日本編Ⅰ:第6話~第10話

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第6話:自衛軍の貴銃士1

自衛軍兵士1フィルクレヴァート連合士官学校よりお越しの、
〇〇様と貴銃士十手様であります!
???おお、英吉利より無事の到着か。
これは重畳じゃ。
???…………。
主人公【あなた方は……】
【はじめまして】
邑田わしは邑田。
日ノ本にて初めて制式採用された国産小銃である。
邑田軍銃一定(ぐんじゅういってい)の祖にして、
幾多の戦線を越え常住不断の歩みを続けた銃といえば、
まぁ、わしのことよな。ほっほっほ。
???…………。
邑田ほれ、在坂や。
そなたも挨拶をしておやり。
在坂……在坂は、在坂だ。
在坂桜國幕府で長く使われた槓桿式(こうかんしき)の小銃で、
邑田は先達。
……よろしく。
十手よ、よろしく……。
邑田そなたら、滞在中はなんなりと頼るとよいぞ。
わしは幸い、ちっとも忙しくはないからの。
邑田おお、一人忘れておった。こっちが八九じゃ。
八九……どうも。
邑田これ、八九。
大事なお客人に対する挨拶がそれで済むとでも?
八九……あー、はいはい。わかりましたよ。
八九俺は八九。
ロングストロークピストン式のアサルトライフルだ。
自衛軍で制式採用されてる。
八九集弾性は悪くねーから、AIMがちゃんとしてりゃ、
そうそう負けはしねぇはず……だ。
八九ま、よろしく。
十手ああ、よろしく。
主人公【八九って……】
【世界帝軍にもいた……】
八九…………。
邑田よく勉強しておるのう。感心、感心。
そなたの言う通り、「89」なる銃は、
世界帝が従えた貴銃士の中の1挺じゃ。
十手へぇ、そうだったのか。
だけど、その89と君とはまた別なんだろう?
邑田ほっほっほ。はて、どうだったかのう。
在坂…………。
隠す必要はないと、在坂は思う。
在坂世界帝軍にいた89は、この八九だ。
十手えっ……? えええっ!!?
主人公【世界帝軍特別感部の、89!?】
【本当に本人!?】
邑田いかにも。もう、八九や。
八九……ああ。
ま、あんたらが驚くのも無理はねぇ。
八九俺も最初は、なんでこんなことになったのか、
さっぱり意味がわからなかったからな……。

革命戦争の決戦の地──イレーネ城での戦いのあと、
どれくらいの間眠っていたのかわからない。

誰かの切実な声に引き寄せられて目が覚めると、
俺は、見覚えのない部屋に立っていた。

八九(……ん? なんだ、ここ)
幕臣たち…………。
八九(世界帝は……いない。
呼び出したのはあの人じゃない、か。
つまり、俺たちは……負けたんだな)
八九(……見るからに偉そうなジジイどもだ。
これから取り調べとかか……?
はぁ……うっかり目覚めるんじゃなかったぜ)
八九(ただの尋問で済むとは思えねぇ。
じわじわ壊されるのか……
それとも、実験体みてぇに扱われるのか)
八九(あー……だりぃことになったな。
せめてさっさと終わらせてくれ……)
???貴銃士八九殿!
八九うおっ!? なんだよいきなり!
手ぇ握ってくんな気色悪ィな!
???はっ、失礼いたしました!
私、葛城輝彦(かつらぎ てるひこ)と申します!
葛城小生はこのたび、光栄なことに
八九殿のマスターを務めることとあいなりましたッ!
ともにこの日本国の平和を守って参りましょう!
八九はぁ……!?
幕府重鎮1これで召銃の儀は終わりじゃな。
行くとするか。
幕府重鎮2うむ、今回も日美子様の予言の通りであったな。
八九は……?
おい、どこ行くんだよ!
八九この国の平和を守るって、な、何言ってんだ!?
俺は世界帝の銃だったんだぞ?
お前らにとっては「悪」だろ、どうせ!!
八九俺を呼び覚ました本当の目的はなんだ!?
何企んでやがる!
幕府重鎮1……はっはっは。
血相を変えて何を言うかと思えば。
幕府重鎮1物を使うのは人。貴銃士も元は物なれば、
持ち主が変わればあり方も変わる。
……我らはそう判断したまでのこと。
幕府重鎮2その力、悪しきことに使わねばよい。
幕府重鎮1頼りにしておるぞ、八九、葛城。
葛城はっ! この葛城、身命を賭して邁進いたします!
八九は……?
い、意味わかんねぇ……。
八九(な……なんなんだよ、この状況……)

