シャルルヴィル | マドモアゼル・シャルロットは マスパンのお鼻〜歯はシロップ漬けで〜♪ ……ん? |
---|---|
生徒1 | はぁ……。 |
シャルルヴィル | 君、大丈夫? ずいぶん落ち込んでいるみたいだけど。 |
生徒1 | あ……! い、いえ……。 先ほどの訓練で、私の落ち度で 班のメンバー全員の得点が下がってしまって……。 |
生徒1 | あの時のミスがなければ……と思うと、 悔しくて、悔しくて……。それで……。 |
シャルルヴィル | なるほどね……でも、そんなに自分を責めないで。 そうだ、この花をあげる。 |
シャルルヴィル | ちょうど、教室に飾ろうと思って 摘んできたところだったんだ。はい、どうぞ。 |
生徒1 | これは、カモミールですか……? |
シャルルヴィル | そう。カモミールの花言葉は、逆境に負けない強さ。 逆境の中で咲く花は、どの花よりも貴重で美しい。 |
シャルルヴィル | 大丈夫! 君はもっと強くなれるよ。 |
生徒1 | あっ、ありがとうございます! 私、これからもっと頑張ります……! |
シャルルヴィル | De rien! |
主人公 | 【すごいね】 【花言葉をよく知ってるね】 |
シャルルヴィル | あ、マスター! もしかして、今の見てた? 褒められるのは嬉しいけど、 ボクはやるべきことをやっただけだよ。 |
シャルルヴィル | ロジェ様に教わったんだ。 高貴なる者はいついかなる時でも、 相応の義務を果たすべきだって。 |
シャルルヴィル | ノブレス・オブリージュだね。 困っている人を助けるのは当然だよ。 |
シャルルヴィル | そうだ、マスター。 この後、ちょっとだけ付き合ってくれないかな? |
シャルルヴィル | 今の時期は、綺麗なユリが たくさん咲いているね。 |
---|---|
主人公 | 【本当だ】 【綺麗だね】 |
シャルルヴィル | 色によって、花言葉も違うんだ。 白いユリは無垢。赤いユリは清らかさ。 黄色いユリは、愛の誇り。 |
シャルルヴィル | ……リリエンフェルト家の庭園には、 本当にたくさんの花があった。 |
シャルルヴィル | 花壇に咲く花や贈られてくるブーケの花言葉、 全部覚えたんだ。 ロジェ様が望む、完璧な貴銃士であるために。 |
シャルルヴィル | 色々なことがあったけど……。 初めてロジェ様にその努力を認めてもらえた時は 本当に嬉しかったな。 |
シャルルヴィル | ふふ……過去を穏やかに思い返せるようになったのは、 〇〇やみんなのおかげだね。 あの時手を差し伸べてくれて……本当にありがとう。 |
シャルルヴィル | ……マスターはさ、「完璧な貴銃士」って どんな貴銃士だと思う? |
シャルルヴィル | 気高さとか、高貴な振る舞いは当然として─── 自分でも考えてみたんだけど、 何かが足りない気がして。 |
シャルルヴィル | ボクはマスターが望む貴銃士になりたいんだ。 君が考える「完璧な貴銃士」、教えてよ。 |
主人公 | 【シャルルがなりたいものになって】 【完璧じゃなくていいから自由に生きて】 |
シャルルヴィル | それって……。 ボクが好きに決めるってこと? |
シャルルヴィル | 〇〇の望む貴銃士が、 ボクのなりたいものなんだけど……。 |
シャルルヴィル | ごめん、君のこと困らせちゃったみたいだ。 今の話は気にしないで。 |
シャルルヴィル | 今日は楽しかったよ。 ありがとう、〇〇。 |
シャルルヴィル | ジョージ。 今日の授業が終わったら、街に行かない? |
---|---|
