解説

カード解説

おしゃれな服に身を包んで、ヒールを履いて。
思い出すのはかつての自分。それでも前を向いて歩いていくと決めたその表情を、カメラははっきりと映し出した。

心銃解説:インパクト オブ エレガンス

鏡に映る新しい自分。
早まる鼓動。ぎこちなく微笑みかける。
魔法の解けないヒールを鳴らして、さあ行こう。
みんなの待つ、輝くあの場所へ。

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

 

Ep1. ライク・ツーの傷心

ライク・ツーはぁー……、疲れた……。
クソ忙しいのにアウトレイジャーどもがうじゃうじゃ出やがって。
空気読めよ。週に4日は有給とっとけ。
ライク・ツーゆっくり筋トレやる余裕なんかゼロ、帰宅即就寝……。
最後に髪、梳かしたのいつだっけ?
ライク・ツー前線に突っ込んでくアサルトライフルだからって、
無骨な貴銃士にはなりたくねーっての。
……はぁ……。

ライク・ツーはポケットから手鏡を取り出し、
鏡面に映した自分をのぞき込む。

ライク・ツー……っ!!
ライク・ツーなに、これ……ホントに俺? どっかの疲れたおっさんじゃなく?
だって、髪の毛、ぼっさぼさじゃん……。
自慢のキューティクルはどこいった? 目の下にクマまであるし。
ライク・ツーう……そだろ。
い、今から大急ぎで部屋に戻って、肌と髪の手入れを──
ラッセルああ、いたいた。
探していたんだよ、ライク・ツー。
報告書を頼みたいんだ。
ライク・ツーはぁ!? なんで俺んとこ来るんだよ!
さっき捕まえた奴らの報告書類だろ。
担当した奴にやらせろよ、たしかマークスだろ!
ラッセルあ……いや、これは中尉殿にも見てもらう書類でね。
ほら、マークスでは体裁を整えるまでに少々時間がかかるだろう?
〇〇君も忙しそうだし……。
ライク・ツーだからって、なんでもかんでも俺を頼るな!
十手でもエンフィールドでもいいだろうが! 八九とか!!
ラッセルあ、ああ。すまない……!
ジョージHey! ライク・ツー!
週直の日誌、まだ書いてないだろ? 持ってきたからよろしく!
ライク・ツー週直はマークスもだろうが!
日誌もマークスに押しつけとけ!
ジョージ「そういうちまちましたことはライク・ツーの担当だ」って、
マークスが言ってたぞ?
ライク・ツーふざけんなっ!!
ベルガーあひゃひゃひゃ!!
どけどけ、下っ端ども!!
ライク・ツー&ジョージ&ラッセルっ!?
ベルガーゴッドファーザー・ベルガーサマのお通りだぁ~!!
道を空けろ、ザコども!!
タバティエールおーい、返してくれよ、ベルガーくーん……!
それ、俺の煙草だからさ~!
スプリングフィールドベ、ベルガー……さん……!!
ペンシルヴァニアさんの、帽子……、返して……ください……!!
ベルガーやなこった!!
ゴッドファーザーごっこに必要だからな!
ラッセルベルガー! 廊下は走らない!
ゴッドファーザーごっこは別の場所でするように!
ライク・ツー、ジョージ、ベルガーを止めてくれ!
ライク・ツーはあ!?
なんで、俺がベルガーのおもりまでしなきゃならないんだ──
マークスベルガー!! マスターのコートを盗んだだろう!!
返せ!! マスターが困っている!!
ライク・ツーあっ、マークス!!
お前、ベルガーを追いかけるより先にすることあるだろ!
俺に日誌を押しつけやがって!!
ベルガーあひゃひゃひゃ!!
捕まえられるモンなら、捕まえてみろってんだ!!
マークス逃がさん……!!
ライク・ツーおい、待て! マークス!!
日誌を書け! ついでにラッセルから報告書の書き方も
叩き込まれてこい!!
ラッセルマークス! ライク・ツー!
君たちも廊下を走るな……!!