第7話:自衛軍の貴銃士2

邑田&在坂…………。
八九……うおっ!?
八九(……こいつら……貴銃士!?
ずっとこの部屋にいたのか……?)
八九(嘘だろ、全然気配を感じなかったぞ!
それに……)
邑田&在坂…………。
八九(すげぇ圧だ……。
あからさまに殺気を放ってるわけじゃねぇ。
なのに、気圧される……!)
八九(どんだけの死地を越えたら、
こんな雰囲気になるんだよ……)
八九(……っ!
もしかして、こいつら邑田銃と在坂銃か!
明治以降、数多の戦場で使われてきた銃……)
八九(……銃としてはほぼ実践経験なしだった俺とは、
土台からして違うってわけか……)
邑田&在坂…………。
八九(おいおいおい、こいつらなんで何も言わない……!
いや、後輩である俺から声をかけるべきか!?
でも、下手なこと言った瞬間に消されちまいそうだ)
八九(くそ、どうする俺!
なんて言えばいいんだよ、この場合!
こんなの無理ゲーすぎんだろ……)

──と、その時、唐突にラッパの音が響き渡った。

八九……?
ラッパ……?
邑田おお、やっと昼食の時間じゃ。
在坂や、食堂に行こうかの。
在坂……在坂は、今日のメニューが知りたい。
カツ丼だったらいいと思う。
邑田ほっほっほ。丼ものは美味よなぁ。
楽しみじゃ。
邑田そなた──八九と言ったな。
食いっぱぐれぬように、食堂へ急ぐがよいぞ。
八九お、おう……。
八九……って、まさか昼食のラッパ待ってただけなのか!?
尋問とか拷問とかねぇわけ!?
八九ど、どうなってんだ……。

八九……そんなこんなで、結局こうして
貴銃士として普通に暮らしてるわけだ。
八九元世界帝の銃の俺がな。
……意味わかんねーだろ。
主人公【たしかに驚いた】
【不思議な国だ……】
八九だよな。
邑田さて。
そなたら、話はその程度にしておくがよかろう。
在坂……次は訓練場の見学だと、在坂は聞いている。
邑田うむ。しかるに、そろそろここを出立せねばなるまい。
案内役を頼まれておるでな。
邑田ほれ、早う来い。いざ行かん!
自衛軍兵士1お、恐れながら申し上げます!
邑田様……訓練場は逆の方向かと!
邑田おっと、そうであったかの。
失敬、失敬。
邑田八九や、そなたが先導せよ。
そも、初めからそうしておけばよかったのじゃ。
まったく、気が利かぬやつじゃのう……。
八九ええ……? パワハラ上司かよ……。
邑田ん????
八九あー、へいへい、すんませんね!
俺が悪うござんした……っと。
八九訓練場はこっちだ。ついてこい。
とっとと行って、とっとと解散しようぜ。

