日本編Ⅰ:第11話~第15話

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第11話:歌舞妓町自治区へGO!

十手そういえば……
八九君たちに聞きたいことがあったんだった。
十手日本ではまだ、アウトレイジャーの出没が
報告されていないようなんだが……
それは本当なのかい?
八九アウトレイジャー?
ああ……海外で被害が出てるらしいことは知ってるが、
俺は見たことねぇな。
八九自衛軍が把握してないってことは、
実際、被害も出てねぇんだろ。
十手となるとやはり、日本にはまだ、
アウトレイジャーがいないと考えるべきか……。
主人公【帰ったら報告しないと】
【半鎖国政策のおかげかな】
十手そうだな……。
八九……お、見えてきたぜ、
あの門の先が歌舞妓町自治区だ。
十手いよいよか……!
しかし、この辺りは、あまり江戸の感じはしないな。
八九江戸風の街並みにガラッと変わるのは、
歌舞妓町自治区の朱門をくぐってからだからな。
八九朱門の先は、街並みも違えば法も違う。
文字通りの別世界だ。
十手……気になってたんだが、
そもそもなんで自治区ができたんだい?
八九あー、そっから説明がいるのかよ……。
しゃーねぇな。俺もあんまり詳しいことは知らねぇから、
ざっくり概要だけ説明してやる。
八九歌舞妓町は、戦後の闇市から始まったんだと。
そのあと色々あって、鷲ヶ前組を中心に
町全体がまとまって、今の自治区って形になったらしい。
八九ま、お上公認の治外法権地帯みたいなもんだ。
廃刀の決まりもなければ、賭場やら花街もある。
主人公【賭場?】
【花街?】
八九賭場はそっちで言うカジノだな。
花街は……芸妓つって、踊りやら音楽やらで
客をもてなす女たちがいる店が並んでる。
八九ま、それだけじゃねぇんだが……。
俺にもお前らにも縁がないところだな。
十手そ、そうだな。
お座敷遊びの体験ならともかく、
〇〇君にはまだ早い……!
十手しかし、刀の所持も許されているとは……
自治区は物騒なところなのかい?
八九そうだな……多少荒事は多いんじゃないか?
けど、誰でも好き勝手に
刀や銃を持ち歩いていいってわけでもない。
八九鷲ヶ前の決めたルールに沿って許可を得ていれば、
自治区内に限って銃刀類の持ち歩きも許されてる。
八九当然、そいつを悪用して騒ぎを起こせば、
鷲ヶ前の奴らが飛んできて取り押さえるはずだ。
八九多少ルールは緩いが、普通にしてりゃあ、
そんなに危険はないと思うぜ。
十手ははぁ……そういうもんなのか。
……ところで、俺の十手鉄砲はいいのかい?
特に許可もなく持ち歩いちまってるが……。
八九あんたは賓客扱いだから、別にいいんじゃねぇか?
それに、骨董品レベルの古い銃だしな。
十手こ、骨董品……。
確かに古いが、一応ちゃんと使えるんだぞ……。
八九それはわかってっけどよ。
古銃でよかっただろ。
じゃなきゃ、とっくの昔に壊されてたかもしれない。
八九世界帝の統治時代も、貴銃士の出現以前は、
古銃は骨董だとか美術品扱いで
回収も破壊もされなかった。
八九だからレジスタンスは、
まだ使える古銃を集めて反乱を起こしたり、
古銃から貴銃士を呼び覚ましたりできたんだ。
八九それが──
古銃の貴銃士が厄介な存在だとわかってからは、
古銃も回収され始めて、壊された。
八九そんな中で、
あんたはめでたく、破壊を免れたってわけだ。
十手そう言われると複雑なところだなぁ……。
八九ほら、着いたぜ。

十手おお……見事な門じゃないか!
朱色がなんとも鮮やかだ。
八九これが歌舞妓町自治区の入口、朱門だ。
あそこの門番にチェックを受けてから、
中に入ることになってる。
八九出る時は、あっちにある退場門からだ。
そばにある柳は、現代版の見返り柳だな。
十手帰るのを惜しんで振り返るほど享楽に満ちた場所、か。
色も朱ではなく、どこかもの悲しさを感じるな。
八九朱門と比べれば色こそみすぼらしいが、
造りはあっちの方が頑丈だぜ。
十手そうなのかい? 何か理由でも?
八九色が違うのは……
ま、入口が派手な方が様になるし、
見た目がはっきり違えば出口と間違えないだろ?
八九造りが違う理由は、実際に入って出りゃわかる。
十手…………?
朱門門番歌舞妓町自治区にようこそ。
日帰りですか、宿泊ですか。
八九見ての通り3人、日帰りの予定だ。
朱門門番日帰りですね。
では、こちらにお名前と連絡先を記載してください。
八九……よし、俺が代表者ってことにしといた。
迷子になるなよ。
朱門門番それでは歌舞妓町自治区をお楽しみください。