ジョージ | ああ、いいぜ! どこ行く〜? |
シャルルヴィル | 気になってるお店があるんだ!スイーツの美味しい店で、クレープの種類がたくさんあるんだよ。 |
数日後───。
シャルルヴィル | ジョージ。 今度の週末、出かけない? |
---|---|
ジョージ | もちろんOKだぜ! 今度はどこ行く? |
シャルルヴィル | 今週はいつものお店で、 スイーツビュッフェをするみたい。 新作はフォンダン・オ・ショコラで─── |
1週間後───。
シャルルヴィル | ジョージ。 今週末、またあのカフェに行かない? |
---|---|
ジョージ | OK! ついでにバーガーも食べようぜ! |
シャルルヴィル | うん、いいよ。 ジョージは、本当にハンバーガーが好きだね。 |
ジョージ | おう! 何回食べてもあれは美味い! あっ、でも、シャルルが連れてってくれる店の マカロンも美味いよな。 |
シャルルヴィル | マカロンは色々なバリエーションがあるから 飽きないよね。 ボクの最近のお気に入りはピスタチオで─── |
さらに数日後───。
シャルルヴィル | ねぇジョージ。今日は何する? |
---|---|
ジョージ | あ、悪い。 今日はスナイダーと約束があるんだ。 |
シャルルヴィル | えっ!? スナイダーと? 何をするの? |
ジョージ | ああ、一緒に屋根に上るんだ! いいだろ。シャルルも来るか? |
シャルルヴィル | ……や、屋根に……!? ボクはいいよ。 楽しんできてね。 |
ジョージ | そっか! シャルルもオレとばっかりじゃなくて、 たまには他の奴と遊べよ〜! |
シャルルヴィル | ほ、他の友達……? |
ジョージ | おう。シャルルにだっているだろ? オレはライク・ツーとトランプしたり、 十手と買い物に行ったりしてるぜ。他にも─── |
シャルルヴィル | そう……。 ジョージって、友達多いんだね。 |
ジョージ | あいつらとは任務で一緒になる時も多いけど、 休みの日に遊ぶと、意外なところが わかっておもしれーんだよな。 |
ジョージ | この前なんか、マークスの奴が……って、 やべっ! もうこんな時間だ。 スナイダーに置いていかれる……! |
ジョージ | 悪い、シャルル。 またな! |
シャルルヴィル | ……他の友達、かぁ。 そういえばボク、ジョージ以外の友達っていないかも……。 |
シャルルヴィル | お屋敷にいた頃は人付き合いも限られていたし、 社交界は表面的な会話ばかりだったし……。 難しいな……。 |
シャルルヴィル | ボクも新しい友達を作ってみた方がいいのかな? 〇〇も「自由に」って言ってたし。 |
シャルルヴィル | もしかしたら〇〇は、 そういう貴銃士を望んでいるのかも……! それなら、少しずつ頑張ってみよう。 |
ジョージに他の友達と遊んではどうかと言われた
シャルルヴィルは、ある休日の朝、
スプリングフィールドの部屋を訪ねてみた。
スプリングフィールド | 何か、僕にご用でしょうか……? |
---|---|
シャルルヴィル | うん! あのね…… えっと、よかったら街に遊びに行かない? 移動遊園地が来てるんだって。 |
スプリングフィールド | ……移動遊園地……。 |
シャルルヴィル | うん! ボクも行ったことはないんだけど、 すごく楽しいって話題なんだ。 ね、行こうよ! きっと楽しいよ! |
スプリングフィールド | 僕は……遠慮しておきます。 |
シャルルヴィル | えっ……。 |
シャルルヴィル | …………。 はぁ……。 |
---|
───ドサッ!!!
