといた方がいっかなーと思ってさぁ。
    ラブ・ワンそしたらライたん、マジでドン引きすんだもん。
    おいら傷ついちった~!
    ライク・ツー…………。
    はぁ……悪かったな。
    自分の兄銃がこんなヤツだって信じたくなかったもんで。
    ラブ・ワンわぁお、弟が辛辣ゥ!だがそこもいい☆
    シャスポーなんというか……すまなかった、ライク・ツー。
    兄弟銃がこんな感じとは……同情するよ。
    ライク・ツー……ああ。
    エヴァンズ──私は途方に暮れていた。その時、とある村で
    援助を受けることができて──そこで出会ったのが、かの──
    エンフィールドラブ・ワンさん。はじめまして、僕はエンフィールドです!
    僕はイギリス生まれの銃、そして士官学校生活の先輩ですから、
    わからないことがあれば遠慮なく聞いてくださいね。
    ラブ・ワンThank you~!
    頼りにさせてもらうよん★
    エヴァンズ……ゴホン!
    君たち、私語は慎みなさい!
    上官の話を聞かないとは、何事か!
    エヴァンズまったく……。
    〇〇候補生は一体どんな統率をしているんだか。
    私が一から叩きなおさねばなるまいな!
    マークスマスターは、すごい統率をしている!
    ケンタッキーおう。こんだけたくさんの貴銃士をまとめてんだぞ!
    なんか文句あんなら言ってみろや!
    エヴァンズ……はぁ。
    では、恭遠審議官。あとはよろしくお願いします。
    恭遠ええ。
    恭遠それじゃあ、ラブ・ワンの席を決めようか。
    どこか希望はあるかい?
    ラブ・ワンおいらはやっぱり、ライたんの横希望★
    消しゴム借りたりとか、
    教科書見せ合いっことか、してみたいよね~ん☆
    ライク・ツーはぁ?  助けねぇから、自分でなんとかしろよ。
    ……つーか、こいつが隣とか、授業中うるさそうだし却下。
    ラブ・ワン却下を却下~!! フゥ~~!!
    ライク・ツーうっぜぇ……。
    恭遠はは、早速打ち解けてくれたようでよかったよ。
    それじゃあ、当面はライク・ツーの隣の席を使ってくれ。
    ラブ・ワンフゥ! 了解★

    第9話:ラブ・ワンのいる日常

    ──ラブ・ワンが加わった貴銃士特別クラスで、 早速授業が始まった。

    恭遠では、教科書の102ページを開いてくれ。
    ラブ・ワンはーい、はいはーい!
    恭遠ん? どうしたんだ、ラブ・ワン。
    ラブ・ワンえ?  授業ってこうやって手挙げるんでしょ?
    おいらばっちり予習してきたよん★
    ライク・ツーはぁ……用もねぇのに手挙げるなっての。
    大人しくしとけよ。
    ジョージでも、Niceな挙手だったぜ!
    十手うんうん。
    授業に積極的に参加しようとする姿勢は素晴らしいと思うよ!
    ライク・ツーおい、てめぇら……甘やかすな!

    恭遠──さて、ここまでの公式をつかって、
    発展問題を解いてみよう。
    グラース…………ぐぅ。
    シャスポー……おい、起きろ、グラース!
    次の板書は君の番だろう……!
    グラースんん……?
    恭遠そろそろ解けただろうか。
    では、グラース。数式と答えを書いてくれ。
    恭遠……グラース?
    グラースえっと……パスだ、パス!
    僕にはもう魅力が多すぎるからな。
    計算までできたら完璧すぎて大変だろ?
    ラブ・ワンははっ、面白いこと言うじゃーん。
    んじゃ、代わりにおいらが解いてあげよっかな★
    マークスあんたがか?
    ……あんたは、ライク・ツーとは違って、
    頭のパーツが足りてない感じがするが……。
    ラブ・ワンちょちょっ……!
    まっすぐな目で言われるとグサッと来ちゃうんだけど!?
    ラブ・ワンま、見てなって★

    ラブ・ワンは黒板前に進み出ると、
    無駄のない計算式を迷いなく書き、答えを導き出した。

    恭遠おお……すごいな。正解だ!
    ケンタッキー……マジかよ。
    ひねってあって結構難しい問題なのに……意外とやるな。
    ラブ・ワンフゥ!  おいらってば、もしかして天才?!?
    カトラリー(僕、割と真面目に聞いててわからなかったのに……
    馬鹿なくせに微妙に賢いなんて、ムカつくやつ……!)