第12話:鷲ヶ前の大門1

ごく簡単な持ち物検査だけで、
あっさりと門の中へと通される。

十手……もっと物々しい感じかと思ってたが、
案外さらっと入れるもんなんだなぁ……。
八九入る分には楽なもんだぜ。
だが──
十手……ん? 退場門の方が騒がしいな。
退場門門番貴様っ!
銃を隠し持っているな!?
こ、これはただのレプリカだ!
自治区土産に持って帰ろうと……く、くそっ!
退場門門番逃げたぞ、追え!
八九あの男、自治区から銃を持ち出そうとしたのかよ。
馬鹿なヤツ。
主人公【これは一体何事?】
【持ち出しは厳禁?】
八九自地区内では、銃刀類の所持も持ち歩きも、
普通の日本国内よりはずっと寛容だ。
八九だが、一歩自治区から出ると事情は変わる。
だから、自治区に入る分には簡単だが、
出る時には厳重にチェックされんだよ。
八九退場門は、自治区内からやべぇもんを出さないための、
重要な関所ってわけだ。
退場門門番よし、捕まえたぞ!
くっ……離せっ!
退場門門番観念しろ! 鷲ヶ前の与る地で勝手は許されんぞ!
厳しい沙汰が下ると心得よ!
野次馬1歌舞妓町で騒ぎを起こすなんて、愚かなことを……。
野次馬2どんな落とし前をつけることになるんじゃろうな。
おお、考えるだけで恐ろしい……。
野次馬3五体満足で帰れれば儲けもんよ。
行きはよいよい帰りは怖い。鷲ヶ前さまの大門じゃ。
ひっ! 嫌だ、離せっ!!!

群衆の声が耳に入ったのか、
死に物狂いで暴れた男は、門番を振り払った。

退場門門番あっ、貴様……!
邪魔だっ、退け、退けっ!!
八九チッ……仕方ねぇ。
手ェ貸してやるか……。
十手そこの者! ご法度の銃を持ち出す悪行、見過ごせぬ!
この同心十手が相手だ! 観念せいっ!

第13話:鷲ヶ前の大門2

十手ええい、神妙にお縄につけぃっ!
ぐっ……!

十手は素早く無駄のない動きで、男を取り押さえる。

八九へぇ、やるな。
江戸の同心ってのはそんな風に活躍してたのかねぇ。
くそっ! 離せ……触るな……っ!!
十手まったく、往生際が悪い!
動くな! この十手が目に入らぬか!
十手がなんだってんだ!
この野郎、離しやがれ……!
十手見誤ったな。
これはただの十手ではない。十手鉄砲だ!
十手鉄砲って──じゅ、銃!?
ヒィィ……!
た、助けて……!
撃たないでくれぇっ!
十手ふう……。ようやく観念したか。
門番殿、縄をこちらに──
朱門門番鉄砲……だと?
退場門門番なにっ?
まさか、こいつも銃を持ち出そうとしているのか!
十手……へっ?
退場門門番そこの男! 話は鷲ヶ前組で聞かせてもらうぞ。
朱門門番取り押さえろ!
十手ちょ、ちょっと待ってくれ!
俺は悪いことなんてしていない! なんにもだ!
退場門門番言い訳無用!
十手い、いや、言い訳も何も、これは俺の銃だし俺だ!
それに、古銃なら持っていても問題ないって──
十手は、八九君! 〇〇君!
なんとかしてくれ……!
主人公【離してください!】
【これには深いわけが……】
八九おい、離してやってくれ。そいつは──
???おうおう、ずいぶんと賑やかじゃねェか!
こいつは一体なんの騒ぎだ?