ライク・ツーはぁああああ……。
さっきよりももっと疲れた……。
ライク・ツーくそっ、さっさと戻って髪と肌の手入れしようと思ってたのに
どいつもこいつも気軽に頼りやがって! 便利屋じゃねぇっての!
ライク・ツーとにかく、肌のケアだけでもするか。
まずは、ホットタオルで顔を拭いて……と。
ライク・ツー……ふう、さっぱりした。
どれどれ、これでちょっとはマシに──
ライク・ツーはぐぁっ!!!!!
ライク・ツーおでこに……ニキビが、ある……。
しかも、赤いヤツ……。
姿見るまで、気づかなかったなんて……。
ライク・ツープロテイン摂ってるから、ニキビには気をつけてたのに……っ!
満足なケアもできない、オシャレもできない……
士官学校の日常って、一体なんなんだよ……。
ライク・ツー……ああ、もうヤダ、こんな生活……。

翌日──

ライク・ツーカモミールに……ティーツリー……と。……あ?
ラベンダーもあるのか……。これって、抗菌作用があるんだっけ?
なら、アクネ菌も防いでくれるかも……。
マークスおい! 何やってんだ、あんた!
それは俺がマスターのために育ててるハーブだぞ!
必要な時に切らしていたらマスターが大変なことになる!
ライク・ツーうるせぇ! すでに俺が大変なんだよ!
見ろ! この赤いニキビを!! お肌の大ピンチだッ!!
マークスにきび……? ああ、その赤く腫れてる部分か。
ひっかけば取れるんじゃないか?
今、取ってや──
ライク・ツーやめろっ!!
ライク・ツーうっ……くっ……。くそ……っ。
マークス……え……!?
ライク・ツー何しようとしてくれてんだ……ううっ、どいつもこいつも……。
勘弁してくれよ……。ニキビひっかくとかおぞましいことを……。
なんで、俺ばっかこんな目に……。
マークスら、ライク・ツー……?
どうしたんだ、あんた……?
ライク・ツーくっ……ホント、もうやだ、こんな生活……。
俺が何したってんだよ……いや、したかもしれねぇけどさ……。
マークスあー……え、ええーっと……。
その……肌にハーブを使うなら、そのまま使うより、精油にして
軟膏にするとか、お茶にして摂取するといいらしいぞ……?
ライク・ツーお茶……? ハーブティーのこと……?
それに、精油と軟膏って……。……効くの? 本当に?
マークスあ、ああ……。
本にはそう書いてあった……。
ライク・ツー……わかった。
ありがと。
マークスライク・ツー……? 一体どうしたんだ、あいつ。
ニキビができると、性格が変わるのか……?

Ep2. ヒールと貴銃士たち

ライク・ツーとマークスが、ハーブについて話した数日後──

ライク・ツーんー……。
ライク・ツー……よしっ! 綺麗にニキビが消えてる!
店で一番高かったハーブティーとティーツリーの精油が
効いたんだな。奮発して良かった……。
ライク・ツーふふっ♪ 肌の調子がいいと、生きる希望がわいてくる……!
よし! 士官学校生活もなんとかなりそうな気がしてきた!

ライク・ツーみんなー! おっはよー☆
ライク・ツー……じゃなくて……は、はよー……。
マークスく……っ!
なんだ、この針のようなかかとは……本当に靴……なのか?
ジョージOops!
また転んだ……!!
ライク・ツー……?
何やってんだ、お前ら?
???もちろん、美の探究よォ……!
ライク・ツー──誰だ、あんた……。
アンヌ申し遅れたわね。
アタシはアンヌ・イヴェール。
ファッション雑誌『ELAN』の編集長をしているわ。
ライク・ツー『ELAN』って……あのELAN!? 世界20カ国で発行され
常にファッション界の最先端を発信してる超有名誌の……?
もちろん、俺も定期購読してる……あのELAN!?
アンヌそうよ。
ご愛読ありがとう!
ライク・ツー驚いたな……。
なんで、そんなすごい雑誌の編集長がここにいるんだ?
アンヌフレッシュでイノベイティブな被写体を求めて来たの。
貴銃士──気高く異質な存在。モデルとしてファッション業界に
新たな風を吹き込んでくれると思わない?
ライク・ツーそうか……?
……いや、そうかも。
ライク・ツーって、それはそうとして!
ここ、一般人は入れねぇぞ。その上、撮影禁止だ!
シャルルヴィルライク・ツー!
アンヌさんはボクの知り合いなんだ。
アンヌその通り。
以前、シャルルヴィル様には雑誌の表紙も頼んだのよ。
あの号、最高にビューリィッ! だったわねェ!
アンヌさぁ、原石たち!
シャルルヴィル様に続いて、光る宝石になりましょう!
アンヌこの靴をピッタリ履きこなす貴銃士が、
アタシたちの理想の貴銃士よッ!