    恭遠午前最後の授業は家庭科だ。カレーを作るぞ。
    今日のみんなの昼食になるから、
    各班でこだわって美味しい一品を作ってみてくれ。
    ラブ・ワンほぇ~、士官学校ってお料理も授業でやっちゃうの!
    よぉーし、テンションぶち上げてぇ、
    おいら特製ジャムジャムボンバーカレー作っちゃうよ?ん!
    ライク・ツーはぁ……。余計なことすんなよ、マジで。
    エンフィールドだ、大丈夫でしょうか……。
    エンフィールド……って、スナイダーがいない!
    マークス俺は……マスターが作ったカレーが食べたいのに……。
    スプリングフィールドイギリス班のみなさん、大丈夫でしょうか……。
    ケンタッキーあいつらにまとまりがないのはいつものことだし、平気だって。
    俺らは俺らで、激ウマなカレー作ろうぜ!
    ジョージおーっ!
    ペンシルヴァニアそれじゃあ……俺は、鹿肉のストックを持ってこよう。

    ラブ・ワンじゃっじゃーん!
    ジャムジャムボンバー★スターライトカレー完成!
    ライク・ツーなんでもいいからとっとと食おうぜ。
    マークスんん……! 舌を攻撃してこない……。
    安全で美味しい方のカレーだ……!
    エンフィールドええ!  甘口ですし、この可愛らしい人参……!
    子供たちも喜んで食べそうな優しいカレーですね。
    タバティエールどうなることかと思ってたが、
    あっちもちゃんと美味しくできたみたいだな。
    シャルルヴィルうん、なんかホッとしたよ……。
    でも、人参が可愛いってどういうことなんだろう……?
    ケンタッキー……うおっ、すげぇ……。
    なんだこのイカした人参……!
    スプリングフィールドきれいな星型ですね……!
    ラブ・ワンセンキュー!
    ブチ上がるカレーってことでぇ、おいらのこだわり★
    初めてにしちゃ、なかなか上手く切れてるっしょ?
    ケンタッキーこれで初めてぇ!?
    お前、手先器用なんだな。見直したぜ……。

    ──放課後。

    ジーグブルート……うっそだろ……!
    エルメおや……今のはジグの声かな。
    また揉め事じゃないだろうね。
    ドライゼまったく、あいつは……行くぞ、エルメ。
    ドライゼおい、ジーグブルー……ト……?

    談話室に踏み込んだドライゼとエルメが目にしたのは、
    オセロ対戦中の〇〇とラブ・ワンだった。

    ジーグブルートなんだよ。
    てめぇらもあいつと一戦交えに来たのか?
    ジーグブルートなら、覚悟しろ。
    ……あいつは相当手強いぞ。
    今のところ全戦全勝だ。
    ラブ・ワンあっ、そうだ!
    せっかくだしさぁ、〇〇っぴ。
    “罰ゲーム”してみない?
    マークス……おい、マスターに何をさせるつもりだ!
    主人公【自分が負ける前提!?】
    【まだ負けが決まったわけでは……】
    ラブ・ワン危ないことはさせないって★
    そうだな……一曲披露するとかどう?
    主人公【Deal!】
    【それでいいよ】

    ──その後、粘った〇〇だったが、
    勝負はラブ・ワンの勝利で幕を下ろした。

    主人公【……では、校歌を……】
    エンフィールドだ、大丈夫ですか? 〇〇さん。
    僕も一緒に歌いますね……!
    マークス校歌は知らないが、マスターが歌うなら俺も歌うぞ!
    ジョージ知らない曲をどうやって歌うんだよ、マークス……!?