 

第14話:貴銃士キセル

野次馬1キセルさんだ!
野次馬2鷲ヶ前組の貴銃士が来てくれたぞ!
退場門門番キセルの兄貴!
こいつが、鉄砲を持ち出そうとしたんです!
十手だ、だから、持ち出そうとしていたんじゃなくて、
この十手鉄砲は俺のもので──
キセルへぇ……十手の仕込み銃か。
こりゃ、なかなか面白い代物じゃねェか!
キセルおい、てめェら、こいつを離してやれ!
朱門門番えっ? し、しかし──
キセル心配するな、身元はこの俺が保証してやらァ!
……それで、こっちの男はなんだ?
退場門門番この男もシマから銃を持ち出そうとしたんです。
おまけに往生際悪く暴れに暴れて……。
キセルおっと、そいつはいただけねェな。
牢に入れとけ!
退場門門番はい!
……ほら、来い!
い、嫌だ! 助けてくれぇ……っ!

男は退場門の門番に連れられて、去っていった。

朱門門番お前を解放するが、キセルの兄貴に妙な真似をしたら
命はないと思え。
十手わ、わかってるって!
そもそも害意なんて微塵もないんだから!
十手……はぁ、やれやれ。ひどい目に遭った……。
主人公【あなたがあの「キセル」……?】
キセルおう、いかにも。
鷲ヶ前組若頭補佐、貴銃士キセルとは俺のことよ。
主人公【なぜ助けてくれたんですか?】
キセルそこのお前は「十手」だろ?
んで、お前が〇〇。合ってるよな?
十手どうして俺たちのことを……?
キセルてめぇらのことは、お上から聞いてる。
そのうち自治区にも来るんじゃねぇかと思ってたんだ。
キセルんで……。
十手、お前はなんで門番にとっ捕まってたんだ?
十手それが……さっきの、銃を持ち出そうとした男が
逃げようとしたんで、取り押さえて十手鉄砲を突きつけたら、
なんだか勘違いされたみたいで……。
キセルははっ、なるほどなァ!
仕込み銃でも銃は銃だ。
こいつらがいきり立つのも無理ねェな。
朱門門番すみません、キセルの兄貴……。
キセルまァ、許してやってくれや。俺らはシマの外に
厄介ごとを持ち出させないってのを条件にして、
自由にやらせてもらってる。
キセルだから、ちょいとばかり厳しめに取り締まってんだよ。
それが、お上と俺らで交わした約束ごとだからなァ。
十手俺は……誤解が解けたなら、それで構わないさ。
あとは、あの男にしっかり沙汰が下れば問題ないよ。
キセルそうか、そいつはありがてぇ。
落とし前はきっちりつけさせるから安心しろ。
十手落とし前……か。
あの男をどうするつもりなんだい?
キセル……助太刀してくれたことには感謝するが、
これ以上の詮索は無用だぜ?
キセル門から先は鷲ヶ前のシマ。ケリは俺らがつける。
十手…………。
キセルさて、お2人さんは、歌舞妓町を見に来たのか?
主人公【そうです】
【見てもかまいませんか?】
キセルよく来たな、歓迎するぜ!
俺が案内してやるから、ついてきな。
八九……案内役がついたなら、俺は帰るか。
キセルおいおい、客人を放って護衛が帰っていいのかよ。
自衛軍は、職務怠慢には厳しいんじゃねェのか?
なぁ──八九。
八九…………。
キセルこうして近くで顔を合わせるのは初めてだな。
八九……ああ。
キセルお互い思うところはあるだろうが……
てめェは今や、自衛軍の一員として認められてる。
キセル過去を綺麗さっぱり水に流すわけにはいかねぇが、
何も取って食いやしねェよ。
キセルてめェとも一度、話がしたいと思ってたんだ。
遠慮せずに来い。
キセル……それとも、何か?
歌舞妓町に入るのが怖いってか?
八九……別にここでお前らを放って帰ったら
邑田に何言われるかわかんねぇし、付き合ってやるよ。
キセルそうこなくっちゃなァ。
じゃあ、行くぜ。
十手(そうか……キセル殿と八九君は、
革命戦争で戦った仲……複雑なところだろうな)
キセルおーい、十手。
なにボサッとしてんだ。置いてくぞ。
十手うおっ、待ってくれ~!
???…………。