シャルルヴィル | うわあぁぁっ!? |
---|---|
ペンシルヴァニア | ……おっと。 |
シャルルヴィル | ペ、ペンシルヴァニアさん……!? 今、上から降ってきましたか!? |
ペンシルヴァニア | すまない……。 木の上で昼寝をしていたら、 ついうっかり落ちてしまった。 |
シャルルヴィル | ひ、昼寝! 木の上なんかでよく眠れますね……!? |
ペンシルヴァニア | 俺の昔の持ち主は、開拓民だったからな。 野宿には慣れている……。 |
シャルルヴィル | そ、そうなんですか……。 |
シャルルヴィル | (野宿……? 木の上で寝るのは野宿なのかな……!?) |
ペンシルヴァニア | ……本当にすまなかった。 驚かせてしまったお詫びをさせてほしい。 |
ペンシルヴァニア | これ、食べるか? キイチゴだ。 森に自生しているもので、美味しいぞ? |
シャルルヴィル | ……あ、ありがとうございます。 じゃあ、少しだけ……んむっ! |
シャルルヴィル | (すっ、すっぱ〜!) |
ペンシルヴァニア | ふふ。すっぱいか? |
シャルルヴィル | いえ、そんなことは……って、すっぱいって わかっててボクに渡したんですか!? |
ペンシルヴァニア | ははっ、悪かった。 今度ジャムにしてみるよ。 |
シャルルヴィル | はぁ……ぜひそうしてください。 |
ペンシルヴァニア | ───なぁ、少しだけ話をしてもいいか? ケンタッキーのこと、なんだが……。 |
シャルルヴィル | ケンタッキーですか。 彼はペンシルヴァニアさんの弟分なのに、 いつも態度がこう……トゲトゲしていますよね。 |
ペンシルヴァニア | ああ……そうなんだ。 俺にとってケンタッキーは、 可愛い弟分なわけなんだが─── |
ペンシルヴァニア | この前、一緒に狩りに行こうと誘ったら 「気安く話しかけるな」と言われてしまってな……。 |
ペンシルヴァニア | どうもいつも俺に対して反抗的で…… 仲良くなりたいんだが、どうやって 距離を縮めたらいいのかわからないんだ……。 |
シャルルヴィル | そうなんですか……。 |
シャルルヴィル | その気持ち、少しわかります。 ボクも、スフィー……スプリングフィールドのことを 弟みたいに思っていて……。 |
シャルルヴィル | だから、本当はもっと仲良くなりたいんですが、 どうもすれ違ってる感じで……。 |
シャルルヴィル | 今朝も遊園地に遊びに行こうと誘ったんですが、 断られてしまって。 |
ペンシルヴァニア | そうか……。 お前も、俺と同じようなことで悩んでいたんだな。 |
ペンシルヴァニア | だが、スプリングフィールドは お前を嫌ってるわけじゃないさ。 |
ペンシルヴァニア | あいつはたまに落ち込む癖があるんだ。 楽しい時間を、自分のせいで台無しにしたくないって 思ってるのかもしれないぞ。 |
シャルルヴィル | そっか……。 スフィーは優しい性格ですからね! |
シャルルヴィル | それを言うなら、 ケンタッキーだって、ペンシルヴァニアさんを 嫌っているわけじゃないと思います。 |
シャルルヴィル | 素直になれないだけで、本当は 同じスナイパーであるあなたを 尊敬しているのが伝わってくる。 |
シャルルヴィル | そうだ。「一緒に行こう」じゃなくて、 「狩りの勝負をしよう」とか言ったら 素直に乗ってくるんじゃないですか? |
ペンシルヴァニア | なるほど……その手があったな。 今度、実行してみるか。 |
ペンシルヴァニア | シャルルヴィル。 お前もスプリングフィールドと ゆっくり話してみたらどうだ? |
ペンシルヴァニア | 急に遊びに誘われて、あいつも戸惑ったのかもしれない。 そのあたりをじっくり聞いてみたらどうだ。 |
シャルルヴィル | ……なるほど。そうですね。 |
シャルルヴィル | じゃあ、お互いに実行して、 また結果報告し合いましょうか! |
ペンシルヴァニア | ああ、そうしよう。 じゃあ、また報告する。 |
シャルルヴィル | ボクも楽しみにしています! |
