日本編Ⅰ:第36話~第40話

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第36話:十手の心

十手これは……絶対高貴……。
俺は、絶対高貴になれたのか……?
主人公【間違いない】
【絶対高貴だ】
十手そう、か……。本当に……。
十手生まれはどうあれ、俺は俺。
それを認めて信念を持つことが大切だったのかな……。
十手……ありがとう、〇〇君。
俺は、俺が何者なのか、ようやく見つけられたよ。
十手俺は十手鉄砲。
元同心の十手で、今は──君の貴銃士だ。
十手これからは貴銃士十手として、
俺なりの正義を貫いてみせるとも!
十手まずは、アウトレイジャーどもを成敗せねば!

キセルチッ……ったく、厄介な連中だぜ!
アウトレイジャーたち殺ス、殺ス……ッ!
自衛軍兵士くそっ、なんで撃っても撃っても効かないんだっ!
アウトレイジャー死ネ……ッ!
鷲ヶ前組員1キセルの兄貴っ、あぶねェ!
キセルくっ……!
十手アウトレイジャーども! 神妙にお縄につけいっ!
キセル十手……!?
十手江戸の皆は、俺が守る!

第37話:たどり着いた場所

十手絶対高貴──!
アウトレイジャーたちグァァァッ……!
鷲ヶ前組員1うおおおおっ! あれが、絶対高貴……!
自衛軍兵士1すごい……化け物どもが消えていく……。
???……。
十手……ふぅ、なんとかなった、かな?
子供たちは大丈夫そうかい?
キセルおう、気絶してるが、傷はすっかり治ったみてぇだ!
……絶対高貴になれたんだな、十手。
十手ああ。長いことかかっちまったけど、なんとか。
……背中を押してくれてありがとう、キセル君。
キセルなーに言ってんだ。
絶対高貴に目覚めたのはお前自身の力さ。
……よかったな!
キセルさてと、アウトレイジャーってやつは消えたが、
こんだけドンパチやると被害も相当だな。
キセルこいつは後始末に骨が折れそうだぜ……。
鷲ヶ前組員3す、すんません!
キセルの兄貴、例の件でちょいとお話が……。
キセル……わかった。
悪ィな、ちょいと外すぜ!
邑田おや、わしらの出番はなくなってしまったようじゃな。
在坂……邑田が道を間違えなければ、間に合った。
邑田あの分かれ道は、
右で合っていると思ったんじゃがのう……。
八九今頃来たのかよ。
邑田む? 何か言ったかえ、八九や。
八九……なんでもないっす。
邑田ほっほっほ。ならばよし。
わしらは帰っておやつを食べるとしよう。
在坂在坂は、ふわとろデミオムライスがいい。
邑田在坂や、それではおやつじゃのうて2回目の昼飯じゃ。
十手はは、自由な御仁だなぁ。
八九……なぁ、十手。お前、絶対高貴になれたんだな。
十手ああ! 八九君も、協力ありがとう。
八九いや、俺は地図やるくらいしかしてねぇけど……。
八九はぁ。邑田と在坂はとっくに絶対非道に目覚めてるし、
お前まで奥義身に着けるとか、
肩身狭くなっちまったな……。
八九明日から「まだ目覚めぬのか?」とか言って
いびられそうだわ……。
十手ははは……。
キセル……おい、十手、八九!
子供らをちょいと任せていいか?
八九はっ!?
十手えっ!?
キセル俺らは急ぎの用事ができたんでなァ!
悪いが、ここはお前さんたちに頼むぜ!
八九ちょ、待てよ……!
キセル行くぞ、てめぇら!
鷲ヶ前組組員たちおう!

鷲ヶ前組員たちを引き連れ、
キセルはあっという間に、どこかへと去って行った。

第38話:告白

──子供たちが軍の病院に搬送されるのを見届け、
〇〇たちはホテルへと戻ることになった。

八九ふぃー……今日は働きすぎたわ。
ああ、腰いて……。
十手……〇〇君。
主人公【どうした?】
【大丈夫?】
十手その……さっきの話だが、
俺が探していた神社のことを含めて、
改めて話しておきたいことがあるんだ。
十手俺は……夢で見た神社を見つけたんだ。
十手神社には……俺が道具屋に流れた時の証文があった。
〇〇君、こいつを見てくれるかい?

