ジョージ | アウトレイジャーが出没するってのは、 この辺りか? |
---|---|
マークス | ……そうだ。 |
ジョージ | なんだよマークス、むっつりして。 心配しなくても、オレたちとマスターがいれば ちょちょいっと倒せるって! |
マークス | その心配はしてない。 |
マークス | むしろ、俺とマスターだけで十分だ。 なのに、なんでジョージまで……。 |
ジョージ | なんだよ〜、おまえ。 もしかして、マスターと2人きりじゃないからって 拗ねてるのか? |
マークス | ……当たり前だ。 ジョージがマスターに慣れ慣れしくすると、 なんだか胸の中がジャムる。 |
ジョージ | HAHAHA! おまえ、本っ当にマスター一筋だなぁ。 |
───ガサッ
マークス | マスター! 俺の後ろに……! |
---|---|
ジョージ | そこにいるのは誰だ? 出てこい! |
アウトレイジャーたち | コ、ロス……殺ス……─── |
ジョージ | ビンゴ! おでましだ! |
マークス | よし、片付ける。 ジョージ、お前は手出しするな! |
アウトレイジャー | ……───! |
アウトレイジャー | 消工、ロ……─── |
ジョージ | マークス! 普通の攻撃じゃあいつらに効かないぞ! |
マークス | わかってる。だが─── |
主人公 | 【絶対非道を使って】 |
マークス | マスター! 俺を頼ってくれるのは嬉しいが、 あの力を使ったらマスターは……。 |
ジョージ | マークス、迷ってる場合じゃないって! マスターの傷なら、オレが治すから! |
マークス | …………。 |
ジョージ | っていうか、おまえがやらないならオレがやるぞ! |
マークス | ……いや、マスターを守るのは俺だ! あいつらは俺が倒す! |
マークス | 絶対非道……! |
マークス | 心銃! |
アウトレイジャーたち | グァァ……! |
マークス | よし! マスター、怪我はないか? |
ジョージ | マークス! |
アウトレイジャーたち | オォオオ……!! |
ジョージ | まだ残ってたみたいだ! |
マークス | くっ───! しつこいぞ! |
主人公 | 【……っ!】 |
ジョージ | マスター……! 傷が痛むのかっ!? |
マークス | ……! 駄目だ! これ以上はマスターの身体に負担が─── |
主人公 | 【かまわない!】 【敵に集中!】 |
マークス | け、けど─── |
ジョージ | マスター危ないっ! ───ぐっ! |
マークス | ジョージ!! |
マークス | ごめん、マスター。 |
マークス | すぐに片づける……! ───心銃! |
アウトレイジャーたち | グギャアァァッ……!! |
マークス | マスター! ジョージ! 大丈夫かっ? |
主人公 | 【大丈夫……】 【お疲れ様】 |
ジョージ | う……ん? あれ? 痛くない。 あ、ガントレットが弾いてくれたのか! |
ジョージ | はー、よかった。 |
マークス | 落ち着いてる場合じゃねぇだろ! 早くマスターの傷を癒せ! |
ジョージ | 言われなくても、すぐにやるよ。 |
ジョージ | 絶対高貴───! |
ジョージの発した光が、
〇〇の手甲へと降り注ぎ、
手首まで侵食していた茨のような傷が後退していった。
マークス | …………。 |
---|---|
ジョージ | 調子はどうだ、マスター? |
主人公 | 【ありがとう】 【もう大丈夫だよ】 |
ジョージ | Great! マスターが元気だとオレも元気になれるよ! |
マークス | …………。 |
マークス | (……ジョージは絶対高貴で傷を癒した。 それに比べて俺は、絶対非道でマスターを傷つけた……) |
マークス | (……マスターを守りたかったんだ。 ……だが……俺のしたことは……) |
───その日の夜。
マークス | マスター、俺だ。 少し、話をしたい。 ……いいか? |
---|---|
主人公 | 【どうぞ】 【入って】 |
マークス | ……ありがとう。 |
主人公 | 【なんの話だろう】 【何か相談でも?】 |
マークス | 今日の戦闘での……、その……。 |
マークス | …………。 |
マークス | マスター。 俺は、今後、絶対非道にならずに 戦おうと思う。 |
主人公 | 【それは……】 【傷は絶対高貴で治せるのに】 |
マークス | マスター……。 ……俺はマスターが傷つく姿を見たくはない。 ましてや、俺のせいで……。 |
主人公 | 【大した痛みじゃない】 【痛みを代償に誰かを救えるなら、構わない】 |
マークス | しかし─── |
主人公 | 【これからも頼りにしている】 【マークスの力が必要なんだ】 |
マークス | ……わかった。 俺の力がマスターの助けになるなら、 これからも頑張る……。 |
マークス | ……夜中に突然、悪かった。 話はこれだけだから、もう帰る。 ───おやすみ。 |
マークス | マスター……。 あんなに苦しそうだったのに、 俺を責めずに笑ってくれる。 |
マークス | マスターは立派な人だ。 ……それに、優しすぎる。 |
マークス | 俺の力が必要だと言ってくれるのは嬉しいが、 マスターを傷つけたくはない。 |
マークス | 俺は……どうしたらいいんだ……。 |
マークス | さて……と。 食うか。 |
---|---|
シャルルヴィル | あ、マークス。 |
シャルルヴィル | 君もこれからお昼なの? なら、一緒に食べようよ。 |
マークス | 構わないが……。 なぜ、俺と一緒に食べるんだ? |
シャルルヴィル | んー、1つ目の理由は、目の前の席が空いてるから。 もう1つは、1人で食べるより美味しいから! |
マークス | ……1人で食べるより、美味しい? ああ、そういえば、マスターと食べると、 いつも美味しく感じるな。 |