第8話:自衛軍見学ツアー

自衛軍兵士たち訓練、はじめ!
十手おお……すごい動きだなぁ。
士官学校の生徒さんたちも十分立派だったが、
完成度が違う感じがするよ。
八九あいつら、日頃からきっつい訓練してるからな。
これくらい序の口だぜ。
自衛軍兵士2おや。八九殿!
お疲れ様です!
自衛軍兵士3お疲れ様です!
どうでしょう、今日はご一緒に訓練など!
八九おう、お疲れ。
だりぃから俺はパスだ。
自衛軍兵士2ははは、八九殿は相変わらずですな。
気が変わられたらいつでも歓迎しますよ。
八九へいへい。
主人公【人気者だ……】
【打ち解けてる】
八九俺──八九式は、自衛軍の主要装備だからな。
もとから馴染みがあるし、日本の特殊な事情もある。
十手特殊な事情?
八九世界帝の居城イレーネやら、革命戦争の中心地は、
日本から遠く離れたところにあった。
八九日本に駐留してた世界帝軍の奴らは戦況を把握してただろうが、
日本の普通の市民レベルだと、
革命戦争は遠い異国のいまいち現実味がねぇ出来事だ。
八九貴銃士についての噂も一応届いてたらしいが、
半分おとぎ話みてぇな感じに受け取られてたらしい。
十手そりゃあ……銃が人としての実体をもって戦うなんて、
そうそう信じられないよなぁ。
八九ああ。だから、俺が元世界帝の銃だったことよりも、
貴銃士になった銃への物珍しさが勝ったのかもしれねぇな。
八九日本で召銃されてからは、
たまに訓練したり、お上の命令で仕事したり……。
ま、割とのんびり過ごしてる。
八九特に不自由してねぇ分、
仕事断りづれーのがだりぃんだけどよ。
邑田“だりぃ”だのなんだの言いながら、
そなたは存外、律儀に仕事をするものよなぁ。
八九はぁ……。
サボったら、後で余計面倒なことになりそうだからな。
在坂……仕事を真面目にするのはいいことだと、
在坂は思う。
邑田ほっほっほ。在坂は偉いのう。
八九が“サボり”とやらをした時は、
ともにきつーくお灸を据えてやろうな?
在坂わかった。
八九うっ! だから、サボったりしねぇって!!
自衛軍兵士2──そこまで!
全員集合!
自衛軍兵士たちはっ!
主人公【ところで……】
【訓練を開示していいの?】
邑田…………。
そなたは聡い子じゃな。
だが、案ずることはないぞ。
邑田連合士官学校からやってきたそなたらに、
何を見せ、何を見せぬか……無論、それは選んでおる。
邑田……一国が力を持ち過ぎることも危ういが、
いざという時に国を守れる程度の力はなくてはな。
邑田……その目でしかと見て、
そちらのお上に報告するといいじゃろう。
邑田ただし、桜國の上様は争いを好まぬ。
攻め入る者には容赦せぬが、
こちらから事を起こすことはない。
邑田そのことも、ゆめ忘るることなかれ。
十手ええと、つまり……日本の防御は手堅いから、
余計な手出しはせずに現状維持をしろと、
俺たちから報告すればいいってことだな……?
邑田はて、なんのことやら。
そなたらが何をどう報告するかは、そなたらの自由よ。
邑田とはいえ、こちらばり手の内を明かすというのもな。
そちらも、力を示してみてはどうじゃ。
十手ど、どういうことだい……?
邑田こう言わねばわからぬか?
……いざ尋常に勝負、じゃ。
邑田そなたらの力を、我らにとくと見せてみよ。
主人公【やろう!】
【訓練通りに!】
十手あ、ああ!
合点承知の助だ!

 