シャルルヴィル | このメンバーで遠征って、なんだか珍しいね。 |
---|---|
シャルルヴィル | フランス出身、イギリス出身の貴銃士たちだけの編成なんて。 ジョージも一応、生まれはイギリスだし。 |
グラース | ……ふん。 〇〇から頼まれなきゃ こんな面倒くせぇ任務、即行断ってたぞ。 |
シャスポー | ああ、僕も同意だな。 ただでさえ面倒な遠征なんだから、 足を引っ張らないでくれよ。君たち。 |
エンフィールド | まぁまぁ、たまにはこういう任務も 結束が深まっていいんじゃないですか? な、スナイダー。 |
スナイダー | ……興味ない。 俺は俺の力を試せるならばそれでいい。 |
エンフィールド | はぁ、また君ってやつは。 勝手な行動は慎んでくれよ! |
ジョージ | なぁなぁ〜! オレ、腹減ったんだけど。 街はまだなのか? バーガーが恋しいぜ……。 |
シャルルヴィル | 地図では、まだまだ先みたいだなぁ。 でも確かに、お腹が空いたね……。 |
エンフィールド | ジョージ師匠、申し訳ありません……! 僕がもっと気を利かせて、食糧を持ってきていれば! |
スナイダー | 食い物なら、そこにあるだろう。 |
そう言ってスナイダーが指差した草むらには、
───1匹のカエルがいた。
シャルルヴィル | かっ、カエル……!? |
---|---|
ジョージ | えっ? カエルって食えるのか? |
スナイダー | フランスではカエルを食うと聞いた。 俺はいらないから、おまえらに譲ってやる。 |
シャスポー | はぁっ!? ちょっ……カエルを投げるなっ! 君、無礼な言動も大概にしたまえ! |
シャスポー | いいかい? フランスにグルヌイユ料理はあるけど、 あれはきちんと飼育された食用のカエルだ! |
グラース | 僕のような上流階級の貴銃士が こんな得体の知れないその辺のカエルを 食うわけねぇだろ! バカめ! |
シャスポー | まったく……君みたいな野蛮なイギリス銃にこそ、 このカエルがふさわしいんじゃないのか。 |
グラース | ほら、食ってみろよスナイダー。 そのへんの痩せガエルでも、 イギリスの貧相な食事よりはマシな味かもな。 |
スナイダー | ……ほう? 喧嘩が望みか。 かかってこい、再起不能にしてやろう。 |
シャスポー&グラース | それはこっちの台詞だっ! |
エンフィールド | けっ、喧嘩はやめてくださ……っ! |
エンフィールド | ウグゥッ!! |
スナイダーとグラースが突き出した拳が、
仲裁に入ろうとしたエンフィールドの
みぞおちを運悪く直撃してしまう。
ジョージ | エンフィールド! 大丈夫かっ!? |
---|---|
エンフィールド | ジョージししょ、う……。 食べ物の恨みは……恐ろしい……です、ね。 |
シャルルヴィル | そういう問題じゃない気がするけど! とにかく止めなきゃ……! |
ジョージ | Wait! おまえらやめろっ! 街に着いたら、オレがバーガー奢ってやるから〜! |
数分後、どうにか騒ぎをおさめた
シャルルヴィルとジョージは、
ぼんやりとその場に座り込んでいた。
ジョージ | ふぅ……。 どうにかおさまってよかったぜ。 |
---|---|
シャルルヴィル | うん……おさまったのはいいけど、 今度はみんなで食糧を探しに行っちゃったね。 「どっちが多く獲れるか勝負」って……。 |
ジョージ | HAHAHA! まぁいいんじゃねーか? エンフィールドもついてるし、 変なことにはならねぇだろ。 |
シャルルヴィル | だといいけど。 イギリスとフランスはずっと前から いがみ合ってはきたけど、喧嘩しすぎだよ……。 |
ジョージ | まぁ……色々あったからな。 あいつらもだけど……オレたちも。 |
シャルルヴィル | 昔の話、か。 確かに、フランスとイギリスは 長い歴史の間で何度も争ってきたからね。 |
---|---|
ジョージ | ただ海を挟んでるだけの隣国だってのに、 なんであんなに仲悪いんだろうな? |