シャルルヴィル | そういうこと。 だから、ここ座るね。 |
マークス | ああ。 |
シャルルヴィル | へぇ、君は今日カレーなんだ? |
マークス | ああ、今日は頑張ったからご褒美だ。 この世にカレーより美味しいものはないからな。 |
シャルルヴィル | え……っ? カレーより美味しいものはない? そんなに好きだなんて。ちょっと意外かも! |
マークス | 何がおかしい? カレーを嫌いなヤツはいないだろう? |
シャルルヴィル | まぁ……そうかも? ボクはあま〜いお菓子の方が好きだけどね。 |
マークス | ……そうなのか。 |
シャルルヴィル | うん。 やっぱり、人それぞれじゃないかな? |
マークス | そうか。 ……不思議なものだな。 銃だった俺たちに、好みの違いがあるなんて。 |
シャルルヴィル | まぁね。 でも、銃だってそれぞれ特徴があるんだから 好みや個性の違いがあっても不思議じゃないよ。 |
シャルルヴィル | こうして身体を持って、ごはんやお菓子を食べたり 好みについて話したりするのは、 確かにちょっと新鮮だけどね。 |
マークス | そうだな。 腹が減るというのも面白い感覚だ。 |
シャルルヴィル | おっと、話し込んじゃったね。 さあ、食べよう。 いただきまーす♪ |
マークス | ああ。 いただきます。 |
シャルルヴィル | ……ふふっ、こんな風に食事をしていると、 ボクたち、本当に人間みたいだ。 |
マークス | ああ。 だが、マスターと同じ体験ができるのは、 嬉しいと思う。 |
マークス | こうやって、カレーも食べられ─── ……うっ! |
シャルルヴィル | どうしたの? |
マークス | なんだ、これは。 舌がびりびりする! 毒か!? まさか、ここに敵が侵入して───!? |
シャルルヴィル | ちょ、ちょっと待って! カレーって辛いものでしょう? 舌だってびりびりするよ。 |
マークス | そうなのか? ……けど、マスターが作ってくれたカレーは びりびりしなかったぞ? |
シャルルヴィル | えっ、君、 マスターの手作りカレーを 食べたことがあるの? |
マークス | ああ。 あれは俺が貴銃士になって間もない頃、 マスターと2人で野営をした時だった───。 |
マークス | ……? なんだ、この音は。 |
---|---|
主人公 | 【お腹が空いているんだよ】 【ごはんにしようか】 |
マークス | ……そういえば、以前もこの音を聞いたな。 あれも、エネルギーが不足している時だったか。 |
マークス | なるほど。 腹が減ったらこの音が鳴るのか。 さすが、マスターは物知りだな。 |
主人公 | 【カレーを作ったから食べよう】 【栄養をたっぷりとらないとね】 |
マークス | ……? 適当に、食べられるものを 口に入れるのではダメなのか? |
主人公 | 【せっかくなら美味しい方がいい】 【食事は楽しまないと!】 |
マークス | ……よくわからないが、 マスターは俺に食べさせるために さっきから一生懸命作業をしてたんだな。 |
マークス | なら、もちろんこれを食べる。 |
マークス | ……いただきます、と言えばいいんだったな。 これが、マスターが俺のために作ってくれた料理……。 すごくいい匂いで、余計に腹の音が鳴りそうだ。 |
マークス | ……! こ、これは─── |
主人公 | 【どう?】 【口に合うかな?】 |
マークス | 口の中が満たされる。 こう、じわーっと何かが広がっていって 心がいっぱいになるというか……。 |
主人公 | 【美味しいってことかな】 【気に入ってくれてよかった】 |
マークス | そうか。 これが、味覚……。 『美味しい』……うん、美味しい、だ。 |
マークス | (今まで意識していなかったが、 俺には味覚があるんだ。そしてこの味覚は、 マスターのカレーを味わうためにある……!) |
マークス | あの時俺は、この世には料理というものがあること、 そして、美味しい……うまいという感覚を知った。 |
---|---|
マークス | それから、いろんな料理を食べるようになったが、 あの時マスターが作ってくれたカレーより うまいと思えるものはない。 |
マークス | あんなものが作れるなんて、 マスターは天才だ……! |
シャルルヴィル | へ、へぇ……! そうなんだ……。 |
マークス | ああ。 あんたも1度、食べてみればいい。 |
マークス | ……いや、あんたや他のみんなが マスターのカレーを食べたら、 俺の分がなくなるな。 |
マークス | なら、食べない方がいいのか。 しかし、マスターの凄さを知ってもらいたいし……。 ……俺は、どうすれば─── |
シャルルヴィル | …………。 |
マークス | なあ、あんたはどう思う? マスターのカレーの良さを広めるべきか。 それとも俺が独り占めするべきか。 |
シャルルヴィル | さ、さぁ……? ボクも1回くらい食べてみたいけど……。 難しい問題……かもしれないね。 |
シャルルヴィル | (そ、そうか……。 マスターのカレーって甘口なんだね……?) |
シャルルヴィル | (なんだか色々ツッコミどころがある気がするけど、 うん、もういいや……) |
マークス | ……もうこんな時間か。 今日のところはこれで終わりにするか。 |
---|---|
マークス | うん……前よりもうまく 自分の身体を動かせるようになってきた。 |
マークス | 身体を持つというのは、面白いものだな。 使い込めば使うほど、動きがよくなる。 これが『上達』というヤツか。 |
マークス | ただ、使い過ぎると 言うことをきかなくなるのが難点だな。 あとは、怪我もやっかいだ。 |
マークス | まぁ、銃身につく傷とは違って、 放っておいても治るのは便利かもしれないが……。 |
───ガサガサッ!