第9話:在坂の疑問

邑田うむ、なかなか楽しめたぞ。のう、在坂や。
在坂在坂も、悪くなかった……と思う。
もっとやってもいい。
邑田ほっほっほ。在坂に気に入られたようじゃ、
〇〇よ。また相手を頼むぞ。
八九ったく……。
今日は訓練に参加するつもりはなかったのによ。
ま、いい運動にはなったか。
八九ところでよ……。
八九……なぁ、あんた。
十手俺かい?
八九おう。あんたの銃、ずいぶん変わり種だな。
十手って、昔の警察──岡っ引きっつったっけ。
そいつらが使ってたモンか?
十手ちょっと惜しいな。
岡っ引きってのは、奉行所の仕事を手伝ってた
民間人のことなんだ。
十手俺……十手を使ってたのは、
与力や同心って呼ばれる役職の人たちで、
君の言う通り、今で言う警察だ。
十手『御用だ御用だ!
江戸の悪は俺がすべてお白洲まで連れていく!
神妙にお縄につけぃ!』ってね。
八九へぇ……悪くねぇな。
邑田しかし、十手鉄砲が実際に使われていたとはのう。
好事家が鑑賞品として集めておるとは
聞いたことがあったが……。
十手あ、ああ……確かに、かなり珍しいかもしれないなぁ。
八九どんなふうに使われてたんだ?
十手えーっと……主に使われてたのは目潰しかな。
あんまり威力はないが、
下手人の隙をついてバーンと!
十手それから、仲間同士で合図を出すのに使ったりも──。
在坂…………。
在坂在坂は、その話はおかしいと思った。
在坂十手は与力・同心の身分証明のためのものだから、
実用性はないと聞いたことがある。
在坂十手が目潰しや合図に使われるのは、おかしい。
十手え……?
十手えっと……それは……確かにそうだけど……。
あ、でも、俺の場合は……。
邑田……これこれ、在坂や。
あまりお客人をいじめるでないぞ。
十手…………。
八九あー……仕込み銃といえば。
明日あたり、鷲ヶ前組が取り仕切ってる自治区に
行ってみたらどうだ?
主人公【ワシガサキ組?】
【自治区?】
八九あ? なんだ、知らねーのかよ。
えーと……どこから話せばいいんだ?
めんどくせぇ……。
邑田新宿歌舞妓町なる自治区があっての。
そこを取り仕切る鷲ヶ前組の若頭が、
煙管の仕込み銃の貴銃士を召銃したのだ。
十手煙管の仕込み銃って……
まさか、革命戦争でも戦っていうキセルかい?
在坂在坂は、そうだと聞いている。
会ったことはない。
邑田歌舞妓町自治区は、日本有数の観光地じゃ。
帰国前に一度は行ってみるとよいぞ。
邑田あの一帯は文字通りの「自治区」でな、
桜國幕府の統治とは違う決まり事で運用されておる。
邑田街並みは江戸の頃を思わせる風情で、
花街もあれば、賭場もある。
……果ては、帯刀すらも許されておる。
邑田ようは、江戸時代のごとき趣で
町全体が統一されておるというわけよ。
十手江戸時代……!
邑田そなたにとっては懐かしい風景かもしれんなぁ。
さて……八九や。そなたが案内しておやり。
八九はぁっ!? いや、なんで俺が……!
在坂客人の案内は、大事な仕事。
八九くっ……。
邑田わしらに案内は不向きゆえ、そなたが適任じゃろう。
任せたぞ、八九。
“サボり”はなしじゃ。よいな?
八九はぁ……わかったよ。
やればいいんだろ、やれば。
八九明日はほとんど自由行動の日だったよな?
案内は明日してやる。
主人公【ありがとう】
【よろしくお願いします】
八九集合時間と場所は後で知らせる。
寝坊すんじゃねぇぞ。
十手歌舞妓町自治区──そんなところがあるとはなぁ。
いやぁ、楽しみだ。
十手(江戸みたいな街並みがあるなら……
夢の神社も、自治区の中にあるだろうか……?)
邑田美味い茶屋もたくさんあるゆえ、
明日の朝食は控えめにして、
自治区で食べ歩きとやらをするのも一興じゃぞ。
邑田……おお、そうじゃ。
邑田〇〇よ。
明日、八九が道中に何度「帰りたい」と言うか
数えておいてくれ。
邑田わしは30回に賭けよう。
在坂……在坂は、20回に賭けることにする。
主人公【…………?】
【わかりました……?】
十手…………。

第10話:扉の向こうに……

1日の行程を終えた〇〇たちは、
宿泊先である自衛軍の来客用施設に到着した。

十手へぇ、いい宿だなぁ。
基地の隣にこんな場所があるなんて驚いた。
十手……じゃあ、〇〇君。
俺は隣の部屋だから、
何かあったらすぐに呼んでくれよ。
主人公【ありがとう】
【おやすみ】
十手ああ、おやすみ。

十手何かあったら呼んでくれとは言ったが……。
もし何かあっても、俺じゃあ大した戦力にならない。
十手〇〇君も内心、
頼りにならないって思ってたりするのかなぁ……。
十手……いかん、起きてると悪い方にばかり考えそうだ。
早いとこ布団かぶって寝ちまおう……。
十手…………。

在坂……在坂は失望した。
邑田やれやれ……わしも同感じゃ。
邑田あの十手なる奇銃。
立ち回りは派手派手しいが、とんだ見掛け倒しよ。
邑田八九や、そなたはどう思う。
八九どーでもいい。
口だけのやつに興味ねぇからな。
十手うぅ……!
わかってるさ……俺だって、好きでこんな……!
十手やめてくれーっ!

