【努力のキッチン】シャスポー

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解説

カード解説

仲直りのために、慣れない作業に苦戦するパリジャン。
普段何気なく差し出される、友のお手製スイーツたちは、こんな細かな行程の上に成り立っていたのだと、見直すのだった。

心銃解説:スウィール・マインド

華やかなところばかりに目が眩んで。
チャラチャラほっつき歩いては品性を疑うような言動ばかり。
あいつと手を組むなんて冗談じゃないね。
……でも今回だけ。今回だけだからな!

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

 

Ep1. 寄り道をしよう

フィルクレヴァートの街で開催される
「アプリコット・フェスティバル」にて、
タバティエールたちはマカロンを販売することになった。

しかし、グラースとの喧嘩をきっかけに、シャスポーは
タバティエール、グラース両方と絶交状態になっており、
関係改善の糸口が掴めないまま任務に赴いていた──。

シャスポー……よし、任務完了だな。
シャルルヴィルお疲れ様!
予想よりも早く終わって嬉しいな~。
ライク・ツーああ、こんな場所に長居は無用だ。
帰るぞ。
シャスポー…………。
シャルルヴィルシャスポー、どうしたの?
体調でも悪い?
シャスポー別に……ただ、士官学校に帰る気分になれないなと。
フェスティバルの準備だかで、
いつにも増して騒がしいんですから。
シャルルヴィルあー……えっと……。
ライク・ツーそういえば、なんか揉めてんだっけ。
シャルルヴィル……っ!
ライク・ツーつーか、これ見よがしにむくれた雰囲気出してんの
うぜーんだよ。
さっさと謝るなり仲間に入れてもらうなりしろ。
シャスポーはぁ!? 何か勘違いしてないかい?
なんで僕があいつらに謝る必要があるんだ!
シャルルヴィルあ、あのさ……っ!
ボク、ちょっと行きたいお店があるんだよね。
シャスポー、時間があるなら付き合ってよ。
シャスポー……別に構わないですけど。
シャルルヴィルライク・ツー、任務完了の報告はお願いしてもいい?
ライク・ツー……ま、受けてやる。

シャルルヴィルんん~! おいし~い♪
早く終わった任務のあとに食べるスイーツって、
最高だよねっ!
シャスポー、……そうですか。
シャルルヴィルオリジナルブレンドの紅茶も、香り高くていい感じだよ!
シャスポーが飲んでるのはどう?
シャスポーまぁ……それなりに飲めるかと。
シャルルヴィルそ、そっか……。
あ! お茶のおかわり注文しようか?
シャスポーいえ、結構です。
シャルルヴィルそう? さっきから何杯も飲んでるもんね。
ボクもお腹いっぱいになってきちゃったかも。
あははは……。
シャスポー…………。
シャルルヴィル(美味しいもので機嫌を直してくれたらなって思って
連れ出してみたけど……)
シャルルヴィル(効果ナシ、だよね……。
全然会話が続かないし、お会計もそろそろヤバい気がする……)
シャルルヴィルそ、そろそろ帰ろうか……?
門限もあるし。
シャスポー……はい。

──カフェを出た2人は、
士官学校へ歩き始める。

シャルルヴィル……あのさ、シャスポー。
マカロン作りのことなんだけど……。
シャルルヴィルタバティさんも、君の手を借りたいと思ってるはずだよ。
帰ったらタバティさんを手伝ってあげたら?
シャスポーいきなり何を言い出すかと思えば……。
あいつには別の助手がいるでしょう。
僕が手伝ってやる義理はありません。
シャルルヴィルで、でもさ……考えてみてよ。
グラースが真面目に手伝ってると思う?
シャスポー……たしかに信用はできないですね。
ええ、まったく。
シャルルヴィルうん、疑うわけじゃないけどね。
ボク、1人でマカロン屋さんの準備してるタバティさんの姿が
目に浮かぶ気がするよ。
シャスポー……それが言いたくて、カフェに誘ったんですか。
シャルルヴィル……あ! うん、そうなんだ。実は……。
さっきは言い出せなかったけど……アハハ。
シャスポー……はぁ。
シャスポー(……仕方ない。
明日の任務が終わったら、タバティエールを手伝ってやるか……)