マークス | ……っ、誰だ!? |
---|---|
在坂 | ……在坂だ。 |
マークス | なんだ、あんたか。 そんなところで、何をしてたんだ? |
在坂 | 薬草を探す以外に何があるのだと、 在坂は不思議に思う。 |
マークス | は? 『やくそう』……? ……っていうか、あんた、怪我をしてるぞ? 膝のところ、血が出てるじゃねぇか。 |
在坂 | そうだ。だからこの傷に、 こうしてよく揉んだ薬草を───貼る。 |
マークス | んん……? おい、何をしているんだ? 新手のデコレーションか? |
在坂 | 在坂は知っている。 こうすると、傷が早く治る。 |
マークス | 怪我が早く治る……だと? それは本当か!? 人間にも効果があるのか!? |
在坂 | ある。 むしろ、人間に効果があるから、 在坂たちにも効果があるというのが正しい。 |
マークス | ……すごいな。 けど、あんた、まだ血が止まってないぞ? |
在坂 | ……む。 |
邑田 | 在坂! |
邑田 | ここにおったのか。 探したぞ。 |
在坂 | 在坂をか? |
邑田 | そうだ。 先ほどの訓練で怪我をしたであろう。 |
在坂 | 大丈夫だ。 今、在坂は薬草を貼った。 |
邑田 | その傷の深さでは、 薬草だけで治すことはかなわぬじゃろう。 億劫がらずにマスターに診てもらおうな。 |
在坂 | ……わかった。在坂に異存はない。 |
マークス | ちょっと待て。 『やくそう』とやらが効くんじゃないのか? |
邑田 | すべてにおいて万能の薬草などない。 薬効が確かだとして、 致死の傷をたちどころに癒すことなど不可能よ。 |
邑田 | ただ……血止め、痛み止め、治癒力向上と、 薬草の役割は千差万別にして奥深し。 |
邑田 | 適切に使えば、我らにとっても 心強い味方になるであろうよ。 |
マークス | ……? あんたの話は難しい。 つまり、どういうことだ? |
邑田 | 興味があるなら、 自分で調べてみることじゃ。 |
邑田 | ほれ、ゆくぞ、在坂。 それ以上血を流すとマスターの心労が増える。 止血を忘れるな。 |
在坂 | わかった。 では、在坂たちは行く。 |
マークス | 『やくそう』……か。 人にも貴銃士にも効くなら、 マスターのためにもなるだろうか……。 |
───数日後。
ラッセル | ……ふう。 やっと今日の分の書類が片付いたな。 ああ、肩が凝った……。 |
---|---|
ラッセル | おっと。 1つサインを忘れている。 ラッセル・ブルースマイル───と。 |
ラッセル | これでよし。 他にサインを忘れている書類は……。 |
ラッセル | ……いてっ! しまった、紙の端で指が切れたか。 |
??? | 怪我をしたのか? |
ラッセル | ……んん? |
マークス | 怪我をしたんだな? 切り傷だな? |
ラッセル | あ、ああ、そうだが……。 それがどうしたんだ? というか、どこから出てきたんだ……。 |
マークス | なら、この塗り薬だ。 指を貸せ。 |
ラッセル | なんだ? 今、何を塗った!? |
マークス | これでよし───と。 それじゃあな。 |
ラッセル | お、おい! 何を塗ったんだ!? まさか変なものじゃないだろうな? おい、マークスっ! |
───翌日。
ラッセル | ……ふむ。見事に治ったな。 年のせいか治りが遅くなってきた気がしたが、 今回は綺麗に早く治っている……。 |
---|---|
恭遠 | どうしました、ラッセル教官? |
ラッセル | ああ、恭遠審議官。 実は数日前、指を怪我した時に マークスに妙な薬を塗られまして。 |
恭遠 | えっ? ラッセル教官もですか。 |
ラッセル | ───ということは、恭遠審議官も……? |
恭遠 | ええ。 なんの薬か不安だったんですが、 思いのほか、早く綺麗に治って驚いていたんです。 |
ラッセル | ちゃんと効果があるものだったんですね……! まさか、マークスが薬学に明るいとは……。 |
マークス | なんの話をしているんだ? |
ラッセル | ああ、マークス。 ちょうど、君の話をしていたんだ。 |
恭遠 | 昨日、傷口に薬を塗ってくれただろう? おかげで綺麗に治ってね。 |
マークス | 治ったのか? |
ラッセル | ああ。 私たちのためにありがとう。 |
マークス | よし、あの調合で切り傷に効くんだな。 実験成功だ。 |
恭遠 | じ、実験……? |
マークス | ああ。 本で調べたが、実際に効果があるかどうか わからなかったからな。 |
マークス | これでマスターのために使えるぞ。 |
ラッセル | 実験……。 ということは、悪化していた可能性も あるのか……。 |
恭遠 | ま、まあ、マークスらしい考え方……ではあるな。 ではあるが、しかし……。 |
マークス | 心配ない。 実験は成功した。 よし、マスターに見せて褒めてもらおう! |
ラッセル&恭遠 | …………。 |
マークス | マスターはどこだ? |
---|---|
マークス | ……さっき、遠目で見かけた時、 顔色が青かった気がする。 ああいう時、人間は調子が悪いんだよな。 |
マークス | 俺の知識が間違っているならいいんだが……。 とにかく心配だ……。 |
マークス | ……うん? あそこにうずくまっているのは─── |
主人公 | 【…………】 |
マークス | マスター! |
マークス | 大丈夫か? どうしたんだ!? |
主人公 | 【平、気……】 【なんでもない……】 |
マークス | 嘘をつかないでくれ。 俺から見ても調子が悪いのがわかる。 |
マークス | 近頃、アウトレイジャー討伐と学業が重なって、 忙しそうにしていたのは知っている。 疲労困憊というやつだな? |
マークス | ……つ、薔薇の傷も悪化してる。 くそっ、早くジョージに───……。 |
マークス | ……って、ジョージは遠征中か。 くそ、こんな時に! |
マークス | とにかく、部屋に戻って早く休もう。 肩に掴まってくれ。 |
主人公 | 【ありがとう……】 【迷惑をかけてごめん……】 |