    ちぐはぐな校歌の合唱が始まる。
    1日であっという間に馴染んだラブ・ワンを、
    ライク・ツーは少し離れたところから見ていた。

    ライク・ツー(言ってた通り、トルレ・シャフってのはただの冗談で、
    別の個体なのか……?)
    ライク・ツー(あんなことを言ってきたのが連合軍の指令だとしたら、
    連合軍が俺のことを怪しんでる可能性もある。
    だが、あいつの独断なら……?)
    ライク・ツー(待てよ、行方不明の銃を連合軍が召銃できるはずねぇよな。
    ……いや、でも……記録上は行方不明で処理していたなら……?
    クソッ……何もわからねぇ……)

    第10話:正体を暴け

    ──ラブ・ワンが士官学校に来てからしばらく経ったある日。

    恭遠次の時間は射撃訓練だ。
    すまないが、俺は連合本部との会議があって、
    最初の20分ほど立ち会えない。
    恭遠その間の監督はドライゼに頼むから、
    みんな、彼の指示をよく聞いて、安全第一で訓練をしてくれ。
    シャスポーちょっと待った。
    なんでドライゼが監督なんだい?
    エルメおや、わからない?
    ドライゼは連合軍ドイツ支部で特別司令官の役職を得ている。
    エルメ連合軍の施設であるここで、
    貴銃士の中で誰か1人が恭遠審議官の代理を務めるとしたら、
    ドライゼが適任でしょ。
    恭遠ああ。
    それに、君たち貴銃士の監督は、教官職の人たちからすると
    なかなか荷が重いらしくてね……。
    恭遠ドライゼなら公平かつ遠慮なく、みんなにストップをかけられる。
    そういうわけで、協力を頼むよ。
    シャスポーはぁ……まあ、理にはかなっているし、わかったよ。

    ラブ・ワンんで、射撃訓練ってどんなことしてるわけ?
    エンフィールドその時々によって違いますね。
    全員で同じ課題に取り組んだり、
    それぞれの銃の特性に合わせたメニューにしたり……。
    ラブ・ワンなるほどなるほど。
    ドラらん、今日のおすすめメニューは~?
    ドライゼ……その奇っ怪な呼称はよもや、俺を指しているのか……?
    ラブ・ワンそだよーん★
    あ、もしかしてドラピの方がよかったカンジ?
    おいら的にはドラちんもあり!
    ドライゼドライゼと呼ぶ選択肢はないのか……。
    ……とにかく、訓練だな。
    ドライゼそれぞれに課題として認識しているものがあるだろう。
    その克服へ向けて必要だと思う内容を行うように。
    自ら考え、行動するのもまた立派な訓練だ。
    ラブ・ワンオッケェェェイ!!
    んじゃ、俺は……連射連射~!

    ラブ・ワンは的を目掛けて連射を始めた。
    しばらくは銃声がリズムよく響いていたが……。

    ラブ・ワンアウチッ!
    ヘイヘイ、My Gun!? このタイミングでジャムるぅ!?
    十手じゃむ……時々マークス君も言っているね。
    銃に何か起きたのかい?
    ラブ・ワン十手丸ざむらい~! おいらの銃さ、排莢不良
    起こしやすいんだよねぇ。ほら、空薬莢が薬室に弾き戻されて……
    ふんっ! あー、だめだ、全然取れなーい!
    ラブ・ワン工場送りはカンベンだってのに……フゥ! 参ったぜ。
    ライク・ツー……貸してみろ。
    ラブ・ワンおおっ、ライたんが取ってくれんの?
    ライク・ツー取れるかは知らねーけど。
    だめだったら即工場送りな。

    ライク・ツーは、ラブ・ワンの銃を受け取ると、
    詰まってしまった空薬莢の状態を確認する。

    ライク・ツー(……! この銃……)
    ライク・ツー……フンッ! ほら、取れたぞ。
    ラブ・ワンワァオ! ライたん爆裂かっちょうぃ~!!
    フゥ~~~!!
    ライク・ツー……ウザ。
    ライク・ツー…………。

    ──その日の夕方。
    ラブ・ワンが談話室でババ抜きに興じているのを確認し、
    ライク・ツーは彼が使っている部屋へと密かに入る。

    ライク・ツー(銃はどこだ……?)