アンヌが指し示す先には、片足のハイヒールがあった。
上品なワインのような赤色が美しく輝いている。

ジョージ無理だって! 何度やってもスッテンと転ぶし!
こんなの、よっぽどスゲーヤツじゃないと履きこなせないぜ。
エンフィールドジョージ師匠、次は僕が挑戦してみます!
バランス感覚には自信がありますよ。ええ!
シャスポーバランスの問題なのか……?
徒に怪我して〇〇の世話になるなよ。
エンフィールド大丈夫ですよ……ほら!
こうして立つことができましたし、
歩く……こと、だって……うわぁっ!?
スナイダー……調子に乗ったな。
タバティエールアンヌちゃん、ハイヒールは諦めたら?
アンヌチッチッ! 銃でありながら英雄でもある貴銃士がモデルなのよ。
社会や性別という枠を更に超えた、人類からの脱却……
それを他の小道具では表現できないわ!
スプリングフィールド……エルメさんは、確かハイヒールを履いていたような……。
ドイツに帰郷されていなければ良かったですが……。
八九(俺には縁がねぇな……新しいラノベのネタ考えてよ……)
アンヌあら、もう挑戦者は終わり?
全滅なの? この靴に合うコはいないの……ッ!?
アンヌ……いえ、まだよ。
そこのアナタッ!!
ライク・ツー……は? 俺?
アンヌそう、アナタよ。
さぁ、今すぐハイヒールを履いてみせて!
ライク・ツー……!
ライク・ツー(……俺、ちょっと前までニキビあったんだけど、いいのかな?
でも、このハイヒール……カッコいいし、可愛くて……
俺の理想だ……)

ライク・ツーは、つま先からゆっくりと足を入れ、
ゆっくりと丁寧にハイヒールを履いた。

全員おぉ……っ! ぴったり入った……!
ライク・ツーやっぱいいな、このハイヒール……!
デザインだけじゃなくて、履き心地も抜群……。
ライク・ツー歩いた時に鳴るヒールの響きもサイコー……!
これ、どこのブランド? 後で買いに行きたい……!
アンヌ……見つけた……。
アンヌ見つけたわ、ダイヤの原石!
この企画のモデルはあなたに決定よーっ!
ライク・ツーは……!?

Ep3. 本領発揮&英気補充!

1週間後。
とある撮影スタジオにて──

スタッフ貴銃士ライク・ツーさん、入りまーす!
ライク・ツー………………。
アンヌTres bien!
よく似合ってるわ、ライク・ツー! 世界の宝石!
ライク・ツー……どうも。
ライク・ツー(この俺がELANのモデルをやるなんてな……)
ライク・ツー(いやいや、何ビビってんだ!)
ライク・ツー(あれからニキビもできてないし、筋トレもボディメイク中心に
調整したし……美容液も精油もハーブティーも激盛りで、
睡眠も運動も気をつけてきたから肌の状態だって万全!!)
ライク・ツー……のはずだけど……はぁ、緊張する。
さっきからドキドキが止まらねぇ……。
カメラマンそれじゃあ、撮影を始めますか。
立ち位置……バミってあるので、そこでポーズお願いします!
ライク・ツー……!
あ、ああ……。
カメラマン硬くならなくてもいいですよ。
リラックスして……ポージングは心の赴くまま……!
ライク・ツーわ、わかった……。
カメラマン……! 最高の1枚、撮れました。
次、ちょっと角度を変えてみましょうか。
横を向いてもらって……。
ライク・ツーこうか?
カメラマンエクセレント! マーベラス!
そのまま、視線だけこっちにお願いします!
アンヌふふ、なんて素晴らしいの。
やはり、アタシの目に狂いはなかったわね……!