マークス | マスターのつらそうな姿を見ると、俺もつらい。 ほら、俺に体重をかけて、楽にしてくれ。 |
マークス | さぁ、横になってくれ。 |
---|---|
マークス | よし。 ……あとは、目を閉じて。 眠ったら少しは良くなる……んだろう? |
主人公 | 【……たぶん】 |
マークス | なら、寝てくれ。 俺がそばについているから。 |
主人公 | 【ありがとう】 【おやすみ】 |
マークス | マスター……。 |
マークス | …………。 |
マークス | (……もう寝息を立てている。 よほど、疲れていたんだな……) |
マークス | (でも、寝たらよくなるはずだ。 ……よくなる、よな?) |
マークス | (くそっ。 早くジョージが帰ってくればいいのに。 ……俺が絶対高貴になれないのが悔しい) |
マークス | ……! 誰だ? |
ライク・ツー | 入るぜ。 |
ライク・ツー | 〇〇の様子はどうだ? |
マークス | ……あんたがなんで、 マスターの調子が悪いってのを知っているんだ? |
ライク・ツー | 恭遠に聞いたんだよ。 お前が調子の悪そうな〇〇を 支えてたってな。 |
マークス | ……だからって、 なんで来るんだよ。 |
ライク・ツー | 俺だって、〇〇の貴銃士だ。 様子くらい見る。 |
マークス | ……あんたは必要ない。 |
ライク・ツー | は? なんだよ、その言い方は。 |
マークス | 俺がマスターの最初の銃だ。 マスターが入学してからずっと一緒だった。 ひとときも離れずにな。 |
ライク・ツー | ……だったら、なんだ? |
マークス | あんたのマスターじゃない。 俺のマスターだ。 |
マークス | 俺が1番にマスターを心配して、 俺が1番にマスターの力になって、 俺が1番にマスターに褒められるんだ。 |
ライク・ツー | はぁ……? |
マークス | そもそも俺という狙撃銃は優秀で、 マスターの1番に相応しい。 |
ライク・ツー | 何言ってんのか全然わかんねぇよ。 わかりたくもねぇけど。 |
マークス | わからないなら、この根拠をゼロから教えてやる。 俺は───…… |
イギリス軍人1 | ……うむ。 やはり、UL96A1は外さない。 色々な狙撃銃を試したが……コイツが1番だ。 |
---|---|
イギリス軍人2 | ああ、イギリス製の他の狙撃銃だけでなく、 諸外国の銃と比べても、抜群に命中精度が高い。 |
イギリス軍人3 | イギリス軍がUL96A1を制式採用したのは英断だ。 |
イギリス軍人3 | 異論を唱える者はいないだろう。 これだけ圧倒的な性能ならな。 |
イギリス軍人2 | 発射時の振動が一定で、弾道のブレも少ない。 腕のある者が使えば向かうところ敵なしだが、 腕が劣る者でもかなりの命中率を出せる。 |
イギリス軍人2 | 我がイギリス軍が採用するのは、 UL96A1をおいて他にないな。 |
イギリス軍人3 | しかし、これだけの能力を見せつけられると、 人が銃を使うのではなく、 銃が人を使うような気がしてくるな。 |
イギリス軍人1 | ははっ、たしかに。 |
イギリス軍人2 | だが、銃は銃だ。UL96A1を使いこなし、 軍を強化していかねばなるまい。 |
イギリス軍人3 | そうだな、この銃をよりよく使いこなせる者の 育成も必要だ。優れた銃と優れた人とで、 最良のパフォーマンスができるのだから。 |
マークス | ……と、いうわけだ。 |
---|---|
ライク・ツー | いや……なにが、 「というわけだ」なのかがわからねぇが……。 |
マークス | 俺はものすごく優秀な狙撃銃で、 マスターはその俺を使いこなせる者ってことだ! |
マークス | マスターには俺がふさわしいし、 隣に立つ者は俺以外にいない。 |
マークス | 俺はマスターのことを1番よく知ってるし、 マスターのことは俺が1番大切に思っている。 どうだ! |
ライク・ツー | ……ったく、なんで俺がこんなガキの相手を……。 |
ライク・ツー | あのな、それは昔の話だろ。 今は他の貴銃士もいるんだ。 もうお前だけのマスターじゃねぇんだよ。 |
マークス | 他のヤツらはいるだけだろ。 確かに、あんたらもマスターの貴銃士かもしれない。 けど、マスターのことを大切に思っていない。 |
ライク・ツー | なんだと……? |
マークス | マスターのことを思っていたら、 絶対非道なんて使えるか! 薔薇の傷跡はマスターを苦しめるんだぞ! |
ライク・ツー | それはお前だって使ってるだろうが! |
マークス | 俺はマスターのことを考えて、 マスターのためにだけ絶対非道を使っている。 でも、あんたを含め、他のヤツらは違う! |
マークス | そんなヤツらが、 絶対非道を使うべきじゃないんだ! |
ライク・ツー | お前、言ってることがめちゃくちゃだぞ。 |
マークス | めちゃくちゃじゃない! 絶対非道は─── |
その時、眠っていた〇〇が
わずかに身じろぎする。
ライク・ツー | おい、声がでかい。 〇〇が起きるぞ。 |
---|---|
マークス | ……あ。 |
ライク・ツー | ……ちょっとこっち来い。 |
マークス | …………。 |
---|---|
ライク・ツー | ……お前が〇〇を 1番に思っているのはわかるし、 ガキみたいな独占欲を持ってるのも知ってる。 |
ライク・ツー | だが、俺は俺なりに、 他のヤツは他のヤツらなりに 〇〇のことを考えてんだよ。 |
ライク・ツー | それを否定すんな。 お前は自分の腕の中だけに 〇〇を閉じ込めたいのか? |
マークス | できることなら、そうしたいに決まっている。 |
ライク・ツー | 腕の中で〇〇が悲しそうな顔しててもか? そいつにとって大事なものが たくさんあるってこと、わかってるんだろ? |
マークス | それは───……。 |
ライク・ツー | お前が何を思ってようとお前の自由だ。 けど、それを押しつけて 〇〇を困らせるな。 |
マークス | …………。 |
ライク・ツー | それじゃあ、俺はもう行くけど、 他のヤツが〇〇の様子を見に来ても 追い返すなよ。 |