Ep2. お菓子の道も一歩から

──タバティエールの手伝いに行ったはずが、
グラースとのアクシデントにより、
試作マカロンを駄目にしてしまったシャスポー。

落ち込み、手ぶらでは謝りに行けないと言うシャスポーに、
シャルルヴィルはマカロン作りを提案した。

シャルルヴィルそれじゃあ、マカロン作り開始~!
あ、レシピ本はこれね!
タバティさんが読んでたのを借りてきたんだ。
シャスポーまずは読んでみるか……。
ええと……イタリアンメレンゲ?
スケッパーでマカロナージュして……乾燥!?
シャスポー工程が多いし長いな……。
マカロンを作るのって、こんなに難しかったのか……。
シャスポーいや! タバティエールにできて、
高性能な僕にできないわけがない。
始めてみればすぐにコツを掴めるはず……!
シャルルヴィルうんうん!
メレンゲ作りとマカロナージュのコツさえ押さえれば、
安定して成功するってタバティさんも言ってたよ。
シャスポーよし……まずはアプリコットのピューレとやらを作ります。
まずは、皮を剥いて……。
シャスポー──あっ!
シャルルヴィルひぃっ!!
シャスポー……チッ。
この実、思ったよりも滑りやすいな……。
シャルルヴィルシャスポー! ち、血が出てるよ……!
絆創膏持ってくるから、ちょっと待って!

怪我をした指をシャルルヴィルに手当てされ、
絆創膏を貼った手にビニール袋を装着してから、
ようやくマカロン作りを再開する。

シャルルヴィル気を取り直して……次はメレンゲ作りだね。
まず、卵を卵黄と卵白に分けるところからだ。
シャスポー卵って分けられるのか……?
シャルルヴィル卵を半分に割って、白身だけボウルに落とすんだ。
シャスポーならできるって!
シャスポーはい……とりあえずやってみます。

シャルルヴィルから手渡された卵を
シャスポーがボウルの縁に当てた瞬間──。

シャスポー……っ!?
なんで卵が粉砕するんだ……!
シャルルヴィルあちゃあ……、それはもうダメだね。
卵黄と卵白が混ざっちゃったもの。
シャルルヴィルまだ卵はあるから!
大丈夫大丈夫、これは殻を取って
スクランブルエッグか何かにすればいいよ!
シャルルヴィルそれに、普通に割ったあと、
スプーンで黄身を取るやり方もあるから!
そっちの方でトライしてみる?
シャルルヴィルボクが1度やってみせるね。
ボウルの中に卵を割って入れたら、
スプーンで卵黄だけすくって……っと、できた!
シャスポーな……簡単じゃないですか!
先にこちらを教えてくれれば、
卵を無駄にせずにすんだのでは?
シャルルヴィルごめんごめん。
でも、何事も経験だって。ほら、次は頑張って!
シャスポーん……さすがにこれは失敗しな──
シャルルヴィル……あ。

シャルルヴィルの教えもむなしく、
またもや卵が粉砕し、卵黄が潰れて白身と混ざってしまった。

シャスポーくっ……!
なんて脆いんだ……!!
次こそ、完璧に分けてみせる……っ!
シャルルヴィルもっと弱い力で、そっと……!
シャスポーあ……っ、また……!
い、いや……まだだ、まだ、僕は……っ!