    机やベッドの上には、ガンケースは見当たらない。

    ライク・ツー(意外と、鍵付きロッカーにちゃんと入れてたりするかもな。
    鍵がなかったらどうするか……)

    ライク・ツーがロッカーへと手を伸ばした時だった。

    ラブ・ワンあっれー? ライたん、いらっしゃい★
    ライク・ツー……!!
    ライク・ツーあー、勝手に入って悪ィ。
    トイレかどっかならすぐ戻るかと思って、中で待ってた。
    ラブ・ワンOK、全然気にしてないよん★
    あ、そうだ。タバちんからソイバーってお菓子?もらったんだ。
    一緒に食べようぜ~。

    ラブ・ワンがコーヒーを淹れ、
    2人だけのコーヒーブレイクが始まった。

    ライク・ツー……意外と美味い。
    ラブ・ワンでっしょ~?
    おいらはコーヒーの違いがわかる貴銃士だからね★
    ラブ・ワンところでさ、ライたんはいつトルレ・シャフに来るの?
    ライク・ツー……っ、ゲホッ。
    ライク・ツーは、はぁ……?
    そのクソつまらねぇ連合軍ジョークはもういい。
    ラブ・ワンライたんこそ。
    “違うライたん”のフリ、俺相手に通じると思ってるわけ?
    もういいよ。
    ラブ・ワンはぐらかさないで、逃げないで。ちゃんと話そうぜ、ライたん。
    ……ライたんも、気づいてるんだろ?
    俺が“本物”だって。
    ライク・ツー……!
    ライク・ツー(こいつが、本物……?
    でも、こいつの銃は──……)
    ラブ・ワン俺、すぐにわかったよ。
    ライたんは、あのライたんだってね。
    ラブ・ワントルレ・シャフが持ってたUL85A2が違うってことも、
    俺は一目見ればわかった。
    ラブ・ワントルレ・シャフの奴らは、ライたんが目覚めないのは、
    罰を恐れてるからだ~とか喚いてたけど、
    的外れもいいとこだよね。
    ラブ・ワンだって、世界帝に呼び覚まされてたUL85A2──
    世界帝軍特別幹部のライク♥ツーは、
    こんなところにいるんだもん。

     

    第11話:ラブ・ワンの思惑

    ライク・ツーは……お前、意味わかんねぇことばっかり──……
    ラブ・ワンえ、まだ続ける? その設定。
    俺もう飽きちゃったからいいよ。
    ラブ・ワンはぁ~あ、「おいら」は悲しいっ!
    ライたんはどうしてここにいるわけ?
    何がしたいの?
    ラブ・ワンおいらはね、あの頃みたいに愉快にやりたいのさ。
    でもほら、おいらジャムっちゃうのがチャームポイントだし?
    やっぱライたんが一緒じゃないとダメっていうか★
    ラブ・ワンだから……ライたんもトルレ・シャフにおいでよ。
    また一緒に、楽しくやろうぜ。
    ライク・ツー意味わかんねぇって言ってんだろ。
    お前は連合軍のエヴァンズに呼び覚まされたんだろうが。
    それがトルレ・シャフの?って、吐くならもっとマシな嘘にしろ。
    ライク・ツー全っ然話の筋が通ってねぇっての。
    連合軍がヴィヴィアンの親父の噂か何か聞きつけて、
    俺に一応探り入れようとでも思ったのか?
    ライク・ツー(そうだ。だって、こいつは本物じゃない……!)