マークス | …………。 |
マークス | 今回の任務は簡単だったな、マスター。 書類にサインをもらうだけだった。 |
---|---|
主人公 | 【お疲れ様】 【無事終わってよかった】 |
マークス | しかし、俺とマスターの2人だけで十分だったのに、 なんでライク・ツーも一緒だったんだろうな。 |
ライク・ツー | …………。 |
マークス | なんだ。 文句があるのか? でも、俺は本当のことしか言ってないぞ。 |
ライク・ツー | まったく、お前は気楽だな。 |
ライク・ツー | たしかに、この任務、 俺とマークスの2人が出る必要がない。 ただのお使いだ。 |
ライク・ツー | なのに、なぜラッセルは、 〇〇と俺たち2人を指名した? ……それに、街で聞いた噂だと─── |
マークス | 噂? |
主人公 | 【……っ!】 |
マークス | 銃声───!? |
アウトレイジャーたち | 敵……殺ス……! |
ライク・ツー | やっぱりか。 嫌な予感が当たったな。 |
マークス | なんで、アウトレイジャーたちが こんなにもいるんだ? |
ライク・ツー | さぁな。 けど、ラッセルはこれを見越してたんだろ。 街の奴らも、不穏な空気を感じるっつってたし。 |
アウトレイジャーたち | 殺ス……っ!! |
マークス | マスターっ!! |
ライク・ツー | 〇〇! 大丈夫かっ? |
主人公 | 【平気!】 【とにかく倒そう!】 |
マークス | くそっ。 マスターに害をなすなんて、許さん。 絶対非─── |
マークス | (……っ、ダメだ、今はジョージがいない。 絶対非道になったら、マスターが……!) |
ライク・ツー | おい、何してんだよ! |
マークス | う、うるせぇ……! |
アウトレイジャーたち | グオォオ……!! |
マークス | くっ……。 倒れろ! これで倒れろよ……っ!! |
ライク・ツー | 何やってんだよ! アウトレイジャーにただの弾はほとんど無意味だ! お前もわかってるだろ!? |
ライク・ツー | 絶対非道───! |
マークス | ……ッ、おい、やめろ……! |
ライク・ツー | さぁ、俺が相手だ。 さっさとやられろよ、クソ雑魚がっ!! |
アウトレイジャー | ギャアアアッー!! |
ライク・ツー | まだまだいくぜ! 1匹も残さねぇからな! |
アウトレイジャー | グァァァアッ……!! |
ライク・ツー | ははっ、雑魚が。全部消えちまえ! |
マークス | ライク・ツー! やめろっ!! |
ライク・ツー | は? 何言ってんだよ、お前。 |
マークス | いいから、早く! 絶対非道を解け! |
ライク・ツー | バカ言うな! アウトレイジャーどもに囲まれてんだぞ? 解けるわけねぇだろ! |
マークス | いいからやめろって言ってんだろ!! |
ライク・ツー | ぐっ……っ! |
ライク・ツー | てめぇ……何しやがる。 戦う相手が違ぇだろうが……。 |
マークス | まずはあんたを止める! 絶対非道になったらマスターが傷つくだろうがっ! |
マークス | こいつらは、絶対非道にならずに倒す。 あんたはそこで見てろ! |
マークス | さぁ、マスター。 俺の後ろに……! |
主人公 | 【無茶だ!】 【アウトレイジャーは簡単には倒せない!】 |
マークス | 大丈夫だ。 俺が必ずマスターを守るから! |
アウトレイジャーたち | 死、ネ……っ!! |
マークス | マスターは傷つけさせない! |
アウトレイジャーたち | ……グゥッ……! |
マークス | 来るなっ! 倒れろっ!! |
アウトレイジャーたち | グァ……ア……! |
マークス | 来るなって、言ってるだろ……っ!! |
アウトレイジャーたち | 殺……ス……! |
マークス | く……ッ。 |
ライク・ツー | ……無駄なこと、してんじゃねぇよ。 そいつらは、絶対非道じゃないと 倒せねぇんだ……。 |
マークス | 黙れ、黙れ黙れ! マスターは俺が守るんだ! 絶対非道になんかならない……! |
ライク・ツー | 駄々っ子か! 退け、邪魔だっ! |
マークス | ぐぁッ……。 |
ライク・ツー | 少し寝て頭冷やしな。 〇〇、俺がやる。 いいな? |
主人公 | 【任せた】 【お願い】 |
マークス | ……っ。 マス、ター……! |
ライク・ツー | おう、秒で片付けてやるよ。 |
ライク・ツー | 絶対非道───心銃ッ! |
ライク・ツー | ……ふぅ。ざっとこんなもんだろ。 |
---|---|
主人公 | 【ありがとう】 【助かった……】 |
ライク・ツー | マークスに止められなきゃ、 もっとさっさと片づけられたんだがな。 |
マークス | …………。 |
ライク・ツー | ───〇〇の手の傷、悪化してる。 |
ライク・ツー | さっさと、帰ろうぜ。 アウトレイジャー出現のことも ラッセルたちに報告しなきゃなんねぇし。 |
主人公 | 【急ごう】 【用心しつつ帰ろう】 |
ライク・ツー | 連戦は御免だからな。 ……ま、たとえまたアウトレイジャーが出たとしても、 俺が片づけてやるけど。 |
ライク・ツー | そこの犬は、役立たずみてぇだからな。 |
マークス | …………。 |
ライク・ツー | ほら、行くぞ。 |
マークス | (……俺は、マスターの事を考えて行動した) |
マークス | (なのに、マスターは 俺じゃなくてライク・ツーを頼った……) |
マークス | (マスターのことを1番に考えているのは俺なのに、 俺じゃないヤツを、マスターは……) |
マークス | (なぜだ、マスター……。 俺じゃ、駄目なのか……?) |
マークス | 狙撃をする時、着弾点は、発射速度や風向きを 緻密に計算することで論理的に導き出される……。 |
---|---|
マークス | 今日あった不可解な出来事も、 論理的に考えれば、 どこで計算がずれたのかわかるはずだ。 |
マークス | まずは、要素と結果を書き出して、 何が問題だったのか、分析してみるか……。 |