十手はぁ……はぁ……。
十手ん? ここは……。
十手また……あの神社……!
でも、前よりもはっきりしてる……?
十手境内……鳥居……。
あれは……御本堂か?
十手……?
御本堂が、うっすら光ってる?
十手いや、扉から光が漏れてるのか……。
もしや、あの中に何かあるのか?
十手それに、この光、どこかで……。
温かくて、眩い…………。
十手…………。
十手……そうだ!
この光……似ている……!
十手俺は知っている……これは、
絶対高貴の光……!

十手──はっ!!
十手……朝、か……。
またいつもの夢だった、が……。
十手だけど、はっきり思い出せる。
神社の風景、鳥居、ご本堂の様子……!
ここまで鮮明に覚えているのは初めてだ。
十手日本に来たからなんだろうか。
やっぱり、夢の神社に何かがあるとしか思えない。
あそこが、俺を呼んでるんだ……。
十手あの神社に行けば、
俺も絶対高貴になれるかもしれない……!
十手……今日は、八九君が街を案内してくれるんだったな。
何か手掛かりがあるといいんだが……。

十手おはよう、〇〇君。
主人公【おはよう】
【ちゃんと休めた?】
十手ああ。
部屋は快適だし、ベッドの寝心地もよかった。
八九よう。もう準備はできてるみてぇだな。
んじゃ、朝メシの場所に案内する。
十手おはよう、八九君。
日本の朝ごはん……楽しみだな。
八九別に特別な料理が出るわけじゃねぇぞ。
ごはんに味噌汁、焼き魚、納豆ってところだな。
卵もあるから、卵かけご飯にするのもいい。
主人公【NATTO……!】
【卵かけご飯?】
八九あー、日本式の朝メシは珍しいか。
口に合わなそうなら、パンとベーコン、
スクランブルエッグなんかも用意できると思うぜ。
八九十手は、和食の方がいいか?
十手ああ! ごはんと味噌汁くらいなら
士官学校の食堂でも出るが、安全な生卵は
向こうだとなかなか手に入らないからなぁ!
八九だろうな。
今のうちに食いたいモンは色々食っとけよ。
十手ああ、楽しみだ。
考えただけで腹が減ってきた。
八九お、メシの合図のラッパだな。
八九朝メシ食い終わったら、歌舞妓町自治区に案内する。
土産物屋なんかも多いから、
土産が欲しけりゃ財布を持って来いよ。
十手そいつはありがたい。留守番組のみんなに、
土産をたっぷり買っていかないとなぁ。
十手自治区に行けば、キセル殿にも会えるだろうか。
八九さぁな。若頭の補佐役だから、
そう簡単には会えないんじゃねぇか?
八九俺としては、元世界帝の銃と元レジスタンスっつー
微妙な間柄だし、出くわす前に帰りてぇんだが……。
主人公【(行く前から「帰りたい」だ……)】
【(「帰りたい」1回目……)】

十手ああ、そうだ。
八九君、1つ頼まれてくれないかい?
八九なんだ? 面倒事なら却下だけど。
十手おそらく、そう手間はかからないと思うが……
地図を用意してほしいんだ。
八九は……?
このメニューでチーズはねぇだろ……。
十手いやいや、チーズではなくてな。
地図……その、マップの方だ。
あーゆー、おーけー……だろうか?
八九あー、そっちか。
つーか、普通に日本語でいい。俺は日本の銃だぞ。
十手あ、ハハ……そうだったね。失敬失敬。
八九……地図を用意するのは別に構わねぇ。
朝食のあとで持って来させる。
十手ありがとう、助かるよ。

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