    ラブ・ワンおおっ、ライたんが取ってくれんの?
    ライク・ツー取れるかは知らねーけど。
    だめだったら即工場送りな。
    ライク・ツー(……! この銃……)

    ライク・ツー(あの銃は、違う……!
    戦場で使用されていた形跡がない、新品だった……!)
    ラブ・ワンあー、やっぱ、おいらがエヴァちんと一緒にここに来たから
    混乱しちゃってる?
    ラブ・ワンいや~、おいらも正直よくわかんない部分が多いんだけどさ。
    イギリス支部で貴銃士召銃しよー★ってなって、
    いろいろ試した中においらも混ざってたみたい。
    ラブ・ワンそっからして、トルレ・シャフか世界帝信奉者の仕業だろうね。
    んで、召銃されて割とすぐ、トルレ・シャフが接触してきてさ。
    あの人──世界帝のところに連れて行かれたってわけ。
    ライク・ツー……元世界帝は、処刑されただろ。
    ラブ・ワンえ? 生きてたよ? 元気ピンピン★
    おいらたちが知ってる頃より、今の方が元気なくらい。
    ライク・ツー…………。
    ラブ・ワンあっちにはアイちんにエフちん、モーゼルもいる。
    あの人は、また世界を支配するために準備してるんだ。
    おいらも、その手伝いのために呼ばれたっぽいよん★
    ラブ・ワントルレ・シャフではライたんを召銃しようとしてたみたいだけど、
    反応ナシで困っててさぁ、
    その時ついでにおいらが銃を見ることになったんだよね。
    ラブ・ワンそしたらあらビックリ!
    あいつらがライたんだって言う銃、ライたんじゃないんだもん。
    ラブ・ワン献上してきたヴィヴィパパを問い詰めたら、
    『娘だ! 娘が盗んだに違いない!』とか言い始めてさ?。
    ラブ・ワンまあ確かに? ヴィヴィっぴが死んだのと同じ頃、
    親友の〇〇ちんがUL85A2を召銃してるし、
    まったくありえない話でもないかってなったわけ。
    ラブ・ワン会いに行ってみたらビンゴ!
    いやぁ、おいらあの時、最高にテンションブチ上がったよん★
    ライク・ツー(……ヴィヴィアンの親父のことを聞いて
    辻褄を合わせた話をしてるのかもしれねぇけど……)
    ライク・ツー(今になって血相を変えて士官学校に乗り込んできたあたり、
    信憑性は高い、か……)
    ラブ・ワンライたんがライたんだってわかったから、
    早く士官学校に行きたいっ!って言っておいら参上フゥ!
    そんなこんなで今に至りまーす。
    ラブ・ワンこんな感じでわかった?
    ライク・ツー…………。
    お前の主張は、とりあえず理解した。
    ラブ・ワンオッケェェイ!
    ……っていうか、わかんないのはこっちもだよ。
    ライたんは連合軍をスパイしてるってことでOK?
    ライク・ツーだからなんでそうなるんだよ。
    ラブ・ワンライたんのことだから、
    ここにいるのには何か理由とか目的があるんだよね?
    ライク・ツーあったとして、それをお前に言う必要があるか?
    ラブ・ワンワォ、ドライッ!!
    ラブ・ワンライたん、昔の優しかったライたんと違いすぎるよぉ~……。
    おいら泣いちゃうっ! ぴえーんっ。
    ライク・ツーだから別人だっつーの!
    ラブ・ワンまあいいや。
    ライたんガード硬すぎるし、おいらが先に情報あげちゃう。
    ……トルレ・シャフは、秘密の最終兵器を持ってるんだよ。
    ライク・ツー最終兵器……?
    ミルラとかいうやつか?
    ラブ・ワンノンノン。あれはもう時代にそぐわないっしょ?
    詳しくは内緒だけど、ここだけの話……
    親世界帝派が勢力を拡大してるのにも、大きく関わってる。
    ラブ・ワンライたんの目的も、秘密兵器があれば簡単に叶うかもよ?
    こうやって、本当のことを隠して、
    慣れない場所で孤独に頑張るよりも簡単な近道がある。
    ラブ・ワンライたんがやりたいことはなに?
    それを達成するために、ここにいるのとおいらと来るの、
    どっちが合理的で効率がいいと思う?
    ライク・ツー…………。
    ケンタッキー──おーい、ラブ・ワン! いるか?
    ラブ・ワンお、タッキーだ。 いるよーん!
    ケンタッキーよっ! ……って、ライク・ツーもいたのか。
    ラブ・ワン、ちょっとグラウンド行こうぜ!
    ラブ・ワンオッケーイ★
    ってわけで行ってくるね、ライたん。
    ライク・ツー……おう。さっさと行け。
    ラブ・ワン……あ、そうそう。
    おいらの銃はロッカーの中だよ。
    メンテは大歓迎だからね、ラブ♥ツーたん!
    ライク・ツー……っ!!
    ラブ・ワンじゃあね~。