マークス | ○月×日───ラッセルからの指令で、 マスター、ライク・ツーとで任務に向かう。 |
マークス | この件は難なく任務完了。 ただし、帰りにアウトレイジャーたちと遭遇。 これを撃退─── |
マークス | ……いや、ライク・ツーが撃退。 |
マークス | アウトレイジャーたちとの遭遇時のメンバーは マスター、俺、ライク・ツー。 俺とライク・ツーは絶対高貴は使えない。 |
マークス | アウトレイジャーたちとの戦闘は 絶対非道が必須。だが、その際、マスターは傷つき、 力を使いすぎれば命の危険がある。 |
マークス | 俺たちの絶対非道は、 マスターの薔薇の傷を悪化させる。 マスターは痛みに苦しみ…… |
マークス | ……痛みに……。 |
マークス | 痛いのは、誰だって嫌なものだろう。 だから、絶対非道を使って マスターを苦しめるのは避けるべきだ。 |
マークス | 特に、絶対高貴になれる貴銃士がそばにいない時、 俺が絶対非道になることはあり得ない。 今日もその認識で行動した。 |
マークス | けれど、マスターは、 絶対非道になったライク・ツーを頼った。 絶対非道にならずマスターを守ろうとした俺ではなく。 |
マークス | …………。 |
マークス | ……なぜだ。 どう考えても、俺が正しかったはずなのに……。 |
マークス | マスターも、俺の行動を喜んでくれると思った。 俺がマスターにとっての 1番の貴銃士だと認めてくれると思ってた……。 |
マークス | なのに、そうはならなかった。 ………………。 いくら考えても、このズレの理由がわからない。 |
マークス | どうしてだ、マスター……。 |
マークス | …………。 |
マークス | ……ダメだ。 いくら考えても、同じところで引っかかってしまう。 書き出して分析しても一緒だ……。 |
マークス | よし。 こうなったら、覚悟を決める───か。 |
マークス | マスター、俺だ。 少し話したいんだが、いいか? |
---|---|
主人公 | 【どうした?】 【どうぞ】 |
マークス | …………。 |
主人公 | 【何か悩み事?】 【……言いづらい?】 |
マークス | ……ああ。 この話をしたら、もうマスターとは、 前の関係に戻れないかもしれない。 |
マークス | ……それでも、俺は知りたい。 マスターの気持ちを。 |
マークス | なぁ、マスター。 俺のことは、もういらないのか? |
主人公 | 【……!?】 |
マークス | 教えてくれ。 答えを聞いたら俺は去るから。 |
マークス | 今日、俺は自分の行動で マスターが喜んでくれると思った。 絶対非道にならずマスターを守ろうとしたからだ。 |
マークス | けれどマスターは、 絶対非道になったライク・ツーを褒めた。 マスターを傷つけるライク・ツーを頼った。 |
マークス | なぜなんだ? 俺の何が悪かった? 俺の考えのどこが間違っていたんだ? |
主人公 | 【気持ちは嬉しかったけど……】 【間違いというより、ズレていたかも】 |
マークス | どういうことだ? |
主人公 | 【絶対非道で傷つくことは、気にしていない】 【薔薇の傷は、治せるものだから】 |
マークス | ……! し、しかし─── |
主人公 | 【マークスには、大事な役目がある】 【アウトレイジャーへの切り札は、貴銃士だけ】 |
マークス | マスター……。 |
マークス | …………。 |
マークス | ……そうか。 マスターはとっくに、覚悟を決めていたんだな。 傷つくことも苦痛も覚悟して、受け入れてる……。 |
マークス | マスターは、立派だ。 |
マークス | (それに比べて……俺はダメだ。 マスターのことを1番わかっていると言いつつ、 この覚悟に気づけなかったなんて……) |
マークス | (俺はただマスターが傷つくことを 恐れていただけだ。 いや、俺が傷つけることを怖がっていた) |
マークス | (そのせいで、マスターは 余計に危険にさらされた。 絶対非道になったライク・ツーの方が正しかった) |
マークス | (俺はマスターの命と誇りを汚したんだ。 臆病な気持ちを、一方的に押しつけて……) |
マークス | ……ごめん、マスター……。 |
主人公 | 【大丈夫】 【次につなげればいい】 |
マークス | マスター……。 |
マークス | ……ありがとう。 今後は気をつける。 |
主人公 | 【頼りにしてる】 【ライク・ツーとも、できれば仲良く……】 |
マークス | ……わかった。 どれだけ頑張れるかはわからないが、 マスターが言うなら、努力する。 |
マークス | 夜遅くに悪かった。 それじゃあ、部屋に戻る。 |
主人公 | 【おやすみ】 【また明日】 |
マークス | ああ。 おやすみ、マスター。 |
マークス | ……よかった。 マスターは俺のことを要らないと 言わなかった……。 |
---|---|
マークス | ……? なんだ、視界がにじむ。 オイル漏れか? |
マークス | ああ。 もしかして、涙───というヤツか。 ……こんな時に、滲むものなんだな。 |
マークス | ……ぐすっ。 |
マークス | 今日はいつもと空気が違うな。 士官学校が休みの日は、 なんだかのんびり時間が流れる気がする。 |
---|---|
マークス | さて、俺はどうやって過ごすか……。 |
マークス | ……ん? あそこにいるのは……マスターか。 格好はいつもと違うが、俺が見間違えるはずもない。 |
マークス | おーい、マスター! ……行ってしまった。 気づかなかったのか? |
マークス | (それとも、あえて無視をしたのか? まさか、そんな───) |
ジョージ | ……おーい! マークス! |
マークス | ……ッ! ───なんだ、お前らか。 驚かせるな。 |
ジョージ | なんだよー。 さっきからずっと声かけてんのにさ! 青い顔して、どうしたんだよ? |
マークス | それが……。 声をかけたというのに、 マスターが返事をせずに行ってしまったんだ……。 |
十手 | そ、それだけ……? 単に気がつかなかっただけじゃないのか? |