十手は、懐から数枚の古びた紙を取り出した。

十手ここには……俺の来歴がぜーんぶ書いてある。
十手俺は、同心が使っていた普通の十手だったが、
道具屋に売られた。
十手そして……好事家好みになるように、
十手鉄砲に改造された。
十手俺は、最初から十手鉄砲として作られたわけじゃない。
十手鉄砲として同心が使ったってのも、嘘だ。
十手俺は、本物の銃とは言えないかもしれない。
だけど、それでも……君の力になりたい。
十手……これからも、
〇〇君の貴銃士でいていいだろうか。
主人公【もちろん】
【これからもよろしく】
十手そ、そうか……。
君はあっさり頷くんだなぁ……。
十手来歴は気にしないと言ってくれたが、
俺は、銃として本当に使われたことがないんだぞ……?
八九あー……、そういうの銃的には結構気になるよな。
わかるわ。
十手八九君! 俺の気持ち、わかってくれるかい?
八九けどよ、あんたのマスターが気にならないってんなら、
別に気にする必要ねぇだろ。
十手ああ……そうだな。ありがとう、八九君。
君は優しいな。
八九や、優しいとか、気色悪ィこというんじゃねぇよ……!

鷲ヶ前組員たちおうおう、てめぇら道を開けな!
鷲ヶ前組が邪魔するぜェ!
大黒屋店主な、なんですか!
ウチには後ろ暗いことなんてなんにも──
キセル大黒屋ァ……しらばっくれるんじゃねェ!
てめェんところで囲ってた子供らが、
アウトレイジャーのマスターになってたんだ。
キセル何も知らねぇとは言わせねぇぞ!
大黒屋店主い、言いがかりもいいところだ!
わたくしどもは何も……。
キセル黙れ!
大黒屋店主ヒッ……!
キセルてめェが賭場の胴元と組んで、
子供らの親を追い詰めたんだろうが!
キセルその子供らにメシ食わせてやって善人面たァ、
反吐が出るってもんよ。
おまけに、あんなひでぇ目に遭わせやがって……!
キセル鷲ヶ前のシマで勝手をした報いは、
きっちり受けてもらうぜ? 覚悟しな!

──翌日。

十手……絶対高貴!
十手これで大丈夫……だと思う。
一太おっちゃん、ありがとう!
十手おっちゃ……!
いや、当然のことをしたまでだ。
それより、どうしてこんなことになったんだ?
一太それは……。
一太キセルさんのおかげで、父ちゃんは店を取り戻せた。
だから、これから2人で頑張ろうって話してたんだ。
一太だけど、次の朝……
父ちゃんが死んだ……。
一太俺、父ちゃんのほかに身寄りなんてないんだ。
そこに、借金の取り立ての奴らも来て……。
一太俺……どうしたらいいかわからなくて、
大黒屋に駆け込んだ。
そしたら、おっさんたちに誘われたんだ。
一太──お前を助けたい。
借金を返してやるから、この石を触ってみろって。
一太俺……、その石を触って……。
主人公【……アリノミウム結晶だ】
【なぜ歌舞妓町自治区に……?】
十手その人たち、何か石について話してなかったかい?
一太わかんねえ……。
俺、その石に触ったあとのこと、よく覚えてねぇんだ。
悪いやつらの正体も、わかんねぇ……。
一太結局、俺を助けるってのは嘘だったし、
俺、街の人を傷つけそうになって……。
一太でも、おっちゃんたちが止めてくれたおかげで、
誰も傷つけずに済んだ。
一太それに借金も、大黒屋と賭場の悪だくみで
できたものだから、帳消しになったんだ。
十手そうか……。親父さんのことは残念だが、
正しい沙汰が下ってよかったよ。
一太うん……!
俺、もう盗みなんてしないで、真っ当に生きるよ。
……父ちゃんに、恥ずかしくないように。
十手きっと、お天道様と一緒に
親父さんが見守ってくれるな。
一太へへっ、どうかなぁ?
父ちゃん、楽んなって酒飲んで寝てるかも。
一太……俺、大人になったら
父ちゃんの跡を継いで、射的屋をやるんだ!
そん時は、おっちゃんたちも遊びに来てくれよな!
十手ああ! 立派に頑張れよ、一太君。

 

第39話:また会う日まで!