    第12話:それぞれの思い

    スプリングフィールドこんなことをして……怒られないでしょうか……。
    ペンシルヴァニア……大丈夫なんじゃないか?
    脱がすのはよくないかもしれないが、着せているだけだ。
    むしろ……いいことかもしれない。
    スプリングフィールドそうですかね……?
    ジョージお、来た来た!
    おーい、ケンタッキー、ラブ・ワン!
    ラブ・ワンやっほー★ 何してんの?
    エヴァンズ恭遠審議官。
    貴銃士特別クラスは問題ないでしょうか。
    エヴァンズ特に……ラブ・ワンがご迷惑をおかけしていないかと心配で。
    軽薄で騒々しいですし……。
    恭遠ラブ・ワンは、ご覧の通りすっかり馴染んでいますよ。
    迷惑だなんて、まさか!
    恭遠彼は賑やかですが、暴力行為などもありませんし、
    頭の回転が早くて、さすがライク・ツーの兄だなと思わされます。
    問題なく優秀な成績を収められるでしょう。
    恭遠〇〇君の貴銃士たちにとっても、
    士官学校で他のマスターの貴銃士と交流する機会は貴重ですし、
    いい経験になっているのではないかと思いますよ。
    恭遠〇〇君の手応えとしてはどうだろう?
    主人公【仲良くしてくれてありがたいです】
    【みんな楽しそうで何よりです】
    恭遠ああ、本当だな。
    エヴァンズしかし、〇〇君の貴銃士もラブ・ワンも、
    英雄である貴銃士としてどうかと思うような行動も
    ままありますな。
    恭遠そうでしょうか?
    エヴァンズ今だって、あそこでこそこそと何をしようとしているんだ──
    エヴァンズああああっ!! な、なんという……!

    エヴァンズが悲鳴じみた声を上げつつ指さした先には、
    彫刻や銅像に派手な服を着せて遊ぶ貴銃士たちの姿があった。

    ラブ・ワンフゥ~~~!! 最高にオシャじゃん!?
    ナイスゥー、タッキー★
    ケンタッキーお前のセンスもなかなかイカしてんな!
    ま、花火柄着こなすヤツだし、俺が見込んだ通りだぜ!
    エヴァンズなっ、何をしているんだ、君たち!!
    神聖なる初代学長の像に、おかしな服を着せるとは!!
    ラッセル悲鳴が聞こえましたが、何か……って、なんだ、あれは……。

    騒ぎを聞きつけてやってきたラッセルも加わり、
    4人は貴銃士たちを止めに入った。

    ラッセルこっちのは古代ギリシャの有名な彫刻のレプリカだ。
    服はいらないだろう……!?
    ペンシルヴァニアだが、全裸のままというのも……
    像とはいえ、どうなのかと思ってな。
    ラブ・ワン彩りも鮮やかになっていーじゃん?
    ケンタッキーついでにさ、像に名前つけようぜ!
    これから新作お披露目のマネキンになってもらうわけだしな。
    ラブ・ワンおっ、それいいねぇ。
    エヴァンズな、なんたる不躾な……っ!
    まったく……常識がないにもほどがある!
    なんと嘆かわしい……。
    主人公【貴銃士は発想が自由でユニークなだけです】
    【人の常識に囚われないのも彼らの良さかと】

