貴銃士ストーリー:エンフィールド

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第1話:あなたのためになりたい

エンフィールドおや、掲示板のスケジュール表が
古いままになっていますね。
貼り替えないと。
生徒1エンフィールドさん、
そういった雑用は我々候補生が……!
エンフィールドお気遣いありがとうございます。
でももう貼り替えたので、大丈夫ですよ。
生徒1さ、さすがです……!
生徒2あの、エンフィールドさん!
授業のことで、相談してもいいですか?
エンフィールドええ、いいですよ!
なんでも聞いてください。
生徒2ここの意味がわからなくて……。
エンフィールドああ、それは───
生徒2───ふんふん、なるほど……!
エンフィールドさんは本当に博識ですね……!
ありがとうございました!
エンフィールドええ! またいつでも声をかけてくださいね。

エンフィールドふぅ。
人に親切にするって、気持ちがいいなぁ!
教官やぁ、エンフィールド君。
今回の試験も素晴らしい結果だったね。
エンフィールド恐れ入ります。
大英帝国が誇る名銃として、
結果を出すのは当然のことです。ええ!
エンフィールドですが、僕1人の力ではありません。
先生方のご指導がわかりやすいおかげですよ。
教官なんと謙虚なんだ……!
君のような素晴らしい貴銃士を生徒に持てて、
恭遠審議官も鼻が高いことだろう。今後も期待しているよ。
エンフィールドふふっ、ありがとうございます。

エンフィールドお疲れ様です、マスター。
今日は冷えますね。
あたたかいお茶をお持ちしました。
主人公【ありがとう】
【いつも気が利いて、すごいね】
エンフィールドあまり大したことはできていませんが、
お役に立てていれば幸いです。
エンフィールドできる限り、マスターのお役に立ちたいんです。
それは、僕自身が決めたことでもあって。
エンフィールドマスターは以前、
僕のことを改造しないとおっしゃってくださいましたよね。
エンフィールドマスターが僕自身のことを認めてくださったことが……
本当に嬉しかったんです。
主人公【エンフィールドはそのままでいいからね】
【改造なんて必要ないよ】
エンフィールドそう言っていただけると、
今でも救われた気持ちになります。
本当に、ありがとうございます……!
主人公【こちらこそ、いつもありがとう】
エンフィールドいえいえ。
……あの、こちらのタオルは畳んでおいてもかまいませんか?

部屋の中のものを手際よく片づけながら、
エンフィールドがふと視線を上げる。

エンフィールドところで、マスター。
お茶はお口に合いましたか?
主人公【美味しかった】
【気に入った! なんのお茶?】
エンフィールドそれはよかったです。
そろそろ就寝前3時間を切りますから、
リラックスや安眠効果のあるハーブティーにしました。
エンフィールドマスターはこのところご多忙で、
あまり眠れていないようでしたから。
エンフィールドでは、おやすみなさい。
主人公【(あれ……?)】
【(寝不足だってこと、話したっけ?)】