躍起になったシャスポーが次々と卵を割り、
無惨な姿になった卵が増えていく。

シャルルヴィルわー……。
……卵料理にして、みんなで消費しないとなぁ……。

Ep3. 美味しく召し上がれ

──アプリコット・フェスティバル直前。
タバティエールが風邪で倒れてしまった。

マカロンの販売は絶望的かと思われたが……
シャスポーとグラースは和解して、
協力してマカロンを作ることになったのだった。

シャスポーいいか? グラース。
残された時間はあまりない。
作業を分担してどんどん作るぞ。
グラースお前に指図されなくてもわかってるっての。
僕は、タバティエールがマカロンを作るのを散々見てたしな。
シャスポー……フン。
なら当然、黄身と白身を分けられるな?
グラース……?
言われてみれば、そんなことしてたか……?
シャスポーはぁ……全然見てなかったんじゃないか。
シャスポー仕方ない。僕が手本を見せてやる。
まず、こうやって殻を半分に割って……。
シャスポーそれから殻をうまく使って、
こう……白身と卵黄を分ける。
フッ。どうだ?
グラースチッ、ムカつく顔しやがって……。
僕にだってできるに決まってるだろ。
シャスポーどうだか。
君の練習に付き合っている時間が惜しいから、
君みたいな初心者は、このスプーンを使うといい。
シャスポーこれがあれば、いくらグラースでも
簡単に卵が分けられるはずだ。
これも手本を見せようか?
グラース「いくら」だと? ……バカにしやがって。
僕に性能で劣るお前ができるんだ。
こんなもん、1発でモノにしてやるよ。
シャスポーへぇ……。
見ててあげるから、やってごらんよ。
グラース……っ! あっ……!

慎重に卵を割ろうとしたグラースだったが、
殻の鋭い部分が卵黄に当たり、潰れてしまった。

グラースくそっ……! こんなもん……!
シャルルヴィルグラース、そんなに気にしなくていいよ。
シャスポーもこの間は全然できなくて、
卵をいくつも粉々にしてたんだから。
グラースん……?
おい、シャスポー。どういうことだよ、今の話。
シャスポー……っ、シャルルヴィル先輩!
余計なことを言わないでください!
シャルルヴィルあはははっ! ごめんね。
シャスポーがちょっと意地悪してたから、つい。
シャスポーうっ……。
グラースつーか、2人で卵割りをする必要もねぇだろ。
メレンゲはシャスポーに任せて、僕は違う作業をする。
シャルルヴィルじゃあ、グラースにはガナッシュを作ってもらおうかな。
グラース……試作の時から思ってたんだけどよ、
薫り高いアルコールの風味が効いててもいいんじゃないか?
シャスポーちょっ……!
勝手にブランデーを入れるな!
そんなに入れたら風味どころじゃないだろうが!
グラースそんなキレなくてもいいだろうが。
たくさん入れた方が美味いに決まってる。
シャスポー君みたいな雑な味覚の奴にとってはな!
フェスティバルには未成年のお客さんもいるし、
アルコールが苦手な人だっているんだぞ。
グラース……っ!
うら若き麗人が寄り付かなくなったら悲劇だ……。
シャルルヴィル……やれやれ。
本当、仲がいいのか悪いのか……。
わからない2人だよねぇ……。

──その日の夜。

在坂……オムライス……美味い……美味い……。
むぐ……在坂はおかわりを所望する。
八九ちょっ……!
なんだこの大量の皿!!
邑田ほわっ!? あ……在坂や。
もしやこのおびただしき数の皿、すべておむらいすか?
在坂そうだ。
事情は知らないが、卵がたくさんある。
傷まないうちに使いたいらしい。
邑田ふむ。ならば、わしもいただこうかのう。
このままでは在坂が食べすぎで腹を壊してしまいかねん……。
シャスポー&グラース…………。
在坂オムライスがたくさん食べられて、在坂は嬉しい。
おかわりはあるのか?
シャルルヴィルまだまだ卵あるからね!
いくらでもおかわりして大丈夫だよ~♪
シャスポー&グラースシャルルヴィル……っ、先輩!!
シャルルヴィルあはははっ、ごめんごめん。
ほら、君たちもオムライスどんどん食べてよね。
オムレツやスクランブルエッグもあるよ。
シャスポー……うっ。
しばらく……卵料理は見たくないな……。
グラースああ……。

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