シャルルヴィル | うーん、なんて言えばいいのかな。 単に仲が悪いっていうだけじゃなくて、 不思議な関係だよね。 |
シャルルヴィル | かれこれ100年以上も戦争を続けた間柄だけど、 今は一応穏やかなものだし…… 敵っていうより、ライバルって言う方がしっくりくるかも。 |
ジョージ | What!? 100年以上も戦争やってた時代もあったのか。 |
シャルルヴィル | うん。百年戦争のことだよ。 アメリカ独立戦争の前だから、 ジョージは知らないんだね。 |
シャルルヴィル | 島国のイギリスは大陸への領土拡大を目指して戦い、 フランスはイギリスの勢力拡大を阻止しようとした。 |
シャルルヴィル | クレシーの戦いから始まって、 カスティヨンの戦いが終わるまで、 途中で休戦しながらも116年かかったんだよね。 |
ジョージ | 116年……! Unbelievable! オレだったら途中で飽きちゃいそうだよ。 |
シャルルヴィル | その後も領土や王室、外交問題なんかから、 両国は何度も争っていたわけだけど─── |
シャルルヴィル | フランスとイギリスはその後、 また100年続く戦争をするんだよね。 |
ジョージ | またか! そこまでくるともう、腐れ縁ってヤツだな。 |
シャルルヴィル | そんな戦争の中でボク─── シャルルヴィル・マスケットが開発されるんだ。 ボクはフランス初の制式銃として採用されて……。 |
シャルルヴィル | そのちょっと後にベスくんがイギリスで制式採用されて あちこちで活躍してたから、 ボクたちは何度も戦場で相まみえた。 |
ジョージ | もはや敵っていっても顔見知りだな! |
ジョージ | そんなブラウンとシャルルが、今度は遠く離れた アメリカの地で一緒に戦うことになるなんて、 「まさか!」って感じだよな。 |
シャルルヴィル | アメリカ独立戦争だね……。 フランスはアメリカ側に加勢することになったから、 やっぱりイギリスとは敵対した。 |
イギリス領アメリカ市民1 | イギリスめ……! これ以上の重税にはもう耐えられない。 領主国だからといって、あまりにも横暴だ。 |
---|---|
イギリス領アメリカ市民2 | 代表なくして課税なし、だ。 税はおさめろ、国政には口を出すな……そんなのは 断じて認めてはおけない。 |
イギリス領アメリカ市民3 | 今こそ、イギリスから独立する時だ。 チャンスは今しかない……! |
シャルルヴィル | 当時、イギリスの植民地だったアメリカは、 イギリス本国による課税の強化に苦しんでいた。 |
---|---|
シャルルヴィル | 独立機運が高まるアメリカに手を差し伸べたのが、 当時のフランスだった。 彼らの主な目的は、イギリスの弱体化だった。 |
シャルルヴィル | あの頃のボクが、今みたいに人の姿をしていたら……。 |
シャルルヴィル | 「またイギリスか」 「またブラウン・ベスが相手か」って、 毎回ぼやいていたかもね。 |
ジョージ | そしたらブラウン・ベスも同じように、 「またフランスのヘラヘラ野郎が相手か」 「いい加減飽きた」とか言いそうだな。 |
シャルルヴィル | それなら今度はボクが、 「それはこっちのセリフ!」って返してやる。 |
ジョージ | はははっ! 子供の喧嘩みたいだな、それ! |
シャルルヴィル | ふふっ。本当にそうだね。 さっきのスナイダーとグラースみたいな 殴り合いしたりして。 |
ジョージ | お、やるか? |
シャルルヴィル | あはは、やめてよ。ジョージってば。 |
シャルルヴィル | ……でも、アメリカ独立戦争は……。 「ブラウン・ベス」に大きな傷を負わせたよね……。 |
シャルルヴィル | でも、アメリカ独立戦争は、 「ブラウン・ベス」に大きな傷を負わせたよね……。 |
---|---|
シャルルヴィル | イギリスとアメリカ双方の主力装備として使われたのが、 ブラウン・ベスだったから……「大英帝国を築いた銃」として、 ベスくんはものすごく複雑だっただろうね。 |