不可解な気持ちで、〇〇は
エンフィールドが去っていった後のドアを見つめた。

第2話:世話焼きは走る

エンフィールドお疲れ様です、ジョージ師匠!
今日は何をいたしましょうか?
エンフィールド服の洗濯は済んでいますか?
それとも、肩をお揉みしましょうか?
それとも───
ジョージおいおい、エンフィールド!
ジョージたしかに、おまえが絶対高貴になれるまでは
師匠になってやるって言ったけどさ……。
ジョージおまえはもう絶対高貴になれただろ。
わざわざオレの世話を焼かなくてもいいんだぞー?
ジョージいつも、ホント助かってるけどさ、
他のヤツを気遣うばっかじゃなくて、
自分の好きなことをやれよ!
エンフィールドお気持ちはありがたいのですが、
ジョージ師匠には恩義がありますので。
エンフィールド師匠の望むことをすることが、
僕の望みでもあるんです。それに───
エンフィールドジョージ師匠は色々と危なっかしいので、
僕が見ていないと心配になるんです。
ジョージHAHAHA! それ、よく言われる!
確かにエンフィールドがいないとダメだよ、
オレってさ!
エンフィールドそう言っていただけて嬉しいです。
ジョージ師匠のお世話は、これからも僕にお任せを。
エンフィールド師匠のお望みならば、なんでも叶えますよ!
ええ!
ジョージなんでも……?
ホントになんでもいいのかっ?
エンフィールドも、もちろんです。
絶対高貴になれたんですから、
大抵のことはできる気がするんです。
ジョージじゃあさ、逆立ちしてくれよ☆
エンフィールドさ、逆立ち……?
まさか、そう来るとは思いませんでした。
エンフィールド実は、やったことがないのですが……。
いい機会だし、挑戦してみます。
ジョージそうこなくっちゃな!
エンフィールドえっと……こう、ですか?
よっと……!
ジョージおお! すげーな!
大成功じゃん!!
邑田ほほほ。
初めての逆立ちにしては見事じゃった。鳥羽よ。
ジョージおっ、邑田〜!
エンフィールドまた君か!
だから、僕は鳥羽なんていう名前じゃ……。
邑田まぁ聞くがよい。
ジョージの喜ぶ顔が見たいのなら、
わしに良い案がある。
エンフィールドえっ……?
邑田噂に聞いたのだが、蓬莱の玉の枝という
素晴らしい宝物があるらしくての。
ジョージホーライのタマノエ?
なんだそりゃ?
邑田根が銀、茎が金、実が真珠の木の枝よ。
わしも直接見たことはないのだが、
実に見事な輝きを放っておるそうじゃ。
邑田どうだ?
鳥羽の力をもってすれば、
見つけられるのではないか?
ジョージWow! それ、すごそうだな!
オレも見てみたい!
エンフィールドホーライのタマノエ……ですね?
わかりました!
エンフィールドジョージ師匠のお望みとあらば、
必ず僕が見つけ出してみせる───っ!
では、行ってきます!
ジョージおう、気をつけてなー……って、
あいつ、どこに行く気だ?
邑田ほっほっほ。いつ見ても、面白い奴じゃの。
ジョージなぁ、邑田。そのホーライなんとかは
どこに行けば見つかるんだ?
だいたいの場所でいいから、エンフィールドに教えないと。
邑田蓬莱の玉の枝のことか?
そんなものは、いずこにも存在せぬはずだが。
ジョージえっ……!?
邑田とあるおとぎ話に登場する、架空の宝物じゃ。
いやあ、まさかまったく疑いもせぬとは。
ほっほっほ……!!
ジョージそれって、嘘を教えたってことじゃねーか!
ダメじゃん!
ジョージエンフィールドー!
待ってくれー!

第3話:同士のお茶会

シャルルヴィルエンフィールド……!
ちょっといいかな?
エンフィールドはい。なんでしょうか?
シャルルヴィルその……この前、ジョージがね、
君の淹れる紅茶はとっても美味しいって言ってたよ。
エンフィールドえっ? ジョージ師匠がそんなことを?
嬉しいなぁ……!
シャルルヴィルそれで……ボクも紅茶が好きだから、
どんなフレーバーなのかなって。
エンフィールドなるほど。
では、このあとジョージ師匠と3人で
お茶会でもいかがですか?
シャルルヴィルいいの!?
お茶会なんて素敵だなぁ!
エンフィールドでは、準備しておきますね。
シャルルヴィルありがとう。楽しみにしているね。
シャルルヴィルで……ジョージなんだけど、
今日は補習が終わってから来るんだって。
エンフィールドわかりました。
では、先に2人で始めましょうか。
シャルルヴィルうん!
エンフィールド今日はいいお天気ですね。
シャルルヴィルそうだね!
エンフィールドジョージ師匠、遅いですね。
補習がなかなか終わらないのでしょうか。
シャルルヴィルそう……だね。
シャルルヴィル(ジョージの他にも友達にならなきゃって思って、
勢いでエンフィールドに声をかけたんだけど……)
シャルルヴィル(どうしよう……会話が続かない)
エンフィールドそういえば、
シャルルヴィルさんはどんなお菓子が好きですか?
シャルルヴィルやっぱり、マカロンかな。
エンフィールドああ。美味しいですよね。
シャルルヴィルうん。街に美味しい店があってね!
中でもおすすめのフレーバーは、
木苺とピスタチオかな!
エンフィールドへぇ……そうなんですね。
シャルルヴィルあ……ごめん。
ボクの好みとか、あんまり興味ない話題だったよね。
エンフィールドいえ、別にそういうわけでは……。
シャルルヴィル&エンフィールド…………。
シャルルヴィル(また気まずくなっちゃった……。
なんとか共通の話題を見つけて、
ジョージが来るまで間を持たせないと)
シャルルヴィル(ボク達の共通の話題といえば……そうだ!)
シャルルヴィルそういえば……、この前ジョージが教室の掃除中に
バケツをひっくり返して、大変だったんだ。
エンフィールドえっ! そんなことがあったんですか?
シャルルヴィルボクの当番を手伝うために来てくれたのに、
部屋中が水浸しになって、結局全部やり直しで
……思わず笑っちゃったよ!
エンフィールドあっはっは……!
ジョージ師匠らしいですね……!
シャルルヴィル(今度は食いついてくれた! よかったぁ!)
エンフィールド僕もこの前、師匠に料理を手伝ってもらったら、
包丁の使い方が斬新過ぎて驚きました。
エンフィールド食材を切る時は猫の手にしてくださいと言ったら、
なぜか猫の鳴きマネを始めて……!
エンフィールド料理はロクに進みませんでしたけど、
師匠といると笑いが絶えなくて面白いです!
シャルルヴィルその気持ち、すごくわかるよ!
ボクもジョージと街に出かけた時───
エンフィールドわかります!
僕も師匠との任務中に色々ありましたから。
例えばこの前の任務では───