スタッフ一旦、休憩挟みまーす!
ライク・ツーふう……。
十手お疲れさま、ライク・ツー君。
いやぁ、堂に入ってて素晴らしかったよ。
ライク・ツーなっ!? 十手にシャルルヴィル!
それに〇〇まで……!
なんでここにいるんだ!?
シャルルヴィルふふっ、アンヌさんが招待してくれたんだ。
3人までなら、見学に来ていいって。
ライク・ツーそれにしたって、
なんでそのメンツなんだよ?
十手まず、〇〇君は決まりだろう?
シャルル君もアンヌ殿の知り合いと言うし……あと1枠が
俺に決まったのは……はは、正直、自分でも意外だよ。
シャルルヴィル十手さんが一番無難……じゃなくて、みんなが納得してくれるし!
それにライク・ツーだって、マークスやジョージに
撮影されてるとこ、見られたくないでしょ?
ライク・ツー……まあな。
お気遣い、どうも。
主人公【素敵だった!】
→ライク・ツー「そうか?
これくらい、普通だろ?」

【なんでもできるんだね】

→ライク・ツー「こんなの、『できる』うちに入らねぇよ。」
アンヌライク・ツー! アナタは素晴らしいモデルよ。
でも、まだまだこんなものじゃないはず……。
もっと自分を解放して。心を裸に! できるわね?
ライク・ツー……なるほどな。
フフ……フフフ……。
ライク・ツーいいか、こんなもん当たり前だ。
お前が見いだした通り、俺はモデルとして
素晴らしい素質を持っているからな!
スタッフ撮影、再開しますー!

ライク・ツーこんなポーズもいいだろ?
可愛く撮ってよ!
カメラマンワンダフル!!
誰もが恋焦がれるジュエリーだ!
ライク・ツー次は、こうだ!
特別大サービス! ウィンクつき! きら~ん☆
カメラマン眩い輝きが月をも凌駕している~!!
シャルルヴィルの、ノリノリだね……。
十手いやぁ、なんというか……。
いつものクールなライク・ツー君からは、
想像できない光景だなぁ……。

撮影後──

十手これが全部、今日撮ったライク・ツー君の写真か。
たくさんあるねぇ!
シャルルヴィルどれもすごく素敵だよ!
この中から表紙用の写真を決めるのは難しそう。
……あ、でも、ボク、これが好き!
アンヌいいわね。でも、こっちもセクシーよ。
……いえ、こっちもミステリアスで捨てがたいわ。
それにこっちも、あっちも……ああ、もう、選べないわよッ!!
十手ライク・ツー君が一番良く撮れていると思うものを
選んだらいいんじゃないか?
本人が気に入ったものを使うのが一番だからね。
ライク・ツーいや。むしろこういうのは、他人が選んだ方がいいんだよ。
自分だとヘンなバイアスかかるからな。
十手そういうものなのか……。
……うん? この写真なんか、戦場での目の鋭さを彷彿とさせて
いいんじゃないかい?
シャルルヴィルダメダメ!
もっと可愛い顔してるやつがいいって!
ライク・ツー……おい、〇〇。
お前はどれがいいと思うんだ?
主人公【この可愛らしい雰囲気の写真がいい】
→ライク・ツー「ふーん……可愛い感じが好みなのか。
写りも悪くねーな。
……趣味、合うじゃん。」

【こちらの格好いい表情の写真かな?】

→ライク・ツー「ああ、これ、いい具合に撮れてるじゃん。
なるほどね、こういう雰囲気か。
……覚えとく。」
シャルルヴィル本当だ!
この写真が一番いいかも!
十手確かに、ライク・ツー君らしくもあり、
新たな一面も見える写真だなぁ。
さすが〇〇君だ。
アンヌええ、この1枚にしましょう。
ライク・ツー、アナタと一緒に仕事ができて、光栄だったわ。
お礼に撮影に使った衣装はプレゼントとして受け取ってね。
ライク・ツー……どうも。
じゃあ、遠慮なくもらっておく。
シャルルヴィル無事撮影が終わってよかった!
ふふっ、本屋さんに雑誌が並ぶのが楽しみだね!
十手ああ、本当だね。
今夜は、大成功の祝杯をあげようか!
シャルルヴィルうん、そうしよう!
ね、〇〇、ライク・ツー♪
ライク・ツー別に祝杯とか労いとかいらねぇけど、
……ま、せっかくだし付き合ってやってもいい。
主人公【楽しみだね】
【お疲れさま!】
ライク・ツー……ふんっ。
ライク・ツー(貴銃士として在る目的を忘れたわけじゃねぇけど。
……やっぱ、オシャレって楽しい!)

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