アメリカ兵士1 | これがブラウン・ベス……! 本国のマスケット銃か。 |
---|---|
アメリカ兵士2 | いい感触だ。これで戦うぞ! 自由と独立へ向けて、一歩前進だ! |
アメリカ兵士3 | しかし、イギリスの武器でイギリスと戦うっていうのは、 皮肉なもんだぜ。 |
フランス兵士1 | なんの、ブラウン・ベスがすべてじゃない。 こっちには我らがフランスの制式銃、 シャルルヴィル・マスケットがあるんだからな。 |
フランス兵士2 | イギリス最大の植民地の歴史もこれで終わりだ。 この戦い、既に我々が勝ったも同然……! |
ジョージ | …………。 |
---|---|
シャルルヴィル | ベスくんはイギリスの銃として長らく活躍してきた。 そのイギリスの兵士に銃口を向ける…… もしボクが彼だったら、どんな気持ちになっただろう……。 |
ジョージ | ブラウンはクソ真面目だからなぁ。 そこも、あいつのいいところだけど……。 |
シャルルヴィル | ベスくんのことを考えてると、ふと思うんだ。 ジョージが生まれたことで、 苦しんでいたベスくんはすごく助けられたんじゃないかって……。 |
ジョージ | ……ああ、そうだといいな。 何もかも正反対だけど、 オレ、あいつのこと好きなんだ。 |
シャルルヴィル | うん、ボクもだよ。 |
ジョージ | だから……ブラウンのためになれることが、 何より嬉しいんだ! |
シャルルヴィル | …………。 ジョージは本当に真っ直ぐだね。 誰かのために、一生懸命で……。時々、羨ましくなる……。 |
シャルルヴィル | ボクは、自分のことばかり考えてしまうもの。 |
ジョージ | そんなことないだろ。シャルルだって つらい時があったじゃん。 それでも、フランスの人たちのために一生懸命尽くしてきた! |
シャルルヴィル | それって……フランス革命のこと? |
シャルルヴィル | フランス革命か……。 確かにあの時は……うん、結構こたえたなぁ……。 |
---|---|
シャルルヴィル | アメリカ独立戦争は、 フランスにも確実に爪痕を残した。 それは───アメリカへの出兵による財政の悪化。 |
シャルルヴィル | 国庫が危うくなったことで、アメリカと同じく 重税に苦しむようになったフランス市民が蜂起して 王権を拒絶した。 |
シャルルヴィル | 課税や特権階級の在り方に不満を抱いていた人々が、 ついに革命を起こしたんだ。 |
パリ市民1 | みんな、前へ進め……! もう後戻りはできない。 銃を手に取り、戦うんだ。 |
---|---|
パリ市民2 | 旧体制(アンシャンレジーム)を打ち破ろう。 これからは自由と平等の時代だ! |
フランス軍関係者1 | まずい、まずい! パリ市民の群衆が、廃兵院の小銃を奪ったらしい! その数約3万挺にのぼるとか! |
---|---|
フランス軍関係者2 | シャルルヴィル・マスケットか! あの市民たちが武装して押し寄せてくるなんて……! これは大変な革命になるぞ! |
フランス軍関係者3 | い、いっそ我々も、革命に加わるのはどうだ? 大砲を用意し、国王を倒す……! |
シャルルヴィル | 軍隊の一部も革命に加わって…… バスティーユ牢獄を襲撃した時には、 民衆も軍隊並みの装備で戦ったんだ。 |
---|---|
シャルルヴィル | もちろん、マスケット銃であるボクも、 フランス軍とパリ市民、両陣営の武器として 多くの戦場で使われた。 |
ジョージ | 辛いよな…… 自分が生まれた国の人たち同士で、争うことになるなんて。 |
シャルルヴィル | 自国民同士の争いを見ているのは 確かに悲しいことだけど、長い目で見れば、 必要な歴史だったのかな……と思う。 |
シャルルヴィル | 絶対王政は、いつまでも続かない。 パリの人々の強い意志は、 銃であるボクにも伝わってきたから……。 |
ジョージ | そっか。 にしても、こうやって考えてみると、 オレたちは本当にどこまでも縁があるよな。 |
シャルルヴィル | そうだね。 ボクたちの縁は戦争の歴史でもあるけれど……。 悪い思い出ばかりじゃなかった気がするよ。 |