ジョージやっと補習終わったぜー。
2人とも、待たせたなっ!
エンフィールドそれで、その後がですね……!
シャルルヴィルあはあはっ!
ジョージおっ? 2人ともすげぇ盛り上がってる!
仲良くなったんだな!
シャルルヴィルうん!
楽しかったよ、ジョージ!
エンフィールドええ!
お疲れ様です、ジョージ師匠!
エンフィールドジョージ師匠の話で、すごく盛り上がりましたよ!
話したいことがたくさんあり過ぎて、
時間が足りないくらいです。
ジョージオレの話? 何だか恥ずかしいな……
どんな話をしてたのか教えてくれよ!
シャルルヴィル(ずっとジョージの話題ばかりだったけど……
エンフィールドと会話が弾んだ)
シャルルヴィル(……仲良くなれたってことで、
いいんだよね?)

第4話:面倒見の良い優等生

ある日の放課後のこと───。

エンフィールド(授業が終わったけど……。
今日はマスターもジョージ師匠も任務で不在だし、
何をしようかな?)
恭遠すまないが誰か、今日の授業のプリントと課題を
ジーグブルートに届けてくれないか?
エンフィールドああ、自室謹慎でしたね。
それなら僕が届けますよ。
恭遠エンフィールドか。
いつもありがとう、助かるよ。
エンフィールドお安い御用です。
彼の欠席は度々あることですが、
今回はどうしたんですか?
恭遠ああ、それはだな───

エンフィールド(また一般生徒を殴って自室謹慎になったのか。
これで何度目だろう……?)
エンフィールドジーグブルートさん! 入りますよ。
ジーグブルート……あ? 何の用だ、てめぇ。
エンフィールド授業のプリントと課題を持ってきたんだ。
ほら、受け取って。
ジーグブルートそこに置いとけ。
さっさと帰れよ。
エンフィールド……!
エンフィールド君さ、その態度はちょっとひどいんじゃない?
そもそも、ちゃんと反省しているのかい?
ジーグブルートあぁ? 俺が、何を反省するってんだ?
エンフィールドもちろん、人を殴ったことについてだよ。
私闘や暴力は禁止だって、
士官学校では何度も教わっているだろう?
エンフィールド君がそんな風だから、
プリントを届ける役目だって、
僕以外、誰も手を挙げてくれないんだよ。
エンフィールド変わろうという想いが大事だからね。
ちゃんと反省して、
明日から人に好かれる貴銃士になろうよ。
ジーグブルート…………。
エンフィールドほら、返事くらいしようよ?
僕が君のためを思っているのに無視だなんて、よくないと思うな。
ジーグブルート……違ぇだろ。
エンフィールドえっ……?
ジーグブルートてめぇは俺のことなんて思っちゃいねえよ。
……たとえばよ。俺がなんで人を殴ったかって理由、
知ってんのか?
エンフィールドそっ、それは……。
君が何かにイライラしていて、
相手に八つ当たりしたんじゃないのか……?
ジーグブルートハッ。ほら見ろ。
何も知らねぇくせに偉そうなこと言ってんじゃねーよ。
ジーグブルートお前は俺を利用してんだよ。
『誰にも相手にされない爪弾き者にも構ってあげる優しい僕』
になるためにな!
エンフィールドそ……そんなことない!
僕は本当に、君のことを心配して……!
ジーグブルート思ってもねぇ綺麗事なんざヘドが出る。
とっとと失せろ。
エンフィールド…………そう。
ジーグブルート……?
意外とあっさり出ていきやがったな。