キセルよう! 今日、国に帰るんだってな。
出国の見送りは自衛軍がやるだろうが、
退場門までは俺が送っていくぜ!
主人公【わざわざありがとう】
【お世話になりました】
キセルやめろやめろ、水臭ぇ。
恩人を寂しく送り出しちゃあ。
鷲ヶ前の名が廃るってもんよ。
十手では、お言葉に甘えて引率を頼もうか。
キセルはは! 引率でも護衛でも任せときな!
鷲ヶ前のシマで俺に手ェ出そうって輩は、
そうそういねぇからな。
キセルま、十手もめでたく絶対高貴に目覚めたことだ。
俺の出る幕はねぇかもしれないけどなァ!
十手絶対高貴、か……。
俺が本当に絶対高貴になれたなんて、
なんだか、まだ実感が持てないよ。
キセルはっはっは!
一太たちの傷を綺麗さっぱり治せたんだ。
自信持てよ!
キセル……今の俺には、あの傷を治すことはできねェ。
本当に……恩に着るぜ、十手。
十手キセル君……。
キセルおいおい、辛気臭ェ顔はやめろ。
俺だって正直、昔と同じように力を発揮できねぇのは、
もどかしいし腹立たしく思うこともある。
キセルだが、今はこれでもなんとかやっていけてるし、
カシラが立派に組を継ぐまで、
そばにいるって誓ったからには義理は通さねェと!
主人公【任侠の精神だね】
【仁義ってやつかな】
キセルおっ! わかってるじゃねェか!
十手若頭が独り立ちしたあとは、どうするつもりなんだい?
キセルそうだなァ。
あんまり先のことは考えてなかったが……。
キセル例のアウトレイジャーとかいうヤツらとの闘いで、
俺にもできることがあって、お前らが俺を
必要とするなら……ま、いろいろ考えとくかねェ。
キセル──さ、退場門だ。
お前の銃のことは門番に伝えてあるから、
もう最初みてぇな大事になる心配はねぇよ。
十手そいつは助かる!
……いろいろとありがとう、キセル君。
また会える日を楽しみにしているよ。
主人公【ありがとうございました!】
【またいつか必ず!】
キセルおう! 気を付けて帰れよ!

キセル絶対高貴の光、か……。
ああして見ると、眩しいもんだなァ……。
鷲ヶ前組員キセルさん!
お帰んなさいませ。ちょいとお話が……。
キセルおう、どうした?
鷲ヶ前組員お客さん方がいらした座敷の、
茶の間を手入れしてたら、こんなのを見つけたんですが、
なんなのかわかんねぇもんで……キセルさんはご存知ですか?
キセル……なんだァこりゃ。水晶か……?
鷲ヶ前組員うちの組の他のモンは
誰も知らねえって言ってまして……。
鷲ヶ前組員キセルさんもご存じなかったら、
もしかしたらお客さん方のお忘れ物かと……。
キセルあいつらは……。
…………、いや……。
キセルこの石はちょいと借りるぜ。
……もしかしたら、大事なモンかもしれねぇからな。

──数日後、自衛軍基地にて。

八九はぁ……。
邑田おや、なんじゃ、八九。
辛気臭い溜め息などつきおって。
十手と〇〇が恋しいのかえ?
在坂在坂は、訓練をすれば気が紛れると思う。
邑田ほっほっほ、それは名案じゃな、在坂よ。
今日は八九のために、
我らで特別めにゅーを考えてやろう。
八九うぇっ!? いらねーよ!!!
邑田遠慮は無用じゃ。
そならを薩摩隼人のごとく逞しく鍛え上げてやるゆえ、
期待に胸躍らせるがよいぞ。
八九くっ……!
あいつらの護衛で基地から離れてた方が、
1000倍は平和で楽だったぜ……。

──士官学校にて。

十手みんな、ただいま!
〇〇君と無事帰ってきたぞ!
ジョージおっかえり~! 元気そうだな! Great!
マークス…………。
ライク・ツーんで、日本はどうだった?
十手ああ……それが……。
マークス俺は聞きたくない!!
俺以外のヤツと任務だった時の、
マスターの話なんて……っ!!!
ライク・ツーじゃあ、聞くなよ。
耳塞いでろ。
マークス……嫌だ
マスターが登場する話は全部聞きたい。
ジョージどっちだよ!?
ライク・ツーこのマスターバカのことは放っとけ。
……んで、日本で何があったんだ?
なんか吹っ切れたような顔してるけど。
ジョージもしかして……絶対高貴になれたとか!?
十手実は……そうなんだ。
俺もようやく、絶対高貴に目覚められたんだ……!
マークス……本当か!
ライク・ツーへぇ、よかったな。
ジョージヒュ~~~~! おめでとう!!!
ラッセル何を騒いでいるんだ?
廊下まで声が聞こえているぞ。
ジョージ十手が絶対高貴になれたんだってよ!
今日はパーティーだ──
ジョージ──って、その手に持ってるの、なんだ!?
ライク・ツー呪いの人形かなんかか……?
マークス赤い……しかも、片目しかないぞ?
ラッセルああ、これはダルマという日本の置物だ。
このなんとも言えない丸さがいいんだ。
〇〇君には感謝だな……!
ライク・ツー喋りながらずっと撫でてる……。
十手気に入ってもらえたようで、何よりだな……。
十手そうだ、みんなにもお土産を買ってきたんだ。
煎餅に飴細工に手ぬぐい……あとで配るよ。
日本での話も、聞いてくれると嬉しいな。