マークス | マスターが俺に気づかないことなんて、 あるだろうか。 |
マークス | しかも、いつもと格好が違ったんだ! |
ジョージ | 別にいいじゃん? 休日なんだから、オシャレして どこかに出かける予定ぐらいあるだろーし。 |
マークス | どこに? 俺に言わずに? |
十手 | そうだなぁ……。 例えば……逢い引き───いや、デェトとか……? |
マークス | デート……? それって、特別親しい相手と 2人きりを楽しむ行為だったな。 |
マークス | マスターが俺以外の誰とデートするっていうんだ! こ、これは緊急事態だ! 後を追わないと……! |
ジョージ | HAHAHA! デートくらいで、そんなに動揺するなよなー! |
マークス | うるさい! 俺はマスターが1番で、 マスターも俺が1番のはずなんだ! 確かめないと気が済まない! |
十手 | い、いや、待つんだ! 〇〇君だって、 知られたくないことの1つや2つ、 あるかもしれないだろう? |
十手 | ここは、そっとしておいた方が─── |
ジョージ | そうだな。 下手に首を突っ込むと嫌われるかもしれないぞ〜? |
マークス | き、嫌われる……? マスターに……? |
マークス | …………。 |
マークス | ……なら、こっそり後をつける。 行くぞ、ジョージ、十手。 |
ジョージ | ええ……オレらも? ってか、尾行するのか? おい、マークス……! |
十手 | 追いかけよう、ジョージ君。 もしもの時、マークス君が暴走しないように 俺たちがそばに控えていた方がいいだろう。 |
ジョージ | ……確かに! それに、ちょっと楽しそうだし、行ってみようぜ☆ |
ジョージ | なぁ、マークス。 マスターを見つけられるのか? どこに行ったのか、知らないんだろ? |
---|---|
マークス | わかる。 あっちから、マスターの匂いがする……! |
ジョージ | ウソだろ……!? |
十手 | あっ、あそこ! 〇〇君だ! |
ジョージ | Wow! 本当にいるなんて! |
十手 | 確かに、いつもと格好が違うようだ。 特別な誰かに会いに行くのかな……? |
マークス | 特別な誰かって誰だっ!? そんなヤツ、俺が知らないのはおかしいぞ。 |
十手 | まあまあ……マークス君だって、 〇〇君のすべてを 知ってるってわけじゃないだろう? |
マークス | そんなことはない……! 俺はずっとマスターのそばに……! |
ジョージ | そうかぁ? 今だって、〇〇があの格好で 出かけている理由はわからないんだろ? |
マークス | そ、それは……っ! |
マークス | でも、俺よりマスターのことに 詳しいヤツはいない……! |
ジョージ | マークス、しーっ! 〇〇に見つかるぞっ! |
??? | ───ん? そこにいるの……ジョージたちか? |
ライク・ツー | やっぱり。こんなとこでなに騒いでんだよ。 |
マークス | ライク・ツー……。 |
ライク・ツー | ───マークス、お前もいたのか。 |
マークス&ライク・ツー | …………。 |
ジョージ | どうしたんだ、2人とも? ……ああ、そういや、この前、もめたんだっけ? |
マークス&ライク・ツー | ……別に。 |
ジョージ | まぁ、おまえらがそんなカンジなのは いつものことだけど、 さっさとお互いゴメンして終わりにしろよ! |
十手 | そうだな。 ケンカするほど仲が良いとも言うしな。 |
ライク・ツー | こいつとはそんなんじゃねぇよ。 |
マークス | ……マスターも気にしてたし、一応、謝っとく。 この間は殴って悪かった。 |
ジョージ | ええっ!? 殴ったのかよ……? |
ライク・ツー | ……こっちも殴り返したし。 お互い様だろ。 |
十手 | な、殴り合いをしたのかい!? いつもの口喧嘩だと思っていたら、 そこまで深刻だったとは……。 |
ライク・ツー | で? お前ら、こんなところで何してるんだよ。 |
マークス | そうだった! マスター……! |
ライク・ツー | はぁ? |
十手 | 〇〇君が着飾って 出かけたっていうから、 ちょっとそのあとを追っていたんだよ。 |
ジョージ | マークスがうるさくてさぁ。 |
ライク・ツー | ……なるほど。 なんとなく察したぜ。 |
マークス | あっ! マスターに近づくヤツが……声をかけた! あいつが、犯人か! |
ジョージ | おいおい、犯人って───。 |
マークス | そんなヤツがいいのか、マスターっ!! |
十手 | お、おい。 マークス君……! |
マークス | マスター! |
主人公 | 【マークス!?】 【びっくりした……!】 |
マークス | オシャレして出かけるくらい、そいつが大事なのか!? なぜ、そんな大切なヤツのことを俺が知らない!? |
ジョージ | ちょっと、落ち着けよマークス! |
十手 | ジョージ君の言う通りだ。 〇〇君が戸惑っているじゃないか。 |
諜報員 | なにやら込み入っているようですね。 資料は受け取りましたし、私はこれで。 では、ラッセル軍曹殿によろしく。 |
ライク・ツー | なんだ? やけにあっさり去っていったな……。 |
ジョージ | なぁ、マスター。 今のは……? |
主人公 | 【お使いの相手だよ】 【連合軍の諜報員だよ】 |
ライク・ツー | なるほど。 流れからしてラッセルに頼まれて、 あいつに会っていたのか。 |
マークス | ということは、つまり…… デートじゃなかった……? |
店員 | いらっしゃいませ。 ご注文はお決まりですか? |
---|---|
ジョージ | オレはアメリカン! |
十手 | その……緑茶はあるだろうか。 |
ライク・ツー | コーヒー。ホワイトで。 |
マークス | ええっと……? |
主人公 | 【カフェ・オ・レはどう?】 |
マークス | あ、ああ。 じゃあ、それで。 |
ジョージ | で、マスター。色々教えてもらおうか! まず、なんでマークスに返事をしなかったんだ? |
主人公 | 【返事って?】 【なんの話?】 |