エンフィールド何も知らねぇくせに……か。
その言葉、そっくりそのままお返しするよ。
僕の気持ちなんて、何もわからないくせに。
エンフィールド……人の善意を受け取れない人って、
かわいそうだね。

第5話:スナイダーの栄養補給

スナイダー───作戦終了。
ふん、つまらん敵ばかりだったな。
スナイダーさて、と……。
こんな場所に長居は無用だ。
さっさと撤収───
エンフィールドスナイダー。
スナイダーなんだ、エンフィー……
スナイダーんぐっ!?

スナイダーが振り向いたとたん、彼の口の中に
エンフィールドがチーズを突っ込んだ。

スナイダーう……なんだこれは。
エンフィールドあ、吐き出しちゃだめだよ?
そのチーズはすごく栄養価が高いんだ。
味が無理なら、とりあえず飲み込んでくれ。
スナイダー……腐った乳の匂いがする……気分が悪い。
エンフィールドそうかい。
じゃあ、次はこっちだよ。
スナイダー……っ!?
なんだ、この草の棒は……!
おい、むぐっ……!

文句を言おうとするスナイダーの口に、
エンフィールドは次々と野菜スティックを
放りこんでいく。

スナイダー…………。
エンフィールドそうそう、よく噛んで。
よく噛まないで飲み込むと、消化に悪いらしいから。
スナイダー……無理だ、雑草の味がする……。
エンフィールド雑草なんて食べたことがないだろ。
はい、次はこれ飲んで。
スナイダーその水筒の中身はなんだ……?
エンフィールドただのお茶だよ。
ほら、飲んで。
スナイダー……ん……普通の茶だな……。
エンフィールド疑うなんて酷いな。
初めからそう言ってるだろ?
スナイダー次々と口の中に食い物を突っ込まれてみろ。
疑いたくもなる。
……というか、今のはなんだったんだ……。
エンフィールド君が倒れてマスターたちに迷惑をかけないよう、
高栄養のものを色々持ってきたんだ。
これで、ここでの僕の仕事は終わり!
スナイダーはぁ……?
エンフィールドそれじゃあ、ジョージ師匠のところへ戻るから、
スナイダーはマスターの言うことをよく聞いて
いい子で待機してるんだよ。
スナイダー……おい待て、エンフィールド。
エンフィールドなんだい?
スナイダー……俺が何体倒したか見ていたか?
エンフィールドえ? ごめん。見てなかったよ。
ジョージ師匠のフォローをしててさ。
スナイダー…………。
エンフィールド───あっ!
ジョージあれ? 迷っちまったかなぁ?
誰もいないや……。
エンフィールドジョージ師匠ーっ! お疲れ様です!
今そちらに行きますね!
スナイダー、じゃあね!
スナイダー…………。

 

第6話:誕生秘話?

───大規模作戦中。
エンフィールドはジョージと共に戦闘に加わっていた。

アウトレイジャーたち殺セ……殺セ……ッ!
エンフィールド大英帝国の誇りにかけて、ここは1歩も通さない!
ジョージああ、行くぞエンフィールド!
エンフィールドあ、待ってください!
ジョージなんだ!? 別の敵か!?
エンフィールドいえ、ジョージ師匠は実銃の性能が低いので、
戦場では後ろに下がっていてくださいね!
ジョージおう!
……おう?
ジョージいやいや、そんなことないぞ?
オレだって絶対高貴で戦えるし!
エンフィールドでも、ジョージ師匠は僕より射程距離も短いし、
ライフリングもなくて命中率も低いですし……。
ジョージうぅっ……!
エンフィールドその点は僕が作られた際も、
色々と話題に出ていたらしいですよ。
たとえば……。