ラッセル──では、日本の様子について報告を頼む。
十手事前に聞いていた情報通り、
日本ではアウトレイジャーが出ていなかったみたいだ。
十手だが……俺たちの滞在中に、初めて出現した。
裏で糸を引いていた奴らの一部は捕まったが、
まだ黒幕が残っているような感じだったなぁ……。
主人公【今後、また何かあるかもしれません】
【あれで終わりだとは思えません】
ラッセルふむ……貴重な報告ありがとう。
上には私から連絡しておくよ。

第40話:将軍の貴銃士

???…………。
町人大黒屋はちぃと、やり方が派手でしたな。
???まったくだ。
あのお方が間に合ったおかげで、目的のものは回収できたが。
町人大黒屋の代わりは、目星をつけてございます。
あっしにお任せを……。
???…………。

桜國城、本丸御殿にて──

???──苦しゅうない。面を上げよ。
俺に何か話があるのだったな?
幕臣1……はっ、恐れながら申し上げます。
幕臣1ご家老方ならびに諸大名より、
将軍家の威光を示すためにも、
さらなる貴銃士の召銃を……という声が。
幕臣1日本ゆかりの古銃の収集は進んでおります。
どうか、イエヤス様より上様へ進言を──
イエヤスならぬ。
イエヤス策もないまま、むやみに貴銃士を呼び覚ますことは、
泰澄様の大きなご負担になる。
イエヤス将軍家の威光を示すための召銃で、
将軍が倒れるなど、本末転倒であろう。
イエヤス対策が見つかるまで、決して召銃してはならぬ。
よいな?
幕臣1……はっ、イエヤス様の仰せのままに……。
イエヤス政務の話が終いなら……
どうだ? 茶でも飲みながら、少し話さぬか。
幕臣1な、なんと、あまりにも恐れ多きことにございます。
わたくしの身には余る光栄ゆえ、
ご家老などをどなたか呼んでまいりましょう。
イエヤス……いや、よい。
報告ご苦労であった。
幕臣1ははっ!

イエヤス……いまだに絶対高貴への糸口はつかめず、か。
イエヤスあいすまぬ。
……ヒデタダ、ユキムラ。
イエヤス俺が絶対高貴になれぬばかりに、
お前たちを目覚めさせてやることができん。
イエヤス闇雲に召銃しては、マスターである泰澄様の傷が、
ひどく悪化してしまう。
イエヤスそうなれば、この国は混乱に陥りかねん……。
イエヤス……いつか必ず、お前たちに会えるように力を尽くす。
イエヤスそれまで──いましばらくの眠りを。

幕臣1……やはりイエヤス様は、召銃に慎重であられる。
このままでは、次の召銃はだいぶ先になるであろう。
幕臣2そうか……。
とはいえ、イエヤス様のおっしゃることはご尤も。
絶対高貴になれる貴銃士なしでは、上様のお体に障る。
幕臣3かつては絶対高貴になれたというイエヤス様も、
鷲ヶ前組のキセル殿も、揃って力を失っているとは。
幕臣3……本当に、絶対高貴なる力は存在するのか?
貴銃士たちにたばかられておるのではないか?
幕臣1滅多なことを言うでない!
……それに、絶対高貴は確かに存在する力だ。
幕臣2なぜそう言い切れる?
幕臣1先日、世界連合軍より派遣されてきた、十手なる貴銃士。
彼は、歌舞妓町内での動乱の折、
かの力に目覚めたという。
幕臣1目撃者もいることだ。間違いない。
幕臣1軍からの報告がもっと早く上がっていれば、
みすみす英吉利に帰しはしなかったものを……。
幕臣2口惜しいが、あれが最後の機会ではない。
幕臣3うむ。
──早速、次の手を考えるとしよう。

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