ライク・ツー | 完全に気づいてなかったんだな。 ま、お前がマークスを無視するとも思えねぇし、 そんなとこだろうとは思ってたぜ。 |
十手 | なら、その格好は……? |
主人公 | 【休日だから】 【自分服だよ】 |
十手 | 疑えば目に鬼を見る───と、言ったところだな。 |
ライク・ツー | 〇〇は単に私服で ラッセルの使いをしていただけってことだ。 |
ライク・ツー | これでスッキリしたか? マークス。 |
マークス | …………。 |
ジョージ | うん? なんだよ、マークス。 まだ不満があるのか? |
マークス | い、いや。 そうじゃないが─── |
ライク・ツー | 煮え切らないな。 もじもじしてないではっきりしろよ。 |
マークス | ……マスターの姿がいつもと違うから、 うまくユニットがかみ合わない感じがする。 |
ライク・ツー | ハァ? |
十手 | ははっ。 つまり……照れているのかい? |
マークス | 照れ……? ───そうか、これが照れるという気持ちか。 |
ジョージ | HAHAHA! たしかに新鮮だよな。 休日にこうやってみんなでカフェに来るなんてさ。 |
主人公 | 【たまにはいいね】 【楽しいね】 |
マークス | ……そうだな。 なんだか胸がぽかぽかする。 |
マークス | これが『幸せ』という感情……なのだろうな。 |
マークス | (なんだか、ちょっとむずがゆいが、 悪くない気持ちだ。 ……この感情も覚えておこう) |
マークス | 今回の任務もあっさり終わったな。 |
---|---|
主人公 | 【お疲れ様】 【2人のおかげだ】 |
ライク・ツー | 安心するのは早いぜ? こんな簡単な任務に、 俺とお前が指名されてるんだからな。 |
マークス | わかっている。 しかも、この間アウトレイジャーが出た近くだ。 ……また、奴らが現れる可能性もある。 |
ライク・ツー | そういうこと。 ……おい、もううだうだ言うなよ? |
マークス | 俺は───。 |
マークス&ライク・ツー | っ!! |
アウトレイジャー | ……敵……殺ス……! |
ライク・ツー | やっぱり出たな? |
マークス | マスター、ここは俺に任せてくれ! |
主人公 | 【わかった】 【気をつけて!】 |
マークス | 俺が片づける。 ───絶対非道。 |
マークス | マスターは、俺が守る……! |
アウトレイジャー | グアァァ……!! |
マークス | 容赦はしない……! マスターに害をなすものは、 排除する……! |
アウトレイジャー | ギャァッ……!! |
ライク・ツー | へぇ……? あっさり自分から絶対非道になるなんてな。 この前とは別人みたいじゃねぇか。 |
アウトレイジャー | ……グッ!! |
---|---|
マークス | ……今ので最後か? |
ライク・ツー | だろうな。 もう俺たち以外の気配はないぜ。 まったく、俺の出番までとりやがって。 |
マークス | そうか……。 |
マークス | マスター! 大丈夫か……? |
主人公 | 【大丈夫】 【気にしないで】 |
マークス | 傷の悪化は……? |
主人公 | 【少しだけ……】 【そんなに酷くない】 |
マークス | ……そうか。 |
マークス | なら、帰ろう。 戻ればジョージたちがいるからな。 |
ライク・ツー | ふーん……? 一応、そのあたりは以前のままか。 |
マークス | ……なんだ? |
ライク・ツー | いや。 お前が前と違ってすんなり 絶対非道になったからさ。 |
ライク・ツー | 一体、どういう心境の変化があったのかと思って。 |
マークス | 絶対非道にならないことは、 逆にマスターの立派な気持ちを、 台無しにすることになる。 |
マークス | 俺の使命は、絶対非道になって、 アウトレイジャーを倒すことだ。 それが、マスターのためにもなる。 |
マークス | ……そう、気づいただけだ。 |
ライク・ツー | なるほどな。 ようやく目覚めたってわけか。 お前も1つ成長したな。 |
マークス | あんた、偉そうだな。 |
ライク・ツー | そりゃ、偉いだろ。 俺は、お前よりも先にそのことが わかっていたんだからな。 |
マークス | …………。 |
ライク・ツー | さぁ、帰ろうぜ。 早く〇〇の傷を治してもらいたいんだろ。 |
マークス | ああ……。 |
マークス | (俺はマスターのために、絶対非道になる。 それが、マスターを傷つけ、苦しめることになっても) |
マークス | (……迷ってはダメだ。 俺が悲しい顔をしたら、かえってマスターを困らせる) |
マークス | (俺が迷っても悩んでも、絶対非道が マスターを傷つけるという事実は変わらない) |
マークス | (むしろ、自分が苦しむと俺もつらくなるからと、 俺のために、マスターはより平気な顔するだろう。 ……そんなこと、させたくない) |
マークス | (俺には……俺だけにでもいいから、 マスターの本当の気持ちを見せてほしい) |
マークス | (だから……苦しいとか、つらいとか。 俺の方のそんな気持ちには、蓋をしてしまおう) |
マークス | (俺に心はいらない。 俺はマスターのための武器だ。 何も思わず考えず、淡々と敵を倒す───それだけだ) |
マークス | そうやって、マスターに心配をかけない……。 そうしなければ……そうじゃなきゃいけないんだ……! |
ライク・ツー | おい、マークス! 何やってんだ? 早く〇〇を治療したいんじゃないのか? |
マークス | ……! 今、行く。 |
マークス | (───しまった。 さっきもだが、つい余計なことを考えて……) |
マークス | (でも、敵を倒したあとなら、 マスターの心配くらいしてもいい……んだよな?) |
マークス | …………。 |
マークス | ……いや。 俺に心は、いらない。 必要ないんだ。 |
マークス | 俺は、ただの武器だから───。 |
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