エンフィールド銃が開発された当時───

エンフィールド銃を制式採用するか、
軍部内でプレゼンテーションが行われていた。

研究員こちらのエンフィールド銃の特徴は、
射程距離がこれまでの銃と比べ
飛躍的に向上していることです。
研究員また、こちらのプリチェット弾を使用しているため、
掠めただけでも、大きな負傷を与えることが可能です。
軍部関係者1プリチェット弾……ミニエー弾と類似のものだな。
研究員ええ。
この弾は、銃身の内径より小さいため、素早い装填が可能です。
発射時はガス圧で後部が膨らみ、ライフリングと密着します。
軍部関係者2ほう……。
研究員それによって弾丸の初速が早まり、
ライフリングによる回転の効果も十分に得られるため、
射程距離も命中率も非常に高水準なのです。
軍部関係者1フランスのミニエー銃と比べて、
性能は向上しているのだろうな?
研究員もちろんです。
改良を加えましたし、製造はエンフィールド造兵廠。
設計通りの高水準な銃の大量生産が可能です。
軍部関係者2工場の技量によっては、
設計はよくとも実際に名銃になるとも限らん。
しかしその点、世界の工場大英帝国であれば問題ない。
軍部関係者1……よし。
早速、実戦投入して検証をしたまえ!

その後、戦場でその性能の高さが認められたエンフィールド銃は、
イギリスの制式銃として活躍することとなったのだった。

軍部関係者3エンフィールド・ライフル……。
ブラウン・ベスの名を継いで、
大英帝国の名に恥じぬ銃になるのだぞ……!

エンフィールド……ということがあったに違いないんですよ!
いえ、あった気がします……!

熱く語り終えたエンフィールドが振り向くと……。
すでに戦闘は終わり、撤収が始まっていた。

エンフィールドええっ!? そんなまさか……!
僕の活躍を見せる前に終わってしまうなんて……!
そうだ! ジョージ師匠は……!?
ジョージむにゃむにゃ……ぐう。
エンフィールドなんでこんな場所で寝てるんですか……!
もしや、僕の輝かしい開発秘話も聞いてない?
師匠!? 起きてください、師匠一っ!

第7話:彼らの友情

───世界帝の圧政が始まる以前。
とある史跡で「エンフィールド銃」の
デモンストレーションが行われていた。

スタッフここに火薬を入れ、狙いを定めて……。
GOD SAVE THE QUEEN!

レッドコートを着込んだスタッフが撃った弾は、
ものの見事に的に命中し、周囲から拍手が沸き起こる。

少年1その銃、すっげーな!
俺も撃ってみたい……! ねぇ、撃たせてよ!
スタッフハハッ、そうだなぁ……。君がもう少し大人になって
それでもこのエンフィールド銃のことを覚えていたら
いつか撃てるチャンスがあるかもね。
少年1覚えてる! 俺、必ず覚えてるよ……!
大人になるまで、そのエンフィールド銃、
絶対に壊さないで大事にしてよ!
スタッフイエッサー!
またエンフィールド銃に会いに来てくれよな!
少年1うん! また来るよ……!

───平和な世界で、史跡のスタッフや観光客に
愛されていたエンフィールド銃だったが……。

革命戦争が始まると、レジスタンスの手に渡り、
スナイダー銃と共に実戦で使われることになった。

レジスタンス2おーい!
助太刀にきたぞーっ!
レジスタンス1お前……!
気持ちは嬉しいが、ここは戦場だ。
手ぶらじゃ───
レジスタンス2大丈夫だ、ちゃんと銃がある。
ほら!
レジスタンス1スナイダー銃じゃないか!
そんなもの、どうしたんだ?
レジスタンス2イギリスの博物館からもらったんだ!
そういうお前は、どうやって手に入れたんだ?
そのエンフィールド銃を。
レジスタンス1子供の頃、史跡でデモンストレーションに
使われていた銃があったことを思い出して行ってみたら、
まだあったんだ!