第15話:歌舞妓町自治観光

キセルどうだ? 歌舞妓町の街並みは。
キセル木造の長屋に火の見櫓、
川のそばにはお決まりの柳ときた。
まさに江戸の町。風情があるだろ?
キセルお前にとっちゃあ、懐かしさもあるんじゃねェか?
なぁ、十手?
十手ああ。見事なもんだ……! たまげたなぁ……!
八九…………。
キセルなんだなんだ、シケた面して。
せっかくの歌舞妓町、楽しんでいけよ。
八九それは、そうしてぇけど……。
この辺りは確か──
女郎1あーいた!
キセルさぁん!
女郎2うふふっ、見回りご苦労さまです。
近頃はお忙しいの?
たまには遊びに来てくれないと寂しいわぁ。
キセルおお、桔梗屋のべっぴんさんたちじゃねェか!
悪ィが、今日は見ての通り、客の案内をしててな。
女郎2あら、お連れさんもイイ男ぞろいねぇ。
どう? うちに遊びに来ない?
十手い、いや、そういうわけには……。
女郎1やぁねぇ、つれないお人。
じゃあ、そちらのお兄さんは?
八九お、おおお俺か?
そういうのは、ガラじゃないっつーか……。
女郎2あらあら、お兄さん、嘘が下手ね。
目が泳いでるわよ。
女郎1そんな風にちらちら見ないで、
じーっくり見てくれていいのよ。
女郎2そうそう、せっかくおめかししてきたんだから、
綺麗なところをよーく見て頂戴な。
八九い、いや、別に見てねぇし……。
女郎1誤魔化さなくたっていいじゃない。
照れちゃって、可愛いお人ね。
──chu♥
八九うおっ!? な、何しやがる!
女郎1あらあら。
頬にほんのちょっぴり口付けただけなのに、
りんごみたいに真っ赤になっちゃって。
女郎2お兄さんとは楽しめそうだわ。
夜、お店に来てくれたら、
もっとすごいことしてあげる♪
八九えっ、なっ……、……っ!!
キセルおいおい、うぶな若造をあんまりからかってやるなよ。
女郎1はぁい。
じゃあ、キセルさん、お仕事頑張ってね~!
女郎2またね~!
八九…………。
十手おーい。八九君、大丈夫かい?
魂が口から抜けかけてるみたいだが。
八九だ、大丈夫だ……。
キセル3番街はちょいと刺激が強すぎたか?
芸妓に娼妓、男も女も入り乱れる花の街──
歌舞妓町の人気スポットなんだがな。
八九お、俺はともかく、こいつみたいな
士官学校の生徒を連れてくるところじゃねぇだろ……。
キセルははっ、あんたより〇〇の方が
ずっと落ち着いてたけどなァ!
八九っ……! くそっ、帰りてぇ……。
キセルそう言いつつ、しっかり見世を見てるじゃねェか。
気になる子がいるなら、取り次いでやるぜ?
キセル女郎たちも客を選ぶから絶対はねェが……
ま、さっきの様子だと歓迎されるだろ。
八九そ、そうかよ……?
八九……い、いや! パスだ!
邑田に知られたら、
向こう5年はネタにされそうだしな……。
十手……なぁ、歌舞妓町自治区というのは
こういう場所ばかりなのか……?
十手その……学生の〇〇君もいるし
花街のようなところはちょっと……。
キセルはっはっは、そいつは悪かったなァ!
キセル次は4番街に行くとするか。
江戸三座をモチーフにした、見事な劇場があるんだ。
主人公【江戸三座?】
【どんなところ?】
キセル江戸時代にお上からお墨付きをもらった劇場だ。
今は、堺屋、葺屋、木挽屋って名前で興行している。
キセルちょうど『勧進帳』あたりをやってるんじゃねェか?
ここ歌舞妓町でも人気の演目だぜ!
八九カンジンチョー?
よくわかんねーけど、眠くなりそうだな……。
キセルおいおい、勧進帳は歌舞伎十八番の1つだぞ?
ちったぁ芸事にも興味を持てよ。
キセルせっかくこうやって、
割と平和な時代に再び身体を持てたんだ。
楽しまねぇと損ってヤツだ。
八九う……。いや、楽しんでるし。
新作ゲームとか……。
十手楽しまないと損、か……。
キセルま、劇場の外観だけでも見ていってくれや。
その後、団子でも食いに行こうぜ。
4番街にはいい茶屋もある。
十手茶屋か!歩き回って小腹が空いてきたところだし、
そいつは有難い!
八九はぁ……しゃーねぇ。
今日はこいつらの護衛も兼ねてるし、
変な場所じゃないなら付き合ってやる。
キセル……うっし!
じゃあ、行くとするかねェ!

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