エンフィールド | ジョージ師匠! シャルルヴィルさん! 食糧が手に入りました〜! |
ジョージ | おっ。あいつら、やっと帰ってきたな。 |
ジョージ | これからは楽しくやろうぜ! たまには喧嘩してもいいけど、仲直りしてさ。 |
シャルルヴィル | うん、そうだね。 これからの未来のことを、ボクも考えてみるよ。 |
ジョージ | おーい! メシってなんだよ、エンフィールド〜! |
シャルルヴィル | 未来のこと、か……。 |
シャルルヴィル | 今日は付き合ってくれてありがとう。 休日に〇〇と カフェでゆっくりできるなんて、嬉しいな。 |
---|---|
主人公 | 【この間はお疲れ様】 【最近大変だったみたいだね】 |
シャルルヴィル | 前回の遠征は、本当に大変だったよ。 まさかカエルがきっかけで大喧嘩に発展するなんて 思わなかったから、ビックリしたなぁ。 |
シャルルヴィル | 街にたどり着くまでに道に迷って、 今度は地図の見方で喧嘩になって……。 最後まで色々あったよ。 |
シャルルヴィル | 休憩中にジョージと昔話ができて、 楽しかったけどね。 |
主人公 | 【士官学校はどう?】 【ここでの暮らしは慣れた?】 |
シャルルヴィル | うん。楽しいよ。 授業も、休日もね。 |
シャルルヴィル | ここには、パリのお屋敷にはない新鮮さがたくさんあって、 毎日がいい刺激になってる。 |
シャルルヴィル | 前に〇〇が言ってくれたでしょう? 「自由にして」って。 |
シャルルヴィル | 自由ってなんなのか、あれからボクなりに考えて、 色々なことをしてみたんだ。 |
シャルルヴィル | ジョージと週末に遊んだり……。 あと、思い切って、他の友達を作ってみたりしたよ。 |
主人公 | 【他の友達って?】 |
シャルルヴィル | うーん……。 最近よく話すのは、ペンシルヴァニアさんかな。 彼とは意外な共通点があって、結構気が合うんだ。 |
シャルルヴィル | ボクはスフィーのことを話して、 彼からはケンタッキーのことを聞いて……。 また今度、近況報告をし合うつもりだよ。 |
主人公 | 【楽しそうだね】 【仲良くなれてよかった】 |
シャルルヴィル | うん、まぁね! それでさ、君が言ってた『自由にする』って こういう感じで合ってるかな? |
シャルルヴィル | ボクなりに色々考えて、今みたいに過ごしてるんだ。 〇〇の言う『自由』って、 こういうことじゃないかってさ。 |
シャルルヴィル | でも、こういうのっていいよね。 ジョージ以外の友達を作ってみて正解だったよ。 |
シャルルヴィル | 君がボクに言ってくれたことも実現できたと思うし、 ボクの心も満たされたからね! |
主人公 | 【シャルルが満足しているなら何より】 【楽しいならよかった】 |
シャルルヴィル | そっか、ありがとう! 〇〇にそう言ってもらえると、 ボクも嬉しいよ。 |
シャルルヴィル | ボクはこれからも、『自由にする』ように頑張るよ。 君が望む貴銃士として、相応しい姿でいるためにね。 |
主人公 | 【…………】 |
シャルルヴィル | この店のマカロンは、どれも最高なんだ。 君は、どれが好き? |
シャルルヴィル | いちご、チョコレート、あとピスタチオも美味しいよ。 どれでも、好きなものを選んでね。 |
シャルルヴィル | あと、紅茶の種類もたくさんあるんだ。 ダージリン、アールグレイ、セイロン。 ハーブティーもあるよ。 |
シャルルヴィル | ……ふふっ。 君のおかげで、毎日が楽しいしね。 今日はお礼でもあるから、ボクにご馳走させて。 |
シャルルヴィル | ……ほら、遠慮せずに何でも言って? ポクに『自由』を教えてくれたのも、 〇〇だから、ね? |
シャルルヴィル | 〇〇……? そうだ。紅茶のおかわりが必要だね。 注文しておくよ。 |
Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.
まだコメントがありません。