───こうして、幼い頃に触れたかった
エンフィールド銃を手にした、あの日の少年。

彼はそのエンフィールド銃を、
ただの武器ではなく、宝物のように大事にしていた。
しかし───

レジスタンス1おいっ!
前に出るな! 狙われるぞ!
世界帝軍2おっと。
レジスタンスの子ネズミが飛び出してきたぞ!
ははっ、わざわざ撃たれに来やがって!
レジスタンス2あ……。
レジスタンス1───危ないっ!!
レジスタンス2うわっ!
世界帝軍2死ね死ね死ねーっ!
レジスタンス1ぎゃあっ……!

エンフィールド銃の持ち主は、
スナイダー銃の持ち主をかばって銃弾に倒れた。

レジスタンス2……っ!
な、なんてことだ……。
レジスタンス2しっかりしろ!
くそっ、なんでこんなバカな真似をしたんだ……!
俺なんかをかばって撃たれるなんて───!
レジスタンス1逃げろ……。
そして、お前は……、生きて……、
俺たちの、目指した……新しい世界を───……。
レジスタンス2おい! 目を開けろっ!
なぁ、聞こえてるんだろ?
だったら、目を開けてくれ……!

その後、訪れる平和な世界を見ることなく、
エンフィールド銃の持ち主は仲間に未来を託し、
絶命したのだった……。

第8話:いつも傍らに

エンフィールド〇〇さん、授業お疲れ様です!
これから報告書作成と聞いて、お手伝いに参りました!
エンフィールドあ、でもその前に……
マスターが恭遠教官に頼まれていた資料収集は、
僕がやっておきますね!
主人公【ありがとう】
【助かるよ】
エンフィールド僕は、マスターの快適な生活を支える
お手伝いができれば嬉しいので!
エンフィールド貴銃士として、マスターの手足となる。
それは普通のことですし……。
お礼や遠慮など無用ですよ、ええ!

───別の日。

エンフィールドああ、書類が少し溜まっていますね。
〇〇さんは色々とお忙しいと思いますし、
僕が片づけておきますね。
主人公【いつもありがとう】
エンフィールドいえ!
マスターのお役に立てることが僕の喜びです。
早く片づけてお茶にしましょう!

───また別の日。

エンフィールド〇〇さん!
水分補給はしっかりしていますか?
まだでしたらこちらをどうぞ!
主人公【気が利くね】
【ちょうど飲みたいと思ってた】
エンフィールドそう言っていただけて嬉しいです!
それで……味はどうですか?
スナイダーに飲ませても無反応なのでわからず……。
エンフィールド蜂蜜を入れたレモン水です!
疲労回復に効果があるとのことですので、
お疲れのマスターに効果的かと思いまして!
主人公【美味しい!】
【さっぱりしてていいね】
エンフィールドありがとうございます!
では、次はこちらの高栄養の───

───1ヵ月後。

エンフィールド……マスター、机の上がずいぶんと散乱してますが、
何か探し物ですか?
主人公【爪切りが見当たらなくて……】
エンフィールドそれでしたらこの引き出しに───
ああ、ありました。どうぞ!

差し出された爪切りを受け取ろうとした〇〇だが、
エンフィールドが少し手を引っ込めてしまう。

エンフィールド深爪してしまってはいけませんし、
よろしければ、僕が爪を切って差し上げましょうか?
形も綺麗に整えられますよ!
主人公【そこまではちょっと……】
【自分でできるから大丈夫】
エンフィールド……そうですか……。
エンフィールドそれでは、お茶を淹れてきますね。
……そうだ、爪やすりは窓際のボックスの中ですよ。
忘れずにきちんとかけてくださいね。

エンフィールドお待たせしました!
今日のお茶はリラックスできるよう、
カモミール入りのハーブティーですよ。
エンフィールドもちろん、ミルクティーも用意してあります!
ミルクと紅茶の配分の好みはありますか?
マスターの飲みたい方をどうぞおっしゃってください!
主人公【いつも世話になって申し訳ない】
【どうしてそんな親身になってくれるの?】
エンフィールド〇〇さんの支えになれることが
僕の喜びですから!
エンフィールド……ですから遠慮せず、
もっと、もっと頼ってください。
頼られれば頼られるほど、嬉しいんです。
エンフィールド僕はいついかなる時もあなたのそばにいて、
1番の支えになりますから。
マークスくんにも負ける気はありません。
エンフィールドええ。そう。いつ、いかなる時も……。
エンフィールド……なんて、ちょっとしたプロポーズみたいですね。
ふふっ。

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