    〇〇は、驚くことも度々あったけれど、
    彼らのまっすぐな思いや言葉、行動に、
    何度も力をもらったことを伝えた。


    マークス俺は、どんなことがあろうとマスターを守る。
    マスターの敵はすべて、俺が撃ち抜いてやる。
    マークスいや……、むやみに狙撃をするという意味じゃない。
    マスターが命じた奴だけだ。
    ただ、その……とにかく……だから!
    マークス……マスターの、力になりたいんだ。

    ライク・ツー 誰にでも曲げられないことはあるし……
    どうしても、何かを貫かなきゃなんねぇ時もある。
    ライク・ツー今回は、ダンローって奴に会いに行くのが、
    お前にとっての曲げられないことだったんだろ。
    ライク・ツーこの場には俺しかいねぇし、
    ここまで来させられたからには、
    最後まで付き合ってやるよ。仕方なくな!

    ジョージ絶対高貴、いつかなれるように努力する。
    必ず、なってみせる。
    ジョージオレはさ、
    マスターみたいに苦しんでいる人を助けたいんだ!
    ジョージその日が来るまで……
    いや、絶対高貴になったそのあとも、
    マスターに忠誠を誓うよ。

    十手〇〇君……。
    俺は……俺の正義を信じてみる。
    十手君が俺を信じてくれたように、
    俺も自分を信じて、足掻き続けてみるよ。
    十手だから……俺の歩みを、君に見届けてほしい!

    貴銃士たちは人の肉体を得てまだまもなく、
    迷ったり悩んだりすることも多い……。

    そのため、いろんなことを間違いもするけれど、
    〇〇は何度も助けられていて、
    彼らを信頼していることを、エヴァンズに伝える。

    ラッセル〇〇君……立派なマスターの顔になっているね。
    エヴァンズふむ……統率力に未熟なところがあれど、
    多くの貴銃士を召銃し、さらには絶対高貴に導いているだけある。
    彼らと信頼関係は十分に築けているのだな。
    エヴァンズしかし……絶対高貴……正真正銘の、奇跡の力。
    あの力を持つ古銃の貴銃士はやはり、格が違うのでしょうな。
    私も早く召銃したいものだ……。
    主人公【(……古銃にこだわりが……?)】
    【(でも、絶対高貴は……)】

    本物のアリノミウム結晶がとてつもなく危険である可能性から、
    エヴァンズが触れたのは人工結晶だろう。
    これまでの推測通りなら、古銃を召銃しても絶対高貴に導けない。

    気になった〇〇は、
    ラッセルへ密かに尋ねることにした。

    主人公【……今後も召銃の予定があるんですか?】
    【……古銃の召銃も検討しているんですか?】
    ラッセル…………。

    ラッセルは、訓練場の方を見つめてぼうっとしている。

    主人公【ラッセル教官?】
    ラッセル……っ、ああ、すまない。
    懐かしい名前が聞こえたもので……少しぼんやりしていた。
    主人公【懐かしい名前……?】
    【昔のご友人とかですか?】
    ラッセルいや……妹だ。
    ……もう、ずいぶん昔に死んでしまったけれど……。
    ラッセル…………。
    ラッセル……ええと、連合軍の召銃の予定だったか。
    そうだな……まだ具体的ではないが、
    君の報告を踏まえて慎重に、現代銃を中心にして──
    ライク・ツー…………。
    主人公【(ライク・ツー……?)】

    彫刻や銅像を前に盛り上がっている一団には目もくれず、
    うつむいて、どこかへ足早に向かうライク・ツー。
    その様子が気になり、〇〇の視線は彼を追う。

    主人公【(この間は言えなかった気持ちを伝えよう)】
    【(信頼してるって、ちゃんと言わないと)】

    コメントを書き込む


    Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

    まだコメントがありません。

    ×